JP2013070704A - 血管プラーク画像診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 加熱源3と、超音波送受機構と、超音波エコー信号を輝度情報に変換して測定領域の断層画像データを作成して表示装置12に表示するBモード信号処理部24と、先に加熱時超音波エコー信号を取得し、続いて加熱停止後超音波エコー信号を取得し、これら2つの超音波エコー信号に基づいて前記測定領域の各点における加熱ビーム停止前後の超音波速度変化を算出する超音波速度変化解析部25と、算出された超音波速度変化を画像化して前記断層画像データに重畳させて表示装置に表示する超音波速度変化画像重畳表示制御部26とを備え、超音波速度変化画像重畳表示制御部26は、前記超音波速度変化の画像における温度変化に対し負の超音波速度変化を示す領域を脂質性領域33として色表示する。
【選択図】図1
Description
そこで、超音波トモグラフィにより、筋肉内臓組織と脂肪組織との音速の差を利用して内臓脂肪を測定することが開示されている(非特許文献1参照)。
一般に、温度変化に対する超音波速度変化を比較すると、以下のとおりである。
水: +2 m/秒・℃
脂肪: −4 m/秒・℃
超音波加熱によるプラーク治療方法では、例えば、プラークのタンパク質を約60℃から約80℃の間に1〜3分間加熱するようにして硬化させている。当該文献においては、超音波加熱によるプラークの治療についてのいくつかの先行技術文献を照会している。いずれもプラーク部分を、硬化、凝固、収縮させて変質させることにより治療を行うものであるため、変質させるために必要な温度として、少なくとも人の体温よりはるかに高い温度である45℃以上の加熱温度で加熱するようにしている。
そこで、本発明は、血管プラークの組織を非侵襲的に診断することができ、しかも、従来よりも簡便かつ正確に診断できる新たな画像診断装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明では、加熱ビームによる測定部位の血管への局所加熱に加えて、血管内を流れる血液による体温の冷却作用を利用して温度変化が急峻になるようにして、わずかな温度変化であっても、負の超音波速度変化を捉えることができるようにすることで、血管壁の一部に含まれる脂質性組織の領域を検出するようにしている。
続いて、加熱ビームの照射を停止する。加熱停止直後の血流量はすぐには減少せず、増加した状態であるので、血管壁は大きな血流量による冷却作用で急峻に(微分的に)温度が低下するようになる。そこで、加熱停止後の短時間のうちに、加熱停止後超音波エコー信号を取得し、先に取得した加熱時超音波エコー信号との受信時間の差を算出することにより、血管壁の微分的な温度変化による超音波速度変化データを取得することができる。
その結果、超音波速度が温度変化によってあまり影響を受けない線維性組織の部分と、温度変化に対し負の変化を示す脂質性組織との部分との差異であっても、微分的な変化として検出することで、たとえ変化量が小さくても高感度に識別することができるようになる。
そして、加熱停止後の超音波エコー信号(あるいは加熱時超音波エコー信号)に基づいて作成した断層画像(Bモード画像上)を表示装置に表示するとともに、これに重畳して超音波速度変化画像を表示する。断層画像により、画像内の血管や血管プラークの大きさや形状を把握することができるようになり、これに超音波速度変化画像から脂質性組織差を色表示により重畳表示することで、血管プラーク内の脂質性組織の分布がはっきりと見られるようになる。
また、本発明では、血流量が増加している状態で短時間のうちに計測するので、小さな温度変化でも簡単かつ高感度で計測することができる。
さらに本発明では、血管や血管プラークを通常の断層画像(Bモード画像)で表示し、超音波速度変化画像による脂質性組織の領域を色表示により重畳表示するようにしたので、脂質性組織とそれ以外(線維性組織)とを明確に識別することができる。
