JP2013091854A - 透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯電話やゲーム機などに組み込まれるタッチパネルの電極フィルムとして用いた際に、ペン入力耐久性に優れた透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することにある。さらに、有機エレクトロルミネッセンス、色素増感型太陽電池等の低抵抗な透明電極が必要とされる用途に最適な電気特性に優れた透明導電性フィルムを提供すること。
【解決手段】透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した透明導電性フィルムであって、透明導電性薄膜層がSnO2の含有量が2〜12質量%の結晶質なインジウム−スズ複合酸化物であり、透明導電性薄膜層ハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法を用いて作製することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法
【選択図】なし

Description

本発明は透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した透明導電性フィルム及びこれらを用いたタッチパネル、静電容量式タッチパネル、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス素子、色素増感型太陽電池、電磁波吸収パネルに関するものである。特に液晶ディスプレイ等の表示体に組み込まれる抵抗膜式タッチパネルの電極用フィルムとして用いた場合、ペン摺動耐久性に優れるため、タッチパネルの長期信頼性を得ることができる透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルに関する。さらに静電容量式タッチパネル、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス素子、色素増感型太陽電池、電磁波吸収パネル等の透明電極として用いた場合、導電性に優れるため、良好なデバイスを作製できる。
透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(ELと略記される場合がある)ディスプレイ、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使用されている。
近年、タッチパネルは入力インターフェイスとして幅広く認知され、特に携帯電話やゲーム機、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯端末には操作キーを省くため表示ディスプレイにタッチパネルを搭載するケースが増えている。このような携帯端末に用いられるタッチパネルは表示画面を汚さないためにペンなどで入力が行われる。このため、ペンなどで局部的に強い力で入力を繰り返しても透明導電性薄膜層が劣化せず、長期使用してもタッチパネルの入力がしづらくならない透明導電性フィルムが要望されている。
さらに静電容量式タッチパネル、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス素子、色素増感型太陽電池、電磁波吸収パネル等の透明電極では低抵抗な透明導電性フィルムが要望されている。
しかしながら、従来の透明導電性フィルムは次のような課題を有していた。
厚さが120μm以下の透明プラスチックフィルム基材上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤層で他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルムが特許文献1に開示されている。しかしながら、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜に剥離が生じ、ペン入力に対する耐久性は不十分であった。そのため、この剥離部の白化により、タッチパネル付きディスプレイ用に使用した際に表示品位が低下するという問題があった(特許文献1参照)。
また、透明プラスチックフィルム基材上に、有機ケイ素化合物の加水分解により生成された下地層を設け、さらに結晶質の透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムが、特許文献2〜7などに提案されている(特許文献2〜7参照)。
しかしながら、これらの透明導電性フィルムは非常に脆く、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜にクラックが発生する。
さらに低抵抗な透明導電性フィルムが提案されている(特許文献8参照)。しかしながら熱処理前の比抵抗は4〜6×10−4Ω・cmと高く、また結晶の配向方向が(222)、(440)であり、ガラス上に200℃で成膜された透明導電性薄膜と比較すると導電性が不十分であった。
一方、ピーク電力密度を大幅に向上させるマグネトロンスパッタリング法が開示されている。本方法では、マグネトロンスパッタリングにおいて、印加するパルスの立ち上がりを制御することにより放電ガスを完全電離状態にできる。このためターゲットからスパッタリングされた粒子のイオン化率が大幅に向上し、基板との密着性及び膜の緻密さを向上できると報告されている(特許文献9参照)。
本方法において、スパッタリングガスは、まずグロー放電、次いでアーク放電状態になり、最終的に完全イオン化状態になる。しかしながら実際には完全イオン化状態からアーク放電状態に変化してしまうことある。アーク放電状態になった場合、製品やターゲットにダメージが加わる可能性が高い。このため、アーク放電状態に変化することのない条件に設定する必要があるが、ターゲット材料により条件は異なり、条件設定に多くの時間が必要である。
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、ハイパワーマグネトロンスパッタリング法を用いて、タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れ、特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で30万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜が破壊されない、透明導電性フィルム又は透明導電性シート、及びこれらを用いたタッチパネルを提供することにある。さらに静電容量式タッチパネルや有機エレクトロルミネッセンス用の透明電極として用いることが可能な低抵抗な透明導電性フィルムを提供することにある。
特開平2−66809号公報 特開昭60−131711号公報 特開昭61−79647号公報 特開昭61−183809号公報 特開平2−194943号公報 特開平2−276630号公報 特開平8−64034号公報 特開2000−238178号公報 米国特許番号第6296742
