JP2013066163A - 撮像光学系および全天球型撮像装置および撮像システム - Google Patents

撮像光学系および全天球型撮像装置および撮像システム Download PDF

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Abstract

【課題】全天球型撮像装置に用いられる撮像光学系の、撮像センサを設けた基板により入射光束が遮られる問題を有効に解決し、小型の全天球型撮像装置を実現する。
【解決手段】180度より広い画角を持つ広角レンズと、この広角レンズによる像を撮像する撮像センサとによる同一構造の撮像光学系を2つ組み合わせ、各撮像光学系により撮像された像を合成して4πラジアンの立体角内の像を得る全天球型撮像装置における撮像光学系であって、広角レンズは、物体側から像側へ向かって、前群、反射面、後群を配してなり、前記反射面により前群の光軸を前記後群に向かって90度折り曲げるものであり、基板が、広角レンズの最大画角光線を遮らないように、基板のサイズおよび形状が定められている。
【選択図】図1

Description

この発明は、撮像光学系および全天球型撮像装置および撮像システムに関する。
180度より広い画角を持つ広角レンズと、この広角レンズによる像を撮像する撮像センサとによる撮像光学系を2つ組み合わせ、各撮像光学系により撮像された像を合成して「4πラジアンの立体角内の像」を得る全天球型撮像装置が、従来から知られている(特許文献1)。
このような全天球型撮像装置は、同時に全方位の画像情報を取得できるので、例えば、防犯用監視カメラや車載カメラ等に有効に利用できる。近来、全天球型撮像装置を携帯用にもできるように、その小型化が求められている。
例えば、ニュースの取材などの際に、小型の全天球型撮像装置を「手持ち状態」で使用すれば、極めて正確且つ公平な画像情報を撮像できる。
小型の全天球型撮像装置を実現するには、撮像光学系に用いる広角レンズを小型化する必要があるが、良好な画像を撮像するためには、広角レンズにも「それなりの性能」が必要であり、広角レンズを構成するレンズ枚数を少なくすることは困難である。
広角レンズの構成レンズ枚数がある程度多くなると、広角レンズの全長が長くなり、これを2つ「逆向きに組み合わせる」場合、画角を相当に大きくしないと「撮影できない空間部分(各広角レンズに入射する最大画角光束が、互いに重なり合わない空間部分)」が大きくなる。
また、広角レンズを小型化する場合、画角が大きくなると、撮像センサを装荷する基板により、入射光束の一部が遮られ、広角レンズにより結像する画像に、基板の一部が写る事態を生じる。基板には、撮像センサのみならず、撮像センサを駆動する回路素子や外部との電気的接続に必要な回路素子が組み込まれるので、基板のサイズは必然的に「撮像センサのサイズよりも大きく」なるのである。
前記特許文献1には、このような基板による入射光束の「ケラれ」に関する特段の工夫は開示されていない。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、全天球型撮像装置に用いられる撮像光学系の、基板による入射光束が遮られる問題を有効に解決すること、また、小型の全天球型撮像装置や撮像システムの実現を課題とする。
この発明の全天球型撮像装置は「180度より広い画角を持つ広角レンズと、この広角レンズによる像を撮像する撮像センサとを有する同一構造の撮像光学系を2つ組み合わせ、各撮像光学系により撮像された像を合成して4πラジアンの立体角内の像を得る全天球型撮像装置」であって、以下の如き特徴を有する。
2個の「撮像光学系」は、上記の如く同一構造のものである。
各撮像光学系の「広角レンズ」は、物体側から像側へ向かって、負のパワーの前群、反射面、正のパワーの後群を配し、上記反射面により「前群の光軸を後群に向かって90度折り曲げる」ものである。
撮像センサは「撮像センサより大きく、所定の回路系を装荷された基板」に設けられている。
2個の撮像光学系は、前群の光軸同士を合致させて前群の向きが逆になり、かつ、後群の光軸が互いに平行で後群同士の向きが互いに逆になるように、組み合わせられる。
2つの広角レンズの互いに合致した前群光軸を含み、後群光軸に直交する面をS面、このS面上における2つの後群光軸の中間点を通り後群光軸に平行な線をP線、2つの後群光軸間距離をD、上記基板の基板面とS面との距離をLとする。
各撮像光学系の「前群の光軸の周りに、広角レンズの最大画角光線が形成する円錐面」の組み合わせと、基板の基板面に平行な平面との交差による交線を、一方の広角レンズに対してX1、他方の広角レンズに対してX2とする。
基板における「コーナー部分」が「交線X1、X2により囲われた面積領域から食み出さない」ように、距離:D、L、基板のサイズおよび形状が、広角レンズの最大画角:Fに応じて設定されている。
この発明の「撮像システム」は、以下の2種の如くである。
第1種の撮像システムは、光学系と、該光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体を2以上有し、前記光学系が反射部材を有するとともに、前記固体撮像素子は基板上に配備されている撮像システムにおいて、撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における前記反射部材上の反射位置までの距離:a、前記最大画角における入射光線位置から固体撮像素子までの距離:b、該固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:cが、条件:
c≦a+b/tan(F/2) (4)
を満たすことを特徴とする。
第2種の撮像システムは、光学系と、該光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体を2以上有し、前記光学系が反射部材を有するとともに、前記固体撮像素子は基板上に配備されている撮像システムにおいて、前記撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における入射光線位置までの距離:p、前記最大画角における入射光線位置から前記基板端面までの距離:q、前記固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:rが、条件:
r≦p−q/tan(F/2) (6)
を満足することを特徴とする。
以上に説明したように、この発明によれば、新規な撮像光学系と全天球型撮像装置や撮像システムを実現できる。全天球型撮像装置の各撮像光学系は、広角レンズへの入射光束が、撮像センサを装荷された基板により遮られることがない。撮像システムにおける光学系への入射光束も、固体撮像素子を配備された基板により遮られることがない。
また、全天球型撮像装置に用いられた2つの撮像光学系の広角レンズは、結像光路を反射面により90度屈曲させており、互いに逆方向を向いた前群の第1レンズ相互の間隔を短くでき、全天球型撮像装置の小型化が可能である。
全天球型撮像装置において、2つの撮像光学系を組み合わせた状態を示す図である。 基板の配設状態を説明するための図である。 基板による撮像光束の遮蔽を防止する条件を説明するための図である。 全天球型撮像装置において、2つの撮像光学系を組み合わせた状態を示す図である。 全天球型撮像装置において、2つの撮像光学系を組み合わせた状態を示す図である。 実施例の広角レンズの球面収差図である。 実施例の広角レンズの像面湾曲図である。 実施例の広角レンズのコマ収差図である。 実施例の広角レンズのOTF特性を示す図である。 実施例の広角レンズのOTF特性を示す図である。 広角レンズの光路を折り曲げることの全天球型撮像装置における効果を説明するための図である。 撮像システムの実施の1形態を説明するための図である。 撮像システムの実施の別形態を説明するための図である。
以下、実施の形態を説明する。
図1(a)は、全天球型撮像装置の実施の1形態を要部のみ説明図的に示す図である。
この実施の形態においては、2個の撮像光学系A0、B0が組み合わせられている。
撮像光学系A0、B0は同一構造(同一仕様で製造される。)である。説明の繁雑を避けるため、撮像光学系A0を構成するものには符号の末尾に「A」を付し、撮像光学系B0を構成するものには符号の末尾に「B」を付して区別するものとし、構造等の説明は、撮像光学系A0について行なう。
撮像光学系A0は「180度より広い画角を持つ広角レンズ」と、この広角レンズによる像を撮像する「撮像センサ」とを有する。
撮像光学系A0の広角レンズは、負のパワーの前群L1A、反射面の実体をなすプリズムPA、正のパワーの後群L2Aを配し、反射面により前群の光軸AX1Aを後群L2Aに向かって90度折り曲げるものである。
前群L1A、後群L2Aは、それぞれ1枚のレンズとして描いてあるが、これは説明を簡略するためであり、実際には、前・後群とも2枚以上のレンズで構成されることができることは言うまでもない。
