JP2013095639A - ガラス溶融炉の予備加熱方法とガラス溶融装置およびガラス物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バーナー13からの燃焼ガスを耐火製炉材からなる溶融ガラス導入用のガラス溶融炉3内に導入し、該導入後の燃焼ガスを前記ガラス溶融炉3内から排気し、該排気した燃焼ガスを前記バーナー13から前記ガラス溶融炉3に至る燃焼ガス経路の途中から再度前記ガラス溶融炉3に導入して循環させながら、前記ガラス溶融炉3の予熱を行うガラス溶融炉3の予備加熱方法。
【選択図】図1
Description
上述の減圧脱泡装置は、高温の溶融ガラスを内部に引き込み、泡抜きした後、高温状態のまま溶融ガラスを成形装置に送るので、減圧脱泡槽内部の溶融ガラス流路は、操業中、常に高温の溶融ガラスに接している。
しかし、運転開始前に初めて溶融ガラスを減圧脱泡槽に導入する場合、導入溶融ガラスの固化を防止するため、あるいは、減圧脱泡槽を構成する耐火性炉材のヒートショックを防止するために、運転開始前の減圧脱泡槽を予熱することがある。例えば、減圧脱泡槽を部分的に予め溶融ガラスの温度に近い温度まで予熱し、予熱後に溶融ガラスを導入する方法と装置が提供されている(特許文献1)。
また、ガラス溶融炉によって耐火性炉材の内面に金属ライナーを配置して溶融ガラスに対する耐熱性と耐蝕性を高めたガラス溶融炉も提供されている。この場合には、金属ライナーの材料によっては酸化に弱いので、予備加熱しようとするガラス溶融炉の内部を影響のない程度の雰囲気に置換することも必要になる。しかしながら、ガラス溶融炉の内部雰囲気の酸素濃度を低めに調整しながら予備加熱できる手段は提供されていないのが実情である。
また、本発明は予備加熱が可能な前記ガラス溶融装置を備えて高品質のガラス物品を製造できるガラス物品の製造方法の提供を目的とする。
本発明の予備加熱方法は、前記バーナーに燃料の燃焼に必要な量の酸素を供給し、前記バーナーにおいて燃焼により生成した酸素消費後の燃焼ガスに前記ガラス溶融炉から排気した燃焼ガスを加えた混合ガスを前記燃焼ガス経路から前記ガラス溶融炉に供給し、該ガラス溶融炉内の酸素濃度を低く維持しながら前記ガラス溶融炉の予熱を行うことができる。
本発明の予備加熱方法は、前記ガラス溶融炉内の酸素濃度を3%以下にすることができる。
本発明の予備加熱方法は、前記燃焼ガスの酸素量を調整して前記ガラス溶融炉内の温度を調整することができる。
本発明の予備加熱方法は、前記ガラス溶融炉内の複数の空間に対し、前記バーナーからの燃焼ガスを個別に供給し、前記複数の空間から個別に燃焼ガスを排気し、前記排気した燃焼ガスを前記空間に個別に導入して前記循環を行うことができる。
本発明は、耐火製炉材からなる溶融ガラス流路を備えたガラス溶融炉と、前記溶融ガラス流路に燃焼ガスを導入するためのバーナーと、前記溶融ガラス流路に前記バーナーからの燃焼ガスを導入する燃焼ガス導入路と、前記溶融ガラス流路に導入した燃焼ガスを該溶融ガラス流路から排出する燃焼ガス排出路と、前記燃焼ガス排出炉から排出した燃焼ガスを前記溶融ガラス導入路に戻す燃焼ガス循環路と、を有するガラス溶融装置を提供する。
本発明のガラス溶融装置は、ガラス溶融炉が溶解槽を含んでもよい。
本発明のガラス溶融装置は、前記ガラス溶融炉が該ガラス溶融炉内の雰囲気圧力の調整手段を有する構成にできる。
本発明のガラス溶融装置は、前記溶融ガラス流路における燃焼ガスと酸素ガスの濃度割合の調整手段を備えてもよい。
本発明のガラス溶融装置は、前記溶融ガラス流路において溶融ガラスと接触する流路面に、溶融ガラスに対する耐熱性及び耐蝕性を有する金属ライナーを設けてもよい。
本発明のガラス溶融装置は、前記金属ライナーをモリブデンから形成できる。
本発明は、先のいずれかに記載のガラス溶融装置によって溶融ガラスを製造する工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程を含むガラス物品の製造方法を提供する。
