JP2013111552A - 有機溶剤含有ガス処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着エレメントの圧力損失を小さくし、円筒に強く巻き付けても破損しない引張強度を有する活性炭素繊維不織布を使用した吸着エレメントを搭載する有機溶剤含有ガス処理装置の提供。
【解決手段】被処理ガスを接触させて有機溶剤を吸着し、水蒸気または加熱ガスを接触させて吸着した有機溶剤を脱着する吸着材を充填した吸着槽2A,2Bを備え、吸着材に被処理ガスを供給して有機溶剤を吸着させて清浄ガスとし、吸着材に水蒸気または加熱ガスを供給して有機溶剤を脱着させるガス処理装置1と、脱着ガスを凝縮した後、分液し、有機溶剤と排水とに分離する分液回収装置を備え、吸着材が、活性炭素繊維不織布9を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメント8から構成され、活性炭素繊維不織布が、繊維径が21μm〜40μm、トルエン吸着率が20%〜75%の活性炭素繊維からなる引張強度が4N/cm以上の不織布である、有機溶剤含有ガス処理装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機溶剤を含有する被処理ガスから有機溶剤を回収する有機溶剤含有ガス処理装置に関し、特に各種工場、研究施設等から排出される有機溶剤を含有した産業排ガスの浄化に用いられる有機溶剤含有ガス処理装置に関するものである。
連続式のガス処理装置には、吸脱着速度が速く小型化できることから、活性炭素繊維不織布(以下、ACF不織布と言う)を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメントが用いられている。このシート状のACF不織布は、ピッチ系、フェノール系、セルロース系、アクリル系等の前駆体繊維からなる不織布を炭化、賦活処理することにより得られる。
近年、当該装置の設置スペースを減らすため、また製造コストを抑えるために、吸着エレメントの小型化が望まれている。
かかる吸着エレメントの小型化に有効な手段として、ACF不織布の嵩密度を上げることが挙げられる。しかしながら、ACF不織布を構成する繊維について、その単繊維繊度を従前のまま維持して(約2dtex〜3dtex)不織布の嵩密度を上げると、吸着エレメントの圧力損失が大きくなって、吸着エレメントに被処理ガスを送風するための送風機の能力を上げることが必要となる。その結果、吸着エレメントの小型化に伴う効果を十分に享受できない場合があった。
そこで、本発明者らは、単繊維繊度が5dtex以上の前駆体繊維を用いることで、吸着エレメントの圧力損失を抑制したACF不織布を開発している(特許文献1)。
その一方で、前駆体繊維の繊維径を大きくすると、吸着エレメントの圧力損失は小さくなるものの、当該前駆体繊維が硬くなって絡まり難くなり、結果的に得られるACF不織布は引張強度が小さくなる。このため、ACF不織布を円筒に強く巻き付けて、充填密度の高い吸着エレメントを得ようとすると、ACF不織布が破損する場合があった。
特開2002−161439号公報
本発明は、従来技術の課題を背景になされたものであり、圧力損失を小さくし得るACF不織布を巻きつけた吸着エレメントを用いて、小型化された有機溶剤含有ガス処理装置を提供することを課題とするものである。
本発明者は、鋭意検討を進めたところ、所定の化合物を混合したフェノール樹脂を用いた繊維を前駆体繊維とするACF不織布は、繊維径が大きくなっても円筒に巻きつけることが可能な強度をもつことを見出した。そして、その結果得られる吸着エレメントは充填密度を高くできる上、圧力損失を小さくできるため、有機溶剤含有ガス処理装置の小型化が可能となることを見出した。
本発明は以下のとおりである。
(1)有機溶剤を含有する被処理ガスから有機溶剤を回収することで当該被処理ガスを清浄化する有機溶剤含有ガス処理装置であって、
被処理ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気または加熱ガスを接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する吸着材を充填した吸着槽を備え、前記吸着材に被処理ガスを供給することで有機溶剤を吸着させて清浄ガスとして排出し、前記吸着材に水蒸気または加熱ガスを供給することで有機溶剤を脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するガス処理装置と、
脱着ガスを凝縮した後、分液することで有機溶剤と排水とに分離する分液回収装置を備え、
前記吸着材が、活性炭素繊維不織布を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメントから構成され、
前記活性炭素繊維不織布が、繊維径が21μm〜40μm、トルエン吸着率が20%〜75%の活性炭素繊維からなる、引張強度が4N/cm以上の不織布である、有機溶剤含有ガス処理装置。
