JP2013103923A - 内服液剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
コーンシルクエキスは食品素材として知られているものであるが、コーンシルクエキスを含有する内服液剤を調製したところ、内服液剤中に沈殿が生じることを発見した。本発明は、コーンシルクエキスを含有する内服液剤の沈殿の生成を抑制することを課題とする。
【解決手段】
a)コーンシルクエキス、及びb)ナイアシンを含有し、pHが2.5〜4.5であることを特徴とする内服液剤。コーンシルクエキスを含有し、pHが2.5〜4.5である内服液剤において、ナイアシンを配合することにより沈殿生成を抑制する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、沈殿生成を抑制したコーンシルクエキスを含有する内服液剤に関する。
近年、生薬の原料となるような薬用植物が有する効果への期待は高まりつつあり、医薬分野の他に、一般食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品及び保健機能食品等の各種食品の素材として応用されつつある。その商品形態の一つとして、生薬の原料となるような薬用植物を含有する液剤が多数市販されている。液剤は、服用がしやすいこと、速やかに薬効が発揮されること、などの利点を有することから、好ましい剤形の一つとして用いられている。
「コーンシルク(corn silk)」は欧米で民間的に使用されており、日本でも「ナンバンゲ」などの名で市販されている。また、漢方生薬として南蛮毛としても知られ、中国では「玉蜀黍柱頭」、「玉蜀黍蕊」、「玉米鬚」の名で用いられている。薬理作用として、利尿効果、血圧降下作用、胆汁分泌促進効果などが報告されている(非特許文献1〜4)。
コーンシルクエキスは食品素材として知られているものである(特許文献1)。そこで、本発明者らは、コーンシルクを含有する内服液剤を調製したところ、内服液剤中に沈殿を生じることを発見した。風味および防腐性の観点から酸性領域が好ましく、酸性領域で沈殿を少しでも抑制する技術が望まれるが、今までに、内服液剤中のコーンシルクエキスの沈殿を抑制する方法について、検討された報告はない。
Pharmazie, 2004,59,967-71 Phytomedicine. 2005 May;12(5):363-9. 浙南本草新編 中薬大辞典
特開2009-118816号公報
本発明は、コーンシルクエキスを含有する内服液剤の沈殿生成を抑制することを課題とする。
そこで、この問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ナイアシンがこの沈殿生成を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)a)コーンシルクエキス、及びb)ナイアシンを含有し、pHが2.5〜4.5であることを特徴とする内服液剤、
(2)コーンシルクエキスを含有し、pHが2.5〜4.5である内服液剤において、ナイアシンを配合することにより沈殿生成を抑制する方法、
である。
本発明により、コーンシルクエキスを含有する内服液剤の沈殿の生成を容易に抑制し、安定なコーンシルクエキス含有内服液剤を提供することが可能となった。
本発明のコーンシルクは、イネ科(Gramineae)のトウモロコシ(Zea mays L.)の雌花の花柱と柱頭を乾燥したものである。生薬の南蛮毛としても知られ、トウモロコシの雌花の花柱や柱頭をむしりとって乾燥させたものである。その乾燥方法は特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、真空凍結乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波加熱乾燥、天日干し等が挙げられる。上記のイネ科(Gramineae)のトウモロコシ(Zea mays L.)とは、その近縁種或いは栽培品種も含むものとする。
本発明のコーンシルクエキスを得るための抽出方法は特に限定されないが、溶媒抽出法が好適に用いられる。
抽出溶媒として、水系溶媒又は有機溶媒のいずれも使用することができる。前記水系溶媒としては、水、熱水等が好適に使用される。水の種類は特に限定されず、純水、精製水等であってもよい。尚、抽出溶媒として熱水を使用する場合、その熱水の温度は50〜100℃、好ましくは80〜100℃である。
抽出溶媒として有機溶媒が用いられる場合、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒のいずれでもよい。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1、4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒が挙げられる。上記の親水性有機溶媒は水との混合物として用いられてもよい。疎水性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、
2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン等の公知の有機溶媒が挙げられる。上記の親水性有機溶媒および疎水性有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、本発明で使用するコーンシルクエキスは、産業上入手することも可能であり、例えば福田龍株式会社製のコーンシルク乾燥エキスや松浦薬業株式会社製のコーンシルクエキスパウダーPを挙げることができる。
コーンシルクエキスの含有量は内服液剤中、0.05〜1質量%であり、好ましくは0.1〜0.6質量%である。本発明に用いられるナイアシンはニコチン酸およびニコチン酸アミドの総称であり,公知の方法によって合成したものを使用しても良いし,酵母,米ぬか等から抽出したものを用いても良い。ナイアシンの含有量は内服液剤中、0.001〜1質量%であり、好ましくは0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.03〜0.6質量%である。
