JP2013074193A - 金属層を有する積層体およびその製造方法 - Google Patents

金属層を有する積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿環境下に曝されても基板に対する密着性に優れる金属層を有する積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板10と所定の官能基を有するトリアジン化合物とを接触させ、基板上にトリアジン化合物層12を形成するトリアジン化合物層形成工程と、トリアジン化合物層12に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、めっき触媒またはその前駆体が付与されたトリアジン化合物層12に対してめっき処理を行い、トリアジン化合物層上に金属層14を形成するめっき工程とを備える、金属層を有する積層体16の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属層を有する積層体およびその製造方法に関する。
従来、プリント配線基板などを製造する際には、まず、ガラスエポキシ基板などの基板と銅箔とを合わせて大型のプレス機でプレス加熱して接着させ、銅箔貼合せ基板を製造していた。その際に、基板と銅箔との接着強度を高めるため、銅箔の接着面を粗化する必要があった。
しかし、粗化した銅箔は周波数の高い電気信号を減衰させる欠点があることから、銅箔表面を粗化することなく、基板との高い密着性を実現することが求められていた。
このような状況下、特許文献1に示すような、チオール反応性アルコキシシラン化合物を使用する技術が提案されている。より具体的には、樹脂基板表面上に該チオール反応性アルコキシシラン化合物の単分子層を形成し、その単分子層上に金属層を設けている。
特開2007−17921号公報
一方、近年、電子機器の小型化、高機能化の要求に対応するため、プリント配線基板などの微細配線のより一層の高集積化が進んでいる。それに伴って、配線(金属パターン)の基板に対する密着性のより一層の向上が要求されており、特に、高温高湿環境下などの厳しい環境下においても所定の密着性を示すことが要求されている。
本発明者らは、特許文献1の実施例において具体的に開示されているチオール反応性アルコキシシラン化合物を使用して金属層を製造し、高温高湿環境下に放置後に該金属層の密着性について検討を行ったところ、金属層の密着性は必ずしも昨今要求されるレベルには達していないことが明らかになった。
本発明は、上記実情に鑑みて、高温高湿環境下に曝されても基板に対する密着性に優れる金属層を有する積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、トリアジン構造に所定の官能基を導入すると共に、該官能基とトリアジン環との間に所定の連結基を挿入することにより、所望の効果が得られることを見出した。
即ち、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
(1) 基板と後述する一般式(1)で表されるトリアジン化合物とを接触させ、前記基板上にトリアジン化合物層を形成するトリアジン化合物層形成工程と、
前記トリアジン化合物層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体が付与されたトリアジン化合物層に対してめっき処理を行い、前記トリアジン化合物層上に金属層を形成するめっき工程とを備える、金属層を有する積層体の製造方法。
(2) 一般式(1)中、A〜Cがそれぞれ異なる官能基を表す、(1)に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(3) 前記基板表面と反応する官能基が、エポキシ基、フェノール基、水酸基、第1級アミノ基、または第2級アミノ基である、(1)または(2)に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法より製造される積層体を含むプリント配線基板。
(5) 基板上に、前記基板と反応する官能基を介して前記基板と結合した後述する一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含有するトリアジン化合物層と、金属層とをこの順で有する積層体。
(6) 基板と金属層との間に配置され、前記基板と前記金属層との密着性を高めるトリアジン化合物層を形成するためのトリアジン化合物層形成用組成物であって、
後述する一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含有する、トリアジン化合物層形成用組成物。
本発明によれば、高温高湿環境下に曝されても基板に対する密着性に優れる金属層を有する積層体およびその製造方法を提供することができる。
(A)〜(C)は、それぞれ本発明の積層体およびパターン状金属層を有する積層体の製造方法における各製造工程を順に示す基板から積層体までの模式的断面図である。
以下に、本実施形態の金属層を有する積層体の製造方法について説明する。
本実施形態の特徴点の一つとしては、基板表面と反応する官能基(以後、反応性基とも称する)、および、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、適宜相互作用性基とも称する)を所定の連結基を介してトリアジン環に結合させた化合物を使用する点が挙げられる。特に、所定の連結基を有することにより、反応性基および相互作用性基の運動性が向上し、基板と金属層との間に該化合物が所望の配置をとることができ、両者の間の密着性が向上したと推測される。また、該化合物は、合成上、種々の官能基を導入しやすく、異なる官能基を有する表面修飾剤を容易に合成することができる。
本実施形態の金属層を有する積層体の製造方法は、基板上にトリアジン化合物層を設けるトリアジン化合物層形成工程と、トリアジン化合物層にめっき触媒または前駆体を付与する触媒付与工程と、めっき処理を行うめっき工程とを備える。
以下に、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。まず、トリアジン化合物層形成工程に関して詳述する。
[トリアジン化合物層形成工程]
