JP2013080129A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 サーモクロミズムの影響が大きい測定用画像(パッチ画像)の色度を、精度良く検出することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置100は、記録紙110の搬送方向において第一定着器150及び第二定着器160よりも下流で記録紙110に定着した画像を測色するカラーセンサ200を有する。また、画像形成装置100は、温度変化に応じて色度が大きく変化するパッチ画像ほど、第一定着器150又は第二定着器160を通過してからカラーセンサ200により測色されるまでの時間が長くなるように、記録紙110に形成する複数のパッチ画像の配置を設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 画像形成装置100は、記録紙110の搬送方向において第一定着器150及び第二定着器160よりも下流で記録紙110に定着した画像を測色するカラーセンサ200を有する。また、画像形成装置100は、温度変化に応じて色度が大きく変化するパッチ画像ほど、第一定着器150又は第二定着器160を通過してからカラーセンサ200により測色されるまでの時間が長くなるように、記録紙110に形成する複数のパッチ画像の配置を設定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、測色機能を備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置の画像品質(以下画質と呼ぶ)には、粒状性、面内一様性、文字品位、色再現性(色安定性を含む)などがある。多色画像形成装置が普及した今日においては、最も重要な画質は色再現性であると言われることもある。
人間は経験に基づいた期待する色(特に人肌、青空、金属など)についての記憶があり、その許容範囲を超えると違和感を覚えてしまう。これらの色は記憶色と呼ばれ、写真などを出力する際にその再現性を問われることが多くなった。
写真画像に限らず、文書画像においても、モニタとの色の差に違和感を覚えてしまうオフィスユーザ層、CG画像の色再現性を追求するグラフィックアーツユーザ層など、画像形成装置に対する色再現性(安定性を含む)の要求度が増している。
そこで、ユーザの色再現性の要求を満たすべく、記録紙の搬送経路に設けられたカラーセンサによって、記録紙上に形成された測定用画像(パッチ画像)を読み取る画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この画像形成装置は、測色用画像を記録紙に形成し、カラーセンサによる測色用画像の読取結果に基づいて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけることで、一定の濃度、階調性、色味を再現することが可能になる。
しかしながら、特許文献1の発明では、定着装置の近傍の搬送経路にカラーセンサが配置されているため、測定対象であるパッチ画像の色度が温度によって変化するという「サーモクロミズム」という現象が問題になる。これは、トナーやインク等の色材を形成する分子構造が、「熱」によって変化する等によって引き起こされる現象である。
ここで、画像形成装置の内部でパッチ画像を測色するためには、色材が記録紙に載せられた後で且つ混色が完了した状態である必要がある。色材にインクを用いる画像形成装置においては乾燥装置によって加熱乾燥した後で測色する必要がある。色材にトナーを用いる画像形成装置では定着装置によってトナーを加熱溶融して混色した後で測色する必要がある。したがって、カラーセンサは乾燥装置や定着装置よりも記録紙の搬送方向で下流側に配置される必要がある。
一方で、画像形成装置をコンパクトに構成するためには乾燥装置や定着装置からカラーセンサまでの搬送経路の長さは必要最小限にとどめられる必要がある。よって乾燥装置や定着装置によって加熱された記録紙および色材は、常温まで冷却されることなく、カラーセンサへと搬送されてしまう。また、記録紙の搬送ガイド等、画像形成装置内部の部材や内部の雰囲気の昇温によっても記録紙の温度は常温よりも高温になってしまう。
このように、内部にカラーセンサを備えた画像形成装置では、サーモクロミズムの影響を受けて通常環境下(常温環境下)における色度とは異なる測色結果が得られてしまうことがある。
