JP2013102249A - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光モード形状の急激な変化による光の散乱ロスを低減することの可能な半導体レーザの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体レーザの製造方法は、例えば、後に基板の切断箇所となる格子状の切断領域で囲まれた一の素子領域内において、後にリッジ部の形成箇所となる帯状のリッジ領域の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、リッジ領域から離れた領域であり、かつ少なくとも素子領域の外縁に溝部を設けたのち、溝部を含む上面に半導体層を形成する工程を含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、特に高出力の用途に好適な半導体レーザの製造方法に関する。
一般に、高出力半導体レーザでは、端面での再結合や光吸収の増大に伴う温度上昇によって突然破壊(Catastrophic Optical Damage:COD)が生じ易いことが知られている。このCODが高出力動作や高信頼性の妨げになっており、CODの発生を防ぐために、従来から、様々な改良がなされてきた。
例えば、そのうちの一つの手法として、端面付近の光密度を低減するという方法がある。例えば、特許文献1では、リッジ導波路型の半導体レーザにおいて、活性層からリッジ脇の表面までの厚さが、端面およびその近傍で厚く、リッジストライプの中央部分で薄くなっている。これにより、端面付近において、光スポットサイズが拡大し、光密度が減少するので、CODレベルを上昇させることができる。また、リッジストライプの中央部分においては、リッジ脇へのリーク電流を小さくすることができるので、閾値電流を低く抑えることができる。
特開2002−158402号公報
ところで、特許文献1では、上述したように、活性層からリッジ脇の表面までの厚さが、端面およびその近傍で厚く、リッジストライプの中央部分で薄くなっている。つまり、リッジストライプの延在方向において、リッジ脇の表面に段差が生じている。そのため、段差の前後で、横方向の屈折率差が異なっており、光モード形状に差異が生じるので、光モード形状が急激に変化する部分(つまり、段差の生じている部分)で光の散乱ロスが生じてしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、光モード形状の急激な変化による光の散乱ロスを低減することの可能な半導体レーザの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の半導体レーザの製造方法は、以下の4つの工程を含むものである。
(A1)基板上に、下部クラッド層および活性層を基板側から順に含む第1半導体層を形成する第1工程
(A2)第1半導体層の上面のうち、後に基板の切断箇所となる、格子状の切断領域で囲まれた一の素子領域内において、後にリッジ部の形成箇所となる帯状のリッジ領域の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、リッジ領域から離れた領域であり、かつ少なくとも素子領域の外縁に溝部を設ける第2工程
(A3)溝部を含む、第1半導体層の上面に、少なくとも上部クラッド層によって構成された第2半導体層を形成する第3工程
(A4)第2半導体層の上面のうちリッジ領域に対応する領域に絶縁層を形成し、絶縁層をマスクとして第2半導体層を選択的にエッチングする第4工程
本発明の第1の半導体レーザの製造方法では、溝部を含む、第1半導体層の上面に第2半導体層が形成される。このとき、第2半導体層において、溝部の周囲だけが自然と厚く形成されると共に、溝部から離れるにつれて滑らか、かつ緩やかに下るスロープが形成される。つまり、第2半導体層の形成に際して、リッジ領域の両脇には、不連続な構造が形成されていない。従って、その後、絶縁層をマスクとして第2半導体層を選択的にエッチングすることにより、リッジ部が形成されると共に、リッジ部の両側面に接する表面において連続した緩やかなスロープを有する高台部が形成される。これにより、リッジ脇の表面に段差が生じている場合と比べて、横方向屈折率分布の、共振器方向の変化が緩やかとなる。
本発明の第2の半導体レーザの製造方法は、以下の4つの工程を含むものである。
(B1)基板上に、下部クラッド層および活性層を基板側から順に含む第1半導体層を形成する第1工程
(B2)第1半導体層の上面のうち、後に基板の切断箇所となる格子状の切断領域で囲まれた一の素子領域内において、後にリッジ部の形成箇所となる帯状のリッジ領域の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、リッジ領域から離れた領域であり、かつ少なくとも素子領域の外縁に第1絶縁層を設ける第2工程
(B3)第1半導体層の上面のうち第1絶縁層以外の領域に、少なくとも上部クラッド層によって構成された第2半導体層を形成する第3工程
(B4)第2半導体層の上面のうちリッジ領域に対応する領域に第2絶縁層を形成し、第2絶縁層をマスクとして第2半導体層を選択的にエッチングする第4工程
本発明の第2の半導体レーザの製造方法では、第1半導体層の上面のうち第1絶縁層以外の領域に第2半導体層が形成される。このとき、第2半導体層において、第1絶縁層の周囲だけが自然と厚く形成されると共に、第1絶縁層から離れるにつれて滑らか、かつ緩やかに下るスロープが形成される。つまり、第2半導体層の形成に際して、リッジ領域の両脇には、不連続な構造が形成されていない。従って、その後、第2絶縁層をマスクとして第2半導体層を選択的にエッチングすることにより、リッジ部が形成されると共に、リッジ部の両側面に接する表面において連続した緩やかなスロープを有する高台部が形成される。これにより、リッジ脇の表面に段差が生じている場合と比べて、横方向屈折率分布の、共振器方向の変化が緩やかとなる。
