JP2013103490A - 積層体 - Google Patents

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Nihon University
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Abstract

【課題】エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマーよりも耐熱性に優れるとともに、基材層とポリマー層との接着性に優れた積層体を提供する。
【解決手段】基材層(A)と、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)とを有する積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関する。
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体は、構成単位の中に(メタ)アクリル酸に由来するカルボキシ基(−COOH)を含むため、アルミニウムのような金属との接着性に優れている。また、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体を金属イオンで中和したエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーは、金属イオンの種類や中和度を選択することにより、金属との接着性と共に、耐衝撃性や耐傷つき性も改良される。このため、これらの共重合体およびアイオノマーは、各種の基材と積層してフィルム又はシートとして使用することが知られている。
例えば、押出ラミネート法によって、安定な溶融膜を形成することができ、安価に且つ効率的に製造することが可能なポリアミドを含有する押出ラミネート層を備えた積層体を提供することを目的として、基材層と、該基材層表面に形成された押出ラミネート層とからなり、該押出ラミネート層は、ポリアミド(A)とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(B)とを、A/B=99/1乃至60/40の重量比で含有している積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−105302号公報
しかし、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマーは、耐熱性に限りがあり、また包装材料として汎用的に使用されているポリプロピレン系のポリマーの延伸フィルムと接着しにくいという難点があった。このため使用用途に制限があった。
本発明は、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマーよりも耐熱性に優れるとともに、基材層とポリマー層との接着性に優れた積層体を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基材層(A)と、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)とを有する積層体である。
<2> 前記共重合体が、b2−b1−b2型のトリブロック共重合体である前記<1>に記載の積層体である。
<3> 前記基材層(A)が、ポリオレフィン、金属、及びガラスから選ばれる少なくとも1つを用いた基材である前記<1>又は前記<2>に記載の積層体である。
<4> 前記基材層(A)が、延伸ポリプロピレンフィルムである前記<1>又は前記<2>に記載の積層体である。
<5> フィルム又はシートである前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の積層体である。
本発明によれば、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマーよりも耐熱性に優れるとともに、基材層とポリマー層との接着性に優れた積層体が提供される。
以下に、本発明の積層体に係る実施形態について詳細且つ具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
<基材層(A)>
本発明の積層体は、基材層(A)を有して構成される。
基材層(A)は、包装資材、建築用資材などで使用されている材料であれば特に制限なく適用可能である。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のプラスチック材料、アルミニウム、スチールなどの金属材料、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が挙げられる。基材層(A)は、上記材料の1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材層(A)の形態としては、上記材料からなるフィルム、シート、それ以外に賦型された成形品が例示できる。
上記材料の中でも、本発明において好適な基材層(A)は、ポリオレフィンであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリヘキセンなどの延伸フィルム又はシートである。
基材層(A)は、後述するポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)と組み合わせて、接着性および耐熱性を発揮させるために、ポリプロピレンの1軸又は2軸延伸フィルム又はシートであることが、特に好ましい。
基材層(A)は、アルミニウム箔、スチール箔などの金属箔や、金属を蒸着したポリエステルフィルム、金属を蒸着したポリオレフィンフィルムなどの金属蒸着樹脂フィルムも、好ましい態様として例示できる。
<ポリマー層(B)>
本発明の積層体は、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)を有して構成される。
本発明に係るポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーは、ポリプロピレンブロックのブロック単位b1と、ポリアクリル酸ブロックのブロック単位b2とを含む共重合体であれば、如何なる形態でも良い。好ましくは、ブロック単位b2と、ブロック単位b1と、ブロック単位b2とを、この順に共重合したb2−b1−b2型のトリブロック共重合体又はそのアイオノマーである。
