JP2013079097A - エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム用包装材、フィルムの保存方法、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム包装品 - Google Patents
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Abstract
【課題】エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムの保存時に、EVAフィルムにおける添加剤の揮発を防止し、且つ高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止することができる包装材、EVAフィルムを保存する方法、及びEVAフィルム包装品を提供する。
【解決手段】EVA、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装するための包装材であって、ポリエステルフィルム101と、その表面に形成された無機蒸着膜102とを含むことを特徴とする包装材120、それを用いたフィルムの保存方法、及びフィルム包装品。
【選択図】図1
【解決手段】EVA、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装するための包装材であって、ポリエステルフィルム101と、その表面に形成された無機蒸着膜102とを含むことを特徴とする包装材120、それを用いたフィルムの保存方法、及びフィルム包装品。
【選択図】図1
Description
本発明は、合わせガラス用中間膜や太陽電池用封止膜に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とするフィルム(EVAフィルム)、特に揮発性の添加剤を含むEVAフィルムを包装するための包装材、及びEVAフィルムの保存方法に関する。
従来から、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略す)を主成分として含む組成物(EVA組成物ともいう)からなるフィルム(以下、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム(EVAフィルム)ともいう)は、安価であり、絶縁性に優れ、高い透明性を有することから、合わせガラス用中間膜や太陽電池用封止膜等に利用されている。合わせガラス用中間膜としては、2枚のガラス板の間に挟持された中間膜として、耐貫通性や破損したガラスの飛散防止等の機能を発揮する(特許文献1)。太陽電池用封止膜としては、例えば、太陽電池用セルとガラス基板等からなる表面側透明保護部材との間に配置された表面側封止膜、及び太陽電池用セルと裏面側保護部材(バックカバー)との間に配置された裏面側封止膜として、絶縁性の確保や機械的耐久性の確保等の機能を発揮する(特許文献2)。また、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池においても、例えば、ガラスやポリイミド基板等の透明基板の表面に化学気相蒸着法等により半導体層等の発電素子層が形成され、その発電素子層と、保護部材との間に配置された封止膜として用いられる。
中間膜や封止膜に用いられるEVAフィルムにおいては、膜強度や耐久性を向上させるために、EVAの他に有機過酸化物等の架橋剤を含有させて架橋密度を向上している(特許文献1、2参照)。また、EVAフィルムには、更なる接着性、絶縁性、透明性の向上等を目的として、架橋助剤やシランカップリング剤等の添加剤が配合される場合がある。
しかしながら、添加剤の中には揮発性のものがあり、EVAフィルムを所定の形態(ロール状品、枚葉品等)に製造した後、使用するまでの保存中に含有量が低下してしまう場合がある。例えば、架橋剤が揮発してしまうと、所定の架橋性が得られないといった問題が生じる。
また、環境温度の変化、特に夏場の保管輸送時等に高温環境に曝されることにより、添加剤が変質して効果が十分に発揮できなくなったり、EVAフィルムの寸法変化やフィルム同士が付着し塊状となる現象(ブロッキングという)が生じたりする場合がある。
そこで、EVAフィルムは、一般に、ポリエチレンシート等の包装用シートで包装され、高温環境を避けて保存されている。また、特許文献3においては、太陽電池封止膜の品質劣化を防止するために、封止膜を包装する包装シートの硫黄元素の含有量を所定の量以下に規定した包装体が開示されている。
しかしながら、従来のEVAフィルムを保存するための包装材では、添加剤の揮発の防止について十分ではなく、夏場の保管輸送時等の高温環境の影響については十分に防止することはできない。
従って、本発明の目的は、EVAフィルムの保存時に、EVAフィルムにおける添加剤の揮発を防止し、且つ高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止することができる包装材を提供することにある。
また、本発明の目的は、EVAフィルムにおける添加剤の揮発を防止し、且つ高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止して、EVAフィルムを保存する方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、EVAフィルムにおける添加剤の揮発が防止され、且つ高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングが防止されたEVAフィルム包装品を提供することにある。
上記目的は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装するための包装材であって、ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含むことを特徴とする包装材によって達成される。この包装材により、EVAフィルムを保存することで、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発を十分に抑制し、架橋性の低下を防止することができる。更に、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止することができる。
本発明の包装材の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである。PETフィルムはガスバリア性、水蒸気バリア性が高い点で、本発明におけるポリエステルフィルムとして最適である。
(2)前記無機蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である。これにより、揮発性の添加剤の揮発をより抑制することができ、コスト的にも有利である。
