本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
この明細書において、「非晶質相」とは、シリコン(Si)原子等がランダムに配列された状態を言う。また、アモルファスシリコンを「a−Si」と表記するが、この表記は、実際には、水素(H)原子が含まれていることを意味する。アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)、アモルファスシリコンオキサイド(a−SiO)、アモルファスシリコンナイトライド(a−SiN)、アモルファスシリコンカーボンナイトライド(a−SiCN)、アモルファスシリコンスズ(a−SiSn)、アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe)およびアモルファスゲルマニウム(a−Ge)についても、同様に、H原子が含まれていることを意味する。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光電変換素子の構成を示す断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による光電変換素子100は、n型単結晶シリコン基板1と、n型非晶質膜2,21〜2m(mは2以上の整数)と、i型非晶質膜11〜1n(nは3以上の整数)と、p型非晶質膜31〜3m−1と、電極41〜4nとを備える。
n型単結晶シリコン基板1は、例えば、(100)の面方位および0.1〜15Ω・cmの比抵抗を有する。また、n型単結晶シリコン基板1は、例えば、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。
そして、n型単結晶シリコン基板1は、拡散領域10を含む。拡散領域10は、例えば、1×1020cm−3のリン(P)を含み、厚みは、例えば、200nmである。
n型非晶質膜2は、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面に接して設けられる。そして、n型非晶質膜2は、例えば、n型a−Siからなり、膜厚は、10nm〜数十nmである。また、n型非晶質膜2におけるP濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
i型非晶質膜11〜1nの各々は、n型単結晶シリコン基板1の光入射側と反対側の表面に接して設けられる。そして、i型非晶質膜11〜1nの各々は、例えば、i型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。
n型非晶質膜21〜2mは、それぞれ、i型非晶質膜11,13,・・・,1n−2,1nに接して設けられる。そして、n型非晶質膜21〜2mの各々は、例えば、n型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。また、n型非晶質膜21〜2mの各々におけるP濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
p型非晶質膜31〜3m−1は、それぞれ、i型非晶質膜12,14,・・・,1n−1に接して設けられる。そして、p型非晶質膜31〜3m−1の各々は、例えば、p型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。また、p型非晶質膜31〜3m−1の各々におけるボロン(B)濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
電極41,43,・・・,4n−2,4nは、それぞれ、n型非晶質膜21〜2mに接して設けられる。電極42,44,・・・,4n−1は、それぞれ、p型非晶質膜31〜3m−1に接して設けられる。そして、電極41〜4nの各々は、例えば、銀(Ag)からなる。
i型非晶質膜11〜1n、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1は、図1の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。また、n型非晶質膜21〜2mは、n型単結晶シリコン基板1の面内方向において、それぞれ、i型非晶質膜11,13,・・・,1n−2,1nの幅と同じ幅を有する。更に、p型非晶質膜31〜3m−1は、n型単結晶シリコン基板1の面内方向において、それぞれ、i型非晶質膜12,14,・・・,1n−1の幅と同じ幅を有する。そして、p型非晶質膜31〜3m−1の全体の面積がn型単結晶シリコン基板1の面積に占める割合である面積占有率は、60〜93%であり、n型非晶質膜21〜2mの全体の面積がn型単結晶シリコン基板1の面積に占める割合である面積占有率は、5〜20%である。
このように、p型非晶質膜31〜3m−1の面積占有率をn型非晶質膜21〜2mの面積占有率よりも大きくするのは、n型単結晶シリコン基板1中で光励起された電子および正孔がpin接合(p型非晶質膜31〜3m−1/i型非晶質膜12,14,・・・,1n−1/n型単結晶シリコン基板1)によって分離され易くし、光励起された電子および正孔の発電への寄与率を高くするためである。
図2〜図4は、それぞれ、図1に示す光電変換素子100の製造方法を示す第1〜第3の工程図である。
光電変換素子100の製造方法について説明する。光電変換素子100は、プラズマ装置を主に用いてプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法によって製造される。
プラズマ装置は、仕込室と、反応室CB1〜CB3と、取出室と、整合器と、RF電源とを備える。仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室は、直線的に配置されている。そして、仕込室と反応室CB1との間、反応室CB1と反応室CB2との間、反応室CB2と反応室CB3との間、および反応室CB3と取出室との間は、仕切バルブで仕切られている。また、仕込室から反応室CB1、反応室CB2、反応室CB3および取出室へ単結晶シリコン基板を順次搬送する搬送機構がプラズマ装置に備えられている。
仕込室は、加熱機構と排気機構とを備える。加熱機構は、単結晶シリコン基板を所定の温度に昇温する。排気機構は、仕込室内のガスを排気し、仕込室の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。
反応室CB1〜CB3の各々は、平行平板電極と、加熱機構と、排気機構とを備える。加熱機構は、単結晶シリコン基板を所定の温度に昇温する。排気機構は、反応室CB1〜CB3内のガスを排気し、反応室CB1〜CB3の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。平行平板電極は、整合器を介してRF電源に接続される。なお、反応室CB1は、i型a−Siを堆積するための反応室であり、反応室CB2は、n型a−Siを堆積するための反応室であり、反応室CB3は、p型a−Siを堆積するための反応室である。
取出室は、排気機構を備える。排気機構は、取出室内のガスを排気し、取出室の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。
仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室の各排気機構は、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプからなる。ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプは、ターボ分子ポンプが仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室に最も近くなるように、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室に直列的に連結されている。そして、各排気機構は、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプによって、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室内のガスを排気し、またはメカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプによって、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室内のガスを排気する。
RF電源は、例えば、13.56MHzのRF電力を整合器を介して反応室CB1〜CB3の平行平板電極に印加する。
光電変換素子100の製造が開始されると、n型単結晶シリコン基板1をエタノール等で超音波洗浄して脱脂し、その後、n型単結晶シリコン基板1をフッ酸中に浸漬してn型単結晶シリコン基板1の表面に形成された自然酸化膜を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端する(図2の工程(a)参照)。