このため、例えば、ガラス溶融炉に溶融ガラスを導入して運転を行う前に、ガラス溶融炉の炉内温度を溶融ガラスに近い温度に予備加熱でき、溶融ガラスの導入時にガラス溶融炉を構成する耐火性炉材にヒートショックを与えるおそれが少なく、耐火性炉材の損傷を防止しながら運転開始できる効果がある。
また、排気した燃焼ガスをバーナーが生成させた新たな燃焼ガスに混合しながら循環させて再利用すると、ガラス溶融炉に供給する燃焼ガス中の酸素濃度を低く維持することができ、ガラス溶融炉を低酸素状態に維持したまま予熱ができる。
以下、本発明に係るガラス溶融炉およびそれを備えたガラス溶融装置とガラス物品の製造装置の一実施形態について図面に基づき説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。また、以下に示す各図において各構成要素の縮尺については図示した場合に把握し易いように簡略化して示す。
図1は本発明に係るガラス溶融炉を備えたガラス溶融装置と該ガラス溶融装置を備えたガラス物品の製造装置の第一実施形態を模式的に示す構成図である。
本実施形態のガラス物品の製造装置1は、ガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成するための溶解槽2と、この溶解槽2の下流側に順次設置されたガラス溶融炉3と、成形装置5と、徐冷装置(徐冷手段)6とを備えている。また、本実施形態の製造装置1において、ガラス溶融炉3に排出路7と燃焼装置8と導入路9が接続されてガラス溶融装置10が構成されている。なお、溶解槽2を溶融ガラスの清澄などをするガラス溶融炉3と区別しているが、溶解槽2は本発明に係るガラス溶融炉の一部である。以下のその他の実施形態の説明においても、溶解槽と、溶融ガラスの清澄などをするガラス溶融炉の部分とを区別しているが、溶解槽は本発明に係るガラス溶融炉の一部である。すなわち、本発明においては、ガラス溶融炉のすべてにおいて本発明の予熱方法を適用する必要はなく、必要に応じてガラス溶融炉の一部にのみ適用してもよい。
燃焼ガスの導入路9の他端9b側にガラス溶融炉3の外部に設けられた燃焼装置8が接続されている。この燃焼装置8は、燃焼空間11aを内部に備えた中空構造の筐体11と、その内部に火口13aを位置させて筐体11に一体化された円筒型の燃焼バーナー13とから構成されている。筐体11は耐熱性の金属材料からなり、燃焼バーナー13の大きさに合わせて適宜の大きさに形成されているが、本実施形態の筐体11は一例として直径1m、長さ1.5〜2m程度の円筒形状とされる。
燃焼バーナー13は、燃料ガス供給部13bから供給された燃料ガス、例えば都市ガスあるいはLPG(液化石油ガス)などと、空気供給部13dから供給された空気とを混合して火口13aから噴出させて燃焼空間11aに燃焼炎Fを生成し、燃焼ガスを発生できる。あるいは、燃焼バーナー13は、燃料ガスと空気に加えて酸素供給部13cから酸素を供給して燃料ガスの燃焼を促進し、より高温の燃焼ガスを発生できる。燃焼バーナー13が発生させる燃焼ガスは空気の供給量を調整することで1200℃程度まで温度上昇できるが、酸素導入路16から酸素を供給し、酸素供給量を増加することで更に200℃程度、例えば1400〜1600℃程度まで燃焼ガス温度を上昇させることもできる。
圧力調整部21は、燃料ガス導入路15に沿って減圧弁20の上流側と下流側に減圧弁20を挟むように設けられた開閉弁28、29と、上流側の開閉弁28よりも上流側位置と下流側の開閉弁29よりも下流側位置とに接続する分岐管30と、この分岐管30に組み込まれた開閉弁31とからなる。また、燃料ガス導入路15において開閉弁28より上流側に開閉弁32が組み込まれている。
燃料ガスコントロール部26は、燃料ガス導入路15に沿って燃料ガスコントロール弁25の上流側と下流側に燃料ガスコントロール弁25を挟むように設けられた開閉弁37、38と、上流側の開閉弁37より上流側位置と下流側の開閉弁38より下流側位置とに接続する分岐管39とこの分岐管39に組み込まれた開閉弁40とからなる。
