JP2013097736A - 指令経路速度条件による速度制御を行う数値制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】指令径路速度条件入力部20で指令経路速度、指令径路許容加速度、指令径路許容加加速度を入力し、駆動軸速度条件入力部22で駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度、駆動軸許容加加速度を入力し、工具基準点径路速度条件入力部24で工具基準点径路許容速度、工具基準点径路許容加速度、工具基準点径路許容加加速度を入力し、クランプ値演算部18で、それらの速度条件から分割区間ごとに速度クランプ値、加速度クランプ値、加加速度クランプ値を演算し、速度曲線演算部16で、速度クランプ値、加速度クランプ値、加加速度クランプ値を越えない最大の速度として速度曲線を演算し、補間部12で、指令解析部10において加工プログラムを解析して作成された補間データを、前記速度曲線にもとづく速度によって補間を行い、駆動軸移動量を演算し、各軸サーボ14を駆動する。
【選択図】図12
Description
特許文献2には、駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度などの駆動軸速度条件を満たす最大の指令径路上の加加速度(特許文献では軌道衝撃r(s)と記載されている)を求め、それを積分して指令径路上の加速度を求め、さらにそれを積分して指令径路上の速度(軌道速度v(s))を求め、その速度によって指令径路を補間する技術が開示されている(請求項1など)。
また、特許文献3には、駆動軸径路が指令される場合にワークに対する工具先端点の速度が許容速度(特許文献では基準速度と記載されている)となるような駆動軸径路上の送り速度を求めて補間する技術が開示されている(請求項6など)。
特許文献2においては、文献中の図2からも明らかなように、少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械を制御することを想定しておらず、そのため、駆動軸の速度と指令径路の速度という区別がない。したがって、多軸工作機械において駆動軸径路と指令径路が相違することが想定されていないため、駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度と相違するワークに対する工具の相対的径路である指令径路における指令径路許容加速度および指令径路許容加加速度制御にもとづく速度制御を行う技術思想はない。
請求項1に記載の発明の課題は、テーブルに取付られたワーク(加工物)に対して少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械を制御するとともに、ワークに対する工具の相対的径路である指令径路における指令径路許容加速度および指令径路許容加加速度にもとづく速度制御を行う数値制御装置を提供することを課題とし、さらに、請求項3に記載の発明の課題は、工具先端点とは相違する工具基準点のワークに対する相対的径路である工具基準点径路における工具基準点径路許容速度、工具基準点径路許容加速度および工具基準点径路許容加加速度にもとづく速度制御を行う数値制御装置を提供することである。
請求項2に係る発明は、前記指令径路速度条件入力部は、前記指令経路速度および前記指令径路許容加速度に加えて指令径路許容加加速度をも指令径路速度条件として入力する指令径路速度条件入力部であり、前記駆動軸速度条件入力部は、前記駆動軸許容速度および前記駆動軸許容加速度に加えて駆動軸許容加加速度をも駆動軸速度条件として入力する駆動軸速度条件入力部であり、前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令径路速度条件から指令径路区間許容速度および指令径路区間許容加速度に加えて指令径路区間許容加加速度をも演算し、また前記駆動軸速度条件から前記駆動軸区間許容速度および前記駆動軸区間許容加速度に加えて駆動軸区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記指令径路区間許容加加速度または前記駆動軸区間許容加加速度のうち小さい方を加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記工具基準点径路速度条件入力部は、前記工具基準点径路許容速度および前記工具基準点経路許容加速度に加えて工具基準点経路許容加加速度をも工具基準点速度条件として入力する工具基準点径路速度条件入力部であり、前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令径路区間許容速度、前記指令径路区間許容加速度、前記指令径路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容速度、前記駆動軸区間許容加速度、前記駆動軸区間許容加加速度、前記工具基準点径路区間許容速度および前記工具基準点径路区間許容加速度に加えて、前記工具基準点径路速度条件から工具基準点径路区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて、前記指令径路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容加加速度または前記工具基準点径路区間許容加加速度のうち最も小さいものを加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸2軸を持つ工具ヘッド回転型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸1軸とテーブルを回転する回転軸1軸を持つ混合型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置である。
