JP2013066629A - トロカール・カニューレ - Google Patents

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Abstract

【課題】 基部120が眼球A上で安定し、転動しないようにしたトロカール・カニューレ100を提供する。
【解決手段】 基部120と、基部120に立設され、基部120より小さい径の中空パイプ状のカニューレ110と、を備えるトロカール・カニューレ100であって、基部120に前記カニューレ110の中心軸bとの角度αが鈍角となる斜面120aを形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は眼科の手術に使用するトロカール・カニューレに関する。
眼科手術では、トロカール・カニューレを使用している(たとえば特許文献1)。図5は、従来のトロカール・カニューレの側面図である。同図に示すように、トロカール・カニューレ10は、先端を斜めに切断して形成した中空パイプ状のカニューレ11と、その基部12とからなる。基部12は、おおよそ円筒形で、その軸方向の長さの約1/2程度を非円形とし、ホルダ14で把持できるようになっている。円筒形カニューレ11の中空部は、基部12を貫通していて、一方のホルダ14は、刺通針13を備えている。刺通針13をトロカール・カニューレ10に通し、基部12をホルダ14に装着すると、刺通針13がカニューレ11の中空部を貫通して先端がカニューレ11から突出した状態にセットされる。
図6は図5に示すトロカール・カニューレ10を眼球Aに刺通した状態を示す図である。ホルダ14と刺通針13とを図5に示すようにセットされたトロカール・カニューレ10を、刺通針13で眼球Aの強膜を刺通して眼球内に進入させる。トロカール・カニューレ10を眼球Aに進入させると、基部12が強膜に当接することでストッパとなり、トロカール・カニューレ10は、眼球Aに刺通された状態に保持される。この後、ホルダ14と刺通針13を抜き取り、代わりに、外科用の各種の手術器具や、モニター用の光学機器などが挿入される。したがって、トロカール・カニューレ10は1つの眼球Aに、通常3、4本刺通されることになる。
図6に示すが、トロカール・カニューレ10の中心線bは、眼球Aの法線aに沿って刺通される場合は少なく、通常中心線bは法線に対し30〜45゜の角度で挿入される。
このとき、基部12がほぼ円筒形状で、基部12からカニューレ11が立ち上がる位置における基部12の表面12aが平面で、かつ、円形になっていると、基部12の角部12bが眼球Aの強膜にあたり、カニューレ11の進入が浅くなり、抜け易くなる、という問題が起こる。
また、眼球Aと基部12との接触部は角部12bにおける点接触となり、トロカール・カニューレ10の基部12は、眼球A上を左右に転動することができるようになる。トロカール・カニューレ10の基部12が眼球上で転動すると、カニューレ11の先端も眼球内で揺動することになり、網膜などを傷つけるおそれがある、という問題が生じる。
また、最近のカニューレ11は23ゲージより細くなっており、抜き取った後に残る眼球Aの孔は、縫合しなくても自己閉鎖するようになっている。しかし、基部12が眼球A上で転動すると、カニューレ11が眼球Aを刺通している孔が大きくなってしまい、自己閉鎖しにくくなる、という問題もある。
特開2008−194465号
上記の問題に対し、特許文献1では、図7に示すように、基部12のカニューレ11との接続する部分を、円錐面12cにしたトロカール・カニューレ20を提案している。
図8は、この特許文献1のトロカール・カニューレ20を眼球Aに刺通した状態を示す図である。円錐面12cがあるので、トロカール・カニューレ20は、図6の場合より眼球Aに深く進入している。しかし、眼球Aとの接触部が円錐面12cなので、基部12が眼球上で転動するのを防止することはできない。そのため、カニューレ11の先端が眼球内で揺動して、網膜などを傷つけたり、眼球Aを刺通している孔が大きくなるおそれがある。
本発明は、上記の問題の解決を図ったもので、基部が眼球上で安定し、転動しないようにしたトロカール・カニューレを提供しようとするものである。
上記の目的を達成するために本発明のトロカール・カニューレは、基部と、該基部に立設され、基部より小さい径の中空パイプ状のカニューレと、を備えるトロカール・カニューレであって、前記基部に前記カニューレの中心軸の先端方向に対する角度が鈍角となる斜面を形成したことを特徴としている。この斜面は平面でもよく、凹状の曲面でもよい。また、前記カニューレの先端面が傾斜しており、前記斜面の向きが、前記カニューレの先端面の向きと一定の関係となっていることが好ましく、特に、前記斜面の傾斜方向と前記先端面の傾斜方向が同じ側であることが好ましい。
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
刺通針の付いたホルダにトロカール・カニューレを装着し、刺通針をカニューレの先端に突出させる。この状態で、刺通針で強膜を刺通し、この刺通針をガイドとしてカニューレを眼球内に挿入した後、トロカール・カニューレの基部に形成された斜面が眼球と接触するようにセットする。その後、刺通針とホルダをトロカール・カニューレから取り出す。斜面が眼球に接触すると、トロカール・カニューレと基部とは面接触となるとともに、基部は眼球上を転動することができず、トロカール・カニューレは、安定した状態を保つ。また、前記カニューレの先端面が傾斜し、横断面が楕円形などの形状になっていることで、刺通針で刺通した刺通孔にスムーズに進入させることができる。また、斜面の向きが、カニューレの先端の向きと一定の関係となっているので、斜面の向きを確認することで、先端の向きがどうなっているのかが分かる。また、斜面の傾斜方向とカニューレの先端面の傾斜方向とを同じ側とすることで、長い側(突出側)を網膜に近い側にすることが出来、よって確実に網膜を貫通させることができる。