トリアジン化合物層形成工程は、基板と後述する一般式(1)で表されるトリアジン化合物(以後、単にトリアジン化合物とも称する)とを接触させ、基板上に結合した該トリアジン化合物を含むトリアジン化合物層を形成する工程である。該工程を実施することにより、トリアジン化合物が基板と反応する官能基を介して基板表面上に結合し、結果として後述する金属層の密着性がより向上する。
より具体的には、図1(A)に示すように、該工程においては基板10上にトリアジン化合物層12が形成される。
まず、本工程で使用される材料(基板、トリアジン化合物など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
(基板)
基板は、後述する各層を支持するための部材であり、従来知られているいずれの基板(例えば、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、金属基板など。好ましくは、絶縁性基板。)も使用することができる。
例えば、樹脂基板を構成する材料としては、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
なかでも、トリアジン化合物との反応性により優れる点より、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などによって構成される樹脂基板が好ましく、エポキシ樹脂が最も好ましい。なお、これらの樹脂はアルカリ等で処理して表面を活性化すると更に好ましい。
また、基板には、必要に応じて、ガラス織布(ガラスクロス)、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布などのフィラーが含まれていてもよい。
なお、基板は2層以上の積層構造であってもよい。例えば、金属基板と樹脂基板とが積層した構造であってもよい。
また、基板は、支持板と支持板上に配置された絶縁層とを備える積層構造であってもよい。支持板としては、上述した各種基板(例えば、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、金属基板など)を使用できる。
絶縁層を構成する材料は特に制限されず、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの公知の絶縁性樹脂が挙げられる。
より具体的には、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
なお、トリアジン化合物との反応性により優れる点より、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。なお、これらの樹脂はアルカリ等で処理して表面を活性化させると、トリアジン化合物との反応性がより優れ、更に好ましい。
絶縁層の厚みは、積層体の使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性担保の点から、10〜150μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。
(一般式(1)で表されるトリアジン化合物)
本工程で使用されるトリアジン化合物は、一般式(1)で表される。
一般式(1)中、A,BおよびCは、それぞれ独立に、基板と反応する官能基(反応性基)、または、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)を表す。
反応性基の種類は特に制限されず、基板を構成する材料に応じて適宜最適な官能基が選択される。例えば、水酸基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、スチリル基、ビニル基、メルカプト基、イソシアネート基、フェノール基、またはカルボキシル基などが挙げられ、反応性がより優れる点で、エポキシ基、フェノール基、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基が好ましく挙げられる。なお、基板が上述した支持板と絶縁層との積層構造の場合、反応性基は絶縁層と反応する。
例えば、基板を構成する材料(または、絶縁層を構成する材料)がエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの場合、基板との反応性がより優れる点で、水酸基、フェノール基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基が好ましく挙げられる。
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基であり、めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、あるいは、めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としては、例えば、非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)なども挙げられる。
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、エーテル基またはシアノ基がさらに好ましい。
なお、上記エーテル基としては、以下の式(X)で表されるポリオキシアルキレン基が好ましい。
式(X) *−(L1O)n−R5
式(X)中、L1はアルキレン基を表し、R5はアルキル基を表す。nは1〜30の数を表す。*は結合位置を表す。
アルキレン基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基が好ましく挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基が好ましく挙げられる。
nは1〜30の数を表し、好ましくは3〜23である。なお、nは平均値を表し、該数値は公知の方法(NMR)などによって測定できる。
A〜Cのうち少なくとも1つは反応性基を表し、A〜Cのうち少なくとも1つは相互作用性基を表す。例えば、A〜Cのうち2つが反応性基を表し、1つが相互作用性基を表してもよい。また、A〜Cのうち1つが反応性基を表し、2つが相互作用性基を表してもよい。なお、反応性基が2つある場合、両者は同一であっても異なっていてもよい。また、相互作用性基が2つある場合、両者は同一であっても異なっていてもよい。
なお、金属層の密着性がより優れる点で、A〜Cはそれぞれ異なる官能基であることが好ましい。
