JP2013081970A - 圧延機の板厚制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る圧延機の板厚制御方法は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機において、ワークロール間のロールギャップ量Sを制御する板厚制御方法において、比例制御及び/又は積分制御を行うPI制御とBISRA−AGCとを併用しつつ、圧延機のロールギャップ量Sの修正量ΔSを求めるに際し、PI制御に関する比例ゲインGpをBISRA−AGCの寄与率αbを用いた式により求める。
【選択図】図2
Description
圧延装置は板厚を制御するための板厚制御部を有しており、この板厚制御部では、自動板厚制御(AGC)として、フィードフォワードAGC、BISRA−AGC、及びモニタAGCや絶対値AGCが採用されている。
特許文献1に開示のタンデム圧延機は、検出された圧延荷重変動から板厚変動を判定して圧下操作量を修正するBISRA−AGCと、圧延ロール偏芯による板厚変動を補償するロール偏芯制御装置と、所定スタンドより出側の板厚測定に従ってそのスタンドの圧下操作量を修正する圧下モニタAGCと、所定スタンド間で検出された板厚偏差をその後方スタンド直下までトラッキングしながら、該スタンドの圧延ロール回転速度を修正する速度FF−AGCと、最終スタンド出側で検出された板厚偏差に従って、該検出位置より前方の圧延ロール回転速度を修正する出側速度AGCとを備え、当該タンデム圧延機の出側の板厚偏差を取り除くようにしたものである。
複数のAGCを併用する場合、併用される各AGCが発揮する能力を適切に決定しなければ、圧延機全体としての安定した制御が困難となる。本願発明者らは、BISRA−AGCと例えばモニタAGCとを併用した場合に板厚の制御を安定させるためには、モニタAGCにて実行されるPI制御に関する比例ゲインGpや積分ゲインGiを適切に決定しなければならないことを、現場の実績を基に知見した。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、BISRA−AGCとモニタAGC等におけるPI制御とを併用した板厚制御における、最適な比例ゲインGp及び積分ゲインGiの決定方法を提供すると共に、この決定方法を採用した板厚制御方法を提供することを目的とする。
本発明の板厚制御方法は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機において、ワークロール間のロールギャップ量Sを制御するものであって、
比例制御及び/又は積分制御を行うPI制御とBISRA−AGCとを併用しつつ、圧延機のロールギャップ量Sの修正量ΔSを求めるに際し、PI制御に関する比例ゲインGpを次式にて求めることを特徴とする。
図1を参照して、厚鋼板等の圧延材を圧延する圧延装置1は、その上流側に圧延材2を加熱する加熱炉3を有し、加熱炉3の下流側には、圧延材2の粗圧延を行う粗圧延機4が備えられている。粗圧延機4の下流側には、仕上げ圧延を行う仕上げ圧延機5が備えられている。加熱炉3で加熱されたスラブは、粗圧延機4や仕上げ圧延機5で複数回(複数パス)圧延されて、製品の厚鋼板となる。
図2には、圧延装置1に備えられている仕上げ圧延機5(以下、圧延機5という)が示されている。圧延機5は、圧延材2を圧延する一対のワークロール6,6とそれをバックアップする一対のバックアップロール7,7とを有している。
さらに、圧延機5には、ワークロール6,6の間隙長(以下、ロールギャップ量Sと呼ぶ)を調整する油圧駆動の圧下装置が備えられている。圧下装置は、例えば油圧シリンダ8と、油圧シリンダ8を制御してワークロール6の圧下位置を調整する油圧圧下位置制御部9とを有している。
ワークロール6の両端を支持するロールチョック10には、圧延機5のフレーム11に支持された油圧シリンダ8の基端が接続され、この油圧シリンダ8を支持するフレーム11には圧延荷重を計測するロードセル12が設けられている。
さらに、圧延機5の出側には、圧延材2の出側板厚(出側エッジ厚)を計測するための板厚計14が設けられている。板厚計14としては、γ線板厚計などを採用することができる。
例えば、特開昭59−19016号公報に記載の板厚制御方法では、油圧圧下系の油圧シリンダ位置のフィードバック制御に関する最適ゲインKOPTについて、次に示す式(1)などが与えられている。
しかしながら、モニタAGCのPI制御のP(比例)ゲインGp(絶対値AGCとモニタAGCのPゲインの和でもよい)に関しては、決定するための方法が開示されていない。そこで、式(1)で得られた最適ゲインKOPTを、PI制御の比例ゲインGpとして用いる場合を考える。
図3は、式(2)に基づいて、様々なM,Q対して比例ゲインGpを変更した場合のステップ応答を示すグラフである。但し、BISRA−AGCの寄与率であるαbの値を1としている。図3において、式(2)のMが大きくなる、あるいはQが小さくなると、グラフは左の方向(応答が早くなる)にシフトし、Mが小さくなる、あるいはQが大きくなると、グラフは右の方向(応答が遅くなる)にシフトする。
そこで、本実施形態による板厚制御部15aは、モニタAGCのPI制御における比例ゲインGpを、式(3)によって決定する。ここでは、積分ゲインGiを0として、比例ゲインGpだけを変更する場合について説明する。