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、携帯電話やゲーム機などに組み込まれるタッチパネルの電極フィルムとして用いた際に、ペン入力耐久性に優れた透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することにある。さらに静電容量式タッチパネル、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス素子、色素増感型太陽電池、電磁波吸収パネル等に用いることが可能な導電性に優れた透明電極を提供することにある。
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた透明導電性フィルムの製造方法とは、以下の構成よりなる。
1. 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した透明導電性フィルムであって、透明導電性薄膜層がSnO2の含有量が2〜12質量%の結晶質なインジウム−スズ複合酸化物であり、透明導電性薄膜層ハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法を用いて作製することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法
2. 前記透明導電性薄膜層が(222)配向を有する結晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる膜であることを特徴とする前記1.に記載の透明導電性フィルムの製造方法
3. 前記透明導電性薄膜層が(400)配向を有する結晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる膜であることを特徴とする前記1.に記載の透明導電性フィルムの製造方法
4. 前記透明導電性薄膜層の比抵抗が3.0×10−4Ω・cm以下であることを特徴とする前記1.〜3.いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
5. 前記透明導電性薄膜層150℃以下で作製することを特徴とする前記1.〜4.のいずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
本発明により得られる透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した構成を有し、透明導電性薄膜層がハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜されているため、スパッタ粒子のイオン化率が高く、成膜温度が低温でも緻密で結晶質な透明導電性薄膜が得ることができる。そのため、タッチパネルにおいてペン摺動試験を行った際に、透明導電性薄膜に剥離及びクラックが発生しにくくなり、ペン摺動耐久性を向上させることができるという利点がある。さらに導電性に優れるため、静電容量式タッチパネル等の透明電極として用いることができる。
ハイパワーマグネトロンスパッタリング装置の概略図。 本発明の実施例1で得られた透明導電性薄膜の電子線回折パターン。 本発明の比較例1で得られた透明導電性薄膜の電子線回折パターン。 本発明の実施例2で得られた透明導電性薄膜の電子線回折パターン。
本発明により得られる透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した透明導電性フィルムである。以下、各層別に詳細に説明する。
(透明プラスチックフィルムからなる基材)
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合してもよいし、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは70〜260μmである。プラスチックフィルムの厚みが10μm未満では機械的強度が不足し、透明導電性薄膜のパターン形成工程でのハンドリングが難しくなるため好ましくない。一方、厚みが300μmを越えると、タッチパネルの厚みが厚くなりすぎるため、モバイル機器などには適さない。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよい。
また、本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材には、透明導電性薄膜層との密着性向上、耐薬品性の付与、オリゴマーなどの低分子量物の析出防止を目的として、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設けてもよい。
前記の硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に限定されなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とする硬化型樹脂が好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
また、透明導電性薄膜層と硬化物層との付着力を向上するために、硬化物層を更に表面処理することが有効である。具体的な方法としては、グロー放電又はコロナ放電を照射する放電処理法を用いて、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加させる方法、酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法を用いて、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させる方法、などが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に限定なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類などを挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜5質量部とすることが好ましい。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などのレベリング剤などを添加してもよい。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルムからなる基材上にコーティングされる。コーティング法には特に限定されなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。
また、硬化物層の厚みは0.1〜15μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜8μmである。硬化物層の厚みが0.1μm未満の場合には、十分に架橋した構造が形成されにくくなるため、耐薬品性が低下しやすくなり、オリゴマーなどの低分子量による密着性の低下もおこりやすくなる。一方、硬化物層の厚みが15μmを超える場合には、生産性が低下する傾向がある。
(透明導電性薄膜層)
本発明における透明導電性薄膜層は酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、チタン−ニオブ複合酸化物などが挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物が好適である。