物体側からの光は、前群L1Aに入射し、プリズムPAの反射面により反射され、後群L2Aに向かって光軸を90度折り曲げられる。図1(A)において、符号AX2Aは、90度折り曲げられた光軸を示し、この光軸AX2Aを「後群光軸」と呼ぶ。プリズムPAの反射面で反射された光束は、後群光軸AX2Aに沿って後群L2Aに入射し、後群L2Aを透過すると、撮像センサISAの受光面上に物体像を結像する。
撮像センサISAは、受光した物体像を画像データとして出力する。
撮像センサISAは、基板SBAに設けられている。
基板SBAは、撮像センサISAを駆動する回路素子(図示されず)や、外部との電気的接続に必要な回路素子(図示されず)を組み込まれており、撮像センサISAよりもサイズが大きい。
同一構造の2個の撮像光学系A0、B0は、図1(a)に示すように組み合わせられている。
即ち、前群L1A、L1Bの光軸(前群光軸)AX1A、AX1Bを合致させて前群の向きが逆になる(撮像光学系A0の前群L1Aは、図1(a)において右向きであり、撮像光学系B0の前群L1Bは、図1(a)において左向きである。)ように、且つ、後群L2A、L2Bの光軸AX2A、AX2Bが互いに平行で、後群同士の向きが互いに逆になる(撮像光学系A0の後群L2Aは、図1(a)において上向きであり、撮像光学系B0の後群L2Bは、図1(a)において下向きである。)ように組み合わせられている。
撮像光学系A0の広角レンズは、180度より大きい画角を有するから、広角レンズに入射する「最大画角光線(最大画角をもって入射する光線)」の集合は、図1(b)に示すように、撮像光学系A0の前群光軸AX1Aを軸とする円錐面LMAをなす。
同様に、撮像光学系B0の広角レンズも180度より大きい画角を有するから、広角レンズに入射する「最大画角光線」の集合は、図1(b)に示すように、撮像光学系B0の前群光軸AX1Bを軸とする円錐面LMBをなす。
これら円錐面LMA、LMBは、図1(b)に示す位置Z1、Z2で交わる。前群光軸AX1A、AX1Bは、互いに合致しているから、円錐面LMA、LMBの交差する部分は前群光軸を中心とする円形であり、図1(b)に示す位置Z1、Z2は、この円の円周上の点である。
2つの広角レンズの互いに合致した前群光軸AX1A、AX1Bを含み、後群光軸AX2A、AX2Bに直交する面をS面とし、符号SFで示す。
即ち、図1(b)において、S面SFは、2つの広角レンズの互いに合致した前群光軸AX1A、AX1Bを含み、図面に直交する平面である。
図1(b)において、平面SFAは、図1(a)において基板SBAが設けられている面位置を示す。また、平面SFBは、図1(a)において基板SBBが設けられている面位置を示す。
平面SFAを基板SBAの「基板面」、平面SFBを基板SBBの「基板面」と呼ぶ。
基板面SFAとSFBとは、S面SFに関して対称な位置である。
図1(b)において、長さ:LGAは、基板面SFAが円錐面LMA、LMBと交わる領域の、前群光軸AXA1方向の長さである。同様に、長さ:LGBは、基板面SFBが円錐面LMA、LMBと交わる領域の、前群光軸AXA1方向の長さであり、LGA=LGBである。
図2は、図1(a)の状態を、図1(a)の上方から見て、基板SBA、SBBの位置関係を「透視的」に示した図である。
2つの広角レンズの、互いに合致した前群光軸AX1A、AX1Bを含み、後群光軸AX2A、AX2Bに直交するS面SFは「図面に合致」した面である。
S面SF上における2つの後群光軸AX2A、AX2Bの中間点を通り、後群光軸AX2A、AX2Bに平行な線をP線LPとする。
後群光軸AX2Aは、撮像センサISAの受光面の中心部を通り、後群光軸AX2Bは、撮像センサISBの受光面の中心部を通る。
2つの後群光軸AX2A、AX2Bの間の距離を「D」とする。
また、図1(b)に示すように、基板SBA、SBBの基板面SFA、SFBとS面SFとの距離をLとする。
図1(b)において、基板面SFA、SFBは、仮想的に円錐面LMA、LMBを、S面SFに平行に切断する。この仮想的な切断面は、円錐面LMAとは、図2に符号X1で示す交線で交わる。交線X1は放物線である。
同様に、仮想的な切断面は、円錐面LMBとは、図2に符号X2で示す交線で交わる。交線X2も放物線である。基板面SFBは、基板面SFAと、S面SFと対称であるから、基板面SFBと円錐面LMA、LMBとの交線も、上記交線X1、X2と同一となる。
以下、図2、図3においては、交線X1、X2は、基板面SFA、SFBと、円錐面LMA、LMBとの交線(図2、図3において、これらは互いに重なり合っている。)を表すものとする。
そうすると、基板SBA、SBBが、物体光を遮光しないようにするには、図2に直交する方向から見て、基板SBAの交線X1側のコーナー部C1A、C2Aと、基板SBBの、交線X2側のコーナー部C1B、C2Bを4隅とする長方形が、交線X1とX2とで囲まれる面積領域内に収まり、上記コーナー部C1A、C2A、C1B、C2Bが、上記面積領域外に「食み出さない」ようにすればよい。
このための条件を、説明中の例の場合について、以下に説明する。
図3は、図2の状態を簡略化し、撮像センサISAを装荷された基板SBAと、他の部分との位置関係を、S面SF上に射影して示している。説明の簡単のため、基板SBAは「長方形形状」であるとし、その長さを「2η」、幅を「ξ」とする。
図の如く、円錐面LMAの頂点を「Q1」とし、図3において、基板SBAの長手方向の辺と頂点Q1とのS面SF上の射影長さを「ζ」とする。
図3において符号C1A1は「基板SBAのコーナー部C1Aを、S面SF上へ射影した位置」を表す。このとき、頂点Q1と位置C1A1との距離:Zは、
Z=√(η+ζ
である。
ところで、基板SBAのコーナー部C1Aは、実際には図1(b)に示すように「S面SFから高さ:Lの位置」にある。ここで、コーナー部C1Aが、交線X1上に位置する場合を考える。この状態はコーナー部C1Aが交線X1の外側に食み出さない「ぎりぎりの状態」である。
このとき、コーナー部C1Aは、円錐面LMA上に位置することになる。
そこで、結像光学系A0の広角レンズの最大画角を「F(>180度)」とすれば、楕円面LMAの頂角は、
180−(F−180)=360−F(度)
となり、その半角は、
180−(F/2)
となる。
そうすると「コーナー部C1Aが、交線X1上に位置する場合」には、
tan{180−(F/2)}=L/Z=L/√(η+ζ
が成り立つ。
従って、コーナー部C1Aが、交線X1の外側へ食み出さない条件は、
tan{180−(F/2)}>L/√(η+ζ) (1)
である。
コーナー部C2Aについても同様である。図3において「符号C2A2で示す位置」は、図2における基板SBAのコーナー部C2Aを、S面SF上へ射影した位置である。
コーナー部C1A、C2Aの成す辺と、結像光学系A0の後群光軸AX2Aとの距離を図3の如く「G」とすると、距離「ζ+G」は、結像光学系A0の仕様により決まる。また、「G、η、ξ」は、基板SBAの仕様として定まり、距離:ζは、基板SBAの仕様により定まる。また、距離:L、画角:Fは、結像光学系A0の仕様により定まる。
従って、結像光学系A0の仕様に応じて、基板SBAのサイズや設置態様を上記の条件(1)を満足するように設定することにより、基板SBAのコーナー部C1A、C2Aによる結像光束の遮蔽を防ぐことができる。
図3において、符号C3A1、C4A1は、基板SB1の4つのコーナー部のうち、コーナー部C1A、C2A以外の2つのコーナー部を、S面SFに射影した位置を示している。これらに対応するコーナー部をコーナー部C3A、C4Aとする。
これらのコーナー部C3A、C4Aは、交線X2の外側に食み出さないようにする必要がある。
基板SBAのコーナー部C3A、C4Aを結ぶ側縁部と、円錐面LMBの頂点Q2との距離は、図3における左右方向の対称性から、
(ζ+G+D/2)−(ξ―G−D/2)=ζ―ξ+2G+D=χ
であり、この量:χを、条件(1)のζに代入したもの、即ち、
tan{180−(F/2)}>L/√(η+χ) (2)
が満足されれば、コーナー部C3A、C4Aは、交線X2の外側に食み出さない。これは基本的に、結像光学系A0、B0の後群光軸AX2A、AX2B間の距離:Dを調整することにより可能である。
上には、基板SBAについて説明したが、基板SBBは基板SBAと同形であって、基板SBBと円錐面LMA、LMBとの関係も、基盤SBBと同様であるから、上記と同じ条件を満足させればよい。
即ち、基板におけるコーナー部分が、上記交線X1、X2により囲われた面積領域から食み出さないように、距離:D、L、基板SBA、SBBのサイズおよび形状を、広角レンズの最大画角:Fに応じて設定すればよい。
ところで、全天球型撮像装置を実際に構成する場合には、2つの撮像光学系は「共通のハウジング」に収納されることになるが、このハウジングは、基板SBA、SBBのコーナー部分と、交線X1、X2との間に「厚み部分」が位置する必要がある。
従って、基板のコーナー部と前記交線との間には「ハウジングの壁の厚み分以上の余裕がある」必要がある。この厚みとしては、1.5mm以上、好ましくは2mm程度以上が見込まれる。
条件(1)を不等式で設定しているのは、この余裕を見越してのことである。
なお、基板の大きさが、交線X1、X2の外側へコーナー部が食み出るような大きさである場合、当該コーナー部を「面取り」するなどして、食み出しを避けることができる。
