JP4095044B2 - 眼内観察用内視鏡 - Google Patents

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本発明は眼内の網膜下を観察するための眼内観察用内視鏡に関する。
まず、眼球100の構造について図7(a)を用いて説明する。図7(a)に示すように、光は、角膜101、水晶体(レンズ)102、及び硝子体腔103内の硝子体を通って網膜104上に像を結ぶ。網膜104の解像力は一様ではなく、黄斑部104aと呼ばれる中心部分が非常に高い解像力を有している。なお、網膜104の裏には、網膜104に栄養を供給するための脈絡膜105が存在し、更にその脈絡膜105を、卵の殻のような強膜106が包み込んでいる。更に、強膜106の前面は、結膜107によって覆われている。
網膜104内に張り巡らされた神経は、視神経108として強膜106の一部から眼球100の外に延びており、網膜104に映った物や形、色、光などの情報を脳に伝達する。なお、視神経108と網膜104との接点である視神経乳頭部104bは、黄斑部104aとは異なる位置に存在する。
このような眼球内の疾病の1つに、黄斑変性症と呼ばれる網膜下の病変が知られている。黄斑変性症は、主に加齢が原因でこの黄斑部104aに変性が発生し、視力低下を引き起こす病気である。黄斑部は、最も視力に対する影響の大きい箇所であるため、この位置に発生した病変は、非常に失明の原因となりやすい。
図7(b)を用いて、黄斑変性症の形態について詳しく説明する。図7(b)に示すように、網膜104と脈絡膜105との間には、色素上皮109と呼ばれる色素細胞の層が存在している。色素上皮109は正確には網膜色素上皮と呼ばれ、10層からなる網膜の最下層を形成するものであるが、ここでは説明を簡単にするため、色素上皮以外の9層を単に網膜と称し(正確には感覚網膜と呼ばれることもある)、色素上皮と区別する。なお、一般に網膜剥離とは、色素上皮と網膜との剥離をいう。
網膜104が機能するためには、脈絡膜105と色素上皮109と網膜104とが密着しており、脈絡膜105と網膜104との間で栄養や代謝物質をやりとりすることが不可欠である。ところが、加齢などが原因で、黄斑部104aの下側にある脈絡膜105から新生血管110が生えてくることがあり、その新生血管110が色素上皮109を押し上げ、色素上皮109と脈絡膜105との間に出血を生じたり、網膜104と色素上皮109との間に出血を生じたりする。これにより、網膜104や色素上皮109に栄養が行き渡らなくなり、結果として、その機能を失うことによって視力低下が起こる。これが黄斑変性症である。
網膜下の病変としては他にも存在するが、そのような病変に対し手術により治療を行なう場合には、網膜下に発生した新生血管や沈着物を直接取り除くことが行なわれる。そこで、図8及び図9を用いて、従来から行なわれている網膜下手術の流れについて説明する。
まず、図8(a)に示すように、患者200をベッド201の上に寝かせ、患者200の一方の眼球の上方に顕微鏡202を配置する。顕微鏡202には、1つの対物レンズ202aと2つの接眼レンズ202bと光源とが設けられており、術者203は、接眼レンズ202bを両目でのぞき込みながら、施術を行なう。
顕微鏡202による視野は図8(b)のように円形をなしている。顕微鏡202には、対物レンズ202aから取り込んだ光学画像を偏光して2つの光学画像を接眼レンズ202bに導く偏光部が設けられているため、術者203は患部を擬似的に立体視することが可能である。
図8(b)は、結膜107を角膜101の外縁に沿って切開し、強膜106を露出して、切開創211aを強膜106に作成して灌流路210を挿入し、更に、硝子体手術用コンタクトレンズをのせるためのレンズ台212を角膜輪部101aに縫い付けた状態を示している。切開創は灌流路210用の以外にも2つ生成されており、3つの切開創211a〜cは、何れも角膜輪部101aから約3.5mm離れた部位の強膜106に生成される。これにより、眼球内の網膜104の損傷を避けることができる。また、この部位には血管に乏しい組織しか存在しないため、出血も最小限にとどめることができる。2つの切開創211b、cは、器具(ライトガイド、硝子体カッター、レーザープローブ、硝子体手術用鉗子等)を硝子体腔103へ挿入するためのものであり、切開創211b、cから挿入される器具は、それぞれ左手用及び右手用となる。