本発明の好ましい態様であるb2−b1−b2型のトリブロック共重合体は、下記一般式(1)で示される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンから合成される。
一般式(1)中、nは、ポリプロピレンブロック(b1)の繰り返し単位数を表し、Xはハロゲン原子を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素、メチル基、又はフェニル基を表し、Rはメチル基を表す。
一般式(1)において、繰り返し単位数nに関しては特に制限がないが、通常10〜1000の整数である。
一般式(1)において、RおよびRは、全て水素原子であってもよいし、また、RおよびRの少なくとも1個が水素原子以外の官能基(メチル基またはフェニル基)であってもよい。RおよびRのいずれか2個が水素原子以外の官能基(メチル基またはフェニル基)である場合には、それらの官能基は同じでも異なっていてもよい。一般式(1)で示される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンの反応性の観点から、Rが水素原子であり、Rがメチル基である態様、Rが水素であり、Rがフェニル基である態様、又はRとRの両方がメチル基である態様が好ましい。
一般式(1)において、Xで表されるハロゲン原子は、好ましくは、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)であり、反応性の観点からBrが最も好ましい。
また、一般式(1)において、各Rは、メチル基(−CH)である。すなわち、オリゴオレフィン鎖を構成するオリゴオレフィンが、オリゴプロピレンである。
一般式(1)で示される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンは、原子移動ラジカル重合の重合開始剤として、種々のビニル系モノマーと作用し、トリブロック共重合体を生成することができる。
前記ビニル系モノマーとしては、最終的にポリアクリル酸ブロックを形成することが可能なものであれば特に制限されないが、たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのメタクリル系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−アミノエチルなどのアクリル系モノマーなどがあげられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。二種類以上のビニル系モノマーを使用する場合、これらは、同時または逐次的に系内に仕込むことが出来る。同時に仕込む場合、モノマー反応性比に基づいた共重合体を合成することができる。また、逐次的にモノマーを加えれば、鎖長を伸ばしつつ異なるブロックを持つ共重合体を合成することが可能である。
一般式(1)で示される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンは、両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレンをヒドロキシル化し、さらに適当なα−ハロアシルハライドを用いてエステル化反応を行うことによって合成することができる。
一般式(1)で示される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンの原料である両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレンは、高度制御熱分解法〔Macromolecules, 28, 7973(1995)参照〕によるポリオレフィンの熱分解生成物として得ることが可能である。
本発明におけるポリプロピレンブロックb1とポリアクリル酸ブロックb2とを含むトリブロック共重合体を製造する場合について説明する。
前記高度制御熱分解法によって得られるポリプロピレンの熱分解生成物は、数平均分子量Mnが1000〜50000程度、分散度Mw/Mnが2程度、1分子当たりのビニリデン基の平均数が1.5〜1.8程度であり、分解前の原料ポリプロピレンの立体規則性を保持しているという特性を有している。分解前の原料のポリプロピレンの重量平均分子量は、好ましくは1万〜100万の範囲内、さらに好ましくは20万〜80万の範囲内である。
前記高度制御熱分解法で用いられる熱分解装置としては、Journal of PolymerScience:Polymer Chemistry Edition, 21, 703(1983)に開示された装置を用いることができる。例えば、パイレックス(登録商標)ガラス製熱分解装置の反応容器内にポリプロピレンを入れて、減圧下、溶融ポリマー相を窒素ガスで激しくバブリングし、揮発性生成物を抜き出すことにより、2次反応を抑制しながら、所定温度で所定時間、熱分解反応させる。熱分解反応終了後、反応容器中の残存物を熱キシレンに溶解し、熱時濾過後、アルコールで再沈殿させ精製する。再沈物を濾過回収して、真空乾燥することにより両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレンが得られる。
熱分解条件は、分解前のポリプロピレンの分子量と最終目的物のブロック共重合体の1次構造から生成物の分子量を予測し、予め実施した実験の結果を勘案して調整する。熱分解温度は300℃〜450℃の範囲が好ましい。300℃より低い温度では、ポリプロピレンの熱分解反応が充分に進行しない恐れがあり、450℃より高い温度では、熱分解生成物の劣化が進行する恐れがある。
ヒドロキシル化は、上記方法に従って得られた両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレンの2重結合を、ヒドロホウ素化に続く、酸化反応によってヒドロキシル化することにより達成される。例えば、テトラヒドロフランを溶媒とし、まずホウ素化試薬を加えてヒドロホウ素化する。ホウ素化試薬としては、9−ボランビシクロノナンやボラン−テトラヒドロフラン錯体を用いることができる。ヒドロホウ素化後の反応溶液に過酸化水素水を加え、酸化反応させると両末端ヒドロキシル基含有オリゴプロピレンが得られる。
