JP2013105722A - 透光性導電膜とその製造方法、デバイス、及び太陽電池 - Google Patents

透光性導電膜とその製造方法、デバイス、及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化亜鉛を含む所望の導電性を有する透光性導電膜を、成膜装置及び成膜基材等にダメージを与えることなく、低コストに製造することが可能な透光性導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の透光性導電膜の製造方法は、酸化亜鉛を含む透光性導電膜の製造方法であって、基材上に、亜鉛のアンミン錯体を含む酸化亜鉛の前駆体組成物を成膜して前駆体膜を形成する工程(A)と、前駆体膜を加熱して酸化亜鉛を生成する工程(B)とを有する。工程(A)において、前駆体組成物が、Zn2+濃度(mol/L)に対して5.5倍以上の濃度のアンモニアを含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化亜鉛を含む透光性導電膜とその製造方法、この透光性導電膜からなる透光性電極層を備えた光電変換素子等のデバイス、及び光電変換素子を用いた太陽電池に関するものである。
カルコパイライト系化合物半導体は、一般式LMX(Lは少なくとも1種のIB族元素、Mは少なくとも1種のIIIB族、Xは少なくとも1種のVIB族を各々示す。)で表わされる化合物である。
LはCu,Ag,及びAuからなる群より選ばれた少なくとも1種である。MはAl,Ga,及びInからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。XはS,Se,及びTeからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
上記カルコパイライト系化合物半導体の中でも、CuInSe(CIS)及びCu(In,Ga)Se(CIGS)等は直接遷移型の吸収係数を示すため、薄膜で高光電変換効率が得られることが期待され、太陽電池の光吸収層材料として研究されている。本明細書では、「CIS及びCIGS」を合わせてCI(G)S系と称す。
CI(G)S系等のカルコパイライト系化合物半導体は、従来のシリコンを用いた太陽電池と比較して、軽量化ができること、材料コストを抑えることができるため低コストで製造できること、フレキシブル基板を使用できること等の利点を有する(非特許文献1等)。
カルコパイライト系化合物半導体を光吸収層とする光電変換素子は、基板上に裏面電極層と光吸収層とバッファ層と透光性高抵抗層と低抵抗の透光性電極層とが順次積層された構造を基本構造としている。
低抵抗の透光性電極層の材料としては、光の透過率が高く、抵抗が低いものが用いられる。その好適な材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウムを好ましくは55〜75mol%含むインジウム亜鉛酸化物(IZO)、及び酸化亜鉛ZnO等が挙げられる。これらには、各種金属がドープされてもよい。
特願2011-020483号(本件出願時において未公開)
化合物薄膜太陽電池の最新技術(シーエムシー出版、2007年、和田隆博)
通常、太陽電池では、光電変換素子の水分による劣化を防止するために、実質的に水分を透過しないフロントガラスを設けて素子内部を保護している。しかしながら、このフロントガラスは、太陽電池において最も高コストな部材である。また、フロントガラスによって太陽電池全体の軽量化も難しい。
上記の透光性電極層の材料の中で、比較的安価なZnOは耐湿熱性が低く、高温高湿環境下において導電性が低下することが知られていている。そのため、透光性電極層としてZnO膜を用いる場合には、フロントガラス等の水分バリア構造が必須である。
ITO及びIZOは耐湿熱性が高く、高温高湿環境下においても性能を維持できる。しかしながら、ITO及びIZOは高価なインジウム量が多く、高コストである。
本発明者は先の出願である特許文献1(本件出願時において未公開)において、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0mol%以上ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含む透光性導電膜を開示している(請求項1)。この透光性導電膜は、85℃相対湿度85%の環境下において1000時間経過した後のシート抵抗値Raと、前記環境下に曝す直前のシート抵抗値Rbとの比であるRa/Rbが0.9〜1.1である耐湿熱性を有する(請求項1)。