(3)前記フィルムが、ロール状に巻かれているフィルムロール形態、又はフィルム枚葉品を複数枚積層した積層形態にされている。フィルムがこのような形態の場合に、特にブロッキングの問題が生じるため、本発明の包装材が有効である。
(4)前記揮発性の添加剤が、架橋剤、架橋助剤、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤である。これらの添加剤を含む場合に、添加剤の揮発による架橋性の低下等の問題が生じるため、本発明の包装材が有効である。
(5)前記フィルムが、合わせガラス用中間膜、又は太陽電池用封止膜である。
(1)前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである。PETフィルムはガスバリア性、水蒸気バリア性が高い点で、本発明におけるポリエステルフィルムとして最適である。
(2)前記無機蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である。これにより、揮発性の添加剤の揮発をより抑制することができ、コスト的にも有利である。
(3)前記フィルムが、ロール状に巻かれているフィルムロール形態、又はフィルム枚葉品を複数枚積層した積層形態にされている。フィルムがこのような形態の場合に、特にブロッキングの問題が生じるため、本発明の包装材が有効である。
(4)前記揮発性の添加剤が、架橋剤、架橋助剤、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤である。これらの添加剤を含む場合に、添加剤の揮発による架橋性の低下等の問題が生じるため、本発明の包装材が有効である。
(5)前記フィルムが、合わせガラス用中間膜、又は太陽電池用封止膜である。
また、上記目的は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを保存する方法であって、ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含む包装材により包装することを特徴とする方法によっても達成される。本発明の方法により、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発を十分に抑制し、架橋性の低下を防止し、更に、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止してEVAフィルムを保存することができる。
本発明の方法の好ましい態様は、上記包装材の場合と同様である。
更に、上記目的は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装材により包装したフィルム包装品であって、前記包装材が、ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含むことを特徴とするフィルム包装品によって達成される。本発明のフィルム包装品であれば、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発が十分に抑制され、架橋性の低下が防止され、更に、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングが防止されたEVAフィルム包装品とすることができる。
本発明のフィルム包装品の好ましい態様は、上記包装材の場合と同様である。
本発明の包装材は、ポリエステルフィルムとその表面に無機蒸着膜とを含んでいるので、この包装材を用いて、EVAフィルムを包装して保存する方法は、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発を十分に抑制し、架橋性の低下を防止することができ、更に、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止することができる。従って、本発明のEVAフィルム包装品は、上述のような問題の生じ難い保存性に優れたフィルム包装品であるといえる。
本発明の包装材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルム(EVAフィルム)を包装するために用いられる包装材である。
以下に、本発明の包装材について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の包装材の一例を示す概略断面図である。本発明の包装材120は、少なくとも1層のポリエステルフィルム101と、その表面に形成された少なくとも1層の無機蒸着膜102とを含む。ポリエステルフィルム及び/又は無機蒸着膜は2層以上あっても良い。ポリエステルフィルムに無機蒸着膜が形成されたフィルムは、ガスバリア性が高いため、本発明の包装材によって、EVAフィルムを保存することで、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発を十分に抑制し、架橋性の低下を防止することができる。また、輻射熱による熱伝達を抑えることで、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングを防止することができる。
本発明において、ポリエステルフィルムはポリエステル樹脂を主成分とするフィルムであればどのようなものでも良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の樹脂を主成分とするフィルムが使用できる。ガスバリア性、水蒸気バリア性に優れ、フィルム強度も高い点で、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムの厚さは、特に制限はないが、5〜100μmが好ましく、更に10〜80μmが好ましく、特に10〜50μmが好ましい。
本発明において、無機蒸着膜は、金属、半金属又はそれらの酸化物等の無機材料を蒸着させた膜であればどのようなものでも良い。無機材料としては、例えばアルミニウム、スズ、インジウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、ケイ素等、又はそれらの酸化物を用いることができる。蒸着方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法等を用いることができる。特に、本発明においては揮発性の添加剤の揮発をより抑制できるガスバリア性が高く、コスト的にも有利なことからアルミニウム蒸着膜が好ましい。無機蒸着膜の厚さは特に制限はないが、50〜2000Å(5〜200nm)が好ましく、更に100〜1000Å(10〜100nm)が好ましく、特に300〜600Å(30〜60nm)が好ましい。
本発明の包装材は、上述のポリエステルフィルム及び無機蒸着膜を含む積層フィルムであれば、他にポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ナイロン樹脂からなるフィルム層を含んでいても良い。