以上の燃料ガス導入路15において、燃料供給源からの燃料ガス圧力を減圧弁20で調整し、流量計22により燃料流量を把握し、燃料ガスコントロール弁25で燃料供給量を調整して必要流量の燃料ガスを燃焼バーナー13に供給できる。
圧力調整部42は、酸素導入路16に沿って減圧弁41の上流側と下流側に減圧弁41を挟むように設けられた開閉弁48、49と、上流側の開閉弁48より上流側位置と下流側の開閉弁49より下流側位置とに接続する分岐管50とこの分岐管50に組み込まれた開閉弁51とからなる。また、酸素導入路16において開閉弁48より上流側に開閉弁52が組み込まれている。
酸素コントロール部46は、酸素導入路16に沿って酸素コントロール弁45の上流側と下流側に酸素コントロール弁45を挟むように設けられた開閉弁57、58と、上流側の開閉弁57より上流側位置と下流側の開閉弁58より下流側位置とに接続する分岐管59とこの分岐管59に組み込まれた開閉弁60とからなる。
以上の酸素導入路16は、酸素供給源からの酸素の圧力を減圧弁41で調整し、流量計43により酸素流量を把握し、酸素コントロール弁45で酸素供給量を調整して必要流量の酸素を燃焼バーナー13に供給できる。
空気計量部64は、空気導入路17に沿って流量計63の上流側と下流側に流量計63を挟むように設けられたバタフライ弁73、74と、上流側のバタフライ弁73よりも上流側位置と下流側のバタフライ弁74よりも下流側位置とに接続する分岐管75とこの分岐管75に組み込まれたバタフライ弁76とからなる。
空気コントロール部66は、空気導入路17に沿って空気コントロール弁65の上流側と下流側に空気コントロール弁65を挟むように設けられたバタフライ弁77、78と、上流側のバタフライ弁77よりも上流側位置と下流側のバタフライ弁78よりも下流側位置とに接続する分岐管79とこの分岐管79に組み込まれたバタフライ弁80とからなる。
以上の空気導入路17において、送風機61からの空気の流量を流量計63により把握し、空気コントロール弁65で空気供給量を調整して必要流量の空気を燃焼バーナー13に供給できる。
空気計量部84は、分岐ライン18に沿って流量計83の上流側と下流側に流量計83を挟むように設けられたバタフライ弁86、87と、上流側のバタフライ弁86より上流側位置と下流側のバタフライ弁87より下流側位置とに接続する分岐管88とこの分岐管88に組み込まれたバタフライ弁89とからなる。
空気計量部94は、排出路7に沿って流量計93の上流側と下流側とに流量計93を挟むように設けられたバタフライ弁96、97と、上流側のバタフライ弁96に対し上流側位置と下流側のバタフライ弁97に対し下流側位置とに接続する分岐管98と、この分岐管98に組み込まれたバタフライ弁99とからなる。
なお、分岐ライン18に送られた燃焼ガスは、送風機61から送られた空気と必要に応じ混合して燃焼装置8近くの導入路9に供給できるが、送風機61から分岐ライン18に送る空気については、バタフライ弁81、86、87、89、85を操作して送風を停止し、排出路7からの燃焼ガスのみを燃焼ガス循環路19に導いて導入路9に供給することもできる。
また、前記熱交換器100によって排出路7の内部を通過する燃焼ガスの温度を例えば200℃程度まで下げておくのは、排出路7の途中に設けられている流量計93が熱に弱い構成である場合、この熱に弱い流量計93を損傷させないためである。
ガラス溶融炉3を構成する耐火性炉材は予熱温度において酸素が存在しても特に問題は生じないが、例えば、ガラス溶融炉3の内面にMoなどの耐熱金属でライナー材を内張りする場合は、後述するようにMoが500〜600℃を超える温度で酸素雰囲気中において燃焼するおそれがあるので、この場合は炉内雰囲気中の酸素をできる限り少なくすることが好ましい。
排出路7に排出させた予備加熱利用後の燃焼ガスを熱交換器100で望ましくは200℃程度に冷却した後、送風機90により分岐ライン18に移送する。これにより、予備加熱使用後の燃焼ガスを導入路9を介し再度ガラス溶融炉3の導入部3A側に送って循環再利用できる。このため燃焼バーナー13により発生させた燃焼ガスを効率良く利用でき、熱効率を高くできる。