そこで、本発明は、サーモクロミズムの影響が大きい測定用画像の色度を、精度良く検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、色材によって記録紙に複数の測定用画像を形成する像形成手段と、前記複数の測定用画像を加熱して前記記録紙に定着させる定着手段と、前記記録紙の搬送方向において前記定着手段よりも下流で前記記録紙に定着した画像を測色する測色手段と、温度変化に応じて色度が大きく変化する測定用画像ほど、前記定着手段を通過してから前記測色手段により測色されるまでの時間が長くなるように、前記記録紙に形成する前記複数の測定用画像の配置を設定する設定手段と、を有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置によれば、サーモクロミズムの影響が大きい測定用画像の色度を、精度良く検出することができる。
(画像形成装置)
本実施形態では電子写真方式のレーザビームプリンタを用いて上記課題の解決方法を説明する。ここでは、一例として、画像形成方式として電子写真方式を採用する。しかし、本発明は、インクジェット方式や昇華方式にも適用できる。これは、本発明が、測定対象物の色度が温度によって変化するというサーモクロミズム現象が発生しうる画像形成装置において有効な発明だからである。なお、インクジェット方式では、インクを吐出して記録紙に画像を形成する画像形成手段やインクを乾燥させる定着手段(乾燥手段)が使用される。
本実施形態では電子写真方式のレーザビームプリンタを用いて上記課題の解決方法を説明する。ここでは、一例として、画像形成方式として電子写真方式を採用する。しかし、本発明は、インクジェット方式や昇華方式にも適用できる。これは、本発明が、測定対象物の色度が温度によって変化するというサーモクロミズム現象が発生しうる画像形成装置において有効な発明だからである。なお、インクジェット方式では、インクを吐出して記録紙に画像を形成する画像形成手段やインクを乾燥させる定着手段(乾燥手段)が使用される。
図1は、画像形成装置100の構造を示す断面図である。画像形成装置100は、筐体101を備える。筐体101には、エンジン部を構成するための各機構と、制御ボード収納部104とが設けられている。制御ボード収納部104には、各機構による各印刷プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行なうエンジン制御部102と、プリンタコントローラ103が収納されている。
図1が示すように、エンジン部にはYMCKに対応した4つのステーション120、121、122、124が設けられている。ステーション120、121、122、124は、トナーを記録紙110に転写して画像を形成する像形成手段である。ここで、YMCKは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの略称である。各ステーションは、ほぼ共通の部品により構成されている。感光ドラム105は、像担持体の一種であり、一次帯電器111により一様の表面電位に帯電する。感光ドラム105は、レーザ108が出力するレーザ光によって、潜像が形成される。現像器112は、色材(トナー)を用いて潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像(可視像)は、中間転写体106上に転写される。中間転写体106上に形成された可視像は、収納庫113から搬送されてきた記録紙110に対して、転写ローラ114により転写される。
本実施形態の定着処理機構は、記録紙110に転写されたトナー像を加熱および加圧して記録紙110に定着させる第一定着器150および第二定着器160を有している。第一定着器150には、記録紙110に熱を加えるための定着ローラ151、記録紙110を定着ローラ151に圧接させるための加圧ベルト152、定着完了を検知する第一定着後センサ153を含む。これらローラは中空ローラであり、内部にそれぞれヒータを有している。
第二定着器160は、第一定着器150よりも記録紙110の搬送方向で下流に配置されている。第二定着器160は、第一定着器150により定着した記録紙110上のトナー像に対してグロス(光沢)を付加したり、定着性を確保したりする。第二定着器160も、第一定着器150と同様に定着ローラ161、加圧ローラ162、第二定着後センサ163を有している。記録紙110の種類によっては第二定着器160を通す必要がない。この場合、エネルギー消費量低減の目的で第二定着器160を経由せずに記録紙110は搬送経路130を通過する。
例えば、記録紙110にグロスを多く付加する設定がされた場合や、記録紙110が厚紙のように定着に多くの熱量を必要とする場合は、第一定着器150を通過した記録紙110は、第二定着器160にも搬送される。一方、記録紙110が普通紙や薄紙の場合であって、グロスを多く付加する設定がされていない場合は、記録紙110は、第二定着器160を迂回する搬送経路130を搬送される。第二定着器160に記録紙110を搬送するか、第二定着器160を迂回して記録紙110を搬送するかは、フラッパ131の切り替えにより制御される。