(2)活性炭素繊維不織布が、フェノール樹脂に、脂肪酸アミド類、リン酸エステル類、セルロース類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を混合した混合物を炭化・賦活して得られる活性炭素繊維からなる上記1に記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
(3)活性炭素繊維不織布を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメントが、活性炭素繊維の充填密度が65kg/m〜170kg/mである上記1に記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置は、ACF繊維不織布を構成する繊維の繊維径が太いため、圧力損失の低い吸着エレメントを得ることができ、さらに、ACF不織布が引張強度が大きく、円筒に強く巻き付けても破損し難いため、嵩密度の高い吸着エレメントを得ることができるため、従来並みの圧力損失を有する装置とする場合、装置のコンパクト化が可能となる。
本発明の有機溶剤含有ガス回収装置の基本処理フロー図例である。
本発明の一実施形態を図1にて説明する。ガス処理装置1は、吸着槽2A及び2Bを有し、その内部には筒状かご型の巻芯にACF不織布9を層状に巻き付けた中空円筒構造で、その外周面を金網で固定した吸着エレメント8を着脱可能に設けている。なお、吸着エレメント8の底部は閉鎖されている。
ここで図1の吸着槽2Aが吸着処理中、吸着槽2Bが脱着処理中の場合について説明する。まず吸着工程について説明する。有機溶剤を含有する溶剤混合ガス(被処理ガス)3はプレフィルター4を通り、送風機5により下ダンパー6を経て吸着槽2Aに送られ、吸着エレメント8のACF不織布9で被処理ガス中の有機溶剤の吸着が行われ、上ダンパー10を経て清浄空気として吸着槽2Aの排気口12より系外に排出される。この時、水蒸気供給ライン13の自動弁14は閉の状態である。
次に脱着工程について説明する。水蒸気供給ライン13より供給された水蒸気は自動弁15を経て吸着槽2Bに供給され、吸着エレメント8のACF不織布9に吸着された被処理ガス中の有機溶剤を脱着し再生させる。凝縮液、及び被処理ガス中の有機溶剤成分を含む未凝縮の水蒸気は、脱着ガスライン16を通って、コンデンサー17へ送られ被処理ガス中の有機溶剤成分を含む未凝縮の水蒸気が凝縮される。コンデンサー17より高濃度の有機溶剤を含んだ凝縮液がセパレーター19へ送られる。この時、下ダンパー7及び上ダンパー11は閉の状態である。
なお、セパレーター19内に滞留している有機溶剤成分を含むガスは、戻りガスライン20により再度被処理ガス3に戻される。
吸着エレメント8に使用するACF不織布に、繊維径が21μm〜40μm、トルエン吸着率が20%〜75%の活性炭素繊維からなる、引張強度が4N/cm以上のACF不織布を使用することで、エレメントの圧力損失が低くなることでファンの大きさが小さくなり、その結果装置の小型化が可能であることを見出した。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置に使用するACF不織布の目付は、200g/m〜800g/mであることが好ましい。目付を200g/m以上とすることにより、引張強度が4N/cm以上のACF不織布を得ることができる。目付の上限は800g/mである。目付が800g/mを超えるACF不織布は作製が困難となるか、あるいは、たとえ当該不織布を作製できたとしても、引張強度の向上効果は頭打ちになる上、柔軟性に欠けることとなって、吸着エレメントを作製する際に円筒に巻き付け難くなる傾向がある。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置に使用するACF不織布は、フェノール樹脂に、脂肪酸アミド類、リン酸エステル類、セルロース類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を混合した混合物を紡糸し、硬化して得られるフェノール系繊維を、不織布加工し、炭化・賦活して得ることができる。
本発明で用いるフェノール系繊維としては、フェノール樹脂に脂肪酸アミド類、リン酸エステル類、セルロース類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(配合物)を混合した混合物を紡糸して得られるフェノール系繊維が好適に用いられる。
