JP2013085980A - 塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリオレフィンバンパーに対し水性プライマーを塗装後にプレヒートすることなく次工程の上塗り塗装を行なっても混層せずに仕上り性や耐水性に優れた複層塗膜を形成し得る塗装方法を提供すること。
【解決手段】 塗装ブース入口のコンベア両脇と上部に遠赤外線ヒータを設置して、オレフィンバンパーが通過する際に、15〜35℃の塗装ブース温度に対して−3〜+20℃の表面温度となるよう加温されたポリオレフィンバンパー面に、変性ポリオレフィンの水性分散体(A)、水性ウレタン樹脂(B)、水性アクリル樹脂(C)、ジエステル化合物(D)及び導電性顔料(E)を特定の配合割合で含有する水性プライマーを特定の膜厚で塗装し、プレヒートすることなくその塗面に溶剤型着色ベースコート塗料を塗装し、さらにその塗面に溶剤型クリヤーコート塗料を塗装して、これら3層塗膜を同時に焼き付けることからなる塗装方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィンバンパーに対し水性プライマーを塗装後にプレヒートすることなく次工程の上塗り塗装を行なっても混層せずに仕上り性や耐水性に優れた複層塗膜を形成し得る塗装方法に関する。
ポリオレフィンバンパーには、上塗り塗膜と成型品との付着性を向上させるために、しばしば、塩素化ポリオレフィン等を含有するプライマーがあらかじめ塗装される。このプライマーには、塩素化ポリオレフィンの溶解性の点から、溶剤としてトルエンやキシレンなどの芳香族系有機溶剤が使用されてきたが、安全衛生や環境保全などの観点から、近年、水性化が進められている。
また、上記成型品は、通常、約1010Ω・cm以上の体積固有抵抗率を有しているため、このようなプラスチック成型品に塗着効率に優れる静電塗装法を用いて上塗り塗料を直接塗装することは困難であり、通常、上記プライマーに導電性を付与し、それを塗装した後、着色を目的とした上塗り塗料が静電塗装されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。
その塗装方法には、例えば、特許文献3や特許文献4のように、水性プライマーを塗装後に着色ベース塗料及びクリヤー塗料を順次塗装する上塗り塗装も含めた3コート1ベイク方式も提案されている。このようなウエットオンウエット方式に水性プライマーを用いた場合には、上塗り塗装後の仕上り性の確保から、水性プライマー塗装後、次の塗装工程に入る前に、たとえ数分間であっても予備乾燥(プレヒート)することが必須であった。
しかしながら、実際の塗装ラインでは、省スペース、省エネルギー化の点から、プレヒート工程を排除することが求められていたが、上塗り塗装後の仕上り性や耐水性等の塗膜物性の点からプレヒート工程を省略することは困難であった。
そこで、特許文献5では、特定組成の水性プライマー組成物を用いることによってプレヒートすることなく上塗り塗装を行なっても、仕上り性や耐水性等に優れた複層塗膜が形成できることが提案されている。しかし、この手法でも、真冬の低温低湿度下の環境下では、プレヒート工程を省略すると十分な仕上り性が得られない場合があった。
特開平6−165966号公報 国際公開WO2007/046532号パンフレット 特開平10−296171号公報 特開2004−331911号公報 国際公開WO2010/016617号パンフレット
本発明の目的は、ポリオレフィンバンパーに対し水性プライマーを塗装後にプレヒートすることなく次工程の上塗り塗装を行なっても混層せずに仕上り性や耐水性に優れた複層塗膜を形成し得る塗装方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、今回、特定の水性プライマーを塗装する前にポリオレフィンバンパー面をその表面温度が特定範囲内となるよう加温することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、15〜35℃の塗装ブース温度に対して−3〜+20℃の表面温度となるよう加温されたポリオレフィンバンパー面に、水性プライマーを塗装し、プレヒートすることなくその塗面に溶剤型着色ベースコート塗料を塗装し、さらにその塗面に溶剤型クリヤーコート塗料を塗装して、これら3層塗膜を同時に焼き付けることからなる塗装方法であって、
該水性プライマーが、変性ポリオレフィンの水性分散体(A)、水性ウレタン樹脂(B)、水性アクリル樹脂(C)、一般式(1)
Figure 2013085980
[式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
で示されるジエステル化合物(D)及び導電性顔料(E)を含有し、成分(A)、(B)及び(C)の配合量が、3成分の合計固形分質量に基づいて、成分(A)が15〜60質量%、成分(B)が30〜75質量%、そして成分(C)が10〜40質量%の範囲内である塗料であって、
該ポリオレフィンバンパー面の加温を、塗装ブース入口のコンベア両脇と上部に遠赤外線ヒータを設置して、該バンパーが通過する際に行ない、
さらに水性プライマーを3〜6μmの膜厚で塗装する
ことを特徴とする塗装方法を提供するものである。