本発明の包装材の水蒸気透過率(JISK7129Bに従う(40℃、90%RH))は、2g/m2・24h・atm以下が好ましく、1g/m2・24h・atm以下が更に好ましく、0.7g/m2・24h・atm以下が特に好ましい。また、酸素透過率(JISK7126Bに従う(20℃、65%RH))は、2cc/m2・24h・atn以下が好ましく、1cc/m2・24h・atm以下が更に好ましく、0.7cc/m2・24h・atm以下が特に好ましい。
本発明のEVAフィルムの保存方法は、本発明の包装材により包装することにより保存する方法である。EVAフィルムの包装は、本発明の包装材を用いてEVAフィルムを包み込み、粘着テープやヒートシール方式で密封することが好ましい。
本発明において、EVAフィルムとしては、どのような形態でも良い。例えば、所定の幅及び長さでロール状に巻かれたフィルムロール形態、所定の大きさにカットされたフィルム枚葉品の形態、そのフィルム枚葉品を所定の枚数で積層した積層形態(フィルム枚葉品積層品ともいう)等が挙げられる。特に、EVAフィルムが重なった部分で、夏場の保管輸送時等の高温環境によるブロッキングの問題が生じる場合があるので、EVAフィルムが、フィルムロール形態やフィルム枚葉品積層品形態の場合に本発明の包装材が好ましく使用できる。
また、本発明において、揮発性の添加剤としては、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤等の添加剤の一部が挙げられる。特に、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤が揮発性の添加剤の場合、EVAフィルムの保存時の揮発による添加剤の低下によって、EVAフィルムの架橋性の低下や接着性の低下等の問題が生じるため、本発明の包装材が好ましく適用できる。
[架橋剤]
EVA組成物が架橋剤を含むことで、EVAの架橋構造を形成することができ、EVAフィルムの接着力を高めることができる。架橋剤としては有機過酸化物が好ましく挙げられる。有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
EVA組成物が架橋剤を含むことで、EVAの架橋構造を形成することができ、EVAフィルムの接着力を高めることができる。架橋剤としては有機過酸化物が好ましく挙げられる。有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
前記有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパーオキサイド系化合物、及びケトンパーオキサイド系化合物を使用するのが好ましい。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
前記ハイドロパーオキサイド系化合物としては、例えば、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
前記ジアルキルパーオキサイド系化合物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,4−ビス((t−ブチルジオキシ)イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス((t−ブチルジオキシ)イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス((t−ブチルパーオキシ)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が挙げられる。
前記ケトンパーオキサイド系化合物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、特に制限は無いが、EVA100質量部に対して、通常0.5〜5.0質量部であり、好ましくは0.5〜3.0質量部、より好ましくは0.65〜3.0質量部である。
[架橋助剤]
EVA組成物が架橋助剤を含むことで、EVAのゲル分率を向上させ、EVAフィルムの接着性及び耐久性を向上させることができる。
EVA組成物が架橋助剤を含むことで、EVAのゲル分率を向上させ、EVAフィルムの接着性及び耐久性を向上させることができる。
前記架橋助剤の含有量は、EVA100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2.5質量部で使用される。これにより、更に接着性に優れるEVAフィルムが得られる。
前記架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。これらは、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。
[シランカップリング剤]
EVA組成物がシランカップリング剤を含むことで、EVAフィルムの接着力を更に向上することができる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。前記シランカップリング剤の含有量はEVA100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.3〜0.65質量部であることが好ましい。
EVA組成物がシランカップリング剤を含むことで、EVAフィルムの接着力を更に向上することができる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。前記シランカップリング剤の含有量はEVA100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.3〜0.65質量部であることが好ましい。
[その他]
EVA組成物は、EVAフィルムの種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、種々の添加剤を含む。
EVA組成物は、EVAフィルムの種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、種々の添加剤を含む。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される。その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。可塑剤は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、EVA100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましい。
アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
エポキシ含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
