JP2013109003A - 光ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】側圧が加えられたときのロス増加が抑制され得るとともに可撓性低減も抑制され得る光ケーブルを提供する。
【解決手段】光ケーブル1は、光ファイバテープ心線10、抗張力体30および外被50を備える。光ファイバテープ心線10は、複数の光ファイバが並列配置され一体化されたものである。この光ファイバテープ心線10を囲むように外被50が設けられている。外被50は、光ケーブル1を保護するもので、例えばPVCやEVA等のポリオレフィンからなる。この外被50が囲む内部空間に一つの光ファイバテープ心線10が捻回自在に配置されている。光ファイバテープ心線10の周囲に抗張力体30が設けられていてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】光ケーブル1は、光ファイバテープ心線10、抗張力体30および外被50を備える。光ファイバテープ心線10は、複数の光ファイバが並列配置され一体化されたものである。この光ファイバテープ心線10を囲むように外被50が設けられている。外被50は、光ケーブル1を保護するもので、例えばPVCやEVA等のポリオレフィンからなる。この外被50が囲む内部空間に一つの光ファイバテープ心線10が捻回自在に配置されている。光ファイバテープ心線10の周囲に抗張力体30が設けられていてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ケーブルに関するものである。
複数の光ファイバ素線が密着することなくルースにチューブ内に収納されたルースチューブ心線が知られている(特許文献1を参照)。
複数の光ファイバが並列配置され一体化された光ファイバテープ心線を備える光ケーブルが知られている(特許文献2を参照)。特許文献2に記載された光ケーブルは、複数の光ファイバテープ心線が積層され接着一体化されてインナーチューブの内部空間に挿入された構成を有する。
光ファイバの一種であるプラスチッククラッド光ファイバ(PCF)をテープ化した光ファイバテープ心線も知られている(特許文献3)
インターコネクタ分野(機器間または機器内の部品を光ファイバで接続する分野)では光ケーブルに含まれる光ファイバの本数が数本〜十数本で足ることがある。このような光ケーブルは外径が数mmであり、比較的細くかつケーブルの保護被覆(外被)が薄いものとなる。
本発明者は、複数本の光ファイバを比較的薄い外被内に含む光ケーブルが以下のような問題点を有することを見出した。すなわち、或る光ファイバと他の光ファイバとが互いに交差しているときに当該交差部に側圧が加えられると、各光ファイバのロスが増加する。チューブ内に含まれるのが光ファイバテープ心線であっても同様に光ファイバテープ心線どうしが交差しているときに当該交差部に側圧が加えられると各光ファイバテープ心線に含まれる光ファイバのロスが増加するものと考えられる。
特許文献2に記載された光ケーブルでは、複数の光ファイバテープ心線が積層され接着一体化されていて、或る光ファイバテープ心線に含まれる光ファイバと他の光ファイバテープ心線に含まれる光ファイバとが互いに交差することがない。
しかし、複数の光ファイバテープ心線が積層され接着一体化されている構成を有する光ケーブルは、可撓性が低減され、小径に曲げることが困難となり、敷設の作業性が悪い。また、無理に光ケーブルを曲げると内部の光ファイバテープ心線が無理に曲げられて光ファイバテープ心線に含まれる光ファイバのロスが増加するものと考えられる。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、側圧が加えられたときのロス増加が抑制され得るとともに無理に曲げた場合のロス増加も抑制され得る光ケーブルを提供することを目的とする。
本発明の光ケーブルは、複数の光ファイバが並列配置され一体化された光ファイバテープ心線と、この光ファイバテープ心線を囲む外被と、を備え、外被が囲む内部空間に一つの光ファイバテープ心線が捻回自在に配置されていることを特徴とする。
本発明の光ケーブルは、光ファイバテープ心線の周囲に設けられた抗張力体を更に備えていてもよい。本発明の光ケーブルは、外被の内側に設けられたインナーチューブを更に備え、インナーチューブと外被との間に抗張力体が設けられ、インナーチューブの内部空間に一つの光ファイバテープ心線が捻回自在に挿入されていてもよい。本発明の光ケーブルは、抗張力体と外被との間に設けられた電磁シールド層を更に備えていてもよい。また、本発明の光ケーブルは、インナーチューブの外側に導線が設けられていてもよい。
