JP2013105615A - 電動車両の電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両の前面衝突時にバッテリおよび電力線を接続する接続手段が破損して地絡が発生するのを防止する。
【解決手段】 車両の前面衝突によりフロアフレーム11の衝撃緩衝部材11aが座屈してフロントサブフレーム21が後退することで、フロントサブフレーム21の後部がバッテリパック31の前部に接触部Cにおいて接触する。その結果、衝撃緩衝部材11aおよびフロントサブフレーム21を接続する第1接続部Aと、衝撃緩衝部材11aおよびバッテリパック31を接続する第2接続部Bと、前記接触部Cとによって剛性の高い三角形Tの領域が構成される。この三角形Tの内部にバッテリ30と電力線48,60とを接続するコネクタ47,58を配置したので、車両の前面衝突によるコネクタ47,58の破損を防止して地絡の発生を回避することができる。特に、前記三角形Tの領域は衝撃緩衝部材11aの座屈を見越して設定されるので、コネクタ47,58の保護が一層確実なものとなる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車体に搭載されたバッテリと、前記バッテリから電力を取り出す電力線と、前記電力線を前記バッテリに接続する接続手段とを備える電動車両の電源装置に関する。
電気自動車の走行用の駆動源であるモータ・ジェネレータに電力を供給するバッテリパックの電圧は数百ボルトに達する高電圧であり、その電力はバッテリパックからコネクタを介してモータ・ジェネレータのパワードライブユニットに供給される。コネクタは着脱操作を容易に行えるように露出しているため、車両が衝突事故を起こした場合に衝突の衝撃によって損傷する場合があり、コネクタが損傷するとバッテリパックの高電圧が車体フレーム等に地絡して感電の可能性が発生する。
そこで、車両の蓄電装置を左右の後輪間に挟まれる位置に配置し、その高電圧接続部を車体内側(車体前方)を向くように配置し、その低電圧接続部を車体外側(車体後方)を向くように配置することで、車両の衝突時に高電圧接続部を保護して地絡の発生を防止するものが、下記特許文献1により公知である。
WO2007/129759A1
しかしながら上記従来のものは、車両に既存の後輪や車軸を利用して電源装置の高電圧接続部を保護するだけであり、高電圧接続部の近傍の車体構造に特別の工夫が施されていないため、車両の衝突時に高電圧接続部を充分に保護できない可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両の前面衝突時にバッテリおよび電力線を接続する接続手段が破損して地絡が発生するのを防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車体に搭載されたバッテリと、前記バッテリから電力を取り出す電力線と、前記電力線を前記バッテリに接続する接続手段と、車体フレームの一部を構成して車両の前面衝突時に変形して衝突エネルギーを吸収する衝撃緩衝部材と、前記衝撃緩衝部材よりも前方に配置されて該衝撃緩衝部材に第1接続部で接続される第1剛性部材と、前記衝撃緩衝部材よりも後方に配置されて該衝撃緩衝部材に第2接続部で接続される第2剛性部材とを備え、車両の前面衝突時に後退する前記第1剛性部材の後部は前記第2剛性部材の前部に接触部において接触可能であり、前記第1接続部、前記第2接続部および前記接触部により構成される三角形の内部に前記接続手段が配置されることを特徴とする電動車両の電源装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記三角形は車幅方向に離間して二つ構成され、一方の三角形の内部に高電圧側の前記接続手段が配置され、他方の三角形の内部に低電圧側の前記接続手段が配置されることを特徴とする電動車両の電源装置が提案される。
尚、実施の形態のフロントサブフレーム21は本発明の第1剛性部材に対応し、実施の形態のバッテリモジュール30は本発明のバッテリに対応し、実施の形態のバッテリパック31は本発明の第2剛性部材に対応し、実施の形態の高電圧コネクタ47および低電圧コネクタ58は本発明の接続手段に対応し、実施の形態の高電圧電力線48および低電圧電力線60は本発明の電力線に対応する。
請求項1の構成によれば、車両の前面衝突により車体フレームの一部を構成する衝撃緩衝部材が座屈して第1剛性部材が後退することで、第1剛性部材の後部が第2剛性部材の前部に接触部において接触する。その結果、衝撃緩衝部材および第1剛性部材を接続する第1接続部と、衝撃緩衝部材および第2剛性部材を接続する第2接続部と、前記接触部とによって剛性の高い三角形の領域が構成される。この三角形の内部に、車体に搭載されたバッテリと電力線とを接続する接続手段を配置したので、車両の前面衝突による接続手段の破損を防止してバッテリの地絡を回避することができる。特に、前記三角形の領域は衝撃緩衝部材の座屈を見越して設定されるので、接続手段の保護が一層確実なものとなる。