フェノール樹脂としては、酸性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、塩基性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂、各種変性フェノール樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明では、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂を用いることが好ましい。フェノール樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明において配合物として用いられる脂肪酸アミド類とは、アンモニア又はアミンの窒素原子に結合する水素原子の1以上がアシル基によって置換された構造をもつ非重合体を意味し、該窒素原子に水素原子が2つ結合する第1級アミド、該窒素原子に水素原子が1つ結合する第2級アミド、該窒素原子に水素原子が結合していない第3級アミド、ラクタム、及び1分子中にアミンの窒素原子を2個以上有するものを包含する。したがって、本発明における「脂肪酸アミド類」は、ナイロン−6、ナイロン−6,6に代表される所謂、脂肪族ポリアミドのような重合体とは異なる。なお、「脂肪酸アミド類」は脂肪酸アマイド類とも称される。
上脂肪酸アミド類のなかでも、原料混合物の取扱い性、安定性又は紡糸性等の点から、第1級アミド、第2級アミドが好ましく、第1級アミドがより好ましく、飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸モノアミドが特に好ましい。
本発明において配合物として用いられるリン酸エステル類の「リン酸」とは、十酸化四リン(P410)が加水分解を受けて生ずる種々のオキソ酸の総称であり、オルトリン酸、ピロリン酸(二リン酸)、三リン酸、四リン酸、メタリン酸等を包含する。
本発明において「リン酸エステル類」とは、リン酸における−OHの一つ以上が下記一般式(1)で表される基に置換されたもの(リン酸エステル)又はその塩を意味する。
[式中、R13はヘテロ原子(炭素と水素以外の原子)を有していてもよい炭素数4以上の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは平均付加モル数であり、0〜100の数を示す。]
リン酸エステル類としては、特に太径のフェノール系繊維とした際に機械的強度が高まりやすいことから、オルトリン酸における−OHの一つ以上が前記式(1)で表される基に置換されたもの(オルトリン酸エステル)又はその塩が好ましい。
リン酸エステルの塩としては、リン酸エステルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。リン酸エステル類は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本発明において配合物として用いられるセルロース類としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。セルロース類は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置に使用する吸着エレメントのACF不織布充填密度は、65kg/m〜170kg/mの範囲であり、より好ましくは80kg/m〜150kg/mである。充填密度が65kg/m未満であると装置に搭載するエレメント本数が増加し、結果として装置が大きくなる。また、170kg/mより大きいとエレメントの圧力損失が大きくなる可能性がある。また、充填密度を上げる際圧縮する必要があり当該圧縮ACF不織布が脱落、飛散する可能性がある。
ACF不織布は引張強度が大きく、円筒に強く巻き付けても破損し難いため、充填密度の高い吸着エレメントを得ることができ、その結果装置に搭載する吸着エレメント本数を減少させることが可能となり、装置のコンパクト化が可能となることを見出した。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置に搭載する吸着エレメントの圧力損失は、繊維径の大きい繊維から構成されるACF不織布を用いて構成されるため、圧力損失が小さく、具体的には550mmAq以下となり得る。したがって、ACF不織布の充填密度を上げて吸着エレメントを小型化しても、当該吸着エレメントに被処理ガスを送風するための送風機の能力を上げる必要がないため、吸着エレメントの小型化に伴う利益を十分に享受できる。
本発明の吸着エレメントの圧力損失は500mmAq以下、より好ましくは400mmAq以下であることが好ましい。圧力損失が500mmAqより大きいと送風機のサイズが大きくなり、結果装置サイズが大きくなる。
以下の実施例及び比較例に基づいて本発明の有機溶剤回収装置について詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではなく、前記及び後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例中に示した特性は以下の方法で測定した。
(繊維径)
繊維径の測定は、高精細デジタルマイクロスコープ VH−6300(KEYENCE製)を用いて、JIS K1477 5.1(繊維径試験方法)に準拠して、繊維径(繊維直径)を測定した。
