JP2013076138A - めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.10〜0.40%、Si:0.01〜3.0%、Mn:1.7〜3.0%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜2.0%、N:0.001〜0.01%、を含有し、Si及びAlの含有量が、Si+Al>0.5%を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを40%以上含有し、3種類のマルテンサイト[1][2][3]の1種または2種以上とベイナイトを含有し、残留オーステナイトを0.1〜8%未満含有する鋼板の表面に、Feを7質量%未満含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品などに用いられるめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関するものである。
近年、環境問題への対応のため炭酸ガス排出低減や燃費低減を目的に自動車の軽量化が望まれている。また、衝突安全性向上に対する要求はますます高くなっている。自動車の軽量化や衝突安全性向上のためには鋼材の高強度化が有効な手段である。ところが、通常は鋼材を高強度化すると加工性が劣化するため、高強度と加工性を両立する鋼板が必要とされている。
高延性を有する高強度鋼板として、フェライトとマルテンサイトの2相組織からなるDual Phase鋼(以下DP鋼と称す)が開発されており、固溶強化鋼板や析出強化鋼板よりも強度−延性バランスが優れていることに加え、引張強度(TS)に対する降伏応力(YP)の割合を示す降伏比(=YP/TS)が低くプレス成形後の形状凍結性に優れるため、使用量が増加してきている。
また、自動車用高強度鋼板は適用される部品によっては耐食性が必要とされ、そのような場合には溶融亜鉛めっき鋼板が適用されている。また、溶融亜鉛めっきを行った後に合金化処理をした(合金化)溶融亜鉛めっき鋼板も適用されている。
溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、ゼンジマー法で製造されるが、焼鈍設備とめっき設備が連続化されており、めっき性を確保するために焼鈍温度からの冷却速度に制約があるため、冷却後にマルテンサイトを確保するためにはCrやMoなどの合金元素を多量に添加する必要があり、コストが高くなるという問題があった。また、上記DP鋼においては、延性向上のためにSiが添加されるが、Si含有量が高いとSiが鋼板表面に濃縮し酸化するため、溶融亜鉛めっき時に不めっきが発生し易いという問題があった。
一方、特許文献1及び2において、Si添加高強度鋼板につき、Niプレめっき後、430〜500℃まで急速加熱し、亜鉛めっき後に470〜550℃に加熱して合金化処理を行うという合金化溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造方法が記載されている。この方法の場合、原板としてすでに材質を造り込んでいる冷延−焼鈍プロセスで製造した冷延鋼板を使用することが可能であり、最高到達温度が550℃程度であることから、原板の加工性をあまり損なわずに合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができると考えられる。また、Niプレめっきなどの処理により、Si含有量が高くても不めっきが生じにくい。
特許文献3にはこのNiプレめっきの技術を活用して低降伏比型合金化溶融亜鉛めっき鋼板を作製する技術が提案されている。これは、鋼成分、焼鈍条件、合金化溶融亜鉛めっき条件などを制御して、通常の冷延−焼鈍プロセスで製造したDP鋼の冷延鋼板と同等の低降伏比と延性を有する低降伏比型合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供しようとするものである。
しかしながら、このようなプロセスで製造した溶融亜鉛めっき鋼板は、延性には優れているものの、穴拡げ性が低いという問題があった。穴拡げ性に優れた鋼板としては、特許文献4に提案されているように、鋼組織をベイナイト単相または析出強化したフェライト単相の組織とすることで組織の均質化を図り、優れた穴拡げ性を有する鋼板が提案されている。しかしこれらの穴拡げ性に優れた鋼板は軟質のフェライト組織を含まないために、延性が低いことに加え、降伏比も高くなるため、張り出し成形性や形状凍結性は劣る。従って、これらの技術を使ってNiプレめっき法による溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ性を改善することは困難である。
特許第2526320号公報 特許第2526322号公報 特開2010−1531号公報 特開2002-322540号公報
