JP2013075596A - 気圧式倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気圧式倍力装置において、リアクション部材の耐久性を向上させる。
【解決手段】リアクション部材の変形量が抑制されるので、リアクション部材の耐久性を向上させることができる。ブレーキペダルで入力ロッドを操作し、制御バルブで変圧室に大気を導入し、パワーピストンを推進してプライマリピストンを前進させてマスタシリンダでブレーキ液圧を発生させる。液圧による反力の一部をリアクション部材を介して入力ロッドに伝達する。プライマリピストンに液圧を発生しない所定(遊び)のストロークSを設け、反力調整ばねによりプランジャに伝達する反力を制限する。ストロークSの領域で、液圧制御装置でホイールシリンダに液圧を供給して回生協調制御を行ない、反力ばねによる反力を入力ロッドに付与する。これにより、液圧制御装置の作動によるマスタシリンダの液圧変動が入力ロッドに伝達されない。
【選択図】図2

Description

本発明は、気圧式倍力装置に関するものである。
車両のブレーキ装置においては、液圧式ブレーキによる摩擦制動と発電機による回生制動との制動力の配分を制御する回生協調制御が知られている。そして、特許文献1には、マスタシリンダと各車輪の液圧ブレーキ装置との間に、ポンプ、アキュムレータ及び電磁弁等を含むとともに液圧ブレーキ装置へ供給する液圧を増減及び保持する液圧制御装置を配置し、回生制動時に液圧ブレーキ装置へ供給する液圧を液圧制御装置によって調整することで回生協調制御を行うブレーキ制御装置が記載されている。
特開2009−202678号公報
このようなブレーキ制御装置においては、ブレーキペダルの操作フィーリングを確保するために、気圧式倍力装置の入力側(入力ロッド)への反力伝達開始時の出力荷重、所謂、ジャンプインの設定荷重を大きくすることがある。通常、ジャンプインの設定荷重を大きくした場合、それに伴いリアクション部材の変形量が大きくなり、リアクション部材の耐久性が低下する可能性がある。
本発明は、入力側への反力伝達時の出力荷重に対してリアクション部材の変形量を小さくすることが可能な気圧式倍力装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る気圧式倍力装置は、ブレーキペダルの操作によって移動する入力部材と、前記入力部材に対して進退動可能な助力部材と、前記入力部材の移動により前記助力部材を推進して前記入力部材に追従させるアクチュエータと、前記入力部材及び前記助力部材の推力を合成してマスタシリンダのピストンへ伝達し、該ピストンからの反力を前記入力部材と前記助力部材とへ分配する反力分配機構と、を備え、前記反力分配機構は、前記マスタシリンダのピストンへ出力を行う出力部材と、前記出力部材と前記助力部材との間に設けられて弾性体により構成されるリアクション部材と、一端が前記リアクション部材に対向して他端が前記入力部材に連結されたプランジャに対向して配置される反力伝達部材と、前記反力伝達部材を前記リアクション部材に向けて付勢する付勢部材と、を有し、前記入力部材が、初期位置から、前記ブレーキペダルの操作により前記マスタシリンダに液圧が発生した後の所定ストローク位置まで移動する間、前記反力分配機構から反力を受けず、さらなるストロークに対して前記反力分配機構から反力を受けるように構成されることを特徴とする。
本発明によれば、入力側への反力伝達時の出力荷重に対してリアクション部材の変形量を小さくすることが可能となり、リアクション部材の耐久性を向上させることができる。
第1実施形態の気圧式倍力装置を含むブレーキ装置の概念図である。 マスタシリンダを含む第1実施形態の気圧式倍力装置の縦断面図である。 図2における要部拡大図であって、マスタシリンダのピストンが液圧を発生しない遊びのストロークの範囲にある状態を示す図である。 図3に示される状態から、マスタシリンダが液圧を発生し、その液圧の反力が入力ロッドに伝達される状態を示す図である。 マスタシリンダを含む他の実施形態の気圧式倍力装置の縦断面図である。 図1に示される気圧式倍力装置の入出力特性を示すグラフである。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
まず、図1を参照して本実施形態の気圧式倍力装置101を用いた自動車のブレーキ装置200を説明する。ブレーキ装置200は、気圧式アクチュエータを倍力源とするシングル型の気圧式倍力装置101と、該気圧式倍力装置101に取り付けられたマスタシリンダ110の液圧ポート164、165に接続されて、各車輪Wa〜Wdの液圧ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液圧を供給する液圧制御装置5と、液圧制御装置5を制御するコントローラ7と、回生制動を行なう回生ブレーキ装置8と、を含む。
