JP5016316B2 - メタボリックシンドローム血管評価システム - Google Patents
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Description
このメタボリックシンドロームとは、我が国での基準となった2004年メタボリックシンドローム診断基準検討委員会が取り決めた下記の5項目、
(1)ウエスト周囲径(内臓脂肪面積100〔cm3〕以上)が、男性の場合で85〔cm〕以上、女性の場合で90〔cm〕以上、
(2)高トリグリセリド血症が150〔mg/dl〕以上、
(3)低HDLコレステロール血症が40〔mg/dl〕以下、
(4)収縮期血圧が130〔mmHg〕以上、拡張期血圧85〔mmHg〕以上、
(5)空腹時血糖値110〔mmHg〕以上、
を対象にして、内臓脂肪が基準を超えてかつ他の2つ以上が基準外の場合として定義している(非特許文献1参照。)。
さらに、平成17年6月10日に成立した食育基本法では、平成22年までにメタボリックシンドロームという言葉の認知度を80%までに上げる計画が組み込まれており、知育、体育、食育として子供のころから正しい食事を教育することで現在増加している小児肥満を減らし、延いては国の医療費を減らそうとする試みが始まろうとしている。
そこで、手法として考えると前記メタボリックシンドロームの定義では、血液検査なども含まれているため容易ではない。また内臓脂肪をウエスト周径で観るのも家庭で目安程度にはなるものの、皮下脂肪を含んで測るため直感的なインパクトが大きくない。
このような観点から、メタボリックシンドロームの診断には、関連する診断項目として、血管膜厚、血管径および動脈硬化等を診断する方法も開発され、用いられている。例えば、従来、動脈硬化の診断は、血管造影法を用いて血管内腔の変化を検査することにより行われている。しかしながら、このような方法は、患者への造影剤の投入や被爆が懸念されるX線撮影等を必要とするため、簡単にしかも気軽に実施することができず、診断にもある程度の時間を要していた。
そこで、近年は、頸動脈の血管の内膜中膜複合厚さ(Intima-Media Thickness;以下、IMTと称する)を動脈硬化判定の指標として用いる研究が世界的に行われている。その中でも、頸動脈を超音波装置により撮影し、その超音波画像に基づいてIMTを測定して診断する方法が注目されている。この方法によれば、頸動脈の画像の撮影を比較的簡単に行うことができると共に、病理的に検索したIMTとよく相関する比較的精度の良い測定が可能である。
このような問題点を解決するため、コンピュータを用いて超音波画像を自動計測する方法が諸外国で提案されている。しかしながら、これらの方法は、何れも従来の超音波装置に連結して使う方法であるため、実際のシステムとして実現した場合には非常に高額の装置になるという問題点が有った。つまり、従来の超音波装置は、一般に数千万円と高額であり、あらゆる臨床現場に容易に導入できる金額ではない。
また、一般的にコンピュータにより超音波装置の画像を取り込むには、アナログ信号であるビデオ出力端子が用いられる。そのため、超音波装置が画像をデジタルデータとして読み込む場合でも、そのデータをコンピュータ側に送るには、一度信号をアナログに変換しなければならない。更に、コンピュータ側では、送られた画像のビデオ信号をビデオキャプチャーソフト等を用いて再度デジタルデータに変換する必要がある。
その結果、従来のコンピュータを用いた頸動脈の血管内膜中膜の複合厚さ(Intima-Media Thickness)(以下、「頸動脈血管肥厚度:IMT」と略称する)の測定システムにおいては、この画質劣化を考慮した高度な画像処理が行われており、ソフトウエアだけでも数百万円と高額なものになっていた。
このような問題点を解決するために、例えば、特許文献1には、本願の発明者らの提案に係る頸動脈超音波画像に基づくIMT測定を、比較的低価格かつ簡単な構成で、精度良く行うことのできる血管膜厚測定装置と、この装置の測定データに基づいて適切に動脈硬化を診断することのできる動脈硬化診断装置とが開示されている。
また、メタボリックシンドロームの診断に関連して、血管径を測定する技術については、下記の背景を有する。
このような原理を利用した非侵襲的動脈硬化診断装置は、マクター社からBIMS−Vモデルとして販売されている。なお、特許出願としては、特許文献3および特許文献4に開示されている。また、従来、血管壁の硬さを診断する技術として、脈波の血圧変動により血管の容積が非線形的に変わる変化量を経験則から求めたstiffness parameter β=Dd/ΔD・ln(Ps/Pd)(ここでDd=血管最小径、ΔD=脈動に伴う血管径の変化量、Ps=収縮期血圧、Pd=拡張期血圧)も広く使われてきた(非特許文献3参照。)。
上述の技術では、通常の拍動状態をそのまま観測するため血管の動脈硬化は物理的にかなり進んでしまってからでないと観測できない場合が多い。物理的変化が生体に生じるには数ヶ月かかることがある。物理的変化の測定方法ではこのように、生理的状態の変化の影響を受けにくい診断方法であるため、有意な変化として認識するには数ヶ月程度の時間経過を必要としていた。