n型単結晶シリコン基板1の洗浄が終了すると、n型単結晶シリコン基板1の一方の表面にPの拡散源を塗布し、その後、n型単結晶シリコン基板1を950℃で、50分、熱処理する。そして、Pの拡散源を除去する。これによって、n型単結晶シリコン基板1の一方の表面側に拡散領域10が形成される(図2の工程(b)参照)。
その後、拡散領域10が形成されたn型単結晶シリコン基板1をフッ酸中に浸漬してn型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端する。
n型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端すると、n型単結晶シリコン基板1をプラズマ装置の仕込室の基板ホルダー上に配置する。
そして、仕込室の排気機構は、1×10−5Pa以下に仕込室内のガスを排気し、仕込室の加熱機構は、n型単結晶シリコン基板1の温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。また、反応室CB1〜CB3の加熱機構も、n型単結晶シリコン基板1の温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。
n型単結晶シリコン基板1の温度が200℃に達すると、仕込室と反応室CB1との間の仕切バルブおよび反応室CB1と反応室CB2との間の仕切バルブが開けられ、n型単結晶シリコン基板1は、仕込室から反応室CB2へ搬送される。
i型非晶質膜11〜1n、n型非晶質膜2,21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1を形成するときの材料ガスの流量を表1に示す。
n型単結晶シリコン基板1が反応室CB2へ搬送されると、20sccmのシラン(SiH4)ガスと、150sccmの水素(H2)ガスと、水素希釈された100sccmのホスフィン(PH3)ガスとを反応室CB2に流し、反応室CB2の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cm2の範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。これによって、反応室CB2内でプラズマが発生し、n型a−Siからなるn型非晶質膜2がn型単結晶シリコン基板1の表面(=拡散領域10が形成された側の表面)に堆積される(図2の工程(c)参照)。なお、水素希釈されたPH3ガスの濃度は、0.2%である。
n型非晶質膜2の膜厚が10nm〜数十nmになると、反応室CB2の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiH4ガス、H2ガスおよびPH3ガスの反応室CB2への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB2を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1を反応室CB2から取出室へ搬送し、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1を室温まで冷却した後、取り出す。
そして、取り出したn型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1をフッ酸中に浸漬してn型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1の表面に形成された自然酸化膜を除去するとともに、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端する。
その後、n型単結晶シリコン基板1のn型非晶質膜2側と反対側の表面にa−Siが堆積されるように、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1をプラズマ装置の仕込室の基板ホルダー上に配置する。
そして、仕込室の排気機構は、1×10−5Pa以下に仕込室内のガスを排気し、仕込室の加熱機構は、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1の温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1の温度が200℃に達すると、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1を仕込室から反応室CB1へ搬送する。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1が反応室CB1へ搬送されると、10sccmのSiH4ガスと、100sccmのH2ガスとを反応室CB1に流し(表1参照)、反応室CB1の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cm2の範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。これによって、反応室CB1内でプラズマが発生し、i型a−Siからなるi型非晶質膜20がn型単結晶シリコン基板1の表面に堆積される。
i型非晶質膜20の膜厚が10nmになると、反応室CB1の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiH4ガスおよびH2ガスの反応室CB1への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB1を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20を反応室CB1から反応室CB2へ搬送する。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20が反応室CB1から反応室CB2へ搬送されると、20sccmのSiH4ガスと、150sccmのH2ガスと、水素希釈された50sccmのPH3ガスとを反応室CB2に流し(表1参照)、反応室CB2の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cm2の範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。これによって、反応室CB2内でプラズマが発生し、n型a−Siからなるn型非晶質膜30がi型非晶質膜20上に堆積される(図2の工程(d)参照)。
n型非晶質膜30の膜厚が10nmになると、反応室CB2の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiH4ガス、H2ガスおよびPH3ガスの反応室CB2への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB2を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30を反応室CB2から取出室へ搬送し、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30を冷却する。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30が室温まで冷却されると、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30を取出室から取出す。
そして、スピンコートによってレジストをn型非晶質膜30の表面に塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングしてレジストパターン40を形成する(図2の工程(e)参照)。
そして、レジストパターン40をマスクとしてドライエッチングによってn型非晶質膜30の一部をエッチングする。これによって、n型非晶質膜21〜2mが形成される(図3の工程(f)参照)。なお、レジストパターン40をマスクとしてウェットエッチングによってn型非晶質膜30の一部をエッチングしてもよい。
その後、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40をプラズマ装置の仕込室に入れ、仕込室を1×10−5Pa以下に排気するとともに、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40を200℃に加熱する。
そして、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40が仕込室から反応室CB3へ搬送される。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40が反応室CB3へ搬送されると、2sccmのSiH4ガスと、42sccmのH2ガスと、水素希釈された12sccmのジボラン(B2H6)ガスとを反応室CB3に流し(表1参照)、反応室CB3の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cm2の範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。これによって、反応室CB3内でプラズマが発生し、p型a−Siからなるp型非晶質膜50がi型非晶質膜20上に堆積されるとともに、p型a−Siからなるp型非晶質膜60がレジストパターン40上に堆積される(図3の工程(g)参照)。なお、水素希釈されたB2H6ガスの濃度は、0.1%である。