<第1の実施形態>
図2のような直線軸3軸とテーブルを回転する回転軸2軸を持つテーブル回転型5軸工作機械とする。テーブルがA,C軸で回転し、工具ヘッドがX,Y,Z軸で動作する。ここではテーブルがA,C軸で回転するとしているが、他の回転軸(B,C軸やA,B軸)で回転する場合もある。また、X,YまたはZ軸にテーブルが載って動作する場合もある。加工プログラム例としては図4のように指令される。ここで、G43.4はワークに対する工具先端点の相対的径路を指令する工具先端点制御を開始するGコードである。G49は工具先端点制御をキャンセルするGコードであり、その間の各ブロックのX__,Y__,Z__がワークに対する工具先端点の相対的径路としての指令径路の指令である。A__,C__は、工具先端点の移動とともに工具方向を変更するために回転軸を移動する指令である。I__,J__,K__のように工具方向をベクトルで指令することもできる。その場合は、指令された工具方向ベクトルをA__,C__の回転軸位置に変換することにより図4と同様の指令とみなすことができるため、本発明を適用できる。Fは指令径路における指令径路速度(F指令)の指令であり、速度が変化するブロックで指令する。H__は工具長補正量を指令する。本発明は工具先端点制御に対して、つまりG43.4からG49指令までのプログラム指令に適用される。
なお、pa(s),pc(s)は計算表記における便宜のため、以降では明細書の数式を含む本文中および図面においてそれぞれA,Cと表す。
svlがsvcに達するとsal=0とするとともにsvl=svcとする。そのようにして局所最小域の右側と左側からのsvlが同じsにおいて同じsvlの値となるところまで到達すると速度曲線svlが作成される。局所最小域とは、図8のM1、M2,M3、M4のようにその左右でsvcが増加するところであり、指令径路の始点、終点も含む。なお、svcは正側のみだが、sacは加速と同様減速にも有効であるため上述で求めた加速度クランプ値を絶対値として正負に配置する。
すでに述べたように、工具側面で加工する場合は、工具先端点の加速度や加加速度による速度制御とともに、工具先端点とは相違する工具上の他の基準点位置(例えば加工上面に対応する工具上の位置)を工具基準点とし、ワークに対する工具基準点の相対的径路である工具基準点径路での許容速度、許容加速度、許容加加速度による速度制御も必要になることがある(図1、図2参照)。つまり、指令径路にはその速度が指令Fで指令されているため指令径路での工具先端点の移動速度はその指令値より大きくはならないので、指令径路に対する許容速度(前述のVpi)は通常不要である。一方、工具基準点径路においては工具先端点でのF指令の指令速度より大きな速度となる可能性があるので、工具基準点径路許容速度による速度制御が必要である。
プログラム座標系上の工具先端点位置として指令される指令径路p(s)に対して工具基準点の径路である工具基準点径路qs(s)は次の数24式のようになる。数24式は、基準長LsのベクトルTsに対して回転軸A,C軸による傾斜分の回転を表すマトリックスMhの乗算を行いp(s)に加算したものである(図1参照)。
これらから、数28式、数29式、数30式が得られる。
第1および第2の実施形態ではテーブル回転型5軸工作機械を対象としたが、同様に図10のような直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸2軸を持つ工具ヘッド回転型5軸工作機械にも適用可能である。
この場合、p(s)とr(s)の関係は、第1の実施形態の数4式に代わって数31式のようになる。Mhは工具ヘッド回転を表すマトリックスであり、その構成要素RB,RCはY軸周りにB,Z周りにCだけ回転するマトリックスである。
同様に、工具ヘッド側に数31式と同様の計算を行い、回転テーブル側に数4式と同様の計算を行うことによって、図11のような直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸1軸とテーブルを回転する回転軸1軸を持つ混合型5軸工作機械にも適用可能である。この場合、p(s)とr(s)の関係は、第1の実施形態の数4式に代わって数32式のようになる。後は第1の実施形態および第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、図12を用いて本発明第1の実施形態および第2の実施形態での数値制御装置を説明する。数値制御装置は一般に、指令解析部10で加工プログラムの指令を解析して補間用データを作成し、補間部12で補間用データにもとづいて補間を行って各軸の移動すべき位置を求め、その位置によって各軸のサーボ(14X,14Y,14Z,14A(B),14C)を駆動する。
なお、工具側面でワークを加工しない実施形態の場合、工具基準点径路速度条件入力部24を省略することができる。
●[ステップSA01]k=0とし、1ブロック(G43.4ブロック)読み込む。
●[ステップSA02]G49のブロックであるか否か判断し、G49のブロックの場合(YESの場合)処理を終了し、G49のブロックではない場合(NOの場合)ステップSA03へ移行する。