本発明の光ケーブルにおいて、複数の光ファイバそれぞれの開口数が0.25〜0.45であるのが好適であり、複数の光ファイバそれぞれのコア径が60〜100μmであるのが好適であり、また、複数の光ファイバそれぞれのガラス部分の径が125μm以下であるのが好適である。また、複数の光ファイバそれぞれは、コアおよびクラッドの双方がガラスからなるものであってもよいし、コアがガラスからなりクラッドがプラスチックからなるものであってもよい。
本発明の光ケーブルは、側圧が加えられたときのロス増加が抑制され得るとともに、無理に曲げた場合のロス増加も抑制され得る。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、第1実施形態の光ケーブル1の断面図である。同図は、軸方向に垂直な断面を示す。光ケーブル1は、光ファイバテープ心線10、抗張力体30および外被50を備える。
光ファイバテープ心線10は、複数(一般には偶数)の光ファイバが並列配置され一体化されたものである。この光ファイバテープ心線10を囲むように外被50が設けられている。外被50は、光ケーブル1を保護するもので、例えばPVCやPE、EVA等のポリオレフィンからなる。この外被50が囲む内部空間に一つの光ファイバテープ心線10が捻回自在に配置されている。
光ファイバテープ心線10の周囲に抗張力体30が設けられていてもよい。抗張力体30は、繊維状のものが好ましく、アラミド繊維(ケブラ)からなるのが好ましい。光ファイバテープ心線10の周囲に抗張力体30が設けられていても、光ファイバテープ心線10は捻回自在である。
このように構成される光ケーブル1は唯一つの光ファイバテープ心線10を備えるので、光ファイバテープ心線同士が交差することはなく、また、一つの光ファイバテープ心線10に含まれる複数の光ファイバが互いに交差することもなく、側圧が加えられたときのロス増加が抑制され得る。光ケーブル1は、曲げの方向が光ファイバテープ心線10の厚み方向であれば、容易に曲げられ得る。また、光ケーブル1は、曲げの方向が光ファイバテープ心線10の幅方向(複数の光ファイバの配列方向)であっても、光ファイバテープ心線10が捻れることにより、曲げの方向を光ファイバテープ心線10の厚み方向とすることができるので、やはり容易に曲げられ得る。このように、光ケーブル1は可撓性低減も抑制され得る。
図2は、第2実施形態の光ケーブル2の断面図である。同図は、軸方向に垂直な断面を示す。光ケーブル2は、光ファイバテープ心線10、インナーチューブ20、抗張力体30、電磁シールド層40および外被50を備える。
光ファイバテープ心線10は、インナーチューブ20の内部空間21に挿入されており、その内部空間21において捻回自在である。インナーチューブ20は例えばPVCからなり、インナーチューブ20の内部空間21に一つの光ファイバテープ心線10が挿入されている。インナーチューブ20の内部空間21は、光ファイバテープ心線10が捻れることができる大きさを有する。インナーチューブ20の内部空間21の直径は、光ファイバテープ心線10の幅(複数の光ファイバの配列方向の幅)より0.2mm以上大きいことが好ましい。インナーチューブ20の厚みは例えば0.3〜1mmのものが使用可能である。
インナーチューブ20の外側に抗張力体30が設けられている。抗張力体30は、繊維状のものが好ましく、アラミド繊維からなるのが好ましい。抗張力体30の外側に電磁シールド層40が設けられているのが好ましい。電磁シールド層40は、金属線を編組したものなどから構成される。電磁シールド層40の外側に外被50が設けられている。
光ケーブルでは光信号が伝搬され、この光信号に電磁ノイズが乗ることはない。しかし、光ケーブルの端部のコネクタの内部にコネクタ内部にO/E変換部品が存在する場合、光信号はコネクタで電気信号に変換されるので、光ケーブル2がコネクタ付けされる端部近傍では電磁シールド層40が設けられているのが好ましい。電磁シールド層40を抗張力体30の外側であって外被50の内側に設ける場合は、光ケーブル2の端部近傍のみに電磁シールド層40を設けることは困難であるので、光ケーブル2の全長にわたって外被50の内側に電磁シールド層40を設ける方が製造容易である。
このように構成される光ケーブル2も唯一つの光ファイバテープ心線10を備えるので、光ファイバテープ心線同士が交差することはなく、また、一つの光ファイバテープ心線10に含まれる複数の光ファイバが互いに交差することもなく、側圧が加えられたときのロス増加が抑制され得る。光ケーブル2は、曲げの方向が光ファイバテープ心線10の厚み方向であれば、容易に曲げられ得る。また、光ケーブル2は、曲げの方向が光ファイバテープ心線10の幅方向(複数の光ファイバの配列方向)であっても、インナーチューブ20の内部空間21において光ファイバテープ心線10が捻れることにより、曲げの方向を光ファイバテープ心線10の厚み方向とすることができるので、やはり容易に曲げられ得る。このように、光ケーブル2は可撓性低減も抑制され得る。