しかし、近年、動脈硬化の初期段階では、血管の内皮機能不全が動脈硬化に関与することが発見された。即ち、内皮細胞から放出される生理活性物質である一酸化窒素(NO)が平滑筋を拡張させ、血小板凝集抑制、血液単球の内皮への付着抑制など、動脈硬化を抑制するために重要な指標であることが理解されてきたが、この一酸化窒素の放出機能が不全になることと動脈硬化が生じることとの間には相関が有ることが分かってきた。1998年、この現象の発見に対しノーベル医学生理学賞が授与されている。
しかしながら、前述の測定を実施しようとすると、上腕動脈長軸側に沿って皮膚表面からエコーを垂直に当てなくてはならず、安静15分経過後の測定と阻血5分後の測定ではエコーを当てる部位がずれる可能性があった。また従来の方法では阻血のためカフをマニュアルで吸気するため測定者の補助を必要とした。さらに保存された上腕動脈長軸側エコー画像から血管径をノギスなどを使い算出するには時間がかかり測定者間の誤差が大きくなる場合があった。
このような問題点を解決するために、例えば、特許文献2には、血管の内皮細胞が機能不全を生ずることによって起こる血管拡張反応の低下を、動脈硬化の初期診断として血管のしなやかさを非侵襲的に測定する血管径測定システムが開示されている。
なお、本発明の基本的背景をなすエコーを使った内臓脂肪厚の評価法は、1993年頃、鈴木良一氏らによって提唱された(非特許文献5,6参照。)。
その後、この評価法に改良が加えられ、2002年ごろ田所直子氏らにより腹膜前脂肪厚(Preperitoneal Fat Thickness: PFT)測定法として提唱された(特許文献7参照。)。
また、肥厚度の最大値であるPFTmaxは、マニュアルではかろうじて計測できるものの、比較的安定して計れる肥厚の平均PFTmeanは容易ではないという問題点が有った。
そこで、本発明に際しては、ソフトウエアと組み合わせることで白線、腹膜線を自動認識させ、かつ平均肥厚度PFTmeanを内臓脂肪肥厚度として自動計測させる手段を開発することが課題であった。
さらに、本発明に際しては、メタボリックシンドロームではゴールドスタンダードとされている内臓脂肪をCTで計った面積法と関連づけるため前記田所直子氏らの論文で既に発表されているCT法とPFT法との相関式をCT法推定値として一緒に算出する機能を盛り込むことが課題であった。
なお、経過的には内臓脂肪が最初で、その後、血管内皮機能が低下し、頸動脈肥厚度が大きくなるという順序を辿るため、前述のPFT、IMTおよび%FMDを総合して評価出来る手段の開発は、メタボリックシンドロームへ辿る過程の評価をも可能にする手段が開発できることになる。
そこで、本発明に際しては、内臓脂肪をウエスト周径測定手段とCTスキャン法との中間の手段として、被爆の問題も無く従来から使われていたエコー法を使用し、さらにメタボリックシンドロームの結末である身近な動脈硬化症の内、血管の肥厚度と血管を膨らます能力の低下とを内臓脂肪と共に統合評価することで、被験者本人のメタボリックシンドロームの状態を、解りやすく提供できるシステムを開発することが課題とされた。
即ち、本発明に際しては、基本的には、メタボリックシンドロームに対する、より現実的な評価ツールを提供することを課題としている。
本発明の請求項1の目的は、上述した目的を達成するために、超音波を使用する簡単な構成で、市販の安価なエコー装置とパーソナルコンピュータを用いて、メタボリックシンドロームの危険度を、容易に且つ迅速に総合的に判定し得ると共に、特に内臓脂肪の蓄積と血管内皮機能の低下と、頸部動脈肥厚度の増大という各症状を個別に評価すると共に、これら各評価要素に基づいてメタボリックシンドロームの危険度を総合的に判定し得るメタボリックシンドローム血管評価システムを提供することにある。
また、本発明の請求項3の目的は、特に、エコー画像から計測に必要な部分はテンプレートでカットし、カットしたエリア内で白線部分に白線の最大輝度ポイントを自動計測させるため、最初ガイドラインを手動で引きそのガイドラインから前後に設けた白線自動検出帯内で最大輝度ポイントを自動的に検出させることを可能にし、また、同様に、腹膜線においても腹膜自動検出帯を白線同様に設けて同様に自動検出させることを可能にすることにある。
また、本発明の請求項4の目的は、特に、最大輝度ポイントとして白線、腹膜で自動検出したポイントがエコー画質の劣化により修正が必要な場合、消しゴムやペンなどの修正ツールで消去することを可能にし、さらに修正後そのポイントに対して最小自乗法などの統計処理を使って白線、腹膜線を回帰曲線で表すことを可能にすることにある。
また、本発明の請求項6の目的は、特に、今後、臨床データが増えて推定式が変更されても永続的に使って行くことを可能にすることにある。
また、本発明の請求項7の目的は、特に、本システムの信頼性を高めると共に、その構築を容易にすることにある。
さらに、本発明の請求項8の目的は、特に、内臓脂肪の蓄積が血管内皮機能を劣化させ、また血管を肥厚させ、さらに動脈硬化に至るメタボリックシンドロームの進行状況を時間経過と共に、かつ視覚的に把握させることにある。
前記超音波診断手段として、頸動脈にプローブを当て頸動脈の血管肥厚度を測定する頸動脈血管肥厚度検査手段と、上腕動脈にプローブを当て血流依存性血管拡張反応を測定する上腕動脈血管内皮検査手段と、プローブを腹部上部に当て腹膜前内臓脂肪の肥厚度を測定する腹膜前内臓脂肪肥厚度検査手段と、を備えたことを特徴としている。