本発明は、上述したような問題点を解決しようとするものであって、焼鈍済みの冷延鋼板を原板としてNiプレめっき法による溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たり、めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、C、Si、Mn量を変えた種々の鋼について、実験室で溶解、熱延、冷延、焼鈍、合金化溶融亜鉛めっきを行い、所用の強度、延性、穴拡げ性、めっき性を得るための方法を種々検討した。その結果、成分を特定したうえで、冷延-焼鈍後に表面層を0.1μm以上研削を行った後にNiプレめっきすること、合金化処理温度を560℃以下に低温化すること、この手法の温度工程を活用して3種類のマルテンサイトの量を制御すること、により延性やめっき性を劣化させることなく穴拡げ性を向上させることができ、めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)
質量%で、
C:0.10〜0.40%、
Si:0.01〜3.0%、
Mn:1.7〜3.0%、
P:0.04%以下、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜2.0%、
N:0.001〜0.01%、
を含有し、Si及びAlの含有量が、
Si+Al>0.5%
を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを40%以上含有し、次に指定する3種類のマルテンサイト[1][2][3]の1種または2種以上とベイナイトを含有し、
マルテンサイト[1]:C濃度(CM1)が0.8質量%未満で、硬さHv1が、
Hv1/(-982.1×CM12+1676×CM1+189)≦0.60
マルテンサイト[2]:C濃度(CM2)が0.8質量%以上で、硬さHv2が、
Hv2/(-982.1×CM22+1676×CM2+189)≦0.60
マルテンサイト[3]:C濃度(CM3)が0.8質量%以上で、硬さHv3が、
Hv3/(-982.1×CM32+1676×CM3+189)≧0.80
オーステナイトを0.1〜8%未満含有する鋼板の表面に、Feを7質量%未満含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)
質量%で、
C:0.10〜0.40%、
Si:0.01〜3.0%、
Mn:1.7〜3.0%、
P:0.04%以下、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜2.0%、
N:0.001〜0.01%、
を含有し、Si及びAlの含有量が、
Si+Al>0.5%
を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを40%以上含有し、次に指定する3種類のマルテンサイト[1][2][3]の1種または2種以上とベイナイトを含有し、
マルテンサイト[1]:C濃度(CM1)が0.8質量%未満で、硬さHv1が、
Hv1/(-982.1×CM12+1676×CM1+189)≦0.60
マルテンサイト[2]:C濃度(CM2)が0.8質量%以上で、硬さHv2が、
Hv2/(-982.1×CM22+1676×CM2+189)≦0.60
マルテンサイト[3]:C濃度(CM3)が0.8質量%以上で、硬さHv3が、
Hv3/(-982.1×CM32+1676×CM3+189)≧0.80
オーステナイトを0.1〜8%未満含有する鋼板の表面に、Feを7〜15質量%を含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)
3種類のマルテンサイト[1][2][3]がそれぞれ、体積分率で
マルテンサイト[1]:1%以上、50%以下、
マルテンサイト[2]:1%以上、30%以下、
マルテンサイト[3]:1%以上、30%以下、
であることを特徴とする(1)または(2)に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(4)
更に、質量%で、
Ti:0.005〜0.3%、
Nb:0.005〜0.3%、
V :0.01〜0.5%
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(5)
更に、質量%で、
Cr:3.0%以下、
Mo:3.0%以下、
Ni:5.0%以下、
Cu:3.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(6)
更に、質量%で、
B:0.01%以下
を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(7)
さらに、質量%で、