本発明の第1および第2の半導体レーザの製造方法によれば、リッジ脇の表面に段差が生じている場合と比べて、横方向屈折率分布の、共振器方向の変化が緩やかとなる。これにより、光モード形状の急激な変化による光の散乱ロスを低減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザの斜視図である。 図1の半導体レーザの断面図である。 図1の半導体レーザの製造方法について説明するための上面図および断面図 である。 図3に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図4に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図5に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図6に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図6に続く工程について説明するための断面図である。 図1の半導体レーザの一変形例の斜視図である。 図1の半導体レーザの他の変形例の斜視図である。 図1の半導体レーザのその他の変形例の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザの斜視図である。 図12の半導体レーザの断面図である。 図12の半導体レーザの製造方法について説明するための上面図および断 面図である。 図14に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図15に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図16に続く工程について説明するための上面図および断面図である。 図12の半導体レーザの一変形例の斜視図である。 図18の半導体レーザの製造方法について説明するための上面図および断 面図である。 図12の半導体レーザの他の変形例の斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(溝部を利用して高台部を形成したケース)
2.第1の実施の形態の変形例(溝部・高台部の位置のバリエーション)
3.第2の実施の形態(絶縁層を利用して高台部を形成したケース)
4.第2の実施の形態の変形例(溝部・高台部の位置のバリエーション)
<第1の実施の形態>
[半導体レーザ1の構造]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ1の概略構成を斜視的に表したものである。図2(A)は図1の半導体レーザ1のA−A矢視方向の断面構成を、図2(B)は図1の半導体レーザ1のB−B矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。図2(C)は図1の半導体レーザ1のC−C矢視方向の断面構成を、図2(D)は図1の半導体レーザ1のD−D矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。なお、図1,図2(A)〜(D)は、模式的に表したものであり、実際の寸法,形状とは異なっている。
本実施の形態の半導体レーザ1は、後述の半導体層20を共振器方向(リッジ部25の延在方向)から一対の共振器端面(前端面S1および後端面S2)によって挟み込んだ構造となっている。従って、この半導体レーザ1は、いわゆる端面発光型の半導体レーザの一種である。この半導体レーザ1は、基板10上に、例えば、下部クラッド層21、活性層22、上部クラッド層23およびコンタクト層24を基板10側からこの順に含む半導体層20を備えたものである。なお、半導体層20には、上記した層以外の層(例えば、バッファ層、ガイド層、電子障壁層など)がさらに設けられていてもよい。
基板10は、例えばGaNなどのIII−V族窒化物半導体からなる。ここで、「III−V族窒化物半導体」とは、短周期型周期率表における3B族元素群のうちの少なくとも1種と、短周期型周期率表における5B族元素のうちの少なくともNとを含むものを指している。III−V族窒化物半導体としては、例えば、GaとNとを含んだ窒化ガリウム系化合物が挙げられる。窒化ガリウム系化合物には、例えば、GaN、AlGaN、AlGaInNなどが含まれる。III−V族窒化物半導体には、必要に応じてSi、Ge、O、SeなどのIV族またはVI族元素のn型不純物、または、Mg、Zn、CなどのII族またはIV族元素のp型不純物がドープされている。
半導体層20は、例えば、III−V族窒化物半導体を主に含んで構成されている。下部クラッド層21は、例えばAlGaNにより構成されている。活性層22は、例えば、組成比の互いに異なるGaInNによりそれぞれ形成された井戸層およびバリア層を交互に積層してなる多重量子井戸構造となっている。上部クラッド層23は、例えばAlGaNにより構成されている。コンタクト層24は、例えばGaNにより構成されている。
半導体層20の上部、具体的には、上部クラッド層23の上部およびコンタクト層24には、帯状のリッジ部25が形成されている。リッジ部25は、例えば、半導体層20の積層方向から見たときに直線状となっている。このリッジ部25は、半導体層20のうち、リッジ部25の両脇の部分と共に、光導波路を構成しており、横方向(共振器方向と直交する方向)の屈折率差を利用して横方向の光閉じ込めを行うと共に、半導体層20へ注入される電流を狭窄するものである。活性層22のうち上述の光導波路の直下の部分が、電流注入領域に対応しており、この電流注入領域が発光領域22Aとなる。
半導体層20には、リッジ部25をリッジ部25の延在方向から挟み込む一対の前端面S1および後端面S2が形成されている。これら前端面S1および後端面S2は、切断によって形成されたものであり、例えばへき開によって形成されたへき開面である。前端面S1および後端面S2によって積層面内方向に共振器が構成されている。前端面S1はレーザ光を射出する面であり、前端面S1の表面には多層反射膜(図示せず)が形成されている。一方、後端面S2はレーザ光を反射する面であり、後端面S2の表面にも多層反射膜(図示せず)が形成されている。後端面S2側の多層反射膜は、当該多層反射膜と後端面S2とにより構成される射出側端面の反射率が例えば10%程度となるように調整された低反射率膜である。一方、前端面S1側の多層反射膜は、当該多層反射膜と後端面S2とにより構成される反射側端面の反射率が例えば95%程度となるように調整された高反射率膜である。
なお、本実施の形態のリッジ部25とリッジ部25の両脇の部分(後述の高台部27)が本発明の「光導波路」の一具体例に相当する。また、本実施の形態の一対の前端面S1および後端面S2が本発明の「一対の共振器端面」の一具体例に相当している。
リッジ部25の上面(コンタクト層24の表面)には上部電極28が設けられている。この上部電極28は、例えばTi、Pt、Auをこの順に積層して構成されており、コンタクト層24と電気的に接続されている。一方、基板10の裏面には下部電極29が設けられている。この下部電極29は、例えばAuとGeとの合金,NiおよびAuを基板10側から順に積層して構成されており、基板10と電気的に接続されている。
