JP2013113611A - レーダ断面積計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直接波や地面反射波などの所望波の他に、不要散乱波がプローブで受信される環境下でも、高精度にレーダ断面積を計測することができるレーダ断面積計測装置を得ることを目的とする。
【解決手段】時間領域変換部32により時間領域に変換された照射電界分布E(f,H)に対して、時間ゲート幅Tを有する窓関数w(t)を乗算することで、その照射電界分布E(f,H)に含まれている不要波成分を除去する不要波成分除去部33を設けるように構成している。
【選択図】図1

Description

この発明は、地面の反射波を積極的に利用してレーダ断面積(RCS:Radar Cross Section)を計測するレーダ断面積計測装置に関するものである。
屋外でレーダ断面積であるRCSを測定する方法としては、地面による反射波を不要波として扱い、その不要波を抑圧する工夫を施して、自由空間相当の環境を構築して測定する方式(以下、「フリースペースレンジ方式」と称する)と、地面の反射波を積極的に利用して測定する方式(以下、「グランドプレーンレンジ方式」と称する)とに大別される。
前者のフリースペースレンジ方式において、地面の反射波を抑圧する方法としては、例えば、測定アンテナ、被測定物及び地面間の位置関係によって定まる幾何光学的反射点付近にレーダフェンスを設置し、そのレーダフェンスに入射してくる電波を測定アンテナ及び被測定物以外の方向に反射させる方法がある。
しかし、この方法では、レーダフェンスのエッジが新たな不要回折源となり、十分な測定精度が得られないことが知られている。
地面反射波を抑圧する他の方法として、bermを構築する方法がある。
この方法は、測定アンテナの直下点と、被測定物の直下点とを結ぶ直線を稜線とし、その稜線の両側を下り斜面として、地面に入射する波を斜め横方向に反射させることで、測定アンテナ及び被測定物方向には、その波が入射しないようにする方法である。
しかし、この方法では、稜線部で生じる回折波が不要回折波源となるため、十分な測定精度が得られないことが知られている。このように、地面の反射波を十分に抑圧することは容易ではない。
一方、後者のグランドプレーンレンジ方式では、地面の平坦性や局所的な凹凸を適切に設計すれば、基本的に地面の反射波による問題は生じない。更に、地面の反射波を利用することで、フリースペースレンジ方式と比べて、最大12dBのS/N比の向上が期待できるので、よりRCSの低い被測定物の測定が可能となる。
ここで、図6はグランドプレーンレンジ方式によるRCS計測の基本原理を示す概念図である。
図6において、測定アンテナ1は測定用送信アンテナ1a及び測定用受信アンテナ1bを備えており、電波を空間に放射する一方、被測定物3に反射して戻ってきた上記電波を受信する。
ただし、測定アンテナ1は、必ずしも2つのアンテナから構成されている必要はなく、送信と受信を1つのアンテナで行って、分配回路で送信系統と受信系統に分ける方式でもよい。
被測定物支持構造2は被測定物3を支持する支持構造であり、4は地表面である。
測定アンテナ1の測定用送信アンテナ1aから試験電波が空間に放射された後、被測定物3に反射されて、測定用受信アンテナ1bで受信されるまでの主要な電波伝搬経路は以下の4つとなる。
(伝搬経路1)ATA(点A→点T→点Aの経路)
(伝搬経路2)ATPA(点A→点T→点P→点Aの経路)
(伝搬経路3)APTA(点A→点P→点T→点Aの経路)
(伝搬経路4)APTPA(点A→点P→点T→点P→点Aの経路)
グランドプレーンレンジ方式の利点は、直接波経路6(AT、経路長r)に沿って伝搬する直接波と、反射点5(点P)を介する反射経路7a+7b(経路長r)に沿って伝搬する反射波とが同位相となるように、測定アンテナ1の高さHと被測定物3の高さHを適切に選択することで、S/N比を最大で12dB向上させることができることにある。
上述した4つの伝搬経路1〜4による伝搬波が、測定用受信アンテナ1bにおいて同位相で合成される条件は、下記の式(1),(2)によって与えられる。

Figure 2013113611

式(1)において、mは奇数の整数、λは測定波長、Rは測定アンテナ1と被測定物3との水平距離であり、通常はm=1の条件が適用される。
また、式(2)を満足するとき、反射経路7a,7bと地表面4とのなす角θg(グレージング角)は、非常に小さくなる。この場合、地面反射係数は、偏波に依らずほぼ−1となる(反射振幅1、反射位相180度)。
以上の条件を満足するとき、上述した4つの伝搬経路1〜4に沿って伝搬する電波が、測定用受信アンテナ1bにおいて同位相で合成され、その受信電界強度が直接波のみの場合の4倍(12dBの増加)となる。
次に、測定角度について考察する。
上述したように、式(2)が成立する場合、地面反射係数は偏波に依らずほぼ−1となる。
角度α、反射波経路TPと地表面4との成す角θ、直接波経路TAと地表面4とのなす角βは、それぞれ下記の式(3),(4),(5)で与えられる。