搬送経路切り替えフラッパ132は、記録紙110を排出経路135へと誘導するか、外部への排出経路139に誘導する誘導部材である。記録紙110の搬送方向において第二定着器160よりも下流には、記録紙110上の測定用画像(以下、パッチ画像)を検知するカラーセンサ200が配置されている。カラーセンサ200は、記録紙110の搬送方向に直交する方向に4つ並べて配置されており、4列のパッチ画像を検知できる。操作部180からの指示により色検出が指示されると、エンジン制御部102は濃度調整、階調調整、多次色調整などを実行する。
排出経路135には、反転センサ137が設けられている。カラーセンサ200で測色された記録紙110の先端は、反転センサ137を通過し、反転部136へ搬送される。反転センサ137が記録紙110の後端を検出すると、記録紙110の搬送方向が切り替えられる。搬送経路切り替えフラッパ133は、記録紙110を両面画像形成用の搬送経路138へと誘導するか、排出経路135に誘導する誘導部材である。搬送経路切り替えフラッパ134は、記録紙110を外部への排出経路139に誘導する誘導部材である。排出経路139を搬送された記録紙110は、画像形成装置100の外部へと排出される。
(カラーセンサ)
図2は、カラーセンサ200の構造を示す図である。カラーセンサ200の内部には、白色LED201、回折格子202、ラインセンサ203、演算部204、及びメモリ205が設けられている。白色LED201は、記録紙110上のパッチ画像220に光を照射する発光素子である。回折格子202はパッチ画像220から反射した光を波長ごとに分光する。ラインセンサ203は、回折格子202により波長ごとに分解された光を検出するn個の受光素子を備えた光検出素子である。演算部204は、ラインセンサ203により検出された各画素の光強度値から各種の演算を行う。
図2は、カラーセンサ200の構造を示す図である。カラーセンサ200の内部には、白色LED201、回折格子202、ラインセンサ203、演算部204、及びメモリ205が設けられている。白色LED201は、記録紙110上のパッチ画像220に光を照射する発光素子である。回折格子202はパッチ画像220から反射した光を波長ごとに分光する。ラインセンサ203は、回折格子202により波長ごとに分解された光を検出するn個の受光素子を備えた光検出素子である。演算部204は、ラインセンサ203により検出された各画素の光強度値から各種の演算を行う。
メモリ205は、演算部204が使用する各種のデータを保存する。演算部204は、例えば、光強度値から分光演算する分光演算部やLab値を演算するLab演算部などを有する。また、白色LED201から照射された光を記録紙110上のパッチ画像220に集光したり、パッチ画像220から反射した光を回折格子202に集光したりするレンズ206がさらに設けられてもよい。
(プロファイル)
画像形成装置100は、パッチ画像の検出結果からプロファイルを作成し、そのプロファイルを用いて入力画像を変換して出力画像を形成する。優れた色再現性を実現するプロファイルとして、ここでは近年市場で受け入れられているICCプロファイルを用いることとする。ただし、本発明は、ICCプロファイルでなければ適用できない発明ではない。本発明は、Adobe社が提唱したPostScriptのレベル2から採用されているCRD(Color Rendering Dictionary)やPhotoshop内の色分解テーブルなどにも適用できる。
画像形成装置100は、パッチ画像の検出結果からプロファイルを作成し、そのプロファイルを用いて入力画像を変換して出力画像を形成する。優れた色再現性を実現するプロファイルとして、ここでは近年市場で受け入れられているICCプロファイルを用いることとする。ただし、本発明は、ICCプロファイルでなければ適用できない発明ではない。本発明は、Adobe社が提唱したPostScriptのレベル2から採用されているCRD(Color Rendering Dictionary)やPhotoshop内の色分解テーブルなどにも適用できる。
カスタマエンジニアによる部品交換時や、カラーマッチング精度が要求されるジョブの前、さらには、デザイン構想段階などで最終出力物の色味が知りたい時などに、ユーザは操作部180を操作してカラープロファイルの作成処理を指示する。
プロファイルの作成処理は、図3のブロック図に示すプリンタコントローラ103において行われる。プリンタコントローラ103はCPUを有し、後述するフローチャートを実行するためのプログラムを記憶部350から読み出して実行する。なお、図3では、プリンタコントローラ103により行われる処理を分かり易くするために、プリンタコントローラ103内をブロックで表現している。
