JP2013077734A - 電極およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の貫通孔2aを持つ集電体2としての金属箔と、該金属箔(集電体2)の片面または両面に被覆された活物質層3とを含む電極1であって、該活物質層3はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な炭素材料からなる活物質を含み、活前記活物質層3の表面粗さRzを1〔μm〕以上20〔μm〕以下とする。
【選択図】 図1
Description
これらの蓄電システムに要求される性能は、その用途により多岐にわたる。例えば、電気自動車などの長時間での使用が必須のシステムについては、高エネルギー密度であることが要求される。一方で、風力発電の電力平滑化、モータにおける起動時突入電流アシスト、瞬間電圧低下防止システムなどの、瞬間的に大電流を必要とする用途については、低内部抵抗、および高入出力特性が要求される。
これらの高入出力特性を有する蓄電素子は、省資源化に向かう情勢から、今後さらに需要が大きくなると予測される。たとえば風力発電など自然エネルギーを貯蔵するシステムでは、電流値に大きな変動を伴うため、蓄電システムとしては高入出力特性が必要とされる。また、電気自動車などのモータを用いる移動体においても、その起動時の突入電流のアシストや大電流の回生用途に使用するためには、高入出力特性が必要となる。
その方法としては、例えば、リチウム金属箔と負極活物質層とを電気化学的に接触させた状態で電解液を入れ、負極とLi金属との間の電位差を利用して、リチウムイオンを負極活物質にプリドープする方法があげられる。
LICでは、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極へのリチウムイオンのプリドープを行いやすくするために、負極集電体として図4に示すような複数の貫通孔2aを持つ金属箔(以下「孔空き箔」ともいう。)2が一般的に使用されている。また、複数の負極と正極とを積層した電極体における複数の負極へのリチウムイオンのプリドープを同時に行うために、負極集電体とともに正極集電体にも孔空き箔を使用することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明は、孔空き箔を集電体として使用した電極において、リチウムイオンプリドープにおける活物質層表面へのLi片の残存を抑制することで、低い内部短絡率と高いフロート耐久性を発現させることが可能な電極およびその製造方法、ならびに前記電極を用いたリチウムイオンキャパシタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
そこで、貫通孔を有する金属箔からなる集電体に活物質層を被覆させた電極において、その活物質層表面を滑らかにすることで、集電体と活物質層との界面強度を高くするとともに活物質層表面へのリチウム金属箔の圧着を十分にすることによって、リチウムイオンプリドープにおける活物質層表面へのLi片の残存を抑制するとの着想に基づいて検討した結果、内部短絡率を低下させ、フロート耐久性を向上することが可能な電極構成を見出して本発明を完成させた。
本発明の請求項1に係る電極は、複数の貫通孔を有する金属箔と、該金属箔の片面または両面に被覆された活物質層とを有し、前記活物質層はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な炭素材料からなる活物質を含み且つ前記活物質層の表面粗さRzは1〔μm〕以上20〔μm〕以下であることを特徴としている。
請求項3に係る電極は、前記貫通孔の最小孔径は、0.01〔mm〕以上0.19〔mm〕以下であることを特徴としている。
請求項4に係る電極は、前記金属箔と前記活物質層との間に、導電材料を含む導電層を有することを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係るリチウム金属箔および電極の複合体の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極を構成する活物質層上にリチウム金属箔を積層してなるリチウム金属箔および電極の複合体を製造する製造方法であって、前記リチウム金属箔として、前記活物質層の表面粗さよりも厚みが大きいリチウム金属箔を用いることを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る電極体は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極からなる負極と、金属箔の片面または両面に活性炭を含む活物質層が被覆されてなる正極と、がセパレータを挟んで交互に積層されてなり、且つ前記負極および前記正極が単数または複数積層されてなることを特徴としている。