なお、分岐ライン18から導入路9に供給する循環燃焼ガスの流量を調節し、燃焼装置8から送られる燃焼ガスに対する混合量を調節することで、導入路9を介しガラス溶融炉3に供給できる予備加熱用燃焼ガスの温度を調整できる。例えば、分岐ライン18から供給する燃焼ガスの温度は燃焼装置8から送る燃焼ガスの温度よりも低くできるので、分岐ライン18から導入路9に供給する燃焼ガスの温度と燃焼装置8から送られる燃焼ガスの温度の間の温度範囲に温度調節ができる。よって、常温状態のガラス溶融炉3を徐々に加熱して温度上昇させ、導入するべき溶融ガラスの温度に近い温度まで順次昇温する場合、循環再利用する燃焼ガスを有効に利用して段階的に予備加熱温度を上昇できる。
このため、予熱の初期段階において導入路9から低い温度の燃焼ガスを供給し、予熱の進行に応じて徐々に燃焼ガスの温度を高くするように調節することができ、ガラス溶融炉3の予備加熱を段階的に加熱温度を徐々に高めながら実施できる。
例えば、100℃程度の燃焼ガスから初めて徐々に燃焼ガスの温度を高めてガラス溶融炉3の炉内温度を高め、最終的には導入する溶融ガラスの温度に近い温度まで予備加熱を行うことができる。
このように酸素を多く含む雰囲気を嫌う金属ライナーなどの部材がガラス溶融炉3の内部に配されている場合、酸素を含む雰囲気においてその部材が昇華する温度を超える温度まで予備加熱するには、雰囲気制御を行い、酸素濃度を低くしたまま徐々に加熱温度を上昇させつつ予備加熱することが好ましい。
この点において、図1に示す構造を採用した場合、ガラス溶融炉3から排気した燃焼ガスを燃焼ガス循環路19を介し導入路9に戻す場合、送風機61側から分岐ライン18に送る空気を無くして排気燃焼ガスのみを燃焼ガス循環路19に送る。送風機61から分岐ライン18の下流側に送る空気を遮断するには、バタフライ弁81、85、86、87、89のいずれかを閉塞すればよい。
以上のように予備加熱すると、酸素を多く含む雰囲気のまま予備加熱すると損傷するおそれの高い部材を備えたガラス溶融炉3に対し予備加熱する場合、部材損傷の問題を回避しながら予備加熱ができる効果がある。
ガラス溶融炉3の予備加熱を行ったならば、溶解槽2からガラス溶融炉3に生産用の溶融ガラスを移送し、必要に応じて電極等で再加熱するか、その後の清澄剤による清澄効果を発揮させて泡抜きを行い、その後、成形装置5に送って目的の形状に成形し、その後徐冷装置6で冷却することにより目的の形状のガラス物品を得ることができる。
図2〜6は本発明に係るガラス溶融炉を備えたガラス溶融装置と該ガラス溶融装置を備えたガラス物品の製造装置の第二実施形態を模式的に示す図である。
本実施形態のガラス物品の製造装置102は、図3に示すようにガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成するための溶解槽2と、この溶解槽2の下流側に順次設置されたガラス溶融炉103と、成形装置5と、徐冷装置(徐冷手段)6とを備えている。また、本実施形態のガラス物品の製造装置102において、ガラス溶融炉103に排出路7と燃焼装置8と導入路(燃焼ガス経路)9が接続されてガラス溶融装置104が構成されている。
本実施形態に設けられている排出路7、燃焼装置8、導入路9、燃焼バーナー13、燃料ガス導入路15、酸素導入路16、空気導入路17、分岐ライン18、燃焼ガス循環路19の構成はいずれも先の第一実施形態に設けられている各要素と同等である。第一実施形態に設けられている構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してそれら要素の説明は略する。
本実施形態のガラス溶融炉103は、溶融ガラスの清澄を行うための清澄槽として構成され、加熱領域となる第一の清澄槽103Aと高温領域となる第二の清澄槽103Bと冷却域となる冷却槽103Dに区分けされ、詳細には図4〜6に示す構造とされている。