また、本発明の請求項3に記載の前記メタボリックシンドローム血管評価システムにおいて、前記ライン検出手段は、テンプレート上でプローブと皮膚接触面とを一致させて切り出された画像内で上部の輝度が幾分高くなる白線ガイドラインに沿ったマウス移動および白線ガイドラインの下に表示される腹膜線の腹膜ガイドラインとに沿ったマウス移動によって抽出される白線と腹膜線とから、予め手入力された検出帯ガイドラインで囲われた範囲内で、前記白線の最大輝度ポイントと前記腹膜線の最大輝度ポイントとを摘出することにより、前記白線の輝度ラインと前記腹膜輝度ラインとを決定する最大輝度検出手段を備えたことを特徴としている。
また、本発明の請求項5に記載のメタボリックシンドローム血管評価システムにおいて、前記ライン検出手段は、決定した白線最大輝度ポイント、腹膜前最大輝度ポイントを対象に最小自乗法による白線輝度回帰曲線および腹膜回帰曲線を引く手段を備えると共に、前記2つの回帰曲線からその間の距離を最大肥厚距離および平均肥厚距離を求めて、それぞれ最大内臓脂肪厚、平均内臓脂肪厚として算出する手段を備えることを特徴としている。
また、本発明の請求項6に記載のメタボリックシンドローム血管評価システムにおいて、前記総合診断・評価手段は、前記最大内臓脂肪厚および平均内臓脂肪厚と、我が国の内臓脂肪の標準である臍部輪切りCTから内臓脂肪面積を算出するいわゆるCT法との相関についての知見とに基づいて内臓脂肪面積を評価することを特徴としている。
前記超音波装置のデジタル出力を光結合により伝送するデータ伝送装置と、
前記データ伝送装置により伝送された血管の画像データに基づいて、血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置であって、前記デジタルの画像データの輝度値の移動平均値に基づいて基準位置を算出し、基準位置から血管の管壁部方向に向かって所定のピクセル範囲内における輝度値の極大値および極小値に基づいて血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置と、
を備えた血管膜厚測定装置を使用し、
前記上腕動脈血管内皮検査手段として、
エコーを用いて動脈の血管径を測定する血管径測定システムであって、
動脈を一定時間阻血させる阻血用カフと、
皮膚表面から超音波を発して反射してくる信号を検出して血管エコー画像を得るエコープローブと、
前記エコープローブを腕部に接触した状態で微調整可能に固定する着脱式固定バンドと、
胸部に接触させて前記血管エコー画像を心電位波RでトリガーさせるためのECG電極と、
阻血時間と阻血圧をコントロールし、安静期、阻血期、充血反応過程の各期であることを表示またはアラーム音で被験者に知らせる自動阻血装置と、
前記エコープローブによるエコー画像を前記ECG電極で同期して撮影し静止画像を得る汎用エコー装置と、
保存した前記静止画像から血管拡張による血管径を演算して求めるコンピュータ装置と、
を具備した血管径測定システムを使用することを特徴としている。
本発明の請求項1に記載のメタボリックシンドローム血管評価システムによれば、超音波を使用するプローブを被験者の被験部に当て、この被験部の画像を採取して診断し、この採取された画像データおよび診断結果を、デジタルまたはアナログの映像信号若しくは赤外線を含む光信号によってパーソナルコンピュータに伝送し、前記パーソナルコンピュータにおいてメタボリックシンドロームの危険度を総合的に判定する総合判断・評価手段を備えているので、簡単な構成で、市販の安価なエコー装置とパーソナルコンピュータを用いて、メタボリックシンドロームの危険度を、容易に且つ迅速に総合的に判定することができ、
また、本発明のメタボリックシンドローム血管評価システムによれば、内臓脂肪の蓄積と血管内皮機能の低下と、頸動脈肥厚度の増大という各症状を個別に評価すると共に、これら各評価要素に基づいてメタボリックシンドロームの危険度を総合的に判定することができる。
また、本発明の請求項5に記載のメタボリックシンドローム血管評価システムによれば、ライン検出手段は、決定した白線最大輝度ポイント、腹膜前最大輝度ポイントを対象に最小自乗法による白線輝度回帰曲線および腹膜回帰曲線を引く手段を備えると共に、この2つの回帰曲線からその間の距離を最大肥厚距離および平均肥厚距離を求めて、それぞれ最大内臓脂肪厚、平均内臓脂肪厚として算出する手段を備えるので、この2つの回帰線の距離から最大腹膜前内臓脂肪肥厚度、平均肥厚度を求めることで、計算誤差を低減させ、評価結果の信頼度を向上させることができる。
また、本発明の請求項7に記載のメタボリックシンドローム血管評価システムによれば、前記頸動脈血管肥厚度測定手段として、超音波により撮影した画像のデータをデジタルデータとして出力する超音波装置と、
前記超音波装置のデジタル出力を光結合により伝送するデータ伝送装置と、
前記データ伝送装置により伝送された血管の画像データに基づいて、血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置であって、前記デジタルの画像データの輝度値の移動平均値に基づいて基準位置を算出し、基準位置から血管の管壁部方向に向かって所定のピクセル範囲内における輝度値の極大値および極小値に基づいて血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置と、