レンズ台212には、硝子体手術用コンタクトレンズ213(厚さ5mmほどの透明なレンズ。形状は状況に応じて様々)が載せられる。これにより、手術中の角膜101の乾燥を防ぐことができ、透見性を保つことができる。
次に、図9(a)に示すように、切開創211b、cからライトガイド214と硝子体カッター215を硝子体腔103に挿入する。そして、手術室内の照明および、手術用顕微鏡の照明を消す。これにより、光源はライトガイド214のみとなる。ライトガイド214に照らされた部位の硝子体を硝子体カッター215で切除する。硝子体カッター215の先端には吸引口が設けられており、切断した硝子体を吸引して眼外に除去する。
硝子体の除去が終了すると、30−33gageの網膜下用カニューラを網膜下に刺入し網膜下に人工房水を注入し、限局した網膜剥離を生成する。そして、図9(b)に示すように剥離した網膜104(斜線部)に網膜切開創216を生成し、網膜下に器具を入れる。例えば、網膜下用の鉗子217を入れて操作することにより、病変218(網膜下沈着物や、網膜下の新生血管)を摘出する。以上が、従来から行なわれている網膜下の病変に対する手術の大まかな流れである。
しかしながら、網膜は剥離した状態では透明ではなく、ライトガイド214も網膜上に存在しているため、顕微鏡201を用いても、網膜下の病変をぼんやりとしか見ることができず、ほぼ経験と勘を頼りに手探りで手術が行なわれていた。そのため、その治癒率は低かった。
そこで、このような問題に対処するため、現在では、以下のような手術方法が考案されている。
すなわち、硝子体の除去後、30−33gageの網膜下用カニューラを網膜下に刺入し網膜下に人工房水を注入し、全網膜剥離を生成する。これにより、視神経乳頭部の網膜と、周辺部の網膜のみが眼球に固定された状態となる。その状態で、周辺部の網膜を全周360°切開する。すると、図10(a)に示す通り、網膜104は視神経乳頭104bを茎とした花びらのようになって硝子体腔103の中を浮遊する。これにより、図10(b)のように色素上皮109がほぼ完全に露出される。浮遊した網膜を器具で視野の外におしのけながら、病変部を顕微鏡により目視する。そして、硝子体手術用鉗子を用いて脈絡膜新生血管などの病変を抜去する。
抜去した部位は網膜色素上皮109が損傷しているため、そのまま網膜を元に戻すと、網膜104の黄斑部は損傷した網膜色素上皮上に復位していまい、黄斑部の機能が元に戻らない可能性がある。そのため、視神経乳頭を中心に網膜を回転させながら健常な網膜色素上皮の上に黄斑部を復位させる。以上が現在提案されている網膜下の病変に対する手術方法であり、この方法は、『全周網膜切開による黄斑移動術』と呼ばれている。
ところが、上述の全周網膜切開による黄斑移動術は、視力回復例も多く見られるが術後の重篤な合併症が欠点となっている。特に増殖性硝子体網膜症は約25%に起こり、複数回の手術を施行しても失明に至ることも多い。更に、黄斑部が予定通り移動しても、回旋斜視と呼ばれる術眼の状態のため、術後の両眼視はほぼ絶望的である。また更に、従来の手術方法を実現するためには、顕微鏡の対物レンズから網膜までの光路上に障害のないことが必須条件であり、角膜や水晶体(あるいは眼内レンズ)等の中間透光体が濁っている場合には、その手術を行なうことはほぼ不可能であった。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、網膜下を的確に視認でき、網膜下の病変に対して、より一層安全かつ確実な治療を実現することにある。
上記目的を達成するため、本発明にかかる内視鏡は、眼内を観察するための眼内観察用内視鏡であって、眼底から剥離された網膜に形成した開口から、先端を網膜下に挿入されるプローブと、前記プローブの後端に接続され、術者によって把持される操作部と、光学画像を電気信号に変換する撮像素子と、を備え、