本発明者は上記の透光性導電膜を低コストに製造する方法の例として、スプレー熱分解法(SPD法)を挙げている。具体的には、基材上に、亜鉛及び/又は亜鉛化合物と、インジウム及び/又はインジウム化合物とを含む前駆体組成物を成膜して前駆体膜を形成する工程(A)と、前駆体膜を加熱してインジウムドープ酸化亜鉛を生成する工程(B)とを有する製造方法を開示している(請求項4)。
酸化亜鉛を含む透光性導電膜をスプレー熱分解法(SPD法)等の前駆体を用いる液相法で成膜する場合、前駆体組成物中で水酸化亜鉛が生成されて沈殿すると、均一で低抵抗な透光性導電膜が得られない。一般に、塩基性条件下では水酸化亜鉛の生成及びその沈殿が生じやすい。そこで、従来は通常、前駆体組成物を酸性にして、水酸化亜鉛の生成を抑制している(特許文献1(本件出願時において未公開)の段落0026を参照)。
酸性の前駆体組成物は、成膜装置の構成部材、例えば、配管、スプレーノズル、及びチャンバー等の材質によっては、その腐食を促進させる恐れがある。特にSPD法等においては、加熱という条件も加わるため、そのダメージは大きいと考えられる。
成膜基材も同様であり、その材質によっては酸性条件の使用でダメージを受ける場合がある。例えば、サブストレート型太陽電池のように、最後に透光性電極層として透光性導電膜を成膜する場合、先に成膜された光吸収層あるいはバッファ層等が酸性の前駆体組成物によってダメージを受け、素子性能が低下する恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、酸化亜鉛を含む所望の導電性を有する透光性導電膜を、成膜装置及び成膜基材等にダメージを与えることなく、低コストに製造することが可能な透光性導電膜とその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の透光性導電膜の製造方法は、
酸化亜鉛を含む透光性導電膜の製造方法であって、
基材上に、亜鉛のアンミン錯体を含む酸化亜鉛の前駆体組成物を成膜して前駆体膜を形成する工程(A)と、
前記前駆体膜を加熱して酸化亜鉛を生成する工程(B)とを有するものである。
工程(A)において、前記前駆体組成物が、Zn2+濃度(mol/L)に対して5.5倍以上の濃度のアンモニアを含むことが好ましい。
前記透光性導電膜は、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0mol%以上ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含むことが好ましい。
ここで、「ドープ」とは、ドーパントであるインジウムをZnOの結晶型が変わらない範囲で添加することを示す。例えば、インジウム亜鉛酸化物(IZO)は、インジウム元素と亜鉛元素と酸素元素を含んでいるが、インジウムがドープのレベルを超えて含まれたIZOとして化合物をなし、ZnOの結晶型を示さないので、インジウムドープ酸化亜鉛ではない。
本発明の透光性導電膜は、上記の本発明の透光性導電膜の製造方法により製造されたものである。
本発明のデバイスは、上記の本発明の透光性導電膜からなる透光性電極層を備えたものである。
本発明のデバイスは、半導体光吸収層を備えた光電変換素子等に適用できる。光電変換素子は太陽電池等に利用できる。
本発明によれば、酸化亜鉛を含む所望の導電性を有する透光性導電膜を、成膜装置及び成膜基材等にダメージを与えることなく、低コストに製造することが可能な透光性導電膜とその製造方法を提供することができる。
本発明に係る一実施形態の光電変換素子の模式断面図である。
以下、本発明について詳述する。
「透光性導電膜とその製造方法」
[発明が解決しようとする課題]の項で説明したように、従来一般的には、酸化亜鉛を含む透光性導電膜をスプレー熱分解法(SPD法)等の前駆体を用いる液相法で成膜する場合、塩基性条件下では、水酸化亜鉛が生成されて沈殿しやすく、均一で低抵抗な透光性導電膜を得ることが難しいとされている。
しかしながら、本発明者は、充分な量のアンモニア(通常、アンモニア水の形態で用いられる)を添加した場合、生成された水酸化亜鉛とアンモニアとが反応して亜鉛のアンミン錯体が生成されて均一な溶液が得られ、塩基性条件であっても所望の導電性を有する透光性導電膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
Zn2+を含む水溶液にアンモニアを添加したときの反応は以下のように推測される。下記のように、水酸化亜鉛とアンモニアとが反応して、テトラアンミン亜鉛イオンが生成されると考えられる。
Zn2++2NH+2HO→Zn(OH)+2NH +
Zn(OH)+4NH→[Zn(NH2++2OH
本発明の透光性導電膜の製造方法は、
酸化亜鉛を含む透光性導電膜の製造方法であって、
基材上に、亜鉛のアンミン錯体を含む前駆体組成物を成膜して前駆体膜を形成する工程(A)と、
前駆体膜を加熱して酸化亜鉛を生成する工程(B)とを有するものである。