本実施形態の第一の清澄槽(加熱領域)103Aは、平面視細長く幅がほぼ一定であって、図4、図5に示す如く横幅と同程度の深さの槽として構成され、底壁部103aとその両側の側壁部103bと天井部103cとから構成されている。第一の清澄槽103Aの底壁部103aと両方の側壁部103bとに区画された領域が溶融ガラスの流路R1とされていて、図4の2点鎖線GHが溶融ガラスの液面位置となるようにガラス溶融炉103に溶融ガラスが供給される。第一の清澄槽103Aの底壁部103aには複数本の電極108が所定の間隔をあけて立設され、これらの電極108…に対する通電量を制御することで溶融ガラスを目的の温度に加熱できる。
第一の清澄槽103Aにおいて上流端側、即ち、溶解槽2側の部分に底壁部103aから1段高められた入口側段部103dが形成され、第一の清澄槽103Aにおいて下流端側、即ち、第二の清澄槽103B側には底壁部3aから一段低めてドレン排出用のドレンアウト部103eが第一の清澄槽103Aの幅方向に複数形成されている。第一の清澄槽103Aの導入部103fは入口側段部103dが形成されている分だけ第一の清澄槽103Aの他の部分よりも浅く形成されている。また、第一の清澄槽103Aの下流端側は垂直に立ち上がる仕切壁103gにより区画され、この仕切壁103gの上端部側において溶融ガラスの流路R1の深さが浅くされた部分を介して第二の清澄槽103Bが接続されている。
第二の清澄槽103Bにおいて、耐火レンガ(耐火性炉材)を複数、目地部を介し接合して底壁部104aと側壁部104bと天井部104cが構成され、全体として図4、図5に示す如き槽としての概形になるように構成されている。図4と図5においては第二の清澄槽103Bを構成する耐火レンガの肉厚は略して記載し、槽の輪郭のみを示し、図6に一例として底壁部104aと側壁部104bとそれらを構成する耐火レンガの肉厚を描いている。
第二の清澄槽103Bにおいて上流端側、即ち、第一の清澄槽103A側の部分に底壁部104aから1段高められた入口側段部104gが形成され、第二の清澄槽103Bの導入部104fは第二の清澄槽103Bの他の部分よりも浅く形成され、第二の清澄槽103Bにおいて下流端側の底壁部104bは一定の深さのまま冷却槽103Dに接続されている。
成形装置5は底壁5aと周壁5bにより区画されたプール部に溶融錫のベッド層110が収容されており、このベッド層110の上に溶融ガラスGを流入させて拡げて冷却し、板状のガラスを成形できる。
冷却槽103Dにおいて、耐火レンガを複数、目地部を介し接合して底壁部105aと側壁部105bと天井部105cが構成され、全体として図4、図5に示す如き槽としての概形になるように構成されている。図4と図5においては冷却槽103Dを構成する耐火レンガの肉厚は略して記載し、槽の輪郭のみを示している。
本実施形態のガラス溶融炉103においては、導入路9の一端9aから燃焼ガスを第二の清澄槽103Bに供給して予備加熱を行うことができるように、かつ、冷却槽103Dの導出側から予備加熱に用いた燃焼ガスの一部を排出路7を介し取り出して送風機90により分岐ライン18を介し導入路9に送って循環利用できるように構成されている。
なお、ガラス溶融炉3の第一の清澄槽103Aに対し図8に示すように予備加熱用の燃焼装置8、導入路9Aが接続されている構成も可能であるが、これらの構造と第一の清澄槽103Aの予備加熱については第二実施形態の説明後に別途説明する。
そのために、燃焼装置8に密閉型の筐体11を備え、その内部を燃焼空間11aとしているので、燃焼バーナー13に供給する酸素と空気について燃料ガスが燃焼するために必要な空気量のみ、あるいは、酸素量のみを供給し、燃焼空間11aにおいて燃料ガスを完全燃焼させることで、導入路9を介してガラス溶融炉3に送る酸素量を少なくできる。