また請求項2の構成によれば、三角形は車幅方向に離間して二つ構成され、一方の三角形の内部に高電圧側の接続手段が配置され、他方の三角形の内部に低電圧側の接続手段が配置されるので、高電圧側および低電圧側の二つの接続手段を確実に保護することができる。
電機自動車の側面図。 図1の2方向矢視図。 図2の3−3線断面図。 図2の4部拡大図。 前面衝突時の作用説明図。 高電圧コネクタの分離時の作用説明図。
以下、図1〜図6に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、電気自動車の車体フレームは、車体前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム11,11を備えており、それらの前端から左右一対のフロントサイドフレーム12,12が上方に立ち上がりながら前方に延びるとともに、それらの後端から左右一対のリヤサイドフレーム13,13が上方に立ち上がりながら後方に延びている。
左右のフロントサイドフレーム12,12の前端間が車幅方向に延びるフロントバンパービーム14で接続され、左右のフロアフレーム11,11の前端間が車幅方向に延びるフロントクロスメンバ15で接続され、左右のフロアフレーム11,11の前後方向中間部間が車幅方向に延びるミドルクロスメンバ16で接続され、左右のリヤサイドフレーム13,13の前後方向中間部間が車幅方向に延びるリヤクロスメンバ17で接続され、左右のリヤサイドフレーム13,13の後端間が車幅方向に延びるリヤバンパービーム18で接続される。
左右のフロアフレーム11,11の車幅方向外側に左右の一対のサイドシル19,19が車体前後方向に配置されており、左右のサイドシル19,19の前端と左右のフロントサイドフレーム12,12の後端とが車幅方向に延びる左右一対のフロントアウトリガー20,20で接続され、左右のサイドシル19,19の後端が左右のリヤサイドフレーム13,13の前端に接続される。
板状のフロントサブフレーム21は、その前部が左右各1本のボルト22でフロントサイドフレーム12,12の前後方向中間部の下面に固定され、その後部が左右各2本のボルト23,23でフロントサイドフレーム12,12の後部の下面に固定される。左右のフロントサイドフレーム12,12の前部間が車幅方向に延びるフロントマウントビーム24で接続される。電気自動車の走行用の駆動源となるモータ・ジェネレータ25は、その後部に設けたリヤマウントブラケット26がフロントサブフレーム21の上面に設けたリヤマウント27に支持され、その前部に設けた左右一対のフロントマウントブラケット28,28がフロントマウントビーム24の下面に設けた左右一対のフロントマウント29,29に支持される。
モータ・ジェネレータ25の電源となる複数のバッテリモジュール30…(図2参照)を収納するバッテリパック31は、バッテリモジュール30…を搭載する金属製のバッテリトレー32と、バッテリトレー32の上面の複数本のボルト33…で結合されるバッテリカバー34とを備える。バッテリトレー32は中空に形成されており、その内部を流れる冷却空気によってバッテリモジュール30…を冷却する。
バッテリパック31の下面には、車幅方向に延びる3本の吊り下げビーム35,36,37がボルト38…で固定されており、最も前側の吊り下げビーム35の両端はボルト39…で左右のフロアフレーム11,11の下面に固定される。また中間の吊り下げビーム36の両端はフロアフレーム11,11の下面に固定され、最も後側の吊り下げビーム37の両端は左右一対のブラケット40,40を介して左右のリヤサイドフレーム13,13の側面に固定される。更に、バッテリパック31の前端に設けられたブラケット41は、フロントクロスメンバ15の下面にボルト42,42で固定されるとともに、バッテリパック31の後端に設けられたブラケット43は、リヤクロスメンバ17の下面に図示せぬボルトで固定される。
このようにして、バッテリトレー32を車体フレームに支持した状態で、フロントサブフレーム21の後端と、バッテリパック31の前端から前方に突出する突出部32aとは、所定の隙間α(図2参照)を介して前後方向に対向する。