液圧制御装置5は、マスタシリンダ110のプライマリポート164からの液圧を左前輪Wa及び右後輪Wbのブレーキ装置のホイールシリンダBa、Bbに供給するための第1液圧回路5A(図1の液圧制御装置5の中央より右側分部)と、セカンダリポート165からの液圧を右前輪Wc及び左後輪Wdのブレーキ装置のホイールシリンダBc、Bdに供給するための第2液圧回路5B(図1の液圧制御装置5の中央より左側分部)とからなる所謂「X配管」とした2系統の液圧回路を有する。なお、ブレーキ装置は、ディスクブレーキの他、ドラムブレーキ等の他の液圧式ブレーキとすることができる。
第1液圧回路5Aと第2液圧回路5Bとは同様の構成であり、また、各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdに接続された液圧回路の構成は同様の構成であり、以下の説明において参照符号の添え字A及B並びにa乃至dは、それぞれ、第1液圧回路5A及び第2液圧回路5B、並びに、各車輪Wa乃至Wdに対応する。
液圧制御装置5には、マスタシリンダ110から各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である供給弁35A、35Bと、ブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdへの液圧の供給を制御する電磁開閉弁である増圧弁36a〜36dと、ブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdから液圧を解放するためのシステムリザーバ37A、37Bと、ブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdからシステムリザーバ37A、37Bへの液圧の解放を制御する電磁弁開閉弁である減圧弁38a〜38dと、ブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給するためポンプ39A、39Bと、ポンプ39A、39Bを駆動するポンプモータ40と、マスタシリンダ110からポンプ39A、39Bの吸込み側への液圧の供給を制御する電磁開閉弁である加圧弁41A、41Bと、ポンプ39A、39Bの下流側から上流側への逆流を防止するための逆止弁42A、42B、43A、43B、44A、44Bと、マスタシリンダ110のプライマリポート164及びセカンダリポート165の液圧を検出する液圧センサ45A、45Bと、を有している。
そして、コントローラ7によって供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41B及びポンプモータ40の作動を制御して、次のような作動モードを実行することができる。
[通常制動モード]
通常制動時には、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41Bを閉じることにより、マスタシリンダ110から各車輪Wa〜WdのホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給する。
[減圧モード]
減圧弁38a〜38dを開き、供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d及び加圧弁41A、41Bを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧をリザーバ37A、37Bに解放して減圧する。
[保持モード]
増圧弁36a〜36d及び減圧弁38a〜38dを閉じることにより、ホイールシリンダBa〜Bdの液圧を保持する。
[増圧モード]
増圧弁36a〜36dを開き、供給弁35A、35B、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを閉じて、ポンプモータ40を作動することにより、ブレーキ液をリザーバ37A、37Bからマスタシリンダ110側へ戻してホイールシリンダBa〜Bdの液圧を増圧する。
[加圧モード]
加圧弁41A、41B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d及び供給弁35A、35Bを閉じて、ポンプモータ40を作動することにより、マスタシリンダ110の液圧にかかわらず、ポンプ39A、39Bによってブレーキ液をホイールシリンダBa〜Bdに供給する。