を備えた血管膜厚測定装置を使用し、
前記上腕動脈血管内皮検査手段として、
エコーを用いて動脈の血管径を測定する血管径測定システムであって、
動脈を一定時間阻血させる阻血用カフと、
皮膚表面から超音波を発して反射してくる信号を検出して血管エコー画像を得るエコープローブと、
前記エコープローブを腕部に接触した状態で微調整可能に固定する着脱式固定バンドと、
胸部に接触させて前記血管エコー画像を心電位波RでトリガーさせるためのECG電極と、
阻血時間と阻血圧をコントロールし、安静期、阻血期、充血反応過程の各期であることを表示またはアラーム音で被験者に知らせる自動阻血装置と、
前記エコープローブによるエコー画像を前記ECG電極で同期して撮影し静止画像を得る汎用エコー装置と、
保存した前記静止画像から血管拡張による血管径を演算して求めるコンピュータ装置と、
を具備した血管径測定システムを使用することが可能であるので、本システムの信頼性を高めると共に、その構築を容易にすることができる。
特に、国民栄養調査で判明した我が国男性の50%がメタボリックシンドローム予備軍であるという危機的状況の解消を意図する。さらに成立したばかりの食育基本法では、小児肥満が増加している我が国でも食の教育に力を入れようとしているが、本発明は、この動きにも呼応している。本発明により我が国の生活習慣病が抑えられ、延いては医療費削減にも通じる効果が期待できる。
即ち、従来は、バラバラで評価されていた危険度の評価が、最近では、メタボリックシンドロームという総合的な危険度の評価で統合される動きにあるので、このような時代背景にも鑑みた血管評価システムを提供するものである。
本発明に係るメタボリックシンドローム血管評価システムは、計測部位は血管、内臓脂肪厚などと異なってはいるが、共通してエコーを用いて厚みを測る手段を有する。
内臓脂肪の蓄積は、アディポサイトカインと総称される脂肪細胞由来の生理活性物質の産生異常が継続的にもたらされて、カスケード的に異常発生するリスクのことを、メタボリックシンドロームと統一して、総称しているのである。
従って、時間経過と共に異常発生のリスクが増していく実態環境において、本発明に係る統合的な評価方法は、メタボリックシンドロームに対する有効な計測方法となる。
PFTによる内臓脂肪蓄積が、血液の性質を変化させ、血管を保護している内皮の機能(%FMD)を阻害させると、その先には、動脈硬化の初期症状である血管肥厚(IMT)が待っているといった具合に、一連の時間経過を辿ってカスケード的な異常が進行することが知られている。
以下、本発明のメタボリックシンドローム血管評価システムの最良の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の実施の形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムで行われる各処理を示す説明図である。 同図において、総合診断・評価は、既に開発されている頸動脈血管肥厚度(IMT)検査工程(例えば、特許文献1参照)と、同じく既に開発されている上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査工程(例えば、特許文献2参照)と、本発明の特徴的な診断工程である腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査工程と、同じく本発明の特徴的な診断工程である総合診断・評価工程とで構成される。
図2は、本発明の実施の形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムの全体構成を示す構成図である。
同図において、本実施形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムは、LAN10を介して通信可能に接続された、腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査装置1と、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2と、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3と、総合診断・評価装置4(パーソナルコンピュータシステムで構成される)と、を具備する。
LAN10は、有線または無線のLAN(Local Area Network)であり、有線の場合は、銅線ケーブルまたは光ファイバを使用することができる。また、無線の場合は、通常の電磁波の他、可視光線または不可視光線(赤外線等)を使用することができる。さらに、通信方式は、アナログ方式とデジタル方式のいずれも可能であり、映像信号の変調・復調方式は、任意の方式が可能である。
腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査装置1、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3、総合診断・評価装置、のいずれにおいてもコンピュータシステムを構成要素とすることができる。