本発明によれば、低温低湿度のブース環境下においても、ポリオレフィンバンパーに対し水性プライマーを塗装後にプレヒートすることなく次工程の上塗り塗装を行なっても混層せずに仕上り性や耐水性に優れた複層塗膜を形成することができる。
本発明の塗装方法は、ポリオレフィンバンパー面に、水性プライマーを塗装し、プレヒートすることなくその塗面に溶剤型着色ベースコート塗料を塗装し、さらにその塗面に溶剤型クリヤーコート塗料を塗装して、これら3層塗膜を同時に焼き付けることからなるものである。
ポリオレフィンバンパー及びその表面の加温
本発明において、ポリオレフィンバンパーは、通常、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数2〜10のオレフィン類の1種もしくは2種以上を(共)重合せしめてなるポリオレフィンを材質とするものであり、その表面に、後述する水性プライマーの塗装に先立ち、それ自体既知の方法で、脱脂処理、水洗処理などの前処理を適宜行なっておくことができる。
本発明の方法では、後述する水性プライマーの塗装前に、上記ポリオレフィンバンパー面を、15〜35℃の塗装ブース温度に対して−3〜+20℃、好ましくは−1.5〜+15℃、さらに好ましくは0〜+10℃の表面温度となるように加温する。その際の表面温度の測定は、非接触式の放射温度計を用いて行なうことができる。
上記ポリオレフィンバンパー面の加温は、塗装ブース入口のコンベア両脇と上部に遠赤外線ヒータを設置して、該バンパーが通過する際に行なうことが好ましい。
遠赤外線ヒータを用いる場合、ヒータによる熱量は一般に500〜2,000W/m、好ましくは600〜1,800W/mの範囲内となるようにし、被塗物との距離は通常50〜500mm、好ましくは100〜300mmの範囲内とするのが好ましい。加熱時間は熱量および距離にもよるが、一般に10〜300秒、好ましくは10〜100秒程度である。
水性プライマー及びその塗装
本発明の方法では、ポリオレフィンバンパー面を上記のとおり加温した後、水性プライマーを塗装する。使用される水性プライマーは、変性ポリオレフィンの水性分散体(A)、水性ウレタン樹脂(B)、水性アクリル樹脂(C)、ジエステル化合物(D)及び導電性顔料(E)を含有するものである。
変性ポリオレフィンの水分散体(A)
変性ポリオレフィンの水分散体(A)には、不飽和カルボン酸又は酸無水物で変性したポリオレフィン(i)を水性媒体中に分散してなるものが包含される。
不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数が2〜10、特に2〜4のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを(共)重合せしめることにより得られるポリオレフィンを、さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの炭素数が3〜10、特に4〜8の不飽和カルボン酸(好ましくは不飽和モノ−もしくはジ−カルボン酸)又はこれらの不飽和カルボン酸の無水物を用いて、それ自体既知の方法に従ってグラフト重合することにより得ることができ、特に、マレイン酸又はその酸無水物によって変性されたものが好適である。該不飽和カルボン酸又はその酸無水物によるグラフト量は、厳密に制限されるものではなく、形成塗膜に望まれる物性などに応じて適宜変えることができるが、ポリオレフィンの質量に基いて、一般に1〜20質量%、好ましくは1.5〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%の範囲内が適当である。
上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)に使用されるポリオレフィンとしては、特に、得られるポリオレフィンの分子量分布が狭く、ランダム共重合性等にも優れているなどの観点から、重合触媒としてシングルサイト触媒を用いて製造されたものが好適である。シングルサイト触媒は、活性点が同種(シングルサイト)のものであり、該シングルサイト触媒の中でも特にメタロセン系触媒が好ましい。該メタロセン系触媒は、通常、共役五員環配位子を少なくとも一個有し且つ周期律表の4〜6族又は8族の遷移金属化合物や3族の希土類遷移金属を含有する化合物であるメタロセン(ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体及びその誘導体)と、これを活性化することができるアルミノキサン等の助触媒、さらにトリメチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を組み合わせて得られるものである。
該ポリオレフィンは、それ自体既知の方法で製造することができ、例えば、プロピレンやエチレンなどのオレフィンと水素を反応容器に供給しながら連続的にアルキルアルミニウムとメタロセン系触媒を添加することにより製造することができる。