一例として、燃料ガスにLPGを用いる場合、LPG1に対しLPGの組成に応じた理論燃焼に基づく空気量を供給することが完全燃焼の面では好ましい。なお、このガスと空気の比率は理想的な比率の一例であるので、燃焼バーナー13が発生させる燃焼ガス中にできる限り少ない酸素を含むように運転するためには、実機の燃焼バーナーを用いて試験を行ない、実機の燃焼バーナーに供給した空気量あるいは酸素量とガラス溶融炉3の内部の酸素濃度を把握して酸素濃度が低くなる割合の空気量あるいは酸素量を把握した上で空気量あるいは酸素量を決定することが望ましい。
この点において、図2〜6に示す構造を採用した場合、ガラス溶融炉103の冷却槽103Dから排気した燃焼ガスを排出路7から燃焼ガス循環路19を介し導入路9に戻す場合、送風機61側から分岐ライン18に送る空気を無くして排気燃焼ガスのみを燃焼ガス循環路19に送る。送風機61から分岐ライン18の下流側に送る空気を遮断するには、バタフライ弁81、85、86、87、89のいずれかを閉塞すればよい。
以上のように予備加熱すると、酸素を多く含む雰囲気のまま予備加熱すると損傷するおそれの高い内面カバー115を備えたガラス溶融炉103に対し予備加熱する場合、内面カバー115の損傷の問題を回避しながら予備加熱できる効果がある。
本実施形態のガラス溶融炉103においては、溶解槽2においてガラス原料を溶融して溶融ガラスGを生成し、この溶融ガラスGを溶解槽2において循環させるなどの手法を採用し、ある程度の泡抜き、均質化をした後に、溶融ガラスを第一の清澄槽103Aに移動させる。溶解槽2においてガラス原料を溶融させて溶融ガラスを形成する工程を図7に示す如くガラス溶融工程S1と称する。
第一の清澄槽103Aにおいてある程度泡抜きを行った後、第二の清澄槽103Bに溶融ガラスを導いて更に清澄処理を進め泡抜きする。
第二の清澄槽103Bの温度は入口側において1510℃程度に、出口側において1500℃程度として溶融ガラスの清澄を促進する。この第二の清澄槽103Bに前述の内面カバー115を設けているので、後述する内面カバー115による作用効果を得ることができる。
本実施形態においては第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bにおいて行う清澄を図7に示す如く清澄工程S2と称する。
冷却槽103Dにおいて1200℃程度まで冷却した溶融ガラスは次工程の成形装置5において溶融錫のベッド層110の上に拡げ、更に冷却して板状ガラスとすることができる。本実施例において成形装置5を用いて板状ガラスを成形する工程を図7に示す如く成形工程S3と称する。
次いで、板状ガラスを常温に近い温度まで徐冷する徐冷工程S4を行い、目的のサイズに切断する切断工程S5を施すことにより、図7に示す如く目的のガラス物品G6を得ることができる。
第二の清澄槽103Bと冷却槽103Dにおいて内面カバー115は溶融ガラスGの流路R2を覆っているので各槽を構成している耐火性炉材と溶融ガラスGとの直接接触を極力少なくし、耐火性炉材の構成成分が溶融ガラスG側に溶出することを抑制できる。
従って、溶融ガラスGの清澄を長期間連続的に行った場合であっても、流路R2、R3を流れる溶融ガラスGに耐火性炉材の構成成分の溶出を生じさせることなく溶融ガラスGの製造を行うことができる。従って組成の乱れていない高品質の溶融ガラスGを次工程に送り、成形装置5で成形することで高品質のガラス物品G6を得ることができる。
なお、必要に応じて、成形後のガラス物品をさらに研磨する工程を設け、表面を研磨したガラス物品を製造することもできる。
ガラス溶融炉103の第一の清澄槽103Aにおいて第二の清澄槽103Bに近い側に導入路9Aの一端9cが接続されている。この導入路9Aの他端9bは燃焼装置8の筐体11に接続されている。導入路9Aは先に説明した導入路9と同等構造であり、燃焼装置8、筐体11についても同等構造である。
燃焼装置8に設けられている燃焼バーナー13、燃焼バーナー13に接続されている燃料ガス導入路15、酸素導入路16、空気導入路17、分岐ライン18について同等構造である。
図8に示す構造において、第一の清澄槽103Aを予備加熱するための構造は、先の第二の清澄槽103Bと冷却槽13Dを予備加熱する装置から、排出路7を除いた構造とされている。また、第一の清澄槽103Aの導入部側に排気ライン128が設けられている。
