JP2013079231A - 光学活性な3−(n−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレートの製造方法 - Google Patents

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彰人 野々山
Kazuhiko Takahashi
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Abstract

【課題】光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレート
の製造方法の提供。
【解決手段】
下記工程を含む式(1)で表される化合物(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)の製造方法:
式(2)で表される化合物(Rは前記と同じである)と光学活性な酸のジアステレオマー塩を、塩基と接触し、式(2)で表される化合物を取得する工程、および前記工程で得られる化合物と、式(3а)で表される化合物(式中、Rは前記と同じであり、Xはハロゲン原子である。)、または式(3b)で表される化合物(式中、Rは前記と同じである。)を反応する工程。
Figure 2013079231

【選択図】なし

Description

本発明は光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレート
の効率的な製造方法に関する。
下記式(A−3)で表される光学活性な3−アミノピペリジンは、糖尿病薬、抗生物質、抗痴呆薬等の医薬品を製造するための中間体として有用であることが知られている。該化合物は、式(A−1)で表されるラセミの3−アミノピペリジンを式(A−2)で表される光学活性な2−メトキシフェニル酢酸等を光学分割剤として用いることで製造できることが知られている(特許文献1)。
Figure 2013079231
また、下記式(B−3)で表される光学活性な3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート化合物(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)も、アルツハイマー治療薬の合成中間体として有用であることが知られている。該化合物は、式(B−1)で表される3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート化合物(式中の記号は前掲と同じである。)を光学活性マンデル酸と接触させて、式(B−2)で表される化合物を経由することで製造できることが知られている(特許文献2)。
Figure 2013079231
一方、3−アミノピペリジンの1位の2級アミンがアルコキシカルボニル化された化合物は、3−アミノピペリジンとジアルキルジカーボネートをpH9〜14で反応することで製造できることが知られているが、位置選択性が低く(特許文献3)、大量合成等の工業生産には不向きである。従って、光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンの効率的な光学分割法を含む光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレートの効率的な製造法は、未だ知られていない。
特開2011−12032号公報 特開2011−16751号公報 国際公開第WO 03/055858号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、大量合成等に対応可能な光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレートの効率的な工業的製造法を提供することである。
上記事情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、特定の光学活性な酸と溶媒を用いることで光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを製造することが出来ることを見出した。更に、得られる光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンに対して、驚くべきことに位置選択的にアルコキシカルボニル基を導入できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
項1:下記工程(1)および(2)を含む式(1)
Figure 2013079231
で表される化合物(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)、またはその薬学上許容される塩の製造方法:
工程(1):式(2)
Figure 2013079231
で表される化合物(式中、Rは前記と同じである。)と光学活性な酸のジアステレオマー塩を、塩基と接触し、式(2)で表される化合物を取得する工程、および
工程(2):工程(1)で得られる化合物と、式(3a)
Figure 2013079231
で表される化合物(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは前記と同じである。)、または式(3b)
Figure 2013079231
で表される化合物(式中、Rは前記と同じである。)を反応する工程。
項2:工程(1)の前に下記工程(3)および(4)を更に含む、項1に記載の製造方法:
工程(3):ラセミ体または光学異性体混合物である式(2)で表される化合物を、溶媒存在下で光学活性な酸と接触し、式(2)で表される化合物と光学活性な酸のジアステレオマー塩を析出する工程、および
工程(4):工程(3)で析出するジアステレオマー塩を濾取する工程。
項3:光学活性な酸が、下記群
Figure 2013079231
から選択されるいずれか一つの酸である、項2に記載の製造方法。
項4:工程(3)で用いられる溶媒が、ケトン溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、およびエーテル溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水の混合溶媒である、項2または3に記載の製造方法。
項5:混合溶媒が、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と水との混合溶媒である、項4に記載の製造方法。
項6:工程(3)で析出する塩が、下記群
Figure 2013079231