測定領域の加熱による温度変化が1℃以上であれば、先に測定した加熱時超音波エコー信号と、続いて測定した加熱停止後超音波エコー信号との微分的変化を計測することで脂質性組織と線維性組織とを識別することができる。
さらに、加熱時の到達温度を40℃以下に限定することで、加熱により生体を損傷させるおそれはなくなる。具体的には、例えば体温が36℃である人は、到達温度37℃(体温36℃に最低昇温1℃を加算)〜40℃の範囲で加熱されることになる。
このような温度条件を満たす照射エネルギー密度は、測定領域の体表からの深さに依存する。そのため、あらかじめ、体表からの深さと照射エネルギー密度と上昇温度との関係を計測しておき、温度条件を超えない範囲で照射エネルギーを設定するようにすればよい。
照射エネルギー密度が1W/cm2〜2W/cm2の超音波ビームであれば、人に対し、少なくとも血管を含む測定領域を1℃以上加熱することができ、加熱時の到達温度を40℃以下に抑えることができる。
心電同期させた加熱時超音波エコー信号と加熱停止後超音波エコー信号との比較が行われれば、心拍によるノイズの影響を除去することができるようになる。
ここで、血管プラーク関心領域指定部は、血管内の血管プラークの領域が入力されたときに、当該血管プラークの領域内で、負の超音波速度変化を示す領域を脂質性組織の領域として自動識別し、危険度算出部は血管プラークの領域と自動識別された脂質性組織の領域との面積比から危険度に関する指標を算出するようにしてもよい。
これらにより、重畳表示された画像から、血管プラークの領域/血管の内部領域(血管の断面積)、または、脂質性組織の領域/血管の内部領域、または、脂質性組織の領域/血管プラークの領域のような血栓が形成される危険度に関係する情報を数値情報として取得することができるので、危険度を客観的に診断する上で役立つ。
超音波加熱によれば照射深さを調整できるので、体表近くの血管のみならず、体内深部の血管の加熱も容易になしえる。なお、頸動脈等の体表近傍の血管を加熱する場合は、超音波ビームに代えて近赤外光の照射による加熱方法を採用することもできる。
最初に血管プラーク画像診断装置で表示する超音波速度変化画像の測定原理について説明する。この超音波速度変化のデータは以下の関係から求められる。
図5は、加熱時(昇温後安定状態)の超音波エコー信号と、加熱停止後(温度降下後)の超音波エコー信号とを示す模式図である。
加熱時(昇温後安定状態)の超音波エコー信号速度をV’とし、 加熱停止後(温度降下後)の超音波エコー信号速度をVとする。また、加熱停止後(温度降下後)に、ある境界間を超音波信号が伝播するときの時間をτとし、同じ境界間(距離一定)を加熱時(昇温後安定状態)に超音波信号が伝播する時間をτ−Δτとする。すなわち、加熱ビームの照射により昇温しておき、その後加熱ビームの照射を停止したときに、温度降下によりΔτだけパルス間隔が長くなるようにシフトしたとする。
このとき、
V・τ=V’・(τ−Δτ) ・・・(1)
の関係が成立し、したがって、2つのエコー信号におけるパルス間隔の時間変化から超音波速度変化は次式で算出することができる。
V’/V=τ/(τ−Δτ) ・・・(2)
算出された超音波速度変化データから、加熱時と加熱停止後との間に、(温度降下により)超音波速度が増加を示す領域を脂質性組織の領域として検出する。
すなわち、式(2)で求められた超音波速度比が1より大きいか小さいかを判断することにより、1より小さければ、その領域は温度変化に対する超音波速度変化が負になる脂質性組織の領域として検出する。
次に、血管プラーク画像診断装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である血管プラーク画像診断装置の構成を示すブロック図である。
血管プラーク画像診断装置1は、主に、診断用に用いるアレイ型探触子2および加熱源3(超音波加熱源)からなるプローブ4と、アレイ型探触子2を駆動する送受信部5と、加熱源3を駆動する送信部6と、心電計7と、制御系10と、DSC11(デジタルスキャンコンバータ)と、表示装置(液晶パネル)12と、入力装置13(キーボード13aおよびマウス13b)とを備えている。なお、頸動脈のように測定部位110が体表から浅い場合は、加熱源3および送信部6による超音波加熱に代えて、赤外線光源(700nm〜1000nmの近赤外光)を用いた加熱源にしてもよい。