●[ステップSA03]数4式〜数22式から、第k区間(第kブロック)におけるsvp,svr,sap,sar,sjp,sjrを求める。
●[ステップSA04]svc(k)=Min(svp,svr),sac(k)=Min(sap,sar),sjc(k)=Min(sjp,sjr)によって、svc(k),sac(k),sjc(k)を求める。
●[ステップSA05]k=k+1とし次のブロックを読み込み、ステップSA02に戻る。
●[ステップSB01]k=0とし、1ブロック(G43.4ブロック)読み込む。
●[ステップSB02]G49のブロックであるか否か判断し、G49のブロックの場合(YESの場合)処理を終了し、G49のブロックではない場合(NOの場合)ステップSB03へ移行する。
●[ステップSB03]数4式〜数22式、数24式〜数30式から、第k区間(第kブロック)におけるsvp,svr,svqs,sap,sar,saqs,sjp,sjr,sjqsを求める。
●[ステップSB04]svc(k)=Min(svp,svr,svqs),sac(k)=Min(sap,sar,saqs),sjc(k)=Min(sjp,sjr,sjqs)によって、svc(k),sac(k),sjc(k)を求める。
●[ステップSB05]k=k+1とし次のブロックを読み込み、ステップSB02に戻る。
10 指令解析部
12 補間部
14X X軸サーボ
14Y Y軸サーボ
14Z Z軸サーボ
14A(B) A(B)軸サーボ
14C C軸サーボ
16 速度曲線演算部
18 クランプ値演算部
20 指令経路速度条件入力部
22 駆動軸速度条件入力部
24 工具基準点経路速度条件入力部
特許文献2には、駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度などの駆動軸速度条件を満たす最大の指令経路上の加加速度(特許文献では軌道衝撃r(s)と記載されている)を求め、それを積分して指令経路上の加速度を求め、さらにそれを積分して指令経路上の速度(軌道速度v(s))を求め、その速度によって指令経路を補間する技術が開示されている(請求項1など)。
また、特許文献3には、駆動軸経路が指令される場合にワークに対する工具先端点の速度が許容速度(特許文献では基準速度と記載されている)となるような駆動軸経路上の送り速度を求めて補間する技術が開示されている(請求項6など)。
特許文献2においては、文献中の図2からも明らかなように、少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械を制御することを想定しておらず、そのため、駆動軸の速度と指令経路の速度という区別がない。したがって、多軸工作機械において駆動軸経路と指令経路が相違することが想定されていないため、駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度と相違するワークに対する工具の相対的経路である指令経路における指令経路許容加速度および指令経路許容加加速度制御にもとづく速度制御を行う技術思想はない。
上記特許文献1や2で開示されているように、駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度を越えないように速度制御を行うことは従来技術として知られている。一般に、これらの駆動軸許容速度、駆動軸許容加速度および駆動軸許容加加速度は工作機械製造時に各駆動軸の許容速度、許容加速度および許容加加速度を測定し、設定値として設定する。つまり、一般に工作機械の条件として数値制御装置内のパラメータなどに設定値として設定する。それに対して、より高精度、より高品位の加工を行うために、加工プログラムで指令された指令経路での指令経路許容加速度および指令経路許容加加速度にもとづく速度制御も必要になってきている。特に、少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械での加工においては、駆動軸の動作経路とワークに対する工具の移動経路である指令経路とが大きく相違することが多く、より高精度、より高品位の加工を行うために、加工プログラムで指令されたワークに対する工具先端点の相対的経路である指令経路での工具先端点の指令経路許容加速度および指令経路許容加加速度にもとづく速度制御が重要となってきている。指令経路での加速度、加加速度が大きすぎると加工面に縞目ができてしまったり、工具の切り込みすぎによる溝ができてしまったりするためである。
請求項1に記載の発明の課題は、テーブルに取付られたワーク(加工物)に対して少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械を制御するとともに、ワークに対する工具の相対的経路である指令経路における指令経路許容加速度および指令経路許容加加速度にもとづく速度制御を行う数値制御装置を提供することを課題とし、さらに、請求項3に記載の発明の課題は、工具先端点とは相違する工具基準点のワークに対する相対的経路である工具基準点経路における工具基準点経路許容速度、工具基準点経路許容加速度および工具基準点経路許容加加速度にもとづく速度制御を行う数値制御装置を提供することである。