から選択されるいずれか1つの塩である、項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7:Rがイソプロピル基である、項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8:Rがtert-ブチル基である、項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9:(R)−3−(N-イソプロピル)−アミノピペリジンと(S)−2−メトキシフェニル酢酸との塩。
項10:(R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとN−p−トルエンスルホニル−D−フェニルアラニンとの塩。
項11:(R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとジベンゾイル−L−酒石酸との塩。
項12:(R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとL−アセチルグルタミン酸との塩。
項13:(S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとN−p−トルエンスルホニル−L−フェニルアラニンとの塩。
項14:(S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとジベンゾイル−D−酒石酸との塩。
項15:(S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンと(S)−(+)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−プロピオン酸との塩。
項16:実質的に光学的に純粋な式(1)
Figure 2013079231
で表される化合物(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)、またはその薬学上許容される塩。
項17:Rが、イソプロピル基である、項16に記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
項18:Rが、tert−ブチル基である、項16または項17に記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
項19:(S)体である、項16〜項18のいずれかに記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
項20:(R)体である、項16〜項18のいずれかに記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
本発明によれば、光学活性な式(2)で表される化合物(以下、光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンと称する場合もある。)の位置選択的な1−アルコキシカルボニル化により、式(1)で表される化合物(以下、3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレート)を高収率かつ効率的に製造することができる。加えて、ラセミの3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを適切な溶媒及び適切な光学活性な酸を接触させることにより、光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを製造することができる。本製造方法は、高価な1−アルコキシカルボニル基を有する3−アミノピペリジン化合物を光学分割のための原料として用いずに目的物を製造できるので、大量合成にも適用できる工業的に有用な製造方法である。
以下、本発明において用いられる用語について詳細に説明する。
式(1)で表される化合物は、光学活性な化合物である。ここにおいて、光学活性な化合物とは、片方の鏡像異性体が他方に対して過剰であることを意味する。鏡像異性体(光学異性体)過剰率(光学活性)は、好ましくは95%ee以上であり、更に好ましくは、98%ee以上である。また、本発明において、式(1)で表される化合物の鏡像異性体過剰率が、99%ee以上であることを実質的に光学的に純粋であると定義する。かかる場合において、(S)−体または(R)−体のいずれの鏡像異性体であってもよい。
式(2)で表される化合物(3−(N−アルキル)−アミノピペリジン)は、片方の鏡像異性体が他方に対して過剰である、光学活性な化合物である。後述するジアステレオマー塩を製造する場合には、通常ラセミ体を用いるが、光学異性体混合物((R)−体または(S)−体のいずれかが過剰の化合物)を用いてもよい。すなわち、式(1)および式(2)で表される化合物における記号「*」は、片方の鏡像異性体が他方に対して過剰である、光学活性な化合物であることを意味する。
「炭素数1〜6のアルキル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれであってもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、3−メチル−1−ブチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ペンチル基、3−メチル−1−ペンチル基、4−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基等が挙げられる。
「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれであってもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基等が挙げられる。
「光学活性な酸」としては、例えば、(S)-2-メトキシフェニル酢酸、N-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン、N-p-トルエンスルホニル-L-フェニルアラニン、ジベンゾイル-D-酒石酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、L-アセチルグルタミン酸、または(S)-(+)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロピオン酸、(R) -2-メトキシフェニル酢酸、D-アセチルグルタミン酸、(−)-O-アセチル-D-マンデル酸、(+)-O-アセチル-L-マンデル酸、D-アスパラギン酸L-アスパラギン酸、(−)-cis-2-ベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸、(+)-cis-2-ベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸、リン酸水素(R)-(−)-1,1'-ビナフチル-2,2'-ジイル、リン酸水素(S)-(+)-1,1'-ビナフチル-2,2'-ジイル、(+)-カンファー酸、(+)-10-カンファースルホン酸、(−)-10-カンファースルホン酸、(+)-10-カンファースルホニルクロリド、(−)-10-カンファースルホニルクロリド、(+)-trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、(-)-trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、(−)-ジアセチル-L-酒石酸、(+)-ジアセチル-D-酒石酸、(+)-ジアセチル-L-酒石酸無水物、(−)-ジアセチル-D-酒石酸無水物、(R)-(−)-N-(3,5-ジニトロベンゾイル)-α-フェニルグリシン、(-)-ジ-p-トルオイル-L-酒石酸、(+)-ジ-p-トルオイル-D-酒石酸、D-グルタミン酸、L-グルタミン酸、D-(+)-リンゴ酸、L-(−)-リンゴ酸、L-(+)-マンデル酸、D-(−)-マンデル酸、クロロ蟻酸(−)-メンチル、クロロ蟻酸(+)-メンチル、イソシアン酸(R)-(+)-α-メチルベンジル、イソシアン酸(S)-(−)-1-フェニルエチル、(S)-(−)-N-(α-メチルベンジル)フタルアミド酸、(R)-(+)-N-(α-メチルベンジル)フタルアミド酸、イソシアン酸(R)-(−)-1-(1-ナフチル)エチル、イソシアン酸(S)-(+)-1-(1-ナフチル)エチル、L-ピログルタミン酸、D-ピログルタミン酸、D-(−)-キナ酸、L-(+)-酒石酸、D-(−)-酒石酸、(2R,3R)-タートラニル酸、(+)-α-(2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレニリデンアミノキシ)プロピオン酸等が挙げられる。好ましくは、(S)-2-メトキシフェニル酢酸、N-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン、N-p-トルエンスルホニル-Lフェニルアラニン、ジベンゾイル-D-酒石酸、またはジベンゾイル-L-酒石酸である。
光学活性な酸としては、市販で入手可能なものを用いればよく、その光学純度は、90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましく、98%ee以上であることがさらに好ましく、99%ee以上であることが特に好ましい。
光学活性な酸の使用量は、限定されないが、所望する3-(N-アルキル)-アミノピペリジン1モルに対して0.5モル以上であることが好ましい。例えば、3-(N-アルキル)-アミノピペリジンのラセミ体を用いる場合、光学活性な酸の使用量としては、該ラセミ体1モルに対して、0.5モル以上であることが好ましく、収率および経済性の観点から、0.5〜2.0モルの範囲であることがより好ましく、0.8〜1.2モルであることがさらに好ましい。
「ジアステレオマー塩」は、光学活性な式(2)で表される化合物と光学活性な酸との複合塩である。その具体例としては、例えば、下記群から選択される化合物等が挙げられる。
Figure 2013079231
「ジアステレオマー塩」としては、(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・(S)-2-メトキシフェニル酢酸塩、または(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・N-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン塩が好ましい。
「薬学上許容される塩」は、酸付加塩である。酸付加塩としては、有機酸塩(フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩など)、または無機酸塩(塩酸塩、臭酸塩など)が挙げられる。
以下、本発明の製造法について更に詳細に説明する。
工程(1)において、3-(N-アルキル)-アミノピペリジンのジアステレオマー塩と塩基を接触する場合には、不活性溶媒が用いられる。該溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
用いられる「塩基」としては、例えばN, N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等があげられる。好ましくはN, N−ジイソプロピルエチルアミンである。
塩基の使用量としては3-(N-アルキル)-アミノピペリジンのジアステレオマー塩に対して1〜10.0当量が好ましく、更に好ましくは3〜5.0当量である
反応温度は−20〜40℃が好ましく、更に好ましいのは−10〜0℃である。
溶媒の使用量としては、ジアステレオマー塩1gに対して、好ましくは1〜50mL、より好ましくは5〜30mLの割合である。
反応時間は特に限定されず、通常1分〜24時間の範囲である。
かくして得られる光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジン−1−カルボキシレートは定法によって単離できる。例えば、反応終了後に抽出、洗浄、乾燥、濃縮することによって単離、精製することができる。
工程(2)において、式(3a)または式(3b)で表される化合物の使用量としては光学活性な3-(N-アルキル)-アミノピペリジンのジアステレオマー塩に対して0.95〜1.05当量が好ましく、更に好ましくは0.98〜1.02当量である。
式(1)及び式(2)で表される化合物において、R1は、イソプロピル基が好ましい。式(1)、(3a)及び(3b)で表される化合物において、R2は、tert−ブチル基が好ましい。
本発明に係る光学活性な3-(N-アルキル)-アミノピペリジンは、溶媒中で、光学異性体混合物の3-(N-アルキル)-アミノピペリジンと光学活性な酸とを反応させ、ジアステレオマー塩の結晶を取得することにより実施される。
工程(3)における3-(N-アルキル)-アミノピペリジンと光学活性な酸の接触は、溶媒の存在下、3-(N-アルキル)-アミノピペリジンと光学活性な酸を混合することにより実施され、それらの混合順序はいずれが先であってもよく、同時であってもよい。例えば、溶媒と3-(N-アルキル)-アミノピペリジンを混合し、得られる混合物に光学活性な酸を添加してもよいし、溶媒と光学活性な酸を混合し、得られる混合物に3-(N-アルキル)-アミノピペリジンを添加してもよい。上記接触により得られる混合物中にジアステレオマー塩が固体として存在していない場合は、そのまま、もしくはジアステレオマー塩を種晶として添加した後に、該混合物を冷却処理することにより、ジアステレオマー塩を析出させればよい。上記接触により得られる混合物中にジアステレオマー塩が固体として存在している場合には、そのまま該混合物を冷却処理してもよいが、得られる光学活性な3-(N-アルキル)-アミノピペリジンの光学純度を向上させる観点から、該混合物を加熱することによりジアステレオマー塩を溶解させた後に冷却処理することにより、ジアステレオマー塩を析出させることが好ましく、かかるジアステレオマー塩の析出において、ジアステレオマー塩の種晶を添加してもよい。