図3は、第3実施形態の光ケーブル3の断面図である。同図は、軸方向に垂直な断面を示す。光ケーブル3は、光ファイバテープ心線10、インナーチューブ20、抗張力体30、電磁シールド層40および外被50を備える他、導線61およびフィラー70をも備える。第2実施形態の構成と比較すると、第3実施形態では、インナーチューブ20の外側であって電磁シールド層40の内側に、互いに同じ外径を有する導線61およびフィラー70が設けられている点で相違する。同図では9本の導線61および4本のフィラー70が設けられているが、本数は任意である。インナーチューブの外側に配置されるのが全て導線であってフィラーがなくてもよい。導線が二本で一対とされてもよい。導線61は、金属線の周囲に絶縁層が設けられたもの、または同軸電線で、電気信号を伝搬させることができる。また、抗張力体30は、インナーチューブ20と電磁シールド層40との間において導線61およびフィラー70の隙間を埋めるように設けられる。
図3に示されるように、インナーチューブ20が設けられる場合、電気信号を伝搬する導線61がインナーチューブ20の外側に配置され得る。仮にインナーチューブ20が設けられていないと、導線61が光ファイバテープ心線10に押し付けられて側圧によるロス増加が大きくなることがある。したがって、導線61はインナーチューブ20の外側に配置される。
図4〜図7それぞれは、光ファイバテープ心線の断面構成例を示す図である。これらの図に示される光ファイバテープ心線10A〜10Dそれぞれは、本実施形態の光ケーブル1〜4の光ファイバテープ心線10として用いられ得るものである。また、以下では光ファイバテープ心線10A〜10Dそれぞれが4芯のものであるとして説明する。
図4に示される光ファイバテープ心線10Aは、4本の光ファイバ80Aが並列配置されて被覆86により一体化されたものである。各光ファイバ80Aは、コア81と、このコア81を取り囲むクラッド82とを有する。例えば、コア81の径は80μmであり、クラッド81の外径は125μmである。クラッドはフッ素を含む紫外線硬化型樹脂などを使用できる。
図5に示される光ファイバテープ心線10Bは、4本の光ファイバ80Bが並列配置されて被覆86により一体化されたものである。各光ファイバ80Bは、コア81と、このコア81を取り囲むクラッド82と、このクラッド82を取り囲むプライマリ被覆層83と、このプライマリ被覆層83を取り囲むセカンダリ被覆層84とを有する。例えば、コア81の径は80μmであり、クラッド81の外径は125μmであり、プライマリ被覆層83の外径は200μmであり、セカンダリ被覆層84の外径は245μmである。
プライマリ被覆層83およびセカンダリ被覆層84は通常の光ファイバ心線に使用されるものと同様のものを使用することができる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系の紫外線硬化型樹脂を使用することができる。プライマリ被覆層83はヤング率が比較的低い(数MPa)比較的柔らかい樹脂が使用され、セカンダリ被覆層84はヤング率が比較的高い(数百〜千数百MPa)比較的硬い樹脂が使用される。図4に示される光ファイバテープ心線に比べて、プライマリ被覆層83およびセカンダリ被覆層84が有る分、さらに側圧特性に優れる。
図6に示される光ファイバテープ心線10Cは、4本の光ファイバ80Cが並列配置されて被覆86により一体化されたものである。各光ファイバ80Cは、コア81と、このコア81を取り囲むクラッド82と、このクラッド82を取り囲む着色層85とを有する。例えば、コア81の径は80μmであり、クラッド81の外径は115μmであり、着色層85の外径は125μmである。着色層85は顔料等が添加されて色が付けられた紫外線硬化型樹脂などを使用することができる。各光ファイバ心線が異なる色で着色されれば、各光ファイバ心線をその色で識別することができる。
図7に示される光ファイバテープ心線10Dは、4本の光ファイバ80Dが並列配置されて被覆86により一体化されたものである。各光ファイバ80Dは、コア81と、このコア81を取り囲むクラッド82と、このクラッド82を取り囲むプライマリ被覆層83と、このプライマリ被覆層83を取り囲むセカンダリ被覆層84と、このセカンダリ被覆層84を取り囲む着色層85とを有する。例えば、コア81の径は80μmであり、クラッド81の外径は125μmであり、プライマリ被覆層83の外径は200μmであり、セカンダリ被覆層84の外径は245μmであり、着色層85の外径は250μmである。プライマリ被覆層83、セカンダリ被覆層84および着色層85の構成および機能は前述のものと同様である。