また、本発明の請求項9に係るリチウムイオンキャパシタの製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極を含むリチウムイオンキャパシタの製造方法であって、前記リチウムイオンキャパシタに対し、片面の活物質層上にリチウム金属箔を積層してリチウム金属箔および電極複合体からなる負極を形成する工程と、前記負極と金属箔の片面または両面に活性炭を含む活物質層が被覆されてなる正極とをセパレータを介して積層した電極体を外装体に収納する工程と、リチウムイオンを含む非水系電解液を前記外装体内に注入することによりリチウムイオンを前記負極の活物質にプリドープする工程と、を含むことを特徴としている。
<電極>
図1(a)は、本発明の電極の一実施形態を示す模式図であって、電極の断面を示したものである。本発明の電極1は、多数の貫通孔を持つ金属箔からなる集電体2と、その片面または両面を含む、集電体2周囲を被覆するように配置された活物質層3とにより構成される。なお、図1(a)は、集電体2の両面を被覆するように活物質層3を設けた場合を表す。金属箔からなる集電体2は電流を導通させる役割を担っており、活物質層3はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な活物質を含み、電気化学的に電気量を充放電する役割を担っている。
集電体2となる、貫通孔を有する金属箔の材質は、電子伝導性の高い金属が好適に用いられる。例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、SUS(ステンレス鋼)、チタンなどの金属などが挙げられる。負極集電体として用いられるのであれば銅が好ましい。さらに好ましくは、厚みが1〜100〔μm〕の銅箔である。
なお、ここでいう最小孔径とは、図2に示すように、貫通孔2aの形状の重心を通り、かつ貫通孔2aの形状の内部で最も短い直線距離とする。例えば、貫通孔2aの形状が円形(図2(a))であれば直径を、楕円であれば短軸径(図2(b))を意味する。
最小孔径が0.01〔mm〕以上であると、活物質層3、また導電層4を設けた場合にはこの導電層4が、貫通孔2aに食い込むことが可能となるため、これら活物質層3または導電層4と貫通孔2aとの接着強度の増大につながる。
また、最小孔径が0.19〔mm〕以下であると、活物質層3を塗布法などで金属箔上に形成したときに、貫通孔2aのパターンが活物質層3の表面の凹凸パターンに反映しにくくなり、活物質層3の表面粗さを小さくすることが可能である。また、活物質層3が貫通孔2aの内部で金属箔に容易に支持されることになり、活物質層3の集電体2からの剥離が起こりにくくなる。
次に、上記電極1を用いるとともに、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能な炭素材料を用い、正極活物質としてアニオンの吸脱着が可能な活性炭を用いた、いわゆるリチウムイオンキャパシタの製造方法を具体的に説明する。
リチウムイオンキャパシタの製造工程においては、負極活物質にリチウムイオンをプリドープすることが特性向上のために好ましく、リチウムイオンプリドープのためには少なくとも負極集電体が貫通孔を有するものであることが好ましい。
また、リチウムイオンキャパシタでは、負極電位の作動領域を下げるため、作製段階でリチウムイオンを負極活物質にプリドープする工程を有することが好ましい。この工程においては、リチウムイオンを含む非水系電解液中で負極活物質層とリチウム金属箔とを短絡させ、リチウムイオンを負極活物質にプリドープする方法が好ましく、一般的にこの方法がとられている。この時、負極集電体が貫通孔を有するものであれば、負極の片面の活物質層のみにリチウム金属箔を接触させることによって負極の両面での活物質層中の負極活物質にリチウムイオンを効率的にプリドープすることが可能となる。
このことを考えると、集電体として貫通孔を有する金属箔は、リチウムイオンキャパシタなど、リチウムイオンのプリドープを必要とする蓄電素子には好適に使用できる。したがって、よりフレキシブルに蓄電素子を設計できるようにするため、集電体に貫通孔を有する金属箔を用いることは、有用といえる。
本発明の電極1において、集電体2を構成する金属箔の片面の面積(貫通孔領域の面積も含む)に対する貫通孔領域の総面積の比率である開孔率は、1%以上50%以下が好ましく、10%以上30%以下がさらに好ましい。
開孔率が1%以上であれば、金属箔の面に対し、垂直方向への電解液の移動が可能になるため、電解液の含浸速度の向上が見込まれる。また、開孔率が50%以下であれば、電子伝導性に寄与する金属材料の面積が十分に存在し、電極の低抵抗化や金属箔の高強度化につながる。このとき、電極としての金属箔の片面の面積は、電極タブを溶接するための耳部(金属箔の活物質層が積層されていない領域)は含まず、活物質層が積層されている領域のみを金属箔の片面の面積とする。