前記工程で用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、イソヘキシルアルコール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、イソペプチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のアルコール溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素化脂肪族溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、アセトン等の非プロトン性極性溶媒;蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒としては、ケトン溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、およびエーテル溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水との混合溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジメトキシエタン、およびアセトンから選択される1種と水との混合溶媒がより好ましい。
溶媒の使用量としては、3-(N-アルキル)-アミノピペリジン1gに対して、好ましくは1〜50mL、より好ましくは5〜30mLの割合である。
3-(N-アルキル)-アミノピペリジンと光学活性な酸との接触は通常、−20℃〜100℃、好ましくは50℃〜100℃である。接触時間(反応時間)は特に限定されず、通常1分〜24時間の範囲である。
上記固液分離処理により得られるろ液には、通常、光学活性な酸が含まれており、該ろ液から常法により光学活性な酸を回収して、本発明に係わる製造方法に再度使用することができる。
式(2)で表される3-(N-アルキル)-アミノピペリジンの製造法は、特に限定されず、任意の公知の方法により製造して本発明に用いることができる。例えば、3−アミノピリジンとケトンとの還元的アミノ化によって誘導される3-(N-アルキル)-アミノピリジンを接触水素還元することにより製造することができる。または、3-アミノピリジンとケトンからイミンを形成後、接触水素還元によってイミンとピリジン環を同時に還元することにより製造することができる。更に3−クロロピリジンとアルキルアミンからパラジウム触媒あるいは銅触媒存在下、炭素−窒素カップリング反応によって3−(N−アルキル)−アミノピリジンへと誘導後、接触水素還元によって3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを製造することもできる。
以下、参考例及び実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は、ジアステレオマー塩を解塩後、該化合物を無水トリフロオロ酢酸と反応させて、トリフルオロアセチル(以下、TFA)誘導体へと誘導してから、GCを用いた以下の分析方法により検定した。
<光学純度検定方法>
カラム:InterCap CHIRAMIX(0.25mm×30m)
カラム温度:100℃→2℃/min→160℃(40min)
線速度:20cm/sec(スプリット比1:30)
注入量:1.0μL
保持時間:(R)のモノTFA体=35.5min、(S)のモノTFA体=35.9min、(R)のジTFA体=59.0min、(S)のジTFA体=60.3min
光学純度計算法((R)>(S)の場合)
Figure 2013079231
参考例1
3-(N-イソプロピル)-アミノピリジンの製造
3−アミノピリジン(10 g, 106 mmol, 1.0 eq.)をアセトニトリル(150 mL)に溶解後、酢酸(25.5 g, 424 mmol, 4 eq.)を加えた。続いてアセトン(24.6 g, 424 mmol, 4 eq.)を加えた後にナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(29.3 g, 138 mmol, 1.3 eq.)をゆっくりと加えた。
その後、室温にて終夜撹拌した。原料の消失を確認後、反応液に水50 mLを加え、続いて40% 炭酸カリウム水溶液110 gを30分かけて滴下した。反応混合物を減圧濃縮し、油状の残渣 を得た。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、減圧濃縮後、真空下で乾燥させ、目的とする3-(N-イソプロピル)-アミノピリジン(11.75 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.22 (6H, d, J = 6.0 Hz), 3.51 (1H, brs), 3.61 (1H, s), 6.84 (1H, ddd, J = 8.5, 3.0, 1.5 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 8.5, 4.5 Hz), 7.92 (1H, dd, J = 4.5, 1.5 Hz), 7.99 (1H, d, J = 3.0 Hz).
参考例2
光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン二塩酸塩の製造
3-(N-イソプロピル)-アミノピリジン(5 g, 36.7 mmol, 1.0eq.)をエタノール(22 g)に溶解後、36%塩酸(11 g, 11mmol, 3 eq.)、PtO2 (250 mg)を加えた。
1.2MPa水素雰囲気下、60℃にて8時間撹拌した。原料の消失を確認後、PtO2をろ別した。ろ液を減圧濃縮し、光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン二塩酸塩(9.47 g)を得た。
参考例3
光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの製造