続いて、上記のようにして得られた両末端ヒドロキシル基含有オリゴプロピレンを、適当なα−ハロアシルハライドを用いてエステル化反応を行うことにより、一般式(1)で表される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンが得られる。
ここで、α−ハロアシルハライドとは、α位の炭素がハロゲン化されたアシルハライドを意味し、工業的に容易に入手することが可能である。
一般式(1)で表される両末端ハロゲン化オリゴプロピレンを得るための反応は、酸ハロゲン化物とアルコールによる通常のエステル化反応で行うことができる。具体的には、トリエチルアミン等の塩基の存在下、α−ハロアシルハライドと両末端ヒドロキシル基含有オリゴプロピレンとを反応させればよい。
本発明に係るトリブロック共重合体を合成する第一段階は、上で説明した両末端ハロゲン化オリゴプロピレンを開始剤として用い、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチルを原子移動ラジカル重合させることで、下記一般式(2)の構造を有するトリブロック共重合体中間体を合成する。
一般式(2)におけるR、R、R、n、およびXは、一般式(1)におけるR、R、R、n、およびXと同義である。一般式(2)におけるAは、下記一般式(3)で表されるビニル系重合体ブロックを表す。
一般式(3)におけるmは、ビニル系重合体ブロック単位の繰り返し単位数を表し、Rはメチル基又は水素原子を表し、Rは−COOCH、−COOC、−COOnBu、−COOtBu、−CONHCH(CH、−COOCHCHOH、−COOCHCHN(CH、−CN、−COOH又はフェニル基を表す。
一般式(3)において、繰り返し単位数mは、特に制限はないが、通常1〜10000の整数である。
また、特に、アクリル酸t−ブチルによるトリブロック共重合体中間体は、容易に加水分解され、本発明の最終生成物であるポリプロピレンブロックb1とポリアクリル酸ブロックb2とのトリブロック共重合体(R:H、R:−COOH)を簡単に合成できる。このため、本発明におけるトリブロック共重合体又はそのアイオノマーを合成するのに好ましい中間体の一例は、アクリル酸t−ブチルによるトリブロック共重合体中間体である。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合することを特徴とする公知の重合方法である。〔たとえば、マティジャスツェウスキー(Matyjaszewski)ら、ジャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)、1996年、272巻、866頁、または、澤本(Sawamoto)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、1721頁参照〕。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、特に制限はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、ならびに、2価のニッケルの錯体が挙げられる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などが挙げられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。
使用する配位子は、特に限定されないが、開始剤、単量体、および溶媒を考慮して、必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。1価の銅化合物を用いる場合、配位子として、2,2′−ビピリジルおよびその誘導体(たとえば4,4′−ジノリル−2,2′−ビピリジル、4,4′−ジ(5−ノリル)−2,2′−ビピリジルなど)などの2,2′−ビピリジル系化合物、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体(たとえば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物、テトラメチルジエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを使用することができる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も触媒として好ましい。
重合反応は、通常室温〜200℃の範囲、好ましくは50℃〜100℃の範囲で行なうことができる。
上記の製造法を利用して得られたポリアクリル酸イソブチルブロックーポリプロピレンブロックーポリアクリル酸イソブチルブロックのトリブロック共重合体中間体は、トリフルオロ酢酸などのより加水分解して、両末端のポリアクリル酸イソブチルブロックをポリアクリル酸ブロックに変換する。
このようにして得られた本発明のトリブロック共重合体は、ポリアクリル酸ブロックに由来するアクリル酸単位を含んでいる。本発明のトリブロック共重合体に含まれるアクリル酸単位の量は、トリブロック共重合体全体を100質量%とした場合に1〜80質量%、好ましくは5〜60質量%である。本発明のトリブロック共重合体の特徴のひとつは、例えば40質量%を超える高い酸を含有できることである。
このようにして得られた本発明のトリブロック共重合体の230℃、2160g荷重でのメルトフローレート(MFR、JIS K7210−1999)は0.1g/10分〜100g/10分、好ましくは0.3g/10分〜50g/10分、特に好ましくは1g/10分〜30g/10分である。
本発明のトリブロック共重合体は両末端のブロックと、それをつなぐブロック(オリゴプロピレンブロック)の極性が相異する。従って、極性の相異する2種類以上の重合体の相溶化剤として利用することができる。ビニル系重合体ブロックがポリアクリル酸である本願のトリブロック共重合体は、親水性と疎水性の両親媒性を有することから、極性ポリマーや金属に対して接着性に優れることが予想でき、これらとの積層体として利用することができる。