金属箔からなる集電体2を被覆する導電層4の厚みは、集電体2を構成する金属箔の垂直方向に対して0.5〔μm〕以上15〔μm〕以下が好ましく、1〔μm〕以上10〔μm〕以下がさらに好ましい。導電層4の厚みが0.5〔μm〕以上であれば、活物質層3との結着強度が増大し、また集電性も増大するため好ましい。また、15〔μm〕以下であれば、活物質層3との結着強度の増大や、蓄電素子としたときの体積あたりのエネルギー密度および出力密度が増大するため好ましい。ここで言う導電層4の厚みとは、導電層4が被覆された金属箔込みの集電体2の厚みから、金属箔(集電体2)のみの厚みを差し引いた厚みのことを意味する。導電層4が金属箔(集電体2)の両面に被覆されている場合は、導電層4が被覆された集電体2の厚みから、金属箔(集電体2)の厚みを差し引いた値の半分とし、片面換算で算出する。
活物質層3を構成する活物質としては、負極活物質の場合はリチウムイオンを吸蔵放出する材料、正極活物質の場合はイオンを吸着脱離することが可能な材料が好適に用いられる。例えば、黒鉛、コークス、難黒鉛化炭素材料、活性炭や複合多孔性炭素材料などの炭素材料やそれらの混合物があげられ、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムやこれら遷移金属の3元系酸化物とのリチウム化合物などに代表されるリチウムイオン挿入、脱離可能な遷移金属酸化物を一部混合してもよい。
導電フィラーとしては、微粉末黒鉛、アセチレンブラックやケッチェンブラック、またはこれらの混合物に代表される導電率の高い炭素材料が挙げられる。
活物質層3の組成は、活物質が70〜90質量部、導電フィラーが3〜20質量部、結着材が3〜20質量部の範囲が、集電体2への接着力、導電性、容量または出力特性のバランス上好ましい。
={(“L+1”+“L+2”+“L+3”+“L+4”+“L+5”)/5-Lave}
+{Lave-(“L-1”+“L-2”+“L-3”+“L-4”+“L-5”)/5}
={(“L+1”+“L+2”+“L+3”+“L+4”+“L+5”)
−(“L-1”+“L-2”+“L-3”+“L-4”+“L-5”)}/5
表面粗さのプロファイルを測定する範囲は、例えば図4に示すような貫通孔2aのパターンにおいて、連続した貫通孔2aのパターンの少なくとも2周期分を網羅していればよい。例えば、連続した貫通孔2aの間隔が150〔μm〕であれば、少なくとも300〔μm〕の範囲でプロファイルを観察すればよい。また、プロファイルの範囲としては、貫通孔2aの中心を通り、かつ最小の凹部(つまり、凹部の深さが一番深くなる部分)を通るようにすることが好ましい。
これらの箔へのスラリーの塗布は、ダイコート法、コンマコート法、ディップコート法、マイクログラビアコート法等、従来公知のコーティング法によって行うことができる。
本実施形態における電極1は、該電極1に対向する電極と、セパレータを介して対向させた電極体として外装体に収納し、電解液を注液することで、蓄電素子を作製することができる。すなわち、負極活物質を用いて作製した負極であれば正極を対向させる。
セパレータとしては、セルロース系セパレータに代表される紙系のセパレータや、ポリエチレンまたはポリプロピレン製の微多孔膜からなるポリオレフィン系のセパレータが挙げられる。セパレータの厚みは、10〔μm〕以上70〔μm〕以下であることが好ましい。
セパレータの厚みが10〔μm〕以上であれば、内部のマイクロショートによる自己放電を抑制することができ、一方、厚みが70〔μm〕以下であれば、蓄電素子のエネルギー密度及び出力特性に優れる。
上記の外装体に使用される金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。また、外装体に使用されるラミネートフィルムは、金属箔と樹脂フィルムを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内層樹脂フィルムからなる3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロンやポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分やガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適である。また、内層樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィンが好適である。
<実施例1>
まず、実施例1について説明する。
グラファイト(平均粒径10〔μm〕)を42質量部、カーボンブラック(平均粒径40〔nm〕)を51質量部、CMCナトリウムを16質量部、精製水986質量部を混合、分散することで、導電材料のスラリー(以下、実施例1の導電材料のスラリーともいう。)を作製した。
この負極スラリーをコンマコーターにより片面逐次で、上記で作製した導電層4を形成した負極集電体2の両面に塗布を行い、乾燥炉で乾燥することで負極活物質層3を形成し負極を得た。このとき、コンマコーターのコーティングロールは回転させて塗布を行った。ここで得られた負極をプレスして実施例1における負極とした。
実施例1の負極活物質層3の表面を、レーザー顕微鏡(型式:KEYENCE製, VIOLET LASER COLOR 3D PROFILE MICROSCOPE VK-9510)により観察し、その表面粗さRzを評価したところ、Rz=7.2〔μm〕であり、Rz/t=0.12(t=58〔μm〕)であった。