例えば、インジウム−スズ複合酸化物を用いた場合、SnO2の含有量は2〜12質量%が好ましい。SnO2の含有量が2質量%未満では、キャリア密度が不十分であり、比抵抗を低くすることが困難である。一方、SnO2の含有量が12質量%を超える場合には、不純物散乱が大きくなるため、移動度が低下し、比抵抗を低くすることが困難となる。
透明導電性薄膜の膜厚は、4〜100nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜80nmである。透明導電性薄膜の膜厚が4nm未満の場合、連続した薄膜になりにくく良好な導電性を示しにくい傾向がある。一方、100nmよりも厚い場合、透明導電性薄膜層の応力が大きくなり、透明導電性フィルムのそりが発生し、有機エレクトロルミネッセンスなどのデバイスを作製しづらくなる。
本発明における透明導電性薄膜の成膜は、ハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法で行う。
ハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法とは、具体的なイメージとして図1に示されるものである。すなわち図1において、所望の時間スイッチをONすることによってDC電源からコンデンサに充電し、スイッチをOFFした後、サイリスタスイッチをONにする。この際、コンデンサに蓄積した電荷がインダクタンスを経由してカソードに印加され、放電を開始することによってスパッタリングする方法である。
この際、透明導電性薄膜層の成膜は、酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法で行われる。生産安定性の観点から酸化物ターゲットを用いることが好ましい。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
電極に印加する電力のデューティー比(パルス印加電力のON、OFF比、ON時間/OFF時間)は、10%以下であることが好ましい。さらに好ましくは3%以下である。
例えば、SnOを10質量%含有する酸化インジウムターゲットを用いた場合、具体的な条件としては、ピーク電力密度が0.1〜5kW/cm、パルス幅が10〜200μs、パルス周波数が10〜500Hzが挙げられる。
ピーク電力密度が0.1kW/cm未満ではスパッタ粒子のイオン化が起こりにくくなり、結晶質な透明導電性薄膜が得られにくい。一方、ピーク電力密度が5kW/cmを超える場合には、スパッタ粒子のイオン化には十分であり、カソード等への負荷が大きくなり好ましくない。
パルス幅が10μs未満では、スパッタ粒子のイオン化が起こりにくくなり、結晶質な透明導電性薄膜が得られにくい。一方、200μsを越える場合には、パルスの周期が不規則になり、アーキングが発生しやすくなるため好ましくない。
パルス周波数はが10Hz未満では、成膜速度が遅くなりすぎるため好ましくない。一方、パルス周波数が200Hzを超える場合、ターゲットへの熱負荷が大きくなりすぎるため破損しやすくなるため好ましくない。
基板となる透明プラスチックフィルムに透明導電性薄膜を成膜する際の温度は、−10〜150℃とすることが好ましい。さらに好ましくは−10〜80℃である。成膜時の温度が150℃を越えると、プラスチックフィルム表面が柔らかくなり、真空チェンバー走行中にフィルム表面に傷が発生しやすくなる。また、−10℃未満の温度では結晶質な導電性薄膜を得ることが難しくなる。
成膜する際の圧力は、Arなどの不活性ガスと酸素などの反応性ガスを真空チェンバーに導入し、0.01〜10Paの圧力範囲において放電を発生させ、スパッタリングを行うのが好ましい。
透明導電性薄膜層の結晶性を向上させるために、成膜雰囲気中の水分や有機物などの不純物を除去することが有効である。
例えば、基板となる透明プラスチックフィルムを加熱処理温度100〜200℃の範囲で加熱することが好ましい。100℃未満では揮発成分を減少させる効果が不十分となりやすく、200℃を越える温度では、フィルムの平面性を保つのが難しくなる傾向にある。
また、スパッタリング等を行う真空チェンバーの中でフィルムを真空暴露することで揮発成分を減少させることも有効な手段である。真空暴露の際にフィルムに接触するロール温度を高くしてすること、あるいは赤外線ヒーターによるフィルム加熱を併用することで揮発成分をより減少させることが可能となる。
この時の真空度としては、1,000Pa以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa以下である。100Paよりも高い圧力では揮発成分除去の効果が十分ではない。
また、真空暴露時間は、1〜100分とすることが好ましい。真空暴露時間が1分未満では、揮発成分除去の効果が十分ではない。一方、100分を超える時間では、生産性が著しく低下するために、工業的に不適である。
さらに、真空暴露の際にフィルム温度を高くすることで、より効率的に揮発成分の低減を行うことができる。フィルム温度としては、0〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜180℃の範囲である。
フィルム温度を制御するためには、フィルムに接触するロール温度を高くすること、あるいは赤外線ヒーターによるフィルム加熱を併用する手段が有効である。この時のロール温度としては、上記フィルム温度と同様に0〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜180℃の範囲である。
上記赤外線ヒーターは近赤外線型、中赤外線型、遠赤外線型のうちいずれでもよい。赤外線ヒーターへの投入電力は、5〜50,000W/m・minの範囲が好ましい。5W・m/min未満の投入電力ではフィルム温度を上昇させる効果がなく、50,000W/m・minよりも高い投入電力では、フィルム温度が高くなりすぎ、フィルムの平面性が低下するために好ましくない。
透明導電性薄膜層の結晶性を向上させるために、CeO、TiO、結晶質なInZrO、ZnO、SiN,AlN、SiO、Alなどの無機材料からなる下地層を設けてもよい。
また、さらに結晶性の高い透明導電性薄膜を得るために、成膜後に加熱、紫外線照射などの手段でエネルギーを付与してもよい。これらのエネルギー付与手段のうち、酸素雰囲気下での加熱処理が好適である。
加熱処理温度は120〜200℃の範囲が好ましい。120℃未満の温度では、膜質改善の効果が十分である。一方、200℃を超える温度ではフィルムの平面性を維持するのが難しくなる。
また、加熱処理時間としては0.2〜60分の範囲が好適である。0.2分未満では、たとえ220℃程度の高温で加熱処理を行なっても膜質改善の効果が十分でなく好ましくない。一方、60分を超える加熱処理時間では工業的に不適である。
また、加熱処理を行なう雰囲気は、予め0.2Pa以下の圧力まで排気した後に酸素で満たした空間で行うことが好ましい。このときの圧力は大気圧以下であることが好ましい。
以下に実施例により本発明をさらに、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能及び透明導電性薄膜層の結晶性、タッチパネルのペン摺動耐久性試験は、下記の方法により測定した。
