JP2013071978A - 非水系インクジェットインク - Google Patents

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【課題】印刷濃度を高く、裏抜けを抑制して画像性を向上させることが可能であって、吐出安定性の良好な非水系インクジェットインクを提供する。
【解決手段】少なくとも顔料と溶剤と分散剤とからなる非水系インクジェットインクにおいて、溶剤の主成分を、分子中に1つの環状飽和炭化水素と少なくとも1以上の直鎖飽和炭化水素とが結合した構造を含む炭化水素系溶剤、または分子中に少なくとも2以上の環状飽和炭化水素が結合した構造を含む炭化水素系溶剤とした非水系インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録装置の使用に適した非水系インクジェットインクに関するものである。
インクジェット記録システムは比較的安価な装置であり、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能という特徴を有しており、最近急速に普及している。このシステムに用いられるインクは、大きく水系インクと非水系インクに分けられる。非水系インクは、間欠吐出性、長時間放置後の吐出回復性などの機上安定性がよく、印刷用紙のカールがない、インクの浸透乾燥時間が短いなどの特徴を有している。
例えば、特許文献1には脂肪族炭化水素溶剤を主成分とし極性有機溶剤を含む非水系顔料インクが記載されている。しかし、脂肪族炭化水素溶剤は不揮発性溶剤であるため、裏抜けが多いという問題がある。一方、揮発性の脂肪族炭化水素溶剤を用いると、透き通しによる裏抜けは改善するが、吐出安定性が悪くなるという問題がある。この裏抜けを改善する方法として、揮発性溶剤を用いること以外では、インク中にシリカを含有させる手法が知られているが、この場合、裏抜けは改善されるものの吐出安定性が悪くなるという問題がある。
特許第3125039号公報
上記のように従来の非水系インクでは、画像性を向上させるためにはある程度吐出安定性を犠牲にし、吐出安定性を求める場合にはある程度画像性を犠牲にするといった状況にあり、画像向上性と吐出安定性はトレードオフの関係にある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、印刷濃度を高く、裏抜けを抑制して画像性を向上させることが可能であって、吐出安定性の良好な非水系インクジェットインクを提供することを目的とするものである。
本発明の非水系インクジェットインクは、少なくとも顔料と溶剤と分散剤とからなる非水系インクジェットインクにおいて、前記溶剤の主成分が、分子中に1つの環状飽和炭化水素と少なくとも1以上の直鎖飽和炭化水素とが結合した構造を含む炭化水素系溶剤、または分子中に少なくとも2以上の環状飽和炭化水素が結合した構造を含む炭化水素系溶剤であることを特徴とするものである。
前記炭化水素系溶剤の分子中の炭素数が12以上であることが好ましい。
前記炭化水素系溶剤はビシクロヘキシルであることがより好ましい。
本発明の非水系インクジェットインクは、分子中に1つの環状飽和炭化水素と少なくとも1以上の直鎖飽和炭化水素とが結合した構造を含む炭化水素系溶剤、または分子中に少なくとも2以上の環状飽和炭化水素が結合した構造を含む炭化水素系溶剤を溶剤の主成分として含むので、印刷濃度が高く、裏抜けが抑制されて画像性の良好なインクとすることが可能であるとともに、吐出安定性も確保することができる。
この作用機序は必ずしも明らかではないが、単に1つの分子内に環状飽和炭化水素のみを含む炭化水素系溶剤や1つの分子内に直鎖飽和炭化水素のみを含む炭化水素系溶剤、さらには単にこれらの炭化水素系溶剤を混合した溶剤では画像性の向上が見られないことから、本発明の炭化水素系溶剤の場合には立体的なかさ高さによって浸透挙動が変化し、溶剤の浸透が抑制されて顔料が溶剤の浸透とともに印刷用紙内部に引きずられることが抑制されるため、画像性の向上が得られたものと考えられる。
一方で、本発明の炭化水素系溶剤は揮発性が低いため、短期間、ヘッド放置した際にも吐出性に不具合が生じず、いわゆる寝起き性を良好なものとすることができる。
本発明の非水系インクジェットインクは、少なくとも顔料と溶剤と分散剤とからなる非水系インクジェットインク(以下、単にインクともいう)において、溶剤の主成分が、分子中に1つの環状飽和炭化水素と少なくとも1以上の直鎖飽和炭化水素とが結合した構造を含む炭化水素系溶剤(以下、炭化水素系溶剤Aともいう)または分子中に少なくとも2以上の環状飽和炭化水素が結合した構造を含む炭化水素系溶剤(以下、炭化水素系溶剤Bともいう)であることを特徴とする。
炭化水素系溶剤Aおよび炭化水素系溶剤Bは上記条件を満たしているものであれば、分子内にヒドロキシ基、カルボン酸基、カルボニル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基等、炭化水素以外の官能基を備えていてもかまわない。
ここで、主成分とは全溶剤中の50質量%以上、すなわち、全溶剤中の50質量%以上が炭化水素系溶剤Aまたは炭化水素系溶剤Bであることを意味する。溶剤には、炭化水素系溶剤Aと炭化水素系溶剤Bの両方を含んでいてもよく、この場合には炭化水素系溶剤Aと炭化水素系溶剤Bの総量が全溶剤中の50質量%以上であることを意味する。
炭化水素系溶剤Aおよび/または炭化水素系溶剤Bの含有量は、好ましくは全溶剤に対して50〜80質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがさらに好ましい。