p型非晶質膜50,60の膜厚が10nmになると、反応室CB3の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiH4ガス、H2ガスおよびB2H6ガスの反応室CB3への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB3を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40/p型非晶質膜50,60を反応室CB3から取出室へ搬送し、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40/p型非晶質膜50,60を冷却する。
n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40/p型非晶質膜50,60が室温まで冷却されると、n型非晶質膜2/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質膜20/n型非晶質膜30/レジストパターン40/p型非晶質膜50,60を取出室から取出す。
そして、レジストパターン40を除去する。そうすると、p型非晶質膜60もリフトオフによって除去される(図3の工程(h)参照)。
その後、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜50の全面にレジストをスピンコートによって塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングし、レジストパターン70を形成する(図3の工程(i)参照)。
そうすると、レジストパターン70をマスクとしてp型非晶質膜50よびi型非晶質膜20をドライエッチングによってエッチングし、レジストパターン70を除去する。これによって、i型非晶質膜11〜1nおよびp型非晶質膜31〜3m−1が形成される(図4の工程(j)参照)。なお、レジストパターン70をマスクとしてウェットエッチングによってp型非晶質膜50およびi型非晶質膜20をエッチングしてもよい。
引き続いて、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1の全面にレジストをスピンコートによって塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングし、レジストパターン80を形成する(図4の工程(k)参照)。
そして、レジストパターン80をマスクとしてAgを蒸着またはスパッタリングによってn型非晶質膜21〜mおよびp型非晶質膜31〜3m−1上に形成し、レジストパターン80を除去する。これによって、電極41,43,・・・,4n−2,4nがそれぞれn型非晶質膜21〜2m上に形成され、電極42,44,・・・,4n−1がそれぞれp型非晶質膜31〜3m−1上に形成され、光電変換素子100が完成する(図4の工程(l)参照)。
光電変換素子100を用いて太陽電池モジュールが作製される場合、n型非晶質膜2側がガラスによって覆われる。
そして、太陽光がn型非晶質膜2側から光電変換素子100に照射されると、n型単結晶シリコン基板1中で電子および正孔が光励起される。
光励起された電子および正孔は、n型非晶質膜2側へ拡散しても、n型非晶質膜2によるn型単結晶シリコン基板1のパッシベーション効果によって再結合し難く、i型非晶質膜11〜1n、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1側へ拡散する。このように、n型非晶質膜2は、光励起された電子および正孔がn型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面で再結合するのを抑制する。
そして、光励起された電子および正孔は、i型非晶質膜11〜1n、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1側へ拡散し、p型非晶質膜31〜3m−1/i型非晶質膜12,14,・・・,1n−1/n型単結晶シリコン基板1(=pin接合)による内部電界によって分離され、正孔は、i型非晶質膜12,14,・・・,1n−1およびp型非晶質膜31〜3m−1を介して電極42,44,・・・,4n−1へ到達し、電子は、i型非晶質膜11,13,・・・,1n−2,1nおよびn型非晶質膜21〜2mを介して電極41,43,・・・,4nへ到達する。
電極41,43,・・・,4nへ到達した電子は、電極41,43,・・・,4nと電極42,44,・・・,4n−1との間に接続された負荷を介して電極42,44,・・・,4n−1へ到達し、正孔と再結合する。
このように、光電変換素子100は、n型単結晶シリコン基板1中で光励起された電子および正孔をn型単結晶シリコン基板1の裏面(=n型非晶質膜2が形成されたn型単結晶シリコン基板1の表面と反対側の面)から取り出すバックコンタクト型の光電変換素子である。
そして、光電変換素子100は、太陽電池モジュールにおいてガラスが配置される側に、Pがドープされたn型非晶質膜2を備えるので、ガラスが帯電してもn型非晶質膜2側のn型単結晶シリコン基板1の表面に電荷が誘起され難くなる。また、n型単結晶シリコン基板1の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにn型単結晶シリコン基板1の光入射側とn型単結晶シリコン基板1の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して分極を抑制できる。
そして、光電変換素子100においては、n型単結晶シリコン基板1は、拡散領域10を含むので、n型非晶質膜2によってn型単結晶シリコン基板1の表面における分極が抑制されることと相俟って、拡散領域10が本来のFSFの効果を発揮する。その結果、光入射側へ拡散した正孔(少数キャリア)は、拡散領域10によるFSFの効果によってn型単結晶シリコン基板1の裏面側へ拡散され易くなる。その結果、短絡光電流が増加する。従って、光電変換素子100の変換効率を向上できる。
図5は、実施の形態1による他の光電変換素子の構成を示す断面図である。実施の形態1による光電変換素子は、図5に示す光電変換素子100Aであってもよい。
図5を参照して、光電変換素子100Aは、図1に示す光電変換素子100にi型非晶質膜3を追加したものであり、その他は、光電変換素子100と同じである。
i型非晶質膜3は、例えば、i型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nm〜数十nmである。そして、i型非晶質膜3は、n型単結晶シリコン基板1の拡散領域10とn型非晶質膜2とに接し、拡散領域10とn型非晶質膜2との間に配置される。
光電変換素子100Aは、図2から図4に示す工程(a)〜工程(l)によって製造される。この場合、図2の工程(c)において、i型非晶質膜3およびn型非晶質膜2がこの順でn型単結晶シリコン基板1上にプラズマCVD法によって順次堆積される。そして、i型非晶質膜3を堆積するときのガス流量は、表1に示すi型非晶質膜11〜1nのガス流量と同じである。
i型非晶質膜3を設けることによって、n型単結晶シリコン基板1に対するパッシベーション効果を更に向上させることができ、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面におけるキャリア(電子および正孔)の再結合を更に抑制できる。その結果、光電変換素子100Aの変換効率を向上できる。
図6は、実施の形態1による更に他の光電変換素子の構成を示す断面図である。実施の形態1による光電変換素子は、図6に示す光電変換素子200であってもよい。
図6を参照して、光電変換素子200は、p型単結晶シリコン基板101と、p型非晶質膜102,121〜12mと、i型非晶質膜111〜11nと、n型非晶質膜131〜13m−1と、電極141〜14nとを備える。
p型単結晶シリコン基板101は、例えば、(100)の面方位および0.1〜1.0Ω・cmの比抵抗を有する。また、p型単結晶シリコン基板101は、例えば、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。
そして、p型単結晶シリコン基板101は、拡散領域110を含む。拡散領域110は、例えば、1×1020cm−3のBを含み、厚みは、例えば、200nmである。