以下、具体的な例を説明する。
図4は、全天球型撮像装置において、2つの撮像光学系を組み合わせた状態を示している。図4は、具体例であるので、図1に示した例とは符号を異ならせる。
一方の撮像光学系の広角レンズは、レンズL11〜L17の7枚のレンズと、プリズムP1により構成されている。レンズL11〜L13は「前群」を構成し、レンズL14〜L17は「後群」を構成する。プリズムP1は直角プリズムであって、前群の光軸AX1上に設けられ、前群からの光束を後群に向かって内部反射させ、前群の光軸を後群に向かって90度折り曲げる。
レンズL11〜L17とプリズムP1により構成される広角レンズ(以下、第1の広角レンズと呼ぶ。)は、鏡筒をなすホルダHL1に保持されて所定の位置関係に一体化されている。
他方の撮像光学系の広角レンズは、レンズL21〜L27の7枚のレンズと、プリズムP2により構成されている。レンズL21〜L23は「前群」を構成し、レンズL24〜L27は「後群」を構成する。プリズムP2は直角プリズムであって、前群の光軸AX2上に設けられ、前群からの光束を後群に向かって内部反射させ、前群の光軸を後群に向かって90度折り曲げる。
レンズL21〜L27とプリズムP2により構成される広角レンズ(以下、第2の広角レンズと呼ぶ。)は、鏡筒をなすホルダHL2に保持されて所定の位置関係に一体化されている。
第1および第2の広角レンズは共に「180度を超える画角」を有し、図の如く、レンズL11、L21に結像光束が入射する。
図4において、符号PD1、PD2は撮像センサを示す。これらは、図1に示した撮像センサISA、ISBと同様のものである。
撮像センサPD1は、これより大きく、所定の回路系を装荷された基板SB1に設けられている。
撮像センサPD1は、第1の広角レンズの後群の光軸AX3が「受光面の中心」を通るように、且つ、第1の広角レンズによる撮像画像が受光面上に結像するように、位置を定められている。
同様に、撮像センサPD2は、これより大きく、所定の回路系を装荷された基板SB2に設けられている。撮像センサPD2は、第2の広角レンズの後群の光軸AX4が「受光面の中心」を通るように、且つ、第2の広角レンズによる撮像画像が受光面上に結像するように、位置を定められている。
第1の広角レンズおよび第2の広角レンズは「前群の向きが互いに逆向き(図4において、第1の広角レンズの前群は右向きで、第2の広角レンズの前群は左向きである。)で、後群の向きが互いに逆向き(図1において、第1の光学系では後群の向きは上向きであり、第2の広角レンズの後群は下向きである。)」である。
さらに、第1の広角レンズの前群の光軸AX1は、第2の広角レンズの前群の光軸AX2と「同一直線上に位置」する。そして、プリズムP1とP2とは、相互の反射面部分が互いに対向するように組み合わせられている。
なお、図1において符号SPは、第1および第2の広角レンズ相互の間隔を維持するスペーサを示す。
第1および第2の広角レンズは、同一構造で同一仕様のものであり、最大画角:Fは同一である。
第1の広角レンズの前群光軸AX1と後群光軸AX3が成す平面(図4の紙面)内において、最大画角の入射光線の入射位置と後群光軸AX3との距離を、図の如く「a1」とする。
また、最大画角の入射光線の入射位置と撮像センサPD1との、後群光軸AX3に平行な距離を、図の如く「b1」とする。
さらに、撮像センサPD1の中心と基板SB1の「前群側端部との距離」を、図の如く「c1」とする。
同様に、第2の広角レンズの前群光軸AX2と後群光軸AX4が成す平面(図1の紙面)内において、最大画角の入射光線の入射位置と後群光軸AX4との距離を、図の如く「a3」とする。
また、最大画角の入射光線の入射位置と撮像センサPD1との、後群光軸AX3に平行な距離を、図の如く「b3」とする。
さらに、撮像センサPD1の中心と基板SB1の「前群側端部との距離」を、図の如く「c3」とする。
図5は、図4の状態を、図4における上方から見た状態で、第1の広角レンズの前群のレンズL11、前群光軸AX1、後群光軸AX3と、基板SB1との関係を示すと共に、第2の広角レンズの前群のレンズL21、前群光軸AX2、後群光軸AX4と、基板SB2との関係を示す。基板SB2は、一部が基板SB1の陰になっている。
この様態において、第1の広角レンズの、最大画角における入射光線の入射位置と前群光軸AX1との間の距離を「P1」、最大画角における入射光線の入射位置から基板SB1の前群側端部までの前群光軸AX1に平行な距離を「q1」、基板SB1面上の撮像センサの中心(後群光軸AX3の位置と合致している。)から基板SB1の前群光軸AX1に直交する方向に平行な距離を「r1」とする。
同様に、第2の広角レンズの、最大画角における入射光線の入射位置と前群光軸AX2との間の距離を「P3」、最大画角における入射光線の入射位置から基板SB1のレンズL21側までの前群光軸AX2に平行な距離を「q3」、基板SB2面上の撮像センサの中心(後群光軸AX4の位置と合致している。)から基板SB2の前群光軸AX3に直交する方向に平行な距離を「r3」とする。
図5は、前群光軸AX1、AX3のなす直線に対して、左右対称であり、距離:p1=p2、r1=r2、p3=p4、r3=r4である。
図4に戻り、第1の広角レンズに組み合わせられた基板SB1の「図で左側の端部(第2の広角レンズのレンズL21へ向かう側の端部)と後群光軸AX3との距離を「c2」とする。
同様に、第2の広角レンズに組み合わせられた基板SB2の「図で右側の端部(第1の広角レンズのレンズL11へ向かう側の端部)と後群光軸AX4との距離を「c4」とする。
これらの距離:c2、c4の大きさは「個々の撮像光学系が単独で用いられる場合」であれば任意である。しかし、2つの撮像光学系を、図4、図5の如くに組み合わせて用いる場合、距離:c2が大きくなると、基板SB1が、第2の広角レンズの入射光束を遮光するようになる。
同様に、距離:c4が大きくなると、基板SB2が、第2の広角レンズの入射光束を遮光するようになる。
一方、距離:c1+c2は、基板SB1の「第1の広角レンズの前群光軸AX1に平行な方向のサイズ」であり、距離:c3+c4は、基板SB2の「第2の広角レンズの前群光軸AX2に平行な方向のサイズ」である。
基板SB1、SB2には「所定の回路系が装荷される」のであるから、基板SB1、SB2のサイズは任意に設定できるわけではない。
そこで、基板SB1が、第2の広角レンズの入射光束を遮光することがなく、基板SB2が、第2の広角レンズの入射光束を遮光することがないようにする必要がある。これを行なうには、スペーサSPにより、第1および第2の広角レンズの間隔(プリズムP1とP2の反射面の対向間隔)を調整すればよい。即ち、前述の図1〜図3に即しての説明において、間隔:Dを調整することに相当する。
即ち、2つの撮像光学系を組み合わせて、全天球型撮像装置を構成する場合、各撮像光学系の広角レンズの前群の向きを互いに逆向き、後群の向きを互いに逆向きとし、各広角レンズの前群の光軸AX1、AX3が同一直線上に位置するようにして、相互の反射面部分を対向させ、これら反射面部分の間隔を「一方の撮像光学系の撮像センサを装荷された基板が、他方の撮像光学系の広角レンズへの入射光束を遮らない」ように定めて組み合わせるのである。
ところで、実際に全天球型撮像装置を製造する場合、図1、図2に示す如き光学系・撮像センサ・基板、スペーサの組み合わせた構造物が「装置のハウジング内に収納される」ことになるが、ハウジングは「基板の端部と最大画角の光線との間」に配置されることになる。
前述の如く、筐体(ハウジング)の肉厚は「1.5mm以上、好ましくは2.0mm以上」を確保するのが良い。
以下、具体的な実施例を説明する。
図4、図5を参照して上に説明した「7枚のレンズとプリズム」により構成される広角レンズの具体的な1例を挙げると、以下の如くである。
以下に挙げる実施例において、fは全系の焦点距離、NoはFナンバ、ωは全画角である。
「面番号」は、物体側から順次1〜23とし、これらはレンズ面、プリズムの入・射出面および反射面、絞りの面、撮像センサの「IRフィルタの面」や受光面を示す。
「R」は、各面の曲率半径であり、非球面に合っては「近軸曲率半径」である。
「D」は、面間隔、「Nd」は、d線の屈折率、「νd」は、アッベ数である。また物体距離は無限遠である。長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
「実施例」
f=0.75、No=2.14、ω=190度
面番号 R D Nd νd
1 17.1 1.2 1.834807 42.725324
2 7.4 2.27
3* −1809 0.8 1.531131 55.753858
4* 4.58 2
5 17.1 0.7 1.639999 60.078127
6 2.5 1.6
7 ∞ 0.3
8 ∞ 5 1.834000 37.160487
9 ∞ 1.92
10 ∞(開口絞り) 0.15
11 93.2 1.06 1.922860 18.896912
12 −6.56 1.1
13 ∞ −0.1
14 3.37 1.86 1.754998 52.321434