前記アクリロキシ基含有化合物、前記メタクリロキシ基含有化合物、または前記エポキシ基含有化合物は、それぞれEVA100質量部に対してそれぞれ一般に0.5〜5.0質量部、特に1.0〜4.0質量部含まれていることが好ましい。
紫外線吸収剤を含むことにより、照射された光などの影響によってEVAが劣化し、EVAフィルムが黄変するのを抑制することができる。紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、EVA100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
光安定剤を含むことによっても、照射された光などの影響によってEVAの劣化し、EVAフィルムが黄変するのを抑制することができる。光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、EVA100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
老化防止剤としては、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
上述のような架橋剤等の添加剤を含み、保存中の架橋性の低下が問題となるEVAフィルムとしては、例えば、合わせガラス用中間膜又は太陽電池用封止膜が挙げられる。
即ち、本発明の包装材は、EVAフィルムが、合わせガラス用中間膜又は太陽電池用封止膜の場合に好ましく使用できる。
合わせガラス用中間膜は、例えば、2枚のガラス板の間に中間膜を挟持し、得られた積層体を脱気し、加熱下に押圧することで合わせガラスを製造することができる。これらの工程は真空袋方式、ニップロール方式等を用いて行われ、これにより合わせガラス用中間膜が硬化して、中間膜と2枚のガラス板を接着一体化することができる。
太陽電池用封止膜は、例えば、表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池用セル、裏面側封止膜及び裏面側保護部材を積層し、加熱加圧など常法に従って、封止膜を架橋硬化させることで太陽電池を製造することができる。加熱加圧するには、例えば、上記の積層体を真空ラミネータで加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜および裏面側封止膜に含まれるEVAを架橋させることにより、表面側封止膜および裏面側封止膜を介して、表面側透明保護部材、裏面側透明部材、および太陽電池用セルを一体化させて、太陽電池用セルを封止することができる。なお、太陽電池セルの光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池セルの受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
EVAフィルムを製造する場合、EVA及び必要に応じて上述した架橋剤、架橋助剤等の各種成分を含む組成物を加熱混練することで混合し、押出成形又はカレンダ成形(カレンダリング)など、従来公知の方法が用いて所定の形態に成形することができる。組成物の混合は、40〜90℃、特に60〜80℃の温度で加熱混練することにより行うのが好ましい。また、製膜時の加熱温度は、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、40〜90℃、特に50〜80℃とするのが好ましい。EVAフィルムの厚さは、一般に、50μm〜2mmである。なお、ブロッキング防止等の目的で、フィルムの片面又は両面にエンボスローラーやエンボスプレートを加熱押圧することでエンボスを付与しても良い。
本発明のEVAフィルム包装品は、本発明の包装材を用いて、EVAフィルムを包装したフィルム包装品である。例えば、上述のフィルムロールを包装したフィルム包装品やフィルム枚葉品積層品を包装したフィルム包装品が挙げられる。
本発明のフィルム包装品は、長期間に渡りEVAフィルムにおける架橋剤等の揮発性の添加剤の揮発が十分に抑制され、架橋性の低下が防止され、更に、夏場の保管輸送時等の高温環境によるEVAフィルムの寸法変化やブロッキングが防止されたEVAフィルム包装品である。
以下、本発明を実施例により説明する。
1.EVAフィルム包装品の作製
下記の配合のEVA組成物を原料としてカレンダ成形法により厚さ0.6mmのフィルム状に成形し(一方の表面に算術平均粗さRaが10μmのエンボス付与)、約1600×900mmにカットした。この枚葉品を1000枚積層した積層品を、下記の実施例及び比較例の包装材を用いて、図3に示したように6面全体を覆うように粘着テープを用いて包装し、EVAフィルム包装品を作製した。
1.EVAフィルム包装品の作製
下記の配合のEVA組成物を原料としてカレンダ成形法により厚さ0.6mmのフィルム状に成形し(一方の表面に算術平均粗さRaが10μmのエンボス付与)、約1600×900mmにカットした。この枚葉品を1000枚積層した積層品を、下記の実施例及び比較例の包装材を用いて、図3に示したように6面全体を覆うように粘着テープを用いて包装し、EVAフィルム包装品を作製した。
[配合]
EVA(EVAにおける酢酸ビニル含有率28質量%):100質量部、
架橋剤(1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン):2質量部、
架橋助剤(トリアリルイソシアヌネート):2質量部
シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン):0.5質量部
EVA(EVAにおける酢酸ビニル含有率28質量%):100質量部、
架橋剤(1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン):2質量部、
架橋助剤(トリアリルイソシアヌネート):2質量部
シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン):0.5質量部
[包装材]
実施例:アルミニウム蒸着PETフィルム(PETフィルム厚さ12μm、アルミニウム蒸着膜厚さ500Å(50nm))。
実施例:アルミニウム蒸着PETフィルム(PETフィルム厚さ12μm、アルミニウム蒸着膜厚さ500Å(50nm))。
比較例:黒色低密度ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)。
2.フィルム包装品の保存試験
各フィルム包装品について、保管輸送条件を想定した下記雰囲気温度等の条件でサイクル試験を行った。その後、22℃100時間保管し、包装を開け、最上部の1枚目、及び900枚目のEVAフィルム枚葉品を評価した。
各フィルム包装品について、保管輸送条件を想定した下記雰囲気温度等の条件でサイクル試験を行った。その後、22℃100時間保管し、包装を開け、最上部の1枚目、及び900枚目のEVAフィルム枚葉品を評価した。
[サイクル条件]
22℃12時間⇔50℃12時間、10サイクル。
22℃12時間⇔50℃12時間、10サイクル。
3.評価方法