前記プローブは、先端に配置された2枚のレンズと、該2枚のレンズから取り込まれた2つの光学画像を前記撮像素子に伝送するための画像伝送管と、網膜に形成された前記開口からの前記先端の抜け落ちを防止するため、前記プローブの外側に広がる脱落防止部と、を備えることを特徴とする。
前記脱落防止部は、流体を内部に流入させ、及び内部から流出させることによって伸縮可能なバルーンであることを特徴とする。
前記バルーンは、前記プローブの軸方向に2つ並んで設けられ、膨らんだ2つのバルーンによって網膜を狭持可能であることを特徴とする。
前記プローブは、前記バルーンに対して人工房水を注入するための注入管を更に内部に有すること特徴とする。
前記流路から流れ出た人工房水が網膜の裏側に付勢するように、プローブの先端においてプローブの後端側に向けて開口した流出口が設けられていることを特徴とする。
前記プローブは、前記画像伝送管を含む棒状部と、前記棒状部を取り囲む筒状部と、を有し、前記棒状部と前記筒状部との間に形成される空間が、網膜下に人工房水を流出するための流路となることを特徴とする。更に、棒状部は、前記筒状部に対して挿脱自在であることを特徴とする。
網膜下を明瞭に視認でき、網膜下の病変に対して、より一層安全かつ確実な治療を実現することができる。
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<概要>
本発明の実施形態の概要について説明する。網膜下の病変に対する手術において最も問題となるのは、網膜下の病変に対する視認性の向上であるが、従来は網膜下を視認しようとする内視鏡は全く存在しておらず、眼内における手術は特殊であるため、他の分野で用いられている内視鏡をそのまま用いることも到底できなかった。本実施形態にかかる内視鏡は、網膜下に挿入し、網膜下の病変を明瞭かつ安定的に視認するための機能を有するものである。具体的には、安全かつ有効な網膜下操作を得るために、極細であってかつ2本の光軸を持つ立体視内視鏡を用いる。それぞれの光軸で得られた網膜下の画像をデジタル処理し、手術用の顕微鏡の左右の鏡筒にディスプレイすることにより術者に術部を両眼視させ立体画像を得る。
網膜下へのアプローチは、まず人工房水を網膜下に注入し網膜全周に網膜剥離を作成する。網膜下に内視鏡と操作器具を挿入できる切開創を網膜に2ケ所作成する。網膜剥離を維持するため、内視鏡には人工房水を網膜下に持続的に流す経路を内包させる。内視鏡の網膜下挿入部位である先端部には、切開創よりもやや大きく膨らむバルーンを設け、そのバルーンを空気または人工房水で膨らませることにより、内視鏡の先端が網膜下から抜け落ちることを防止する。また更に、このバルーンが切開創を塞ぐことにより、網膜切開創から網膜上へ漏出する灌流液を最低限に抑え、術中の網膜剥離を維持し操作空間を保つことができる。
(第1実施形態)
<内視鏡の構成>
本発明の第1実施形態としての内視鏡の詳しい構成について、図1を用いて説明する。図1(a)は術者が左手で内視鏡1をもった状態を示す図であり、図1(b)は内視鏡1の先端部分の拡大斜視図であり、図1(c)は、内視鏡先端の端面図である。
図1(a)に示すとおり、内視鏡1は、眼内に挿入するプローブ3と、術者によって把持される操作部3とを備えている。プローブ3の外径は約2〜3mm、操作部3の外径は、約15〜20mmであることが好ましい。また、プローブ3は滅菌処理に耐えられる硬性材料から構成されている。
本内視鏡1の最も大きな特徴として、プローブ3先端から約3mm程度の位置の外周面にバルーン4が設けられている。バルーン4は、ゴムなどの弾性素材からなる円筒であり、その弾性力によりプローブ3の外周面に密着している。そして、バルーン4は、プローブ3内部から人工房水が注入されることによって外径が4〜5mm程度まで膨らみ(図1(a)の点線)、逆にバルーン4内の人工房水が流出することによって元通りに縮むような材質、及び薄さで構成されている。このバルーン4は、網膜に形成された開口からプローブ先端を挿入した後に膨らませて、プローブ3先端の抜け落ちを防止するための脱落防止部として機能する。ここで、バルーン4の材質は、網膜下用の鉗子などで簡単に穴を開けられる程度の強度が望ましい。そうすれば、万が一、バルーン内の流体を取り除くことができずに、バルーン4が萎まなくなった場合にも、網膜下でバルーンに穴を開けることでバルーンを小さくし、網膜切開創からプローブ先端を抜き出すことが可能となる。