Figure 2013113611
tan−1xの冪級数展開は、下記の式(6)で与えられるため、式(2)を満足する場合、角度α,θ,βは、近似的に下記の式(7)〜(9)のように表される。

Figure 2013113611
したがって、式(2)を満足するように、測定用アンテナ1と被測定物3の位置を設定することにより、直接波と地面反射波の被測定物3への入射角度差はごく僅かになり、被測定物3から見て、角度α方向のRCSを測定することが可能となる。
図7は測定用アンテナ1と被測定物3との水平距離がR=570λ、測定用アンテナ1の高さがH=3λ、大地の比誘電率が4である場合の被測定物3の設置位置を通る鉛直方向の電界強度分布(ハイトパターン)の計算結果を示す説明図である。
R=570λ、H=3λ及びm=1を式(1)に代入すると、H=47.5λとなり、図7のハイトパターンの極大値を与える高さとほぼ一致することが確認される。
このように、地面の反射波を利用するグランドプレーンレンジ方式では、直接波と地面反射波との干渉により被測定物3への照射波の電界強度が地面からの高さによって変化する。
被測定物3の鉛直方向の長さが短い場合には、被測定物3への照射電界分布はほぼ一定とみなせるので、RCS測定精度の低下はほとんど生じない。
しかしながら、被測定物3が鉛直方向に長い場合、図7の例では、被測定物3の鉛直方向の大きさが20λ≦H≦70λの場合、中央付近と端部付近での照射電界強度が約4dBも異なり、大きな測定誤差を生じさせる要因となる。
このような場合には、照射電界分布が直接的あるいは等価的に一様となるように補正手段を講じなければならない。
グランドプレーンレンジ方式でのRCS計測において、地面反射に起因する被測定物3への照射電界分布を補正する方法としては、例えば、特許文献1で提案されている方法がある。
図8は特許文献1で提供されているグランドプレーンレンジのRCS計測方法を説明するための測定用アンテナ1及び被測定物3の配置と座標系を示す説明図である。
ここでは、X軸上で、原点からの距離がρの近傍領域に測定用送信アンテナ1a及び測定用受信アンテナ1bを設置し、被測定物3をAz方向(アジマス方向)に回転角φ及びEl方向(エレベーション方向)に回転角θだけ回転させて測定した散乱電界をEs(θ,φ)とする。
また、被測定物3のY軸方向の最大径をyw及びZ軸方向の最大径をzw、測定波長をλ、波数をkとする。
なお、Az方向は、Z軸を回転軸とする回転方向、El方向はY軸を回転軸とする回転方向である。
特許文献1では、以下の手順によって地面反射で生じている照射電界分布を補正する技術が開示されている。
まず、Az方向の測定範囲をφ、El方向の測定範囲をθとして、測定範囲(φ,θ)の散乱電界E(ρ,θ,φ)を測定する。
次に、散乱電界E(ρ,θ,φ)の測定値から、下記の式(10)によって、反射源分布を示す被測定物3のYZ面内の相当領域(y,z)の等価散乱係数S(y,z)を算出する。

Figure 2013113611
最後に、被測定物3のYZ面内の相当領域(y,z)の等価散乱係数S(y,z)を下記の式(11)にしたがって積算することで、遠方領域(被測定物3から十分に遠いため、角度パターンが変化しない領域)のレーダ断面積σを算出する。