本発明のトロカール・カニューレによれば、基部に斜面が形成されているので、カニューレが深く眼球内に進入して抜け出し難くなる。また、基部に形成された斜面によって基部が眼球上を転動することがなくなり、眼球上のトロカール・カニューレが安定し、カニューレの先端の揺動も止まり、眼球内を損傷することがなくなる。さらに、眼球に穿設された刺通孔を拡大することがなくなり、自己閉鎖もし易くなる、という優れた効果を奏する。斜面の向きを見ることでカニューレの先端の向きが分かるとともに、網膜に近い側に位置させることができるため、網膜を不完全に貫通するおそれが無くなり、そのため網膜内に灌流液がたまってしまう等の不具合を回避することができる。
本発明のトロカール・カニューレの第1実施例の斜視図である。 本発明のトロカール・カニューレの側面図である。 (a)はトロカール・カニューレの使用状態を示す図で、(b)は、斜面と眼球との接触部の拡大図である。 本発明のトロカール・カニューレの第2実施例の側面図である。 従来のトロカール・カニューレの側面図である。 図5に示すトロカール・カニューレを眼球に刺通した状態を示す図である。 基部のカニューレとの接続する部分を、円錐面にした従来のトロカール・カニューレの図である。 図7に示すトロカール・カニューレを眼球に刺通した状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明のトロカール・カニューレの第1実施例の斜視図で、図2は側面図、図3(a)はトロカール・カニューレの使用状態を示す図で(b)は、斜面と眼球との接触部の拡大図である。
これらの図に示すように、トロカール・カニューレ100は、先端を斜めに切断して形成したことで先端面が傾斜した中空パイプ状のカニューレ110と、その基部120とからなる。基部120は、基本形状は円筒形で、その軸方向の長さの約1/2程度を非円形とし、ホルダ(図5参照)の当接面121を形成している。
円筒形カニューレ110は、基部120より小径で、その中空部は、基部120を貫通していて、図2に示すように、基部120の他端側から若干突出している。基部120には、カニューレ110の中心軸bとその先端方向でなす角αが鈍角になる斜面120aが形成されている。斜面120aは平面である。また、斜面120aとカニューレ110の先端面の傾斜の向きは同じ側になっている。つまり、カニューレ110の中心軸bと斜面120aとの関係と同様に、カニューレ110の中心軸bとその先端方向でなす角βが鈍角になる先端面110aが形成されている。先端面110aは楕円形状で、先端Pにより、刺通孔にスムーズに挿入できるようになっている。
本発明のトロカール・カニューレ100は、以上のような構成なので、図3(a)に示すように、使用することができる。すなわち、本発明のトロカール・カニューレ100を眼球Aに、法線との角度θ=30〜45゜の範囲で刺通する。そして、斜面120aが眼球Aに接触するまで押し込む。斜面120aが眼球Aに接触したときの眼球Aと斜面120aとの接触部を拡大して図3(b)に示すが、このように斜面120aと眼球Aとは、斜面120aの一端で接触し、他端では離反しているが、両者の成す角度は小さい。したがって、斜面120aの接触している一端側では、眼球Aと斜面120aとは近似的に面接触していると考えることができる。特に、眼球Aは柔らかいので斜面120aの殆どが接触している。すなわち、基部120は眼球A上に面で支えられることになるから、転動できず、トロカール・カニューレは眼球A上で安定した状態になる。基部120の転動が抑えられるので、カニューレ110の先端の揺動も抑えられ、眼球A内を損傷することが防止できる。また、眼球Aの強膜に穿設された刺通孔も大きくなることはない。したがって、自己閉鎖性も悪化しない。
斜面120aと中心軸bとの角度αの値であるが、トロカール・カニューレ100が、刺通角θ=30〜45゜で眼球Aに刺通されたとき、斜面120aが眼球Aとほぼ面接触できるような角度にすることから、90゜+30゜≦α≦90゜+45゜が望ましい。
図4は、本発明の第2実施例のトロカール・カニューレ101を示す側面図である。このトロカール・カニューレ101は、図1、図2に示す第1実施例のトロカール・カニューレ100と同じ構成で、斜面120bが凹状の曲面になっているところが相違しているだけである。眼球Aが球形なので、近似的な面接触をするのであれば、凹状の曲面120bとしても近似的な面接触の方が、接触面積を増加することができ、都合がよい。刺通角θや、図の角度αの値の範囲や、先端面の向きは、第1実施例と同じである。
凹状の曲面としては、球面以外に、楕円面や放物面あるいは、シリンドリカル面など、多様な曲面の形状を採用することができる。
また、凹状の曲面のR(曲率)は、眼球のRより大きくすることが好ましい。より安定した接触状態になり、転動することを抑制できる。
100,101 トロカール・カニューレ
110 カニューレ
120 基部
120a 斜面(平面)
120b 斜面(凹状の曲面)
a 法線
b トロカール・カニューレの中心線

Claims (3)

  1. 基部と、該基部に立設され、基部より小さい径の中空パイプ状のカニューレと、を備えるトロカール・カニューレであって、前記基部に前記カニューレの中心軸の先端方向に対する角度が鈍角となる斜面を形成したことを特徴とするトロカール・カニューレ。
  2. 前記斜面が平面または凹状の曲面であることを特徴とする請求項1に記載のトロカール・カニューレ。
  3. 前記カニューレの先端面が傾斜しており、前記斜面の向きが、前記カニューレの先端面の向きと一定の関係となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトロカール・カニューレ。
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