請求項2に係る発明は、前記指令経路速度条件入力部は、前記指令経路速度および前記指令経路許容加速度に加えてワークに対する工具先端点の指令経路許容加加速度をも指令経路速度条件として入力する指令経路速度条件入力部であり、前記駆動軸速度条件入力部は、前記駆動軸許容速度および前記駆動軸許容加速度に加えて駆動軸許容加加速度をも駆動軸速度条件として入力する駆動軸速度条件入力部であり、前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令経路速度条件から指令経路区間許容速度および指令経路区間許容加速度に加えて指令経路区間許容加加速度をも演算し、また前記駆動軸速度条件から前記駆動軸区間許容速度および前記駆動軸区間許容加速度に加えて駆動軸区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記指令経路区間許容加加速度または前記駆動軸区間許容加加速度のうち小さい方を加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記工具基準点経路速度条件入力部は、前記工具基準点経路許容速度および前記工具基準点経路許容加速度に加えて工具基準点のワークに対する工具基準点経路許容加加速度をも工具基準点速度条件として入力する工具基準点経路速度条件入力部であり、前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令経路区間許容速度、前記指令経路区間許容加速度、前記指令経路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容速度、前記駆動軸区間許容加速度、前記駆動軸区間許容加加速度、前記工具基準点経路区間許容速度および前記工具基準点経路区間許容加速度に加えて、前記工具基準点経路速度条件から工具基準点経路区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて、前記指令経路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容加加速度または前記工具基準点経路区間許容加加速度のうち最も小さいものを加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸2軸を持つ工具ヘッド回転型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸1軸とテーブルを回転する回転軸1軸を持つ混合型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置である。
<第1の実施形態>
図2のような直線軸3軸とテーブルを回転する回転軸2軸を持つテーブル回転型5軸工作機械とする。テーブルがA,C軸で回転し、工具ヘッドがX,Y,Z軸で動作する。ここではテーブルがA,C軸で回転するとしているが、他の回転軸(B,C軸やA,B軸)で回転する場合もある。また、X,YまたはZ軸にテーブルが載って動作する場合もある。加工プログラム例としては図4のように指令される。ここで、G43.4はワークに対する工具先端点の相対的経路を指令する工具先端点制御を開始するGコードである。G49は工具先端点制御をキャンセルするGコードであり、その間の各ブロックのX__,Y__,Z__がワークに対する工具先端点の相対的経路としての指令経路の指令である。
A__,C__は、工具先端点の移動とともに工具方向を変更するために回転軸を移動する指令である。I__,J__,K__のように工具方向をベクトルで指令することもできる。その場合は、指令された工具方向ベクトルをA__,C__の回転軸位置に変換することにより図4と同様の指令とみなすことができるため、本発明を適用できる。Fは指令経路における指令経路速度(F指令)の指令であり、速度が変化するブロックで指令する。H__は工具長補正量を指令する。本発明は工具先端点制御に対して、つまりG43.4からG49指令までのプログラム指令に適用される。
図1では簡便のためp(s)は直線のように描いているが、ここではより一般化して数1式で表される3次式とする。この3次式は図4におけるX__,Y__,Z__,A__,C__の指令群から作成する。X__,Y__,Z__,A__,C__の指令群から3次式を作成する方法は従来技術なので詳述しない。ax,bx,cx,dxなどは各s3,s2,sなどの係数である。もちろん、直線、円弧、NURBS曲線など様々な他の関数形式で表すことも可能である。
なお、pa(s),pc(s)は計算表記における便宜のため、以降では明細書の数式を含む本文中および図面においてそれぞれA,Cと表す。
svlがsvcに達するとsal=0とするとともにsvl=svcとする。そのようにして局所最小域の右側と左側からのsvlが同じsにおいて同じsvlの値となるところまで到達すると速度曲線svlが作成される。局所最小域とは、図8のM1、M2,M3、M4のようにその左右でsvcが増加するところであり、指令経路の始点、終点も含む。なお、svcは正側のみだが、sacは加速と同様減速にも有効であるため上述で求めた加速度クランプ値を絶対値として正負に配置する。
salがsacに達すればsal=sac,sjl=0とする。さらにsalを時間積分することでsvlを作成する。svlがsvcに達すればsvl=svc,sal=0,sjl=0とする。そのようにして局所最小域の右側と左側からのsvlについて、図9M1からとM3からのように、同じsであるs1(同様にM3からとM4からではs2)においてsvlが同じ値sv11(同様にsvl2)として得られれば速度曲線svlが作成される。s1(s2)とsv11(svl2)は二分法など数値計算で求める。具体的な方法は、特許文献2に記載されている従来技術なのでここでは詳述しない。ただし、特許文献2では加加速度(特許文献2では軌道衝撃r(s))を求めることを目的としているが、本発明は速度曲線を求めて補間することを目的としている。