Figure 2013113611
式(10)の右辺にあるA(Z)が、図7に示すような照射電界分布に相当する。
A(Z)で除算するということは、直接的あるいは等価的に一様となるように照射電界分布を補正することを意味している。
例えば、大地の構造が半空間誘電体のように、極めて単純であって、構成媒質の電気定数が正確に分かっているような場合には、A(Z)を理論的に精度よく求めることが可能である。しかしながら、現実には、このようなことは極めて稀であるため、実測定においては、測定レンジでA1way(Z)を測定し、A1way(Z)を用いて補正する方法が有効な手段であると考えられる。ここで、A(Z)はA1way(Z)の2乗に等しい。
なお、Z軸は鉛直軸に対してαだけ傾いている。式(2)が成り立つ条件下では、αは非常に小さい値であるが、A1way(Z)といわゆるハイトパターンとは一致はしない。混同を避けるため、以下では、鉛直軸に沿って測った電界分布をハイトパターンA1way(H)、Z軸に沿って測った電界分布A1way(Z)を(被測定物3の)開口分布と称する。
ここで、図9はハイトパターンの測定状況を示す模式図である。
図9において、スキャナ10は照射電界測定用のプローブ11を所望方向に走査する走査機構である。
プローブ10により受信される電界の成分には、所望波(直接波経路rに沿って到来する直接波、幾何光学的反射点Pで反射されてから到来する地面反射波)の他に、周囲の不要散乱体(例えば、木12による不要散乱波13)が含まれる。
また、実際の地表面は、完全に平滑ではなく凹凸を有するので、例えば、地面上の点Sでの不要散乱波14もプローブ11で受信されることになる。
特開2008−241689号公報(段落番号[0006])
従来のレーダ断面積計測装置は以上のように構成されているので、直接波や地面反射波などの所望波の他に、不要散乱波13,14がプローブ11で受信されなければ、照射電界分布を正確に補正することができるが、プローブ11により不要散乱波13,14が受信されている場合、照射電界分布を正確に補正することができず、遠方領域でのレーダ断面積σの計測精度が劣化してしまう課題があった。
なお、図10は、図7に示すハイトパターンが得られる場合の計算モデルに対し、測定用アンテナ1の直下点Cから地表沿いに測って380λの距離に不要散乱点Sがあるものとして計算されたハイトパターンシミュレーション結果を示す説明図である。
不要散乱波が重畳することによって大きなリップルが生じ、所望波のみの場合(滑らかな曲線)に対し、数dBの誤差が生じていることが分かる。誤差の程度は、不要散乱源のプローブ方向への散乱強度に依存している。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、直接波や地面反射波などの所望波の他に、不要散乱波がプローブで受信される環境下でも、高精度にレーダ断面積を計測することができるレーダ断面積計測装置を得ることを目的とする。
この発明に係るレーダ断面積計測装置は、電波を空間に放射するとともに、被測定物に反射して戻ってきた上記電波を受信する電波送受信手段と、被測定物の近傍に移動自在に設置されている電界測定用のプローブを走査して、そのプローブの測定点を切り替えるプローブ走査機構と、プローブ走査機構により切り替えられる測定点毎に、電波送受信手段から放射される電波の周波数を切り替えながら、そのプローブの受信電界を記録することで、被測定物の近傍の照射電界分布を周波数領域で測定する電界分布測定手段と、電界分布測定手段により周波数領域で測定された照射電界分布を時間領域に変換する時間領域変換手段と、時間領域変換手段により時間領域に変換された照射電界分布に対して所定の窓関数を乗算することで、その照射電界分布に含まれている不要波成分を除去する不要波成分除去手段と、不要波成分除去手段により不要波成分が除去された照射電界分布を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、被測定物をアジマス方向及びエレベーション方向に回転させる回転機構と、回転機構により被測定物が回転されている状態で、電波送受信手段により受信される電波から散乱電界値を測定する散乱電界値測定手段と、周波数領域変換手段により周波数領域に変換された照射電界分布を用いて、散乱電界値測定手段により測定された散乱電界値から特定される反射源分布を補正する反射源分布補正手段とを設け、レーダ断面積算出手段が反射源分布補正手段により補正された反射源分布を積算することでレーダ断面積を算出するようにしたものである。
この発明によれば、プローブ走査機構により切り替えられる測定点毎に、電波送受信手段から放射される電波の周波数を切り替えながら、プローブの受信電界を記録することで、被測定物の近傍の照射電界分布を周波数領域で測定する電界分布測定手段と、電界分布測定手段により周波数領域で測定された照射電界分布を時間領域に変換する時間領域変換手段と、時間領域変換手段により時間領域に変換された照射電界分布に対して所定の窓関数を乗算することで、その照射電界分布に含まれている不要波成分を除去する不要波成分除去手段と、不要波成分除去手段により不要波成分が除去された照射電界分布を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、回転機構により被測定物が回転されている状態で、電波送受信手段により受信される電波から散乱電界値を測定する散乱電界値測定手段と、周波数領域変換手段により周波数領域に変換された照射電界分布を用いて、散乱電界値測定手段により測定された散乱電界値から特定される反射源分布を補正する反射源分布補正手段とを設け、レーダ断面積算出手段が反射源分布補正手段により補正された反射源分布を積算するように構成したので、直接波や地面反射波などの所望波の他に、不要散乱波がプローブで受信される環境下でも、高精度にレーダ断面積を計測することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるレーダ断面積計測装置のハイトパターン測定状況を示す模式図である。 この発明の実施の形態1によるレーダ断面積計測装置の信号処理部を示す構成図である。 第1フレネルゾーンを示す説明図である。 周波数領域の照射電界分布Er(f,H)及び時間領域の照射電界分布Er(f,H)と時間ゲート幅Tとを模式的に示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるレーダ断面積計測装置のハイトパターン測定状況を示す模式図である。 グランドプレーンレンジ方式によるRCS計測の基本原理を示す概念図である。 測定用アンテナ1と被測定物3との水平距離がR=570λ、測定用アンテナ1の高さがH=3λ、大地の比誘電率が4である場合の被測定物3の設置位置を通る鉛直方向の電界強度分布(ハイトパターン)の計算結果を示す説明図である。 特許文献1で提供されているグランドプレーンレンジのRCS計測方法を説明するための測定用アンテナ1及び被測定物3の配置と座標系を示す説明図である。 ハイトパターンの測定状況を示す模式図である。 図7に示すハイトパターンが得られる場合の計算モデルに対し、測定用アンテナ1の直下点Cから地表沿いに測って380λの距離に不要散乱点Sがあるものとして計算されたハイトパターンシミュレーション結果を示す説明図である。
実施の形態1.
この実施の形態1では、所望波(直接波、主反射波)と不要散乱波の到来時刻の差を利用して、ハイトパターンの測定値に含まれる不要散乱波成分を除去するレーダ断面積計測装置を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ断面積計測装置のハイトパターン測定状況を示す模式図であり、図2はこの発明の実施の形態1によるレーダ断面積計測装置の信号処理部24を示す構成図である。
図1及び図2において、測定アンテナ21は測定用送信アンテナ21a及び測定用受信アンテナ21bから構成されており、測定用送信アンテナ21aは送信機22と接続され、測定用受信アンテナ21bは受信機23と接続されている。