これらの作動モードを車両状態に応じて適宜実行することにより、各種ブレーキ制御を行なうことができる。例えば、制動時に接地荷重等に応じて各車輪に適切に制動力を配分する制動力配分制御、制動時に各車輪の制動力を自動的に調整して車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御、走行中の車輪の横滑りを検知して、ブレーキペダル19の操作量にかかわらず各車輪に適宜自動的に制動力を付与することにより、アンダーステア及びオーバーステアを抑制して車両の挙動を安定させる車両安定性制御、坂道(特に上り坂)において制動状態を保持して発進を補助する坂道発進補助制御、発進時等において車輪の空転を防止するトラクション制御、先行車両に対して一定の車間を保持する車両追従制御、走行車線を保持する車線逸脱回避制御、障害物との衝突を回避する障害物回避制御等を実行することができる。
なお、ポンプ39A、39Bとしては、例えばプランジャポンプ、トロコイドポンプ、ギヤポンプ等の公知の液圧ポンプを用いることができるが、車載性、静粛性、ポンプ効率等を考慮するとギヤポンプとすることが望ましい。ポンプモータ40としては、例えばDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等の公知のモータを用いることができるが、車載性等の観点からDCモータが望ましい。
また、液圧制御装置5の電磁開閉弁の特性は、使用態様に応じて適宜設定することができる。例えば、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを常開弁とし、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを常閉弁とすることにより、コントローラ7からの制御信号がない場合に、マスタシリンダ110らブレーキ装置のホイールシリンダBa〜Bdに液圧を供給することができる。このため、フェイルセーフ及び制御効率の観点から、上記のような構成とすることが望ましい。
回生ブレーキ装置8は、減速時及び制動時等に少なくとも1つの車輪の回転によって発電機(電動モータ)を駆動することにより、運動エネルギーを電力として回収する。回生ブレーキ装置8とコントローラ7とは、相互に制御信号の授受を行なう。コントローラ7は、運転者によるブレーキペダル19の操作によるストロークセンサ20からの信号に基づき、回生制動中には回生ブレーキ装置8から指示される回生制動分を減じた減速度に相当するブレーキ液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給することにより、所望の制動力を得る回生協調制御を実行する。
次に、本実施形態に係る気圧式倍力装置101を説明する。図2に示されるように、気圧式倍力装置101は、薄板によって形成されたフロントシェル102とリアシェル103とが結合されて構成されるハウジング104を備え、ハウジング104内は、ダイアフラム105を有するパワーピストン106によって定圧室107と変圧室108との2室に区画されている。フロントシェル102及びリアシェル103は、略有底円筒形であり、これらは、フロントシェル102の外周の開口縁部に、リアシェル103の外周の開口縁部を嵌合し、これらの間にダイアフラム105の外周部を挟み込むことによって気密に結合されている。
フロントシェル102の底部の中央開口109にはマスタシリンダ110の後端部が挿入され、フロントシェル102にはマスタシリンダ110が取付けられている。リアシェル103の底部の中央部には、後述するバルブボディ111(助力部材)を挿通させるための後部円筒部112が突出されている。後部円筒部112の周囲には、車体のダッシュパネル(図示せず)に当接するリア座面113が形成されている。
ハウジング104には、フロントシェル102からリアシェル103のリア座面113に貫通するタイロッド114が設けられている。タイロッド114は、両端部に取付ネジ部115及び固定ネジ部116が形成され、取付ネジ部115及び固定ネジ部116の基部に、それぞれ拡径されたフロントフランジ117及びリアフランジ118が形成されている。そして、フロントフランジ117がフロントシェル102の内側にリテーナ119及びシール120を介して気密に当接し、リアフランジ118がリア座面113の内側に気密に当接した状態で、リアシェル103側にカシメによって固定されている。タイロッド114の中央部は、パワーピストン106に設けられた開口121及びダイアフラム105と一体に形成された略円筒形のロッドシール122に挿入されて、パワーピストン106及びダイアフラム105に対して摺動可能かつ気密に貫通する。
タイロッド114は、フロントシェル102及びリアシェル103の直径方向2箇所に配置されており(一方のみ図示する)、取付ネジ部115によってフロントシェル102にマスタシリンダ110を固定し、固定ネジ部116によってリア座面113を上述の車体のダッシュパネル(図示せず)に固定する。また、リア座面113には、これをダッシュパネルに固定するためのリアボルト(図示せず)がカシメによって固定されている。