(引張強度)
ACF不織布の引張強度は、ACF不織布の幅方向、及び長さ方向から、それぞれ5つの試験片(幅25mm、長さ100mm)を切り取り、インストロン型引張試験機(例えば、(株)東洋ボールドウィン製「STM−T−200BP」)で試験片の両端をチャックでつかみ、チャックの間隔を50mm、引張速度を20mm/分(伸長率40%/分)として測定した。幅方向に切り取った試験片の引張強度の平均値、及び長さ方向に切り取った試験片の引張強度の平均値のうち、小さい値を、本発明のACF不織布の引張強度とした。
(トルエン吸着率)
トルエン吸着率の測定は、JIS K1477 「7.8 トルエン吸着性能」に準拠して、測定した。
(目付)
目付の測定は、ACF単位面積あたりの質量を測定して単位g/mで求めた。なお、質量は100℃での絶乾状態で測定した。
(嵩密度)
嵩密度の測定は、目付を厚みで割り、単位kg/mで求めた。なお、面積4cmの円盤を用いて、不織布にかかる荷重を9gf/cmにして測定した。
(吸着エレメントのACF不織布充填密度)
吸着エレメントのACF不織布充填密度は、100℃で絶乾した状態で、ACF不織布を巻く前の吸着エレメントの質量と巻いた後の質量を測定し、その差の質量を巻き径から計算されるACF不織布の体積で除することにより求めた。
(吸着エレメントの圧力損失)
吸着エレメントの圧力損失は、幅575mmのACF不織布を内径150mm、長さ575mmの円筒エレメントに所定の嵩密度で所定の質量を巻き付け、そのエレメントの内側から外側に風速30cm/秒の空気を流した際の圧力損失を測定した。
(平衡吸着容量)
平衡吸着容量(q)は、50%破過時間を測定し、以下の式で算出した。
(g/g)=Q×te/W
Q(g/分):溶剤供給量
te(分):50%破過時間
W(g):ACF不織布重量
(有効吸着容量)
有効吸着容量(q)は、50%破過時間を測定し、以下の式で算出した。
(g/g)=Q×te/W
Q(g/分):溶剤供給量
te(分):50%破過時間
W(g):ACF不織布重量
(吸着帯厚み)
吸着帯厚み(Za5%)は、5%破過する破過時間を測定し、以下の式で算出した。
Za5%(cm)=2×Z×(te−tb5%)/te
Z(cm):吸着材厚み
te(分):50%破過時間
tb5%(分):5%破過時間
<実施例1>
フェノール1000質量部と37質量%ホルマリン733質量部とシュウ酸5質量部を、還流冷却器を備えた反応容器に仕込み、40分間で常温から100℃に昇温させ、さらに100℃で4時間反応させた後、200℃まで加熱して脱水濃縮した後、冷却してノボラック型フェノール樹脂を得た。
上記ノボラック型フェノール樹脂475kgとベヘン酸アミド25kgとを、二軸混練機(高速二軸連続ミキサー)に投入して、150℃で混練(溶融混合)を行い、室温まで冷却して、淡黄色透明なブロック状物を得た。なお、ベヘン酸アミドは日本精化社製のベヘニン酸アミド(BNT−22H)を用いた。
次に、このブロック状物を粗粉砕し、溶融紡糸装置(グリッドメルター式)を用いて200℃で溶融し、該溶融により得られた溶融物を、170℃に保たれた孔径0.1mm、L/D=3、ホール数10個の紡糸口金から一定吐出量を保ちながら紡糸速度75m/分で紡糸(溶融紡糸)して糸条を得た。
得られた糸条を、長さ70mmにカットして容器に入れ、塩酸14質量%かつホルムアルデヒド8質量%の水溶液に常温で30分間浸漬した後、2時間で98℃まで昇温し、さらに98℃で2時間保持することにより硬化を行った。
次いで、得られた硬化物を、前記容器から取出して十分に水洗した後、3質量%アンモニア水溶液で60℃、30分間の中和を行った。その後、再度十分に水洗し、90℃、30分間乾燥することにより、単繊維繊度11dtex、繊維長70mm、繊維クリンプなしのフェノール系繊維を得た。
得られたフェノール系繊維を使用し、ニードルパンチ機により、針密度500本/inch2、針深度12mm(裏)、7mm(表)の条件で裏表処理を行い、ACF不織布前駆体を得、その前駆体を不活性雰囲気(窒素雰囲気)中30分かけて、常温から890℃まで加熱して炭化させ、次に水蒸気12質量%を含有する雰囲気中890℃の温度で100分間賦活して、繊維径が24.2μm、トルエン吸着率51%の活性炭素繊維からなる引張強度が7.4N/cm、目付が290g/m、嵩密度が70.3kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.10N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径1.15m、ACF不織布充填密度80.0kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は110mmAqとなり、優れた結果が得られた。