測定用送信アンテナ21aは送信機22から出力された電波を空間に放射し、測定用受信アンテナ21bは被測定物25に反射して戻ってきた上記電波を受信して、その電波を受信機23に出力する。
図1の例では、測定アンテナ21が測定用送信アンテナ21aと測定用受信アンテナ21bから構成されているが、必ずしも2つのアンテナから構成されている必要はなく、電波の送受信を1つのアンテナで行って、分配回路で送信系統と受信系統に分ける方式でもよい。
送信機22は信号処理部24の制御の下で、所定の周波数範囲fで異なる周波数fの電波を測定用送信アンテナ21aに出力する処理を実施する。
受信機23は測定用受信アンテナ21bにより受信された電波を信号処理部24に出力する処理を実施する。
なお、測定アンテナ21、送信機22及び受信機23から電波送受信手段が構成されている。
信号処理部24は送信機22、プローブ走査機構27や回転機構28などを制御して、遠方領域でのレーダ断面積σを算出する処理部である。
プローブ走査機構27は信号処理部24の制御の下で、被測定物25の近傍に移動自在に設置されている電界測定用のプローブ26を走査して、プローブ26の測定点を切り替える機構である。
回転機構28は信号処理部24の制御の下で、被測定物25をAz方向及びEl方向に回転させる機構である。
信号処理部24の電界分布測定部31は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、プローブ走査機構27を制御して、プローブ26の測定点を切り替える処理の他、プローブ26の測定点毎に、送信機22を制御することで、測定用送信アンテナ21aから放射される電波の周波数fを切り替えながら、プローブ26の受信電界を記録することで、被測定物25の近傍の照射電界分布E(f,H)を周波数領域で測定する処理を実施する。なお、電界分布測定部31は電界分布測定手段を構成している。
時間領域変換部32は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、電界分布測定部31により周波数領域で測定された照射電界分布E(f,H)を時間領域に変換する処理を実施する。なお、時間領域変換部32は時間領域変換手段を構成している。
不要波成分除去部33は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、時間領域変換部32により時間領域に変換された照射電界分布E(f,H)に対して、時間ゲート幅Tを有する窓関数w(t)を乗算することで、その照射電界分布E(f,H)に含まれている不要波成分を除去する処理を実施する。なお、不要波成分除去部33は不要波成分除去手段を構成している。
周波数領域変換部34は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、不要波成分除去部33により不要波成分が除去された照射電界分布E’(f,H)を周波数領域に変換する処理を実施する。なお、周波数領域変換部34は周波数領域変換手段を構成している。
散乱電界値測定部35は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、回転機構28を制御することで、被測定物25のAz方向の回転角φ及びEl方向の回転角θを変えながら、測定用受信アンテナ21bにより受信される電波から散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定する処理を実施する。なお、散乱電界値測定部35は散乱電界値測定手段を構成している。
反射源分布補正部36は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、周波数領域変換部34により周波数領域に変換された照射電界分布E’(f,H)を用いて、散乱電界値測定部35により測定された散乱電界値E(ρ,θ,φ)から特定される反射源分布(被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)の等価散乱係数S(y,z))を補正する処理を実施する。なお、反射源分布補正部36は反射源分布補正手段を構成している。
レーダ断面積算出部37は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、反射源分布補正部36により補正された等価散乱係数S(y,z)を被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)で積算することで、遠方領域でのレーダ断面積σを算出する処理を実施する。なお、レーダ断面積算出部37はレーダ断面積算出手段を構成している。
図2の例では、信号処理部24の構成要素である電界分布測定部31、時間領域変換部32、不要波成分除去部33、周波数領域変換部34、散乱電界値測定部35、反射源分布補正部36及びレーダ断面積算出部37のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、信号処理部24がコンピュータで構成されていてもよい。
信号処理部24がコンピュータで構成される場合、電界分布測定部31、時間領域変換部32、不要波成分除去部33、周波数領域変換部34、散乱電界値測定部35、反射源分布補正部36及びレーダ断面積算出部37の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ(例えば、ROM)に格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
まず、電界分布測定部31は、測定点の高さHがHからHになるまで、等間隔あるいは不等間隔でプローブ26を移動させる指令をプローブ走査機構27に出力する。
また、電界分布測定部31は、所定の周波数範囲f内で測定用送信アンテナ21aから放射される電波(以下、この段階で、放射される電波を「試験電波」と称する)の周波数fを切り替える指令を送信機22に出力する。
これにより、プローブ走査機構27によってプローブ26が移動されるとともに、送信機22から出力される試験電波の周波数fが切り替えられるため、高さがH,H,・・・,Hである測定点毎に、周波数範囲f内で異なる周波数fの試験電波が送信機22から出力されて、測定用送信アンテナ21aから複数の周波数fの試験電波が空間に放射される。
プローブ26は、高さがH,H,・・・Hである各測定点において、測定用送信アンテナ21aから放射された複数の周波数fの試験電波を受信し、受信機23を介して、その受信電界を電界分布測定部31に出力する。
電界分布測定部31は、複数の周波数fの試験電波に係るプローブ26の受信電界を記録することで、被測定物25の近傍の照射電界分布E(f,H)を周波数領域で測定する。
ここでは説明の便宜上、周波数範囲fにおける最低周波数をf、最高周波数をfとする。
なお、測定点の高さ範囲のHとHは、被測定物25が高さ方向に存在する範囲に合わせて設定される。
時間領域変換部32は、プローブ走査機構27により切り替えられる測定点毎に、電界分布測定部31が被測定物25の近傍の照射電界分布E(f,H)を周波数領域で測定すると、例えば、その照射電界分布E(f,H)を逆フーリエ変換することで、その照射電界分布E(f,H)を時間領域に変換する。
時間領域変換部32が周波数領域の照射電界分布E(f,H)を時間領域に変換している理由は、時間領域で到来波を分離して、所望波以外の不要波成分を除去することができるようにするためである。
ここで、測定用送信アンテナ21aから放射される試験電波のうち、最も早くプローブ26に到達する電波は、経路長rの直接波である。
次に早く到達する電波は、幾何光学的反射点Pで反射された経路長rの地面反射波である。
地面反射波以降に到達する電波は、全て不要波であるため、cを光速とすると、直接波の到来時刻から、下記の式(12)に示す時間後の時刻までの成分だけを抽出すればよいと思われる。