本発明におけるポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体のアイオノマーは、上記トリブロック共重合体を、Na、K、Rb等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、亜鉛等の各種金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酸化物等の金属化合物と接触させて、ポリアクリル酸ブロックのカルボキシル基を金属イオンで中和することで得ることができる。
金属化合物との反応は、押出機中でトリブロック共重合体を溶融混練しながら金属化合物の粉末や溶液を供給し、溶融下でせん断をかけながら反応させる方法が例示できる。
他の方法としては、トリブロック共重合体を分散した溶液中に、金属化合物やその溶液を滴下する方法が例示できる。
金属イオンによる中和度(トリブロック共重合体中のカルボキシル基を100モル%としたときに、そのなかで金属イオンと反応したカルボキシル基のモル%)は、1%〜100%、好ましくは20%〜60%である。
このようにして得られた本発明におけるトリブロック共重合体のアイオノマーの230℃、2160g荷重でのメルトフローレート(MFR、JIS K7210−1999)は0.1g/10分〜100g/10分、好ましくは0.1g/10分〜50g/10分である。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、基材層(A)と、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含む層(B)とを積層し得る方法であれば、特に制限されず、公知の種々の方法が適用可能である。
中でも、基材層(A)の表面に、ポリマー層(B)を構成するポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを押出す押出コーティング法を採用することが好ましい。
押出コーティングは、通常、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを200℃〜320℃の範囲に加熱して行われる。押出コーティングに際し、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)と基材層(A)との接着性を高めるために、基材層(A)や、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーの溶融膜の表面処理を行うか、基材層(A)の表面に、予めアンカーコート処理を行ってもよい。
また、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを押出コーティングするに際し、ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマー以外の他の樹脂(c)と共押出しし、他の樹脂(c)を含む他の樹脂層(C)側を基材層(A)に接するようにコーティングしてもよい。
かくして得られる積層体を構成する各層の厚みは任意であるが、通常、基材層(A)が10μm〜500μm、ポリマー層(B)が5μm〜100μm程度の範囲に調整される。
なお、本発におけるポリマー層(B)は、任意に酸化防止剤、光安定剤、耐候安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機又は有機の顔料、染料などの重合体に通常適用される添加材を含んでいてもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
<合成実験1>
〔両末端ブロモ化オリゴプロピレン(iPP−Br)の合成〕
下記(1)〜(3)に示す方法により、両末端ブロモ化オリゴプロピレン(iPP−Br)を合成した。
(1)両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレン(iPP−TVD)の合成
熱分解装置として、試料を最大5kgまで収容可能なラボスケール高度制御熱分解装置を使用した。市販のイソタクチックポリプロピレン〔ノバテックPP(日本ポリプロピレン株式会社製)、グレード:EA9A、メルトフローインデックス(MFR):0.5g/10min〕2kgを反応器に仕込み、系内を窒素置換後、2mmHgに減圧して、反応器を200℃に加熱して溶融した。その後、390℃に設定されたメタルバスに反応器を沈め、熱分解を行った。熱分解中は、系内を2mmHg程度の減圧状態に保ち、溶融ポリマーを導入されたキャピラリーから排出される窒素ガスのバブリングによって攪拌した。1時間経過後、反応器をメタルバスから引きあげ、室温まで冷却した。次いで、反応系を常圧にし、反応器内の残渣を熱キシレンにて溶解した後、メタノールに滴下して再沈殿精製し、両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレンiPP−TVDを得た。
(2)両末端ヒドロキシル化オリゴプロピレン(iPP−OH)の合成
高度制御熱分解によって得られた両末端ビニリデン結合含有オリゴプロピレン(iPP−TVD)とテトラヒドロフラン(THF)を、前記オリゴプロピレン(iPP−TVD)100gあたり、THF600mLとなるように反応器に仕込み、窒素置換後、80mLのボラン−テトラヒドロフラン錯体(BH−THF)THF溶液を加え、環流下で5時間加熱した。その後、氷浴中で、反応器に5N水酸化ナトリウム水溶液100mLを加え、続いて、30%過酸化水素水溶液100mLを加え、環流下で12時間加熱した。反応後、反応混合物をメタノールに注ぎ、再沈殿精製し、両末端ヒドロキシル化オリゴプロピレン(iPP−OH)を得た。
(3)両末端臭素化オリゴプロピレン(iPP−Br)の合成
上記の両末端ヒドロキシル化オリゴプロピレン(iPP−OH)100gあたり、500mLのトルエン中、110℃で溶解し、トリエチルアミン10mLを反応器に仕込み、窒素置換後、2−ブロモイソブチリルブロミド(BiBB)のトルエン溶液(BiBB/トルエン=10mL/50mL)を滴下し、110℃で12時間撹拌した反応後、40℃以下になるまで撹拌を続け、メタノールに反応溶液を注ぎ、再沈殿精製し、両末端臭素化オリゴプロピレン(iPP−Br)を合成した。
<合成実験2>
〔ポリアクリル酸t−ブチル−ポリプロピレントリブロック共重合体の合成〕