光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン二塩酸塩(1.68 g)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、抽出操作によって得られた有機層を減圧濃縮後、真空下で乾燥させ、目的とする光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン(434 mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.05 (6H, t, J= 5.5 Hz, -CH3x2), 1.17-1.29 (1H, m), 1.42-1.55 (1H, s), 1.70 (1H, dq, J = 13.0, 4.0Hz), 1.87-1.95 (1H, m), 2.04 (1H, brs, -NH), 2.38 (1H, dd, J = 13.0, 9.0 Hz), 2.57 (1H, ddd, J = 13.0, 10.0, 3.0Hz), 2.89-3.00 (2H, m), 3.13 (1H, dd, J = 12.0, 3.0Hz).
実施例1
(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・(S)-2-メトキシフェニル酢酸塩の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン750mg(5.28mmol)をジメトキシエタン/水=40/1(容量/容量)15mLに加えた。続いて(S)-2-メトキシフェニル酢酸877mg(5.28mmol)
を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分撹拌した後、0℃までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、該結晶をジメトキシエタンで洗浄した。得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・(S)-2-メトキシフェニル酢酸塩810mg(32%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は79.5%eeであった。更に、得られた該ジアステレオマー塩をジメトキシエタン/水=40/1(容量/容量)で2回再結晶して得た(全収率:25%)、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は100%eeであった。
実施例2〜4
3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンを20mgを用い、溶媒を変更して実施例1と同様に反応の操作を行った。結果を下記表に示した。
Figure 2013079231
実施例5
(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・N-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン塩の製造
Figure 2013079231
製造例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン750mg(5.28mmol)をイソプロパノール/水=6.7/1(容量/容量)15mLに加えた。続いてN-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン1685mg(5.28mmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分撹拌した後、0℃までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、該結晶をイソプロパノールで洗浄した。得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・N-p-トルエンスルホニル-D-フェニルアラニン塩990mg(22%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は93.3%eeであった。更に、得られたジアステレオマー塩をイソプロパノール/水=6.7/1(容量/容量)で1回再結晶して得た(全収率:23%)、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は96.0%eeであった。
実施例6〜8
3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン20mgを用い、溶媒を変更して実施例1と同様に反応の操作を行った。結果を下記表に示した。
Figure 2013079231
実施例9
(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・ジベンゾイル-L-酒石酸塩の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン4.3mg(30μmol)を80%メタノール200μLに加えた。続いてジベンゾイル-L-酒石酸10.7mg(30μmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分保温した後、0℃までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・Nジベンゾイル-L-酒石酸塩4.3mg(29%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-アルキル)-アミノピペリジンの光学純度は80.7%eeであった。
実施例10
(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・ジベンゾイル-L-酒石酸塩の製造
80%メタノールに代えて75%ブタノール200μLを用いて、冷却温度は室温までといった点を除いては実施例11と同様に操作したところ、白色結晶として(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・ジベンゾイル-L-酒石酸塩4.8mg(32%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は56.1%eeであった。
実施例11
(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・L-アセチルグルタミン酸塩の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン4.3mg(30μmol)をプロパノール200μLに加えた。続いてL-アセチルグルタミン酸5.7mg(30μmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分保温した後、0℃までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・L-アセチルグルタミン酸4.6mg(36%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(R)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は62.5%eeであった。