パワーピストン106及びダイアフラム105の中央開口部105A、106Aには、略円筒形のバルブボディ111の前端を拡径させて形成した円筒部111Aが挿入されている。バルブボディ111は、略円筒形に形成されて前端の円筒部111Aに対して同軸且つ一体で形成されるボス部111Eを有する。そして、ダイアフラム105の中央開口部105Aの内周縁部105Bはバルブボディ111の外周溝111Bに嵌合されて、これらが気密に結合されている。バルブボディ111の後端側の小径筒部111Cは、変圧室108を通過して、リアシェル103の後部の円筒部112に挿入されて外部へ延びている。円筒部112には、シール部材124が装着されて、バルブボディ111の小径筒部111Cとの間が摺動可能にシールされている。円筒部112とバルブボディ111の小径筒部111Cとの間には、蛇腹状のダストカバー125が設けられている。フロントシェル102には接続管126が取付けられており、接続管126がエンジンの吸気管等の負圧源(図示せず)に接続されることで定圧室107は常時所定の負圧に維持される。
バルブボディ111の前端の円筒部111Aには、反力調整機構150が設けられる。バルブボディ111は、その推力を、反力調整機構150を介して、出力ロッド128(出力部材)へ伝達する。出力ロッド128は、先端部128Aがプライマリピストン160に当接し、基端部128Bがカップ状に形成されて円板形のリアクション部材155(反力分配機構)が収容される。そして、出力ロッド128は、リアクション部材155を介して、反力調整機構150から力の伝達を受けるとともにマスタシリンダ110からの反力を伝達するように構成されている。
図3に示されるように、反力調整機構150は、バルブボディ111の円筒部111Aに嵌合されて固定されるばね受部材151と、前端部がバルブボディ111のボス部111Eに嵌合されて固定される反力受部材152と、反力受部材152(ケーシング)内に軸方向へ移動可能に収容された軸形状の反力伝達部材153(反力調整手段)と、を含む。反力受部材152は、略円筒形に形成されて前端部端面がリアクション部材155に当接される。反力伝達部材153は、前端部が反力受部材152の内部に形成される内孔152Aに摺動可能に嵌合される。また、反力伝達部材153は、前端部に対して小径の軸部を有しており、小径の軸部には、環形状に形成されて前端部との間の段形状よって軸方向(前方)への移動が規制されるばね受部154と、カシメによって反力受部材152の後端部に固定されて小径の軸部を案内する案内部156と、が摺動可能に嵌合される。そして、反力伝達部材153は、ばね受部154と案内部156との間に介装された反力調整ばね157としての圧縮コイルばねによってリアクション部材155側へ付勢される。
バルブボディ111の後端の小径筒部111C内には、プランジャ131が挿入されている。プランジャ131は、バルブボディ111の円筒部111Aと小径筒部111Cとの間の拡径部によって軸方向へ摺動可能且つ気密に案内されており、前端の凸部が、反力伝達部材153との間にジャンプインクリアランスとなる隙間Cを持って対向されている。プランジャ131には、バルブボディ111の後端開口から挿入された入力ロッド133(入力部材)の先端部が連結される。入力ロッド133の基端部は、バルブボディ111の後端部に装着された通気性を有するダストシール134を貫通させて外部へ延びている。また、入力ロッド133の基端部には、ブレーキペダル19(図2参照)に連結させるためのクレビス135が取付けられる。また、バルブボディ111の小径筒部111Cには、プランジャ131によって開閉弁が制御される制御バルブ132が挿入されている。制御バルブ132は、一端が入力ロッド133に係止された弁ばね141によって閉弁方向に付勢される。
バルブボディ111の側壁111Dには、バルブボディ111の軸方向に延びて定圧室107に連通する定圧通路136及びバルブボディ111の径方向に延びて変圧室108に連通する変圧通路137が設けられている。制御バルブ132は、バルブボディ111とプランジャ131との相対変位に応じて、変圧通路137に対する定圧通路136と大気(ダストシール134側)との接続/遮断を切り換えるように構成されている。ブレーキペダル19が操作されていない非操作状態では、変圧通路137(変圧室108)に対して、定圧通路136(定圧室107)及び大気(ダストシール134側)を遮断している。