Ca:0.01%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
REM:0.05%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(8)
上記(1)〜(7)のいずれかに記載の鋼板を製造する際、鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、630℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗、圧下率40〜70%の冷延を施し、730〜800℃にて焼鈍し、650〜750℃の温度まで0.1〜5℃/秒で一次冷却し、その温度から450℃以下まで20℃/秒以上で冷却して、350〜450℃の範囲で120秒以上保持し、50℃以下まで冷却した後、鋼板の表面層を0.1μm以上研削除去し、Niをプレめっきし、20℃/秒以上の昇温速度で430〜480℃まで加熱後、溶融亜鉛めっきすることを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(9)
上記(1)〜(7)のいずれかに記載の鋼板を製造する際、
鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、630℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗、圧下率40〜70%の冷延を施し、730〜800℃にて焼鈍し、650〜750℃の温度まで0.1〜5℃/秒で一次冷却し、その温度から450℃以下まで20/秒以上で冷却して、350〜450℃の範囲で120秒以上保持し、冷却した後、鋼板の表面層を0.1μm以上研削除去し、Niをプレめっきし、20℃/秒以上の昇温速度で430〜480℃まで加熱後、溶融亜鉛めっきし、470〜560℃で10〜40秒の合金化処理を行うことを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、めっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができ、産業上の貢献が極めて顕著である。
まず、本発明におけるめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の成分限定理由について説明する。なお、以下、組成における質量%は単に%と記す。
C:Cは鋼の強度を増加させる元素として添加されるものである。0.10%未満では980MPa以上の引張強度の確保が困難であり、0.40%を超える過剰の添加は延性、溶接性、靭性などを著しく劣化させる。従って、C含有量は0.10〜0.40%とした。より好ましい範囲は、0.10〜0.30%である。
Si:Siは固溶強化により鋼板の強度を増大させるのに有用な元素である。また、Siはセメンタイトの生成を抑制するため、ベイナイト変態時にオーステナイト中へのCの濃化を促進させる効果をもち、焼鈍後に残留オーステナイトを生成させるのに必須の元素である。0.01%未満ではそれらの効果が発現されず、3.0%を超える過剰の添加は熱間圧延で生じるスケールの剥離性や化成処理性を著しく劣化させるため、Si含有量は0.01〜3.0%とした。
Mn:Mnは焼入れ性を高めるために有効な元素である。1.7%未満では焼入れ性を高める効果が十分には発現されず、3.0%を超える過剰の添加は靭性を劣化させる。従って、Mn含有量は1.7〜3.0%とした。
P:Pは、粒界に偏析して粒界強度を低下させ、靱性を劣化させる不純物元素であり、低減させることが望ましい。Pの含有量の上限は、現状の精錬技術と製造コストを考慮し、0.04%に制限した。
S:Sは、熱間加工性及び靭性を劣化させる不純物元素であり、低減させることが望ましい。Sの含有量の上限は、現状の精錬技術と製造コストを考慮し、0.01%に制限した。
Al:Alは脱酸剤として、またAlNを形成し結晶粒粗大化を抑制する効果がある。また、Siと同様にフェライト安定化元素であり、Siの代替として使用することもできる。0.005%未満ではそれらの効果が発現されず、2.0%を超えて過剰添加すると靭性が劣化するため、Alの含有量を0.005〜2.0%とした。
N:Nは窒化物を形成し結晶粒粗大化を抑制する効果があるが、0.001%未満ではその効果が発現されず、0.01%を超えて添加すると靭性が劣化するため、N含有量を0.001〜0.01%とした。
Si+Al:SiとAlはフェライト安定化とセメンタイト抑制という同じ働きをする元素である。したがって、SiとAlの合計添加量が重要となってくる。この合計添加量が、0.5%以下であると、フェライト安定化とセメンタイト抑制の働きが弱くなるため、0.5%より多く添加することとした。過剰の添加は効果が飽和するばかりでなく、スケール形成により、表面性状を著しく劣化させること、めっきの濡れ性を著しく損なうことから、上限は3%以下が望ましい。