(1)全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001DPを用いて、光線透過率を測定した。
(2)表面抵抗値
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
(3)透明導電性薄膜の比抵抗測定
前記表面抵抗値と透明導電性薄膜層の膜厚を用いて比抵抗を算出した。
(4)透明導電性薄膜層の結晶配向性(電子線回折パターン)
透明導電性薄膜層を積層したフィルム試料片を切り出し、導電性薄膜面を外向きにして適当な樹脂ブロックの上面に貼り付けた。これをトリミングしたのち、一般的なウルトラミクロトームの技法によってフィルム表面にほぼ平行な超薄切片を作製した。
この切片を透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)で観察して著しい損傷がない導電性薄膜表面部分を選び、加速電圧200kV、カメラ長100cmの条件で電子線回折パターンを撮影した。このようにして得られた電子線回折パターンの中心を求め、半径方向の強度プロファイルをプロットした。強度プロファイルに現れたピークの位置から散乱に寄与した結晶面間隔を求めた。
(5)ペン摺動耐久性試験
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、30万回(往復5万回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで上記の摺動部にかかるように20mmφの記号○印を筆記し、タッチパネルがこれを正確に読みとれるかを評価した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
〔実施例1〕
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液を、マイヤーバーを用いて塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm)し、塗膜を硬化させた。次いで、反対面についても同様に塗膜を設けた後、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行った。
また、この硬化物層を積層した二軸配向透明PETフィルムを真空暴露するために、真空チェンバー中で巻き返し処理を行った。このときの圧力は0.002Paであり、暴露時間は20分とした。また、センターロールの温度は40℃とした。
次に、この硬化物層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして酸化スズを10質量%含有した酸化インジウム(三井金属鉱山社製、密度7.1g/cm)を用いて、ピーク電力密度が1kW/cmになるように印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となるO流量で流し、0.4Paの雰囲気下でハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。ただし、アーク放電を防止するために、電力供給を制御できるヒュッティンガ社製(HMP2/3)を用いて50μs幅のパルスを100Hz周期で印加した。また、センターロール温度は0℃として、スパッタリングを行った。このようにして厚さ20nmのインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜層を堆積させた。
<タッチパネルの作製>
この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法で厚みが20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜(日本曹達社製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
〔比較例1〕
電力供給をDCマグネトロンスパッタリング法に変更する以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
〔実施例2〕
ピーク電力密度を0.5kW/cmとする以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。さらに実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
表1の結果より、本願発明の範囲を満足する実施例1〜2記載の透明導電性フィルム又は透明導電性シートを用いたタッチパネルは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ30万回の摺動試験を行った後でも剥離やクラックの発生もなく、ON抵抗にも異常がなかった。
一方、通常のDCマグネトロンスパッタリング法を用いて作製した比較例1に記載の透明導電性フィルム又は透明導電性シートを用いたタッチパネルは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ30万回の摺動試験を行った後にON抵抗に異常が生じた。
本発明により得られる透明導電性フィルム又は透明導電性シートは、携帯電話やゲーム機などの携帯端末に組み込まれるタッチパネルに用いた際に、ペン摺動耐久性に優れているため、長期使用してもタッチパネルのペン入力性の低下を抑制できる。さらに導電性に優れているため、有機エレクトロルミネッセンス用などの透明電極として用いることができる。
1:スパッタ電源
2:コンデンサ
3:スイッチ
4:サイリスタ
5:サイリスタ
6:コイル
7:マグネトロンカソード
8:透明プラスチック基材
9:真空チャンバー

Claims (5)

  1. 透明プラスチックフィルムからなる基材上に、透明導電性薄膜層を積層した透明導電性フィルムであって、透明導電性薄膜層がSnO2の含有量が2〜12質量%の結晶質なインジウム−スズ複合酸化物であり、透明導電性薄膜層ハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリング法を用いて作製することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法
  2. 前記透明導電性薄膜層が(222)配向を有する結晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法
  3. 前記透明導電性薄膜層が(400)配向を有する結晶質なインジウム−スズ複合酸化物からなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法
  4. 前記透明導電性薄膜層の比抵抗が3.0×10−4Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
  5. 前記透明導電性薄膜層を150℃以下で作製することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法
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