また、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、必要に応じて、さらにアクリル変性されていてもよい。該アクリル変性に使用し得る重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリル系モノマー;さらにスチレンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを、そして「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記アクリル変性の方法としては、例えば、不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィンに、該変性ポリオレフィン中のカルボキシル基に対して反応性を有する、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルなどをまず反応させて重合性不飽和基を導入し、次いで少なくとも1種の他のモノマーを、重合性不飽和基が導入された不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィンと共重合させるなどの方法が挙げられる。アクリル変性する場合の上記重合性不飽和モノマーの使用量は、他成分との相溶性や形成塗膜の付着性などの観点から、得られる変性ポリオレフィン(i)の固形分質量に基いて、通常30質量%以下、特に0.1〜20質量%、さらに特に0.15〜15質量%の範囲内が望ましい。
また、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、形成塗膜の耐水性、耐湿性、耐ガソホール性などの観点から、必要に応じて、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物によって変性されていてもよい。ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物におけるポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック鎖などを挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、必要に応じて、さらに塩素化されていてもよい。ポリオレフィンの塩素化は、例えば、ポリオレフィン又はその変性物の有機溶剤溶液又は分散液に塩素ガスを吹き込むことによって行うことができ、その際の反応温度は通常50〜120℃の範囲内とすることができる。ポリオレフィンの塩素化物(固形分)中の塩素含有率は、ポリオレフィンの塩素化物に望まれる物性などに応じて変えることができるが、形成塗膜の付着性などの観点から、ポリオレフィンの塩素化物の質量に基いて、一般に35質量%以下、特に10〜30質量%、さらに特に12〜25質量%の範囲内とすることが望ましい。
上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)に使用されるポリオレフィンは、特に、プロピレンを重合単位として含有するものが好適であり、該不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)におけるプロピレンの質量分率は、他成分との相溶性や形成塗膜の付着性の観点から、通常0.5〜0.99、特に0.6〜0.97、さらに特に0.7〜0.95の範囲内にあることが好適である。
上記の如くして得られる不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、一般に120℃以下、好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃の範囲内の融点、及び一般に30,000〜180,000、好ましくは50,000〜150,000、さらに好ましくは70,000〜120,000の範囲内の質量平均分子量(
Mw)を有することができる。該変性ポリオレフィンの融点及び質量平均分子量がこれらの範囲から逸脱すると、他成分との相溶性、形成塗膜の基材との付着性や上塗り塗膜層との層間付着性などが低下するので好ましくない。また、不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、上記のような付着性の観点から、一般に1〜50mJ/mg、特に2〜50mJ/mgの範囲内の融解熱量を有することが望ましい。
ここで、融点及び融解熱量は、示差走査熱容量測定装置「DSC−5200」(セイコー電子工業社製、商品名)を使用し、変性ポリオレフィン20mgを−100℃から150℃まで昇温速度10℃/分にて加熱し、その熱量を測定することにより得られるものである。融解熱量が求め難い場合には、測定試料を120℃まで加熱後、10℃/分で冷却してから、2日以上静置し、上記の方法で熱量を測定してもよい。
変性ポリオレフィン(i)の融点の調整は、例えば、ポリオレフィンの組成、特にα−オレフィンモノマー量を変化させることにより行なうことができる。
また、上記変性ポリオレフィン(i)の質量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した質量平均分子量をポリスチレンの質量平均分子量を基準にして換算した値であり、「HLC/GPC150C」(Water社製、商品名、60cm×1)により、カラム温度135℃、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、流量1.0ml/minで測定したものである。注入試料は、o−ジクロロベンゼン3.4mlに対し変性ポリオレフィン5mgの溶液濃度となるように140℃で1〜3時間溶解して調製する。なお、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「GMHHR −H(S)HT」(東ソー(株)社製、商品名)を挙げることができる。