一方、プローブ3後端の外周面には、目盛り6が設けられ、更にゴムなどの低侵襲素材からなるOリング5がその回りに取り付けられている。Oリング5は、強膜切開創からプローブを挿入する際に、強膜に当接し、プローブが所定長さ以上眼球内に挿入されることを防止するストッパとして機能する。そして、目盛り6は、内視鏡1を眼内に挿入した長さを把握するために用いられるものである。これらによると、内視鏡1を挿入しすぎて眼底を傷つけることを防止でき、更に、内視鏡1の挿入長さを容易に再現することが可能となる。なお、Oリング5のようなストッパは、プローブに沿って配置位置を変更できることが望ましい。つまり、眼球の大きさに合わせて、眼球内に挿入可能なプローブ長さを変更できる構成であることが望ましい。
図1(b)に示すように、プローブ3の先端部分には、2枚の微小レンズ10が内蔵されており、このレンズ10で取り込まれた2枚の光学画像が、内視鏡1に内蔵された撮像素子で電気信号に変換され、更にアンプで増幅されて、2系統のデジタル画像として手術用顕微鏡に入力され、術者の視界に立体表示される。
また、図1(c)に示す通り、内視鏡1は、棒状部3aと筒状部3bの二層構造になっている。そして、棒状部3aには、2つのレンズ10及びその光学画像伝送路と、2つのライトガイド11が含まれている。ライトガイド11は、操作部2内部または内視鏡1外部に設けられた光源からの光を、プローブ3の先端から照射するための光路であり、例えば、光ファイバーの束によって構成されている。また、棒状部3aの外周面と筒状部3bの内周面との間の空間12には、内視鏡1の外部から操作部2を経てプローブ3に流入した人工房水をプローブ3の先端へ導くための流路と、バルーン4に人工房水を注入するための注入路とが含まれている。
図2(a)は、内視鏡1の分解及び組み立てについて説明するための図である。内視鏡1は、メンテナンスがしやすいように、筒状部3bと棒状部3aとが取り外し可能となっている。そして、筒状部3b内に棒状部3aを挿入しつつ、筒状部3bの後端を操作部2に嵌め込むことによって、容易に内視鏡1を組み立てることが可能な構成となっている。なお、筒状部3bは、ディスポーザブルであることが衛生上望ましい。
図3(a)は、内視鏡1のプローブ3内部における流体の流れを説明するための図である。図3(a)に示すとおり、プローブ3の筒状部3bの内部には注入管7が配置されており、注入管7を流れてきた人工房水は、筒状部3bに設けられた開口8からバルーン4内に注入される。ここで、注入管7または注入管7までの流路には、所定の流体圧(流体抵抗)以上になると開放し、外部に流体を排出する逃がし弁が設けられていることが望ましい。なお、筒状部3bの先端には透明な封止部材が取り付けられている。この封止部材としてはガラス板の他、透明フィルムなどを用いることができる。
また、図3(b)に示すように、2つのバルーン4a、4bをプローブ3の軸方向に並べて設け、これら2つのバルーン4a、4bで網膜104を挟み込む構成でも良い。この場合、2系統の注入管7a、7b及び開口8a、8bが必要になる。なお、弾性素材からなる1つの管状部材が、バルーン4a、4bとして機能してもよい。
また、上述したように棒状部3aの外周面と筒状部3bの内周面との間の空間9は、人工房水をプローブ3の先端へ導くための流路として機能するが、プローブ3の先端部分には、この流路から流れ出た人工房水が網膜104の裏側に付勢するように、プローブの後端側に向けて開口した流出口13が設けられている。なお、ここでは、棒状部3aにライトガイド11を設けたが、棒状部3aの外周面と筒状部3bの内周面との間の空間9をライトガイドとして機能させてもよい。
図4は、内視鏡1の棒状部3a及び操作部2に含まれる光学系について説明するための図である。