p型非晶質膜102は、p型単結晶シリコン基板101の光入射側の表面に接して設けられる。そして、p型非晶質膜102は、例えば、p型a−Siからなり、膜厚は、10nm〜数十nmである。また、p型非晶質膜102におけるB濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
i型非晶質膜111〜11nの各々は、p型単結晶シリコン基板101の光入射側と反対側の表面に接して設けられる。そして、i型非晶質膜111〜11nの各々は、例えば、i型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。
p型非晶質膜121〜12mは、それぞれ、i型非晶質膜111,113,・・・,11n−2,11nに接して設けられる。そして、p型非晶質膜121〜12mの各々は、例えば、p型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。また、p型非晶質膜121〜12mの各々におけるB濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
n型非晶質膜131〜13m−1は、それぞれ、i型非晶質膜112,114,・・・,11n−1に接して設けられる。そして、n型非晶質膜131〜13m−1の各々は、例えば、n型a−Siからなり、膜厚は、例えば、10nmである。また、n型非晶質膜131〜13m−1の各々におけるP濃度は、例えば、5×1019cm−3である。
電極141,143,・・・,14n−2,14nは、それぞれ、p型非晶質膜121〜12mに接して設けられる。電極142,144,・・・,14n−1は、それぞれ、n型非晶質膜131〜13m−1に接して設けられる。そして、電極141〜14nの各々は、例えば、Agからなる。
i型非晶質膜111〜11n、p型非晶質膜121〜12mおよびn型非晶質膜131〜13m−1は、図5の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。また、p型非晶質膜121〜12mは、p型単結晶シリコン基板101の面内方向において、それぞれ、i型非晶質膜111,113,・・・,11n−2,11nの幅と同じ幅を有する。更に、n型非晶質膜131〜13m−1は、p型単結晶シリコン基板101の面内方向において、それぞれ、i型非晶質膜112,114,・・・,11n−1の幅と同じ幅を有する。そして、n型非晶質膜131〜13m−1の全体の面積がp型単結晶シリコン基板101の面積に占める割合である面積占有率は、60〜93%であり、p型非晶質膜121〜12mの全体の面積がp型単結晶シリコン基板101の面積に占める割合である面積占有率は、5〜20%である。
このように、n型非晶質膜131〜13m−1の面積占有率をp型非晶質膜121〜12mの面積占有率よりも大きくするのは、p型単結晶シリコン基板101中で光励起された電子および正孔がpin接合(n型非晶質膜131〜13m−1/i型非晶質膜112,114,・・・,11n−1/p型単結晶シリコン基板101)によって分離され易くし、光励起された電子および正孔の発電への寄与率を高くするためである。
なお、光電変換素子200は、図2から図4に示す工程(a)〜工程(l)に従って製造される。
この場合、工程(b)において、B原子がp型単結晶シリコン基板101へ熱拡散されて拡散領域110が形成される。
また、工程(d)において、i型非晶質膜およびp型非晶質膜がp型単結晶シリコン基板101上に堆積される。そして、工程(e),工程(f)において、p型非晶質膜がパターンニングされ、p型非晶質膜121〜12mが形成される。
更に、工程(g)において、n型非晶質膜がi型非晶質膜上に堆積される。そして、工程(h)〜(j)において、i型非晶質膜およびn型非晶質膜がパターンニングされ、i型非晶質膜111〜11nおよびn型非晶質膜131〜13m−1が形成される。
更に、工程(k),(l)において電極141,143,・・・,14n−2,14nがそれぞれp型非晶質膜121〜12m上に形成され、電極142,144,・・・,14n−1がそれぞれn型非晶質膜131〜13m−1上に形成される。
光電変換素子200においては、太陽光は、p型非晶質膜102側から入射される。そして、光電変換素子200における発電機構は、上述した光電変換素子100の発電機構と同じである。従って、光電変換素子200は、バックコンタクト型の光電変換素子である。
また、光電変換素子200は、太陽電池モジュールにおいてガラスが配置される側に、Bがドープされたp型非晶質膜102を備えるので、ガラスが帯電してもp型非晶質膜102側のp型単結晶シリコン基板101の表面に電荷が誘起され難くなる。また、p型単結晶シリコン基板101の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにp型単結晶シリコン基板101の光入射側とp型単結晶シリコン基板101の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して分極を抑制できる。
その他、光電変換素子100と同様に、p型単結晶シリコン基板101の拡散領域110が本来のFSFの効果を発揮することによって、光電変換素子200の変換効率を向上できる。
なお、光電変換素子200においては、上述した光電変換素子100から光電変換素子100Aへの変更と同様にp型単結晶シリコン基板101の拡散領域110とp型非晶質膜102との間にi型非晶質膜3を挿入してもよい。これによって、p型単結晶シリコン基板101の光入射側の表面におけるキャリア(電子および正孔)の再結合を更に抑制し、光電変換素子200の変換効率を更に向上できる。
図7は、実施の形態1による更に他の光電変換素子の構成を示す断面図である。実施の形態1による光電変換素子は、図7に示す光電変換素子300であってもよい。
図7を参照して、光電変換素子300は、図1に示す光電変換素子100のn型単結晶シリコン基板1をn型単結晶シリコン基板301に代え、i型非晶質膜11〜1n、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1を酸化膜310に代え、電極41〜4nを電極321〜32nに代えたものであり、その他は、光電変換素子100と同じである。
n型単結晶シリコン基板301は、n型単結晶シリコン基板1にn型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1を追加したものであり、その他は、n型単結晶シリコン基板1と同じである。
n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1は、n型単結晶シリコン基板301のn型非晶質膜2側の表面と反対側の表面側において、n型単結晶シリコン基板301の面内方向へ交互に配置される。
n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nの各々におけるP濃度は、例えば、1×1019cm−3〜1×1020cm−3であり、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1の各々におけるB濃度は、例えば、1×1019cm−3〜1×1020cm−3である。
また、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1の深さは、例えば、200nm〜400nmである。
酸化膜310は、n型単結晶シリコン基板301のn型非晶質膜2側の表面と反対側の表面に接して設けられる。そして、酸化膜310は、例えば、二酸化シリコン(SiO2)からなり、その膜厚は、例えば、10nm〜100nmである。
電極321〜32nの各々は、例えば、Agからなる。そして、電極321,323,・・・,32n−2,32nは、酸化膜310を介してそれぞれn型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nに接するように形成される。また、電極322,324,・・・,32n−1は、酸化膜310を介してそれぞれp型拡散領域312,314,・・・,31n−1に接するように形成される。
n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1は、図7の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。そして、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1の全体の面積がn型単結晶シリコン基板301の面積に占める割合である面積占有率は、60〜93%であり、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nの全体の面積がn型単結晶シリコン基板301の面積に占める割合である面積占有率は、5〜20%である。