15 −3 0.7 1.922860 18.896912
16 3 0.3
17* 2.7 1.97 1.531131 55.753858
18* −2.19 0.8
19 ∞ 0.4 1.516330 64.142022
20 ∞ 0
21 ∞ 0.3 1.516330 64.142022
22 ∞ 0.3
23 撮像面 。
「非球面」
上のデータで「*」印を付した面(前群の第2レンズの両面および後群の最終レンズの両面)は非球面である。
非球面形状は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、円錐定数:K、上記各次数の非球面係数を用い、Xを光軸方向における非球面量として、周知の式
X=CH/[1+√{1−(1+K)C}]
+A4・H+A6・H+A8・H+A10・H10+A12・H12+A14・H14
で表されるものであり、近軸曲率半径と円錐定数、非球面係数を与えて形状を特定する。
上記実施例の非球面データを以下に挙げる。
4th、6th、8th、10th、12th、14thとあるのは、4次以降の偶数次の非球面係数:A4〜A14を表す。
第3面
4th:0.001612
6th:−5.66534e−6
8th:−1.99066e−7
10th:3.69959e−10
12th:6.47915e−12
第4面
4th:−0.00211
6th:1.66793e−4
8th:9.34249e−6
10th:−4.44101e−7
12th:−2.96463e−10
第17面
4th:−0.006934
6th:−1.10559e−3
8th:5.33603e−4
10th:−1.09372e−4
12th:1.80753−5
14th:−1.52252e−7
第18面
4th:0.041954
6th:−2.99841e−3
8th:−4.27219e−4
10th:3.426519e−4
12th:−7.19338e−6
14th:−1.69417e−7 。
上記非球面データの表記において、例えば「−1.69417e−7」は「−1.69417×10−7」を意味する。
画角180度を超える広角レンズでは、レンズの中心を通る光線と周辺を通る光線では、レンズ肉厚の差で光路長が変わり、性能劣化につながる。実施例の広角レンズでは、前群の3枚のレンズのうち、第2レンズに「光軸近傍と周辺とのレンズ肉厚の差」が出やすい。それで、該第2レンズをプラスチックレンズとして両面を非球面とすることにより補正を行っている。
また、後群の最終レンズをプラスチックレンズとし、その両面を非球面とすることにより、このレンズよりも物体側で発生する諸収差を良好に補正するようにしている。
また、後群の4枚のレンズのうち、2番目の両凸レンズと3番目の両凹レンズを接合することにより「色収差」を良好に補正している。
実施例の広角レンズの球面収差図を、図6に示す。また、像面湾曲の図を図7に示す。
図8には、コマ収差図を示す。
図9、図10は、OTF特性を示す図であり、横軸は、図9が「空間周波数」、図10が半画角を「度」で表している。
これらの図から明らかなように、実施例の広角レンズは性能が極めて高い。
このような広角レンズに撮像センサ・基板を組み合わせて「撮像光学系」とし、同一の撮像光学系を2つ、図4、図5のように組み合わせた。
図4に示す各距離は以下の通りである。
a1=a3=7.96mm、b1=b3=2.84mm、c1=c3=5.00mmである。画角:Fは190度であり、前述の条件(1)、(2)を満たし、基板のコーナー部が結像光束を遮光することがない。
また、図4における距離:a2(第2の広角レンズの最大入射角の入射光線の入射位置と第1の広角レンズの後群光軸との間の距離)、a4(第1の広角レンズの最大入射角の入射光線の入射位置と第2の広角レンズの後群光軸との間の距離=a2)、距離:b1(=b3)、距離:c2(=c4)はそれぞれ、
a2=17.98mm、b1=2.84mm、c2=11.00mmであり、画角:Fは190度であり、基板SB1は、第2の広角レンズへの入射光束を遮らず、基板SB2は、第1の広角レンズへの入射光束を遮らない。
また、図5における距離:p1(=p2=p3=p4)、q3、r1(=r2=r3=r4)の値は、
p1=10.3mm、q1=2.86mm、q3=6.98mm、r1=10.0mm
である。
上に示した実施例の広角レンズは、物体側から像側に向かって順に、負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力の非球面メニスカスレンズ、負のメニスカスレンズ、斜面を内部反射面とするプリズム、開口絞り、正の屈折力の両凸レンズ、正の屈折力の両凸レンズと負の屈折力の両凹レンズの接合レンズ、正の屈折力の両凸レンズを配してなり、「負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力の非球面メニスカスレンズ、負のメニスカスレンズ」が前群を構成し、「正の屈折力の両凸レンズ、正の屈折力の両凸レンズと負の屈折力の両凹レンズの接合レンズ、正の屈折力の両凸レンズ」が後群を構成し、前群の最も物体側の面から内部反射面までの距離:LF、内部反射面から「後群の最も像側の面」までの距離:LRは、条件:
LF<LR (3)
を満足している。
この様な構成の広角レンズを2個組み合わせて、実施の形態の如き全天球型撮像装置を構成することにより、全天球型撮像装置をコンパクト化できる。
図11(a)は、広角レンズLWA、LWBとして「反射面による光路折り曲げを行なわないもので、同一仕様のもの(上記実施例の広角レンズのプリズムを除去したもの)」を2つ組み合わせて全天球型撮像装置を構成した例を示している。
2つの広角レンズLWA、LWBによる撮像画像は、それぞれ図示されない撮像センサにより受光されて画像処理装置2に送られ、画像処理装置2において4πラジアンの立体角内の画像として「全天球画像」に合成される。
合成された全天球画像は、ディスプレイ3に表示される。
広角レンズLWA、LWBは「光路を折り曲げない」ので、前群の最も物体側のレンズから像面にいたる距離はR1と大きく、各広角レンズLWA、LWBの最大画角の入射光線が交差する位置と、レンズ径光軸との距離はL1であり。距離:L1よりも小さい距離の物体は撮像されない。
図11(b)は、上記実施例の広角レンズを、2個の広角レンズLW1、LW2(図1に示した広角レンズA0、B0に対応する。)として上記の如く組み合わせて全天球型撮像装置を構成した例である。
広角レンズの光軸を折り曲げているので「前群の最も物体側のレンズ」同士の距離は2R1と小さくなり、2つの広角レンズの最大画角の入射光線が交差する位置と前群光軸の距離はL2と短くなっている。
上記距離:R1、L1、R2、L2は、広角レンズの画角:Fを用いて、以下のように表される。
L1=−R1・tan(F/2)
L2=−R2・tan(F/2) 。
広角レンズLWA、LWB、LW1、LW2の最大画角は共に190度である。
図11(a)の構成では、
R1=20mm、L1=229mm
であるが、図11(b)の構成では、
R2=12.5mm、L2=142.8mm
となり、撮像光学系の小型化と共に「より近距離までの全天球画像」を撮像できるようになった。
なお、図11(b)の例では、画像処理装置2により一部の光束が遮断されるが、この部分は全天球型撮像装置を携帯用に構成した場合に「手による保持部」にあたる部分となり、この部分の画像が撮像されなくても特に問題はない。あるいは「画像処理装置2」を小型化して「撮像されない空間内に収める」ようにすることもできる。
以下に、撮像システムの発明を「全天球型撮像装置」として実施した形態を説明する。
繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、図1におけると同一の符号を用いる。
図12において、符号L1Aはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Aはレンズを示し、これらレンズL1A、プリズムP、レンズL2Aは「光学系」を構成する。また、符号ISAは固体撮像素子、符号SBAは固体撮像素子ISAを配備された「基板」を示す。
上記「光学系」と固体撮像素子ISAおよび基板SBAとは「1個の撮像体」を構成する。
同様に、符号L1Bはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Bはレンズを示し、これらレンズL1B、プリズムP、レンズL2Bは「光学系」を構成する。また、符号ISBは固体撮像素子、符号SBBは固体撮像素子ISBを配備された「基板」を示す。
これら「光学系」と固体撮像素子ISBおよび基板SBBとは別の「1個の撮像体」を構成する。
即ち、図12の撮像システムは「光学系と、光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体」を2個有する。
プリズムPは「反射部材」であり、上記2つの撮像体の光学系に共用されている。