なお、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2と、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3との具体的な構成例および使用方法については後述する。
メタボリックシンドロームに関与する評価として、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3では、前腕を5分阻血させた後、阻血開放一分後の血管拡張反応を安静時の血管径と拡張後の血管径との比率で上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)を計測する。この計測方法は、従来から行われているマニュアル法や、特許文献2等に開示されたコンピュータを使用した計測法が使用可能である。なお、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3の構成例および測定方法については後述する。
また、メタボリックシンドロームに関与する評価として、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2では、頸動脈血管の肥厚度を計測する。この計測方法も、従来から行われているマニュアル法や、特許文献1等に開示されたコンピュータを使用した計測法が使用可能である。なお、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2の構成例および測定方法については後述する。
この計測方法は、コンピュータを使用した計測手法が使用可能である。 前述の各装置で用いるプローブは、理想的にはIMT,FMD計測の場合は7.5〔MHz〕のリニアプローブとし、PFT計測の場合は5〔MHz〕のリニアプローブとするのが最適である。なお、その他として、5〜7.5〔MHz〕に渡るワイドレンジのプローブ1本で計測することも可能である。
さらに、PFT計測の場合は、腹部エコーではポピュラーな3.5〔MHz〕コンベックス式プローブも同様に使用可能である。
さらに本発明のもう一つの形態である内臓脂肪の計測法について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムにおける腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査装置1の一使用例を示す説明図である。
リニアプローブ11では、剣状突起と臍の線を左右に少し外しながら、腹直筋の間に有る白線をクリアに描画させる。リニアプローブ11を縦断的に臍から剣状突起に移動させて行くと、縦断像13の白線に下の層で肝臓の上部に腹膜線が白く描出してくるので、肝臓面が剣状突起部に近づく辺りで、肝臓の縁が落ち込む辺りを含ませてプローブの位置を固定させる。その際、被験者に軽く息を吸い込んでもらった後、そのまま少しの間息を止めたままにしてもらって画像を固定させる。
従って、この座位の場合と前述の仰臥の場合とを混合して測定するのは避けるべきであり、どちらか一方に統一する方が誤差が少ない。
図4は、被験者12の横断像と縦断像(エコー画像)の腹直筋、肝臓、白線、腹膜線、内臓脂肪の位置関係を示す説明図である。
また、図5は、被験者12の腹部の縦断像を示す説明図である。
さらに図6は、被験者12の縦断像から白線と腹膜線のデータを抽出する方法を示し、図6(a)は被験者12の縦断像を、図6(b)は被験者12の縦断像から抽出された白線と腹膜線のデータを、図6(c)は被験者12の縦断像における輝度−エコー深度特性を、それぞれ説明するグラフを示している。
図6(a)では、テンプレートを使ってテンプレート上でプローブと皮膚接触面とを一致させて切り出す場合が示されている。このようにして切り出された画像内で、上部の輝度が幾分高くなる白線(図6(a)の白線ガイドライン)と、その下の腹膜線(図6(a)の腹膜ガイドライン)とに沿って、前記図示しないコンピュータに付属するマウス(図示は省略)を移動させる。この時、直線の折れ線部分ではマウスをクリックして白線と腹膜線のデータを抽出する。
肝臓と皮膚の間には腹直筋があるため白線を巧く描画させられないと複雑な輝度の高いラインが交差して完全自動ではなかなか巧く検出できない場合が多い。そこで、本発明の実施形態では、上記のとおり、手操作と自動処理とを組み合わせている。
次に、この検出帯のなかで最大輝度ポイントを自動検出させる。検出した両最大輝度ポイントは、奇麗に羅列して得られる場合(図6(c))ばかりではなく、エコーの画質が元々あまりクリアでないため、時々ピークのポイントが外される場合や、グラフが滑らかでない場合が有り得る。このような場合は不要なポイントを消したり、追加したりすることができる消しゴムやペンツールの機能を設けておくと便利である。また、グラフが滑らかでない場合は最小自乗法など統計的手法を使って回帰曲線で決めることも有効である。
図7は、抽出された白線と腹膜線のデータから、最小自乗回帰線(n次多項式回帰曲線)を求める方法を説明する説明図である。