また、本実施の形態では、例えば、半導体層20のうち、リッジ部25の両脇(リッジ部25の裾野)の部分に、両端面(前端面S1および後端面S2)付近の光密度を低減する構造が設けられている。具体的には、例えば、図1に示したように、半導体層20の上面に、溝部26と高台部27が設けられている。
溝部26は、リッジ部25の両脇のうち少なくとも一方に設けられている。さらに、溝部26は、少なくとも一の端面(前端面S1または後端面S2)の近傍に設けられている。なお、溝部26は、少なくとも一の端面に接して設けられていてもよい。溝部26は、例えば、図1に示したように、リッジ部25の両脇のうち片側にだけ設けられている。また、溝部26は、例えば、図1に示したように、前端面S1近傍から後端面S2近傍にかけて設けられており(延在しており)、前端面S1および後端面S2に接して設けられている。
溝部26は、前端面S1および後端面S2の近傍において、リッジ部25の延在方向と交差する方向に延在しており、具体的には、リッジ部25の端部(延在方向の端部)に近づくにつれてリッジ部25との間隙が小さくなる方向に延在している。言い換えると、溝部26が、前端面S1および後端面S2の近傍において、端面から遠ざかるにつれてリッジ部25から遠ざかっている。さらに、溝部26は、前端面S1および後端面S2から離れた部分において、リッジ部25から離れた部位に設けられている。つまり、本実施の形態では、溝部26は、半導体層20の上面の面内において、リッジ部25とは反対側に突出した弓形状となっている。溝部26は、図1、図2(C)、図2(D)に示したように、半導体層20の上面側から下部クラッド層21に達する深さとなっており、活性層22を貫通している。
高台部27は、溝部26に沿った領域、すなわち溝部26の両脇に設けられている。高台部27の両端部は、溝部26に近接する(もしくは接する)共振器端面(前端面S1および後端面S2)およびその近傍において、リッジ部25の両端部の両側面に接して設けられている。一方、高台部27のうち両端部以外の部分は、リッジ部25から離れて設けられており、リッジ部25に接していない。つまり、本実施の形態では、高台部27は、溝部26と同様、半導体層20の上面の面内において、リッジ部25とは反対側に突出した弓形状となっている。
高台部27のうち前端面S1およびその近傍において、活性層22から、リッジ部25の両側面に接する表面までの厚さH1が、前端面S1側で厚くなっており、リッジ部25の中央側で薄くなっている。同様に、高台部27のうち後端面S2およびその近傍において、活性層22から、リッジ部25の両側面に接する表面までの厚さH1が、後端面S2側で厚く、リッジ部25の中央側で薄くなっている。つまり、高台部27では、溝部26に近接する(もしくは接する)共振器端面(前端面S1および後端面S2)およびその近傍において、厚さH1が、共振器端面側で厚くなっており、リッジ部25の中央側で薄くなっている。
さらに、高台部27のうち前端面S1の近傍において、前端面S1側の厚い部分27−1からリッジ部25の中央側の薄い部分27−2にかけて、厚さH1が連続的に変化している。つまり、高台部27は、前端面S1側の厚い部分27−1からリッジ部25の中央側の薄い部分27−2にかけて、緩やかに傾斜する傾斜面27Aとなっており、選択エッチなどによって生じるような段差を有していない。同様に、高台部27のうち後端面S2の近傍において、後端面S2側の厚い部分27−1からリッジ部25の中央側の薄い部分27−2にかけて、厚さH1が連続的に変化している。つまり、高台部27は、後端面S2側の厚い部分27−1からリッジ部25の中央側の薄い部分27−2にかけて、緩やかに傾斜する傾斜面27Aとなっており、選択エッチなどによって生じるような段差を有していない。これにより、リッジ部25とリッジ部25の両脇の部分(高台部27)とを含む光導波路において、両端面近傍の横方向屈折率分布が、共振器方向の中央部分の横方向屈折率分布よりもなだらかとなっている。以下、リッジ部25とリッジ部25の両脇の部分とを含む光導波路のことを単に光導波路と称するものとする。
なお、高台部27の両端部は、図1に示したように、前端面S1および後端面S2の近傍において、リッジ部25の両端部の両脇だけでなく、リッジ部25の両端部の直下にも設けられている。そのため、リッジ部25は、図1、図2(A)〜(D)に示したように、半導体層20の積層面内方向から見ると、リッジ部25の端部近傍において積層方向にうねりを有している。リッジ部25の「うねり」の部分は、リッジ部25の延在方向に緩やかに傾斜する傾斜面25Aとなっており、選択エッチなどによって生じるような段差を有していない。なお、リッジ部25そのものの厚さはリッジ部25の部位に寄らず、ほぼ一定である。
[半導体レーザ1の製造方法]
このような構成を有する半導体レーザ1は、例えば次のようにして製造することができる。
図3(A),図4(A),図5(A),図6(A),図7(A)は、製造過程におけるウェハ100の上面構成を表したものである。図3(B)は図3(A)のA−A矢視方向の断面構成を、図4(B)は図4(A)のA−A矢視方向の断面構成を、図5(B)は図5(A)のA−A矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。図6(B)は図6(A)のA−A矢視方向の断面構成を、図7(B)は図7(A)のA−A矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。また、図3(A),図4(A),図5(A)中で黒く塗りつぶした帯状の領域は、後にリッジ部25の形成箇所となる帯状のリッジ領域110に対応した領域である。図3(A)〜図7(C)中に示した破線は、後にウェハ100(基板10D)の切断箇所となる、格子状のレイアウトを有する切断領域120に対応した領域である。
まず、基板10Dの表面を例えばサーマルクリーニングにより清浄する。なお、基板10Dの末尾に付されたDは、チップ状の半導体レーザ1の製造過程において最終的に基板10となる前の状態であることを意味しており、さらに基板10Dが基板10と同一の材料によって構成されていることを意味している。以下、末尾にDが付されているものにおいても、Dは上記と同様のことを意味するものとする。