レンズL1A、L1Bは、上記光学系における反射部材Pよりも物体側のレンズを簡略化して描いたものであり、同様に、レンズL2A、L2Bは、上記光学系における反射部材Pよりも像側のレンズを簡略化して描いたものであり、実際には夫々が「複数枚のレンズ」で構成されるのが一般的である。
これら光学系は同一仕様のものであり、具体的には、例えば、先に挙げた実施例のものを用いることができる。
固体撮像素子ISA、ISBは、先の説明の「撮像センサ」と同様のものである。
各撮像体の光学系における最大画角をFとする。図12における「F/2」は最大画角に応じた半画角である。
また、図12に示すように「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関して、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角におけるプリズムPの反射位置までの距離を、距離:a1、a3、最大画角における入射光線位置からセンサ表面までの距離を、距離:b1、b3、基板SBA、SBBのセンサ中心から入射光線側の基板端までの距離を、距離:c1、c3とする。
条件(4)は、各光学系について満足されるべきものであり、「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「a」は距離:a1、a3であり、距離「b」は、距離:b1、b3、距離「c」は、距離c1、c3である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
a1=a3=7.96mm
b1=b3=2.84mm
c1=c3=5.50mm
であり、最大画角:Fは190度(即ち、F/2=95度、tan(F/2)=−11.43)である。
条件(4)に代入すると、
5.50≦7.96−2.84/11.43≒7.96−0.248=7.71
となって、条件(4)を満足する。
即ち、レンズL1Aに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1A側の端部により遮光されることがない。
同様に、レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系に関して、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角におけるプリズムPの反射位置までの距離を、距離:a2、a4、最大画角における入射光線位置からセンサ表面までの距離を、距離:b2、b4、基板SBA、SBBのセンサ中心から入射光線側の基板端までの距離を、距離:c2、c4とする。
条件(4)は「レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「a」は距離:a2、a4であり、距離「b」は、距離:b2、b4、距離「c」は、距離c2、c4である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
a2=a4=7.96mm
b2=b4=2.84mm
c2=c4=5.50mm
であり、最大画角:Fは190度(即ち、F/2=95度、tan(F/2)=−11.43)である。
条件(4)に代入すると、
5.50≦7.96−2.84/11.43≒7.96−0.248=7.71
となって、条件(4)を満足する。
従って、レンズL1Bに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1B側の端部により遮光されることがない。
更に、基板SBA、SBBの端部と「最大画角光線」のとの間は2mm以上離れていることが望ましい。これは、基板端部と最大画角光線のとの間に撮像システムの筐体が配備されるため、金属または樹脂カバーで筐体を作成する上でも、筐体の肉厚:2.0mm以上を確保するためである。
上に説明した具体例では、条件(5)の左辺の値は、
7.71−5.50=2.21となり、条件(5)即ち、
a+b/tan(F/2)−c≧2.0[mm] (5)
を満足する。即ち、筐体の肉厚:2.0mmが確保される。
図13に示す実施の形態においても同様に、符号L1Aはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Aはレンズを示し、これら、レンズL1A、プリズムP、レンズL2Aは「光学系」を構成する。また、符号BAは固体撮像素子(図示されず)を配備された「基板」を示す。
同様に、符号L1Bはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Bはレンズを示し、これらレンズL1B、プリズムP、レンズL2Bも「光学系」を構成する。また、符号SBBは固体撮像素子ISBを配備された「基板」を示す。
即ち、図12の撮像システムは「光学系と、光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体」を2個有する。
プリズムPは「反射部材」であり、上記2つの撮像体の光学系に共用されている。
レンズL1A、L1Bは、上記光学系における反射部材Pよりも物体側のレンズを簡略化して描いたものであり、同様に、レンズL2A、L2Bは、上記光学系における反射部材Pよりも像側のレンズを簡略化して描いたものである。レンズL2A、L2Bは、図面に直交する方向において互いに重なりあっており、基板SBA、SBBも同様に重なり合っている。
2つの光学系は同一仕様であり、例えば、先に挙げた実施例のものが用いられる。
固体撮像素子ISA、ISBは、先の説明の「撮像センサ」と同様のものである。
各撮像体の光学系における最大画角をFとする。図13における「F/2」は最大画角に応じた半画角である。
図13に示すように、レンズL1Aの最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離を距離:p1、p2、レンズL1Aの最大画角における入射光線位置から基板SBAの端部までの距離を距離:q1、q2、基板SBAの固体撮像素子の中心から基板端までの距離を距離:r1、r2とする。
また、レンズL1Bの最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離を距離:p3、p4、レンズL1Bの最大画角における入射光線位置から基板SBBの端部までの距離を距離:q3、q4、基板SBBの固体撮像素子の中心から基板端までの距離を距離:r3、r4とする。
条件(6)は、各光学系について満足されるべきものであり「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「p」は距離:p1、p2であり、距離「q」は、距離:q1、q2、距離「r」は、距離r1、r2である。
具体的な数値を上げると、これらは、
p1=p2=10.3mm、q1=q2=2.4mm、r1=r2=9.0mm
であり、F=190度であって、条件(6)式を満たす。
即ち、条件(6)は、p1、p2、q1、q2、r1、r2に対しては、
9.0≦10.3+(2.4/11.43)≒10.51
となって、条件(6)を満足する。
同様に「レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「p」は距離:p3、p4であり、距離「q」は、距離:q3、q4、距離「r」は、距離r3、r4である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
p3=p4=10.3mm、q3=q4=6.98mm、r3=r4=9.0mm
であり、F=190度であって、条件(6)式を満たす。
即ち、条件(6)は、p3、p4、q3、q4、r3、r4に対しては、
9.0≦10.3+(6.98/11.43)≒10.91
となって、条件(6)を満足する。
また、これらの場合においても条件(7)が満足される。
即ち、p=p1=p2=10.3mm、q=q1=q2=2.4mm、r=r1=r2=9.0mmに対しては、10.51−9.0=1.51>1.5
となる。
また、p=p3=p4=10.3mm、q=q3=q4=6.98mm、r=r3=r4=9.0mmに対しては、10.91−9.0=1.91>1.5
即ち、レンズL1Aに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1A側の端部により遮光されることがなく、レンズL1Bに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1B側の端部により遮光されることがない。
そして、筐体の厚みに対する余裕分を有する。
図12、図13に示す実施の形態においても、光学系内にプリズムPを設けている。
このような構成により、レンズ系の光軸を折り曲げない撮像体に比して、装置幅を狭めることができる。反射部材はミラーでも良いが、プリズムを用いるのが好ましい。プリズムを用いることで、反射の機能を持たせると共に、プリズムの屈折によるレンズとした機能を持たせることができるため、光学系全体のレンズ枚数を減らすことができる。この結果、プリズムを採用することで、撮像体の幅を小さくできる。またプリズムを採用することで、反射部材のチルトに対する感度が低下するので「プリズム組付け時の、取り付け位置のばらつきによる基板位置の変動」を抑えることができる。