図7で示すグラフでは、抽出された白線と腹膜線のデータから、白線から計算して得られた最小自乗回帰線:L1=Cn・Xn+Cn-1・Xn-1+・・・・C0と、腹膜線から計算して得られた最小自乗回帰線:L2=Cn・Xn+Cn-1・Xn-1+・・・・C0とが、それぞれ得られた場合を示している。従って、このL1とL2とから、最大内臓脂肪肥厚度PFTmax、平均内臓脂肪肥厚度PFTmeanを求めるのであり、ここが、本発明の特徴的な部分である。
日本ではメタボリックシンドロームは、先ず内臓脂肪が蓄積することから始まる内臓脂肪成因説が採られているため、本説明図の「土台」に内臓脂肪症候群を配置している(図8ではリンゴ型肥満の人体図で示している)。
危険度の基準は、推定CT法として内臓脂肪面積100〔cm2〕以上を内臓脂肪肥満とする。代謝異常の結果、最初に血管の内皮機能に影響がおよび血管の硬さでなく内皮から発生した一酸化窒素NOが血管平滑筋を膨らますので、この血管平滑筋を膨らます能力を前記「土台」の上に「積み上げ1」として配置している。ここで、%FMDの基準は、発表された論文などから3.5%以下を要注意群とする。さらに時間が経過すると早期動脈硬化の現象として血管の内膜中膜複合体肥厚現象が出現するので、この内膜中膜複合体肥厚度IMTを前記の「積み上げ1」の上に「積み上げ2」として配置している。ここで、その基準は、我が国の基準であるIMT=1.1mm以上を要注意とする。従ってリスクが高いのは、メタボリックシンドローム域に有り、かつ血管を膨らます能力がリスク域にあり、さらに血管の肥厚がリスク域にある状態の被験者であることになる。
また、特にエコーを使うことで、実際の生体内を直接覗いて診断できるメリットを有するため、今後、メタボリックシンドロームの深刻さを啓蒙する役割を果たすと共に、その診断方法の普及に有効な手段を提供するものである。 図9は、本発明の実施形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムが総合的に判定するメタボリックシンドロームの危険度を判定するために表示される図を示す説明図である。 本実施形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムの総合的な診断方法では、図1に示すとおり、LAN10を介して通信可能に接続された、腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査装置1と、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2と、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3と、総合診断・評価装置4(バーソナルコンピュータシステム)と、を具備しているが、総合診断・評価装置4では、腹膜前内蔵脂肪肥厚度(PFT)検査装置1で計測されたPFTと、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2で計測されたIMTと、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3で計測されたFMDとを総合してメタボリックシンドロームの危険度を判定している。
さらに、内臓脂肪が蓄積する時期と血管内皮が機能を損なう時期、さらに血管の肥厚が始まる時期の時間的なタイムラグを考慮し独立変数として考慮すればそれぞれ前述の判断指数であるMet_Sの代わりに、内臓脂肪肥厚度PFT[mm],内皮機能評価%FMD[%],血管肥厚度IMT[mm]の説明変数で重回帰することでメタボリックシンドロームのリスクを表現できる。この場合、例えば、総合的な危険度を示す指標は、1つの重回帰式:a・IMT+b・(1/%FMD)+c・PFTのように示すことができる。このような重回帰式も図9で示す図に併記される。
次に、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2および上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3の1構成例および測定方法について、順に説明する。
但し、頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置2の詳細については特許文献1に開示されており、以下で示すのはその1実施形態である。また、上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3の詳細については特許文献2に開示されており、以下で示すのはその1実施形態である。
図10に示す本装置の小型リニア型超音波装置21は、パーソナルコンピュータ程度の大きさを有している。超音波プローブの周波数は高い程距離の分解能が増してくるが、あまり高過ぎると減衰が大きく深部にまで達することができない。そこで、頸動脈の位置を考慮して、この超音波装置21においては、7.5〔MHz〕〜10〔MHz〕のリニアプローブ22を使用している。また、距離分解能は、プローブ周波数波長の1/2が論理的限界値であるため、音速を1,500〔m/s〕とすれば、ほぼ0.1〔mm〕まで測定することができる。