すでに述べたように、工具側面で加工する場合は、工具先端点の加速度や加加速度による速度制御とともに、工具先端点とは相違する工具上の他の基準点位置(例えば加工上面に対応する工具上の位置)を工具基準点とし、ワークに対する工具基準点の相対的経路である工具基準点経路での許容速度、許容加速度、許容加加速度による速度制御も必要になることがある(図1、図2参照)。つまり、指令経路にはその速度が指令Fで指令されているため指令経路での工具先端点の移動速度はその指令値より大きくはならないので、指令経路に対する許容速度(前述のVpi)は通常不要である。一方、工具基準点経路においては工具先端点でのF指令の指令速度より大きな速度となる可能性があるので、工具基準点経路許容速度による速度制御が必要である。
プログラム座標系上の工具先端点位置として指令される指令経路p(s)に対して工具基準点の経路である工具基準点経路qs(s)は次の数24式のようになる。数24式は、基準長LsのベクトルTsに対して回転軸A,C軸による傾斜分の回転を表すマトリックスMhの乗算を行いp(s)に加算したものである(図1参照)。
これらから、数28式、数29式、数30式が得られる。
第1および第2の実施形態ではテーブル回転型5軸工作機械を対象としたが、同様に図10のような直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸2軸を持つ工具ヘッド回転型5軸工作機械にも適用可能である。
この場合、p(s)とr(s)の関係は、第1の実施形態の数4式に代わって数31式のようになる。Mhは工具ヘッド回転を表すマトリックスであり、その構成要素RB,RCはY軸周りにB,Z周りにCだけ回転するマトリックスである。
同様に、工具ヘッド側に数31式と同様の計算を行い、回転テーブル側に数4式と同様の計算を行うことによって、図11のような直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸1軸とテーブルを回転する回転軸1軸を持つ混合型5軸工作機械にも適用可能である。この場合、p(s)とr(s)の関係は、第1の実施形態の数4式に代わって数32式のようになる。後は第1の実施形態および第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、図12を用いて本発明第1の実施形態および第2の実施形態での数値制御装置を説明する。数値制御装置は一般に、指令解析部10で加工プログラムの指令を解析して補間用データを作成し、補間部12で補間用データにもとづいて補間を行って各軸の移動すべき位置を求め、その位置によって各軸のサーボ(14X,14Y,14Z,14A(B),14C)を駆動する。
なお、工具側面でワークを加工しない実施形態の場合、工具基準点経路速度条件入力部24を省略することができる。
●[ステップSA01]k=0とし、1ブロック(G43.4ブロック)読み込む。
●[ステップSA02]G49のブロックであるか否か判断し、G49のブロックの場合(YESの場合)処理を終了し、G49のブロックではない場合(NOの場合)ステップSA03へ移行する。
●[ステップSA03]数4式〜数22式から、第k区間(第kブロック)におけるsvp,svr,sap,sar,sjp,sjrを求める。
●[ステップSA04]svc(k)=Min(svp,svr),sac(k)=Min(sap,sar),sjc(k)=Min(sjp,sjr)によって、svc(k),sac(k),sjc(k)を求める。
●[ステップSA05]k=k+1とし次のブロックを読み込み、ステップSA02に戻る。
●[ステップSB01]k=0とし、1ブロック(G43.4ブロック)読み込む。
●[ステップSB02]G49のブロックであるか否か判断し、G49のブロックの場合(YESの場合)処理を終了し、G49のブロックではない場合(NOの場合)ステップSB03へ移行する。
●[ステップSB03]数4式〜数22式、数24式〜数30式から、第k区間(第kブロック)におけるsvp,svr,svqs,sap,sar,saqs,sjp,sjr,sjqsを求める。
●[ステップSB04]svc(k)=Min(svp,svr,svqs),sac(k)=Min(sap,sar,saqs),sjc(k)=Min(sjp,sjr,sjqs)によって、svc(k),sac(k),sjc(k)を求める。
●[ステップSB05]k=k+1とし次のブロックを読み込み、ステップSB02に戻る。
10 指令解析部
12 補間部
14X X軸サーボ
14Y Y軸サーボ
14Z Z軸サーボ
14A(B) A(B)軸サーボ
14C C軸サーボ
16 速度曲線演算部
18 クランプ値演算部
20 指令経路速度条件入力部
22 駆動軸速度条件入力部
24 工具基準点経路速度条件入力部
Claims (7)
- テーブルに取付られたワーク(加工物)に対して少なくとも直線軸3軸と回転軸1軸によって加工する多軸工作機械を制御する数値制御装置において、
加工プログラムで指令されたワークに対する工具先端点の相対的径路である指令径路における指令経路速度および指令径路許容加速度を指令径路速度条件として入力する指令径路速度条件入力部と、
駆動軸に対する駆動軸許容速度および駆動軸許容加速度を駆動軸速度条件として入力する駆動軸速度条件入力部と、