次に、清浄された基板10D上に、例えばMOCVD法により、例えば、下部クラッド層21D、活性層22D、上部クラッド層23Aを順次成長させて、半導体層31(第1半導体層)を形成する(図3(A),(B))。なお、上部クラッド層23Aは、例えば、上部クラッド層23と同一材料で構成された薄い半導体層であり、最終的には後述の上部クラッド層23Bと共に上部クラッド層23となる半導体層である。また、半導体層31を形成するに際して、活性層22Dと上部クラッド層23Aとの間に、例えば、電子のオーバーフローを抑制する電子障壁層(図示せず)を形成してもよい。また、必要に応じて、他の層を追加したり、上部クラッド層23Aを省略したりしてもよい。
次に、半導体層31の上面のうち切断領域120で囲まれた一の素子領域130内において、リッジ領域110の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、リッジ領域110から離れた領域であり、かつ少なくとも素子領域130の外縁に溝部140を形成する。例えば、図4(A),(B)に示したように、切断領域120のうち素子領域130を間にして互いに対向する一対の領域を一対の辺領域120Aとしたときに、一方の辺領域120Aの近傍から他方の辺領域120Aの近傍にかけて延在するように、溝部140を形成する。
図4(A),(B)には、溝部140が一の素子領域130だけでなく、辺領域120Aに接する他の素子領域130にも連続して形成されている場合、すなわち、溝部140が辺領域120Aをまたいで形成されている場合が例示されている。なお、溝部140が複数の素子領域130に形成されている場合に、溝部140が辺領域120Aをまたいでいなくてもよい。すなわち、溝部140が、辺領域120Aに接しないで、素子領域130内にだけ形成されていてもよい。
さらに、上記の工程において、例えば、図4(A),(B)に示したように、辺領域120Aの近傍において、切断領域120に近づくにつれてリッジ領域110との間隙(距離)が小さくなる方向に延在するように、溝部140を形成する。なお、溝部140は、最終的には溝部26となるものである。ここで、溝部140は、後に半導体層32を積層する際に、溝部140が埋まってしまわない程度の深さとなっており、その深さは、例えば、1〜3μm程度となっている。
次に、溝部140を含む、半導体層31の上面に、少なくとも上部クラッド層23Bによって構成された半導体層32(第2半導体層)を形成する。例えば、図5(A)〜(C)に示したように、溝部140を含む、半導体層31の上面に、上部クラッド層23Bおよびコンタクト層24Dを順次成長させて、半導体層32を形成する。なお、上部クラッド層23Bは、例えば、上部クラッド層23と同一材料で構成された半導体層であり、上述の上部クラッド層23Aと共に最終的に上部クラッド層23となる半導体層である。このとき、半導体層32において、溝部140の周囲だけが自然と厚く形成されると共に、溝部140から離れるにつれて滑らか、かつ緩やかに下る傾斜面33が形成される。つまり、半導体層32の形成に際して、リッジ領域110の両脇には、不連続な構造が形成されていない。このように溝部140の周囲だけが自然と厚く形成されるのは、溝部140内の斜面での結晶成長レートが他の部分と比べて遅く、溝部140の近傍へIII族元素の流入が生じるためである。
次に、半導体層32の上面のうちリッジ領域110に対応する領域に帯状の絶縁層150を形成する(図6(A)〜(C))。絶縁層150は、図6(A)〜(C)に示したように、一の素子領域130だけでなく、辺領域120Aに接する他の素子領域130にも連続して形成されていてもよい。続いて、絶縁層150をマスクとして半導体層32を選択的にエッチングする(図7(A)〜(C))。これにより、半導体層32のうち絶縁層150直下の部分に、リッジ部25Dが形成される。さらに、先の工程で自然と厚く形成された溝部140の周囲においては、自然と厚く形成された分だけエッチ残し量が厚くなる。その結果、辺領域120Aの近傍においてリッジ部25Dの両側面に接し、かつ、それ以外の領域においてリッジ部25Dから離れるように、高台部27Dが形成される。
ここで、高台部27Dは、溝部140に沿った領域のうち少なくとも素子領域130の外縁において、リッジ部25Dの両側面に接して形成されており、さらに、リッジ部25Dの両脇だけでなく、リッジ部25Dのうち素子領域130の外縁に対応する部分の直下にも形成されている。図8には、高台部27Dが、リッジ部25Dのうち素子領域130の外縁に対応する部分の直下だけでなく、リッジ部25Dのうち辺領域120Aの直下の部分にも形成されている場合が例示されている。なお、図8は、図7(A)のC−C矢視方向の断面構成を表したものであり、リッジ部25Dの両側面に接する表面をリッジ部25Dの延在方向で切断したときの断面構成を表したものである。
高台部27Dのうちリッジ部25Dの両側面に接している部分では、活性層22Dからリッジ部25Dの両側面に接する表面までの厚さH1が切断領域120(辺領域120A)寄りで厚く、素子領域130の中央寄りで薄くなっている。さらに、高台部27Dでは、切断領域120(辺領域120A)寄りの厚い部分27−1(図8参照)から素子領域130の中央寄りの薄い部分27−2(図8参照)にかけて厚さH1が連続的に変化している。つまり、高台部27Dには、リッジ部25Dの両側面に接する表面において連続した緩やかな傾斜面27Aが形成されている。
次に、図示しないが、絶縁層150を除去したのち、リッジ部25の上面に上部電極28を形成する。さらに、必要に応じてラッピングなどにより基板10の厚さを適宜調節したのち、基板10の裏面に下部電極29を形成する。続いて、辺領域120Aに対応する線上で、基板10をへき開して、ウェハ100をバー状にする。これにより、へき開した面のうち一方の面が前端面S1となり、へき開した面のうち他方の面が後端面S2となる。その後、前端面S1および後端面S2に多層反射膜を形成する。最後に、バー状のウェハ100をダイシングする。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ1が製造される。
[半導体レーザ1の作用・効果]
次に、本実施の形態の半導体レーザ1の作用および効果について説明する。
本実施の形態の半導体レーザ1では、上部電極28および下部電極29に所定の電流が供給されると、リッジ部25により電流狭窄された電流が活性層22の電流注入領域(発光領域22A)に注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光は、前端面S1および後端面S2に形成された多層反射膜により反射され、所定の波長でレーザ発振を生じ、前端面S1側からビームとして外部に射出される。