Figure 2013113611
しかし、異なる2点間を電波が伝搬する際、2点間を結ぶ直線上だけをエネルギーが伝搬するわけではなく、ある空間的な広がりを持って電波のエネルギーが伝搬することが知られている。
特に、第1フレネルゾーンと呼ばれる空間内を多くのエネルギーが伝搬することが知られている。以下、フレネルゾーンについて説明する。
波長λと比べて、十分離れている点Aと点Bの間を電波が伝搬する場合を考える。
この場合、点Aと点Bを焦点とする回転楕円体は、下記の式(13)で表わされる。

Figure 2013113611

式(13)において、rは点Aと回転楕円体上の任意の点Mとを直線で結んだ経路長AMと、点Mと点Bとを直線で結んだ経路長MBとの和(r=AM+MB)である。
また、rは点Aと点Bを直線で結んだ経路長ABであり、いわゆる直接波の経路に相当する。
λは伝搬波の波長、nは正整数とされることが多いが、実数であっても構わない。
式(13)は、点Aから回転楕円体上の任意の点Mを経て点Bに到達する電波の経路長と、点Aから点Bへの直接波経の路長との差が、半波長のn倍であることを表している。
式(13)を満たす楕円体は、第nフレネル楕円体と呼ばれる。さらに、第nフレネル楕円体と第(n−1)フレネル楕円体とで囲まれる領域は、第nフレネルゾーンと呼ばれる。電波のエネルギー伝搬への寄与は、nが小さいほど大きく、特に、第1フレネルゾーンにエネルギーの大部分が含まれることが知られている。
ここで、図3は第1フレネルゾーンを示す説明図であり、(a)は側面図、(b)は上面図を表している。
主地面反射経路に対するフレネルゾーンを考えると図3のようになり、主地面反射経路は、等価的に測定アンテナ21の位置点Aの地面に関するイメージである鏡像点Aとプローブ26の位置点Qとを結ぶ直線となる。また、主地面反射経路の経路長である鏡像点Aと位置点Qとの距離はrである。
主地面反射経路に対する第1フレネルゾーンは、鏡像点Aと位置点Qとを焦点とする楕円体41となり、この楕円体41と地表面4との交面が、地表面上における第1フレネルゾーン40となる。
フレネルゾーンの考え方を適用すれば、測定アンテナ21から放射された試験電波のうち、第1フレネルゾーン40内の任意の点を経てプローブ26の位置点Qに到達する電波は、全て所望波(考慮すべき波)であり、これらの電波の到達時刻を考慮しなければならない。
経路APQで到達する主地面反射波の経路長rと、第1フレネルゾーン40を経てプローブ26の位置点Qに到達する電波の経路長との最大経路長差が半波長であるから、直接波が到来した時刻から、下記の式(14)に示す時間後の時刻まで考慮しなければならない。