このように、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1の面積占有率をn型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nの面積占有率よりも大きくするのは、n型単結晶シリコン基板301中で光励起された電子および正孔がpn接合(p型拡散領域312,314,・・・,31n−1/n型単結晶シリコン基板301)によって分離され易くし、光励起された電子および正孔の発電への寄与率を高くするためである。
図8から図10は、それぞれ、図7に示す光電変換素子300の製造方法を示す第1から第3の工程図である。
光電変換素子300の製造が開始されると、図2に示す工程(a)と同じ方法によって、n型単結晶シリコン基板301を脱脂するとともにn型単結晶シリコン基板301の表面を水素で終端する(図8の工程(a)参照)。
そして、n型単結晶シリコン基板301の一方の表面にPSG(Phosphorus Silicate Glass)膜320をAPCVD(Atmospheric Pressure Chemical Vapour Deposition)法によって形成する(図8の工程(b)参照)。この場合、PSG膜320の膜厚は、例えば、100nm〜1000nmである。
その後、スピンコートによってレジストをPSG膜320の全面に塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングしてレジストパターン90を形成する(図8の工程(c)参照)。
そして、レジストパターン90をマスクとしてPSG膜320をエッチングし、レジストパターン90を除去する。これによって、PSG膜330を形成する(図8の工程(d)参照)。この場合、PSG膜320をドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれでエッチングしてもよい。
その後、n型単結晶シリコン基板301/PSG膜330を窒素雰囲気中で800℃の温度で、1時間、熱処理し、PSG膜330を除去する。これによって、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nが形成される(図8の工程(e)参照)。
引き続いて、オキシ塩化リン(POCl3)、窒素および酸素の混合ガス雰囲気で725℃の温度で、30分、n型単結晶シリコン基板301を熱処理することにより拡散領域10を形成する(図9の工程(f)参照)。
そして、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31n側のn型単結晶シリコン基板301の表面にBSG(Boron Silicate Glass)膜340をAPCVD法によって堆積する(図9の工程(g)参照)。この場合、BSG膜340の膜厚は、例えば、100nm〜1000nmである。
その後、スピンコートによってレジストをBSG膜340の全面に塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングしてレジストパターン91を形成する(図9の工程(h)参照)。
そして、レジストパターン91をマスクとしてBSG膜340をエッチングし、BSG膜350を形成する(図9の工程(i)参照)。この場合、BSG膜340をドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれでエッチングしてもよい。
そうすると、n型単結晶シリコン基板301/BSG膜350を窒素雰囲気中で800℃の温度で、1時間、熱処理し、BSG膜350を除去する。これによって、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1が形成される(図9の工程(j)参照)。
そして、n型単結晶シリコン基板301を酸素ガス雰囲気中で975℃の温度で、10分、熱処理し、酸化膜360(=SiO2)を形成する。そして、n型単結晶シリコン基板301の拡散領域10側の表面に形成された酸化膜(=SiO2)をフッ酸によって除去する(図10の工程(k)参照)。
その後、上述した条件を用いてn型非晶質膜2をプラズマCVD法によって形成する(図10の工程(l)参照)。
引き続いて、スピンコートによってレジストを酸化膜360の全面に塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによってパターンニングしてレジストパターン92を形成する(図10の工程(m)参照)。
そして、レジストパターン92をマスクとして酸化膜360をエッチングし、酸化膜310を形成する(図10の工程(n)参照)。この場合、酸化膜360をドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれでエッチングしてもよい。
その後、蒸着によってAgを酸化膜310の全面に形成し、その形成したAgをフォトリソグラフィおよびエッチングによってパターンニングし、電極321〜32nを形成する。これによって、光電変換素子300が完成する(図10の工程(o)参照)。なお、Agをドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれでエッチングしてもよい。
光電変換素子300を用いて太陽電池モジュールが作製される場合、n型非晶質膜2側がガラスによって覆われる。
そして、太陽光がn型非晶質膜2側から光電変換素子300に照射されると、n型単結晶シリコン基板301中で電子および正孔が光励起される。
光励起された電子および正孔は、n型非晶質膜2側へ拡散しても、n型非晶質膜2によるn型単結晶シリコン基板301のパッシベーション効果によって再結合し難く、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1側へ拡散する。このように、n型非晶質膜2は、光励起された電子および正孔がn型単結晶シリコン基板301の光入射側の表面で再結合するのを抑制する。
そして、光励起された電子および正孔は、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nおよびp型拡散領域312,314,・・・,31n−1側へ拡散し、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1/n型単結晶シリコン基板301からなるpn接合による内部電界によって分離され、正孔は、p型拡散領域312,314,・・・,31n−1を介して電極322,324,・・・,32n−1へ到達し、電子は、n型拡散領域311,313,・・・,31n−2,31nを介して電極321,323,・・・,32n−2,32nへ到達する。
電極321,323,・・・,32n−2,32nへ到達した電子は、電極321,323,・・・,32n−2,32nと電極322,324,・・・,32n−1との間に接続された負荷を介して電極322,324,・・・,32n−1へ到達し、正孔と再結合する。
このように、光電変換素子300は、n型単結晶シリコン基板301中で光励起された電子および正孔をn型単結晶シリコン基板301の裏面(=n型非晶質膜2が形成された表面と反対側の面)から取り出すバックコンタクト型の光電変換素子である。
そして、光電変換素子300は、太陽電池モジュールにおいてガラスが配置される側に、Pがドープされたn型非晶質膜2を備えるので、ガラスが帯電してもn型非晶質膜2側のn型単結晶シリコン基板301の表面に電荷が誘起され難くなる。また、n型単結晶シリコン基板301の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにn型単結晶シリコン基板301の光入射側とn型単結晶シリコン基板301の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して分極を抑制できる。
その他、光電変換素子100と同様に、n型単結晶シリコン基板301の拡散領域10が本来のFSFの効果を発揮することによって、光電変換素子300の変換効率を向上できる。
なお、光電変換素子300においては、上述した光電変換素子100から光電変換素子100Aへの変更と同様にn型単結晶シリコン基板301の拡散領域10とn型非晶質膜2との間にi型非晶質膜3を挿入してもよい。これによって、n型単結晶シリコン基板301の光入射側の表面におけるキャリア(電子および正孔)の再結合を更に抑制し、光電変換素子300の変換効率を更に向上できる。
図11は、実施の形態1による更に他の光電変換素子の構成を示す断面図である。実施の形態1による光電変換素子は、図11に示す光電変換素子400であってもよい。
図11を参照して、光電変換素子400は、図6に示す光電変換素子200のp型単結晶シリコン基板101をp型単結晶シリコン基板401に代え、i型非晶質膜111〜11n、p型非晶質膜121〜12mおよびn型非晶質膜131〜13m−1を酸化膜410に代え、電極141〜14nを電極421〜42nに代えたものであり、その他は、光電変換素子200と同じである。
p型単結晶シリコン基板401は、p型単結晶シリコン基板101にp型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nおよびn型拡散領域412,414,・・・,41n−1を追加したものであり、その他は、p型単結晶シリコン基板101と同じである。