次に、該吸着エレメントを図1に示した有機溶剤含有ガス処理装置に搭載し、酢酸エチル3000ppmを含む温度35℃の有機溶剤含有ガスを、風量10m/分で送風機5より吸着槽2Aに送風した。系外に排出されるガスの濃度は、島津製作所製の全炭化水素計HCM−1Bの測定器を用いて送風機5の出口と吸着槽2Aの排気口12で測定した。得られた測定結果より50%破過時間を算出し、平衡吸着容量(q)を算出した。その結果、qが0.49g/gと良好な吸着容量であった。
次に、吸着槽2Bで4分間脱着を行い、その後下ダンパー6で吸着槽2Aへの送風を封鎖し、上ダンパー10で吸着エレメント8上部を封鎖し、水蒸気供給ライン13の自動弁14を開にして、吸着槽2Aの吸着エレメント8内に水蒸気を噴出した。この処置と同時に吸着槽2Bの下ダンパー7、及び上ダンパー11を開放し、水蒸気供給ライン13の自動弁15を閉にして、今度はこの吸着槽2Bでガス吸着を行った。この吸着と脱着の操作を繰り返し10回以上実施した。系外に排出されるガスの濃度は、島津製作所製の全炭化水素計HCM−1Bの測定器を用いて送風機5の出口と吸着槽2Aまたは2Bの排気口12で測定した。得られた測定結果より5%破過時間、50%破過時間を算出し、有効吸着容量(q)、吸着帯厚み(Za5%)を算出した。
その結果、qが0.26g/g、Za5%が5.0cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<実施例2>
実施例1で製造したフェノール繊維を使用し、ニードルパンチ機により、針密度650本/inch2、針深度15mm(裏)、10mm(表)の条件で裏表処理を行い、ACF不織布前駆体を得、実施例1と同じ炭化・賦活加工を実施し、繊維径が24.3μm、トルエン吸着率48%の活性炭素繊維からなる引張強度が9.8N/cm、目付が575g/m、嵩密度が100kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.47N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径0.98m、ACF不織布充填密度120kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は210mmAqとなり、優れた結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.47g/g、qが0.25g/g、Za5%が4.7cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<実施例3>
実施例1で製造したフェノール繊維を使用し、実施例1と同様のACF不織布前駆体を得、その前駆体を実施例1と同じ炭化・賦活加工を実施し、繊維径が24.0μm、トルエン吸着率50%の活性炭素繊維からなる引張強度が7.7N/cm、目付が305g/m、嵩密度が72.1kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.47N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径0.98m、ACF不織布充填密度120kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は190mmAqとなり、優れた結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.48g/g、qが0.26g/g、Za5%が4.8cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<実施例4>
実施例1で製造したフェノール繊維を使用し、実施例1と同様のACF不織布前駆体を得、その前駆体を、不活性雰囲気中36分かけて、常温から890℃まで加熱して炭化させ、次に水蒸気12質量%を含有する雰囲気中890℃の温度で120分間賦活して、繊維径が22.4μm、トルエン吸着率59%の活性炭素繊維からなる引張強度が5.6N/cm、目付が300g/m、嵩密度が70.3kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.10N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径1.15m、ACF不織布充填密度80.0kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は160mmAqとなり、優れた結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.60g/g、qが0.34g/g、Za5%が4.9cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<実施例5>