Figure 2013113611
更に、フレネルゾーンの大きさは、その定義式である式(13)より波長λに依存しており、nが同一であれば、波長λが長いほど、フレネルゾーンは大きくなる。
従って、測定周波数範囲f内の全ての周波数fに対して、第1フレネルゾーン40を含めるためには、上記の式(14)は、下記の式(15)のように改める必要がある。

Figure 2013113611

式(15)において、λは測定周波数範囲fにおける最低周波数fの波長を表している。
現実の測定では、測定周波数範囲fを無限に広くとることは不可能であり、ある限られた周波数範囲に限定される。
この場合、時間領域変換部32により時間領域された照射電界分布E(f,H)は、有限のパルス幅を有することになる。このパルス幅をTとすると、所望波を抽出して不要波を除去するための窓関数の時間ゲート幅Tは、下記の式(16)のように選定するのが望ましい。

Figure 2013113611
そこで、不要波成分除去部33は、時間領域変換部32が周波数領域の照射電界分布E(f,H)を時間領域に変換すると、その時間領域の照射電界分布E(f,H)に対して、時間ゲート幅Tを有する窓関数を乗算することで、その照射電界分布E(f,H)に含まれている不要波成分を除去する。
図4は周波数領域の照射電界分布E(f,H)及び時間領域の照射電界分布E(f,H)と時間ゲート幅Tとを模式的に示す説明図である。
図4から明らかなように、式(16)で定めた時間ゲート幅Tを有する窓関数を乗算することで、不要波成分を的確に除去することが可能になる。
時間ゲートの形状を決定する窓関数w(t)は、例えば、以下の非特許文献1に示されているように、数多くの関数形が研究されており、それぞれに得失がある。
窓関数を列記すると、矩形、三角形、cosα形、Hamming形、Blackman形、Blackman-Harris形、Riesz形、Riemann形、de la Valle-Poussin形、Tukey形、Bohman形、Poisson形、Hanning-Poisson形、Cauchy形、Gauss形、Dolph-Chebyshev形、Kaiser-Bessel形、Barcilon-Temes形があり、これらの中から最も適当な関数を選択して使用すればよい。
[非特許文献1]
F. J. Harris,“On the Use of Windows for Harmonic Analysis with the Discrete Fourier Transform,”Proc. IEEE, vol. 66,no. 1,pp. 51-83,Jan. 1978.
周波数領域変換部34は、不要波成分除去部33が不要波成分を除去すると、不要波成分除去後の照射電界分布E’(f,H)を周波数領域に変換する。
時間領域変換部32、不要波成分除去部33及び周波数領域変換部34の信号処理を数式で表現すると、下記の式(17)のようになる。

Figure 2013113611

式(17)において、E(f,H)は測定点の高さがHであるとき、周波数範囲f(f≦f≦f)内で測定された周波数領域の照射電界分布、w(t)は時間ゲート幅Tを有する窓関数、F[・]はフーリエ変換、F−1[・]は逆フーリエ変換、E’(f,H)は不要波成分除去後の周波数領域の照射電界分布である。
散乱電界値測定部35は、回転機構28を制御することで、被測定物25のAz方向の回転角φ及びEl方向の回転角θを変えながら、測定用受信アンテナ21bにより受信される電波から散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定する。
即ち、散乱電界値測定部35は、Az方向の測定範囲をφ、El方向の測定範囲をθとして、測定範囲(φ,θ)の散乱電界E(ρ,θ,φ)を測定する。
反射源分布補正部36は、散乱電界値測定部35が散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定すると、周波数領域変換部34により周波数領域に変換された照射電界分布E’(f,H)を用いて、その散乱電界E(ρ,θ,φ)から特定される反射源分布、即ち、被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)の等価散乱係数S(y,z)を補正する。
ここで、等価散乱係数S(y,z)は、上記の式(10)で表される係数であり、上述したように、式(10)の右辺をA(Z)で除算することが、直接的あるいは等価的に一様となるように照射電界分布を補正することを意味している。
そこで、反射源分布補正部36は、周波数領域変換部34により周波数領域に変換された照射電界分布E’(f,H)から式(10)に代入するべきA(f,Z)を算出し、そのA(f,Z)を式(10)に代入することで、散乱電界値測定部35により測定された散乱電界E(ρ,θ,φ)から特定される等価散乱係数S(y,z)を補正する。
以下、式(10)に代入するべきA(f,Z)の算出処理を説明する。
RCS測定では、通常、RCSが既知の校正器を所定位置に置いて測り、その測定値を用いて、RCS絶対値校正が行われるため、校正器の設置高をHCTとすると、H=HCTでの値が1となるように、ハイトパターンの測定値を規格化すればよい。
規格化された照射電界分布E’(f,H)をEnormr(f,H)とすると、Enormr(f,H)は、下記の式(18)のようになる。