炭化水素系溶剤Aとしては、一般式Cn2n-1で表されるシクロアルキル基を有するCm2mで表されるアルカン(シクロアルキルアルカン)を好適に挙げることができる。シクロアルキル基の炭素数nは3以上8以下であり、アルカンの炭素数mは12〜20程度であることが好ましい。炭化水素系溶剤Bは、環状飽和炭化水素を分子内に2〜5環含むものを挙げることができる。炭化水素系溶剤AおよびBの分子中に含まれる炭素数は12〜20程度であることが好ましい。分子中に含まれる炭素数が12未満である場合には立体的なかさ高さが得られにくく、また、揮発性が高くなり、吐出安定性が悪化する。一方で、20よりも多くなると粘度が高くなってインクの粘度の調製が難しくなる。
炭化水素系溶剤Aとしては、ノニルシクロプロパン、ヘキシルシクロヘキサン、ブチルシクロオクタン、デシルシクロプロパン、オクチルシクロペンタン、ヘプチルシクロヘキサン、ヘキシルシクロヘプタン、ノニルシクロペンタン、オクチルシクロヘキサン、ドデシルシクロプロパン、ウンデシルシクロブタン、デシルシクロペンタン、ノニルシクロヘキサン、ドデシルシクロブタン、ウンデシルシクロペンタン、ドデシルシクロペンタン、ウンデシルシクロヘキサン、トリデシルシクロペンタン、ドデシルシクロヘキサン、トリデシルシクロヘキサン、テトラデシルシクロヘキサン等を好ましく挙げることができる。
炭化水素系溶剤Bとしては、2環のものとして、1,1’−ビシクロプロパン(C610)、1,1’−ビシクロブタン(C814)、1,1’−ビシクロペンタン(C1018)、1,1’−ビシクロヘキサン(C1222)、3環のものとして、1,1’:3’,1’’−テルシクロブタン、1,1’:1’,1’’−テルシクロブタン(C1220)、1,1’:3’,1’’−テルシクロペンタン(C1526)、1,1’:4’,1’’−テルシクロヘキサン(下記式IV)、1,1’:2’,1’’−テルシクロヘキサン(下記式V)、1,1’:3’,1’’−テルシクロヘキサン(C1832)、2−(シクロヘキシルメチル)−1,1’−ビシクロヘキサン、3−(シクロヘキシルメチル)−1,1’−ビシクロヘキサン、4−(シクロヘキシルメチル)−1,1’−ビシクロヘキサン(C1934)、4環のものとして、クアテルシクロプロパン(C1218)、3’−シクロヘキシル−1,1’:2’,1’’−テルシクロヘキサン、5’−シクロヘキシル−1,1’:3’、1’’−テルシクロヘキサン(C2442)、5環のものとして、3’,4’−ジシクロヘキシル−1,1’:2’,1’’−テルシクロヘキサン(C3052)を好適に挙げることができ、このうち、1,1’−ビシクロヘキサン(慣用名ビシクロヘキシル、下記式I、C1222)がさらに一層好ましい。
本発明のインクには、炭化水素系溶剤Aあるいは炭化水素系溶剤B以外の溶剤を含んでいてもよい。極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤、およびこれらの混合溶剤を用いることができる。極性有機溶剤は、極性有機溶剤以外の溶剤と混合した時に、単一の相となるものから選択される。
具体的には、エステル系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは9以上、より好ましくは12〜32の高級脂肪酸エステル類が挙げられ、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤、アルコール系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族高級アルコール類が挙げられ、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤があげられる。
溶剤中に含まれる極性有機溶剤以外の溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の非極性溶剤があげられる。脂肪族炭化水素溶剤としては、例えば、新日本石油社製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベント H、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「IsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD130、ExxolD140」等を好ましくあげることができる。また、芳香族炭化水素溶剤としては、新日本石油社製「クリーンソルG」(アルキルベンゼン)等を好ましくあげることができる。
顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などを用いることができる。
また、β−ナフトール系、ナフトールAS系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料(ジスアゾイエロー、レーキレッド4R等)、Caレーキ、Baレーキ、Srレーキ、Mnレーキ等の溶性アゾ顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド等)、タンニン酸レーキ、リンモリブデン酸レーキ、リンタングステン酸レーキ、リンモリブデンタングステン酸レーキ等の塩基性染付けレーキ顔料(ローダミンBレーキ、ローダミン6Gレーキ、メチルバイオレットレーキ等)、Baレーキ、Caレーキ、Alレーキ、Pbレーキ等の酸性染付けレーキ顔料(オレンジIIレーキ、キノリンイエローレーキ等)のレーキ顔料をあげることができる。
これらの着色剤は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であるが、インク全体に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが望ましい。
本発明に使用可能な分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