図12、図13に示す実施の形態においても、光学系としては前述の実施例のものを用いており、光学系は、物体側に配置された負のパワーを有する第1のレンズ群と、像側に配置された第2のレンズ群により構成され、第1または第2のレンズ群の少なくとも一方に非球面レンズを有している。
この構成により、球面レンズのみを用いた光学系に比べレンズ径を小さくできる。前述の具体的な実施例では、第1のレンズ群の第2レンズと、第2のレンズ群の第4レンズに非球面レンズが採用されている。
各々の撮像センサから出力される画像情報は、図示されない画像処理部において統合され、1つの画像として処理される。
画像処理部は、各々の画像の「画角:0〜180度までの画像」を繋ぎ併せて最終画像に使用する。画像の繋ぎ合わせに際しては、2つの撮像体の位置関係から、連結画像を作成することもできるが、画像が相互に同一となる部分、即ち「180〜190度までの画像」を両画像を繋ぎ合わせる際の基準データと使用しても良い。
これにより、環境温度により2つの撮像体の相対位置関係が変動した場合においても、「画像の繋ぎ合わせを正確に行なう」ことができる。
このようにして「全天球画像を表示」させることができる。
L1A、L1B 1対の広角レンズの前群
PA、PB プリズム
L2A、L2B 1対の広角レンズの後群
ISA、ISB 撮像センサ
SB1、SB2 基板
L11、L12、L13 第1の広角レンズの前群を成すレンズ
P1 第1の広角レンズの反射面をなすプリズム
L14、L15、L16、L17 第1の広角レンズの後群をなすレンズ
L21、L22、L23 第2の広角レンズの前群を成すレンズ
P2 第2の広角レンズの反射面をなすプリズム
L24、L25、L26、L27 第2の広角レンズの後群をなすレンズ
PD1、PD2 撮像センサ
SB1、SB2 基板
特開2010−271675号公報
そこで、結像光学系A0の広角レンズの最大画角を「F(>180度)」とすれば、円錐面LMAの頂角は、
180−(F−180)=360−F(度)
となり、その半角は、
180−(F/2)
となる。
図3において、符号C3A1、C4A1は、基板SBAの4つのコーナー部のうち、コーナー部C1A、C2A以外の2つのコーナー部を、S面SFに射影した位置を示している。これらに対応するコーナー部をコーナー部C3A、C4Aとする。
第1の広角レンズおよび第2の広角レンズは「前群の向きが互いに逆向き(図4において、第1の広角レンズの前群は右向きで、第2の広角レンズの前群は左向きである。)で、後群の向きが互いに逆向き(図1において、第1の広角レンズでは後群の向きは上向きであり、第2の広角レンズの後群は下向きである。)」である。
なお、図4において符号SPは、第1および第2の広角レンズ相互の間隔を維持するスペーサを示す。
また、最大画角の入射光線の入射位置と撮像センサPD2との、後群光軸AX4に平行な距離を、図の如く「b3」とする。
さらに、撮像センサPD2の中心と基板SB2の「前群側端部との距離」を、図の如く「c3」とする。
この様態において、第1の広角レンズの、最大画角における入射光線の入射位置と前群光軸AX1との間の距離を「P1」、最大画角における入射光線の入射位置から基板SB1の前群側端部までの前群光軸AX1に平行な距離を「q1」、基板SB1面上の撮像センサの中心(後群光軸AX3の位置と合致している。)から基板SB1の端部までの基板SB1の前群光軸AX1に直交する方向に平行な距離を「r1」とする。
同様に、第2の広角レンズの、最大画角における入射光線の入射位置と前群光軸AX2との間の距離を「P3」、最大画角における入射光線の入射位置から基板SB1のレンズL21側端部までの前群光軸AX2に平行な距離「q3」、基板SB2面上の撮像センサの中心(後群光軸AX4の位置と合致している。)から基板SB2の端部までの、基板SB2の前群光軸AX3に直交する方向に平行な距離を「r3」とする。
同様に、距離:c4が大きくなると、基板SB2が、第1の広角レンズの入射光束を遮光するようになる。
そこで、基板SB1が、第2の広角レンズの入射光束を遮光することがなく、基板SB2が、第1の広角レンズの入射光束を遮光することがないようにする必要がある。これを行なうには、スペーサSPにより、第1および第2の広角レンズの間隔(プリズムP1とP2の反射面の対向間隔)を調整すればよい。即ち、前述の図1〜図3に即しての説明において、間隔:Dを調整することに相当する。
即ち、2つの撮像光学系を組み合わせて、全天球型撮像装置を構成する場合、各撮像光学系の広角レンズの前群の向きを互いに逆向き、後群の向きを互いに逆向きとし、各広角レンズの前群の光軸AX1、AX2が同一直線上に位置するようにして、相互の反射面部分を対向させ、これら反射面部分の間隔を「一方の撮像光学系の撮像センサを装荷された基板が、他方の撮像光学系の広角レンズへの入射光束を遮らない」ように定めて組み合わせるのである。
広角レンズの光軸を折り曲げているので「前群の最も物体側のレンズ」同士の距離は2R2と小さくなり、2つの広角レンズの最大画角の入射光線が交差する位置と前群光軸の距離はL2と短くなっている。
なお、図11(b)の例では、画像処理装置2により一部の光束が遮断されるが、この部分は全天球型撮像装置を携帯用に構成した場合に「手による保持部」にあたる部分となり、この部分の画像が撮像されなくても特に問題はない。あるいは「画像処理装置2」を小型化して「撮像されない空間内に収める」ようにすることもできる。
以下に、撮像システムの発明を「全天球型撮像装置」として実施した形態を説明する。
繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、図1におけると同一の符号を用いる。
図12において、符号L1Aはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Aはレンズを示し、これらレンズL1A、プリズムP、レンズL2Aは「光学系」を構成する。また、符号ISAは固体撮像素子、符号SBAは固体撮像素子ISAを配備された「基板」を示す。
上記「光学系」と固体撮像素子ISAおよび基板SBAとは「1個の撮像体」を構成する。
同様に、符号L1Bはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Bはレンズを示し、これらレンズL1B、プリズムP、レンズL2Bは「光学系」を構成する。また、符号ISBは固体撮像素子、符号SBBは固体撮像素子ISBを配備された「基板」を示す。
これら「光学系」と固体撮像素子ISBおよび基板SBBとは別の「1個の撮像体」を構成する。
即ち、図12の撮像システムは「光学系と、光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体」を2個有する。
プリズムPは「反射部材」であり、上記2つの撮像体の光学系に共用されている。
レンズL1A、L1Bは、上記光学系における反射部材Pよりも物体側のレンズを簡略化して描いたものであり、同様に、レンズL2A、L2Bは、上記光学系における反射部材Pよりも像側のレンズを簡略化して描いたものであり、実際には夫々が「複数枚のレンズ」で構成されるのが一般的である。
これら光学系は同一仕様のものであり、具体的には、例えば、先に挙げた実施例のものを用いることができる。
固体撮像素子ISA、ISBは、先の説明の「撮像センサ」と同様のものである。
各撮像体の光学系における最大画角をFとする。図12における「F/2」は最大画角に応じた半画角である。
また、図12に示すように「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関して、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角におけるプリズムPの反射位置までの距離を、距離:a1、a3、最大画角における入射光線位置からセンサ表面までの距離を、距離:b1、b3、基板SBA、SBBのセンサ中心から入射光線側の基板端までの距離を、距離:c1、c3とする。
撮像体の光学系の最大画角がF(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における前記反射部材上の反射位置までの距離がa、前記最大画角における入射光線位置から固体撮像素子までの距離がb、該固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離がcである場合、前記の条件(4)は、各光学系について満足されるべきものであり、「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「a」は距離:a1、a3であり、距離「b」は、距離:b1、b3、距離「c」は、距離c1、c3である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
a1=a3=7.96mm
b1=b3=2.84mm
c1=c3=5.50mm
であり、最大画角:Fは190度(即ち、F/2=95度、tan(F/2)=−11.