Figure 2013113611
normr(f,H)は、測定アンテナ21から被測定物25までの片道の伝搬特性であるが、RCS計測の場合、経路ATAのように、両者間の往復の伝搬特性である。相反定理により往路の特性と復路の特性は等しくなるので、A(f,H)は、Enormr(f,H)の2乗で与えられる。

Figure 2013113611
レーダ断面積算出部37は、反射源分布補正部36が等価散乱係数S(y,z)を補正すると、上記の式(11)に示すように、その等価散乱係数S(y,z)を被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)で積算することで、遠方領域でのレーダ断面積σを算出する。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、プローブ走査機構26により切り替えられる測定点毎に、測定用送信アンテナ21aから放射される電波の周波数fを切り替えながら、プローブ26の受信電界を記録することで、被測定物25の近傍の照射電界分布E(f,H)を周波数領域で測定する電界分布測定部31と、電界分布測定部31により周波数領域で測定された照射電界分布E(f,H)を時間領域に変換する時間領域変換部32と、時間領域変換部32により時間領域に変換された照射電界分布E(f,H)に対して時間ゲート幅Tを有する窓関数w(t)を乗算することで、その照射電界分布E(f,H)に含まれている不要波成分を除去する不要波成分除去部33と、不要波成分除去部33により不要波成分が除去された照射電界分布E’(f,H)を周波数領域に変換する周波数領域変換部34と、回転機構28により被測定物25が回転されている状態で、測定用受信アンテナ21bにより受信される電波から散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定する散乱電界値測定部35と、周波数領域変換部34により周波数領域に変換された照射電界分布E’(f,H)を用いて、散乱電界値測定部35により測定された散乱電界値E(ρ,θ,φ)から特定される反射源分布(被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)の等価散乱係数S(y,z))を補正する反射源分布補正部36とを設け、レーダ断面積算出部37が反射源分布補正部36により補正された等価散乱係数S(y,z)を被測定物25のYZ面内の相当領域(y,z)で積算することで、遠方領域でのレーダ断面積σを算出するように構成したので、直接波や地面反射波などの所望波の他に、不要散乱波がプローブ26で受信される環境下でも、高精度にレーダ断面積ρを計測することができる効果を奏する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、プローブ走査機構27におけるプローブ26の走査軸が地表面4に対して略垂直であり、プローブ走査機構27がプローブ26を鉛直方向に走査することで、散乱電界値測定部35が散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定するものを示したが、図5に示すように、プローブ走査機構27におけるプローブ26の走査軸が地面法線に対して、概ね角度α(=H/Rラジアン)だけ傾いていてもよい。
この実施の形態2では、プローブ走査軸を角度αだけ傾けてZ軸と一致させ、プローブ26を角度αだけ傾いている方向に走査することで、散乱電界値測定部35が散乱電界値E(ρ,θ,φ)を測定するが、この場合も、上記実施の形態1と同様に、A(f,Z)を算出して遠方領域でのレーダ断面積σを算出することができる。
この場合は、式(20)の座標変換及び伝搬位相補正が不要となる。具体的には、式(17)から式(19)において、HをZに置き代えればよい。
式(20)は近似式であるため、プローブ走査軸を角度αだけ傾けて、開口分布を直接的に測定することにより、より精度が向上する効果が得られる。
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、横幅が狭い被測定物25を想定していたが、実際のRCS計測では、被測定物25の横幅が広い場合も多い。
ここで、横幅は図1や図5における紙面垂直方向(図8のY軸方向)の被測定物25の長さである。
地面反射波の特性は、地表面4の物理形状と電気定数に依存しており、それらは位置によって異なる。したがって、被測定物25のY軸方向の中心付近で測定したハイトパターンあるいは開口分布を用いて、Y軸方向の他のすべての位置の照射電界分布を補正すると補正誤差が増大し、RCS計測精度が低下すると考えられる。
このような場合には、H軸あるいはZ軸方向だけでなく、Y軸方向にもプローブ26を走査し、2次元的にハイトパターンあるいは開口分布を測定することにより、照射電界分布E(f,H)の補正精度を向上させることが可能となる。
ただし、1つのプローブ26で2次元走査を行うと、測定時間が増大するというデメリットが生じる。
測定時間を短縮する方法として、複数のプローブ26を用いる方法が考えられる。
例えば、H軸方向あるいはZ軸方向に複数のプローブ26を所定間隔で配置し、複数のプローブ26をY軸方向に走査する方法、あるいは、複数のプローブ26をY軸方向に所定間隔で配置し、複数のプローブ26をH軸方向あるいはZ軸方向に走査する方法が考えられる。
このとき、プローブ26の数と同数の受信機23を設置して、1つのプローブ26に1つの受信機23を接続すれば、最も短時間で測定することができるが、プローブ26の数が多い場合には現実的ではない。
プローブ26の数が多い場合には、プローブ26を複数のグループに分け、各プローブ群に1つ受信機23を割り当て、PINダイオードやFETスイッチなどを用いた高周波スイッチで、電気的に受信機23に接続するプローブ26を切り替えるようにすればよい。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 測定アンテナ、1a 測定用送信アンテナ、1b 測定用受信アンテナ、2 被測定物支持構造、3 被測定物、4 地表面、5 反射点、6 直接波経路、7a,7b 反射経路、10 スキャナ、11 プローブ、12 木、13,14 不要散乱波、21 測定アンテナ(電波送受信手段)、21a 測定用送信アンテナ、21b 測定用受信アンテナ、22 送信機(電波送受信手段)、23 受信機(電波送受信手段)、24 信号処理部、25 被測定物、26 プローブ、27 プローブ走査機構、28 回転機構、31 電界分布測定部(電界分布測定手段)、32 時間領域変換部(時間領域変換手段)、33 不要波成分除去部(不要波成分除去手段)、34 周波数領域変換部(周波数領域変換手段)、35 散乱電界値測定部(反射源分布特定手段)、36 反射源分布補正部(反射源分布補正手段)、37 レーダ断面積算出部(レーダ断面積算出手段)、40 第1フレネルゾーン、41 楕円体。