操作部180がプロファイル作成指示を受け付けると、プロファイル作成部301は、ISO12642テストフォームであるCMYKカラーチャート210を、プロファイルを介さずにエンジン制御部102に出力する。プロファイル作成部301は、カラーセンサ制御部302に測色指示を送る。エンジン制御部102は、画像形成装置100を制御して帯電、露光、現像、転写、定着といったプロセスを実行させる。これにより、記録紙110にはISO12642テストフォームが形成される。カラーセンサ制御部302はカラーセンサ200を制御して、ISO12642テストフォームを測色させる。カラーセンサ200は、測色結果である分光反射率データをプリンタコントローラ103のLab演算部303に出力する。Lab演算部303は、分光反射率データをL*a*b*データに変換して、プロファイル作成部301に出力する。なお、Lab演算部303は、機器に依存しない色空間信号であるCIE1931XYZ表色系へ分光反射率データを変換してもよい。
プロファイル作成部301は、エンジン制御部102に出力したCMYK色信号と、Lab演算部303から入力されたL*a*b*データとの関係から出力ICCプロファイルを作成する。プロファイル作成部301は、出力ICCプロファイル格納部305に格納されている出力ICCプロファイルに代えて、作成した出力ICCプロファイルを格納する。
ISO12642テストフォームは一般的な複写機が出力可能な色再現域を網羅するCMYK色信号のパッチを含んでいる。よって、プロファイル作成部301は、それぞれの色信号値と測色したL*a*b*値との関係から色変換表を作成する。つまりCMYK→Labの変換表が作成される。この変換表をもとにして、逆変換表が作成される。
プロファイル作成部301は、ホストコンピュータからI/F308を通じてプロファイル作成命令を受け付けると、作成した出力ICCプロファイルをI/F308を通じてホストコンピュータに出力する。ホストコンピュータは、ICCプロファイルに対応した色変換をアプリケーションプログラムで実行することができる。
(色変換処理)
通常のカラー出力における色変換においては、スキャナ部からI/F308を介して入力されたRGB信号値やJapanColorなどの標準印刷CMYK信号値を想定して入力された画像信号は、外部入力用の入力ICCプロファイル格納部307に送られる。入力ICCプロファイル格納部307は、I/F308から入力された画像信号に応じて、RGB→L*a*b*あるいはCMYK→L*a*b*変換を実行する。入力ICCプロファイル格納部307に格納されている入力ICCプロファイルは、複数のLUT(ルックアップテーブル)により構成されている。
通常のカラー出力における色変換においては、スキャナ部からI/F308を介して入力されたRGB信号値やJapanColorなどの標準印刷CMYK信号値を想定して入力された画像信号は、外部入力用の入力ICCプロファイル格納部307に送られる。入力ICCプロファイル格納部307は、I/F308から入力された画像信号に応じて、RGB→L*a*b*あるいはCMYK→L*a*b*変換を実行する。入力ICCプロファイル格納部307に格納されている入力ICCプロファイルは、複数のLUT(ルックアップテーブル)により構成されている。
これらのLUTは、たとえば、入力信号のガンマをコントロールする1次元LUT、ダイレクトマッピングといわれる多次色LUT、生成された変換データのガンマをコントロールする1次元LUTである。入力された画像信号は、これらのLUTを用いてデバイスに依存した色空間からデバイスに依存しないL*a*b*データに変換される。
L*a*b*色度座標に変換された画像信号はCMM306に入力される。CMMはカラーマネージメントモジュールの略語である。CMM306は、各種の色変換を実行する。たとえば、CMM306は、入力機器としてのスキャナ部などの読取色空間と、出力機器としての画像形成装置100の出力色再現範囲のミスマッチをマッピングするGUMAT変換を実行する。また、CMM306は、入力時の光源種と出力物を観察するときの光源種のミスマッチ(色温度設定のミスマッチとも言う)を調整する色変換を実行する。
このようにしてCMM306は、L*a*b*データをL’*a’*b’*データへ変換し、出力ICCプロファイル格納部305に出力する。測色によって作成されたプロファイルが出力ICCプロファイル格納部305に格納されている。よって、出力ICCプロファイル格納部305は、新たに作成したICCプロファイルによってL’*a’*b’*データを色変換し、出力機器に依存したCMYK信号へと変換してエンジン制御部102へ出力する。