1〜R3は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基などのアリーレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
なかでも、反応性基および相互作用性基の自由度がより高くなり、金属層の密着性がより向上する点で、脂肪族炭化水素基とエーテル基(−O−)とを組み合わせた基が好ましい。
X,YおよびZは、それぞれ独立に、−O−または−NR4−を表す。
4は、水素原子、または、炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(炭素数1〜4が好ましい)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基)、またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。
(工程の手順)
上記基板と上記トリアジン化合物を接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、トリアジン化合物を含有する溶液を基板上に塗布する方法や、該溶液中に基板を浸漬する方法などが挙げられる。なお、トリアジン化合物が液状の場合、そのまま基板上に塗布してもよい。
なお、該溶液に使用される溶媒の種類は特に制限されず、公知の溶媒を使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、この他にも、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
該溶液中におけるトリアジン化合物の含有量は特に制限されないが、基板上へのトリアジン化合物の付着量の制御がより簡便である点から、0.1〜10質量%が好ましい。
基板とトリアジン化合物との接触時間は特に制限されないが、基板とトリアジン化合物との間の反応がより効率的に進行する点から、0.5〜120分が好ましく、10〜60分が好ましい。
なお、基板とトリアジン化合物との接触後に、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。乾燥処理の条件は特に制限されないが、生産性および金属層の密着性がより優れる点で、室温〜220℃(好ましくは50〜120℃)で、1〜30分間(好ましく1〜10分間)実施することが好ましい。
さらに、必要に応じて、基板表面を溶媒で洗浄処理してもよい。洗浄処理を施すことにより、基板上の余分なトリアジン化合物を洗浄除去することができ、好ましい。
(トリアジン化合物層)
図1(A)に示すように、上記処理を施すことにより基板10上にトリアジン化合物を含むトリアジン化合物層12が形成される。図1(A)において、該トリアジン化合物層12は基板10の全面に形成されているが、パターン状(例えば、島状、海状)に配置されていてもよい。
トリアジン化合物層12には上記トリアジン化合物が含まれており、反応性基を介して基板と結合すると共に、その露出表面上に相互作用性基が配置され、後述する触媒付与工程においてめっき触媒またはその前駆体を吸着する。
トリアジン化合物層12の厚みは使用されるトリアジン化合物の種類により異なるが、単分子膜であることが好ましい。
[触媒付与工程]
触媒付与工程は、トリアジン化合物層形成工程で得られたトリアジン化合物層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。本工程においては、トリアジン化合物由来の相互作用性基がその機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、トリアジン化合物層中および表面上に、めっき触媒またはその前駆体が吸着され、トリアジン化合物層は被めっき層としての役割を果たす。
まず、本工程で使用される材料(めっき触媒またはその前駆体など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
(めっき触媒またはその前駆体)
めっき触媒またはその前駆体は、後述するめっき工程における、めっき処理の触媒や電極として機能するものである。そのため、使用されるめっき触媒またはその前駆体の種類は、めっき処理の種類により適宜決定される。
以下では、めっき触媒またはその前駆体として、主に、無電解めっきまたはその前駆体などについて詳述する。
無電解めっき触媒としては、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(例えば、Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられる。より具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、触媒能の高さから、Ag、Pdが特に好ましい。
無電解めっき触媒として、金属コロイド(金属粒子)を用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。
無電解めっき触媒前駆体としては、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、トリアジン化合物層へ付与した後、無電解めっき液への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき液に浸漬し、無電解めっき液中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてトリアジン化合物層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオンが好ましい。
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒として、上述した以外の0価金属を使用することもできる。
上記めっき触媒またはその前駆体は、これらを含む溶液(以後、適宜めっき触媒液とも称する)の形態で使用されることが好ましい。
めっき触媒液で使用される溶媒は、有機溶剤および/または水が用いられる。めっき触媒液が有機溶剤を含有することで、トリアジン化合物層に対するめっき触媒液の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よくめっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