また、この超音波装置21には、フォトアイソレータ23によりフォトアイソレーションされたデジタル出力ボード24が取り付けられる。このデジタル出力ボード24により、前記リニアプローブ22によりデジタルデータとして読み込む画像を、デジタルデータのまま出力することができる。更に、超音波装置21と後述するパーソナルコンピュータ25とがフォトアイソレーションされていることにより、医療用としての安全性が確保される。
また、パーソナルコンピュータ25には、PCIバスが装備されており、このPCIバスには、デジタル入力ボード26が装着される。このデジタル入力ボード26は、接続ケーブル27およびフォトアイソレータ23を介して前記超音波装置21のデジタル出力ボード24と接続されており、デジタル出力ボード24から出力されるデータを入力する。このデータは、パーソナルコンピュータ25のメモリ部に格納される。なお、本装置においては、オプションとしてプリンター28をパーソナルコンピュータ25に接続するようにしても良い。このように構成すれば、測定結果をプリントアウトすることができる。
図11は、人体における一般的な動脈の構造を示す断面図である。
また、図12は、人体における動脈の様々な症例を示す断面図である。
人体の動脈は、図11に示すように、内部から内膜、中膜、外膜と3層に分かれており、病変により内膜または中膜の肥大が生じることが知られている。例えば、図12に示すように、動脈硬化症においては内膜が肥大し、高血圧症においては中膜が肥大する。従って、内膜または中膜の厚さを測定することにより、それぞれの症状を診断することができる。
この測定の対象には、頸動脈を用いる。皮膚下2〜3〔cm〕にある頸動脈は管径が5〔mm〕程あり、超音波画像が容易に捕らえやすい位置にあるためである。
図13に示すように、頸動脈は、元の総頸動脈が首の近くで内頸動脈と外頸動脈とに分かれる。IMTの計測に際しては、この内外頸動脈の分岐部から総頸動脈へ向かってプローブ22を押し当て、縦断的に測定を行う。
まず、プローブ22を用いて総頸動脈に超音波を発射すると、超音波は、組織の密度変化がある部位で反射されてくるため、内膜の部位、また外膜の部位でより強く反射される。
図14は、総頸動脈に超音波を発射して得られる超音波画像の一例を示す説明図であり、図14(a)は超音波画像の一例、図14(b)は超音波画像のイラストを、それぞれ示すものである。
しかしながら、輝度変化を目視で測定し、この測定結果から内膜と中膜の厚さを0.1〔mm〕の精度で求めるのは極めて困難な作業である。特に、血管は直管形状ではなく、微妙に蛇行した形状を有しているため、血管の壁面に対して垂直な方向を目視によって見極めることは困難であり、精度の良い測定を行うことはできない。
同図に示す本実施形態に係るメタボリックシンドローム血管評価システムにおける上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置3は、上腕動脈を一定時間阻血させる阻血用カフ31と、上腕動脈を長軸側からリニアーエコープローブをBモードで安定して観測するための面ファスナバンド固定具で微調整可能に取り付けたエコープローブ32と、そのアタッチメント100と、エコー画像を心電位波Rでトリガーさせるために必要なECG電極33と、阻血時間と阻血圧をコントロールしアラームまたは表示器で各段階、即ち、後述するように、安静期、阻血期、充血反応過程の各期を被験者に知らせる自動阻血装置34とを、備える。
また、7.5〔MHz〕〜15〔MHz〕のBモードリニアプローブが使え、エコー画像をECG電極33で同期させることが出来る汎用エコー装置35と、保存した上腕動脈長軸静止画像から血管拡張による血管径を自動的に算出するコンピュータ装置36とを、備えて構成される。
被験者12は、左手上腕部に阻血用カフ31とエコープローブ32とを備えたアタッチメント100を取り付けて、ECG電極33を胸部に接触固定して測定を行う。
2 頸動脈血管肥厚度(IMT)検査装置
3 上腕動脈血管内皮拡張度(FMD)検査装置
4 総合診断・評価装置
10 LAN
11 リニアプローブ
12 被験者
13 縦断像
14 横断像
21 超音波装置
22 リニアプローブ
23 フォトアイソレータ
24 デジタル出力ボード
25 パーソナルコンピュータ
26 デジタル入力ボード
27 接続ケーブル
28 プリンター
31 阻血用カフ
32 エコープローブ
33 ECG電極
34 自動阻血装置
35 汎用エコー装置
36 コンピュータ装置
100 アタッチメント
Claims (8)
- 超音波を使用するプローブを被験者の被験部に当て前記被験部の画像を採取して診断する超音波診断手段と、前記超音波診断手段によって採取された画像データおよび診断結果を、デジタルまたはアナログの映像信号若しくは赤外線を含む光信号によってパーソナルコンピュータに伝送する手段と、前記パーソナルコンピュータにおいてメタボリックシンドロームの危険度を総合的に判定する総合診断・評価手段と、
を備え、