図3で、CMM306は、入力ICCプロファイル格納部307と出力ICCプロファイル格納部305と分離されている。しかし、図4が示すようにCMM306はカラーマネージメントを司るモジュールのことであり、入力プロファイル(印刷ICCプロファイル501)と出力プロファイル(プリンタICCプロファイル502)を使って色変換を行うモジュールである。
図5は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、プリンタコントローラ103により実行される。まず、プリンタコントローラ103は、操作部180から画像形成要求があるかどうか、また、ホストコンピュータからI/F308を通じて画像形成要求があるかどうかを判断する(S501)。
画像形成要求がない場合は、プリンタコントローラ103は、操作部180から多次色補正指示があるかどうかを判断する(S502)。多次色補正指示があった場合は、図6で後述する多次色補正処理を行う(S503)。多次色補正指示がない場合は、前述のステップS501に戻る。
ステップS501において、画像形成要求があると判断された場合は、プリンタコントローラ103は、収納庫113から記録紙110を給紙させ(S504)、記録紙110にトナー画像を形成する(S505)。そして、プリンタコントローラ103は、全ページの画像形成が終了したかどうかを判断する(S506)。全ページの画像形成が終了した場合はステップS501に戻り、終了していない場合はステップS504に戻り、次のページの画像形成を行う。
図6は、多次色補正処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、プリンタコントローラ103により実行される。まず、プリンタコントローラ103は、収納庫113から記録紙110を給紙させ(S601)、記録紙110にパッチ画像を形成する(S602)。その後、プリンタコントローラ103は、搬送ローラ駆動モータ311を制御して、定着器を通過した記録紙110を減速する(S603)。ここで減速しているのは、詳細については後述するが、記録紙110がカラーセンサ200により測色されるまでにパッチ画像を放熱することで、サーモクロミズムの影響を低減するためである。
次に、プリンタコントローラ103は、記録紙110がカラーセンサ200に到達すると、カラーセンサ200にパッチ画像を測定させる(S604)。その後、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200の測色結果に基づき、前述の処理によりICCプロファイルを作成し(S605)、出力ICCプロファイル格納部305に格納する(S606)。
(サーモクロミズムの色特性)
次に、色毎のサーモクロミズム特性について説明する。トナーやインク等の色材を形成する分子構造が熱によって変化することで、光の反射吸収特性が変化して色度が変化する。実験を行って検証した結果、図7のように色材毎に色度変化の傾向が異なることが分かった。この図の横軸はパッチ画像の温度を示し、縦軸は15℃を基準としたときの色度変化ΔEを示している。
次に、色毎のサーモクロミズム特性について説明する。トナーやインク等の色材を形成する分子構造が熱によって変化することで、光の反射吸収特性が変化して色度が変化する。実験を行って検証した結果、図7のように色材毎に色度変化の傾向が異なることが分かった。この図の横軸はパッチ画像の温度を示し、縦軸は15℃を基準としたときの色度変化ΔEを示している。
なお、ΔEとは、CIEが定めるL*a*b*色空間内の2点間(L1,a1,b1),(L2,a2,b2)における、次式の三次元距離で表すことができる。
図7において、C:シアン100%、M:マゼンタ100%、Y:イエロー100%、K:ブラック100%、W:紙白である。この図に示されるように、特にマゼンタのサーモクロミズム特性が悪いことが分かる。
(サーモクロミズム対応技術)
カラーマッチング精度や色の安定性についての指標として、ISO 12647−7記載のカラーマッチング精度規格(IT8.7/4(ISO 12642:1617パッチ)[4.2.2])において、ΔE平均で4.0と規定されている。また、安定性の規格である再現性[4.2.3]では、各パッチのΔE≦1.5であることが規定されている。この条件を満足するためには、カラーセンサ200の検出精度はΔE≦1.0であることが望ましい。
カラーマッチング精度や色の安定性についての指標として、ISO 12647−7記載のカラーマッチング精度規格(IT8.7/4(ISO 12642:1617パッチ)[4.2.2])において、ΔE平均で4.0と規定されている。また、安定性の規格である再現性[4.2.3]では、各パッチのΔE≦1.5であることが規定されている。この条件を満足するためには、カラーセンサ200の検出精度はΔE≦1.0であることが望ましい。