実施例12〜13
溶媒の種類及び量のみ変更して実施例11と同様の操作を行った。結果を下記表に示した。
Figure 2013079231
実施例14
(S)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・N-p-トルエンスルホニル-L-フェニルアラニン塩の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン4.3mg(30μmol)をメタノール200μLに加えた。続いてN-p-トルエンスルホニル-L-フェニルアラニン9.6mg(30μmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分保温した後、0℃までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(S)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・N-p-トルエンスルホニル-L-フェニルアラニン塩4.0mg(17%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(S)- 3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は78.4%eeであった。
実施例15〜22
溶媒の種類及び量のみ変更して実施例14と同様の操作を行った。結果を下記表に示した。
Figure 2013079231
実施例23
(S)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・ジベンゾイル-D-酒石酸塩の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン4.3mg(30μmol)を75%ブタノール200μLに加えた。続いてN-p-トルエンスルホニル-L-フェニルアラニン10.7mg(30μmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分保温した後、室温までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(S)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン・ジベンゾイル-D-酒石酸塩7.0mg(47%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(S)- 3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は52.1%eeであった。
実施例24〜26
溶媒の種類及び量のみ変更して実施例14と同様の操作を行った。結果を下記表に示した。
Figure 2013079231
実施例27
(S)-3-(N-アルキル)-アミノピペリジン・(S)-(+)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)-プロピオン酸の製造
Figure 2013079231
参考例3で得た光学異性体混合物の3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジン20mg(140μmol)をエタノール/水=14/3(容量/容量)に加えた。続いて(S)-(+)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)-プロピオン酸32.4mg(140μmol)を加え、80℃まで昇温した。80℃にて30分保温した後、室温までゆるやかに冷却した。析出した結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(S)-3-(N-アルキル)-アミノピペリジン・(S)-(+)-2-(6-メトキシ-2-ナフチル)-プロピオン酸8.4mg(10%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析したところ、該ジアステレオマー塩中の(S)-3-(N-イソプロピル)-アミノピペリジンの光学純度は92.0%eeであった。
実施例28
(R)-3-(N−イソプロピル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレートの製造
Figure 2013079231
(R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジン・二(S)−2−メトキシフェニル酢酸塩(100%ee, 100mg, 211μmol, 1.0eq.)をTHF(3mL)に懸濁後、ジイソプロピルエチルアミン(136mg、1054μmol, 5.0eq.)を加えて室温にて15分撹拌した。続いて−2℃に冷却後、BocO(46mg,211μmol、)のTHF(1mL)溶液を滴下後、1時間撹拌した。反応液の組成をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料の消失を確認し、目的とする(R)-3-(N−イソプロピル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレートのみの生成を確認した。3-(N−イソプロピル−N−tert−ブトキシカルボニル)−アミノピペリジンおよび3-(N−イソプロピル−N−tert−ブトキシカルボニル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレートの生成は認められなかった。
従って、本発明記載の方法では、(R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンの1位選択的にアルコキシカルボニル化を達成することが出来た。
実施例29
(R)-3-(N−イソプロピル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレート・フマル酸塩の製造
Figure 2013079231