めっき触媒液に用いられる有機溶剤としては、トリアジン化合物層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、具体的には、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
(工程の手順)
めっき触媒またはその前駆体をトリアジン化合物層に付与する方法は、特に制限されない。
例えば、上記めっき触媒液(金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、めっき触媒液をトリアジン化合物層上に塗布する方法、または、めっき触媒液中にトリアジン化合物層が形成された基板を浸漬する方法などが挙げられる。
トリアジン化合物層とめっき触媒液との接触時間は、30秒〜10分程度が好ましく、1分〜5分程度がより好ましい。
接触時のめっき触媒液の温度は、20〜60℃程度が好ましく、30〜50℃程度がより好ましい。
[めっき工程]
めっき工程は、触媒付与工程でめっき触媒またはその前駆体が付与されたトリアジン化合物層に対してめっき処理を行い、トリアジン化合物層上に金属層を形成する工程である。より具体的には、図1(B)に示すように、本工程において、トリアジン化合物層12上に金属層14が形成され、積層体16が得られる。
本工程において行われるめっき処理の種類は、無電解めっき、電解めっき等が挙げられ、上記工程において、トリアジン化合物層に付与されためっき触媒またはその前駆体の機能によって、選択することができる。
なかでも、金属層の密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の層厚の金属層を得るために、無電解めっきの後に、更に電解めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与されたトリアジン化合物層を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。なお、無電解めっき浴としては、入手のしやすさの点から、アルカリ性の無電解めっき浴(pHが9〜14程度が好ましい)を使用する場合が好ましい。
また、無電解めっき触媒前駆体がトリアジン化合物層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、トリアジン化合物層を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させることが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、液全体に対する該還元剤の濃度が0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。還元剤としては、公知の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたはジメチルアミンボランなどのホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸など)を使用できる。
浸漬の際には、無電解めっき触媒またはその前駆体が接触するトリアジン化合物層表面付近の無電解めっき触媒またはその前駆体の濃度を一定に保つ上で、攪拌または揺動を加えながら浸漬することが好ましい。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、例えば、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、例えば、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物が選択される。
無電解めっきにより得られる金属層の層厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、無電解めっきによる金属層を導通層として、後述する電解めっきを行う場合は、少なくとも0.1μm以上の金属層が均一に付与されていることが好ましい。また、導電性の観点から、後述する電解めっきを行わない場合には、0.1μm以上が好ましく、1μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度が好ましく、10分〜3時間程度がより好ましい。
(電解めっき(電気めっき))
本工程においては、上記触媒付与工程において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与されたトリアジン化合物層に対して、電解めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成された金属層を電極とし、更に、電解めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき層(金属層)をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属層を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電解めっきを行うことで、金属層を目的に応じた厚みに形成しうるため、金属層を種々の応用に適用するのに好適である。
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電解めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電解めっきにより得られる金属層の層厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。
なお、一般的な電気配線などに適用する場合、金属層の層厚は、導電性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1〜30μmがより好ましい。
[積層体]
上述した各工程を経ることで、基板と、該基板と反応性基を介して結合したトリアジン化合物を含むトリアジン化合物層と、金属層とをこの順で備える積層体(最外層に金属層を有する積層体)を得ることができる。なお、基板は上述したように、支持板と絶縁層との積層構造であってもよい。
得られた積層体は、例えば、各種電気配線板(例えば、プリント配線基板)、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
[金属パターン材料、およびその製造方法]