マゼンタのパッチ画像は、他の色に比べて温度変化によって色度が大きく変化する。パッチ画像の温度が60℃以下の範囲において、ΔE>1となる色はマゼンタしか該当しない。カラーセンサ200が測色する際のパッチ画像の温度が34℃以下であれば、マゼンタでもΔE≦1を達成する。
しかし、第一定着器150を通過したパッチ画像がカラーセンサ200に到達する際、パッチ画像の温度は約45℃になってしまうことが実験により分かった。そのため、マゼンタを含む色をカラーセンサ200で色を検出する際、パッチ画像の温度が34℃以下になるようパッチ画像の配置を最適化する必要がある。
さらに、図8に示すように、網点面積率50%(M50)よりも100%(M100)の方が色度変化ΔEは大きい。サーモクロミズムは色材の分子構造の変化であるため、色材が多い100%の方が変化は大きくなる。この特徴を考慮すると、マゼンタの100%を含むパッチ画像は、34℃以下を確保しなければΔE≦1にならなかったが、マゼンタの50%であれば42℃以下に温度条件を緩和できる。
このように、4色の色材のうちマゼンタが最もサーモクロミズムの影響を受け、網点面積率50%よりも100%の方がサーモクロミズムの影響を受けることが分かる。これらのことに鑑み、カラーチャート210を作成する必要がある。
図9(a)は、プロファイル作成に必要な81個のパッチ画像の信号値を表す図である。この81個のパッチ画像の情報は、予め記憶部350に記憶されている。
図9(b)は、サーモクロミズムを考慮して、カラーチャート210に形成するパッチ画像の配置を変更したことを示す図である。図9(b)に示されるように、本実施形態では、サーモクロミズムの影響を受けやすいマゼンタの網点面積率が多いパッチ画像を、カラーチャート210の後方に配置している。
なお、図9(b)において、主走査センサ番号は図11で後述するカラーセンサ200a〜200dのいずれのセンサで読み取られるパッチ画像であるかを示す。また、副走査パッチ番号は、カラーチャート210の搬送方向における先頭から順に付与される番号であり、少ない数ほど先頭に近く、多い数ほど後端に近くなる。このパッチ画像の配置について、詳しく説明する。
図10(a)は、各パッチ画像について、第一定着器150を通過してからカラーセンサ200に到達するまでの時刻を整理した表である。図10(a)の左端列から順に、図9(b)に記載されている副走査パッチ番号、マゼンタの信号値、紙先端から各パッチ画像の先端までの距離(mm)を表している。
また、図10(a)には、記録紙110が第一定着器150を通過する時刻が、記録紙110の先端基準での相対時刻として記載されている。第一定着器150は、第一定着駆動モータ312により駆動され、記録紙110を400mm/secで搬送する。減速区間時間の列は、第一定着器150からカラーセンサ200までの距離が1500mmであり、この区間を平均速度350mm/secで記録紙110を搬送させると、通過時間は4.29secであることを示している。
また、サーモクロミズムの影響を考慮する必要があること、多くのパッチ画像を測定すること、記録紙110のばたつきを抑えることなどの理由から、カラーセンサ200の通過速度を定着速度よりも減速させた100mm/secとしている。記録紙110の減速は、搬送路上のローラを駆動するための搬送ローラ駆動モータ311の減速により行われる。
第一定着器150通過後のカラーセンサ200の通過時刻は、そのパッチ画像における放熱時間を示している。サーモクロミズムの影響が高いマゼンタの50%や100%を含むパッチは、この放熱時間が長ければ長いほどサーモクロミズムの影響を減らすことができる。
図10(b)は、各パッチ画像について、第二定着器160を通過してからカラーセンサ200に到達するまでの時刻を整理した表である。第二定着器160は、第二定着駆動モータ313により駆動され、記録紙110を400mm/secで搬送する。第二定着器160からカラーセンサ200までの距離は、第一定着器150からカラーセンサ200までの距離に比べて短いため、減速区間における平均速度を350mm/secから200mm/secに落としている。さらに、カラーセンサ200の通過速度も、100mm/secから80mm/secに変更している。
図11は、カラーチャート210上のパッチ画像の配置を示す図である。カラーチャート210はA4サイズであり、84個のパッチ画像が形成されている。なお、パッチ画像の種類は81種類であるが、パッチ番号1番のパッチ画像(マゼンタ0%)を先頭に3つ余分に形成することで、マゼンタ100%のパッチ画像をできるだけ後端側に寄せるようにしている。