フマル酸10.9kg(93.9mol)にイソプロパノール240kgを加えて50℃まで昇温させ溶解させた。続いて、トルエン71.8kgに溶解させた(R)-3-(N−イソプロピル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレート24.0kg(98.9mol)を滴下した。50℃にて30分撹拌し、結晶の析出を確認した後にヘプタン104kgを滴下し、更に1時間撹拌した。0度まで冷却させた後に結晶をろ取し、得られた結晶を乾燥させることにより、白色結晶として(R)-3-(N−イソプロピル)アミノピペリジン−1−tert−ブチルカルボキシレート・フマル酸33.0kgを得た。
本発明によれば、光学活性な式(2)で表される化合物の位置選択的な1−アルコキシカルボニル化により、光学活性な式(1)で表される化合物を高収率かつ効率的に製造することができる。加えて、ラセミの3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを適切な溶媒及び適切な光学活性な酸と接触させることにより、光学活性な3−(N−アルキル)−アミノピペリジンを製造することができる。本製造方法は、高価な1−アルコキシカルボニル基を有する3−アミノピペリジン化合物を用いずに目的物を製造できるので、大量合成にも適用できる工業的に有用な製造方法である。

Claims (20)

  1. 下記工程(1)および(2)を含む式(1)
    Figure 2013079231
    で表される化合物(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)、またはその薬学上許容される塩の製造方法:
    工程(1):式(2)
    Figure 2013079231
    で表される化合物(式中、Rは前記と同じである。)と光学活性な酸のジアステレオマー塩を、塩基と接触し、式(2)で表される化合物を取得する工程、および
    工程(2):工程(1)で得られる化合物と、式(3a)
    Figure 2013079231
    で表される化合物(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは前記と同じである。)、または式(3b)
    Figure 2013079231
    で表される化合物(式中、Rは前記と同じである。)を反応する工程。
  2. 工程(1)の前に下記工程(3)および(4)を更に含む、請求項1に記載の製造方法:
    工程(3):ラセミ体または光学異性体混合物である式(2)で表される化合物を、溶媒存在下で光学活性な酸と接触し、式(2)で表される化合物と光学活性な酸のジアステレオマー塩を析出する工程、および
    工程(4):工程(3)で析出するジアステレオマー塩を濾取する工程。
  3. 光学活性な酸が、下記群
    Figure 2013079231
    から選択されるいずれか一つの酸である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 工程(3)で用いられる溶媒が、ケトン溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、およびエーテル溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒と水の混合溶媒である、請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 混合溶媒が、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコールおよびアセトンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒と水との混合溶媒である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 工程(3)で析出する塩が、下記群
    Figure 2013079231
    から選択されるいずれか1つの塩である、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. がイソプロピル基である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. がtert-ブチル基である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. (R)−3−(N-イソプロピル)−アミノピペリジンと(S)−2−メトキシフェニル酢酸との塩。
  10. (R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとN−p−トルエンスルホニル−D−フェニルアラニンとの塩。
  11. (R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとジベンゾイル−L−酒石酸との塩。
  12. (R)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとL−アセチルグルタミン酸との塩。
  13. (S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとN−p−トルエンスルホニル−L−フェニルアラニンとの塩。
  14. (S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンとジベンゾイル−D−酒石酸との塩。
  15. (S)−3−(N−イソプロピル)−アミノピペリジンと(S)−(+)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−プロピオン酸との塩。
  16. 実質的に光学的に純粋な式(1)
    Figure 2013079231
    で表される化合物(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基である。)、またはその薬学上許容される塩。
  17. が、イソプロピル基である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
  18. が、tert−ブチル基である、請求項16または請求項17に記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
  19. (S)体である、請求項16〜請求項18のいずれかに記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
  20. (R)体である、請求項16〜請求項18のいずれかに記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
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