前記指令径路を複数の区間に分割した分割区間ごとに、前記指令径路速度条件から指令径路区間許容速度および指令径路区間許容加速度、および前記駆動軸速度条件から駆動軸区間許容速度および駆動軸区間許容加速度を演算し、前記指令径路区間許容速度または前記駆動軸区間許容速度のうち小さい方を速度クランプ値とし、かつ前記指令径路区間許容加速度または前記駆動軸区間許容加速度のうち小さい方を加速度クランプ値とするクランプ値演算部と、
前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値を越えない最大の前記指令径路上の速度として速度曲線を求める速度曲線演算部と、
前記速度曲線にもとづく速度によって前記指令径路の補間を行い補間された指令径路補間位置を駆動軸位置に変換することで駆動軸移動量を演算する補間部を有し、
前記駆動軸移動量によって各軸を駆動することを特徴とする数値制御装置。 - 前記指令径路速度条件入力部は、前記指令経路速度および前記指令径路許容加速度に加えて指令径路許容加加速度をも指令径路速度条件として入力する指令径路速度条件入力部であり、
前記駆動軸速度条件入力部は、前記駆動軸許容速度および前記駆動軸許容加速度に加えて駆動軸許容加加速度をも駆動軸速度条件として入力する駆動軸速度条件入力部であり、
前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令径路速度条件から指令径路区間許容速度および指令径路区間許容加速度に加えて指令径路区間許容加加速度をも演算し、また前記駆動軸速度条件から前記駆動軸区間許容速度および前記駆動軸区間許容加速度に加えて駆動軸区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記指令径路区間許容加加速度または前記駆動軸区間許容加加速度のうち小さい方を加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、
前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。 - 前記工具先端点とは相違する工具上の基準点である工具基準点のワークに対する相対的径路である工具基準点径路における工具基準点径路許容速度および工具基準点径路許容加速度を工具基準点径路速度条件として入力する工具基準点径路速度条件入力部を有し、
前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令径路区間許容速度、前記指令径路区間許容加速度、前記駆動軸区間許容速度および前記駆動軸区間許容加速度に加えて、前記工具基準点径路速度条件から工具基準点径路区間許容速度および工具基準点径路区間許容加速度をも演算し、前記指令径路区間許容速度、前記駆動軸区間許容速度または前記工具基準点径路区間許容速度のうち最も小さいものを速度クランプ値とし、かつ前記指令径路区間許容加速度、前記駆動軸区間許容加速度または前記工具基準点径路区間許容加速度のうち最も小さいものを加速度クランプ値とするクランプ値演算部であることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。 - 前記工具基準点径路速度条件入力部は、前記工具基準点径路許容速度および前記工具基準点経路許容加速度に加えて工具基準点経路許容加加速度をも工具基準点速度条件として入力する工具基準点径路速度条件入力部であり、
前記クランプ値演算部は、前記分割区間ごとに、前記指令径路区間許容速度、前記指令径路区間許容加速度、前記指令径路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容速度、前記駆動軸区間許容加速度、前記駆動軸区間許容加加速度、前記工具基準点径路区間許容速度および前記工具基準点径路区間許容加速度に加えて、前記工具基準点径路速度条件から工具基準点径路区間許容加加速度をも演算し、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて、前記指令径路区間許容加加速度、前記駆動軸区間許容加加速度または前記工具基準点径路区間許容加加速度のうち最も小さいものを加加速度クランプ値とするクランプ値演算部であり、
前記速度曲線演算部は、前記速度クランプ値および前記加速度クランプ値に加えて前記加加速度クランプ値をも越えない最大の前記指令経路上の速度として速度曲線を求める前記速度曲線演算部であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。 - 前記多軸工作機械は直線軸3軸とテーブルを回転する回転軸2軸を持つテーブル回転型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置。
- 前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸2軸を持つ工具ヘッド回転型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置。
- 前記多軸工作機械は直線軸3軸と工具ヘッドを回転する回転軸1軸とテーブルを回転する回転軸1軸を持つ混合型5軸工作機械である請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の数値制御装置。
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