前駆体組成物中のアンモニア濃度は、亜鉛のアンミン錯体(テトラアンミン亜鉛イオン)が安定的に生成される量であればよく、前駆体組成物中のZn2+量に応じて決定される。
前駆体組成物中のアンモニア濃度は例えば、Zn2+濃度(mol/L)に対して5.5倍以上が好ましい。
本発明者は、実験により、アンモニア濃度/Zn2+濃度≧5.5のときに前駆体組成物が安定的に透明になり、アンモニア濃度/Zn2+濃度=5.0のときに白濁する場合があることを見出している。
前駆体組成物中のアンモニア濃度の上限は、飽和溶解度曲線で溶解可能とされる上限である。
酸化亜鉛の前駆体としては特に制限されず、酢酸亜鉛等が好ましい。
工程(A)における成膜方法は前駆体を用いる液相法であれば制限なく、例えば、基材上に、前駆体組成物をキャリアガスと共にスプレー噴霧して、前駆体膜を成膜するスプレー熱分解法(SPD法)等が好ましい。
透光性導電膜は、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0mol%以上ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含むことが好ましい。
透光性導電膜は、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0〜5.0mol%ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含むことが好ましい。
本発明者は、先の出願である特許文献1(本件出願時において未公開)において、ZnO膜にInを2.0mol%以上、好ましくは2.0〜5.0mol%ドープすることにより、ZnOの耐湿熱性が向上して、高温高湿環境下において導電性が低下することが抑制されることを見出している(特許文献1の[実施例]の項を参照)。
具体的には、ZnO膜にInを2.0mol%以上ドープすることにより、85℃相対湿度85%の環境下において1000時間経過した後のシート抵抗値Raと、前記環境下に曝す直前のシート抵抗値Rbとの比であるRa/Rbが0.9〜1.1である耐湿熱性が得られることを見出している。
酸化亜鉛に対してインジウムが2.0mol%以上ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含む透光性導電膜をスプレー熱分解法(SPD法)で成膜する場合、基材上に、亜鉛のアンミン錯体とインジウム及び/又はインジウム化合物とを含む前駆体組成物をキャリアガスと共にスプレー噴霧して、前駆体膜を成膜すればよい。
この場合、前駆体組成物として例えば、酢酸亜鉛と、酢酸インジウム及び/又はインジウムのアセチルアセトネート塩とを含む前駆体組成物を用いることが好ましい。
前駆体組成物は、溶媒を含むことが好ましい。溶媒としては特に制限されず、有機溶媒、水等の無機溶媒、あるいは有機/無機混合溶媒を使用することができる。
環境への影響、コスト、錯体形成に好適な溶液環境、及び溶解度等を考慮すれば、前駆体組成物は、亜鉛及び/又は亜鉛化合物と、好ましくはインジウム及び/又はインジウム化合物を含む水溶液であることが好ましい。
透光性導電膜に含まれる酸化亜鉛にはインジウム以外の他の金属元素がドープされてもよい。
光電変換素子の透光性電極層用であれば、酸化亜鉛のインジウム以外のドープ元素としては、ガリウム、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、イリジウム、レニウム、セリウム、ジルコニウム、スカンジウム、イットリウム、及びランタノイド等が挙げられる。酸化亜鉛にはこれらの1種又は2種以上を例えば0.05〜15mol%ドープすることができる。
酸化亜鉛にインジウム以外の金属をドープする場合、前駆体組成物にドープ元素及び/又はその化合物を添加する。
透光性導電膜は、酸化亜鉛及び/又は酸化亜鉛に金属元素がドープされたものに合わせて、インジウム錫酸化物(ITO)、あるいはインジウムを好ましくは55〜75mol%含むインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の他の透光性導電材料を含むことができる。
ただし、ITO及びIZOは高価なインジウム量が多く、高コストである。したがって、ZnO量の含量が多い程、低コストになり、好ましい。
透光性導電膜がITO及び/又はIZO等の他の透光性導電材料を含む場合、前駆体組成物はこれらの金属化合物そのものあるいはこれらの前駆体を含むようにする。
前駆体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、pH調整剤、あるいは分散剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