図4(a)を参照すると、比例ゲインGpの変更を式(3)に基づいて行えば、M,Qが変動しても応答波形が変化せず、同じ応答が得られることがわかる。また、図4(b)を参照すると、ナイキスト線図も変化していないので、M,Qが変動しても同じ安定性を保つことができる。
ここで、定数a,bの与え方による応答及び安定性の違いについて述べる。
図4(a)に示すように、例えばb=0とした場合、αbが変化しても、ステップ応答時に常に同じ立ち上がり速度を得ることができ、式(4)から時定数Tdは式(6)で与えられる。
以上から、αbの変更時に保ちたい特性に応じて定数bを適切に与えればよい。例えば、上述したように、立ち上がり速度を一定に保ちたいときはb=0、時定数や安定性を一定に保ちたいときはb=1とすればよい。
従来、モニタAGCのPI制御のI(積分)ゲインGi(絶対値AGCとモニタAGCのIゲインの和でもよい)に関しては、積分時間を比例制御と同じくする観点から、式(8)のように比例ゲインGpに比例して変更していた。
図5(a)及び(b)に示すように、M,Qの変動に伴って応答(ステップ応答)や安定性(ナイキスト線図)は変化してしまう。図5(a),(b)において、Mが小さくなる、あるいはQが大きくなると、グラフはハンチング気味になる。
操業条件(M,Q,αb)によって安定性や応答が様々に変動するため、全ての操業条件においてオーバーシュートをしないように、あるいは不安定にならないように制御するには、積分ゲインGiを下げるしか方法がなかった。
更に、積分ゲインGiをできるだけ大きく与え、且つ外乱の影響を抑制するロバスト性を高めたい場合、αi=1として、式(11)を与える。
図6に、式(3)及び式(11)によって比例ゲインGp及び積分ゲインGiを与えた場合の応答及び安定性の結果を示す。図6(a)はステップ応答を示すグラフであり、図6(b)は安定性を示すナイキスト線図である。但し、図5と同様に、αb=0.9としている。
図5に結果を示したような従来技術と比較すると、安定余裕も大きくなっていることがわかる。
例えば、板厚制御部15aにおいて、式(3)によって与えられる比例ゲインGpと式(11)によって与えられる積分ゲインGiとを用いることで、PI制御によるロールギャップ修正量ΔSpiを算出し、併せて、BISRA−AGCよるロールギャップ修正量ΔSbを算出して、式(14)により、圧延機に適用するロールギャップ修正量ΔSを求めるようにする。
以下、本発明に係る圧延機の板厚制御方法の第2実施形態について説明する。
前述した第1実施形態による板厚制御部15aは、モニタAGCとBISRA−AGCとを併用していたが、第2実施形態による板厚制御部15bは、絶対値AGCのPI制御とBISRA−AGCとを併用している。
すなわち、第2実施形態による板厚制御部15bの絶対値AGCも、モニタAGCと同様にPI制御を採用しているので、本実施形態においても、第1実施形態と同様の方法で比例ゲインGpと積分ゲインGiを決定することができる。
このような本実施形態による板厚制御部15bは、第1実施形態において説明した式(3)によって与えられる比例ゲインGpと式(11)によって与えられる積分ゲインGiとを用いてPI制御を実行することで、絶対値AGCとBISRA−AGCを併用した場合でも、M,Qの変動の影響を受けない応答及び安定性を実現することができる。
2 圧延材
3 加熱炉
4 粗圧延機
5 仕上げ圧延機
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 油圧シリンダ
9 油圧圧下位置制御部
10 ロールチョック
11 フレーム
12 ロードセル
13 リニアゲージ
14 板厚計
15a,15b 板厚制御部
16 板厚推定部
Claims (5)
- 圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機において、ワークロール間のロールギャップ量Sを制御する板厚制御方法において、
比例制御及び/又は積分制御を行うPI制御とBISRA−AGCとを併用しつつ、圧延機のロールギャップ量Sの修正量ΔSを求めるに際し、PI制御に関する比例ゲインGpを次式にて求めることを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
- 前記PI制御の積分制御に関する積分ゲインGiを、次式にて求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の板厚制御方法。
- 前記PI制御の積分制御に関する積分ゲインGiを、次式にて求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の板厚制御方法。
- 前記PI制御の積分制御に関する積分ゲインGiを、次式にて求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の板厚制御方法。
- BISRA−AGCと、モニタAGCまたは絶対値AGCとを併用し、前記併用されたモニタAGCまたは絶対値AGCにおいて、PI制御を採用していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延機の板厚制御方法。
Priority Applications (1)
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