上記積層体中における金属層をパターン状にエッチングする工程を行うことで、パターン状の金属層を表面に備える積層体を製造することができる。
このエッチング工程について以下に詳述する。
[エッチング工程]
エッチング工程は、めっき工程で形成された金属層(めっき膜)をパターン状にエッチングする工程である。即ち、本工程では、形成された金属層の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。より具体的には、図1(C)に示すように、本工程において、パターン状の金属層18が形成される。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属層を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
また、セミアディティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属層をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっきの手法としては上記記載の手法が使用できる。
得られたパターン状の金属層を有する積層体は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板(例えば、プリント配線基板)、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。なかでも、配線基板として用いる用途が好ましい。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例で使用されるトリアジン化合物の合成方法について詳述する。
(合成例1:トリアジン化合物1)
1Lの3つ口フラスコに、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(50g)、2−シアノエタノール(20.6g)、炭酸カリウム(40.1g)、酢酸エチル(450mL)を入れ、攪拌を行った。その後、反応溶液を55℃に昇温し、4時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つクロロ基が2−シアノエタノールで置換されたトリアジン中間体1A(46g)を得た。
次に、1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体1A(30g)、脱水MEK(メチルエチルケトン)(240mL)を混合攪拌し、4−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)アニリン(32.4g)を加え、ソジウムアセテート(13g)を水(70g)で溶解したものを加えて、40℃で4時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つクロロ基が4−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)アニリンで置換されたトリアジン中間体1B(43g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体1B(30g)、4−アミノフェノール(8.0g)、炭酸カリウム(33.9g)、トルエン/ジメチルアセトアミド=1/1(400mL)を加えて、100℃で7時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、以下のトリアジン化合物1(48g)を得た。
(合成例2:トリアジン化合物2)
1Lの3つ口フラスコに、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(50g)、2−シアノエタノール(42.4g)、炭酸カリウム(82.4g)、脱水MEK(450mL)を入れ、攪拌を行った。その後、反応溶液を100℃に昇温し、4時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、2つのクロロ基が2−シアノエタノールで置換されたトリアジン中間体2A(53g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体2A(40g)、4−アミノフェノール(18.9g)、炭酸カリウム(43.6g)、トルエン/ジメチルアセトアミド=1/1(400mL)を加えて、100℃で7時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、以下のトリアジン化合物2(42g)を得た。
なお、本化合物の合成収率は64%であった。一方で、反応性基および相互作用性基を1つずつ有するポルフィリン化合物を、ピロール(1等量)、アセトアルデヒド(2等量)、シアノアセトアルデヒド(1等量)およびヒドロキシアセトアルデヒド(1等量)を用いてローゼムント合成で合成しようとすると、理論的に64%以上の収率で得られることは困難であり、トリアジン化合物の方が効率的に合成できることがわかった。
(合成例3:トリアジン化合物3)
1Lの3つ口フラスコに、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(50g)、4−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)アニリン(67.2g)、炭酸カリウム(41.2g)、酢酸エチル(450mL)を入れ、50℃に昇温し4時間攪拌を行った。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つのクロロ基が4−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)アニリンで置換されたトリアジン中間体3A(75g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体3A(50g)、脱水MEK(240mL)を混合攪拌し、3−アミノプロピオニトリル(31.7g)を加え、炭酸カリウム(18g)を更に加えて、40℃で4時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つのクロロ基が3−アミノプロピオニトリルで置換されたトリアジン中間体3B(40g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体3B(30g)、2−アミノエタノール(5.0g)、炭酸カリウム(20.4g)、トルエン/ジメチルアセトアミド=1/1(400mL)を加えて、100℃で7時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、以下のトリアジン化合物3(23g)を得た。
