特許文献1に開示の調湿装置のように、ダンパ等の開度を調整して空気流路の圧力を調整すると、部品点数が増大したり、装置構造が複雑となったりする。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成により、除湿能力や加湿能力を向上できる調湿装置を提供することにある。
第1の発明は、第1ファン(27,28)が配置される第1流路(25,26)と、第2ファン(28,27)が配置される第2流路(26,25)とが形成されるケーシング(20)と、前記第1流路(25,26)に配置されて液体吸収剤中の水分を透湿膜(62)を介して空気中に放出する放湿モジュール(40a,40b)と、前記第2流路(26,25)に配置されて空気中の水分を透湿膜(62)を介して液体吸収剤中に吸収する吸湿モジュール(40b,40a)とを有し、両モジュール(40a,40b)間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)とを備え、前記放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気を室内へ供給し、前記吸湿モジュール(40b,40a)を通過した空気を室外へ排出する加湿運転を行う調湿装置を対象としている。そして、この調湿装置は、前記放湿モジュール(40a,40b)が、前記第1流路(25,26)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第1ファン(27,28)の上流側に配設されていることを特徴とする。
第1の発明では、透湿膜(62)を有するモジュール(40a,40b)によって空気中の水分が調湿される。具体的に、吸湿モジュール(40b,40a)では、透湿膜(62)を介して空気中の水分が液体吸収剤中に吸収される。このようにして低濃度となった液体吸収剤は、吸収剤回路(30)を循環して放湿モジュール(40a,40b)へ送られる。放湿モジュール(40b,40a)では、液体吸収剤中の水分が透湿膜(62)を介して空気中へ放出される。このようにして高濃度となった液体吸収剤は、吸収剤回路(30)を循環して再び吸湿モジュール(40b,40a)へ送られる。以上のように、放湿モジュール(40a,40b)や吸湿モジュール(40b,40a)では、空気と液体吸収剤との間での水蒸気分圧差を駆動源として水分の授受が行われる。放湿モジュール(40a,40b)で放湿された空気は、室内へ供給されて室内が加湿される。
本発明では、第1流路(25,26)において、第1ファン(27,28)の上流側に放湿モジュール(40a,40b)が配置される。また、放湿モジュール(40a,40b)は、第1流路(25,26)の空気流れに対して抵抗を付与するように配設される。このため、第1ファン(27,28)が駆動されると、放湿モジュール(40a,40b)の周囲が負圧雰囲気となる。その結果、空気中の水蒸気分圧が低下するため、液体吸収剤側から空気側への放湿が促進される。以上のように、本願発明では、ダンパ等の開度を調整することなく、簡易な構成により放湿モジュール(40a,40b)の放湿性能が向上し、ひいては除湿性能が向上する。
第2の発明は、第1の発明において、前記吸湿モジュール(40b,40a)を通過した空気を室内へ供給し、前記放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気を室外へ排出する除湿運転を行うことを特徴とする。
第2の発明では、加湿運転と除湿運転とが切り換えて行われる。除湿運転では、放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気が室外へ排出される。放湿モジュール(40a,40b)の周囲は負圧雰囲気となっているため、放湿モジュール(40a,40b)の放湿性能が向上する。これにより、放湿モジュール(40a,40b)では、液体吸収剤の濃度が上昇し易い。以上のようにして高濃度となった液体吸収剤を吸湿モジュール(40b,40a)へ送ると、吸湿モジュール(40b,40a)での吸湿性能が向上し、ひいては除湿性能が向上する。
第3の発明は、第1の発明において、前記吸湿モジュール(40b,40a)は、前記第2流路(26,25)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第2ファン(28,27)の下流側に配設されていることを特徴とする。
第3の発明では、第2流路(26,25)において、第2ファン(28,27)の下流側に吸湿モジュール(40b,40a)が配置される。また、吸湿モジュール(40b,40a)は、第2流路(26,25)の空気流れに対して抵抗を付与するように配設される。このため、第2ファン(28,27)が駆動されると、吸湿モジュール(40b,40a)の周囲が陽圧(加圧)雰囲気となる。その結果、空気中の水蒸気分圧が増大するため、空気側から液体吸収剤側への吸湿が促進される。以上のように、本願発明では、ダンパ等の開度を調整することなく、簡易な構成により吸湿モジュール(40b,40a)の吸湿性能が向上する。