図4において、2枚のレンズ10から取り込まれた光学画像は、それぞれ画像伝送路14を通って、操作部2に導かれる。操作部2には、ミラー15が設けられており、2系統の光路がそれぞれミラー15によって方向を変え、2枚のレンズ16を経て、撮像素子としてのCCD17に入力される。つまり、2枚の光学画像は、2枚のレンズ16で拡大され、CCD17によって電気信号に変換される。CCD17から出力された電気信号は、アンプ18によって増幅され、画像処理回路19に入力される。画像処理回路19では、光路上に存在する様々な影響を考慮した画像処理が行なわれる。これにより、光学系における歪みやノイズなどが取り除かれ、立体視に適した2枚のデジタル画像データが生成される。
画像処理回路19から出力された画像データは、インタフェースを経由して顕微鏡202に入力される。ここで、内視鏡1が、例えば、USBやIEEE1394といった汎用のインタフェースを有していれば、顕微鏡202に入力する前に汎用のコンピュータに入力して画像データを記憶したりすることを容易に行なうことができる。
以上のような内視鏡1に接続される顕微鏡202は、撮像素子によって生成された2枚のデジタル画像を、それぞれ表示する2つの表示デバイスを有している。そして、表示デバイスに表示されたデジタル画像を2つの接眼レンズに導く光路と、対物レンズから取り込んだ光学画像を2つの接眼レンズに導く光路と、を切り替える切替部を更に備えている。これにより、術者は、同じ体勢のまま顕微鏡画像と内視鏡画像とを切り替えて見ることができる。
また、顕微鏡202は、表示デバイスに表示されたデジタル画像と、対物レンズから取り込んだ光学画像とを、異なる経路から同時に2つの接眼レンズに導く画像伝送部を備えていてもよい。このような画像伝送部によれば、術者は、同じ体勢のまま顕微鏡画像と内視鏡画像とを同時に見ることができる。
<術式の説明>
以上のような内視鏡を用いた網膜下手術の術式について、以下に簡単に説明する。この術式は、大きく分けて、全網膜剥離の形成、立体内視鏡の網膜下挿入、病変部処置の3つの段階に分けて考えることができる。
(全網膜剥離の形成)
硝子体の除去までは、従来の術式と同様である。ただし、硝子体の除去が終了すると、30−33gageの網膜下用カニューラを網膜下に刺入し網膜下に人工房水を注入し、限局的な網膜剥離ではなく、全網膜剥離を作成する。つまり網膜7全体を網膜色素上皮および脈絡膜9より剥離させ、硝子体腔に浮遊させる。ただし、周縁部の網膜と、視神経乳頭部の網膜は、眼球に固定されている。
(内視鏡の網膜下挿入)
図5は、内視鏡1を網膜下に挿入した状態を示す眼球の断面図である。
まず、ほぼ完全に剥離させた網膜104に、内視鏡1挿入用の網膜切開創21aと、カッター、鉗子、レーザー等の器具20挿入用の網膜切開創21bを計2箇所作成する。眼内用の熱凝固プローブで網膜の一点を凝固することを繰り返すうちに、出血させることなく切開創を作成することができる。
内視鏡1のプローブ3を強膜切開創22a及び網膜切開創21aから網膜下に挿入する。次に、その状態で、バルーン4を膨らませる。具体的には操作部2に設けられたスイッチを操作することによりバルーン4に人工房水を注入する。このようにバルーン4が膨らんでいる様子は、顕微鏡202によって確認することができる。
網膜切開創21aからプローブ3の先端が抜け落ちてしまうと、網膜104が萎んでしまい、再度網膜下にプローブ3先端を挿入しようとしても困難な場合が多いと考えられる。また、内視鏡1による映像を見ながら鉗子などの器具で病変部を処置している最中に、プローブ3の先端が網膜104下から出てしまうと、器具の位置を見失ってしまい、非常に危険である。従って、プローブ3の先端付近の外周に、外側に向かって広がるバルーン4のような脱落防止部を設けることは、安定した手術を実現するために非常に有効である。
次に、プローブ3の先端部分に設けられた流出口13から、人工房水を網膜下に流出し、持続的に灌流を行なう。流出口13は、プローブ3の後端側に向かって開口しているため、人工房水は、流出口13から矢印の方向に流れ出て網膜104の裏側にぶつかり、網膜104は人工房水の流圧をうけてプローブ3の後端側に付勢される。これにより、網膜切開創21aからプローブ3の先端が抜け落ちてしまうことをより効果的に防止できる。なお、余分な灌流液(人工房水)は、器具20によって吸引されるか、或いは、網膜切開創21bから硝子体腔103へ流れだし、更に強膜切開創22a、22b、22cから眼外へ出る。