一例として、第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bを同時に予備加熱する場合、導入路9から燃焼ガスを第二の清澄槽103Bに導入すると同時に導入路9Aから燃焼ガスを第一の清澄槽103Aに導入して同時に予備加熱できる。
第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bを仕切った状態で個別に予備加熱する場合、仕切壁を閉じておき、第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bと冷却槽13Dを予備加熱し、第二の清澄槽103Bと冷却槽13Dにのみ保護用の溶融ガラスを満たすこともできる。
なお、第一の清澄槽103Aに個別に予備加熱装置を接続することなく、第二の清澄槽103Aに設けた予備加熱装置を用いて共用で行なってもよい。
この例のガラス溶融装置203は先のガラス溶融炉103と同様に第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bと冷却槽103Dとから構成されているが、第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bの境界部分の天井壁に上下移動自在に仕切壁205が設けられ、冷却槽103Dの導出端部分の天井壁に上下移動自在に仕切壁206が設けられている。これらの仕切壁205、206はガラス溶融装置203の外部に設けられた図示略の昇降装置により上下移動自在に支持され、仕切壁205、206をガラス溶融装置203の底壁側にまで下降させると第二の清澄槽103Bと冷却槽103Dの導入側と導出側を閉じることができる。
また、この実施形態の第二の清澄槽103Bにおいて、その天井部104cの底面側に白金ヒーターなどの面状の加熱装置207が設置されている。この加熱装置207は第二の清澄槽103Bにとって必須ではないが、この加熱装置207に通電することで第二の清澄槽103Bの温度を調節できる。
この後、生産に使用する溶融ガラスを溶解槽2から第一の清澄槽103Aに移流させ、必要に応じて電極108により加熱して必要な温度に加熱し、仕切壁205、206を上昇させて第一の清澄槽103Aと第二の清澄槽103Bを連通し、冷却槽103Dと成形装置5を連通することにより溶融ガラスの生成並びにガラス物品の生産に移行できる。
なお、以上の実施形態において、ガラス溶融炉3、103、103A、103B、103Dに対して本発明の予備加熱方法を適用する方法について説明したが、本発明に係る予備加熱方法は、本発明に係るガラス溶融炉の一部である溶解槽2に対しても適用することもできる。
また、Mo製の内面カバーを保護するため、内面カバーの裏面と耐火性炉材の内面の間に必然的に生じる隙間を埋めるように、目標組成のガラス板を挿入した。この板ガラスは、予備加熱時に溶融ガラスとなって生産用溶融ガラスの導入の前にできだけ早く内面カバーを覆うことができるように設けている。
なお、Mo製の内面カバーを予熱中またはその後にできるだけ昇華させないために、事前に内面カバーの溶融ガラス通路側に目標組成のガラス板またはカレットを敷き詰めて、早い段階で内面カバーの表面をガラス板などが溶融したガラスで覆うようにしてもよい。
以上の条件にて燃焼ガスをガラス溶融炉の第一の清澄槽と冷却槽に送り、冷却槽から抜き出した予備加熱使用後の燃焼ガスを循環燃焼ガスとして前述の送風量で燃焼ガス導入路に供給し、この状態で約5日間予備加熱試験した。
図10に示す結果のように、約5日間かけて試験運転した結果、Mo製の内面カバーの温度を常温から1400℃近くまで順調に昇温できた。
また、炉内酸素濃度の遷移は試験開始から4分後に目標の1%以下に下がり、その後、酸素濃度1%以下の範囲を約5日間保つことができた。なお、炉内の酸素濃度について、完全に酸素を無くして、炉内を還元雰囲気にすると、Ptが損傷するおそれがあるので、酸素は低濃度ながら、存在することが好ましい。この面から、炉内酸素濃度は3%以下とすることが好ましく、1%以下にすることがより好ましい。