15〔μm〕のアルミニウム箔(貫通孔なし)からなる正極集電体2に、この正極スラリーを片面だけに塗布し、プレスを行うことで正極を作製した。正極活物質層3の厚みは55〔μm〕であった。
次に、前述の実施例1のセルについて、2Cのレートで定電流定電圧(以下「cccv」ともいう。)4〔V〕充電を行った。その後、0.1〔Hz〕でインピーダンス特性を測定した。また、このセルについて、60〔℃〕、3.8〔V〕のフロート評価を行い、1000時間後、4〔V〕での0.1〔Hz〕のインピーダンス特性を測定した。これらの測定結果を後述の表1に記載する。
表1に記載した抵抗倍率とは、フロート評価1000時間後の0.1〔Hz〕でのインピーダンスを、初期の0.1〔Hz〕でのインピーダンスで割った値であり、フロートによりどの程度セルの抵抗が上昇したかの尺度を示している。
次に、実施例2について説明する。
直径0.1〔mm〕の円形貫通孔2aを有する厚み15〔μm〕のエッチング銅箔(幅150mm、開孔率25%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーを用い、コーティングロールを固定した状態で塗布を行い、乾燥炉で乾燥することで、該負極集電体2の両面に導電層4を形成した。導電層4の厚みは、片面あたり12.5〔μm〕であった。
実施例2において導電層4上に形成された負極活物質層3(以下、実施例2の負極活物質層ともいう。)の片面あたりの厚みはt=51〔μm〕となった。
前述の実施例2の負極を用いて、実施例1と同様の方法で蓄電素子(以下、実施例2の蓄電素子ともいう。)を作製した。実施例1と同様に、ラミネートフィルムを開封し、負極活物質層3の表面を目視にて観察したところ、Li片が負極活物質層3の表面に残存していないことがわかった。
次に、実施例3について説明する。
直径0.13〔mm〕の円形貫通孔2aを有する厚み15〔μm〕のエッチング銅箔(幅150〔mm〕、開孔率25%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーを用い、コーティングロールを固定した状態で塗布を行い、乾燥炉で乾燥することで、該負極集電体2の両面に導電層4(以下、実施例3の導電層ともいう。)を形成した。導電層4の厚みは、片面あたり12.1〔μm〕であった。
前述の実施例3の負極を用いて、実施例1と同様の方法で蓄電素子(以下、実施例3の蓄電素子ともいう。)を作製した。この実施例3の蓄電素子に対し、実施例1と同様にラミネートフィルムを開封し、負極活物質層3の表面を目視にて観察したところ、Li片が負極活物質層3の表面に残存していないことがわかった。
次に、実施例4について説明する。
直径0.15〔mm〕の円形貫通孔2aを有する厚み15〔μm〕のエッチング銅箔(幅150〔mm〕、開孔率25%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーを用い、コーティングロールを固定した状態で塗布を行い、乾燥炉で乾燥することで、該負極集電体2の両面に導電層4を形成した。導電層4の厚みは、片面あたり13.5〔μm〕であった。
前記実施例4の負極を用いて、実施例1と同様の方法で蓄電素子(以下、実施例4の蓄電素子ともいう)を作製した。実施例1と同様に、ラミネートフィルムを開封し、負極活物質層3の表面を目視にて観察したところ、Li片が負極活物質層3の表面に残存していないことがわかった。
次に、比較例1について説明する。
LWが1〔mm〕、SWが0.5〔mm〕の菱形形状の貫通孔2aを有する厚み30〔μm〕のエキスパンド銅箔(幅150〔mm〕、開孔率47%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーの塗工を行い、乾燥炉で乾燥を行うことで、該負極集電体2の両面に導電層4(以下、比較例1の導電層ともいう。)を形成した。なお、LWはエキスパンド箔が有する菱形形状の貫通孔2aの対角線の長軸側の長さであり、SWは短軸側の長さである。導電層4の片面あたりの厚みは7.7〔μm〕であった。
実施例1と同様に、ラミネートフィルムを開封し、負極活物質層3の表面を目視にて観察したところ、Li片が負極活物質層3の表面に残存していることが確認された。
比較例1の蓄電素子について、2Cのレートでcccv4〔V〕充電を行った。その後、0.1〔Hz〕でインピーダンス特性を測定した。
次に、比較例2について説明する。
直径0.3〔mm〕の円形貫通孔2aを有する厚み15〔μm〕のパンチング銅箔(幅150〔mm〕、開孔率17%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーを塗工し、乾燥炉で乾燥を行うことで、該負極集電体2の両面に導電層4(以下、比較例2の導電層ともいう。)を形成した。導電層4の片面あたりの厚みは7.5〔μm〕であった。
また、前述の比較例2の負極活物質層3の表面を、実施例1と同様の方法で観察し、その表面粗さRzを評価したところ、Rz=43.0〔μm〕であり、Rz/t=0.66(t=65〔μm〕)であった。