p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nおよびn型拡散領域412,414,・・・,41n−1は、p型単結晶シリコン基板401のp型非晶質膜102側の表面と反対側の表面側において、p型単結晶シリコン基板401の面内方向へ交互に配置される。
p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nの各々におけるB濃度は、例えば、1×1019cm−3〜1×1020cm−3であり、n型拡散領域412,414,・・・,41n−1の各々におけるP濃度は、例えば、1×1019cm−3〜1×1020cm−3である。
また、p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nおよびn型拡散領域412,414,・・・,41n−1の深さは、例えば、200nm〜400nmである。
酸化膜410は、p型単結晶シリコン基板401のp型非晶質膜102側の表面と反対側の表面に接して設けられる。そして、酸化膜410は、例えば、SiO2からなり、その膜厚は、例えば、10nm〜100nmである。
電極421〜42nの各々は、例えば、Agからなる。そして、電極421,423,・・・,42n−2,42nは、酸化膜410を介してそれぞれp型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nに接するように形成される。また、電極422,424,・・・,42n−1は、酸化膜410を介してそれぞれn型拡散領域412,414,・・・,41n−1に接するように形成される。
p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nおよびn型拡散領域412,414,・・・,41n−1は、図11の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。そして、n型拡散領域412,414,・・・,41n−1の全体の面積がp型単結晶シリコン基板401の面積に占める割合である面積占有率は、60〜93%であり、p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nの全体の面積がp型単結晶シリコン基板401の面積に占める割合である面積占有率は、5〜20%である。
このように、n型拡散領域412,414,・・・,41n−1の面積占有率をp型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nの面積占有率よりも大きくするのは、p型単結晶シリコン基板401中で光励起された電子および正孔がpn接合(n型拡散領域412,414,・・・,41n−1/p型単結晶シリコン基板401)によって分離され易くし、光励起された電子および正孔の発電への寄与率を高くするためである。
なお、光電変換素子400は、図8から図10に示す工程(a)〜工程(o)に従って製造される。
この場合、図8の工程(b)において、BSG膜がp型単結晶シリコン基板401の一方の表面にAPCVD法によって堆積される。そして、図8に示す工程(c)〜(e)によって、p型拡散領域411,413,・・・,41n−2,41nが形成される。
また、図9に示す工程(f)において、拡散領域110が形成される。
更に、図9に示す工程(g)において、PSG膜がp型単結晶シリコン基板401の他方の表面にAPCVD法によって堆積される。そして、図9に示す工程(h)〜(j)によって、n型拡散領域412,414,・・・,41n−1が形成される。
更に、図10の工程(l)において、プラズマCVD法を用いて上述した条件でp型非晶質膜102がp型単結晶シリコン基板401の表面に形成される。
更に、図10に示す工程(k)〜(n)によって、酸化膜410が形成され、図10に示す工程(o)において電極321〜32nが形成される。
光電変換素子400においては、太陽光は、p型非晶質膜102側から入射される。そして、光電変換素子400における発電機構は、上述した光電変換素子200の発電機構と同じである。従って、光電変換素子400は、バックコンタクト型の光電変換素子である。
また、光電変換素子400は、太陽電池モジュールにおいてガラスが配置される側に、Bがドープされたp型非晶質膜102を備えるので、ガラスが帯電してもp型非晶質膜102側のp型単結晶シリコン基板401の表面に電荷が誘起され難くなる。また、p型単結晶シリコン基板401の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにp型単結晶シリコン基板401の光入射側とp型単結晶シリコン基板401の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して分極を抑制できる。
その他、光電変換素子100と同様に、p型単結晶シリコン基板401の拡散領域110が本来のFSFの効果を発揮することによって、光電変換素子400の変換効率を向上できる。
なお、光電変換素子400においては、上述した光電変換素子100から光電変換素子100Aへの変更と同様にp型単結晶シリコン基板401の拡散領域110とp型非晶質膜102との間にi型非晶質膜3を挿入してもよい。これによって、p型単結晶シリコン基板401の光入射側の表面におけるキャリア(電子および正孔)の再結合を更に抑制し、光電変換素子400の変換効率を更に向上できる。
上述したように、光電変換素子100,100A,200は、バックコンタクトをi型非晶質膜、n型非晶質膜およびp型非晶質膜を用いてヘテロ接合によって作製した光電変換素子であり、光電変換素子300,400は、バックコンタクトをn型拡散領域およびp型拡散領域を用いてホモ接合によって作製した光電変換素子である。
従って、実施の形態1による光電変換素子は、バックコンタクトを構成する接合の種類に拘わらず、単結晶シリコン基板の光入射側にn型非晶質膜またはp型非晶質膜を形成することによって、光電変換素子の分極を抑制するものである。
このような観点から、光電変換素子100,300におけるn型非晶質膜2のP濃度は、5×1019cm−3に限らず、1×1017cm−3以上であればよく、光電変換素子200,400におけるp型非晶質膜102のB濃度は、5×1019cm−3に限らず、1×1017cm−3以上であればよい。
なお、光電変換素子100においては、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面(=n型非晶質膜2が形成された表面)がテクスチャ構造になっていてもよい。この場合、図2の工程(a)において、n型単結晶シリコン基板1をエタノール等で超音波洗浄した後、n型単結晶シリコン基板1の表面をアルカリを用いて化学的に異方性エッチングし、n型単結晶シリコン基板1の表面をテクスチャ化する。その後、上述したようにフッ酸を用いて自然酸化膜を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端する。
光電変換素子200において、p型単結晶シリコン基板101の光入射側の表面(=p型非晶質膜102が形成された表面)がテクスチャ構造になっている場合も同様である。
更に、光電変換素子300においてn型単結晶シリコン基板301の光入射側の表面(=n型非晶質膜2が形成された表面)がテクスチャ構造になっている場合、および光電変換素子400においてp型単結晶シリコン基板401の光入射側の表面(=p型非晶質膜102が形成された表面)がテクスチャ構造になっている場合も同様である。
また、光電変換素子100,100Aにおいては、i型非晶質膜3,11〜1nは、i型a−Siからなると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、i型非晶質膜3,11〜1nは、i型アモルファスシリコンカーバイド(i型a−SiC)、i型アモルファスシリコンオキサイド(i型a−SiO)、i型アモルファスシリコンアナイトライド(i型a−SiN)、i型アモルファスシリコンスズ(i型a−SiSn)およびi型アモルファスシリコンゲルマニウム(i型a−SiGe)のいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子100,100Aにおいては、n型非晶質膜21〜2mは、n型a−Siからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、n型非晶質膜21〜2mは、n型a−SiC、n型a−SiO、n型a−SiN、n型a−SiSn、n型a−SiGeおよびn型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子100,100Aにおいては、p型非晶質膜31〜3m−1は、p型a−Siからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、p型非晶質膜31〜3m−1は、p型a−SiC、p型a−SiO、p型a−SiN、p型a−SiSn、p型a−SiGeおよびp型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