カラーセンサ200は、カラーチャート210の搬送方向に直交する方向に並んだ4つのセンサ200a〜200dを有する。カラーチャート210上には、マゼンタの網点面積率の多いパッチ画像ほど、カラーチャート210の搬送方向後端側に配置される。このようにパッチ画像を配置することで、サーモクロミズムの影響を受けやすいパッチ画像が各センサ200a〜200dにより測色されるまでの時間を長くすることができ、放熱時間を長くすることができる。
本出願人の実験結果によると、定着器の温度を170℃、記録紙110の種類をCS−814(81.4g)としたとき、M50%のパッチ画像の温度を42℃以下にするために4.5sec以上の放熱時間が必要であった。また、M100%のパッチ画像の温度を34℃以下にするために6.0sec以上の放熱時間が必要であった。この放熱時間の条件を満たすことができれば、ΔE≦1を満たすことができる。
図10(a)及び図10(b)に示される減速区間時間や、カラーセンサ200の通過速度を設定し、図11に示されるパッチ画像の配置をすることで、上述の放熱時間の条件を満たすことができる。なお、カラーセンサ200を通過する速度を、第一定着器150や第二定着器160の搬送速度よりも遅くしなければ、M50%やM100%の放熱優先度を他色に比べて長くすることはできない。また、記録紙110の後端が定着器を通過してからカラーセンサ200により測色されるまでに、記録紙110を搬送経路上で一時的に停止させることで、放熱時間を確保するようにしてもよい。
以上述べたように、本実施形態では、サーモクロミズムの影響が大きい色材及び網点面積率のパッチ画像を、他のパッチ画像に比べて定着器を通過してからカラーセンサ200により測色されるまでの時間を長くした。具体的には、定着速度よりも色検出速度を落とし、マゼンタ100%を含むパッチ画像を第一優先、マゼンタ50%を含むパッチ画像を第二優先とし、優先度の高いパッチ画像がより放熱されるようカラーチャート210の後端側に配置した。
これによって、サーモクロミズムの影響が大きい色材及び網点面積率のパッチ画像の放熱時間を長くすることができ、カラーセンサ200の色検出精度をΔE≦1に抑えることができた。
(パッチレイアウトの変更)
以上の説明では、サーモクロミズムの影響を受けやすいマゼンタ100%を第一優先、マゼンタ50%を第二優先としてパッチ画像を配置した。しかし、色材や紙種の変更時など、サーモクロミズムの影響度が変わる可能性があり、それに応じて優先順位も変える必要性がある。例えば、顔料よりも染料、染料よりも蛍光剤料の方が、サーモクロミズムの影響が高い傾向がある。
以上の説明では、サーモクロミズムの影響を受けやすいマゼンタ100%を第一優先、マゼンタ50%を第二優先としてパッチ画像を配置した。しかし、色材や紙種の変更時など、サーモクロミズムの影響度が変わる可能性があり、それに応じて優先順位も変える必要性がある。例えば、顔料よりも染料、染料よりも蛍光剤料の方が、サーモクロミズムの影響が高い傾向がある。
特に、純正でない色材の使用時には上記特性は把握できないため、画像形成装置100内でサーモクロミズムの影響度を確認し、優先順位を見直してカラーチャート210におけるパッチ画像のレイアウトを変更できるようにするとよい。サーモクロミズムの影響度の確認は、カラーセンサ200がパッチ画像を測色する際に、タイミングを変えて所定回数測色することにより行う。
具体的には、操作部180からサーモクロミズム優先順位確認を指示されると、プリンタコントローラ103は、記録紙110に各色の単色100%のパッチ画像を形成させ、カラーセンサ200の位置にパッチ画像が来るように記録紙110を停止させる。そして、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200の出力に基づき30秒間、1秒おきにパッチ画像の色度変化を測定する。単色50%のパッチ画像についても同様に色度変化を測定する。測定結果に基づき、プリンタコントローラ103は、色度変化の最も大きい色及び網点面積率のパッチ画像を、記録紙110の搬送方向後端側に再配置してカラーチャート210を作成するようにすればよい。
これによって、色材や紙種の変更時など、サーモクロミズムの影響度が変わる可能性がある場合であっても、サーモクロミズムの影響度を検出してカラーチャート210におけるパッチ画像の再配置を行うことで、パッチ画像の色度変化を抑制することができる。
なお、図10(a)及び(b)に示される減速区間の平均速度の調整、又はカラーセンサ200の通過速度を調整して、上記E≦1となる測色開始時間になるような構成をとってもよい。この構成により、放置時間の不足を解消することができる。
(スイッチバック構成の場合の制御)
以上の説明では、記録紙110が反転部136でスイッチバックする前にカラーセンサ200によってパッチ画像を検出する構成を説明したが、スイッチバックして再度カラーセンサ200を通過する際にパッチ画像を検出するようにしてもよい。