さらに、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)は、他成分との相溶性や形成塗膜の付着性の観点から、質量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が一般に1.5〜4.0、特に2.0〜3.5、さらに特に2.0〜3.0の範囲内にあることが望ましい。
上記変性ポリオレフィンの水分散体(A)は、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)を水性媒体中、例えば、脱イオン水中に分散することによって得ることができ、その際、必要に応じて、不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)中のカルボキシル基の一部もしくは全部をアミン化合物で中和するか及び/又は乳化剤を用いて水分散することができる。上記変性ポリオレフィン(i)がポリオキシアルキレン鎖を有する場合には、該アミン化合物や乳化剤を使用せず又はそれらの少量の使用のみで変性ポリオレフィン(i)を水性媒体中に分散することが可能である。
上記アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの2級アミン;プロピルアミン、エタノールアミンなどの1級アミンなどが挙げられる。
上記アミン化合物を使用する場合のその使用量は、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)中のカルボキシル基に対して通常0.1〜1.0モル当量の範囲内とすることが望ましい。
上記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアリルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのノニオン系乳化剤;アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩等のアニオン系乳化剤などが挙げられ、さらに、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基などのポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基を有する反応性アニオン性乳化剤なども使用することができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記乳化剤の使用量は、上記不飽和カルボン酸又は酸無水物変性ポリオレフィン(i)の固形分100質量部に対して、通常30質量部以下、特に0.5〜25質量部の範囲内とすることが望ましい。
水性ウレタン樹脂(B)
上記水性ウレタン樹脂(B)は、分子中にウレタン結合を有する水溶性もしくは水分散性の樹脂であり、酸価を持つ自己乳化型エマルションや乳化剤を併用したエマルション、水溶性樹脂などが挙げられ、特に、ディスパージョンの形態のものが好適である。ウレタンディスパージョンは、通常、乳化剤の存在下に予めジオールとジイソシアネート、さらに必要に応じてジメチロールアルカン酸等を反応させて得られるウレタンプレポリマーを水中に分散させながら、強制乳化または自己乳化させることにより得られるディスパージョンである。
水性ウレタン樹脂(B)の骨格としては、例えば、エーテル系、カーボネート系、エステル系などが挙げられ、これらのうち、形成膜の耐水性の点から、エーテル系やカーボネート系が望ましい。また、水性ウレタン樹脂(B)は水酸基を含有するものであってもよい。
水性アクリル樹脂(C)
上記水性アクリル樹脂(C)としては、通常、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーなどの親水性基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーからなるモノマー混合物を共重合させることにより得られる、質量平均分子量が通常5,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000の範囲内の水溶性アクリル樹脂、或いは質量平均分子量が50,000以上、好ましくは100,000以上のアクリル樹脂エマルションを使用することができる。
上記質量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した質量平均分子量をポリスチレンの質量平均分子量を基準にして換算したときの値であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置としては、「HLC8120GPC」(東ソー(株)社製、商品名)を使用することができ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を使用することができる。