以上が本発明の基本成分であり、通常、上記以外はFe及び不可避的不純物からなるが、所望の強度レベルやその他の必要特性に応じて、Cr、Mo、Ni、Cu、Ti、Nb、V、B、Ca、Mg、Zr、REMの1種又は2種以上を添加しても良い。
Ti:TiはTiNを形成する元素であり、結晶粒の粗大化の抑制に有効である。靭性を高めるには、0.005%以上のTiを添加することが好ましい。しかし、Tiを過剰に添加するとTiNが粗大化し、靭性が劣化することがある。したがって、Tiの含有量を0.3%以下にすることが好ましい。
Nb:Nbは微細な炭窒化物を形成する元素であり、結晶粒の粗大化の抑制に有効である。靭性を高めるには、0.005%以上のNbを添加することが好ましい。しかし、Nbを過剰に添加すると析出物が粗大になり、靭性が劣化することがある。したがって、Nbの含有量を0.3%以下にすることが好ましい。
V:Vは、Nbと同様、微細な炭窒化物を形成する元素である。結晶粒の粗大化を抑制し、靭性を高めるには、0.01%以上のVを添加することが好ましい。V含有量が0.5%を超えると、靭性が劣化することがあるため、V量の上限は0.5%以下が好ましい。
Cr、Mo、Ni、Cu:Cr、Mo、Ni、Cuは、延性及び靭性を向上させる有効な元素である。しかし、Cr、Mo、Cuの含有量は、それぞれ、3.0%、Niの含有量は5.0%を超えると、強度の上昇によって、靭性を損なうことがある。したがって、Cr量の上限は3.0%以下、Mo量の上限は3.0%以下、Ni量の上限は5.0%以下、Cu量の上限は3.0%以下が好ましい。また、延性及び靭性を向上させるには、Cr量は0.05以上、Mo量は0.05%以上、Ni量は0.05%以上、Cu量は0.10%以上が好ましい。
B:Bは粒界に偏析し、P及びSの粒界偏析を抑制する元素である。また、焼き入れ性を高めるのに有効な元素でもある。しかし、B量が0.01%を超えると、粒界に粗大な析出物を生じて、熱間加工性や靭性を損なうことがある。したがって、Bの含有量を0.01%以下とする。なお、粒界の強化によって、延性、靭性及び熱間加工性を向上させたり、焼き入れ性を向上させるためには、0.0003%以上のBの添加が好ましい。
Ca、Mg、Zr、REM:Ca、Mg、Zr、REMは、硫化物の形態を制御し、Sによる熱間加工性や靭性の劣化の抑制に有効な元素である。しかし、過剰に添加しても効果が飽和するため、Caは0.01%以下、Mgは0.01%以下、Zrは0.05%以下、REMは0.05%以下を添加することが好ましい。靭性を向上させるには、Caは0.0010%以上、Mgは0.0005%以上、Zrは0.0010%以上、REMは0.0010%以上を添加することが好ましい。
次に製造条件の限定理由について述べる。
本発明においては、上記の成分からなる鋼を常法で溶製し、鋳造する。得られた鋼片を熱間圧延する。更に、酸洗、冷間圧延及び焼鈍を施した後、Niプレめっきを行い、その後、亜鉛めっきまたは、亜鉛めっき後、合金化処理を行う。
熱間圧延においては鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延する。加熱温度が1100℃未満では材料の均質化が不十分となることから、加熱温度の下限は1100℃とした。仕上げ圧延温度はオーステナイト+フェライトの2相域になると鋼板内の不均一性が大きくなり、焼鈍後の成形性が劣化するので仕上げ圧延温度はAr3変態点以上とした。
熱間圧延における巻取り温度は630℃を超えると、熱延板組織が粗大なフェライト・パーライト組織となり、冷間圧延、焼鈍、亜鉛めっき及び合金化処理後の最終的な鋼板の組織が不均一な組織となり、良好な穴拡げ性が得られないので、巻取り温度の上限は630℃にした。より好ましくは、巻取り温度を520℃以下とし、ベイナイト単相とするとよい。巻取り温度の下限は特に規定するものではないが、300℃未満であると熱延板の強度が高くなり冷間圧延に支障をきたす場合があるので、300℃以上であることが望ましい。
冷間圧延は、焼鈍後のミクロ組織を微細化するため、圧下率を40%以上とする。一方、冷間圧延の圧下率は、70%を超えると、加工硬化によって負荷が高くなり、生産性を損なう。したがって、冷間圧延の圧下率は、40〜70%とする。
冷間圧延後、焼鈍を施す。本発明では、鋼板のミクロ組織を制御するために、焼鈍の加熱温度及び冷却条件が極めて重要である。
冷間圧延後の焼鈍温度は、熱延時に生成したセメンタイトを十分に溶解し、Cが十分に濃化したオーステナイトを確保するために、730〜800℃の範囲にした。焼鈍温度が730℃未満であるとAC1変態点に近いため必要なオーステナイト量が得られない。焼鈍温度が800℃を超えるとオーステナイト分率が高くなりすぎ、オーステナイトへのCの濃化が不十分となる。