本発明の内服液剤において、コーンシルクエキスとナイアシンの配合比は、コーンシルクエキス1質量部に対して通常0.06〜6質量部であり、好ましくは0.16〜1質量部である。0.06質量部未満であると、コーンシルクエキスの沈殿防止効果が充分でないことがあるためであり,6質量部を超えると風味の点で好ましくない。そして、コーンシルクエキスの沈殿を防止させるという観点からは、コーンシルクエキス1質量部に対して0.16質量部以上を含有させることが好ましい。
また、本発明の内服液剤のpHは2.5〜4.5である。この範囲は、風味と防腐性の観点からも好ましい。pHを高くするとナイアシンによる沈殿抑制効果が小さくなることから、pHは4.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.6〜4.2である。本発明の内服液剤のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸などの有機酸およびそれらの塩類、塩酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基などが挙げられる。
本発明の内服液剤にはその他の成分として、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類又はその塩類、生薬類、生薬抽出物類、カフェイン、ローヤルゼリーなどを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
さらに必要に応じて、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、界面活性剤、溶解補助剤、増粘安定剤、保存剤、甘味料、酸味料などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
本発明の内服液剤は、常法により調製することができ、その方法は特に限定されるものではない。例えば、コーンシルクエキスに適量の水と酸を加えた後、ナイアシンと残りの精製水を加えて容量調整することにより得られる。
本発明の内服液剤は、食品飲料以外にもシロップ剤、ドリンク剤などの医薬品や医薬部外品などに適用することができる。
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
表1に実施例1〜8、表2に比較例1〜8、表3に比較例9〜12の処方を示した。実施例および比較例ではコーンシルクエキスとして、トウモロコシの花柱及び柱頭を水で抽出して製したエキス末(以下、コーンシルクエキスと記載する)を使用した。
実施例1〜8、比較例10、12は、コーンシルクエキスに全量の半分程度の水を加え、ナイアシンとしてニコチン酸アミドを添加し、十分に攪拌した後、リンゴ酸を一定量添加し,リンゴ酸ナトリウムでpHを調整し、精製水を加えて全量を50mlとした。これをガラス瓶に充填してキャップを施し、内服液剤を得た。
比較例1〜6、9、11は、コーンシルクエキスに全量の半分程度の水を加え、リンゴ酸を一定量添加した後、十分に攪拌し,リンゴ酸ナトリウムでpHを調整し,精製水を加えて全量を50mlとし、ガラス瓶に充填してキャップを施して内服液剤を得た。
比較例7、8は、ナイアシンの代わりに水溶性ビタミンであるリボフラビンリン酸エステル(VB2)、塩酸ピリドキシン(VB6)のいずれかを添加し、十分攪拌した後、リンゴ酸を一定量添加し,精製水を加えて全量を50mlとした。これをガラス瓶に充填してキャップを施して内服液剤を得た。
Figure 2013103923
Figure 2013103923
Figure 2013103923
(試験例)
実施例1〜8及び比較例1〜12のコーンシルクエキス含有液剤を室温で1日保管後、沈殿を目視により観察した。表4の基準で沈殿生成度合いを評価した。 各コントロールの評価を3とし、コントロールに対する相対評価を行った。「コントロールと同程度の沈殿がある」を3とし、「コントロールよりもやや少ない」を2,「コントロールよりも少ない」を1,「コントロールよりもやや多い」を4,「コントロールより多い」を5とした。実施例1は比較例1をコントロールとし、実施例2、3および比較例7,8は比較例2をコントロールとし、実施例4、5は比較例3、実施例6は比較例4、実施例7は比較例5、実施例8は比較例6、比較例10は比較例9、比較例12は比較例11をそれぞれコントロールとし、沈殿生成の度合いを評価した。評価結果は表4〜表6に示した。
Figure 2013103923
Figure 2013103923
Figure 2013103923
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表5〜表7から明らかなように、ニコチン酸アミドを配合するとコーンシルクエキス配合液剤の沈殿生成が抑制された。一方で、リボフラビンリン酸エステルや塩酸ピリドキシンを配合した比較例7、8では沈殿抑制効果は得られなかった。また、pH5.0以上では、ニコチン酸アミドを添加しても沈殿抑制効果は得られなかった。
本発明により、内服液剤中におけるコーンシルクエキスの沈殿を抑制することが可能となったので、医薬品、医薬部外品及び食品の分野において、商品性の高いコーンシルクエキス含有内服液剤を提供することが期待される。

Claims (2)

  1. a)コーンシルクエキス、及びb)ナイアシンを含有し、pHが2.5〜4.5であることを特徴とする内服液剤。
  2. コーンシルクエキスを含有し、pHが2.5〜4.5である内服液剤において、ナイアシンを配合することにより沈殿生成を抑制する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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