以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の給紙装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のトナー像を定着させる。
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
図2、図3は、本実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。図2、図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように連動して移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸い込まれる。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹出される。
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図4に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸い込まれた空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから外側枠体72の内側に吹出される。
また、図2及び図4に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eにおける任意の位置で位置決めされる。更に、図2及び図4に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向における任意の位置で位置決めされる。
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
また、図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図5は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図6は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図7は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
図5、図6、図7に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸い込まれる。
また、吸気ダクト85の下面85gには、用紙搬送ベルト81毎に、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる各空気吸引口94(図8に示す)を設けている。各空気吸引孔94は、吸気ダクト85の空気吸引経路につながっている。
更に、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ93の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されている。
ここで、搬送モータ93により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。また、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸い込まれ、空気が吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94及び用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと流入する。
一方、排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる各排気口86bが形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72b(図4に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側を臨んでいる。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口86bから外側枠体72の内側後方へと吹出される。
更に、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
このような構成の給紙装置71において、図8の概略的な断面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ89を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。また、空気を各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の先端寄り両側端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各記録用紙の密着力が低下し、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸い込んで、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94を通じて吸い込み、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を吸引して吸着する。同時に、搬送モータ93により各ローラ82、83を回転させて、各用紙搬送ベルト81を周回移動させ、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して画像形成装置1の搬送ローラ対31へと搬送し、記録用紙を搬送経路33を通じて搬送する。そして、記録用紙を搬送ローラ対31まで搬送すると、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を一時的に停止させ、各用紙搬送ベルト81からの記録用紙の引出しを完了した後に、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を再開して、各用紙搬送ベルト81の表面に次の記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送ローラ対31へと搬送し、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を繰り返し吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送して行く。
ところで、給紙装置71においては、各アシストダクト77、78の排気口77a、78a及び排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の端面へと空気を吹付けて、各記録用紙をばらつかせているものの、それでも各用紙搬送ベルト81の表面に複数の記録用紙が重なったまま引出されることがあり、このような現象が放置されると記録用紙の重送が発生する。
そこで、本実施形態では、各用紙搬送ベルト81の表面を記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向で湾曲させ(波打たせ)ている。このため、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙も同様に湾曲し、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した記録用紙とその表面に直接吸着されない平面状の次の記録用紙との間に空間が形成され、各記録用紙が分離する。これにより、各記録用紙の重送が防止される。