加湿運転時において、吸湿モジュール(40b,40a)の吸湿性能が向上すると、吸湿モジュール(40b,40a)では、液体吸収剤の濃度が低下し易い。以上のようして低濃度となった液体吸収剤を放湿モジュール(40a,40b)へ送ると、放湿モジュール(40a,40b)での放湿性能が更に向上し、加湿性能も更に向上する。
第4の発明は、第1ファン(27,28)が配置される第1流路(25,26)と、第2ファン(28,27)が配置される第2流路(26,25)とが形成されるケーシング(20)と、前記第1流路(25,26)に配置されて液体吸収剤中の水分を透湿膜(62)を介して空気中に放出する放湿モジュール(40a,40b)と、前記第2流路(26,25)に配置されて空気中の水分を透湿膜(62)を介して液体吸収剤中に吸収する吸湿モジュール(40b,40a)とを有し、両モジュール(40a,40b)間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)とを備え、前記吸湿モジュール(40b,40a)を通過した空気を室内へ供給し、前記放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気を室外へ排出する除湿運転を行う調湿装置を対象としている。そして、この調湿装置は、前記吸湿モジュール(40b,40a)が、前記第2流路(26,25)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第2ファン(28,27)の下流側に配置されていることを特徴とする。
第4の発明では、吸湿モジュール(40b,40a)で吸湿された空気が室内へ供給されることで、室内が除湿される。第2流路(26,25)では、第2ファン(28,27)の下流側に吸湿モジュール(40b,40a)が配置され、この吸湿モジュール(40b,40a)が空気流れに対して抵抗を付与する。その結果、吸湿モジュール(40b,40a)の周囲が加圧雰囲気となり、吸湿性能が向上する。
第5の発明は、第4の発明において、前記放湿モジュール(40a,40b)は、前記第1流路(25,26)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第1ファン(27,28)の上流側に配設されていることを特徴とする。
第5の発明では、第1流路(25,26)において第1ファン(27,28)の上流側に放湿モジュール(40a,40b)が配置され、この放湿モジュール(40a,40b)が空気流れに対して抵抗を付与する。その結果、放湿モジュール(40a,40b)の周囲が負圧雰囲気となり、放湿性能が向上する。除湿運転において放湿モジュール(40a,40b)の放湿性能が向上すると、高濃度の液体吸収剤が吸湿モジュール(40b,40a)へ送られる。これにより、吸湿モジュール(40b,40a)の吸湿性能が向上し、ひいては除湿性能が向上する。
第6の発明は、第4の発明において、前記放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気を室内へ供給し、前記吸湿モジュール(40b,40a)を通過した空気を室外へ排出する加湿運転を行うことを特徴とする。
第6の発明では、放湿モジュール(40a,40b)を通過した空気が室内へ供給されて室内が加湿される。第2流路(26,25)では、第2ファン(28,27)の下流側に吸湿モジュール(40b,40a)が配置され、この吸湿モジュール(40b,40a)の周囲が負圧雰囲気となり、吸湿性能が向上する。
加湿運転時において、吸湿モジュール(40b,40a)の吸湿性能が向上すると、吸湿モジュール(40b,40a)では、液体吸収剤の濃度が低下し易い。以上のようして低濃度となった液体吸収剤を放湿モジュール(40a,40b)へ送ると、放湿モジュール(40a,40b)での放湿性能が更に向上し、加湿性能も向上する。
第7の発明は、第1ファン(97)が配置される第1流路(95,101)と、第2ファン(98)が配置される第2流路(96,102)とが形成されるケーシング(20)と、前記第1流路(95,101)に配置されて液体吸収剤中の水分を透湿膜(62)を介して空気中に放出する放湿モジュール(103)と、前記第2流路(96,102)に配置されて空気中の水分を透湿膜(62)を介して液体吸収剤中に吸収する吸湿モジュール(104)とを有し、両モジュール(103,104)間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)とを備え、前記放湿モジュール(103)を通過した空気と前記吸湿モジュール(104)を通過した空気との一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する調湿装置を対象とする。そして、この調湿装置は、前記放湿モジュール(103)は、前記第1流路(95,101)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第1ファン(97)の上流側に配置され、前記吸湿モジュール(104)は、前記第2流路(96,102)の空気流れに対して抵抗を付与するように、前記第2ファン(98)の下流側に配置され、前記第1流路(95,101)及び第2流路(96,102)の各出口と、室内及び室外の連通状態を相互に切り換える出口流路切換機構(115〜118)を備えていることを特徴とする。