(合成例4:トリアジン化合物4)
1Lの3つ口フラスコに、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(50g)、2−シアノエタノール(22g)、炭酸カリウム(41.2g)、酢酸エチル(450mL)を入れ、40℃で4時間攪拌を行った。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つのクロロ基が2−シアノエタノールで置換されたトリアジン中間体4A(70g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体4A(50g)、脱水MEK(240mL)を混合攪拌し、4−(2−(2−エトキシエトキシ)アニリン(32.2g)を加え、酢酸ソーダ(20.6g)を更に加えて、60℃で4時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、1つのクロロ基が4−(2−(2−エトキシエトキシ)アニリンで置換されたトリアジン中間体4B(43g)を得た。
1Lの3つ口フラスコに、トリアジン中間体4B(30g)、グリシドール(6g)、t−ブトキシカリウム(16.5g)、トルエン/ジメチルアセトアミド=1/1(400mL)を加えて、100℃で7時間反応させた。得られた化合物を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製を行い、以下のトリアジン化合物4(23g)を得た。
<実施例1>
ガラスエポキシ基板(商品名:FR−4、松下電工(株)製)上に、味の素ファインテクノ(株)製のエポキシ系絶縁膜(GX−13、45μm)を、0.2MPaの圧力で100〜110℃の条件で、真空ラミネーターを用いて加熱および加圧して接着することにより、絶縁層をガラスエポキシ基板上に形成した。その後、170℃で1時間加熱処理を行い、該絶縁層の熱層化を行い、基板Aを得た。
[トリアジン化合物層形成工程]
基板Aの絶縁層側の表面上に、下記組成のトリアジン化合物溶液を塗布した。その後、140℃で30分間乾燥し、乾燥後にエタノールで洗浄を行い、トリアジン化合物層が形成された基板Bを得た。なお、層形成前後で水の濡れ性を確認すると、濡れ性が変化したため、トリアジン化合物層が形成されたと確認した。
(トリアジン化合物溶液)
・トリアジン化合物1 1g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 50g
[触媒付与工程]
得られた基板Bを、硝酸パラジウム0.1質量%の水溶液に10分間浸漬し、その後蒸留水で洗浄した。
[めっき工程]
(無電解めっき処理)
めっき触媒(金属塩)付与後の基板Bを、以下組成の無電解めっき浴(アルカリ性:pH12.5)に1時間浸漬し、トリアジン化合物層上に厚み0.4μmの無電解銅めっき層を形成した。
(無電解めっき浴成分)
・硫酸銅 0.35g
・酒石酸NaK 1.75g
・水酸化ナトリウム 0.75g
・ホルムアルデヒド 0.25g
・水 47.8g
(電解めっき)
無電解銅めっき層が形成された基板を、以下組成の電解銅めっき浴に浸漬し、電流密度3A/dm2のもと約20分間、電解めっきを行った。電解めっき後の銅めっき層(金属層)の厚みは、約18μmであった。その後、150℃で1時間ベークを行い、金属層を有する積層体を得た。
(電解めっき浴成分)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カバーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3.5mL
・水 500g
<実施例2>
トリアジン化合物1の代わりにトリアジン化合物2を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。
<実施例3>
トリアジン化合物1の代わりにトリアジン化合物3を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。
<実施例4>
トリアジン化合物1の代わりにトリアジン化合物4を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。
<比較例1>
トリアジン化合物1の代わりに後述する比較トリアジン化合物を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。
なお、比較トリアジン化合物には、2価の連結基がなく直接HS基がトリアジン環に結合している。
(合成例5:比較トリアジン化合物)
2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンと3−トリメトキシシリル−1−アミノプロパンとを用いて、Journal fuer Praktische Chemie/Chemiker-Zeitung, 1997 ,vol.339, # 3, p.266-271の方法を用いてトリアジン環にトリメトキシシリル基を導入した。さらに、得られた化合物をHeteroatom Chemistry, 2007, vol18, p60-64に記載の方法を用いてチオール基を導入し、以下の化合物を得た。
<密着性評価>
金属層の密着性評価方法としては、上記で得られた積層体を80℃、80RH%で7日間放置した後、積層体中の金属層に対して、碁盤目剥離試験を行い、金属層が剥離せずに基板上に残った碁盤目の数を数えた。以下の基準に沿って、評価した。結果を表1にまとめて示す。
「◎」:100マス中、100マス残った場合
「○」:100マス中、95〜99マス残った場合
「×」:100マス中、94マス以下残った場合
なお、碁盤目剥離試験は、JIS K5600−5−6に従って、実施した。
上記表1に示すように、本実施形態の製造方法より得られた積層体中の金属層は優れた密着性を有していた。なかでも、使用するトリアジン化合物中のA,B,Cがそれぞれ異なる態様である実施例1,3および4において、密着性がより優れることが確認された。