また、記録用紙の厚みが薄くなる程、各記録用紙の密着性が高くなり、記録用紙の重送が発生し易くなる。
このため、本実施形態では、記録用紙の厚みが薄くなる程、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を大きくして、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間を大きくし、各記録用紙の分離性を高めて、各記録用紙を良好にばらつかせ、記録用紙の重送を防止している。
更に、本実施形態では、記録用紙の厚みに応じて各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気の吸引量を調節し、記録用紙の厚みにかかわらず、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を良好に吸着して湾曲させるようにしている。これにより、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙とその次の記録用紙との間に空間を確実に形成して、各記録用紙を良好にばらつかせることが可能になる。
次に、各用紙搬送ベルト81の表面を記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向で湾曲させるための構成を詳しく説明する。
図9は、吸気ダクト85及び各用紙搬送ベルト81を記録用紙の引出し方向Eと直交する方向に破断して、前方から見て示す斜視図である。また、図10は、吸気ダクト85及び各用紙搬送ベルト81を図9と同じ方向に破断して、前方から見て示す断面図である。更に、図11は、吸気ダクト85及び各用紙搬送ベルト81を記録用紙の引出し方向Eに破断して、側方から見て示す断面図である。
図9〜図11に示すように吸気ダクト85の天板101とガイド底板102の間に、引出し方向Eと直交する方向に延びる空気吸引経路103が形成され、空気吸引経路103の終端が隔壁104により閉塞されている。天板101の上面85b及びガイド底板102の下面85gは、概ね平面状である。
ガイド底板102の下面85gには、引出し方向Eに延びる5本のリブ105a〜105eが形成されて下方に突出しており、各リブ105a〜105eの間隔が各用紙搬送ベルト81の幅に略一致し、各リブ105a〜105eの間に各用紙搬送ベルト81が配置されて挟まれている。また、ガイド底板102には、引出し方向Eと直交する方向に並ぶ各空気吸引口94が形成されており、各リブ105a〜105eの間に各空気吸引口94が位置し、各用紙搬送ベルト81により各空気吸引口94が覆われている。
ガイド底板102のリブ105aよりも外側部位には、軸受け107が突設されており、この軸受け107と隔壁104に形成された軸孔(図示せず)により回転軸108の両端が回転自在に支持されている。この回転軸107には、4つの偏芯カム114が引出し方向Eと直交する方向に並べられ固定され、各偏芯カム114がガイド底板102の各空気吸引口94の部位に配置されている。また、隔壁104の外側で、回転軸108の一端に駆動ギア111が固定され、この駆動ギア111にカムモータ112の出力軸に固定されたピニオンギア113が歯合している。カムモータ112が回転すると、ピニオンギア113及び駆動ギア111が回転し、回転軸108及び各偏芯カム114が回転する。
各偏芯カム114の回転に伴い、ガイド底板102の各空気吸引口94からの各偏芯カム114の周面の突出長さmが変化する。また、カムモータ112の回転角度と各偏芯カム114の周面の突出長さmとが対応関係にある。従って、カムモータ112の回転角度を制御することにより、各偏芯カム114の周面の突出長さmを変更することができる。各偏芯カム114の周面の突出長さmは、例えば0mm〜数mmの範囲で調節設定される。
また、各偏芯カム114の径、偏芯量、及び偏芯方向が同一に設定されているため、各偏芯カム114の回転角度にかかわらず、各偏芯カム114の周面の突出長さmが常に一致する。
各用紙搬送ベルト81は、弾性を有しており、各ローラ82、83間に張架されて、吸気ダクト85の平面状の下面85g及び各偏芯カム114の周面に接する。
ここで、図12(a)に示すように各偏芯カム114の周面の突出長さmが0mmのときには、各偏芯カム114の周面が各用紙搬送ベルト81の裏面に接するだけであり、各用紙搬送ベルト81の表面が平面状に維持される。また、図12(b)、(c)、(d)に示すように各偏芯カム114の周面の突出長さmが0mmよりも長いと、各偏芯カム114の周面が各用紙搬送ベルト81の裏面を押圧して、各用紙搬送ベルト81の表面が引出し方向Eと直交する方向で湾曲し、各偏芯カム114の周面の突出長さmに応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率が変化する。勿論、各偏芯カム114の周面の突出長さmが長くなる程、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率が大きくなる。
従って、カムモータ112の回転角度を制御して、各偏芯カム114の周面の突出長さmを変更することにより、各用紙搬送ベルト81の表面を平面状にしたり、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を調節制御したりすることができる。
各用紙搬送ベルト81の表面を平面状にした状態では、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙が平面状になる。また、各用紙搬送ベルト81の表面を湾曲させた状態では、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙が湾曲し(波打ち)、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率と記録用紙の曲率とが略同じになる。
また、図11に示すように各偏芯カム114は、引出し方向Eにおける各用紙搬送ベルト81の裏面の下流側部位を押圧している。従って、各偏芯カム114により各用紙搬送ベルト81の表面の下流側部位が湾曲される。
次に、画像形成装置1及び給紙装置71の制御系の構成を説明する。図13は、その制御系の構成を示すブロック図である。図13において、制御部121は、画像形成装置1及び給紙装置71等を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。入力操作部122は、例えば複数の操作キー、液晶表示装置、及び液晶表示装置の画面に重ねられたタッチパネル等を備え、画像形成装置1の操作ガイダンス等を液晶表示装置の画面に表示したり、各操作キー等の操作により入力指示されたデータ等を制御部121に出力したりする。メモリ123は、例えばハードディスク装置(HDD)であり、種々のデータやプログラムを記憶する。画像処理部124は、画像データに対して各種の画像処理を施す。
このような構成において、例えば制御部121は、原稿読取り装置2で原稿用紙の画像を読取らせ、原稿用紙の画像を示す画像データをメモリ123に記憶させて、画像処理部124でメモリ123内の画像データを処理させ、印刷部11でメモリ123内の画像データによって示される原稿用紙の画像を記録用紙に記録させる。