焼鈍後は、650〜750℃の温度まで0.1〜5℃/秒で一次冷却する。650℃未満または0.1℃/秒未満では、フェライト分率が高くなりすぎ、強度確保が難しいほか、穴拡げ性の劣化も起こる。一方で、750℃超または5℃/秒超ではフェライト分率が少なすぎ、延性の劣化の原因となる。
この温度から450℃以下の温度まで20℃/秒以上の速度で冷却し、350〜450℃の範囲で120秒以上保持する必要がある。これらの条件のいずれかを逸脱すると、ベイナイト変態が十分に進まず、オーステナイト中へのCの濃化が不十分となり、冷却後に十分な量の残留オーステナイトを得ることができなくなる。なお、亜鉛めっき及び合金化処理後に十分な強度を確保するためには焼鈍後に十分な量の残留オーステナイトを確保し、合金化処理の冷却過程で一部の残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させる必要がある。また、焼鈍時に生成したスケールを除去するために焼鈍後に酸洗を行ってもよい。また、焼鈍後に形状矯正及び降伏点伸びの消失のために調質圧延を行ってもよい。伸び率が0.2%未満ではその効果が十分でなく、伸び率が2%を超えると降伏比が大幅に増大するとともに伸びが劣化する。従って、伸び率を0.2〜2%とすることが望ましい。
焼鈍(冷却)した後、鋼板の表面層を厚さ0.1μm以上研削除去し、その後、Niをプレめっきする必要がある。鋼板の表面層を0.1μm以上研削除去した後にNiをプレめっきすることにより、亜鉛めっき後の合金化処理時に、合金化が促進され、合金化処理時の加熱温度を下げることができる。これにより、合金化処理時に残留オーステナイトが分解してセメンタイトが生成することにより穴拡げ性が劣化するのを防ぐことができる。合金化が促進されるメカニズムについては明確ではないが、研削により鋼板表層部に導入される歪の影響により、表面が活性化することが考えられる。鋼板の表面層を研削除去する方法としては、ブラシ研磨、サンドペーパー研磨、機械研磨などの方法を用いればよい。Niプレめっきの方法は電気めっき、浸漬めっき、スプレーめっきのいずれでもよく、めっき量は0.2〜2g/m程度が望ましい。鋼板の表面層を研削除去する量が0.1μm未満である場合やNiプレめっきを行わない場合には、合金化促進効果が得られず、合金化温度を高くせざるを得ないため後術するように穴拡げ性の劣化を防ぐことができない。より合金化促進効果を得るためには鋼板の表面層を研削除去する量を0.5μm以上とすることが望ましい。
Niをプレめっきした後、20℃/秒以上の加熱速度で430〜480℃まで加熱後、亜鉛めっき浴中で亜鉛めっきを行い、さらに必要に応じて、470〜560℃で10〜40秒の合金化処理を行う。加熱速度が20℃/秒未満では、鋼板の表面層を研削除去することにより導入された歪が緩和され合金化促進効果が得られなくなる。加熱温度が430℃未満ではめっき時に不めっきを生じやすく、480℃を超えると鋼板の表面層を研削除去することにより導入された歪が緩和され合金化促進効果が得られなくなる。合金化処理が470℃未満では合金化が不十分であり、560℃を超えると残留オーステナイトが分解してセメンタイトが生成することにより穴拡げ性が劣化する。合金化時間については、合金化温度とのバランスで決まるが、10〜40秒の範囲が適当である。10秒未満では合金化が進みにくく、40秒を超えると残留オーステナイトが分解してセメンタイトが生じることにより穴拡げ性が劣化する。
亜鉛めっき及び合金化処理の後は、最終的な形状矯正及び降伏点伸びの消失のために調質圧延を行うことが望ましい。伸び率が0.2%未満ではその効果が十分でなく、伸び率が1%を超えると降伏比が大幅に増大するとともに伸びが劣化する。従って、伸び率を0.2〜1%とすることが望ましい。
次にめっき層について説明する。
スポット溶接性や塗装性が望まれる場合には、合金化処理によってこれらの特性を高めることができる。具体的には溶融亜鉛めっき浴に浸漬した後、合金化処理を施すことで、めっき層中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。合金化処理後のFe量が7質量%未満ではスポット溶接性が不十分となる。一方、Fe量が15質量%を超えるとめっき層自体の密着性を損ない、加工の際めっき層が破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因となる。したがって、合金化処理を行う場合のめっき層中Fe量の範囲は7%以上、15%以下とする。
また、合金化処理を行わない場合めっき層中のFe量が7質量%未満でも、合金化により得られるスポット溶接を除く効果である耐食性と成形性や穴拡げ性は良好である。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2 以上であることが望ましい。本発明の溶融亜鉛めっき鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