(1)ブロッキング
各フィルム枚葉品を取り上げる際に、直下の1枚がブロッキングせずに、自重で剥がれる場合を○、剥がれない場合を×とした。
(2)寸法変化
各フィルム枚葉品の保存試験前後の約1600mmにカットしたMD方向(ロール送り方向)の寸法を測定し、寸法変化量を算出した。
(3)添加剤飛散量
各フィルム枚葉品の保存試験前後の重量を測定し、減少重量から飛散率を算出した。
(1)ブロッキング
各フィルム枚葉品を取り上げる際に、直下の1枚がブロッキングせずに、自重で剥がれる場合を○、剥がれない場合を×とした。
(2)寸法変化
各フィルム枚葉品の保存試験前後の約1600mmにカットしたMD方向(ロール送り方向)の寸法を測定し、寸法変化量を算出した。
(3)添加剤飛散量
各フィルム枚葉品の保存試験前後の重量を測定し、減少重量から飛散率を算出した。
4.評価結果
評価結果を表1に示す。
評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、EVAフィルムの包装に、ポリエステルフィルムとしてPETフィルムを用い無機蒸着膜としてアルミニウム蒸着膜を形成した包装材を用いた場合、従来のポリエステルフィルムを包装材とした場合と比べ、高温環境を経た保存をした際のブロッキング、寸法変化が生じ難く、且つ添加剤の低下を抑制できることが分かった。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、EVAフィルムの品質の低下を生じることなく長期間保存できるEVAフィルム包装品を提供することができる。
101 ポリエステルフィルム
102 無機蒸着膜
120 包装材
102 無機蒸着膜
120 包装材
Claims (18)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装するための包装材であって、
ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含むことを特徴とする包装材。 - 前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである請求項1に記載の包装材。
- 前記無機蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である請求項1又は2に記載の包装材。
- 前記フィルムが、ロール状に巻かれているフィルムロール形態、又はフィルム枚葉品を複数枚積層した積層形態にされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装材。
- 前記揮発性の添加剤が、架橋剤、架橋助剤、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤である請求項1〜4に記載の包装材。
- 前記フィルムが、合わせガラス用中間膜、又は太陽電池用封止膜である請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装材。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを保存する方法であって、ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含む包装材により包装することを特徴とする方法。
- 前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである請求項7に記載の方法。
- 前記無機蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である請求項7又は8に記載の方法。
- 前記フィルムが、ロール状に巻かれているフィルムロール形態、又はフィルム枚葉品を複数枚積層した積層形態にされている請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記揮発性の添加剤が、架橋剤、架橋助剤、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤である請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記フィルムが、合わせガラス用中間膜、又は太陽電池用封止膜である請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び揮発性の添加剤を含む組成物からなるフィルムを包装材により包装したフィルム包装品であって、
前記包装材が、ポリエステルフィルムと、その表面に形成された無機蒸着膜とを含むことを特徴とするフィルム包装品。 - 前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項13に記載のフィルム包装品。
- 前記無機蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である請求項13又は14に記載のフィルム包装品。
- 前記フィルムが、ロール状に巻かれているフィルムロール形態、又はフィルム枚葉品を複数枚積層した積層形態にされている請求項13〜15のいずれか1項に記載のフィルム包装品。
- 前記揮発性の添加剤が、架橋剤、架橋助剤、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤である請求項13〜16のいずれか1項に記載のフィルム包装品。
- 前記フィルムが、合わせガラス用中間膜、又は太陽電池用封止膜である請求項13〜17のいずれか1項に記載のフィルム包装品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011219809A JP2013079097A (ja) | 2011-10-04 | 2011-10-04 | エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム用包装材、フィルムの保存方法、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム包装品 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2016047524A1 (ja) * | 2014-09-24 | 2017-06-22 | 三井化学東セロ株式会社 | 封止シートの梱包体、および封止シートの保管方法 |
CN116102987A (zh) * | 2023-04-13 | 2023-05-12 | 合肥华晟光伏科技有限公司 | 太阳能电池组件封装胶膜及其制备方法、太阳能电池组件 |
-
2011
- 2011-10-04 JP JP2011219809A patent/JP2013079097A/ja active Pending
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