前駆体膜を加熱して酸化亜鉛を生成する工程(B)の加熱温度は特に制限されず、透光性導電膜が酸化亜鉛及び/又は添加元素がドープされた酸化亜鉛を主成分とする場合、255〜600℃が好ましく、300〜500℃がより好ましい。
本明細書において、「主成分」は50質量%を超える成分により定義されるものとする。
本発明の透光性導電膜は、本発明の透光性導電膜の製造方法により製造されたものである。
本発明の製造方法では、前駆体を用いる液相法で成膜を行うので、真空法等に比較して、低コストである。
本発明の製造方法では、用いる前駆体組成物は塩基性であるので、成膜装置及び成膜基材等に対するダメージを低減することができる。本発明の製造方法では、用いる前駆体組成物は塩基性であるが、アンモニアを用いて亜鉛のアンミン錯体を生成させることで、水酸化亜鉛が沈殿することを抑制している。したがって、前駆体組成物中にZn2+イオンを安定的に存在させることができ、所望の導電性を有する透光性導電膜を安定的に成膜することができる。
以上説明したように、本発明によれば、酸化亜鉛を含む所望の導電性を有する透光性導電膜を、成膜装置及び成膜基材等にダメージを与えることなく、低コストに製造することが可能な透光性導電膜とその製造方法を提供することができる。
「デバイス」
上記の本発明の透光性導電膜は、各種デバイスの透光性電極層として利用できる。
本発明のデバイスは、上記の本発明の透光性導電膜からなる透光性電極層を備えたものである。
本発明の透光性導電膜を用いることで低コスト化が可能である。
インジウムドープ酸化亜鉛を用いた本発明の透光性導電膜は耐湿熱性が良好であるので、これを用いたデバイスは、透光性電極層の外部環境側に、水分を実質的に透過しない水分バリア層及び水分バリア部材等の水分バリア構造を必須としない。
本明細書において、「水分を実質的に透過しない」とは、水蒸気透過度が10−2g/m/day以下であることにより定義されるものとする。
例えば、インジウムドープ酸化亜鉛を用いた本発明の透光性導電膜を用いたデバイスは、透光性電極層の外部環境側に、高価で重いフロントガラスを必須としない。このデバイスは例えば、デバイスの保護材として、従来用いられているフロントガラスの代わりに、安価な樹脂フィルムを使用することができる。
上記の本発明のデバイスは、半導体光吸収層を備えた光電変換素子等に適用できる。
半導体光吸収層は光電変換可能な半導体からなる層である。
半導体光吸収層の組成は制限されず、薄膜で高効率が期待されることから、カルコパイライト型化合物半導体、ケステライト型化合物半導体、スタナイト型化合物半導体、及びII−VI族半導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の半導体を含むことが好ましい。
「光電変換素子」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の光電変換素子について説明する。図1は断面図であり、視認しやすくするため、各層の縮尺等は実際のものは適宜異ならせてある。
本実施形態では、半導体光吸収層がカルコパイライト型化合物半導体からなる(半導体光吸収層は不可避不純物を含んでいてもよい。)光電変換素子を例として説明する。
本実施形態の光電変換素子10は、基板11上に、裏面電極層12、半導体光吸収層(p型半導体層)13、バッファ層(n型半導体層)14、透光性高抵抗層15、透光性電極層16とが順次積層されたものである。透光性高抵抗層15は必要に応じて設けられる層であり、必須なものではない。
光電変換素子10においては必要に応じて、裏面電極層12及び透光性電極層16上に取出し電極17、18が設けられる。
光電変換素子10では、p型半導体とn型半導体との界面に光が照射されたときに電子及びホールが生成することで、光から電気への変換が起きる。
基板11の種類は限定されるものはなくガラス基板が一般的に使用される。また、光電変換素子10にフレキシブル性を付与することを目的として、PET(ポリエチレンテレフタレート)及びポリイミド等の樹脂フィルム、アルミ及びステンレス等の金属箔等のフレキシブル基板等を用いてもよい。アルミ及びステンレス等の金属箔を用いる場合には、基板表面に絶縁膜が必要である。
CI(G)S系等では、光吸収層の成膜時に基板側からNa等のアルカリ金属及び/又はMg等のアルカリ土類金属が供給されると、膜の結晶性が良くなり、光電変換効率が向上することが知られている。青板ガラス等のNaを含む基板を使用したり、Naを含まない上述の基板と光吸収層13との間にハロゲン化ナトリウム等のアルカリ(土類)金属供給層を公知の方法で形成してもよい。