アレイ型探触子2は、一列に配列された複数の振動子を有しており、各振動子は、送受信部5からの駆動信号により、順送りで励振されて1つずつ超音波信号を発し、この超音波信号に対する被検体100内からの超音波エコー信号を送受信部5に返す。
なお、超音波エネルギー密度を1.5W/cm2以上に設定すればさらに昇温させることもできるが、安全のため測定領域が40℃以上に昇温しないように超音波エネルギー密度の上限値(例えば2W/cm2)を設定し、これ以下で使用するようにする。
加熱制御部21は、送信部6から発する駆動信号を制御して、加熱源3から、あらかじめ設定した超音波エネルギー密度(例えば1W/cm2)で超音波ビームを照射して被検体を超音波加熱する制御を行う。なお、測定部位110の上昇温度は、超音波エネルギー密度および照射時間に関係するので、入力装置13によりビーム出力(エネルギー密度)、照射面積、照射時間をあらかじめ設定しておく。
送受信部5を介して受信した超音波エコー信号は、メモリに蓄積され、後述するBモード信号処理部24、超音波速度変化解析部25に送られて処理される。
このとき、温度変化に対し負の速度変化を示す領域(すなわち脂質性組織の領域)を抽出し、加熱停止後に撮像したBモード断層画像(加熱時のBモード断層画像でもよい)に重畳表示させる制御を行うようにする。
また、危険度算出部28は、血管の内部領域、血管内の血管プラークの領域、血管プラーク内の脂質性組織の領域、のうちの2つの領域についての指定の入力操作を待ち受けている際に、入力操作によりこれらのうち2つの領域を指定する入力が行われると、指定された2つの領域の面積比から血管プラークの危険度に関する指標を算出する処理を行う。
「血管の内部領域」の入力は、血管の断面に表示される内壁面をマウス等により描くことにより指定される。
「血管内の血管プラークの領域」の入力は、同様に血管壁に形成されている血管プラークの外周をマウス等により描くことにより指定される。
「血管プラーク内の脂質性組織の領域」の入力は、血管プラークの位置に色表示で表示されている負の速度変化領域をマウス等により描くことにより指定される。
なお、脂質性組織の領域は血管プラーク内に存在するものであり、負の速度変化領域は速度変化画像で色表示されている領域であるので、血管プラークを指定しさえすれば、(血管以外の脂肪領域は除外されるので)、その領域内で負の速度変化をする領域を算出データに基づいて自動的に指定することができる。
A=血管プラーク内の脂質性組織の領域/血管内の血管プラークの領域
B=血管内の血管プラークの領域/血管の内部領域
C=血管プラーク内の脂質性組織の領域/血管の内部領域
これらの指標値の1つだけを算出して危険度を判断することもできるし、複数算出して総合的に危険度を判断することもできる。
次に、この血管プラーク画像診断装置1による測定動作について説明する。図2は画像診断を行う際の操作を説明するタイムチャートである。
あらかじめ、関心部位(測定領域)の血管の断面像が撮像できるように、プローブ4の体表への当接位置や方向を調整しておく。また心電図から心電同期を行うためのトリガ信号とするR波が得られるように、心電計7も作動させておく。
図3(a)は、断層画像の一例を示す模式図である。断層画像からは、血管30内の血管壁31の一部に、血管プラーク32が形成されている画像が確認できる。ただし、断層画像からは血管プラークの組織について
十分には確認できない。
なお、超音波速度変化画像だけを表示するときは、超音波速度変化が負となる部分だけでなく、正の部分も含めて全体を表示すればよい。
次に、重畳表示画像を用いた画像診断の動作について説明する。
図3(c)に示す重畳表示画像が表示された状態で、マウス13bにより、血管内面、血管プラーク、脂質性組織の領域をなぞるようにして境界を描く操作を行って、図4に示すように、血管の内部領域L1、血管プラークの領域L2、脂質性組織の領域L3を指定する。