上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらのうちのジカルボン酸のハーフモノアルキルエステル化物などが挙げられ、また、これ以外の親水性基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレン鎖含有重合性不飽和モ
ノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー;2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩基含有重合性不飽和モノマー;4級アンモニウム塩化カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー等などが挙げられる。
上記その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−もしくはi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、i−もしくはt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記モノマー混合物の共重合は、特に制限されるものではなく、それ自体既知の方法で行うことができ、例えば、水溶性アクリル樹脂は溶液重合法などによって行なうことができ、また、アクリル樹脂エマルションは乳化重合法などによって製造することができる。
水性アクリル樹脂(C)が、特に乳化重合によって得られるアクリル樹脂エマルションである場合には、水及び乳化剤の存在下にモノマー混合物を用いて多段階で乳化重合させて得られる多層構造粒子状のエマルションであってもよい。
水性アクリル樹脂(C)中の親水性基含有重合性不飽和モノマーに由来するカルボキシル基などの酸性基は、必要に応じて塩基性物質を用いて中和することができる。その際に用いることができる塩基性物質は、水溶性であることが好ましく、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モルホリン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
水性アクリル樹脂(C)は、水酸基を含有することが望ましく、水分散性や他成分との相溶性、形成塗膜の硬化性などの点から、一般に20〜200mgKOH/g、特に20〜150mgKOH/gの範囲内の水酸基価、及び一般に1〜100mgKOH/g、特に10〜70mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが望ましい。
本発明で用いる水性プライマーでは、前記成分(A)、(B)及び(C)の配合量が、3成分の合計固形分質量に基づいて、成分(A)が15〜60質量%、好ましくは20〜55質量%、成分(B)が30〜75質量%、好ましくは35〜65質量%、そして成分(C)が10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲内である。この範囲を外れると、形成塗膜の素材への付着性、耐水性、耐ガソホール性等が低下するので好ましくない。
ジエステル化合物(D)
上記水性プライマーは、一般式(1)
Figure 2013085980
[式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
で示されるジエステル化合物(D)を含有する。
上記式(1)において、R又はRで表される炭化水素基としては、炭素数5〜11のアルキル基が好ましく、炭素数5〜9のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜8のアルキル基がさらに好ましい。特に、上記R及びRが炭素数6〜8の分岐状のアルキル基である場合、塗料を比較的長期間貯蔵した後に塗装した場合にも、形成される塗膜に優れた成膜性を付与することができる。また、Rは好ましくはエチレンであり、さらに、mは特に4〜10の整数であることが好ましい。
上記ジエステル化合物(D)は、例えば、2個の末端水酸基を有するポリオキシアルキレングリコールと炭素数4〜18の炭化水素基を有するモノカルボン酸とをエステル化反応させることにより得ることができる。
上記ポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリブチレングリコールなどを挙げることができ、この中でも特に、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。これらのポリオキシアルキレングリコールは、耐水性等の点から、一般に約120〜約800、特に約150〜約600、さらに特に約200〜約400の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