実施例1で製造したフェノール繊維を使用し、実施例2と同様のACF不織布前駆体を得、実施例4と同じ炭化・賦活加工を実施し、繊維径が22.2μm、トルエン吸着率60%の活性炭素繊維からなる引張強度が7.4N/cm、目付が410g/m、嵩密度が90.7kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.47N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径0.98m、ACF不織布充填密度120kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は300mmAqとなり、優れた結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.59g/g、qが0.33g/g、Za5%が4.6cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<比較例1>
単繊維繊度5.6dtex、繊維長70mm、繊維クリンプなしのフェノール系繊維(群栄化学工業(株)社製、カイノールKF−0570)を使用し、ニードルパンチ機により、針密度500本/inch2、針深度12mm(裏)、7mm(表)の条件で裏表処理を行いACF不織布前駆体を得、その前駆体を不活性雰囲気中18分かけて、常温から890℃まで加熱して炭化させ、次に水蒸気12質量%を含有する雰囲気中890℃の温度で60分間賦活して、繊維径が17.2μm、トルエン吸着率51%の活性炭素繊維からなる引張強度が8.3N/cm、目付が195g/m、嵩密度が60.6kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.10N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径1.15m、ACF不織布充填密度80.0kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は230mmAqとなり、実施例より圧力損失が高い結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.49g/g、qが0.26g/g、Za5%が4.9cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<比較例2>
比較例1で使用したフェノール繊維を使用し、比較例1と同様のACF不織布前駆体を得、比較例1と同じ炭化・賦活加工を実施し、繊維径が16.9μm、トルエン吸着率51%の活性炭素繊維からなる引張強度が8.4N/cm、目付が220g/m、嵩密度が60.6kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.47N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径0.98m、ACF不織布充填密度120kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントの圧力損失は630mmAqとなり、実施例より圧力損失が著しく高い結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.49g/g、qが0.26g/g、Za5%が4.8cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<比較例3>
比較例1で使用したフェノール繊維を使用し、ニードルパンチ機により、針密度650本/inch2、針深度15mm(裏)、10mm(表)の条件で裏表処理を行い、ACF不織布前駆体を得、比較例1と同じ炭化・賦活加工を実施し、繊維径が17.2μm、トルエン吸着率50%の活性炭素繊維からなる引張強度が9.5N/cm、目付が425g/m、嵩密度が80.3kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.10N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径1.15m、ACF不織布充填密度80.0kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントは圧力損失が320mmAqとなり、実施例より圧力損失が高い結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.48g/g、qが0.25g/g、Za5%が5.0cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<比較例4>