続いて、危険度を算出する演算を行うことにより、以下の指標A,B,Cが数値情報として算出される。
A=血管プラーク内の脂質性組織の領域/血管内の血管プラークの領域
B=血管内の血管プラークの領域/血管の内部領域
C=血管プラーク内の脂質性組織の領域/血管の内部領域
この数値を参照することにより、例えば過去に測定したデータとの比較を行うことにより、プラークの状態変化を判定したりすることができ、現在の危険度を診断することができる。
2: アレイ型探触子
3: 加熱源(超音波発振装置)
4: プローブ
7: 心電計
10: 制御部
11: DSC(画像表示制御部)
12: 表示装置(液晶パネル)
13: 入力装置(マウス、キーボード)
21: 加熱制御部
22: 走査制御部
23: 心電同期部
24: Bモード信号処理部
25: 超音波速度変化解析部
26: 超音波速度変化画像重畳表示制御部
27: 血管プラーク関心領域指定部
28: 危険度算出部
30: 血管
31: 血管壁
32: 血管プラーク
33: 脂質性組織
Claims (6)
- 血管内のプラークを含む測定領域を加熱することが可能な加熱ビームを照射する加熱源と、
前記測定領域に超音波信号を送波するとともに、前記測定領域からの超音波エコー信号を受波する超音波送受機構と、
受波した超音波エコー信号を輝度情報に変換して前記測定領域の断層画像データを作成して表示装置に表示するBモード信号処理部と、
先に加熱ビームを照射し続けて温度が安定するまで加熱したときの前記測定領域から受波した加熱時超音波エコー信号を取得し、続いて加熱ビームの照射を停止した後の前記測定領域から受波した加熱停止後超音波エコー信号を取得し、これら2つの超音波エコー信号に基づいて前記測定領域の各点における加熱ビーム停止前後の超音波速度変化を算出する超音波速度変化解析部と、
算出された超音波速度変化を画像化して前記断層画像データに重畳させて表示装置に表示する超音波速度変化画像重畳表示制御部とを備え、
前記超音波速度変化画像重畳表示制御部は、前記超音波速度変化の画像における温度変化に対し負の超音波速度変化を示す領域を脂質性領域として色表示することを特徴とする血管プラーク画像診断装置。 - 前記加熱時超音波エコー信号は、測定領域の到達温度が40℃以下で、かつ、加熱前の測定領域の温度より1℃以上の上昇になる範囲で取得されるように照射エネルギー密度が設定された加熱ビームを照射するようにして行われることを特徴とする請求項1に記載の血管プラーク画像診断装置。
- 前記加熱ビームは、前記照射エネルギー密度が1W/cm2〜2W/cm2の超音波ビームである請求項2に記載の血管プラーク画像診断装置。
- さらに心電計を備えるとともに、前記加熱時超音波エコー信号と前記加熱停止後超音波エコー信号とを心電同期させて取得する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の血管プラーク画像診断装置。
- 前記表示装置の画面上に前記断層画像データおよび前記超音波速度変化画像データを重畳表示させた状態で、血管の内部領域、血管内の血管プラークの領域、血管プラーク内の脂質性組織の領域のうちの少なくとも2つの領域について指定する入力操作を待ち受ける血管プラーク関心領域指定部と、
待ち受け中に入力された2つの領域の面積比から血管プラークの危険度に関する指標を算出する危険度算出部とを備えた請求項1〜請求項4のいずれかに記載の血管プラーク画像診断装置。 - 血管プラーク関心領域指定部は、血管内の血管プラークの領域が入力されたときに、当該血管プラークの領域内で、負の超音波速度変化を示す領域を脂質性組織の領域として自動識別し、前記危険度算出部は血管プラークの領域と自動識別された脂質性組織の領域との面積比から危険度に関する指標を算出する請求項5に記載の血管プラーク画像診断装置。
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