光ファイバ80A〜80Dそれぞれにおいて、コア81は、クラッド82の屈折率より高い屈折率を有し、光を導波することができる。コア81はガラスからなる。クラッド82は、ガラスであってもよいしプラスチックであってもよい。コア81およびクラッド82の双方がガラスからなる光ファイバはAGF(All Glass Fiber)と呼ばれる。コア81がガラスからなりクラッド82がプラスチックからなる光ファイバはHPCF(Hard Plastic Clad Silica Fiber)と呼ばれる。プライマリ被覆層83、セカンダリ被覆層84、着色層85および被覆86それぞれは樹脂からなる。プライマリ被覆層83は低ヤング率の樹脂からなり、セカンダリ被覆層84は高ヤング率の樹脂からなる。
光ファイバ80A〜80Dそれぞれにおいて、開口数(NA)は0.25〜0.45であるのが好適である。開口数が0.25以上であれば、光ファイバを半径5mmという小径に曲げてもロス増加が少ない。コアとクラッドとの屈折率差を大きくすると、開口数を大きくすることができ、光ファイバを小径に曲げたときのロス増加を効果的に抑制することができる。しかし、屈折率調整用の不純物の添加量と屈折率調整量との間に正の相関があるものの、添加量には上限があるので、コアとクラッドとの屈折率差には限界がある。したがって、開口数の上限は0.45である。
光ファイバ80A〜80Dそれぞれにおいて、コア径は60〜100μmであるのが好適である。コア径が小さくなると、コネクタとの接続の際に光軸ずれに因るロス増加が大きくなるので、コア径は60μm以上であるのが好ましい。クラッド径は一般の光ファイバのクラッド径と同じ125μmであれば、通常のコネクタに接続することが可能となる。クラッド径を125μmとすると、必要なクラッドの径方向の厚さを考慮して、コア径は100μm以下であるのが好ましい。
光ファイバ80A〜80Dそれぞれにおいて、ガラス部分の径は125μm以下であるのが好適である。光ファイバのガラス部分の径が大きくなると、光ファイバは折り曲げたときに破断し易くなる。ガラス部分の径が125μm以下であれば、光ファイバは破断し難い。クラッド径125μmのHPCFは、同クラッド径のAGFと比べて破断耐性に優れる。直径4.2mmの光ケーブルを曲率半径2mmで折り曲げる場合、ケーブルに含まれる光ファイバ心線がクラッド径125μmのAGFであれば1ヶ月以内に折れてしまうが、ガラスコア径80μmのHPCFは1ヶ月以上折れない。この点で本発明の光ファイバがHPCFであることが好ましい。
HPCFは、クラッドを構成するプラスチックのヤング率が低いので、側圧に因りロス増加が生じ易い。側圧耐性を改善するために、複数のHPCFを並列配置した光ファイバテープ心線とするのが好ましい。したがって、複数のHPCFが並列配置された光ファイバテープ心線を備える光ケーブルとすると、側圧耐性が良く、かつ破断耐性にも優れるので好適である。
光ファイバテープ心線10の周囲に所要の空間を確保するインナーチューブ20は、直径4.2mmの光ケーブル1を曲率半径2mmで折り曲げることができる程度に柔らかいことが必要であり、その点から、弾性率50〜1000MPaのPVCやフッ素樹脂などからなるのが好適である。インナーチューブ20内は抗張力体密度をゼロとすることができる。インナーチューブ内に抗張力体30がない場合の側圧に因るロス増加は、インナーチューブ内であって光ファイバテープ心線10の周囲に抗張力体がある場合に比べて小さい。
図8〜図10それぞれは、実施例および比較例の各光ケーブルの構造および評価結果を纏めた図表である。図8は実施例1〜9について示し、図9は実施例10〜17について示し、図10は比較例1〜7について示す。
各図において、各実施例または各比較例について、光ファイバの種類、光ファイバのNA、光ファイバのコア径、光ファイバのクラッド径、光ファイバのプライマリ被覆層の径、光ファイバのセカンダリ被覆層の径、および、光ファイバテープ心線(4芯)のサイズ、それぞれが示されている。光ファイバの種類の欄において、「HPCF」はコアがガラスからなりクラッドがプラスチックからなる光ファイバであり、「AGF」はコアおよびクラッドの双方がガラスからなる光ファイバである。比較例1〜6では光ファイバテープ心線に替えて4本の単芯の光ファイバが用いられた。
また、各図において、光ケーブルのケーブル構造、インナーチューブの内径・外径・材料・弾性率、外被の内径・外径、および、抗張力体(アラミド繊維)の量、それぞれが示されている。ケーブル構造の欄において、「TypeA」は図1に示された構成であり、「TypeB」は図2に示された構成である。