また、入力操作部122の操作により用紙供給部13が選択指示されると、これに応答して制御部121は、用紙供給部13を制御して、用紙供給部13から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
あるいは、入力操作部122の操作により大容量給紙カセット14が選択指示されると、制御部121は、大容量給紙カセット14の給紙装置71における各モータやファン等を制御して、給紙装置71から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
更に、入力操作部122の操作により大容量給紙カセット14に収納されている記録用紙の厚さを入力して、この記録用紙の厚さをメモリ123に記憶することができる。例えば、入力操作部122の画面に「薄紙」、「普通紙」、及び「厚紙」を表示し、入力操作部122の操作により「薄紙」、「普通紙」、及び「厚紙」のいずれかを選択してメモリ123に記憶させる。この「薄紙」、「普通紙」、及び「厚紙」のいずれか、つまり記録用紙の厚さは、後で述べるように各用紙搬送ベルト81の表面の曲率の調節制御や各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気吸引量の調節制御に用いられる。
次に、給紙装置71の給紙動作を詳しく説明する。まず、図8に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
この用紙束の収容に際し、利用者は、図13の入力操作部122を操作して、大容量給紙カセット14に収納されている記録用紙の厚さ(「薄紙」、「普通紙」、及び「厚紙」のいずれか)を入力し、記録用紙の厚さをメモリ123に記憶させる。
制御部121は、記録用紙の厚さをメモリ123から読出し、カムモータ112を回転駆動して、カムモータ112の回転角度を制御し、各偏芯カム114の周面の突出長さmを変更して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を調節制御する。
ここで、大容量給紙カセット14に収納されている記録用紙の厚さとして「薄紙」がメモリ123に記憶されている場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを最長の長さmxに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を大きくする(図12(d)の状態)。また、記録用紙の厚さとして「普通紙」がメモリ123に記憶されている場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを中程度の長さmmに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を中程度にする(図12(c)の状態)。更に、記録用紙の厚さとして「厚紙」がメモリ123に記憶されている場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを最短の長さmsに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を小さくする(図12(b)の状態)。尚、0mm<長さms<長さmm<長さmxの関係にある。
このように大容量給紙カセット14に収納されている記録用紙の厚さに応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を調節設定した後、制御部121は、給紙装置71のパルスモータ92を回転駆動し、パルスモータ92により各巻取りプーリ98を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。例えば、用紙後端ガイド76の頭部76bに設けられたセンサ(図示せず)により用紙束の最上層の記録用紙が検出されるまで、パルスモータ92を回転駆動して、用紙積載台74を上昇させる。
また、制御部121は、給紙装置71の各アシストファン79、80を回転駆動し、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の先端寄り両側端面に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。
更に、制御部121は、給紙装置71の吸排気ファン84を回転駆動して、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。そして、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引して、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94を通じて吸い込みつつ、各ローラ82、83を回転させて、各用紙搬送ベルト81を周回移動させ、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送する。
このとき、制御部121は、記録用紙の厚さに応じて吸排気ファン84の回転数を制御し、吸排気ファン84による空気の吸引量(及び排気量)を調節設定する。例えば、記録用紙の厚さとして「薄紙」がメモリ123に記憶されている場合は、吸排気ファン84による空気の吸引量を少なく設定する。薄紙の記録用紙は、軽くて柔軟である。このため、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気の吸引量を少なく設定しても、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面に良好に吸着して、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面に沿って充分に湾曲させることができる。
そして、記録用紙が「薄紙」である場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを最長の長さmxに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を大きくしていることから(図12(d)の状態)、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間が大きくなる。このため、記録用紙が「薄紙」であって、各記録用紙の密着性が高くても、各記録用紙が良好に分離してばらつく。
また、記録用紙の厚さとして「普通紙」がメモリ123に記憶されている場合は、吸排気ファン84による空気の吸引量を中程度に設定する。普通紙の記録用紙は、重さ及び剛性のいずれも中程度である。このため、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気の吸引量を中程度に設定することにより、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面に吸着して湾曲させる。
そして、記録用紙が「普通紙」である場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを中程度の長さmmに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を中程度にしていることから(図12(c)の状態)、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間が中程度となって、各記録用紙が良好に分離してばらつく。