前記超音波診断手段として、頸動脈にプローブを当て頸動脈の血管肥厚度を測定する頸動脈血管肥厚度検査手段と、上腕動脈にプローブを当て血流依存性血管拡張反応を測定する上腕動脈血管内皮検査手段と、プローブを腹部上部に当て腹膜前内臓脂肪の肥厚度を測定する腹膜前内臓脂肪肥厚度検査手段と、を備えたことを特徴とするメタボリックシンドローム血管評価システム。 - 前記腹膜前内臓脂肪肥厚度検査手段は、腹部上部にプローブを縦断的あるいは横断的に当てた時の腹膜前内臓脂肪厚像を採取して前記パソコンに送出し、さらに前記総合診断・評価手段は、前記パソコン内に送出された前記腹膜前内臓脂肪厚像から腹直筋が交差するラインである白線の輝度ラインと肝臓の上部に位置する腹膜輝度ラインとを検出するライン検出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
- 前記ライン検出手段は、テンプレート上でプローブと皮膚接触面とを一致させて切り出された画像内で上部の輝度が幾分高くなる白線ガイドラインに沿ったマウス移動および白線ガイドラインの下に表示される腹膜線の腹膜ガイドラインとに沿ったマウス移動によって抽出される白線と腹膜線とから、予め手入力された検出帯ガイドラインで囲われた範囲内で、前記白線の最大輝度ポイントと前記腹膜線の最大輝度ポイントとを摘出することにより、前記白線の輝度ラインと前記腹膜輝度ラインとを決定する最大輝度検出手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
- 前記腹膜前内臓脂肪肥厚度(PFT)検査手段では、前記検出された白線の最大輝度ポイントと腹膜線の最大輝度ポイントとを、共にペンまたは消しゴムを範疇に含むツールによって修正可能であり、さらに前記修正後の前記白線の最大輝度ポイントと前記腹膜線の最大輝度ポイントとを対象にして、最小自乗法による白線輝度回帰曲線および腹膜回帰曲線を求めることを特徴する請求項3記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
- 前記ライン検出手段は、決定した白線最大輝度ポイント、腹膜最大輝度ポイントを対象に最小自乗法による白線輝度回帰曲線および腹膜回帰曲線を引く手段を備えると共に、前記2つの回帰曲線からその間の距離を最大肥厚距離および平均肥厚距離を求めて、それぞれ最大内臓脂肪厚、平均内臓脂肪厚として算出する手段を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
- 前記総合診断・評価手段は、前記最大内臓脂肪厚および平均内臓脂肪厚と、我が国の内臓脂肪の標準である臍部輪切りCTから内臓脂肪面積を算出する、いわゆるCT法との相関についての知見とに基づいて内臓脂肪面積を評価することを特徴とする請求項5記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
- 前記頸動脈血管肥厚度測定手段として、超音波により撮影した画像のデータをデジタルデータとして出力する超音波装置と、
前記超音波装置のデジタル出力を光結合により伝送するデータ伝送装置と、
前記データ伝送装置により伝送された血管の画像データに基づいて、血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置であって、前記デジタルの画像データの輝度値の移動平均値に基づいて基準位置を算出し、基準位置から血管の管壁部方向に向かって所定のピクセル範囲内における輝度値の極大値および極小値に基づいて血管の内膜中膜複合厚を算出するデータ解析装置と、
を備えた血管膜厚測定装置を使用し、
前記上腕動脈血管内皮検査手段として、
エコーを用いて動脈の血管径を測定する血管径測定システムであって、
動脈を一定時間阻血させる阻血用カフと、
皮膚表面から超音波を発して反射してくる信号を検出して血管エコー画像を得るエコープローブと、
前記エコープローブを腕部に接触した状態で微調整可能に固定する着脱式固定バンドと、
胸部に接触させて前記血管エコー画像を心電位波RでトリガーさせるためのECG電極と、
阻血時間と阻血圧をコントロールし、安静期、阻血期、充血反応過程の各期であることを表示またはアラーム音で被験者に知らせる自動阻血装置と、
前記エコープローブによるエコー画像を前記ECG電極で同期して撮影し静止画像を得る汎用エコー装置と、
保存した前記静止画像から血管拡張による血管径を演算して求めるコンピュータ装置と、
を具備した血管径測定システムを使用することを特徴とする請求項1に記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。 - 前記総合診断・評価手段は、前記頸動脈血管肥厚度検査手段による測定結果の頸動脈の血管肥厚度が示す危険度の評価と、前記上腕動脈血管内皮検査手段による測定結果の血管拡張度%FMDの逆数である1/%FMDが示す危険度の評価と、前記腹膜前内臓脂肪肥厚度検査手段による測定結果の腹膜前内臓脂肪肥厚度が示す危険度の評価との積み重なり状態を数値で表すと共に、前記超音波診断手段に属する前記各手段の測定結果を重回帰して得られる数値の大きさに基づいて、前記被験者の総合的なメタボリックシンドローム危険度を評価し、ランク付けすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のメタボリックシンドローム血管評価システム。
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