以上のようにして、網膜切開創21a、21bから内視鏡1と器具20を挿入した状態は、顕微鏡202によって図6(a)のように視認される。つまり、内視鏡1に内蔵されたライトガイド11によって照らされた範囲が剥離した網膜104と通してぼんやりと視認できる。図6(b)は、内視鏡1によって撮像された画像を示す図である。
このような内視鏡1による画像及び顕微鏡202による画像を見ながら、以下のように、網膜下の病変に応じた処置を行う。
(病変部処置)
網膜下の病態は以下の2つに分けることができる。
1:血腫、硬性白斑(糖尿病性網膜症で網膜下に沈着する脂肪の塊みたいなもの)等の沈着物
2:脈絡膜からのびてくる新生血管
このうち、1に関しては、本内視鏡を用いることにより、吸引除去を直視下で的確に行なうことができる。また、2に関しては、更に、小さいポリープ状の血管腫が脈絡膜に多数できる型、円盤状に新生血管膜が網膜色素上皮下あるいは上皮上にできる型、そしてこれらの混合型、の3つに分けることができ、これらに対し、本内視鏡を用いることにより、以下の処置を行なうことが可能となる。なお、ブルッフ膜とは、網膜色素上皮と脈絡膜の間にある薄い膜で、網膜色素上皮を裏打ちしてる層である。
A:ポリープの術中光凝固
B:網膜色素上皮剥離の下液吸引
C:新生血管膜の完全な摘出
D:新生血管膜を摘出した部位に自己網膜色素上皮+ブルッフ膜の移植
E:再生網膜色素上皮のシート状移植。
特に、D及びEの移植については、的確な位置に、あるいは、シート状に移植しないと移植後の色素上皮及びその上の網膜が機能しない。つまり、細胞だけ移植しても視力が回復しない。そこでブルッフ膜ごと病変部に移植する。このような網膜下の移植手術は、極めて細かい作業であるため、本内視鏡によって初めて可能になる。
なお、必要な処置が終われば、バルーン4を閉じて、内視鏡1を網膜下から網膜上へ、次いで眼球の外へ出す。そして、通常の網膜剥離と同様の後処置を行なう。
<実施形態の効果>
本実施形態にかかる内視鏡によれば、網膜下の構造、病態を立体的に把握することにより、比較的低侵襲で、各種病変に対する微細な操作が可能となり、網膜下の病変をより確実に治療することができる。具体的には、網膜下血腫などの網膜下沈着物の吸引除去を、沈着物の立体画像を見ながら行なうことができる。また、脈絡膜病変に対しても有効な処置を可能にする。更に、脈絡膜新生血管の除去、色素上皮下の貯留液の吸引、網膜内インプラントの留置、色素上皮の移植、脈絡膜異常血管瘤のレーザー凝固などの治療が可能になる。
なお、角膜、水晶体(あるいは眼内レンズ)等の中間透光体の混濁に全く左右されないという利点もある。
(他の実施形態)
上記実施形態では、バルーン4内部への流体注入管と、網膜下への人工房水の流路とは別に設けていたが、1つの流路が、バルーン4への注入管7と人工房水の網膜下への流路とを兼ねるような構成でもよい。つまり人工房水が、バルーン4を膨らませつつ、バルーン4に設けられた微小開口から網膜下に流出し、人工房水の注入を止めれば、バルーン4も自然としぼんで、その径が網膜切開創の径よりも小さくなるような形状及び材質のバルーンを設けても良い。
網膜下のバルーン4を、空気を注入することにより膨らませてもよい。そうすれば、バルーンの浮力により、術者の手に感じる内視鏡の重さが軽減され、内視鏡の操作性を向上させることができる。なお、プローブ3に対するバルーン4の位置を変更可能としてもよい。そうすれば、網膜下に挿入されるプローブの先端長さを自由に設定することができる。
本実施形態では、網膜に形成された開口からのプローブ先端の抜け落ちを防止するための脱落防止部としてバルーンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。バルーンのように、内部に流体を注入したり流出させたりするものに限らず、線材などで操作部2と接続され、その線材を引くことで、プローブ先端部において撓み、径大となる可撓性部材を脱落防止部としてもよい。