また、前記炭素数4〜18の炭化水素基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、3−メチルペンタン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸、デカン酸、2−エチルオクタン酸、4−エチルオクタン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸などを挙げることができる。この中でも、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸、デカン酸、2−エチルオクタン酸、4−エチルオクタン酸などの炭素数5〜9のアルキル基を有するモノカルボン酸が好ましく、ヘプタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−エチルヘプタン酸などの炭素数6〜8のアルキル基を有するモノカルボン酸がより好ましく、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−エチルヘキサン酸、2−エチルヘプタン酸などの炭素数6〜8の分岐状のアルキル基を有するモノカルボン酸がさらに好ましい。
上記ポリオキシアルキレングリコールと上記モノカルボン酸とのジエステル化反応はそれ自体既知の方法で行なうことができる。上記ポリオキシアルキレングリコール及び上記モノカルボン酸はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
得られるジエステル化合物(D)は、成膜性や仕上り性、耐水性などの点から、一般に約320〜約1,000、特に約400〜約800、さらに特に約500〜約700の範囲内の分子量を有することが好ましい。
水性プライマー中におけるジエステル化合物(D)の含有量は、成膜性や、複層塗膜の仕上り性、耐水性等の点から、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部に基づいて、一般に1〜15質量部、好ましくは2〜13.5質量部、さらに好ましくは3〜12質量部の範囲内であることが望ましい。
導電性顔料(E)
上記水性プライマーは、また、導電性顔料(E)を含有する。導電性顔料(E)としては、形成される塗膜に導電性を付与することができるものであれば特に制限はなく、粒子状、フレーク状、ファイバー(ウィスカー含む)状などのいずれの形状のものでも使用することができる。具体的には、例えば、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンマイクロコイルなどの導電性カーボン;銀、ニッケル、銅、グラファイト、アルミニウムなどの金属粉が挙げられ、さらに、アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、酸化錫やアンチモンで表面被覆された針状酸化チタン、酸化アンチモンなどの導電性金属酸化物を被覆した顔料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて用いることができる。これらのうち特に導電性カーボンを好適に使用することができる。
上記導電性顔料(E)の含有量は、導電性付与及び形成塗膜の付着性、耐水性などの観点から、水性プライマー中の成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部に基づいて、通常1〜300質量部、特に3〜250質量部、さらに特に5〜180質量部の範囲内であることが望ましい。特に、導電性カーボンを使用する場合には、その含有量は組成物中の成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計固形分100質量部に基づいて、通常1〜30質量部、特に3〜25質量部、さらに特に5〜25質量部の範囲内であることが望ましい。
水性プライマーは、さらに必要に応じて、上記導電性顔料以外の顔料、例えば、チタン白、ベンガラ、アルミペースト、アゾ系、フタロシアニン系などの着色顔料;タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華(酸化亜鉛)などの体質顔料を含有することができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
水性プライマーは、例えば、以上に述べた変性ポリオレフィンの水分散体(A)、水性ウレタン樹脂(B)、水性アクリル樹脂(C)、ジエステル化合物(D)及び導電性顔料(E)などを、常法に従い混合し、適宜水性媒体、例えば脱イオン水で希釈することにより調製することができ、塗装時における固形分含有率は通常30質量%以上、特に35〜45質量%の範囲内とすることが好適である。
水性プライマーは、さらに必要に応じて、架橋剤、硬化触媒、増粘剤、消泡剤、有機溶剤、表面調整剤などの塗料用添加剤などを含有することができる。
水性プライマーの塗装は、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装等の方法により行なうことができ、水性プライマーの塗装膜厚は、乾燥膜厚で3〜6μmの範囲内とすることができる。この範囲外ではプレヒートすることなく次工程の上塗り塗装を行なうと混層する恐れがあるので望ましくない。
溶剤型着色ベースコート塗料及びその塗装
本発明の方法では、上記のとおり水性プライマーを塗装し、プレヒートすることなくその塗面に溶剤型着色ベースコート塗料を塗装する。溶剤型着色ベースコート塗料としては、通常、水酸基含有樹脂、着色顔料/光輝性顔料および有機溶剤を含んでなる有機溶剤型塗料が使用される。