第7の発明では、放湿モジュール(103)が第1ファン(97)の上流側に配設されて空気流れに抵抗を付与し、吸湿モジュール(104)が第2ファン(98)の下流側に配設されて空気流れに抵抗を付与する。これにより、放湿モジュール(103)の周囲は負圧雰囲気となり、吸湿モジュール(104)の周囲は加圧雰囲気となる。本願発明では、出口流路切換機構(115〜118)を切り換えることで、室内の除湿性能と加湿性能との双方を十分に向上できる。
具体的に、例えば加湿運転では、第1流路(95,101)の出口を室内に連通させ、第2流路(96,102)の出口を室外に連通させる。これにより、負圧雰囲気で水分の放出が促された空気を室内へ供給し、且つ加圧雰囲気で水分の吸収が促された空気を室外へ排出する運転を行うことができる。その結果、加湿性能を十分に増大できる。また、除湿運転では、第1流路(95,101)の出口を室外に連通させ、第2流路(96,102)の出口を室内に連通させる。これにより、加圧雰囲気で水分の吸収が促された空気を室内へ供給し、負圧雰囲気で水分の放出が促された空気を室外へ排出できる。その結果、除湿性能も十分に増大できる。
第8の発明は、第7の発明において、前記第1流路(95,101)及び第2流路(96,102)の入口と、室内及び室外の連通状態を相互に切り換える入口流路切換機構(111〜114)を備えていることを特徴とする。
第8の発明では、入口流路切換機構(111〜114)を切り換えることで、室内空気を室内へ供給するとともに室外空気を室外へ排出する運転(内気循環運転)と、室外空気を室内へ供給するとともに室内空気を室外へ排出する運転(換気運転)とを切り換えることができる。
第1の発明によれば、放湿モジュール(40a,40b)を第1ファン(27,28)の上流側に配置し、この放湿モジュール(40a,40b)を空気流路における流路抵抗部材として機能させている。このため、ダンパ等の絞り部材を用いたり、このダンパの開度を調整したりすることなく、比較的簡易な構造で放湿モジュール(40a,40b)の周囲を負圧雰囲気とすることができる。その結果、調湿装置の低コスト化を図りながら、この調湿装置の調湿性能を増大できる。
特に、第2の発明では、除湿運転時における水分の放湿性能を増大することで、吸湿性能、ひいては除湿性能を十分に向上できる。また、第3の発明では、吸湿性能と加湿性能との双方を向上させて、加湿運転を行うことができる。
第4の発明では、吸湿モジュール(40b,40a)を第2ファン(28,27)の下流側に配置し、この吸湿モジュール(40b,40a)を空気流路における流路抵抗部材として機能させている。このため、ダンパ等の部材を用いたり、このダンパの開度を調整したりすることなく、比較的簡易な構造で吸湿モジュール(40b,40a)の周囲を加圧雰囲気とすることができる。その結果、調湿装置の低コスト化を図りながら、この調湿装置の除湿性能を増大できる。
特に、第5の発明では、吸湿性能と加湿性能との双方を向上させて、除湿運転を行うことができる。また、第6の発明では、加湿運転時における水分の吸湿性能を増大することで、放湿性能、ひいては加湿性能を十分に向上できる。
第7の発明では、出口流路切換機構(111〜114)により、第1流路(25,26)及び第2流路(26,25)の各出口と、室内及び室外の連通状態を切り換えることで、除湿運転と加湿運転との双方で十分な性能を得ることができる。
また、第8の発明では、入口切換機構(115〜118)により、第1流路(25,26)及び第2流路(26,25)の各入口と、室内及び室外の連通状態を切り換えることで、内気循環運転と換気運転とを任意に設定して室内を調湿できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、空気の除湿と加湿を行う調湿装置(10)である。
−調湿装置の構成−
本実施形態の調湿装置(10)について、図1及び図2を参照しながら説明する。
本実施形態の調湿装置(10)は、ケーシング(20)を備えている。このケーシング(20)には、吸収剤回路(30)と、冷媒回路(35)と、給気ファン(27)と、排気ファン(28)とが収容されている。
図1に示すように、ケーシング(20)は、直方体の箱状に形成されている。ケーシング(20)では、その一方の端面に外気吸込口(21)と内気吸込口(23)とが形成され、その他方の端面に給気口(22)と排気口(24)とが形成されている。ケーシング(20)の内部空間は、給気通路(25)と排気通路(26)に仕切られている。給気通路(25)は、外気吸込口(21)及び給気口(22)に連通している。
給気通路(25)には、給気ファン(27)と、第1の調湿用モジュールである給気側モジュール(40a)とが配置されている。給気通路(25)では、給気側モジュール(40a)が給気ファン(27)の上流側に配置されている。一方、排気通路(26)は、内気吸込口(23)及び排気口(24)に連通している。排気通路(26)には、排気ファン(28)と、第2の調湿用モジュールである排気側モジュール(40b)とが配置されている。排気通路(26)では、排気側モジュール(40b)が排気ファン(28)の上流側に配置されている。