ところで、本実施の形態では、光導波路の横方向の光閉じ込めは、リッジ部25の等価屈折率n1と、リッジ部25脇の等価屈折率n2の差Δn(=n1−n2)によって決まる。リッジ部25内の屈折率n1は、エピ層構造により決まるので、端面付近と共振器方向の中央部分とで同一である。一方、リッジ部25脇については、高台部27の存在により、等価屈折率n2の値が共振器方向において異なる。具体的には、高台部27はリッジ部25の両端部の両側面に接している。そして、その部分において、活性層22からリッジ部25の両側面に接する表面までの厚さH1が共振器端面側(厚い部分27−1)で厚く、リッジ部25の中央側(薄い部分27−2)で薄くなっている。
これにより、リッジ部25の両端部において、共振器端面側の屈折率の差Δnの方が、リッジ部25の中央側の屈折率の差Δnよりも小さくなっており、共振器端面側の横方向屈折率分布の方が、リッジ部25の中央側の横方向屈折率分布よりも緩やかとなっている。その結果、端面付近において、光スポットサイズが拡大し、光密度が減少するので、CODレベルを上昇させることができる。また、リッジ部25の中央部分においては、リッジ脇へのリーク電流を小さくすることができるので、閾値電流を低く抑えることができる。さらに、端面付近においてリッジ残し量が厚くなっていることから、製造過程において、ドライエッチングによる活性層22へのダメージが低減し、信頼性が向上する。
また、本実施の形態では、高台部27において、共振器端面寄りの厚い部分27−1からリッジ部25の中央寄りの薄い部分27−2にかけて緩やかな傾斜面27Aが形成されており、厚さH1が連続的に変化している。これにより、横方向屈折率分布が、厚い部分27−1から薄い部分27−2にかけて、傾斜面27Aの緩やかさに応じた緩やかさで連続して変化している。従って、リッジ脇の表面に段差が生じている従来の場合と比べて、横方向屈折率分布の、共振器方向の変化が緩やかとなり、光モード形状の、共振器方向の変化についても緩やかとなる。その結果、光モード形状の、共振器方向の変化に起因する光の散乱ロスを低減することができる。
また、本実施の形態では、製造過程において、溝部140を含む、半導体層31の上面に半導体層32を形成するに際して、半導体層31の上面に溝部140が設けられていない場合と同様の条件で半導体層32を形成することが可能である。従って、半導体層31の上面に設けられた溝部140に起因して、結晶欠陥が増えることがないので、CODレベルが低下する虞がない。
なお、特開2002−158402号公報では、結晶成長前の基板に絶縁膜パターンを形成し、端面相当部分の付近のみ活性層のバンドギャップを大きくすることにより、端面付近において、光吸収が減少し、CODレベルを上昇させることができるとしている。しかし、そのようにした場合には、絶縁膜付近の成長条件(例えばV/III比など)が通常条件から大きくずれる。従って、上記特許文献に記載の方法では、かえって結晶欠陥が増え、CODレベルが低下してしまうという問題がある。
<第1の実施の形態の変形例>
上記実施の形態では、溝部26および高台部27が共に、前端面S1から後端面S2にかけて設けられている場合が例示されていたが、例えば、図9に示したように、前端面S1側にだけ設けられていてもよい。また、上記実施の形態では、溝部26がリッジ部25の両脇のうち片側にだけ設けられている場合が例示されていたが、例えば、図10に示したように、リッジ部25の両脇に設けられていてもよい。このようにした場合には、高台部27が、リッジ部25の両脇において、前端面S1から後端面S2にかけて設けられる。また、例えば、図11に示したように、溝部26および高台部27がリッジ部25の両脇に設けられると共に、前端面S1側にだけ設けられていてもよい。
図9、図11に示したように、溝部26および高台部27を、前端面S1側にだけ設ける場合には、製造過程において、まず、素子領域130の外縁にだけ溝部140を形成する。続いて、溝部140を含む表面に、半導体層32を形成したのち、リッジ領域110に対応して絶縁層150を形成し、この絶縁層150をマスクとして半導体層32を選択的にエッチングする。このようにして、素子領域130の外縁のうち溝部130の形成されている領域の近傍においてリッジ部25Dの両側面に接するように、高台部27Dを形成すればよい。
<第2の実施の形態>
[半導体レーザ2の構造]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ2の概略構成を斜視的に表したものである。図13(A)は図12の半導体レーザ2のA−A矢視方向の断面構成を、図13(B)は図12の半導体レーザ2のB−B矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。図13(C)は図12の半導体レーザ2のC−C矢視方向の断面構成を、図13(D)は図12の半導体レーザ2のD−D矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。なお、図12,図13(A)〜(D)は、模式的に表したものであり、実際の寸法,形状とは異なっている。
本実施の形態の半導体レーザ2は、上記実施の形態の溝部26とは異なる深さの溝部36を備えている点で、上記実施の形態の半導体レーザ1の構成と相違する。また、この半導体レーザ2の製造方法についても、上記実施の形態の製造方法とは異なっている。そこで、以下では、上記実施の形態との相違点について主に説明し、上記実施の形態との共通点についての説明を適宜省略するものとする。
溝部36は、リッジ部25の両脇のうち少なくとも一方に設けられている。さらに、溝部36は、少なくとも一の端面(前端面S1または後端面S2)の近傍に設けられている。なお、溝部36は、少なくとも一の端面に接して設けられていてもよい。溝部36は、例えば、図12に示したように、リッジ部25の両脇に設けられている。また、溝部26は、例えば、図12に示したように、前端面S1近傍と、後端面S2近傍とにだけ設けられており、前端面S1および後端面S2に接して設けられている。つまり、溝部36は、前端面S1および後端面S2から遠く離れた部位に設けられていない。
溝部36は、前端面S1および後端面S2の近傍において、例えば、リッジ部25の延在方向と平行な方向に延在している。なお、溝部36が、前端面S1および後端面S2の近傍において、共振器端面に近づくにつれてリッジ部25との間隙(距離)が小さくなる方向に延在していてもよい。溝部36は、図12、図13(C)に示したように、半導体層20の上面側から活性層22の手前まで達する深さとなっており、活性層22を貫通していない。