即ち、光電変換素子100,100Aにおいては、i型非晶質膜3,11〜1n、n型非晶質膜21〜2mおよびp型非晶質膜31〜3m−1は、それぞれ、表2に示す材料のいずれかからなっていてもよい。
この場合、i型a−SiCは、SiH4ガス、メタン(CH4)ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。i型a−SiOは、SiH4ガス、酸素(O2)ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。i型a−SiNは、SiH4ガス、アンモニア(NH3)ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。i型a−SiSnは、SiH4ガス、四塩化スズ(SnCl4)ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。i型a−SiGeは、SiH4ガス、ゲルマン(GeH4)ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。
なお、i型非晶質膜11〜1nとしては、i型a−Geも想定されるが、i型a−Geは、n型単結晶シリコン基板1よりも光学バンドギャップが小さいので、i型a−Geをi型非晶質膜11〜1nとして用いた場合、開放電圧Vocの向上が困難である。光電変換素子100においては、i型非晶質膜11〜1nの光学バンドギャップが開放電圧Vocを支配的に決定するからである。
そこで、実施の形態1においては、n型単結晶シリコン基板1の光学バンドギャップよりも大きいi型a−SiC,i型a−SiO,i型a−SiN,i型a−Si,i型a−SiSn,i型a−SiGeをi型非晶質膜11〜1nとして用いることにした。
また、n型a−SiCは、SiH4ガス、CH4ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。n型a−SiOは、SiH4ガス、O2ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。n型a−SiNは、SiH4ガス、NH3ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。n型a−SiSnは、SiH4ガス、SnCl4ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。n型a−SiGeは、SiH4ガス、GeH4ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。n型a−Geは、GeH4ガス、PH3ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。
更に、p型a−SiCは、SiH4ガス、CH4ガス、B2H6ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。p型a−SiOは、SiH4ガス、O2ガス、B2H6ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。p型a−SiNは、SiH4ガス、NH3ガス、B2H6ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。p型a−SiSnは、SiH4ガス、SnCl4ガス、B2H6およびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。p型a−SiGeは、SiH4ガス、GeH4ガス、B2H6ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。p型a−Geは、GeH4ガス、B2H6ガスおよびH2ガスを材料ガスとして、上述したプラズマCVD法によって形成される。
更に、光電変換素子200においては、i型非晶質膜111〜11nは、i型a−Si以外に、i型a−SiC,i型a−SiO,i型a−SiN,i型a−SiSn,i型a−SiGeのいずれかからなっていてもよく、p型非晶質膜121〜12mは、p型a−Si以外に、p型a−SiC,p型a−SiO,p型a−SiN,p型a−SiSn,p型a−SiGe,p型a−Geのいずれかからなっていてもよく、n型非晶質膜131〜13m−1は、n型a−Si以外に、n型a−SiC,n型a−SiO,n型a−SiN,n型a−SiSn,n型a−SiGe,n型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
即ち、i型非晶質膜111〜11n、n型非晶質膜121〜12mおよびn型非晶質膜131〜13m−1は、それぞれ、表3に示す材料のいずれかからなっていればよい。
そして、p型a−SiC等を形成するときの材料ガスは、上述したとおりである。また、i型非晶質膜111〜11nとしてのi型a−Geが除外されている理由も、上述したとおりである。
更に、光電変換素子100,300においては、n型非晶質膜2は、一般的には、n型a−SiC,n型a−SiO,n型a−SiN,n型a−Si,n型a−SiSn,n型a−SiGe,n型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子100,300は、n型非晶質膜2に代えてp型非晶質膜を備えていてもよく、このp型非晶質膜は、p型a−SiC,p型a−SiO,p型a−SiN,p型a−Si,p型a−SiSn,p型a−SiGe,p型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子200,400においては、p型非晶質膜102は、一般的には、p型a−SiC,p型a−SiO,p型a−SiN,p型a−Si,p型a−SiSn,p型a−SiGe,p型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子200,400は、p型非晶質膜102に代えてn型非晶質膜を備えていてもよく、このn型非晶質膜は、n型a−SiC,n型a−SiO,n型a−SiN,n型a−Si,n型a−SiSn,n型a−SiGe,n型a−Geのいずれかからなっていてもよい。
更に、光電変換素子100,100A,300においては、拡散領域10は、無くてもよく、光電変換素子200,400においては、拡散領域110は、無くてもよい。拡散領域10,110が無くても、n型非晶質膜2またはp型非晶質膜102が光入射側に存在するので、ガラスの帯電による光電変換素子100,200,300,400の光入射側における分極を抑制できるからである。
拡散領域10が設けられない場合、光電変換素子100,100A,300は、n型非晶質膜2をn型単結晶シリコン基板1,301の光入射側の表面に備えることが好ましい。n型単結晶シリコン基板1,301は、上述したように、0.1〜15Ω・cmの比抵抗を有するので、活性化エネルギーは、0.14〜0.3eV程度であり、光学バンドギャップは、約1.1eVである。また、n型非晶質膜2としてのn型a−Siは、約1.8eVの光学バンドギャップと、0.2eVの活性化エネルギーとを有する。その結果、n型非晶質膜2の価電子帯端は、n型単結晶シリコン基板1,301の価電子帯端よりも0.64〜0.80eVだけエネルギー的に高い。従って、拡散領域10が設けられない場合、n型単結晶シリコン基板1,301とn型非晶質膜2(n型a−Si)との界面には、少数キャリアである正孔に対して、高さが0.64〜0.80eVである障壁が存在するので、n型単結晶シリコン基板1,301とn型非晶質膜2(n型a−Si)との界面で正孔が再結合するのを抑制できる。このような理由から、拡散領域10が設けられない場合、光電変換素子100,300は、n型非晶質膜2をn型単結晶シリコン基板1,301の光入射側の表面に備えることが好ましい。そして、n型非晶質膜2をn型単結晶シリコン基板1,301の光入射側の表面に設けることによって、n型単結晶シリコン基板1,301に対するパッシベーション効果を得ることができる。また、拡散領域10を設けないことによって、熱処理プロセスを省略することができ、n型単結晶シリコン基板1,301におけるキャリアのライフタイムを向上できる。
同様の理由によって、拡散領域110が設けられない場合、光電変換素子200,400は、p型非晶質膜102をp型単結晶シリコン基板101,401の光入射側の表面に備えることが好ましい。この場合も、p型非晶質膜102によるp型単結晶シリコン基板101,401に対するパッシベーション効果を得ることができる。また、拡散領域110を設けないことによって、熱処理プロセスを省略することができ、p型単結晶シリコン基板101,401におけるキャリアのライフタイムを向上できる。