43)である。
条件(4)に代入すると、
5.50≦7.96−2.84/11.43≒7.96−0.248=7.71
となって、条件(4)を満足する。
即ち、レンズL1Aに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1A側の端部により遮光されることがない。
同様に、レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系に関して、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角におけるプリズムPの反射位置までの距離を、距離:a2、a4、最大画角における入射光線位置からセンサ表面までの距離を、距離:b2、b4、基板SBA、SBBのセンサ中心から入射光線側の基板端までの距離を、距離:c2、c4とする。
条件(4)は「レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系」に関して
は、距離「a」は距離:a2、a4であり、距離「b」は、距離:b2、b4、距離「c」は、距離c2、c4である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
a2=a4=7.96mm
b2=b4=2.84mm
c2=c4=5.50mm
であり、最大画角:Fは190度(即ち、F/2=95度、tan(F/2)=−11.43)である。
条件(4)に代入すると、
5.50≦7.96−2.84/11.43≒7.96−0.248=7.71
となって、条件(4)を満足する。
従って、レンズL1Bに入射する最大画角光線は、基板SBA、SBBのレンズL1B側の端部により遮光されることがない。
更に、基板SBA、SBBの端部と「最大画角光線」のとの間は2mm以上離れている
ことが望ましい。これは、基板端部と最大画角光線のとの間に撮像システムの筐体が配備されるため、金属または樹脂カバーで筐体を作成する上でも、筐体の肉厚:2.0mm以上を確保するためである。
上に説明した具体例では、条件(5)の左辺の値は、
7.71−5.50=2.21となり、条件(5)即ち、
a+b/tan(F/2)−c≧2.0[mm] (5)
を満足する。即ち、筐体の肉厚:2.0mmが確保される。
図13に示す実施の形態においても同様に、符号L1Aはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Aはレンズを示し、これら、レンズL1A、プリズムP、レンズL2Aは「光学系」を構成する。また、符号SB1は固体撮像素子(図示されず)を配備された「基板」を示す。
同様に、符号L1Bはレンズ、符号Pはプリズム、符号L2Bはレンズを示し、これらレンズL1B、プリズムP、レンズL2Bも「光学系」を構成する。また、符号SB2は固体撮像素子ISBを配備された「基板」を示す。
即ち、図13の撮像システムは「光学系と、光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体」を2個有する。
プリズムPは「反射部材」であり、上記2つの撮像体の光学系に共用されている。
レンズL1A、L1Bは、上記光学系における反射部材Pよりも物体側のレンズを簡略化して描いたものであり、同様に、レンズL2A、L2Bは、上記光学系における反射部材Pよりも像側のレンズを簡略化して描いたものである。レンズL2A、L2Bは、図面に直交する方向において互いに重なりあっており、基板SB1、SB2も同様に重なり合っている。
2つの光学系は同一仕様であり、例えば、先に挙げた実施例のものが用いられる。
固体撮像素子ISA、ISBは、先の説明の「撮像センサ」と同様のものである。
各撮像体の光学系における最大画角をFとする。図13における「F/2」は最大画角に応じた半画角である。
図13に示すように、レンズL1Aの最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離を距離:p1、p2、レンズL1Aの最大画角における入射光線位置から基板SB1の端部までの距離を距離:q1、q2、基板SB1の固体撮像素子の中心から基板端までの距離を距離:r1、r2とする。
また、レンズL1Bの最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離を距離:p3、p4、レンズL1Bの最大画角における入射光線位置から基板SB2の端部までの距離を距離:q3、q4、基板SB2の固体撮像素子の中心から基板端までの距離を距離:r3、r4とする。
撮像体の光学系の最大画角がF(度)、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離がp、最大画角における入射光線位置から基板端面までの距離がq、固体撮像素子を配備した基板における固体撮像素子の中心からの基板端までの距離がrである場合、前記の条件(6)は、各光学系について満足されるべきものであり「レンズL1A、L2A、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「p」は距離:p1、p2であり、距離「q」は、距離:q1、q2、距離「r」は、距離r1、r2である。
具体的な数値を上げると、これらは、
p1=p2=10.3mm、q1=q2=2.4mm、r1=r2=9.0mm
であり、F=190度であって、条件(6)式を満たす。
即ち、条件(6)は、p1、p2、q1、q2、r1、r2に対しては、
9.0≦10.3+(2.4/11.43)≒10.51
となって、条件(6)を満足する。
同様に「レンズL1B、L2B、プリズムPにより構成される光学系」に関しては、距離「p」は距離:p3、p4であり、距離「q」は、距離:q3、q4、距離「r」は、
距離r3、r4である。
具体的な数値を上げると、これらは、前述の如く、
p3=p4=10.3mm、q3=q4=6.98mm、r3=r4=9.0mm
であり、F=190度であって、条件(6)式を満たす。
即ち、条件(6)は、p3、p4、q3、q4、r3、r4に対しては、
9.0≦10.3+(6.98/11.43)≒10.91
となって、条件(6)を満足する。
また、撮像体の光学系の最大画角がF(度)、光学系の最大画角における入射光線位置から、光学系の中央画角における入射光線位置までの距離がp、最大画角における入射光線位置から基板端面までの距離がq、固体撮像素子を配備した基板における固体撮像素子の中心から基板端までの距離がrである場合、これらの場合においても、以下の条件(7)が満足される。
p−q/tan(F/2)−r≧1.5[mm] (7)
即ち、p=p1=p2=10.3mm、q=q1=q2=2.4mm、r=r1=r2=9.0mmに対しては、10.51−9.0=1.51>1.5
となる。
また、p=p3=p4=10.3mm、q=q3=q4=6.98mm、r=r3=r4=9.0mmに対しては、10.91−9.0=1.91>1.5
即ち、レンズL1Aに入射する最大画角光線は、基板SB1,SB2のレンズL1A側の端部により遮光されることがなく、レンズL1Bに入射する最大画角光線は、基板SB1、SB2のレンズL1B側の端部により遮光されることがない。
そして、筐体の厚みに対する余裕分を有する。
図12、図13に示す実施の形態においても、光学系内にプリズムPを設けている。
このような構成により、レンズ系の光軸を折り曲げない撮像体に比して、装置幅を狭めることができる。反射部材はミラーでも良いが、プリズムを用いるのが好ましい。プリズムを用いることで、反射の機能を持たせると共に、プリズムの屈折によるレンズとした機能を持たせることができるため、光学系全体のレンズ枚数を減らすことができる。この結果、プリズムを採用することで、撮像体の幅を小さくできる。またプリズムを採用することで、反射部材のチルトに対する感度が低下するので「プリズム組付け時の、取り付け位置のばらつきによる基板位置の変動」を抑えることができる。
図12、図13に示す実施の形態においても、光学系としては前述の実施例のものを用いており、光学系は、物体側に配置された負のパワーを有する第1のレンズ群と、像側に配置された第2のレンズ群により構成され、第1または第2のレンズ群の少なくとも一方に非球面レンズを有している。
この構成により、球面レンズのみを用いた光学系に比べレンズ径を小さくできる。前述の具体的な実施例では、第1のレンズ群の第2レンズと、第2のレンズ群の第4レンズに非球面レンズが採用されている。
各々の撮像センサから出力される画像情報は、図示されない画像処理部において統合され、1つの画像として処理される。
画像処理部は、各々の画像の「画角:0〜180度までの画像」を繋ぎ併せて最終画像に使用する。画像の繋ぎ合わせに際しては、2つの撮像体の位置関係から、連結画像を作成することもできるが、画像が相互に同一となる部分、即ち「180〜190度までの画像」を両画像を繋ぎ合わせる際の基準データと使用しても良い。