また、Oリング5の代わりに、眼球外で膨らみ、内視鏡のプローブが一定長さ以上眼球内に挿入されないようにストッパの役目をするバルーンをプローブの根本付近に設けてもよい。
内視鏡のプローブが内筒、中筒、外筒の3つの筒状部分から構成されていてもよい。そして、内筒の内部に2枚のレンズと、レンズから撮像素子までの光路が含まれ、内筒と中筒の間に光源からの光をプローブ先端に導いて、網膜下の病変部に照射するための光路が含まれ、中筒と外筒の間に、人工房水の流路が含まれる構成でもよい。
また、内視鏡のプローブ先端にセンサを付け、位置関係をコンピューターに読み込ませて、顕微鏡に映し出される術野の端の方にディスプレイしてもよい。また、内視鏡のプローブ先端と、眼底との距離が所定距離(例えば2mm)以下になれば、アラームが鳴る構成にしてもよい。
なお、レンズから入射された光学画像は、撮像素子に達するまでに減衰し或いはその光路上のノイズの影響を受けるため、レンズと撮像素子との距離は短ければ短いほどよい。従って、CCD等の撮像素子が、プローブ内に配設できるほど小型であって、かつ十分な画質を実現できるのであれば、レンズの直後に撮像素子を配置することが望ましい。
本発明の実施形態としての内視鏡の構成について説明するための図である。 本発明の実施形態としての内視鏡の組み立て・分解の様子を示す図である。 本発明の実施形態としての内視鏡の内部構成について説明するための図である。 本発明の実施形態としての内視鏡の内部構成について説明するための図である。 本発明の実施形態としての内視鏡の使用方法について説明するための図である。 本発明の実施形態としての内視鏡の使用方法について説明するための図である。 眼球の内部構造について説明するための図である。 手術時の患者、術者、顕微鏡のレイアウトについて説明するための図である。 網膜下の病変に対する従来の手術方法について説明するための図である。 網膜下の病変に対する従来の手術方法について説明するための図である。

Claims (7)

  1. 眼内を観察するための眼内観察用内視鏡であって、
    眼底から剥離された網膜に形成した開口から、先端を網膜下に挿入されるプローブと、
    前記プローブの後端に接続され、術者によって把持される操作部と、
    光学画像を電気信号に変換する撮像素子と、
    を備え、
    前記プローブは、
    先端に配置された2枚のレンズと、
    該2枚のレンズから取り込まれた2つの光学画像を前記撮像素子に伝送するための画像伝送管と、
    網膜に形成された前記開口からの前記先端の抜け落ちを防止するため、前記プローブの外側に広がる脱落防止部と、
    を備えることを特徴とする眼内観察用内視鏡。
  2. 前記脱落防止部は、流体を内部に流入させ、及び内部から流出させることによって伸縮可能なバルーンであることを特徴とする請求項に記載の眼内観察用内視鏡。
  3. 前記バルーンは、前記プローブの軸方向に2つ並んで設けられ、膨らんだ2つのバルーンによって網膜を狭持可能であることを特徴とする請求項に記載の眼内観察用内視鏡。
  4. 前記プローブは、前記バルーンに対して人工房水を注入するための注入管を更に内部に有すること特徴とする請求項2または3に記載の眼内観察用内視鏡。
  5. 前記流路から流れ出た人工房水が網膜の裏側に付勢するように、前記プローブの先端において、前記プローブの後端側に向けて開口した流出口が設けられていることを特徴とする請求項に記載の眼内観察用内視鏡。
  6. 前記プローブは、
    前記画像伝送管を含む棒状部と、
    前記棒状部を取り囲む筒状部と、
    を有し、
    前記棒状部と前記筒状部との間に形成される空間が、網膜下に人工房水を流出するための流路となることを特徴とする請求項1に記載の眼内観察用内視鏡。
  7. 前記棒状部は、前記筒状部に対して挿脱自在であることを特徴とする請求項に記載の眼内観察用内視鏡。
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