上記水酸基含有樹脂は、1分子中に2個以上の水酸基を有する被膜形成性の樹脂であって、例えば、塗料分解で通常用いられる水酸基を含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などがあげられ、特に水酸基含有アクリル樹脂が好適である。該樹脂としては、一般に30〜200、特に40〜170の範囲内の水酸基価、及び一般に3,000〜50,000、特に5,000〜30,000の範囲内の数平均分子量を有しているものが適している。
上記着色顔料/光輝性顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カ−ボンブラック、黄鉛、ハンザエロ−、クロムオレンジ、酸化鉄、パ−マネントレッド、ファストバイオレット、クロムグリ−ン、フタロシアニンブル−などの着色顔料や、フレ−ク状のアルミニウム、雲母、酸化チタンのような金属酸化物で表面被覆した雲母、雲母状酸化鉄などの光輝性顔料が挙げられる。
上記有機溶剤としては、例えば、炭化水素系(脂肪族系や芳香族系)、ケトン系、アルコ−ル系、エステル系、エ−テル系などの通常の塗料用溶剤を使用することができる。
溶剤型着色ベースコート塗料には、さらに必要に応じて、体質顔料、架橋剤、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、防錆剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤などを適宜含有させることができる。
溶剤型着色ベースコート塗料の塗装は、通常、静電塗装により行なわれる。静電塗装は、例えば、スプレー塗装、回転霧化塗装などの塗装において静電印加することにより行うことができる。その塗装膜厚は、着色ベースコート層を硬化させた後の塗膜の膜厚で通常10〜30μm、特に10〜20μmの範囲内となるようにすることが好ましい。
溶剤型クリヤーコート塗料及びその塗装
本発明の方法では、上記着色ベースコート塗料による塗面に溶剤型クリヤーコート塗料を塗装する。クリヤーコート塗料としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノール基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、エポキシ基含有化合物又は樹脂等の架橋剤とを樹脂成分として含有するものを使用することができる。なかでも、水酸基含有アクリル樹脂及びブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物を樹脂成分として含むものを使用することが特に好ましい。
クリヤーコート塗料には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に、着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができる。さらに、体質顔料、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、防錆剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤などを適宜含有させることができる。
クリヤーコート塗料の塗装は、通常、静電塗装により行なわれる。静電塗装は、例えば、スプレー塗装、回転霧化塗装等の塗装において静電印加することにより行うことができる。その塗装膜厚は、クリヤーコート層を硬化させた後の塗膜の膜厚で通常15〜80μm、特に20〜40μmの範囲内となるようにすることが好ましい。
焼付け
本発明の方法では、上記のとおり形成された未硬化の3層塗膜を同時に焼付ける。焼付けは、通常の塗膜の焼付け手段により行うことができる。例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により、約80〜約170℃の温度で15〜40分間程度加熱して同時に硬化させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、別記しない限り、それぞれ、「質量部」及び「質量%」を示す。
水性プライマーの作製
作製例1
変性ポリオレフィンの水性分散体として「EH−801」(酸変性塩素化ポリオレフィンの水性分散体、東洋化成社製、商品名、塩素化度:16%、固形分:30%)を固形分質量で30部、水性ウレタン樹脂として「ユーコートUX−310」(三洋化成社製、商品名、水性ウレタンディスパージョン)を固形分質量で40部、水性アクリル樹脂(C−1)(注1)を固形分質量で30部、ジエステル化合物(D−1)(注2)を固形分質量で5部、導電性顔料として「バルカンXC72」(キャボットスペシャリティーケミカルズ社製、商品名、導電性カーボンブラック)20部及びチタン白80部を、常法に従って混合し、固形分40%となるように脱イオン水で希釈して水性プライマー(1)を得た。
作製例2〜6
作製例1において、配合組成を表1に示すとおりとする以外は作製例1と同様に操作して、各水性プライマー(2)〜(6)を得た。