さらに、各図において、側圧特性の評価結果、耐破断特性の評価結果および曲げ特性の評価結果それぞれが示されている。側圧特性の評価に際しては、底面が25mm幅で側面が半径5mmの曲面となっているプレートを使用して当該プレートの底面を光ケーブルに当てて1000Nの荷重が加えられたときのロス増加量が測定され、そのロス増加量が1.0dB未満であるときに側圧特性が良好(合格)であるとされた。耐破断特性の評価に際しては、光ケーブルが1箇所で180度曲げられたときの光ファイバの破断時間が測定され、各図において、その破断時間が1箇月以上である場合に○印が記され、破断時間が1週間以上で1箇月未満である場合に△印が記され、破断時間が1週間未満である場合に×印が記されている。破断時間が1週間以上である場合に、耐破断特性が良好(合格)であるとされた。曲げ特性の評価に際しては、光ケーブルが半径5mmで10ターンだけ巻かれたときのロス増加量が測定され、そのロス増加量が1.0dB未満であるときに曲げ特性が良好(合格)であるとされた。
これらの図から以下のことが判る。光ファイバテープ心線ではなく4本の単芯の光ファイバが用いられた比較例1〜6の各光ケーブルでは、側圧特性が悪い。これに対して、一つの光ファイバテープ心線が捻回自在に配置された構成である実施例1〜17の各光ケーブルでは、側圧特性が良好である。
比較例1〜6では4本の単心の光ファイバが交差している箇所に側圧が加えられて側圧特性が悪いものと考えられる。光ケーブルに含まれるのが複数の光ファイバテープ心線である場合も同様に光ファイバテープ心線どうしの交差点に側圧が加えられると側圧特性が悪いと考えられる。
比較例7は、インナーチューブの内径が光ファイバテープ心線の幅と0.1mmしか違わず、光ケーブルを曲げたときに光ファイバテープ心線がインナーチューブの中でうまく捻回できずに無理な力がかかって曲げ特性が悪くなったものと考えられる。つまり、光ファイバテープ心線がインナーチューブの中で捻回自在となっていない例である。
実施例1〜17の各光ケーブルの評価結果を比較すると以下のことが言える。光ファイバのNAが0.25以上である場合、光ケーブルが小径(半径5mm)に曲げられてもロス増加が少ない。実施例17の光ケーブルは、NAが低めであるので、曲げ特性がよくない。なお、実施例17のコア径は50μmであるが、これは曲げ特性の悪さの直接の原因ではない。前述したとおり、NAの上限は製造上の制限で定まり0.45である。
光ファイバのガラス部分の径が大きくなると折り曲げたときに破断し易くなる。クラッド径125μmのHPCFは同クラッド径のAGFと比べて耐破断耐性に優れる。実施例16の光ケーブルでは、光ファイバがHPCFであって、ガラス部分の径が200μmであり、この寸法となると耐破断特性が悪い。
1〜3…光ケーブル、10,10A〜10D…光ファイバテープ心線、20…インナーチューブ、21…内部空間、30…抗張力体、40…電磁シールド層、50…外被、61…導線、70…フィラー、80A〜80D…光ファイバ、81…コア、82…クラッド、83…プライマリ被覆層、84…セカンダリ被覆層、85…着色層、86…被覆。
Claims (9)
- 複数の光ファイバが並列配置され一体化された光ファイバテープ心線と、この光ファイバテープ心線を囲む外被と、を備え、
前記外被が囲む内部空間に一つの前記光ファイバテープ心線が捻回自在に配置されている、
ことを特徴とする光ケーブル。 - 前記光ファイバテープ心線の周囲に設けられた抗張力体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
- 前記外被の内側に設けられたインナーチューブを更に備え、
前記インナーチューブと前記外被との間に前記抗張力体が設けられ、
前記インナーチューブの内部空間に一つの前記光ファイバテープ心線が捻回自在に挿入されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光ケーブル。 - 前記抗張力体と前記外被との間に設けられた電磁シールド層を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の光ケーブル。
- 前記インナーチューブの外側に導線が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光ケーブル。
- 前記複数の光ファイバそれぞれの開口数が0.25〜0.45であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
- 前記複数の光ファイバそれぞれのコア径が60〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
- 前記複数の光ファイバそれぞれのガラス部分の径が125μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
- 前記複数の光ファイバそれぞれは、コアがガラスからなり、クラッドがプラスチックからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
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