本実施の形態では、高台部27は、溝部36に沿った領域、すなわち溝部36の両脇に設けられている。高台部27は、溝部36に近接する(もしくは接する)共振器端面(前端面S1および後端面S2)およびその近傍において、リッジ部25の両端部の両側面に接して設けられている。なお、本実施の形態では、共振器端面(前端面S1および後端面S2)から遠く離れた部位に溝部36が存在していないことから、高台部27についても、共振器端面(前端面S1および後端面S2)から遠く離れた部位には存在していない。つまり、高台部27についても、溝部36と同様、前端面S1近傍と、後端面S2近傍とにだけ設けられている。
なお、高台部27の厚さH1については、上記実施の形態と同様、共振器端面(前端面S1,後端面S2)側で厚くなっており、リッジ部25の中央側で薄くなっている。また、高台部27は、共振器端面側の厚い部分27−1からリッジ部25の中央側の薄い部分27−2にかけて、緩やかに傾斜する傾斜面27Aとなっており、選択エッチなどによって生じるような段差を有していない。従って、リッジ部25とリッジ部25の両脇の部分(高台部27)とを含む光導波路において、両端面近傍の横方向屈折率分布が、共振器方向の中央部分の横方向屈折率分布よりもなだらかとなっている。
また、高台部27の両端部は、上記実施の形態と同様、前端面S1および後端面S2の近傍において、リッジ部25の両端部の両脇だけでなく、リッジ部25の両端部の直下にも設けられている。そのため、リッジ部25は、図12、図13(A)〜(C)に示したように、半導体層20の積層面内方向から見ると、リッジ部25の端部近傍において積層方向にうねりを有している。リッジ部25の「うねり」の部分は、リッジ部25の延在方向に緩やかに傾斜する傾斜面25Aとなっており、選択エッチなどによって生じるような段差を有していない。なお、リッジ部25そのものの厚さはリッジ部25の部位に寄らず、ほぼ一定である。
[半導体レーザ2の製造方法]
このような構成を有する半導体レーザ2は、例えば次のようにして製造することができる。
図14(A),図15(A),図16(A),図17(A)は、製造過程におけるウェハ100の上面構成を表したものである。図14(B)は図14(A)のA−A矢視方向の断面構成を、図15(B)は図15(A)のA−A矢視方向の断面構成を、図16(B)は図16(A)のA−A矢視方向の断面構成をそれぞれ表したものである。図17(B)は図17(A)のA−A矢視方向の断面構成を、表したものである。また、図14(A),図15(A),図16(A),図17(A)中で黒く塗りつぶした帯状の領域は、後にリッジ部25の形成箇所となる帯状のリッジ領域110に対応した領域である。図14(A)〜図17(C)中に示した破線は、後にウェハ100(基板10D)の切断箇所となる、格子状のレイアウトを有する切断領域120に対応した領域である。
まず、上記実施の形態と同様にして、基板10D上に、例えばMOCVD法により、例えば、半導体層31(第1半導体層)を形成する(図3(A),(B)引用)。次に、半導体層31の上面のうち切断領域120で囲まれた一の素子領域130内において、リッジ領域110の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、リッジ領域110から離れた領域であり、かつ少なくとも素子領域130の外縁に絶縁層210(第1絶縁層)を形成する。例えば、図14(A),(B)に示したように、一方の辺領域120Aおよびその近傍と、他方の辺領域120Aおよびその近傍とに絶縁層210を形成する。つまり、素子領域130の外縁にだけ絶縁層210を形成する。
図14(A),(B)には、絶縁層210が一の素子領域130だけでなく、辺領域120Aに接する他の素子領域130にも連続して形成されている場合、すなわち、絶縁層210が辺領域120Aをまたいで形成されている場合が例示されている。なお、絶縁層210が複数の素子領域130に形成されている場合に、絶縁層210が辺領域120Aをまたいでいなくてもよい。すなわち、絶縁層210が、辺領域120Aに接しないで、素子領域130内にだけ形成されていてもよい。
さらに、上記の工程において、例えば、図14(A),(B)に示したように、辺領域120Aの近傍において、リッジ領域110との間隙(距離)が一定となる方向(つまりリッジ領域110の延在方向と平行な方向)に延在するように絶縁層210を形成する。なお、切断領域120に近づくにつれてリッジ領域110との間隙(距離)が小さくなる方向に延在するように、絶縁層210を形成してもよい。
次に、半導体層31の上面のうち絶縁層210以外の領域に、少なくとも上部クラッド層23Bによって構成された半導体層32(第2半導体層)を形成する。例えば、図15(A)〜(C)に示したように、半導体層31の上面のうち絶縁層210以外の領域に、上部クラッド層23Bおよびコンタクト層24Dを順次成長させて、半導体層32を形成する。このとき、半導体層32において、絶縁層210の周囲だけが自然と厚く形成されると共に、絶縁層210の直上に溝部220が形成される。さらに、絶縁層210(溝部220)から離れるにつれて滑らか、かつ緩やかに下る傾斜面33が形成される。つまり、半導体層32の形成に際して、リッジ領域110の両脇には、不連続な構造が形成されていない。このように溝部220の周囲だけが自然と厚く形成されるのは、絶縁層210の表面には結晶がほとんど成長せず、絶縁層210の近傍へIII族元素の流入が生じるためである。
次に、半導体層32の上面のうちリッジ領域110に対応する領域に帯状の絶縁層150を形成する(図16(A)〜(C))。絶縁層150は、図16(A)〜(C)に示したように、一の素子領域130だけでなく、辺領域120Aに接する他の素子領域130にも連続して形成されていてもよい。続いて、絶縁層150をマスクとして半導体層32を選択的にエッチングする(図17(A)〜(C))。これにより、半導体層32のうち絶縁層150直下の部分に、リッジ部25Dが形成されると共に、先の工程で自然と厚く形成された絶縁層210の周囲においては、自然と厚く形成された分だけエッチ残し量が厚くなる。その結果、辺領域120Aの近傍においてリッジ部25Dの両側面に接し、かつ、それ以外の領域においてリッジ部25Dから離れるように、高台部27Dが形成される。
ここで、高台部27Dは、絶縁層210(溝部220)に沿った領域のうち少なくとも素子領域130の外縁において、リッジ部25Dの両側面に接して形成されており、さらに、リッジ部25Dの両脇だけでなく、リッジ部25Dのうち素子領域130の外縁に対応する部分の直下にも形成されている。本実施の形態においても、例えば、図8に示したように、高台部27Dが、リッジ部25Dのうち素子領域130の外縁に対応する部分の直下だけでなく、リッジ部25Dのうち辺領域120Aの直下の部分にも形成される。