フロントサブフレーム21は本発明の第1剛性部材を構成し、バッテリパック31は本発明の第2剛性部材を構成し、左右のフロアフレーム11,11の前部に形成される傾斜した部分(図2に鎖線で囲む部分)は本発明の衝撃緩衝部材11a,11aを構成する。衝撃緩衝部材11a,11aはクラッシャブルゾーンとして特別に脆弱に構成された部分ではないが、車両の前面衝突時に過度の衝撃が入力された場合において圧壊し得る部分である。もちろん、車両の前面衝突時に、車体フレームは衝撃緩衝部材11a,11a以外の部分も圧壊する。一方、第1、第2剛性部材を構成するフロントサブフレーム21およびバッテリパック31は剛性が高い部材であり、それらの前面衝突時の変形量は衝撃緩衝部材11a,11aの変形量よりも小さくなる。
図5に示すように、フロアフレーム11,11の衝撃緩衝部材11a,11aの前端とフロントサブフレーム21の左右両端とがボルト23…で結合される部分は、本発明の第1接続部A,Aを構成する。またフロアフレーム11,11の衝撃緩衝部材11a,11aの後端とバッテリパック31の左右両端(つまり最も前側の吊り下げビーム35の左右両端)とがボルト39…で結合される部分は、本発明の第2接続部B,Bを構成する。
図2〜図4に示すように、バッテリパック31のバッテリトレー32の突出部32aの後方左側には上向きに凹む凹部32bが形成されており、この凹部32bに高電圧コネクタボックス45が4本のボルト46…で固定される。一対の高電圧コネクタ47,47は、高電圧コネクタボックス45の前面に固定された雌コネクタ47a,47aと、雌コネクタ47a,47aに対して前後方向に抜き差し可能な雄コネクタ47b,47bとで構成される。雌コネクタ47a,47aから延びる2本の高電圧(例えば、288V)電力線48,48は、モータ・ジェネレータ25の作動を制御するパワードライブユニット49(図1参照)に接続される。
屈曲した板材からなるインターロック部材51の両端が、下から上に挿入されてバッテリトレー32の下面に螺合する2本のボルト52,53で固定される。雌コネクタ47a,47aの下面にはロック解除ボタン47c,47cが設けられており、ロック解除ボタン47c,47cを押さない限り、雄コネクタ47b,47bは雌コネクタ47a,47aから抜けないようにロックされる。インターロック部材51をバッテリトレー32に固定した状態では、インターロック部材51が邪魔になってロック解除ボタン47c,47cの操作ができないようになっている。
高電圧コネクタボックス45の側面に把手54を有するインターロックコネクタ54が抜き差し自在に設けられる。高電圧コネクタボックス45の側面に差し込まれたインターロックコネクタ54の把手54aは、インターロック部材51の一端を固定する一本のボルト52の軸線上に位置している。
直列に接続された複数のバッテリモジュール30…の両端の端子55,55と一対の高圧コネクタ47,47との間には2個のリレー56,56の接点56a,56aが配置されており、それらの接点56a,56aに対向するコイル56b,56bがバッテリECU57に接続されるとともに、バッテリECU57にインターロックコネクタ54が接続される。
またバッテリパック31のバッテリトレー32の突出部32aの後方右側には上向きに凹む凹部32cが形成されており、この凹部32cに低電圧コネクタ58の雌コネクタ58a,58aが4本のボルト59…で固定される。雌コネクタ58a,58aに対して抜き差し可能な雄コネクタ58b,58bから延びる2本の低電圧(例えば、12V)電力線60,60は種々の車載機器に接続される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態を作用を説明する。
車体フレームの下面において、前側のフロントサブフレーム21の後端と後側のバッテリパック31の前端とが隙間α(図2参照)を介して対峙しているが、前述したように前面衝突によりフロントサイドフレーム12,12に車体前後方向の過度の衝突荷重が入力されると、図5に示すように、フロントサイドフレーム12,12の後端に接続されたフロアフレーム11,11の前部で構成される衝撃緩衝部材11a,11aが座屈することで、フロントサブフレーム21が後退し、その後端がバッテリパック31の前端に接触する位置関係とされる。
その結果、フロントサブフレーム21およびバッテリパック31が接触点Cにおいて接触し得る場合には、前記第1接続部A,Aと、前記第2接続部B,Bと、前記接触点Cとにより、図5に鎖線で示す左右一対の三角形T,Tが構成される。これらの三角形T,Tはフロントサブフレーム21、バッテリパック31および衝突荷重で座屈した衝撃緩衝部材11a,11aにより囲まれた剛性の高い領域であり、その一方の内側に高電圧コネクタ47,47を配置し、その他方の内側に低電圧コネクタ58,58を配置することで、それら高電圧コネクタ47,47および低電圧コネクタ58,58の保護を図ることができる。