前述の比較例2の蓄電素子について、2Cのレートでcccv4〔V〕充電を行った。その後、0.1〔Hz〕でインピーダンス特性を測定した。また比較例2のセル(蓄電素子)について、60〔℃〕、3.8〔V〕のフロート評価を行い、1000時間後の0.1〔Hz〕のインピーダンス特性を測定した。これらの測定結果を後述の表1に記載する。
次に、比較例3について説明する。
直径0.2〔mm〕の円形貫通孔2aを有する厚み15〔μm〕のエッチング銅箔(幅150〔mm〕、開孔率20%)からなる負極集電体2を小型コンマコーターに通箔し、前述の実施例1の導電材料のスラリーを塗工し、乾燥炉で乾燥を行うことで、該負極集電体2の両面に導電層(以下、比較例3の導電層ともいう。)4を形成した。導電層4の片面あたりの厚みは5.5〔μm〕であった。
前述の比較例3の負極を用いて、実施例1と同様の方法で蓄電素子(以下、比較例3の蓄電素子ともいう。)を作製した。実施例1と同様に、ラミネートフィルムを開封し、負極活物質層3の表面を目視にて観察したところ、Li片が負極活物質層3の表面に残存していることが確認された。
前述の比較例3の蓄電素子について、2Cのレートでcccv4〔V〕充電を行った。その後、0.1〔Hz〕でインピーダンス特性を測定した。また前述の比較例3の蓄電素子について、60〔℃〕、3.8〔V〕のフロート評価を行い、1000時間後の0.1〔Hz〕のインピーダンス特性を測定した。これらの測定結果を後述の表1に記載する。
表1からわかるように、比較例1〜3では、負極活物質層3の表面にLi片が多く残存していることがわかった。これは、負極活物質層3の表面に集電体2である孔空き金属箔由来の凹凸パターンが形成され、表面粗さが大きくなったことから、Li圧着において圧着むらが生じ、Li金属が負極活物質層3の凹部で十分に負極活物質にプリドープされなかったことが原因と考えられる。
以上のことから、実施例1〜4では、負極活物質層3の表面粗さが小さいことに由来し、リチウムイオンプリドープ後の負極活物質層3の表面に残存するLi片の低減とフロート特性の向上が達成されたのだと示唆された。
2 集電体(金属箔)
2a 貫通孔
3 活物質層
4 導電層
Claims (9)
- 複数の貫通孔を有する金属箔と、該金属箔の片面または両面に被覆された活物質層とを有し、
前記活物質層はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な炭素材料からなる活物質を含み且つ前記活物質層の表面粗さRzは1〔μm〕以上20〔μm〕以下であることを特徴とする電極。 - 前記複数の貫通孔領域の合計面積を、当該複数の貫通孔領域の面積を含む前記金属箔の面積で割った比率が1%以上50%以下であることを特徴とする請求項1記載の電極。
- 前記貫通孔の最小孔径は、0.01〔mm〕以上0.19〔mm〕以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電極。
- 前記金属箔と前記活物質層との間に、導電材料を含む導電層を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電極。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極と当該電極を構成する前記活物質層上に積層されたリチウム金属箔とからなるリチウム金属箔および電極の複合体を製造する製造方法であって、
前記リチウム金属箔として、前記活物質層の表面粗さよりも厚みが大きいリチウム金属箔を用いることを特徴とするリチウム金属箔および電極の複合体の製造方法。 - 請求項4に記載の電極の製造方法であって、
前記複数の貫通孔を有する金属箔に前記導電材料を含むスラリーを湿式塗工することにより、前記金属箔の上下面を同時に前記導電材料により被覆して前記導電層を形成する工程を含むことを特徴とする電極の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極からなる負極と、金属箔の片面または両面に活性炭を含む活物質層が被覆されてなる正極と、がセパレータを挟んで交互に積層されてなり、且つ前記負極および前記正極が単数または複数積層されてなることを特徴とする電極体。
- 請求項7に記載の電極体と、リチウムイオンを含む非水系電解液と、外装体とを有することを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極を含むリチウムイオンキャパシタの製造方法であって、
前記リチウムイオンキャパシタに対し、片面の活物質層上にリチウム金属箔を積層してリチウム金属箔および電極複合体からなる負極を形成する工程と、
前記負極と金属箔の片面または両面に活性炭を含む活物質層が被覆されてなる正極とをセパレータを介して積層した電極体を外装体に収納する工程と、
リチウムイオンを含む非水系電解液を前記外装体内に注入することによりリチウムイオンを前記負極の活物質にプリドープする工程と、を含むことを特徴とするリチウムイオンキャパシタの製造方法。
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