裏面電極層12には、光吸収層13とオーミック接触が取れるものであれば公知の材料を適用することができる。そのような材料として、金、モリブデン、ニッケル、チタン、タンタル、及びこれらの組合わせ等が挙げられ、その中でも安価で入手容易などの理由からモリブデン等が好ましく適用される。また、裏面電極層12の成膜方法としては公知の方法が適用でき、スパッタ法、加熱蒸着法、電解メッキ法、及び無電解メッキ法等が適用できる。
本実施形態において、半導体光吸収層13は、下記一般式(i)で表わされる少なくとも1種のカルコパイライト系化合物半導体からなるp型の化合物半導体膜である。
LMX(ここで、Lは少なくとも1種のIB族元素、Mは少なくとも1種のIIIB族、Xは少なくとも1種のVIB族を各々示す。)・・・(i)
Lとしては、Cu,Ag,及びAuが挙げられる。MとしてはAl,Ga,及びIn等が挙げられる。Xとしては、O,S,Se,及びTeが挙げられる。
高い光電変換効率が得られることから、半導体光吸収層13は、下記一般式(ii)で表わされる少なくとも1種の化合物半導体からなることが好ましく、下記一般式(iii)で表わされる少なくとも1種の化合物半導体からなることがより好ましい。
(L1)(M1)(X1)(ここで、L1はCu,Ag,及びAuからなる群より選ばれた少なくとも1種のIB族元素、M1はAl,Ga,及びInからなる群より選ばれた少なくとも1種のIIIB族、X1はS,Se,及びTeからなる群より選ばれた少なくとも1種のVIB族を各々示す。)・・・(ii)、
(L2)(M2)(X2)(ここで、L2はCuを含む少なくとも1種のIB族元素、M2はGa及び/又はInを含む少なくとも1種のIIIB族、X2はSeを含む少なくとも1種のVIB族を各々示す。)・・・(iii)
式(iii)で表わされる化合物半導体としては、CuInSe(CIS)、及びCu(In,Ga)Se(CIGS)等が挙げられる。これらCI(G)S系はバンドギャップが整合しており、かつ光吸収係数が高く、薄膜で高光電変換効率を得ることができる。
光吸収層13の膜厚は厚い方が光吸収を増加できるためキャリアを多く発生することができ、好ましい。一方で、p型半導体層は抵抗成分としても働くため、発生キャリアの効率的な取出しという観点からは膜厚が薄い方が好ましい。両者を加味すると、光吸収層13の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましく、1.5〜3μmであることがさらに好ましい。
光吸収層13上に形成されるバッファ層14は、n型半導体層である。
バッファ層14の材料としては、II−VI族化合物及び/又はIII−VI族化合物等が主に適用される。例えば、Cd(S,O)、Zn(S,O)、In(S,O)、及びInSe等が公知の物質として適用される。また、これらの化合物中は水酸化物等を微量含んでいてもよい。
バッファ層14は、化学浴析出法(CBD法:Chemical Bath Deposition法)、及びスパッタ法等で形成できる。例えば、CdSの場合、カドミウム塩(例えば、ヨウ化カドミウム)と硫黄含有化合物(例えば、チオ尿素)とを含む水溶液を硫黄が解離するpHに調整して、CdSが析出する温度で、光吸収層13が形成された基板11を浸漬することでバッファ層14を堆積することができる。
バッファ層14にピンホールのような孔が存在すると、それを介して電流がリークするため好ましくない。一方、バッファ層14の膜厚が厚いときには光の透過率が低下するためキャリアの発生数の低下を招き、また直列抵抗成分の増大に繋がることから発生したキャリアが伝送する際のロスの増加に繋がる。両者を加味すると、バッファ層14の膜厚は1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nmである。
上記のバッファ層14中のピンホールを介したリーク電流を抑制するために、バッファ層14上に必要に応じて高抵抗膜15を導入することができる。高抵抗膜15の材料としてはZnO等が挙げられる。ただし、高抵抗膜の膜厚が厚いときは直列抵抗成分の増大によるキャリア伝送の際のロスに繋がるため、その膜厚は100nm以下であることが好ましい。
透光性電極層16は、上記の本発明の透光性導電膜からなる。
透光性電極層16の膜厚が厚いときには光の透過率が低下するためキャリアの発生数の低下を招くため好ましくない。一方、膜厚が薄いときには取出し電極18までの抵抗成分が大きくなるためキャリア伝送時のロスに繋がるため好ましくない。両者を加味すると、透光性電極層16の膜厚は10〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは100〜700nmであり、さらに好ましくは200〜500nmである。