以上のように、三角形T,Tの領域を、衝撃緩衝部材11a,11aが衝突荷重で変形した後の第1接続部A,A、第2接続部B,Bおよび接触点Cの位置に基づいて設定するので、衝突による高電圧コネクタ47,47および低電圧コネクタ58,58の損傷を一層確実に回避することができる。特に高電圧コネクタ47,47が破損して車体フレームに地絡すると感電の虞があるが、本実施の形態の構造によって前記地絡の発生を確実に防止することができる。
ところで、バッテリパック31の交換等のために高電圧コネクタ47,47の雌コネクタ47a,47aから雄コネクタ47b,47bを引き抜くとき、高電圧コネクタ47,47に288Vに高電圧が印加していると感電の虞があるため、予め高電圧コネクタ47,47への高電圧の印加を遮断する必要がある。そのために、図6(A)に示すように、インターロックコネクタ54を引く抜くと、それを検出したバッテリECU57がリレー56,56のコイル56b,56bへの通電を遮断することで、接点56a,56aが開成して高電圧コネクタ47,47への高電圧の印加が遮断される。
高電圧コネクタ47,47の雌コネクタ47a,47aから雄コネクタ47b,47bを引き抜くには、雄コネクタ47b,47bに設けたロック解除ボタン47c,47cを押下する操作が必要であるが、インターロック部材51が装着されたままではロック解除ボタン47c,47cが隠されて押下することができないため、2本のボルト52,53を工具で緩めてインターロック部材51を取り外す必要がある。このとき、インターロックコネクタ54が既に抜き取られているため、インターロックコネクタ54と干渉せずに工具を操作して一方のボルト52を緩めることが可能となり、図6(B)に示すように、インターロック部材51を取り外してロック解除ボタン47c,47cを押下し、雌コネクタ47a,47aから雄コネクタ47b,47bを抜くことができる。
仮に、作業者がインターロックコネクタ54を引く抜くのを忘れたままインターロック部材51を取り外ずそうとしても、図4に示すように、工具がインターロックコネクタ54と干渉して一方のボルト52を緩めることができないため、ロック解除ボタン47c,47cの押下が不能になって雌コネクタ47a,47aから雄コネクタ47b,47bを抜くことができず、感電事故の発生を未然に回避することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明はモータ・ジェネレータだけを走行用駆動源とする電気自動車用に限定されず、走行用駆動源としてエンジンおよびモータ・ジェネレータの両方を備えるハイブリッド車両に対しても適用することができる。
また本発明の第1剛性部材および第2剛性部材は実施の形態のフロントサブフレーム21およびバッテリパック31に限定されるものではない。
また実施の形態では衝撃緩衝部材がフロアフレーム11の一部で構成されているが、それに限定されるものではない。
11a 衝撃緩衝部材
21 フロントサブフレーム(第1剛性部材)
30 バッテリモジュール(バッテリ)
31 バッテリパック(第2剛性部材)
47 高電圧コネクタ(接続手段)
48 高電圧電力線(電力線)
58 低電圧コネクタ(接続手段)
60 低電圧電力線(電力線)
A 第1接続部
B 第2接続部
C 接触部
T 三角形

Claims (2)

  1. 車体に搭載されたバッテリ(30)と、
    前記バッテリ(30)から電力を取り出す電力線(48,60)と、
    前記電力線(48,60)を前記バッテリ(30)に接続する接続手段(47,58)と、
    車体フレームの一部を構成して車両の前面衝突時に変形して衝突エネルギーを吸収する衝撃緩衝部材(11a)と、
    前記衝撃緩衝部材(11a)よりも前方に配置されて該衝撃緩衝部材(11a)に第1接続部(A)で接続される第1剛性部材(21)と、
    前記衝撃緩衝部材(11a)よりも後方に配置されて該衝撃緩衝部材(11a)に第2接続部(B)で接続される第2剛性部材(31)とを備え、
    車両の前面衝突時に後退する前記第1剛性部材(21)の後部は前記第2剛性部材(31)の前部に接触部(C)において接触可能であり、前記第1接続部(A)、前記第2接続部(B)および前記接触部(C)により構成される三角形(T)の内部に前記接続手段(47,58)が配置されることを特徴とする電動車両の電源装置。
  2. 前記三角形(T)は車幅方向に離間して二つ構成され、一方の三角形(T)の内部に高電圧側の前記接続手段(47)が配置され、他方の三角形(T)の内部に低電圧側の前記接続手段(48)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電動車両の電源装置。
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