分散剤の具体例としては、BYK Chemie 社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイドリン酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイドリン酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen(高分子量不飽和酸エステル)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS 社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローレンDOPA−15B(アクリルオリゴマー)」、「フローレンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」「DA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩)」が挙げられる。
さらに、花王社製「デモール RN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS.C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、28000」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−O(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
なお、本発明のインクは、顔料、溶剤の他、例えば、インクの被記録媒体への密着性を向上させるため、あるいは被記録媒体でのインクのドットの広がりの調整等を目的として、上記溶剤に溶解する樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂等が用いられる。
上記各成分に加えて、本発明のインクには慣用の添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン性の界面活性剤、酸化防止剤、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
本発明のインクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
下記表1に示す配合(表1に示す数値は質量部である)で原材料をプレミックスした後、ビーズミルにて滞留時間約12分間で分散させて実施例および比較例のインクを調製した。
(評価方法)
(濃度)
インクを用紙に転写したときの表側を濃度計(マクベス社製)で測定し、以下の基準で評価した。
◎:OD=1.30以上
○:OD=1.20以上1.30未満
△:OD=1.10以上1.20未満
×:OD=1.10未満
(裏抜け)
インクを用紙に転写したときの裏側を目視で観察して、以下の基準で評価した。
◎:裏抜けが殆ど認められない
○:裏抜けが少ない
△:裏抜けがある
×:裏抜けが非常に多い
(吐出安定性)
23℃の環境でインクを充填した東芝TEC社製インクジェットヘッド(CF1)を24時間放置した後、ベタ画像(主走査318ドット/副走査3000ドット)を印字し、その画像を目視により下記の基準で評価した。
◎:初期から均一なベタ画像
○:初期はベタ画像にムラがあるが、数回印字すると均一なベタ画像が得られる
△:初期はベタ画像にムラがあるが、10回以上印字すると均一なベタ画像が得られる
×:10回以上印字しても均一なベタ画像を得られない
実施例および比較例の処方とともに評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明のインクである実施例1〜4のインクは溶剤として炭化水素系溶剤Aまたは炭化水素系溶剤Bをインクの主成分として含むので、印刷濃度が高く、裏抜けが抑制されて画像性の良好なインクとすることが可能であるとともに、吐出安定性も確保することができた。比較例1は直鎖アルカンであるドデカンとシクロアルカンであるシクロドデカンを含むインクであるが、この場合には印刷濃度が充分でなく、裏抜けも生じ、画像性の向上は得られてない。このことから、本発明のインクのように、分子中に環状飽和炭化水素と直鎖飽和炭化水素とが結合した構造や、2以上の環状飽和炭化水素が互いに結合した構造を含む炭化水素系溶剤では、立体的なかさ高さによって浸透挙動が変化し、溶剤の浸透が抑制されて顔料が溶剤の浸透とともに印刷用紙内部に引きずられることが抑制されるため、画像性の向上が得られたものと考えられる。
また、本発明の炭化水素系溶剤AおよびBは揮発性が低いため、短期間、ヘッド放置した際にも吐出性に不具合が生じず、いわゆる寝起き性を良好なものとすることができた。比較例2のインクに含まれる直鎖アルカンであるドデカンは揮発性が低いために吐出安定性は得られたものの、揮発性が低いために裏抜けが顕著で、全体として画像性はよくなかった。また、比較例3のインクに含まれるシクロアルカンであるシクロドデカンは揮発性が高いために吐出安定性が得られず、裏抜けは抑制されたものの、印刷濃度が低く、全体として画像性はよくなかった。

Claims (3)

  1. 少なくとも顔料と溶剤と分散剤とからなる非水系インクジェットインクにおいて、前記溶剤の主成分が、分子中に1つの環状飽和炭化水素と少なくとも1以上の直鎖飽和炭化水素とが結合した構造を含む炭化水素系溶剤、または分子中に少なくとも2以上の環状飽和炭化水素が結合した構造を含む炭化水素系溶剤であることを特徴とする非水系インクジェットインク。
  2. 前記炭化水素系溶剤の分子中の炭素数が12以上であることを特徴とする請求項1記載の非水系インクジェットインク。
  3. 前記炭化水素系溶剤がビシクロヘキシルであることを特徴とする請求項2記載の非水系インクジェットインク。
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