そして、ブレーキペダル19が操作されて、バルブボディ111に対してプランジャ131が前進すると、定圧通路136を、変圧通路137に対して遮断したままの状態で大気(ダストシール134側)に接続する。この時、変圧通路137は、ダストシール134を介して大気に開放されるように構成されている。バルブボディ111の側壁111Dを径方向に延びる変圧通路137には、ストップキー138が挿入される。ストップキー138は、リアシェル103の円筒部112の段部に係合することで、バルブボディ111の後退位置を制限する。また、ストップキー138は、プランジャ131の外周溝に移動可能に係合させることで、バルブボディ111とプランジャ131との相対変位量を制限する。
バルブボディ111の後端の小径筒部111Cには、入力ロッド133を後退位置へ付勢する戻しばね140が収容されている。また、入力ロッド133が貫通して入力ロッド133をクレビス135に固定するナット142によって軸方向(後方)への移動が規制されるばね受143と、リアシェル103のリア座面113との間には、入力ロッド133を後退位置へ付勢する反力ばね159(反力付与手段)が設けられる。
マスタシリンダ110には、開口側に、先端部がカップ状に形成された円筒形のプライマリピストン160が嵌装され、底部側にカップ状のセカンダリピストン161が嵌装されている。プライマリピストン160の後端部は、マスタシリンダ110の開口部から突出して、低圧室107内において出力ロッド128の先端部に当接している。マスタシリンダ110内は、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161によってプライマリ室162及びセカンダリ室163の2つの圧力室が形成されている。プライマリ室162及びセカンダリ室163には、液圧ポート164、165(図1参照)がそれぞれ設けられている。液圧ポート164、165は、2系統の液圧回路からなる液圧制御装置5を介して各車輪Wa〜Wdの液圧ブレーキのホイールシリンダBa〜Bdに接続されている(図1参照)。
マスタシリンダ110の側壁の上部には、プライマリ室162及びセカンダリ室163をリザーバ10に接続するためのリザーバポート166、167が設けられる。マスタシリンダ110のシリンダボアと、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161との間は、それぞれ2つのシール部材168A、168B及び169A、169Bによってシールされる。シール部材168A、168Bは、軸方向へリザーバポート166を挟むように配置される。そして、プライマリピストン160が非制動位置(図2参照)に位置する場合、プライマリ室162がプライマリピストン160の側壁に設けられたポート170を介してリザーバポート166に連通する。
そして、プライマリピストン160が非制動位置から所定(遊び)のストロークSだけ前進すると、シール部材168Bによってポート170が閉じてプライマリ室162がリザーバポート166から遮断され、プライマリ室162が加圧される。同様に、シール部材169A、169Bは、軸方向へリザーバポート167を挟むように配置される。そして、セカンダリピストン161が非制動位置に位置する場合、セカンダリ室163がセカンダリピストン161の側壁に設けられたポート171を介してリザーバポート167に連通する。そして、セカンダリピストン161が非制動位置から所定(遊び)のストロークSだけ前進すると、シール部材169Bによってポート171が閉じてセカンダリ室163がリザーバポート167から遮断され、セカンダリ室163が加圧される。
プライマリ室162内のプライマリピストン160とセカンダリピストン161との間には、ばねアセンブリ172が介装される。また、セカンダリ室163内のマスタシリンダ110の底部とセカンダリピストン161との間には、戻しばね173としての圧縮コイルばねが介装される。ばねアセンブリ172は、圧縮コイルばねを伸縮可能なリテーナによって所定の圧縮状態で保持し、そのばね力に抗して圧縮可能としたものである。そして、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161は、通常は同時に移動してプライマリ室162及びセカンダリ室163を同時に加圧する。
次に、本実施形態の作用を説明する。なお、図6は、入力ロッド133への入力F(ブレーキペダル19への踏力)と、マスタシリンダ110の液圧P(及び制動力)、入力ロッド133のストロークLとの関係を示す。
図2に示す非制動状態(ブレーキペダル19の非操作状態)においては、プランジャ131が非制動位置(図2参照)に位置し、定圧室107と変圧室108とが同圧であるため、パワーピストン106に推力は生じない。この状態で、定圧通路136(定圧室107)と変圧通路137(変圧室108)とは、制御バルブ132によって遮断される。