次に、本発明の鋼板のミクロ組織について説明する。
本発明の鋼板のミクロ組織は、延性を十分確保するためにフェライト相を主相とした上で、残組織をベイナイトと以下に定める3種のマルテンサイト[1][2][3]および残留オーステナイトとする。なお、各組織の含有率は体積分率で示す。
フェライトは母材の延性を確保する上で重要な相であり、良好な延性を確保するためにはフェライト相を40%以上含むことが必要である。このフェライトは、先の製造方法で述べたとおり、二相焼鈍もしくは、焼鈍後の一次冷却にて制御を行う。しかし、その分率が高くなってしまうと、強度が低下してしまうため、70%未満とすることが望ましい。このフェライト相は強度を高めるために析出や固溶により強化することも可能である。
3種のマルテンサイト[1][2][3]の分類方法は、硬度とC濃度である。硬度は、マルテンサイト粒内で3点以上ビッカース硬度を測り、その平均ビッカース硬度Hv1〜Hv3を算出する。本発明において、マルテンサイト粒の濃度とはマルテンサイト粒内にセメンタイトが存在した場合、これも合わせた濃度を示す。従って、マルテンサイト粒のC濃度CM1〜CM3は、正確に分解濃度が得られる条件で、精度が保証される測定方法であればどのような測定方法でも構わないが、例えば、FE-SEM付属のEPMAを用いて、0.5μm以下ピッチでC濃度を注意深く測定することによって得ることができる。以上の値を用いて、以下のように分類する。
マルテンサイト[1]:C濃度(CM1)が0.8質量%未満で、硬さHv1が、
Hv1/(-982.1×CM12+1676×CM1+189)≦0.60 …式1
マルテンサイト[2]:C濃度(CM2)が0.8質量%以上で、硬さHv2が、
Hv2/(-982.1×CM22+1676×CM2+189)≦0.60 …式2
マルテンサイト[3]:C濃度(CM3)が0.8質量%以上で、硬さHv3が、
Hv3/(-982.1×CM32+1676×CM3+189)≧0.80 …式3
これらのマルテンサイト[1][2][3]の区別をするために、マルテンサイト中のC量とビッカース硬さの関係式を用いている。式1、2、3の左辺の分母は、C濃度を入れた値がそのC濃度のフレッシュマルテンサイトの硬さを表している。本鋼に含まれているマルテンサイトはその粒内にセメンタイトの析出や、焼戻しによって、フレッシュマルテンサイトの硬さより低くなっている。そこで、分母のフレッシュマルテンサイトであった場合の硬度と、鋼板中のマルテンサイトの硬度との比を取り分類した。
3種のマルテンサイト[1][2][3]とベイナイトは、強度を確保した上で、穴拡げ性を確保するために有効であり、同時に残留オーステナイト相の安定性、分率の制御に有用な役割を担う。引張強度が980MPaを超える高強度鋼板では、これらの組織が有効に作用するため、その和を30%以上とすることが望ましい。更に3種のマルテンサイト[1][2][3]は要求される強度レベル、加工性に応じて、1種または2種以上を含むことが必要である。強度と加工性の両立が望まれる場合、2種類以上含むことが望ましい。
さらに、3種のマルテンサイト[1][2][3]において、マルテンサイト[1]は、C濃度が低くそれほど硬質でないマルテンサイトもしくは焼戻しマルテンサイトである。この組織は、先に定めた製造方法における、焼鈍後の650℃〜750℃から450℃以下までの冷却により生成したもので、後の350〜450℃の過時効処理および亜鉛めっき浴への浸漬中、もしくは、合金化中に焼戻された相である。この組織は冷却条件により相分率を容易に制御でき、適度な強度が保てる上、穴拡げ性の劣化が少ないため有効であるが、この組織が50%を超えると延性を劣化させてしまうので、上限を50%以下とし、高強度材においてこの相の効果を十分に得るためには1%以上あることが望ましい。
マルテンサイト[2]は、C濃度が高いが、焼戻しによって軟化したマルテンサイトである。この組織は、焼鈍後の350〜450℃での保持においてベイナイト変態が進み、C濃化した残留オーステナイトが、冷却時にマルテンサイトとなり、溶融亜鉛めっき浴への浸漬中、もしくは、合金化中に焼戻されたマルテンサイトである。マルテンサイト[1]と比べて、この組織は強度確保に有効であるが、同相の分率を高めるためには残留オーステナイトの安定性を損ね、延性を劣化させてしまうので、上限を30%以下とし、高強度材においてこの相の効果を十分に得るためには1%以上あることが望ましい。