この面から鑑み、図10に示す試験結果から試験用ガラス溶融炉は、酸素濃度1%以下を約5日間維持できたので、より好ましい酸素濃度範囲を維持できていることが明かである。
Claims (14)
- バーナーからの燃焼ガスを耐火製炉材からなるガラス溶融炉内に導入し、該導入後の燃焼ガスを前記ガラス溶融炉内から排気し、該排気した燃焼ガスを前記バーナーから前記ガラス溶融炉に至る燃焼ガス経路の途中から再度前記ガラス溶融炉に導入して循環させながら、前記ガラス溶融炉の予熱を行うガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 前記バーナーに燃料の燃焼に必要な量の酸素を供給し、前記バーナーにおいて燃焼により生成した酸素消費後の燃焼ガスに前記ガラス溶融炉から排気した燃焼ガスを加えた混合ガスを前記燃焼ガス経路から前記ガラス溶融炉に供給し、該ガラス溶融炉内の酸素濃度を低く維持しながら前記ガラス溶融炉の予熱を行う請求項1に記載のガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 前記ガラス溶融炉内の雰囲気圧力を大気圧以上にする請求項1又は2に記載のガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 前記ガラス溶融炉内の酸素濃度を3%以下にする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 前記燃焼ガスの酸素量を調整して前記ガラス溶融炉内の温度を調整する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 前記ガラス溶融炉内の複数の空間に対し、前記バーナーからの燃焼ガスを個別に供給し、前記複数の空間から個別に燃焼ガスを排気し、前記排気した燃焼ガスを前記空間に個別に導入して前記循環を行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガラス溶融炉の予備加熱方法。
- 耐火製炉材からなる溶融ガラス流路を備えたガラス溶融炉と、
前記溶融ガラス流路に燃焼ガスを導入するためのバーナーと、
前記溶融ガラス流路に前記バーナーからの燃焼ガスを導入する燃焼ガス導入路と、
前記溶融ガラス流路に導入した燃焼ガスを該溶融ガラス流路から排出する燃焼ガス排出路と、
前記燃焼ガス排出炉から排出した燃焼ガスを前記溶融ガラス導入路に戻す燃焼ガス循環路と、
を有するガラス溶融装置。 - 前記ガラス溶融炉が溶解槽を含む請求項7に記載のガラス溶融装置。
- 前記ガラス溶融炉が、該ガラス溶融炉内の雰囲気圧力の調整手段を有する請求項7又は8に記載のガラス溶融装置。
- 前記溶融ガラス流路における燃焼ガスと酸素ガスの濃度割合の調整手段を備えた請求項7乃至9のいずれか一項に記載のガラス溶融装置。
- 前記溶融ガラス流路において溶融ガラスと接触する流路面に、溶融ガラスに対する耐熱性及び耐蝕性を有する金属ライナーが設けられた請求項7乃至10のいずれか一項に記載のガラス溶融装置。
- 前記金属ライナーがモリブデンからなる請求項11に記載のガラス溶融装置。
- 前記ガラス溶融炉が、溶融ガラスをより高温に加熱するための加熱領域と、該加熱領域で加熱された高温の溶融ガラスを高温状態のまま温度保持しながら流す高温領域と、この高温領域に接続された冷却域とを具備した請求項7乃至12のいずれか一項に記載のガラス溶融装置。
- 請求項7乃至13のいずれか一項に記載のガラス溶融装置によって溶融ガラスを製造する工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する工程を含むガラス物品の製造方法。
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