ブレーキペダル19の踏み込みが開始され(図6における入力F1)、戻しばね140と反力ばね159とのばね力に抗して、入力ロッド133によってプランジャ131を前進させると、制御バルブ132からプランジャ131が離間し、変圧通路137が大気に開放されて、変圧室108に大気が導入される。これにより、定圧室107と変圧室108との間に差圧が生じ、この差圧によってパワーピストン106に推力が発生する。その結果、バルブボディ111が前進してリアクション部材155を介して出力ロッド128を前進させ、マスタシリンダ110のプライマリピストン160を押圧する。バルブボディ111の前進により、制御バルブ132によって変圧通路137が大気から遮断されて、定圧室107と変圧室108との差圧、すなわち、パワーピストン106の推力が維持されるので、バルブボディ111は、プランジャ131の移動に追従して移動する。この時、プライマリピストン160のストロークがストロークSに達するまでは、マスタシリンダ110で液圧が発生せず、液圧による反力が発生しないので、ブレーキペダル19には、反力ばね159(反力付与手段)のばね力による反力だけが作用する。
ブレーキペダル19がさらに踏み込まれて、プライマリピストン160のストロークがストロークSに達すると、シール部材168B、169Bによってポート170、171が閉じてマスタシリンダ110で液圧が発生し(図6における入力F2)、その反力がリアクション部材155及び反力受部材152を介してバルブボディ111に作用する。この時、反力の一部がリアクション部材155を介して反力伝達部材153にも作用するが、反力伝達部材153に作用する反力が反力調整ばね157のばね力に達するまでは、反力伝達部材153は移動せず、プランジャ131との間に隙間Cが設けられているため、プランジャ131には、マスタシリンダ110の液圧による反力は作用せず、引続き、反力ばね159のばね力による反力のみが作用する。これにより、マスタシリンダ110の液圧に左右されない良好なブレーキペダル19の操作フィーリングを維持することができる。
ブレーキペダル19がさらに踏み込まれ、バルブボディ111の前進により、マスタシリンダ110の液圧が上昇し、液圧による反力が増大して、リアクション部材155から反力伝達部材153に伝達される反力が反力調整ばね157のばね力を超えると、図4に示されるように、反力伝達部材153が後退してプランジャ131に当接する(図6における入力F3)。これにより、マスタシリンダ110の液圧による反力の一部がプランジャ131に伝達される。その結果、伝達される力は小さくなるが、マスタシリンダ110の液圧上昇に伴う反力がブレーキペダル19に伝達され、反力ばね159による反力だけでは得ることができない剛性感のあるブレーキフィーリングを付与することができる。また、このとき、弾性体で形成されるリアクション部材155は、リアクション部材155から反力伝達部材153に反力を伝達するために、変形して反力受部材152の内孔152Aに膨出してくる。しかし、このリアクション部材155の膨出は、反力調整ばね157のばね力により抑えられ、その変形量が小さいものとなる。
ここで、本実施形態の気圧式倍力装置101と、反力伝達部材153を持たない従前の気圧式倍力装置とを比較すると、反力伝達部材153を持たない従前の気圧式倍力装置では、リアクション部材の膨出は、ブレーキペダルの操作が一定で維持されている、いわゆるバランス状態時に、ジャンプインクリアランス相当の長さの変形量まで達することになり、隙間Cで規定されるジャンプインクリアランスが大きい場合には、リアクション部材の変形量も図4の点線Dで示す程度まで大きくなる。これに対し、本実施形態の気圧式倍力装置101では、リアクション部材の膨出は、反力調整ばね157のばね力により抑えられるので、隙間Cで規定されるジャンプインクリアランスの長さよりも変形量は小さいものとなる。したがって、ジャンプインクリアランスを同一に設定する場合、本実施形態の気圧式倍力装置101は、リアクション部材155の変形量を、反力伝達部材153を持たない従前の気圧式倍力装置よりも小さくすることが可能であり、その結果、リアクション部材155の耐久性を向上させることができる。
その後、ブレーキペダル19がさらに踏み込まれて全負荷点に達すると(図6における入力F4)、倍力比はさらに小さくなる。そして、ブレーキペダル19を戻して入力ロッド133への入力を解除すると、プランジャ131が後退し、制御バルブ132によって、変圧通路137が大気から遮断された状態で定圧通路136に接続される。これにより、定圧室107と変圧室108との差圧が解消され、パワーピストン106の推力が消失して、パワーピストン106は、プランジャ131の移動に追従して後退して非制動状態(図2参照)に戻る。
次に、コントローラ7によるブレーキ装置200の制御を説明する。