マルテンサイト[3]は、C濃度が高く、焼戻しがないマルテンサイト、もしくは、焼戻し量が少ないマルテンサイトである。この組織は、先に定めた製造方法における、溶融亜鉛めっき浴への浸漬中、もしくは、合金化中に残留オーステナイト中にセメンタイトが析出し、セメンタイトを除いた残留オーステナイト中のC濃度が低くなり、最終冷却にてマルテンサイトとなったもの、または、 350〜450℃の範囲で120秒以上保持した後の冷却時に変態したマルテンサイトが溶融亜鉛めっき浴や合金化処理中に若干焼戻されたものである。この組織は、かなり硬く、強度確保には非常に有利であるが、過剰に存在すると穴拡げ性を劣化させるので、上限を30%以下とし、特に加工性を重視する場合、10%以下が望ましい。高強度材においてこの相の効果を十分に得るためには1%以上あることが望ましい。より好ましくは3%以上である。
残留オーステナイトは、変態誘起塑性によって延性、特に一様伸びを高める組織であり、0.1%以上必要であるが、過剰に存在すると穴拡げ性が劣化するので、上限を8%未満とした。
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。
表1に示す組成の鋼を鋳造し、1100℃以上に再加熱した後、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、冷却後、630℃以下の温度域で巻取りを行った。その後、圧下率40〜70%の範囲で冷間圧延を行い、表2に示す条件で焼鈍を行った。その後、表2に示す条件で、鋼板表面層の研削、Niプレめっきを行い、さらに、表2に示す条件で亜鉛めっき及び合金化処理を行い、調質圧延を0.2%の伸び率で行った。板厚は1.4mmとした。なお、焼鈍工程の急冷後、所定の温度で保持する工程は本発明ではベイナイト変態を促進させるための工程であるが、表2中では通例に則して過時効処理と表記している。表2中の過時効処理温度はこの工程中の平均温度を示す。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の機械的特性、穴拡げ性、めっき外観、合金化度、めっき密着性を評価した。機械的特性は引張試験を、JIS Z 2241に準拠して行って評価した。引張試験の応力−歪曲線より、引張強度(TS)、全伸び(EL)を求めた。穴拡げ性は穴拡げ試験を日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001に準拠して行い、穴拡げ率(λ)を測定して評価した。加工性の指標として、TS×ELとTS×λを求め、TS×ELは18000MPa・%以上、TS×λは36000MPa・%以上を合格とした。めっき外観は目視観察により不めっきの有無を判定した。合金化Fe%とは、めっき層中のFeの質量%を示している。合金化処理を行った合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、7〜15%が合金化がうまく進んだことを示している。合金化処理を行わない溶融亜鉛めっき鋼板では、7%以下でよい。めっき密着性は、25mmカップ絞り試験を行い、テープテストによる黒化度を測定し、黒化度30%未満を合格とした。
表3に引張強度、全伸び、TS×EL、TS×λ、めっき外観(不めっき有無)、合金化Fe%、めっき密着性の評価結果を示す。評価項目については不合格の場合に下線を付けた。No.1〜10及び21〜30は本発明例であり、いずれの特性も合格となり、目標とする特性の鋼板が得られている。一方、成分または製造方法が本発明の範囲外であるのNo.11〜20及び31〜40は、いずれかの特性が不合格となっている。
Figure 2013076138
Figure 2013076138
Figure 2013076138

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.10〜0.40%、
    Si:0.01〜3.0%、
    Mn:1.7〜3.0%、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜2.0%、
    N:0.001〜0.01%、
    を含有し、Si及びAlの含有量が、
    Si+Al>0.5%
    を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを40%以上含有し、次に指定する3種類のマルテンサイト[1][2][3]の1種または2種以上とベイナイトを含有し、
    マルテンサイト[1]:C濃度(CM1)が0.8質量%未満で、硬さHv1が、
    Hv1/(-982.1×CM12+1676×CM1+189)≦0.60
    マルテンサイト[2]:C濃度(CM2)が0.8質量%以上で、硬さHv2が、
    Hv2/(-982.1×CM22+1676×CM2+189)≦0.60
    マルテンサイト[3]:C濃度(CM3)が0.8質量%以上で、硬さHv3が、
    Hv3/(-982.1×CM32+1676×CM3+189)≧0.80