更に、記録用紙の厚さとして「厚紙」がメモリ123に記憶されている場合は、吸排気ファン84による空気の吸引量を大きく設定する。厚紙の記録用紙は、重くて剛性が高い。このため、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気の吸引量を大きく設定することにより、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面に確実に吸引して湾曲させる必用がある。
そして、記録用紙が「厚紙」である場合は、各偏芯カム114の周面の突出長さmを最短の長さmsに設定して、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を小さくしていることから(図12(b)の状態)、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間が小さくなるものの、記録用紙が「厚紙」であって、各記録用紙の密着性が低いため、各記録用紙が良好に分離してばらつく。
図14は、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間を示す断面図である。図14に示すように各用紙搬送ベルト81の表面に複数の記録用紙Pa1、Pa22が重なったまま引上げられたとしても、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した最上層の記録用紙Pa1とその表面に直接吸着されない平面状の次の記録用紙Pa2との間に空間が形成され、各記録用紙Pa1、Pa2が分離する。
また、各アシストダクト77、78の排気口77a、78a及び排気ダクト86の各排気孔86bからの空気が各記録用紙Pa1、Pa2の間に速やかに吹込まれ、記録用紙Pa2が記録用紙Pa1から確実に分離する。これにより、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が効果的に防止される。
また、各用紙搬送ベルト81の湾曲面に沿って最上層の記録用紙Pa1が4箇所で湾曲し、記録用紙Pa1と次の記録用紙Pa2との間に4つの空間が形成されるので、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が確実に防止される。また、記録用紙Pa1、Pa2のサイズが小さくても、記録用紙Pa1が少なくとも1つの湾曲面に沿って湾曲して、記録用紙Pa1と次の記録用紙Pa2との間の空間が確実に形成されるので、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が防止される。
更に、各用紙搬送ベルト81の表面の下流側部位において、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙を次の記録用紙から引き離して搬送して行くため、図11に示すように各偏芯カム114により各用紙搬送ベルト81の表面の下流側部位を湾曲させて、この下流側部位で各記録用紙を良好にばらつかせ、これにより記録用紙の重送を効果的に防止している。
このように本実施形態の給紙装置71では、記録用紙の厚みに応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を変更し、かつ記録用紙の厚みに応じて吸排気ファン84による空気の吸引量を調節しているので、記録用紙の厚みにかかわらず、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を良好に吸着して、記録用紙を適宜に湾曲させ、この記録用紙とその次の記録用紙との間に空間を形成して、各記録用紙を良好にばらつかせ、各記録用紙の重送を防止することができる。
尚、上記実施形態では、記録用紙の厚みに応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率や吸排気ファン84による空気の吸引量を変更しているが、記録用紙の剛性や坪量に応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率や吸排気ファン84による空気の吸引量を変更しても、同様の効果を得ることができる。これは、記録用紙の厚み、剛性、及び坪量が相互に対応関係にあるためである。例えば、記録用紙が薄くなると、剛性及び坪量が小さくなり、記録用紙が厚くなると、剛性及び坪量が大きくなる傾向にある。
また、記録用紙の厚さとして「薄紙」、「普通紙」、「厚紙」を例示しているが、記録用紙の厚さを2種類に区分したり4種類以上に区分したりしてもよい。また、「薄紙」、「普通紙」、「厚紙」を一旦設定した後、厚さを手動操作で微調整することができるようにし、これに応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を微調整しても構わない。
また、センサにより記録用紙の保湿量を検出し、この保湿量に応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を変更してもよい。これは、記録用紙の保湿量が高くなると、薄紙のように記録用紙が曲がり易くなって、各記録用紙の密着性が高まることから、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間を大きくして、各記録用紙の分離性を高める必用があり、また記録用紙の保湿量が低くなると、厚紙のように記録用紙が曲がり難くなって、各記録用紙の密着性が低くなることから、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間に空間を大きくしなくても、各記録用紙が分離するためである。
更に、センサにより記録用紙の帯電量(静電気の帯電量)を検出し、この帯電量に応じて各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を変更してもよい。これは、記録用紙の帯電量が多いと、各記録用紙の密着性が高まることから、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙と次の記録用紙との間の空間を大きくする必用があり、また記録用紙の帯電量が少ないと、各記録用紙の密着性が低くなることから、この記録用紙と次の記録用紙との間の空間を大きくする必要がないためである。
また、各偏芯カム114の回転角度にかかわらず、各偏芯カム114の周面の突出長さmを常に一致させて、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を常に一致させているが、各偏芯カム114の形状を変更したり、各偏芯カム114の位相をずらしたりして、各用紙搬送ベルト81の表面の曲率を別々に調節しても構わない。
また、各偏芯カム114により各用紙搬送ベルト81の裏面を押圧して、各用紙搬送ベルト81の表面を湾曲させているが、他の押圧部材により各用紙搬送ベルト81の裏面を押圧しても構わない。例えば、スクリューネジ等を用いて、用紙搬送ベルト81の裏面を押圧することができる。更に、記録用紙の厚み等に応じて手動制御(操作)により偏芯カムや押圧部材を変位させても構わない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。