ブレーキペダル19の踏み込みが開始され、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161のストロークが所定(遊び)のストロークSに達するまでは、ストロークセンサ20によって検出した入力ロッド133のストローク、すなわち、ブレーキペダル19のストロークに基づき、液圧制御装置5を作動させてホイールシリンダBa〜Bdにブレーキ液を供給し、ブレーキペダル19の操作量に応じた制動力を発生させる。この時、反力ばね159のばね力により、ブレーキペダル19には、その操作量に応じた反力が作用する。
通常、この制動領域(図6における入力F1〜F3の領域)においては、F1から少しの遊びを経て、回生ブレーキ装置8による回生制動が行なわれ、コントローラ7により回生協調制御が実行される。回生協調制御中は、ストロークセンサ20により検出された入力ロッド133のストロークに基いて目標制動力が決定され、この目標制動力に対応した回生制動が行われる。また、回生制動で足りない分の制動力は、回生制動を減じたブレーキ液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給することで、所望の制動力を得る。
この時、入力ロッド133のストロークが所定(遊び)ストロークS(図6における入力F2)に達するまでは、マスタシリンダ110で液圧が発生しないので、回生制動を最大限に活用することができ、効率よくエネルギーを回収することができる。また、液圧制御装置5による回生協調作動により、マスタシリンダ110の液圧が変動した場合でも、マスタシリンダ110のプライマリ室162及びセカンダリ室163がリザーバ10に連通しているので、マスタシリンダ110の液圧は上昇しない。このため、ブレーキペダル19に液圧の反力によるキックバックが生じることがなく、ブレーキペダル19の違和感のない操作フィーリングを得ることができる。ここで、遊びのストロークSの領域において、回生制動装置8が最大回生状態に達するようにすることにより、回生制動を最大限に活用することが可能になり、効率よくエネルギーを回収することができる。また、ストロークSの領域において、回生制動装置8が回生制動しないような場合、液圧制御装置5が入力ロッド133のストロークに応じた液圧を発生するので、ブレーキペダル19の操作に対して運転者が感じる減速感に違和感を憶えることを防止できる。
ここで、最大回生状態とは、車両の設計段階で設定される回生ブレーキの最大の制動力(力または加速度で示されることが多い)をいう。なお、図6における入力F1〜F3の領域において、最大回生状態になること望ましいが、車速、バッテリーの充電状況、路面ミュー等に応じて、回生制動量は調整されるので、走行状態によって、同じ入力ロッド133の入力であっても、回生制動量は異なる。さらには、回生制動が中止されることもある。
ブレーキペダル19がさらに踏み込まれて、プライマリピストン160のストロークが所定(遊び)のストロークSに達すると(図6における入力F2)、プライマリピストン160及びセカンダリピストン161のそれぞれのポート170、171が閉じてマスタシリンダ110で液圧が発生し、液圧による反力がリアクション部材155を介して反力受部材152及び反力伝達部材153に作用する。この時、反力伝達部材153に作用する反力が反力調整ばね157のばね力に達するまでは、反力伝達部材153は移動せず、プランジャ131との間に隙間Cが設けられているので、プランジャ131には、マスタシリンダ110の液圧による反力は作用せず、引続き、反力ばね159と戻しばね140とのばね力による反力のみが作用する。これにより、マスタシリンダ110の液圧に左右されない良好なブレーキペダル19の操作フィーリングを維持することができる。
このようにして、図6における斜線部Rで示す領域について、マスタシリンダ液圧は発生しないものの、回生ブレーキ装置8又は液圧制御装置5によって制動力を発生させることにより、ブレーキペダル19の操作量に応じた斜線部Rのマスタシリンダ液圧が発生した時に相当する所望の制動力(図6における一点鎖線)を得ることができる。
ブレーキペダル19がさらに踏み込まれ、バルブボディ111の前進により、マスタシリンダ110の液圧が上昇し、液圧による反力が増大して、リアクション部材155から反力伝達部材153に作用する反力が反力調整ばね157のばね力を超えると、図4に示されるように、反力伝達部材153が後退して、プランジャ131に当接する(図6における入力F3。これにより、マスタシリンダ110の液圧による反力の一部がプランジャ131に作用する。
この時、回生ブレーキ装置8は、回生制動を終了し、また、コントローラにより、液圧制御装置5は通常制動モードに移行し、マスタシリンダ110の液圧をホイールシリンダBa〜Bdに供給する。これにより、気圧式倍力装置101により負圧による倍力が行なわれ、全負荷点に達する(図6における入力F4参照)。その結果、負圧による倍力により、違和感のないブレーキペダル19の操作フィーリングを得ることができる。また、液圧制御装置5の第1又は第2液圧回路5A、5Bの一方の液圧系統が失陥した場合、他方の液圧系統によって液圧を発生させることができ、制動機能を維持することができる。