Claims (6)

  1. 電波を空間に放射するとともに、被測定物に反射して戻ってきた上記電波を受信する電波送受信手段と、上記被測定物の近傍に移動自在に設置されている電界測定用のプローブを走査して、上記プローブの測定点を切り替えるプローブ走査機構と、上記プローブ走査機構により切り替えられる測定点毎に、上記電波送受信手段から放射される電波の周波数を切り替えながら、上記プローブの受信電界を記録することで、上記被測定物の近傍の照射電界分布を周波数領域で測定する電界分布測定手段と、上記電界分布測定手段により周波数領域で測定された照射電界分布を時間領域に変換する時間領域変換手段と、上記時間領域変換手段により時間領域に変換された照射電界分布に対して所定の窓関数を乗算することで、上記照射電界分布に含まれている不要波成分を除去する不要波成分除去手段と、上記不要波成分除去手段により不要波成分が除去された照射電界分布を周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、上記被測定物をアジマス方向及びエレベーション方向に回転させる回転機構と、上記回転機構により被測定物が回転されている状態で、上記電波送受信手段により受信される電波から散乱電界値を測定する散乱電界値測定手段と、上記周波数領域変換手段により周波数領域に変換された照射電界分布を用いて、上記散乱電界値測定手段により測定された散乱電界値から特定される反射源分布を補正する反射源分布補正手段と、上記反射源分布補正手段により補正された反射源分布を積算することでレーダ断面積を算出するレーダ断面積算出手段とを備えたレーダ断面積計測装置。
  2. 不要波成分除去手段は、電波送受信手段とプローブ間の距離である直接波の経路長がr、上記電波送受信手段から地面上の幾何光学的反射点を経て上記プローブに到達する地面反射波の経路長がr、電界分布測定手段により切り替えられる周波数の範囲における最低周波数の波長がλ、照射電界分布が時間領域に変換された際のパルス幅がT、真空中の光速がcである場合、時間幅がTである窓関数を時間領域変換手段により時間領域に変換された照射電界分布に乗算することを特徴とする請求項1記載のレーダ断面積計測装置。
    =(r−r)/c+0.5λ/c+T
  3. プローブ走査機構におけるプローブの走査軸が地面に略垂直であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ断面積計測装置。
  4. 被測定物の高さがH、電波送受信手段とプローブ間の水平距離がRである場合、プローブ走査機構におけるプローブの走査軸が地面法線に対して略H/Rラジアンだけ傾いていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ断面積計測装置。
  5. 所定の間隔で複数のプローブが配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ断面積計測装置。
  6. 複数のプローブがスイッチを介して電界分布測定手段と接続されており、上記スイッチが上記電界分布測定手段と接続するプローブを切り替えることを特徴とする請求項5記載のレーダ断面積計測装置。
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