以上の説明では、記録紙110が反転部136でスイッチバックする前にカラーセンサ200によってパッチ画像を検出する構成を説明したが、スイッチバックして再度カラーセンサ200を通過する際にパッチ画像を検出するようにしてもよい。
この構成は、定着器からカラーセンサ200間に距離がないときや、減速動作ができないときなどに有効で、スイッチバック前には定着器の搬送速度で記録紙110を搬送し、スイッチバック後に減速させる構成をとることができる。
ただし、この場合にはカラーチャート210のパッチ画像の印字方向を逆にする必要があり、サーモクロミズムの影響を受けやすいパッチ画像ほどカラーチャート210の搬送方向最先端側へ配置することになる。
以上のように、本実施形態では、サーモクロミズムの影響が大きい色材及び網点面積率のパッチ画像を、他のパッチ画像に比べて定着器を通過してからカラーセンサ200により測色されるまでの時間を長くした。これによって、サーモクロミズムの影響が大きいパッチ画像の放熱時間を長くすることができ、カラーセンサ200の色検出精度を向上させることができた。
100 画像形成装置
103 プリンタコントローラ(設定手段)
110 記録紙
150 第一定着器(定着手段)
160 第二定着器(定着手段)
200 カラーセンサ(測色手段)
103 プリンタコントローラ(設定手段)
110 記録紙
150 第一定着器(定着手段)
160 第二定着器(定着手段)
200 カラーセンサ(測色手段)
Claims (8)
- 色材によって記録紙に複数の測定用画像を形成する像形成手段と、
前記複数の測定用画像を加熱して前記記録紙に定着させる定着手段と、
前記記録紙の搬送方向において前記定着手段よりも下流で前記記録紙に定着した画像を測色する測色手段と、
温度変化に応じて色度が大きく変化する測定用画像ほど、前記定着手段を通過してから前記測色手段により測色されるまでの時間が長くなるように、前記記録紙に形成する前記複数の測定用画像の配置を設定する設定手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記設定手段は、前記色材のうちマゼンタの色材を含む測定用画像を、マゼンタの色材を含まない測定用画像よりも前記定着手段を通過してから前記測色手段により測色されるまでの時間が長くなるように、前記記録紙に形成する前記複数の測定用画像の配置を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記設定手段は、前記マゼンタの色材を含む測定用画像のうち、網点面積率の大きい測定用画像ほど前記定着手段を通過してから前記測色手段により測色されるまでの時間が長くなるように、前記記録紙に形成する前記複数の測定用画像の配置を設定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記測色手段は、前記記録紙に形成された測定用画像をタイミングを変えて所定回数測色し、
前記設定手段は、前記測色手段の測色結果に基づき、温度変化に応じた測定用画像の色度変化を検知し、温度変化に応じて色度が大きく変化する測定用画像ほど、前記定着手段を通過してから前記測色手段により測色されるまでの時間が長くなるように、前記記録紙に形成する前記複数の測定用画像の配置を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記定着手段から前記測色手段へ前記記録紙を搬送する搬送手段をさらに有し、
前記搬送手段は、前記測色手段によって測色を実行する場合には、前記定着手段と前記測色手段との間で前記記録紙の搬送速度を減速することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記搬送手段は、前記測色手段によって測色を実行する場合には、前記記録紙を前記定着手段と前記測色手段との間で一時的に停止させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記像形成手段は、トナーを前記記録紙に転写して前記画像を形成する手段であり、
前記定着手段は、前記トナーを加熱して前記記録紙に定着させる手段であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記像形成手段は、インクを吐出して前記記録紙に前記画像を形成する手段であり、
前記定着手段は、前記インクを乾燥させる乾燥手段であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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