本実施形態によれば、反力調整ばね157によりリアクション部材155の変形量が抑制されるので、リアクション部材155の耐久性を向上させることができる。
また、反力伝達部材と反力調整ばね(付勢手段)とを、リアクション部材に当接する反力受部材(ケーシング)内に組立体として構成して助力部材の内側のボス部内に配置したので、組立工程を合理化することができる。
さらに、回生協調時にブレーキペダルの反力の変動を軽減してブレーキペダルの操作フィーリングを改善することができる。
本実施形態では、図2に示されるように、リアシェル103のリア座面113と、入力ロッド133が貫通して入力ロッド133をクレビス135に固定するナット142によって軸方向への移動が規制されるばね受143との間に、反力ばね159としての圧縮コイルばねを設けて気圧式倍力装置101を構成した。この他に、図5に示されるように、ダッシュパネル18とブレーキペダル19との間に反力ばね159’としての引張りコイルばねを設けて気圧式倍力装置101Aを構成することができる。反力ばね159,159’は、必ずしも設ける必要はない。また、反力ばね(反力付与手段)は、上述した反力ばね159,159’のように、ハウジング104の外部に設けなければならないものではなく、反力ばね159,159’の代わりに戻しばね140のばね力を調整して用いるようにしてもよい。反力ばね(反力付与手段)は、本実施形態においては、ブレーキペダルの操作ストローク全域で反力を付与するようになっているが、少なくとも、入力ロッドが、初期位置から、前記ブレーキペダルの操作により前記マスタシリンダに液圧が発生した後の所定ストローク位置まで移動する間に、前記入力ロッドに反力を付与するものであれば、ブレーキペダルの操作ストロークの途中で反力付与を解除できるような機構を設けてもよい。さらに、反力ばね(反力付与手段)は、上述した反力ばね159のように金属製のコイルばねに限らず、巻きばねやトーションばね、あるいは、空気ばねやゴム等の弾性体等の反力付与部材を用いることができる。
19 ブレーキペダル、101 気圧式倍力装置(アクチュエータ)、110 マスタシリンダ、111 バルブボディ(助力部材)、128 出力ロッド(出力部材)、133 入力ロッド(入力部材)、150 反力分配機構、152 反力受部材(ケーシング)、153 反力伝達部材、155 リアクション部材(反力分配機構)、157 反力調整ばね(付勢部材)、159 反力ばね(反力付与手段)、160 プライマリピストン(ピストン)

Claims (3)

  1. ブレーキペダルの操作によって移動する入力ロッドと、
    前記入力ロッドに対して進退動可能な助力部材と、
    前記入力ロッドの移動により前記助力部材を推進して前記入力ロッドに追従させるアクチュエータと、
    前記入力ロッド及び前記助力部材の推力を合成してマスタシリンダのピストンへ伝達し、該ピストンからの反力を前記入力ロッドと前記助力部材とへ分配する反力分配機構と、を備え、
    前記反力分配機構は、
    前記マスタシリンダのピストンへ出力を行う出力部材と、
    前記出力部材と前記助力部材との間に設けられて弾性体により構成されるリアクション部材と、
    一端が前記リアクション部材に対向して他端が前記入力ロッドに連結されたプランジャに対向して配置される反力伝達部材と、
    前記反力伝達部材を前記リアクション部材に向けて付勢する付勢部材と、を有し、
    前記入力ロッドが、初期位置から、前記ブレーキペダルの操作により前記マスタシリンダに液圧が発生した後の所定ストローク位置まで移動する間、前記反力分配機構から反力を受けず、さらなるストロークに対して前記反力分配機構から反力を受けるように構成されることを特徴とする気圧式倍力装置。
  2. 前記入力ロッドの推進に対して反力を付与する反力付与手段を備え、該反力付与手段は、少なくとも前記入力ロッドが、初期位置から、前記ブレーキペダルの操作により前記マスタシリンダに液圧が発生した後の所定ストローク位置まで移動する間に、前記入力ロッドに反力を付与することを特徴とする請求項1に記載の気圧式倍力装置。
  3. 前記反力伝達部材と前記付勢手段とは、前記リアクション部材に当接するケーシング内に組立体として構成されて、筒形状の前記助力部材の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の気圧式倍力装置。
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