    残留オーステナイトを0.1〜8%未満含有する鋼板の表面に、Feを7質量%未満含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 質量%で、
    C:0.10〜0.40%、
    Si:0.01〜3.0%、
    Mn:1.7〜3.0%、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜2.0%、
    N:0.001〜0.01%、
    を含有し、Si及びAlの含有量が、
    Si+Al>0.5%
    を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを40%以上含有し、次に指定する3種類のマルテンサイト[1][2][3]の1種または2種以上とベイナイトを含有し、
    マルテンサイト[1]:C濃度(CM1)が0.8質量%未満で、硬さHv1が、
    Hv1/(-982.1×CM12+1676×CM1+189)≦0.60
    マルテンサイト[2]:C濃度(CM2)が0.8質量%以上で、硬さHv2が、
    Hv2/(-982.1×CM22+1676×CM2+189)≦0.60
    マルテンサイト[3]:C濃度(CM3)が0.8質量%以上で、硬さHv3が、
    Hv3/(-982.1×CM32+1676×CM3+189)≧0.80
    残留オーステナイトを0.1〜8%未満含有する鋼板の表面に、Feを7〜15質量%を含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 3種類のマルテンサイト[1][2][3]がそれぞれ、体積分率で
    マルテンサイト[1]:1%以上、50%以下、
    マルテンサイト[2]:1%以上、30%以下、
    マルテンサイト[3]:1%以上、30%以下、
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 更に、質量%で、
    Ti:0.005〜0.3%、
    Nb:0.005〜0.3%、
    V :0.01〜0.5%
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 更に、質量%で、
    Cr:3.0%以下、
    Mo:3.0%以下、
    Ni:5.0%以下、
    Cu:3.0%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 更に、質量%で、
    B:0.01%以下
    を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  7. 更に、質量%で、
    Ca:0.01%以下、
    Mg:0.01%以下、
    Zr:0.05%以下、
    REM:0.05%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の鋼板を製造する際、鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、630℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗、圧下率40〜70%の冷延を施し、730〜800℃にて焼鈍し、650〜750℃の温度まで0.1〜5℃/秒で一次冷却し、その温度から450℃以下まで20℃/秒以上で冷却して、350〜450℃の範囲で120秒以上保持し、50℃以下まで冷却した後、鋼板の表面層を0.1μm以上研削除去し、Niをプレめっきし、20℃/秒以上の昇温速度で430〜480℃まで加熱後、溶融亜鉛めっきすることを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の鋼板を製造する際、鋳造スラブを直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、630℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗、圧下率40〜70%の冷延を施し、730〜800℃にて焼鈍し、650〜750℃の温度まで0.1〜5℃/秒で一次冷却し、その温度から450℃以下まで20/秒以上で冷却して、350〜450℃の範囲で120秒以上保持し、冷却した後、鋼板の表面層を0.1μm以上研削除去し、Niをプレめっきし、20℃/秒以上の昇温速度で430〜480℃まで加熱後、溶融亜鉛めっきし、470〜560℃で10〜40秒の合金化処理を行うことを特徴とする引張強度980MPa以上有するめっき密着性と成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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