表1の配合は固形分表示であり、表1中の(注1)〜(注2)は下記のとおりである。(注1)水性アクリル樹脂(C−1): 撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル40部を入れ、120℃に加熱保持して、シクロヘキシルメタクリレート53部、n−ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート21部、アクリル酸6部及びアゾビスイソブチロニトリル5部の混合物を3時間かけて滴下した。滴下後、同温度で1時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10部の混合液を1時間かけて滴下し、さらに1時間熟成後、ジメチルエタノールアミン7.4部及び脱イオン水193部を攪拌しながら添加し、水酸基含有アクリル樹脂溶液を得た。これを水性アクリル樹脂(C−1)として用いた。得られた樹脂の酸価は47mgKOH/g、水酸基価は101mgKOH/g、質量平均分子量は約1万であった。
(注2)ジエステル化合物(D−1): ポリオキシエチレングリコールとn−ヘキサン酸とのジエステル化合物。前記一般式(1)において、R及びRがそれぞれペンチル基であり、Rがエチレン基であり、mが5である化合物。分子量:434。
Figure 2013085980
実施例及び比較例
バンパーに成型加工したポリプロピレン(脱脂処理済)(表面温度が5℃)を、塗装ブース入口のコンベア両脇と上部に設置した遠赤外線ヒータ(熱量1,000W/m、被塗物との距離200mm)で表2の表面温度となるように加温処置を行い、室温25℃、相対湿度70%の塗装ブース内で、上記のとおり作製した水性プライマー(1)〜(6)をそれぞれ表2に示す塗装膜厚になるようにエアスプレー塗装し、30秒間放置後、その上に着色ベースコート塗料として「ソフレックス450」(関西ペイント社製、商品名、溶剤型着色ベースコート塗料)を乾燥膜厚で約15μmとなるように静電塗装し、次いでクリヤー塗料として「ソフレックス 7300クリヤー」(関西ペイント社製、商品名、アクリルウレタン系溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚で約30μmとなるように静電塗装し、80℃で30分間加熱乾燥させて各試験塗装物を作製した。
Figure 2013085980
性能試験
上記のとおり作製した各試験塗装物を下記の性能試験に供した。その結果を表2に示す。
(*1) 仕上がり外観: 上塗り塗装後の塗膜の仕上がり外観を次の基準で目視評価した。
○;仕上がり肌、ツヤ感ともに良好、
△;仕上がり肌がやや劣る、またはツヤ感がやや劣る、
×;仕上がり肌、ツヤ感ともに劣る。
(*2) 初期付着性: 各試験塗装物の塗膜面に素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、大きさ2mm×2mmのマス目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープ(登録商標)を貼着し、20℃においてそれを急激に剥離した後のマス目の残存塗膜数を調べ、次の基準で表示する。
○は100個(ハガレなし)、
△は99〜50個、
×は49個以下。
(*3) 耐水性及び耐水後付着性: 各試験塗装物の塗装したバンパーの一部を切り取り、40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げて乾燥してから、上記の初期付着性試験と同様にして付着性試験を行ない、残存塗膜数を調べて上記と同様に評価した(耐水後付着性)。また、塗膜の表面を観察し、ブリスター発生の有無を調べ、次の基準で表示する(耐水性)。
○;ブリスターの発生無し、
×;ブリスターの発生あり。

Claims (2)

  1. 15〜35℃の塗装ブース温度に対して−3〜+20℃の表面温度となるよう加温されたポリオレフィンバンパー面に、水性プライマーを塗装し、プレヒートすることなくその塗面に溶剤型着色ベースコート塗料を塗装し、さらにその塗面に溶剤型クリヤーコート塗料を塗装して、これら3層塗膜を同時に焼き付けることからなる塗装方法であって、
    該水性プライマーが、変性ポリオレフィンの水性分散体(A)、水性ウレタン樹脂(B)、水性アクリル樹脂(C)、一般式(1)
    Figure 2013085980
    [式中、R及びRは独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは3〜20の整数であり、m個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい]
    で示されるジエステル化合物(D)及び導電性顔料(E)を含有し、成分(A)、(B)及び(C)の配合量が、3成分の合計固形分質量に基づいて、成分(A)が15〜60質量%、成分(B)が30〜75質量%、そして成分(C)が10〜40質量%の範囲内である塗料であって、
    該ポリオレフィンバンパー面の加温を、塗装ブース入口のコンベア両脇と上部に遠赤外線ヒータを設置して、該バンパーが通過する際に行ない、
    さらに水性プライマーを3〜6μmの膜厚で塗装する
    ことを特徴とする塗装方法。
  2. 水性プライマーにおけるジエステル化合物(C)の含有量が、成分(A)、(B)及び(C)の合計固形分100質量部に基づいて1〜15質量部の範囲内である請求項1に記載の塗装方法。
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