一方、所定の構造を有しない比較トリアジン化合物を使用した場合、金属層の密着性に劣っていた。これは相互作用性基であるHS基がトリアジン環に直接結合しており、相互作用性基の運動性の自由度が低く、その結果金属層と相互作用しにくくなり、金属層の密着性が低下したと推測される。
<実施例5>
実施例1で得られた金属層を有する積層体に対し180℃/1時間の熱処理を行なった後、該積層体の金属層表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製;RY3315、膜厚15μm)を真空ラミネーター((株)名機製作所製:MVLP−600)で70℃、0.2MPaでラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた積層体に、JPCA−ET01に定める櫛型配線(JPCA−BU01−2007準拠)が形成できるガラスマスクを密着させ、レジストを中心波長405nmの露光機にて70mJの光エネルギーを照射した。露光後の積層体に、1%Na2CO3水溶液を0.2MPaのスプレー圧で噴きつけ、現像を行なった。その後、積層体の水洗・乾燥を行い、金属層上に、サブトラクティブ法用のレジストパターンを形成した。
レジストパターンを形成した積層体を、FeCl3/HCl水溶液(エッチング液)に温度40℃で浸漬することによりエッチングを行い、レジストパターンの非形成領域に存在する金属層を除去した。その後、3%NaOH水溶液を0.2MPaのスプレー圧で積層体上に噴き付けることで、レジストパターンを膨潤剥離し、10%硫酸水溶液で中和処理を行い、水洗することで櫛型配線(パターン状金属層)を得た。得られた配線は、L/S=20μm/75μmであった。
さらに、パターン状銅金属層を有する積層体に対して、ソルダーレジスト(PFR800;太陽インキ製造(株)製)を110℃、0.2MPaの条件で真空ラミネートし、中心波長365nmの露光機にて420mJの光エネルギーを照射した。
次いで、積層体を80℃/10分間の加熱処理を施した後、NaHCO3:10%水溶液を、スプレー圧2kg/m2で積層体表面に付与することで現像し、乾燥した。その後、再度、中心波長365nmの露光機にて1000mJの光エネルギーを、積層体に対して照射した。最後に150℃/1hrの加熱処理を行ない、ソルダーレジストで被覆された配線基板を得た。
10:基板
12:トリアジン化合物層
14:金属層
16:積層体
18:パターン状金属層

Claims (6)

  1. 基板と一般式(1)で表されるトリアジン化合物とを接触させ、前記基板上にトリアジン化合物層を形成するトリアジン化合物層形成工程と、
    前記トリアジン化合物層に、めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
    前記めっき触媒またはその前駆体が付与されたトリアジン化合物層に対してめっき処理を行い、前記トリアジン化合物層上に金属層を形成するめっき工程とを備える、金属層を有する積層体の製造方法。

    (一般式(1)中、A,BおよびCは、それぞれ独立に、基板と反応する官能基、または、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。なお、A〜Cのうち少なくとも1つは基板と反応する官能基を表し、A〜Cのうち少なくとも1つはめっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。R1〜R3は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。X,YおよびZは、それぞれ独立に、−O−または−NR4−を表す。なお、R4は、水素原子または炭化水素基を表す。)
  2. 前記一般式(1)中、A〜Cがそれぞれ異なる官能基を表す、請求項1に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  3. 前記基板と反応する官能基が、エポキシ基、フェノール基、水酸基、第1級アミノ基、または第2級アミノ基である、請求項1または2に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法より製造される積層体を含むプリント配線基板。
  5. 基板上に、前記基板と反応する官能基を介して前記基板と結合した一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含有するトリアジン化合物層と、金属層とをこの順で有する積層体。

    (一般式(1)中、A,BおよびCは、それぞれ独立に、基板と反応する官能基、または、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。なお、A〜Cのうち少なくとも1つは基板と反応する官能基を表し、A〜Cのうち少なくとも1つはめっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。R1〜R3は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。X,YおよびZは、それぞれ独立に、−O−または−NR4−を表す。なお、R4は、水素原子または炭化水素基を表す。)
  6. 基板と金属層との間に配置され、前記基板と前記金属層との密着性を高めるトリアジン化合物層を形成するためのトリアジン化合物層形成用組成物であって、
    一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含有する、トリアジン化合物層形成用組成物。

    (一般式(1)中、A,BおよびCは、それぞれ独立に、基板と反応する官能基、または、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。なお、A〜Cのうち少なくとも1つは基板と反応する官能基を表し、A〜Cのうち少なくとも1つはめっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。R1〜R3は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。X,YおよびZは、それぞれ独立に、−O−または−NR4−を表す。なお、R4は、水素原子または炭化水素基を表す。)
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