これにより、環境温度により2つの撮像体の相対位置関係が変動した場合においても、「画像の繋ぎ合わせを正確に行なう」ことができる。
このようにして「全天球画像を表示」させることができる。

Claims (15)

  1. 180度より広い画角を持つ広角レンズと、この広角レンズによる像を撮像する撮像センサとを有する同一構造の撮像光学系を2つ組み合わせ、各撮像光学系により撮像された像を合成して4πラジアンの立体角内の像を得る全天球型撮像装置であって、
    各撮像光学系の広角レンズは、物体側から像側へ向かって、負のパワーの前群、反射面、正のパワーの後群を配し、前記反射面により前群の光軸を前記後群に向かって90度折り曲げるものであり、
    撮像センサは、該撮像センサより大きく、所定の回路系を装荷された基板に設けられており、
    2個の撮像光学系は、前群の光軸同士を合致させて前群の向きが逆になるように、かつ、後群の光軸が互いに平行で後群同士の向きが互いに逆になるように、組み合わせられ、
    2つの広角レンズの互いに合致した前群光軸を含み、後群光軸に直交する面をS面とし、このS面上における2つの後群光軸の中間点を通り上記後群光軸に平行な線をP線、2つの後群光軸間距離をD、上記基板の基板面とS面との距離をLとし、
    各撮像光学系の前群の光軸の周りに広角レンズの最大画角光線が形成する円錐面の組み合わせと、上記基板の基板面に平行な平面との交差による交線を、一方の広角レンズに対してX1、他方の広角レンズに対してX2とするとき、
    基板におけるコーナー部分が、上記交線X1、X2により囲われた面積領域から食み出さないように、上記距離:D、L、基板のサイズおよび形状が、上記広角レンズの最大画角:Fに応じて設定されていることを特徴とする全天球型撮像装置。
  2. 請求項1記載の全天球型撮像装置において、
    撮像センサの基板が長方形形状であって、その長辺の長さ:2η、幅:ξ、広角レンズに入射する最大画角光線の形成する円錐面の頂点と上記長辺との、後群光軸に直交する面への射影長さ:ζ、上記基板と上記広角レンズの前群光軸との距離:L、上記広角レンズの最大画角:Fが、条件:
    tan{180−(F/2)}>L/√(η+ζ) (1)
    を満足することを特徴とする全天球型撮像装置。
  3. 請求項1または2記載の全天球型撮像装置において、
    1対の広角レンズの各々に組み合わせられる撮像センサの基板が同一形状の長方形形状であって、その長辺の長さ:2η、幅:ξ、一方の広角レンズに入射する最大画角光線の形成する円錐面の頂点と上記長辺との、後群光軸に直交する面への射影長さ:ζ、上記基板と上記広角レンズの前群光軸との距離:L、上記広角レンズの最大画角:F、上記1対の広角レンズの後群光軸間の距離:D、一方の広角レンズの上記頂点側の長辺と該広角レンズの後群光軸との距離:G、χ(=ζ―ξ+2G+D)が、条件:
    tan{180−(F/2)}>L/√(η+χ) (2)
    を満足することを特徴とする全天球型撮像装置。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の全天球型撮像装置において、
    基板のコーナー部分と、交線X1、X2との間に、上記ハウジングの壁の厚み分以上の余裕があることを特徴とする全天球型撮像装置。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の全天球型撮像装置において、
    撮像光学系に用いられる広角レンズの、前群と後群の間に配置される反射面は、直角プリズムの斜面であって、前群からの光束を後群に向かって内部反射させるものであることを特徴とする全天球型撮像装置。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の全天球型撮像装置において、
    撮像光学系の広角レンズの、前群および後群のうちの少なくとも一方に、非球面レンズを有することを特徴とする全天球型撮像装置。
  7. 請求項6記載の全天球型撮像装置において、
    撮像光学系の広角レンズが、物体側から像側に向かって順に、負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力の非球面メニスカスレンズ、負のメニスカスレンズ、斜面を内部反射面とするプリズム、開口絞り、正の屈折力の両凸レンズ、正の屈折力の両凸レンズと負の屈折力の両凹レンズの接合レンズ、正の屈折力の両凸レンズを配してなり、
    前記負の屈折力のメニスカスレンズ、負の屈折力の非球面メニスカスレンズ、負のメニスカスレンズが前群を構成し、
    前記正の屈折力の両凸レンズ、正の屈折力の両凸レンズと負の屈折力の両凹レンズの接合レンズ、正の屈折力の両凸レンズが後群を構成し、
    前記前群の最も物体側の面から前記内部反射面までの距離:LF、前記内部反射面から前記後群の最も像側の面までの距離:LRが、条件:
    LF<LR (3)
    を満足することを特徴とする全天球型撮像装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の全天球型撮像装置に用いられる撮像光学系。
  9. 光学系と、該光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体を2以上有し、前記光学系が反射部材を有するとともに、前記固体撮像素子は基板上に配備されている撮像システムにおいて、
    撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における前記反射部材上の反射位置までの距離:a、前記最大画角における入射光線位置から固体撮像素子までの距離:b、該固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:cが、条件:
    c≦a+b/tan(F/2) (4)
    を満たすことを特徴とする撮像システム。
  10. 請求項9記載の撮像システムにおいて、
    撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における前記反射部材上の反射位置までの距離:a、前記最大画角における入射光線位置から固体撮像素子までの距離:b、該固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:cが、条件:
    a+b/tan(F/2)−c≧2.0[mm] (5)
    を満足することを特徴とする撮像システム。
  11. 光学系と、該光学系により集光された光を画像信号に変換する固体撮像素子と、を有する撮像体を2以上有し、前記光学系が反射部材を有するとともに、前記固体撮像素子は基板上に配備されている撮像システムにおいて、
    前記撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における入射光線位置までの距離:p、前記最大画角における入射光線位置から前記基板端面までの距離:q、前記固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:rが、条件:
    r≦p−q/tan(F/2) (6)
    を満足することを特徴とする撮像システム。
  12. 請求項11記載の撮像システムにおいて、
    前記撮像体の光学系の最大画角:F(度)、前記光学系の前記最大画角における入射光線位置から、前記光学系の中央画角における入射光線位置までの距離:p、前記最大画角における入射光線位置から前記基板端面までの距離:q、前記固体撮像素子を配備した基板における前記固体撮像素子の中心から基板端までの距離:rが、条件:
    p−q/tan(F/2)−r≧1.5[mm] (7)
    を満足することを特徴とする撮像システム。
  13. 請求項9〜12の任意の1に記載の撮像システムにおいて、
    撮像体の光学系が有する反射部材がプリズムであることを特徴とする撮像システム。
  14. 請求項9〜13の任意の1に記載の撮像システムにおいて、
    撮像体の有する光学系が、物体側に配置された負のパワーを有する第1のレンズ群と、像側に配置された第2のレンズ群により構成され、前記第1または第2のレンズ群の少なくとも一方に非球面レンズを有することを特徴とする撮像システム。
  15. 請求項9〜14の任意の1に記載の撮像システムにおいて、
    複数の撮像体における隣り合わせた前記撮像体により撮影された複数枚の画像を、各々の画像の内、同一像を参考に繋ぎ合わせる機能を有し、全天球画像を表示させることを特徴とする撮像システム。
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