比較例1で製造したフェノール繊維を使用し、比較例1と同様のACF不織布前駆体を得、その前駆体を、不活性雰囲気中24分かけて、常温から890℃まで加熱して炭化させ、次に水蒸気12質量%を含有する雰囲気中890℃の温度で80分間賦活して、繊維径が16.4μm、トルエン吸着率60%の活性炭素繊維からなる引張強度が5.9N/cm、目付が190g/m、嵩密度が60.6kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.47N/cmのテンションで、吸着エレメント質量が4kgになるまで巻き付けし、直径0.98m、ACF不織布充填密度120kg/mの吸着エレメントを得た。その吸着エレメントは圧力損失が900mmAqとなり、実施例より圧力損失が著しく高い結果が得られた。
次に実施例1と同様の条件で測定を実施し、平衡吸着容量(q)、有効吸着容量(q)吸着帯厚み(Za5%)を算出した。その結果、qが0.59g/g、qが0.34g/g、Za5%が4.6cmと良好な吸着容量、吸着速度であった。
<比較例5>
実施例1において、ノボラック型フェノール樹脂475kgとベヘン酸アミド25kgに代えて、ノボラック型フェノール樹脂500kgを用いた以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度11dtex、繊維長70mm、繊維クリンプなしのフェノール系繊維を得た。
得られたフェノール系繊維を使用し、ニードルパンチ機により、針密度500本/inch2、針深度12mm(裏)、7mm(表)の条件で裏表処理を行いACF不織布前駆体を得、その前駆体を不活性雰囲気中30分かけて、常温から890℃まで加熱して炭化させ、次に水蒸気12質量%を含有する雰囲気中890℃の温度で100分間賦活して、繊維径が24.3μm、トルエン吸着率51%の活性炭素繊維からなる引張強度が2.6N/cm、目付が310g/m、嵩密度が90.7kg/mのACF不織布を得た。
得られたACF不織布を、内径150mm、長さ575mmの円筒構造体に1.10N/cmのテンションで、吸着エレメントの作製を試みたがエレメント化不可であった。
本発明の有機溶剤含有ガス処理装置は、吸着エレメントに使用するACF不織布を構成する繊維が太いため、吸着エレメントの圧力損失が低くなる特徴を有している。その結果、従前の装置と同等の吸着性能を有し、かつファンの大きさが小さくなり装置の小型化が可能である。さらに、吸着エレメントに使用するACF不織布は引張強度が大きく、円筒に強く巻き付けても破損し難いため、嵩密度の高い吸着エレメントを得ることができ、かつ吸着エレメントの圧力損失は従前の吸着エレメント以下となる特徴を有している。その結果、装置に搭載する吸着エレメント本数を減少させることが可能となり、装置のコンパクト化が可能である。
そのため、装置のコンパクト化によるコスト低減、設置スペースの減少ができ、産業界に寄与することが大である。
1 :ガス処理装置
2A:吸着槽
2B:吸着槽
3 :有機溶剤を含有した溶剤混合ガス(被処理ガス)
4 :プレフィルター
5 :送風機
6 :下ダンパー
7 :下ダンパー
8 :吸着エレメント
9 :ACF不織布
10:上ダンパー
11:上ダンパー
12:排気口
13:水蒸気供給ライン
14:自動弁
15:自動弁
16:脱着ガスライン
17:コンデンサー
18:冷却水供給ライン
19:セパレーター
20:戻りガスライン

Claims (3)

  1. 有機溶剤を含有する被処理ガスから有機溶剤を回収することで当該被処理ガスを清浄化する有機溶剤含有ガス処理装置であって、
    被処理ガスを接触させることで有機溶剤を吸着し、水蒸気または加熱ガスを接触させることで吸着した有機溶剤を脱着する吸着材を充填した吸着槽を備え、前記吸着材に被処理ガスを供給することで有機溶剤を吸着させて清浄ガスとして排出し、前記吸着材に水蒸気または加熱ガスを供給することで有機溶剤を脱着させて有機溶剤を含有する脱着ガスとして排出するガス処理装置と、
    脱着ガスを凝縮した後、分液することで有機溶剤と排水とに分離する分液回収装置を備え、
    前記吸着材が、活性炭素繊維不織布を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメントから構成され、
    前記活性炭素繊維不織布が、繊維径が21μm〜40μm、トルエン吸着率が20%〜75%の活性炭素繊維からなる引張強度が4N/cm以上の不織布である、有機溶剤含有ガス処理装置。
  2. 活性炭素繊維不織布が、フェノール樹脂に、脂肪酸アミド類、リン酸エステル類、セルロース類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を混合した混合物を炭化・賦活して得られる活性炭素繊維からなる請求項1に記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
  3. 活性炭素繊維不織布を円筒に巻き付けて構成される吸着エレメントが、活性炭素繊維の充填密度が65kg/m〜170kg/mである請求項1に記載の有機溶剤含有ガス処理装置。
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