両末端臭素化オリゴプロピレン100gあたり、臭化銅(I)3.0gをセパラブルフラスコに仕込み、窒素置換後、O−キシレン(500mL)、PMDETA(8mL)を加え、120℃で1時間加熱しながら撹拌した。その後、アクリル酸t−ブチル(100mL)をゆっくり加え、120℃で12時間撹拌した。次いで、1.5Lのキシレンを加え、40℃以下になるまで撹拌を続け、メタノールに注ぎ、再沈殿精製した。
<合成実験3>
〔ポリアクリル酸t−ブチル−ポリプロピレントリブロック共重合体の加水分解によるポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体(SN−1)への変換〕
ポリアクリル酸t−ブチル−ポリプロピレントリブロック共重合体をフラスコに仕込み、窒素置換後、このトリブロック共重合体100gあたりトリフルオロ酢酸200mL及び脱水クロロホルム600mLを加え、室温で20時間撹拌した。反応後、蒸留にて溶媒、トリフルオロ酢酸及びt−ブチルアルコールを除去して、ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体(SN−1)を得た。
<合成実験4>
〔ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体のアイオノマーの合成(SH−1)の合成〕
容器中に上記ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体(SN−1)100gあたり、メタノール750mLの割合で混ぜ合わせ、ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体の分散液を得た。続いてアクリル酸量に対して1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、30分間撹拌し、反応させた。反応後、メタノールを注ぎ、固形分と液体を分離し、固体分を乾燥させて、ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体のアイオノマー(SH−1)を得た。
<実施例1〜6>
上記合成実験により得たポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体(SN−1)、又は、そのアイオノマー(SH−1)を、300℃に加熱して、表1に示す基材層Aの表面に直接押出し(押出コーティング法)、ポリマー層Bを形成し、ラミネーションして、実施例1〜6の積層フィルム1〜6を得た。積層フィルム1〜6におけるポリマー層Bの層厚は、いずれも50μmとした。
なお、表1中、「アルミ」はアルミニウム(Al)であり、「OPP」は、三井化学東セロ社製の二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
得られた各積層フィルムを用いて、以下に示す評価を行った。
<評価>
1.接着性
上記の通り、得られた積層フィルムを、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製:TP701S)を用い、シール温度200℃、シール時間30秒、接触圧0.06MPaにて、各積層フィルムの基材層Aとポリマー層Bとの接着性を評価した。評価結果は、表1に示す。接着性の評価基準は、下記のとおりである。
−評価基準−
○:基材Aとポリマー層Bとを手で引き剥がすことができない。
×:基材Aとポリマー層Bとを手で引き剥がすことができる。
2.耐熱性
上記ポリアクリル酸−ポリプロピレントリブロック共重合体(SN−1)、及び、そのアイオノマー(SH−1)の融点および凝固点を、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。DSCに用いた示差走査熱量測定機は、DSC Q100型(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)である。測定結果に基づいて、積層フィルムの耐熱性を評価した。
測定結果は、表2に示す。
表1からわかるように、実施例1〜実施例6の積層フィルムは、いずれも接着性評価が○であり、基材層Aとポリマー層Bとの接着性に優れていることがわかる。
本発明の積層体は、例えば食品、電子部品、日用品用の包装材料、レトルト食品用包装材料、食器、自動車用部品、床材、壁紙、手摺等の建築資材、土木資材、OA機器用部品、家庭電化製品用部品、その他電気部品、ケーブル用途、フレキシブル或いはリジッドなプリント基板材料、文具、玩具、雑貨、合わせガラスの中間膜、太陽電池の封止材などに応用できる。
また、本発明のポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)は単独で又はその他の重合体とブレンドして、食品、電子部品、日用品用の包装材料、レトルト食品用包装材料、食器、自動車用部品、床材、壁紙、手摺等の建築資材、土木資材、OA機器用部品、家庭電化製品用部品、その他電気部品、ケーブル用途、フレキシブル或いはリジッドなプリント基板材料、文具、玩具、雑貨、ゴルフボール、合わせガラスの中間膜、太陽電池の封止材などにも適用可能である。

Claims (5)

  1. 基材層(A)と、
    ポリプロピレンブロック(b1)とポリアクリル酸ブロック(b2)とを含む共重合体又は前記共重合体のアイオノマーを含有するポリマー層(B)と、
    を有する積層体。
  2. 前記共重合体が、b2−b1−b2型のトリブロック共重合体である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層(A)が、ポリオレフィン、金属、及びガラスから選ばれる少なくとも1つを用いた基材である請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 前記基材層(A)が、延伸ポリプロピレンフィルムである請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  5. フィルム又はシートである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018145245A (ja) * 2017-03-02 2018-09-20 株式会社三栄興業 炭素繊維複合材料

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