高台部27Dのうちリッジ部25Dの両側面に接している部分では、活性層22Dからリッジ部25Dの両側面に接する表面までの厚さH1が切断領域120(辺領域120A)寄りで厚く、素子領域130の中央寄りで薄くなっている。さらに、高台部27Dでは、切断領域120(辺領域120A)寄りの厚い部分27−1(図8参照)から素子領域130の中央寄りの薄い部分27−2(図8参照)にかけて厚さH1が連続的に変化している。つまり、高台部27Dには、リッジ部25Dの両側面に接する表面において連続した緩やかな傾斜面27Aが形成されている。
次に、絶縁層150を除去したのち、リッジ部25の上面に上部電極28を形成する。さらに、必要に応じてラッピングなどにより基板10の厚さを適宜調節したのち、基板10の裏面に下部電極29を形成する。続いて、辺領域120Aに対応する線上で、基板10をへき開して、ウェハ100をバー状にする。これにより、へき開した面のうち一方の面が前端面S1となり、へき開した面のうち他方の面が後端面S2となる。その後、前端面S1および後端面S2に多層反射膜を形成する。最後に、バー状のウェハ100をダイシングする。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ2が製造される。
[半導体レーザ2の作用・効果]
次に、本実施の形態の半導体レーザ2の作用および効果について説明する。
上記の実施の形態と同様、上部電極28および下部電極29に所定の電流が供給されると、リッジ部25により電流狭窄された電流が活性層22の電流注入領域(発光領域22A)に注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光は、前端面S1および後端面S2に形成された多層反射膜により反射され、所定の波長でレーザ発振を生じ、前端面S1側からビームとして外部に射出される。
ところで、本実施の形態においても、上記の実施の形態と同様、高台部27はリッジ部25の両端部の両側面に接している。そして、その部分において、活性層22からリッジ部25の両側面に接する表面までの厚さH1が共振器端面側(厚い部分27−1)で厚く、リッジ部25の中央側(薄い部分27−2)で薄くなっている。これにより、リッジ部25の両端部において、共振器端面側の屈折率の差Δnの方が、リッジ部25の中央側の屈折率の差Δnよりも小さくなっており、共振器端面側の横方向屈折率分布の方が、リッジ部25の中央側の横方向屈折率分布よりも緩やかとなっている。これにより、端面付近において、光スポットサイズが拡大し、光密度が減少するので、CODレベルを上昇させることができる。リッジ部25の中央部分においては、リッジ脇へのリーク電流を小さくすることができるので、閾値電流を低く抑えることができる。さらに、端面付近においてリッジ残し量が厚くなっていることから、製造過程において、ドライエッチングによる活性層22へのダメージが低減し、信頼性が向上する。
また、本実施の形態においても、高台部27において、共振器端面寄りの厚い部分27−1からリッジ部25の中央寄りの薄い部分27−2にかけて緩やかな傾斜面27Aが形成されており、厚さH1が連続的に変化している。これにより、横方向屈折率分布が、厚い部分27−1から薄い部分27−2にかけて、傾斜面27Aの緩やかさに応じた緩やかさで連続して変化している。従って、リッジ脇の表面に段差が生じている従来の場合と比べて、横方向屈折率分布の、共振器方向の変化が緩やかとなり、光モード形状の、共振器方向の変化についても緩やかとなる。その結果、光モード形状の、共振器方向の変化に起因する光の散乱ロスを低減することができる。
また、本実施の形態では、製造過程において、半導体層31の上面に半導体層32を形成するに際して、半導体層31の上面に絶縁層210が設けられていない場合と同様の条件で半導体層32を形成することが可能である。従って、半導体層31の上面に設けられた絶縁層210に起因して、結晶欠陥が増えることがないので、CODレベルが低下する虞がない。
<第2の実施の形態の変形例>
上記第2の実施の形態では、溝部26および高台部27が共に、前端面S1近傍と、後端面S2近傍とにだけ設けられている場合が例示されていたが、例えば、図18に示したように、溝部26だけが、一方の端面(前端面S1)近傍にだけ設けられていてもよい。このような構成は、例えば、製造過程において、以下のようにすることにより形成可能である。例えば、図19(A),(B)に示したように、まず、絶縁層210を辺領域120Aの一方の側にだけ形成する。次に、図示しないが、半導体層31上に半導体層32を形成したのち、選択エッチによりリッジ部25および高台部27を形成する。ところで、絶縁層210を辺領域120Aの一方の側にだけ形成するのは、例えば、基板10Dが傾斜基板(オフ基板)となっている場合に、半導体層31上に半導体層32を形成するに際して、絶縁層210の周囲の厚さが不均一となることがあり、その不均一性を考慮して、絶縁層210の位置を調整したためである。従って、絶縁層210の中央を常に、辺領域120A上に配置するとは限らず、必要に応じて、図19(A),(B)に示したように、辺領域120Aの一方の側にずらして配置することもある。
また、上記実施の形態では、溝部26および高台部27が共に、前端面S1近傍と、後端面S2近傍とにだけ設けられている場合が例示されていたが、例えば、双方が一方の端面(前端面S1)近傍にだけ設けられていてもよい。また、例えば、図20に示したように、双方が前端面S1から後端面S2にかけて設けられていてもよい。ただし、このようにした場合には、溝部26および高台部27は、前端面S1および後端面S2の近傍において、リッジ部25の端部(延在方向の端部)に近づくにつれてリッジ部25との間隙が小さくなる方向に延在していることが好ましい。さらに、溝部26および高台部27は、前端面S1および後端面S2から離れた部分において、リッジ部25から離れた部位に設けられていることが好ましい。つまり、本変形例では、溝部26および高台部27は、半導体層20の上面の面内において、リッジ部25とは反対側に突出した弓形状となっていることが好ましい。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、半導体レーザ1,2がリッジ部25を1つだけ備えている場合について説明していたが、複数備えていてもよい。