光電変換素子10内で生成したキャリアを外部回路に取り出す際の接触抵抗を低減させる目的で、裏面電極層12及び透光性電極層16上に取出し電極17,18を設置してもよい。取出し電極17/18は裏面電極層12/透光性電極16とオーミック接合を取れる抵抗が低いものであれば制限はなく、例えば金、あるいはアルミニウム等をスパッタ法や蒸着法で堆積することで形成できる。
本実施形態の光電変換素子10は必要に応じて、上記以外の任意の層を備えることができる。
光電変換素子10は、太陽電池等として利用することができる。
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
酢酸亜鉛11gを28質量%アンモニア水35mLに溶解させ、さらに水65mLと酢酸インジウム438mgとを加え、スプレー液(前駆体組成物)を調製した。
次に、ホットプレート上に縦25mm×横25mm×厚み1mmである硼珪酸ガラス基板を載置し、基板表面温度が400℃となるように保温した。この基板に対して、市販のスプレー装置を用い、基板の30cm上方から上記のスプレー液35mLをスプレー噴霧して、成膜を実施した。この工程においては、スプレーと同時に加熱を行っているので、前駆体から目的物が生成され、水等の不要な溶媒は除去される。
スプレー噴霧のキャリアガスとして、窒素を用いた。スプレー液の吐出流量は4mL/分、キャリアガス(窒素)の流量は10L/分とした。
上記成膜後のガラス基板を自然冷却させた後、三菱化学社製「ロレスタEP」を用いて膜のシート抵抗を測定したところ、92Ω/□であった。また断面のSEM(電子顕微鏡)観察を実施したところ、均一膜の生成が確認され、その膜厚を測定したところ1.02μmであった。
以上の結果から、テトラアンミン亜鉛イオンを含むスプレー液を用いることで、所望の導電性を有する透光性導電膜が得られることが明らかとなった。
本発明の透光性導電膜は、光電変換素子等のデバイスの透光性電極層として利用できる。本発明の光電変換素子は、太陽電池、光センサ、イメージセンサ、及びフォトダイオード等として利用できる。
10 光電変換素子
11 基板
12 裏面電極層
13 光吸収層(化合物半導体膜)
14 バッファ層
15 透光性高抵抗層
16 透光性電極層(透光性導電膜)
17、18 取出し電極

Claims (12)

  1. 酸化亜鉛を含む透光性導電膜の製造方法であって、
    基材上に、亜鉛のアンミン錯体を含む酸化亜鉛の前駆体組成物を成膜して前駆体膜を形成する工程(A)と、
    前記前駆体膜を加熱して酸化亜鉛を生成する工程(B)とを有する透光性導電膜の製造方法。
  2. 工程(A)において、前記前駆体組成物が、Zn2+濃度(mol/L)に対して5.5倍以上の濃度のアンモニアを含む請求項1に記載の透光性導電膜の製造方法。
  3. 前記透光性導電膜は、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0mol%以上ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含む請求項1又は2に記載の透光性導電膜の製造方法。
  4. 前記透光性導電膜は、酸化亜鉛に対してインジウムが2.0〜5.0mol%ドープされたインジウムドープ酸化亜鉛を含む請求項3に記載の透光性導電膜の製造方法。
  5. 工程(A)は、前記基材上に、前記前駆体組成物をキャリアガスと共にスプレー噴霧して、前記前駆体膜を成膜する工程である請求項1又は2に記載の透光性導電膜の製造方法。
  6. 工程(A)は、
    前記基材上に、亜鉛のアンミン錯体とインジウム及び/又はインジウム化合物とを含む前記前駆体組成物をキャリアガスと共にスプレー噴霧して、前記前駆体膜を成膜する工程である請求項3又は4に記載の透光性導電膜の製造方法。
  7. 工程(A)において、酢酸亜鉛と、酢酸インジウム及び/又はインジウムのアセチルアセトネート塩とを含む前記前駆体組成物を用いて成膜を行う請求項6に記載の透光性導電膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の透光性導電膜の製造方法により製造された透光性導電膜。
  9. 請求項8に記載の透光性導電膜からなる透光性電極層を備えたデバイス。
  10. 半導体光吸収層を備えた光電変換素子である請求項9に記載のデバイス。
  11. 前記半導体光吸収層が、カルコパイライト型化合物半導体、ケステライト型化合物半導体、スタナイト型化合物半導体、及びII−VI族半導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の半導体を含む請求項10に記載のデバイス。
  12. 請求項10又は11に記載のデバイスを備えた太陽電池。
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