更に、光電変換素子100,100A,300においては、n型非晶質膜2上に反射防止膜を設けてもよく、光電変換素子200,400においては、p型非晶質膜102上に反射防止膜を設けてもよい。この場合、反射防止膜は、例えば、シリコン窒化膜からなる。
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2による光電変換素子の構成を示す断面図である。図12を参照して、実施の形態2による光電変換素子500は、図1に示す光電変換素子100のn型非晶質膜2をn型非晶質膜511〜51k(kは2以上の整数)に代え、透明導電膜520を追加したものであり、その他は、光電変換素子100と同じである。
n型非晶質膜511〜51kは、図12の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。また、n型非晶質膜511〜51kは、n型単結晶シリコン基板1の面内方向において、同じ幅を有する。更に、n型非晶質膜511〜51kは、例えば、n型a−Siからなり、同じ膜厚を有する。この場合、幅は、例えば、100μm〜300μmであり、膜厚は、例えば、10nm〜数十nmである。
そして、n型非晶質膜511〜51kは、n型単結晶シリコン基板1の拡散領域10側の表面に接してn型単結晶シリコン基板1の面内方向において所定の間隔で配置される。この場合、所定の間隔は、例えば、10μm〜数十μmである。
このように、n型非晶質膜511〜51kは、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面に接してストライプ状に形成される。
透明導電膜520は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2およびZnOのいずれかからなる。そして、透明導電膜520は、n型非晶質膜511〜51kおよびn型単結晶シリコン基板1の拡散領域10に接して配置される。
なお、光電変換素子500は、図2の工程(c)と工程(d)との間に、レジストおよびフォトリソグラフィを用いてn型非晶質膜2をパターンニングしてn型非晶質膜511〜51kを形成する工程と、n型非晶質膜511〜51kを覆うように透明導電膜520をスパッタリングによって形成する工程とを挿入した工程図に従って製造される。
光電変換素子500は、n型非晶質膜511〜51kおよび透明導電膜520がn型単結晶シリコン基板1の拡散領域10に接する構造からなるので、透明導電膜520側に配置されたガラスが帯電しても、n型非晶質膜511〜51k側のn型単結晶シリコン基板1の表面における電荷の誘起が更に抑制される。
また、n型単結晶シリコン基板1の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにn型単結晶シリコン基板1の光入射側とn型単結晶シリコン基板1の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して、光電変換素子100に比べ分極を更に抑制できる。
なお、光電変換素子500においては、n型非晶質膜511〜51kは、ストライプ状に限らず、n型単結晶シリコン基板1の光入射側の表面に接するように格子状またはドット状に形成されてもよい。
実施の形態2においては、光電変換素子100から光電変換素子200,300,400のいずれかへの変更と同じ変更が光電変換素子500に対して施されてもよい。即ち、実施の形態2による光電変換素子は、光電変換素子200,400のp型非晶質膜102をパターンニングし、そのパターンニングしたp型非晶質膜およびp型単結晶シリコン基板101,401の拡散領域110に接するように透明導電膜を形成した構造からなる光電変換素子であってもよく、光電変換素子300のn型非晶質膜2をn型非晶質膜511〜51kおよび透明導電膜520に代えた構造からなる光電変換素子であってもよい。
また、実施の形態2においては、光電変換素子100から光電変換素子100Aへの変更と同じ変更が光電変換素子500に対して施されてもよい。
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3による光電変換素子の構成を示す断面図である。図13を参照して、実施の形態3による光電変換素子600は、図12に示す光電変換素子500のn型非晶質膜511〜51kをn型非晶質膜510に代え、透明導電膜520を透明導電膜530に代えたものであり、その他は、光電変換素子500と同じである。
n型非晶質膜510は、n型単結晶シリコン基板1の拡散領域10側の表面に接して配置される。そして、n型非晶質膜510は、例えば、n型a−Siからなり、n型単結晶シリコン基板1の面内方向において、膜厚が10nm〜数十nmである領域501と、膜厚が数nmである領域502とが交互に配置された断面構造を有する。そして、領域501,502は、図13の紙面に垂直な方向において同じ長さを有する。また、n型単結晶シリコン基板1の面内方向における領域501の幅は、100μm〜300μmであり、n型単結晶シリコン基板1の面内方向における領域502の幅は、10μm〜数十μmである。
透明導電膜530は、例えば、ITO,SnO2,ZnOのいずれかからなり、n型非晶質膜510に接して配置される。
なお、光電変換素子600は、図2の工程(c)と工程(d)との間に、レジストおよびフォトリソグラフィを用いてn型非晶質膜2をパターンニングしてn型非晶質膜510を形成する工程と、n型非晶質膜510を覆うように透明導電膜530をスパッタリングによって形成する工程とを挿入した工程図に従って製造される。
光電変換素子600は、n型非晶質膜510がn型単結晶シリコン基板1の拡散領域10に接し、透明導電膜530がn型非晶質膜510に接する構造からなるので、透明導電膜530側に配置されたガラスが帯電しても、n型非晶質膜510側のn型単結晶シリコン基板1の表面における電荷の誘起が抑制される。この場合、n型非晶質膜510は、n型単結晶シリコン基板1の面内方向において連続した構造からなるので、ガラスの面内方向における任意の場所が帯電しても、n型非晶質膜510における電荷の誘起が抑制される。同様に、ガラスの面内方向における任意の場所が帯電しても、透明導電膜530における電荷の誘起が抑制される。
また、n型単結晶シリコン基板1の表面に電荷が誘起されるのを抑制するためにn型単結晶シリコン基板1の光入射側とn型単結晶シリコン基板1の裏面とを電気的に接続する部材も不要である。
従って、光電変換素子の構造の自由度を確保して、光電変換素子500に比べ更に分極を抑制できる。
実施の形態3においては、光電変換素子100から光電変換素子200,300,400のいずれかへの変更と同じ変更が光電変換素子600に対して施されてもよい。即ち、実施の形態3による光電変換素子は、光電変換素子200,400のp型非晶質膜102をパターンニングしてn型非晶質膜510と同じような断面形状を有するp型非晶質膜を形成し、その形成したp型非晶質膜がp型単結晶シリコン基板101,401の拡散領域110に接し、その形成したp型非晶質膜に接するように透明導電膜を形成した構造からなる光電変換素子であってもよく、光電変換素子300のn型非晶質膜2をn型非晶質膜510および透明導電膜530に代えた構造からなる光電変換素子であってもよい。
また、実施の形態3においては、光電変換素子100から光電変換素子100Aへの変更と同じ変更が光電変換素子600に対して施されてもよい。
実施の形態3におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
上述した光電変換素子100,100A,200,300,400,500,600においては、n型単結晶シリコン基板1,301またはp型単結晶シリコン基板101,401の光入射側にn型非晶質膜2,510,511〜51kおよびp型非晶質膜102のいずれかが存在し、n型非晶質膜2,510,511〜51kおよびp型非晶質膜102は、ガラスの帯電によってn型単結晶シリコン基板1,301またはp型単結晶シリコン基板101,401の表面が帯電するのを抑制する。
従って、この発明の実施の形態による光電変換素子は、第1の導電型(n型またはp型の導電型)を有する単結晶シリコン基板と、単結晶シリコン基板の光入射側の表面に接して設けられるとともに、第1の導電型と反対の第2の導電型または第1の導電型を有し、非晶質相からなる第1の非晶質膜とを備えていればよい。
単結晶シリコン基板の光入射側の表面に、単結晶シリコン基板の導電型と同じ第1の導電型または単結晶シリコン基板の導電型と反対の第2の導電型を有する非晶質膜を備えていれば、ガラスが帯電しても単結晶シリコン基板の表面が帯電し難くなり、単結晶シリコン基板の表面における分極を抑制できるからである。
なお、光電変換素子100,100A,300においては、n型が第1の導電型であり、p型が第1の導電型と反対の第2の導電型である。また、光電変換素子200,400においては、p型が第1の導電型であり、n型が第1の導電型と反対の第2の導電型である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。