また、上記実施の形態等では、窒化ガリウム系の半導体レーザを例にして本発明を説明したが、他の化合物半導体レーザ、例えば、例えば、GaInAsP系などの赤色半導体レーザ、ZnCdMgSSeTeなどのII−VI族の半導体レーザにも適用可能である。また、AlGaAs系、InGaAs系、InP系、GaInAsNP系などの、発振波長が可視域とは限らないような半導体レーザにも適用可能である。
1,2…半導体レーザ、10,10D…基板、20,31,32…半導体層、21,21D…下部クラッド層、22,22D…活性層、22A…発光領域、23,23A,23B,23D…上部クラッド層、24,24D…コンタクト層、25,25D…リッジ部、25A,27A,33…傾斜面、26,36,140,220…溝部、27,27D…高台部、27−1…高い部分、27−2…低い部分、28…上部電極、29…下部電極、100…ウェハ、110…リッジ領域、120…切断領域、120A…辺領域、130…素子領域、150,210…絶縁層、S1…前端面、S2…後端面、W1…間隙(距離)。

Claims (10)

  1. 基板上に、下部クラッド層および活性層を前記基板側から順に含む第1半導体層を形成する第1工程と、
    前記第1半導体層の上面のうち、後に前記基板の切断箇所となる格子状の切断領域で囲まれた一の素子領域内において、後にリッジ部の形成箇所となる帯状のリッジ領域の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、前記リッジ領域から離れた領域であり、かつ少なくとも前記素子領域の外縁に溝部を設ける第2工程と、
    前記溝部を含む、前記第1半導体層の上面に、少なくとも上部クラッド層によって構成された第2半導体層を形成する第3工程と、
    前記第2半導体層の上面のうち前記リッジ領域に対応する領域に絶縁層を形成し、前記絶縁層をマスクとして前記第2半導体層を選択的にエッチングする第4工程と
    を含む半導体レーザの製造方法。
  2. 前記第4工程のエッチングにより、前記第2半導体層に前記リッジ部を形成すると共に、前記素子領域の外縁において、前記リッジ部の両側面に接し、さらに、前記活性層から前記第2半導体層の表面までの厚さが前記切断領域寄りで厚く、前記素子領域の中央寄りで薄くなっており、前記切断領域寄りの厚い部分から前記素子領域の中央寄りの薄い部分にかけて連続的に変化している高台部を形成する
    請求項1に記載の半導体レーザの製造方法。
  3. 前記第2工程において、前記素子領域の外縁において、前記リッジ領域の延在方向と平行な方向に延在しているか、または前記切断領域に近づくにつれて前記リッジ領域との間隙が小さくなる方向に延在するように、前記溝部を形成する
    請求項1または請求項2に記載の半導体レーザの製造方法。
  4. 前記第2工程において、前記素子領域の外縁にだけ前記溝部を形成し、
    前記第4工程において、前記素子領域の外縁のうち前記溝部の形成されている領域の近傍において前記リッジ部の両側面に接するように、前記高台部を形成する
    請求項2または請求項3に記載の半導体レーザの製造方法。
  5. 前記切断領域のうち、前記素子領域を間にして互いに対向する一対の領域を一対の辺領域としたときに、
    前記第2工程において、一方の辺領域の近傍から他方の辺領域の近傍にかけて延在すると共に、前記辺領域の近傍において、前記切断領域に近づくにつれて前記リッジ領域との間隙が小さくなる方向に延在するように、前記溝部を形成し、
    前記第4工程において、前記辺領域の近傍において前記リッジ部の両側面に接し、かつ、それ以外の領域において前記リッジ部から離れるように、前記高台部を形成する
    請求項2または請求項3に記載の半導体レーザの製造方法。
  6. 基板上に、下部クラッド層および活性層を前記基板側から順に含む第1半導体層を形成する第1工程と、
    前記第1半導体層の上面のうち、後に前記基板の切断箇所となる格子状の切断領域で囲まれた一の素子領域内において、後にリッジ部の形成箇所となる帯状のリッジ領域の両脇のうち少なくとも一方の領域であって、前記リッジ領域から離れた領域であり、かつ少なくとも前記素子領域の外縁に第1絶縁層を設ける第2工程と、
    前記第1半導体層の上面のうち前記第1絶縁層以外の領域に、少なくとも上部クラッド層によって構成された第2半導体層を形成する第3工程と、
    前記第2半導体層の上面のうち前記リッジ領域に対応する領域に第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層をマスクとして前記第2半導体層を選択的にエッチングする第4工程と
    を含む半導体レーザの製造方法。
  7. 前記第4工程のエッチングにより、前記第2半導体層に前記リッジ部を形成すると共に、前記素子領域の外縁において、前記リッジ部の両側面に接し、さらに、前記活性層から前記第2半導体層の表面までの厚さが前記切断領域寄りで厚く、前記素子領域の中央寄りで薄くなっており、前記切断領域寄りの厚い部分から前記素子領域の中央寄りの薄い部分にかけて連続的に変化している高台部を形成する
    請求項6に記載の半導体レーザの製造方法。
  8. 前記第2工程において、前記素子領域の外縁において、前記リッジ領域の延在方向と平行な方向に延在するか、または前記切断領域に近づくにつれて前記リッジ領域との間隙が小さくなる方向に延在するように、前記第1絶縁層を形成する
    請求項6または請求項7に記載の半導体レーザの製造方法。
  9. 前記第2工程において、前記素子領域の外縁にだけ前記第1絶縁層を形成し、
    前記第4工程において、前記素子領域の外縁のうち前記第1絶縁層の形成されている領域の近傍において前記リッジ部の両側面に接するように、前記高台部を形成する
    請求項7または請求項8に記載の半導体レーザの製造方法。
  10. 前記切断領域のうち前記素子領域を間にして互いに対向する一対の領域を一対の辺領域としたときに、
    前記第2工程において、一方の辺領域の近傍から他方の辺領域の近傍にかけて延在すると共に、前記辺領域の近傍において、前記切断領域に近づくにつれて前記リッジ領域との間隙が小さくなる方向に延在するように、前記第1絶縁層を形成し、
    前記第4工程において、前記辺領域の近傍において前記リッジ部の両側面に接し、かつ、それ以外の領域において前記リッジ部から離れるように、前記高台部を形成する
    請求項7または請求項8に記載の半導体レーザの製造方法。
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