図2に示すように、吸収剤回路(30)は、給気側モジュール(40a)と、排気側モジュール(40b)と、ポンプ(31)とが接続された閉回路である。この吸収剤回路(30)では、ポンプ(31)の吐出側が排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)の入口に、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)の出口が給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)の入口に、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)の出口がポンプ(31)の吸入側に、それぞれ接続されている。また、吸収剤回路(30)には、液体吸収剤として塩化リチウム水溶液が充填されている。
冷媒回路(35)は、圧縮機(36)と、四方切換弁(37)と、膨張弁(38)と、給気側モジュール(40a)と、排気側モジュール(40b)とが接続された閉回路である。この冷媒回路(35)では、圧縮機(36)の吐出側が四方切換弁(37)の第1のポートに、圧縮機(36)の吸入側が四方切換弁(37)の第2のポートに、それぞれ接続される。また、この冷媒回路(35)では、四方切換弁(37)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)と、膨張弁(38)と、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)とが配置されている。冷媒回路(35)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。そして、冷媒回路(35)は、給気側モジュール(40a)及び排気側モジュール(40b)に対して、冷媒を熱媒体として供給する。
四方切換弁(37)は、第1状態(図2に実線で示す状態)と、第2状態(同図に破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(37)では、第1のポートが第3のポートに連通し、第2のポートが第4のポートに連通する。一方、第2状態の四方切換弁(37)では、第1のポートが第4のポートに連通し、第2のポートが第3のポートに連通する。
−調湿用モジュールの構成−
給気側モジュール(40a)と排気側モジュール(40b)は、何れも調湿用モジュール(40)によって構成されている。ここでは、調湿用モジュール(40)について、図3〜図7を適宜参照しながら説明する。
調湿用モジュール(40)は、液体吸収剤によって空気の湿度を調節するためのものである。この調湿用モジュール(40)は、一つの外側ケース(50)と、複数の内側部材(60)と、二つの伝熱部材(46)とを備えている。内側部材(60)及び伝熱部材(46)は、外側ケース(50)に収容されている。また、外側ケース(50)及び内側部材(60)は、空気が流れる空気通路(42)と液体吸収剤が流れる吸収剤通路(41)を仕切る仕切り部材(45)を構成している。
図3に示すように、外側ケース(50)は、中空の直方体状に形成されており、底板(51)と、天板(52)と、一対の側板(53,54)と、一対の端板(55)とを備えている。なお、図3は、天板(52)と手前側の端板(55)とを省略した状態を示している。各側板(53,54)には、側板(53,54)を厚さ方向に貫通する通風孔(56)が複数形成されている。各通風孔(56)は、縦長の長方形状となっている。図4にも示すように、複数の通風孔(56)は、側板(53,54)の長手方向に一定の間隔で一列に配置されている。
図5及び図7にも示すように、内側部材(60)は、両端が開口した中空の直方体状に形成されている。この内側部材(60)は、支持枠(61)と、透湿膜(62)とを備えている。支持枠(61)は、その下面と上面が板状に形成されている。つまり、支持枠(61)は、その下面と上面が閉塞されている。透湿膜(62)は、支持枠(61)の側面を覆うように設けられている。従って、内側部材(60)に設けられた透湿膜(62)は、平面状となっている。透湿膜(62)は、液体吸収剤を透過させずに水蒸気を透過させる膜である。この透湿膜(62)としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、四ふっ化エチレン樹脂)等のふっ素樹脂から成る疎水性多孔膜を用いることができる。
外側ケース(50)には、各側板(53,54)に形成された通風孔(56)と同数の内側部材(60)が収容されている。外側ケース(50)の内部において、内側部材(60)は、それぞれの側面を覆う透湿膜(62)が互いに向かい合う姿勢で、外側ケース(50)の長手方向に一列に配列されている。
図4に示すように、内側部材(60)の端面の開口部(63)と、外側ケース(50)の側板(53,54)の通風孔(56)とは、形状と大きさが一致している。内側部材(60)は、開口部(63)が側板(53,54)の通風孔(56)と重なるように、外側ケース(50)に固定される。つまり、図4において、内側部材(60)の支持枠(61)の左端面は、左側に配置された側板(53)の内側面における通風孔(56)の周縁部に接合される。また、同図において、内側部材(60)の支持枠(61)の右端面は、右側に配置された側板(54)の内側面における通風孔(56)の周縁部に接合される。
図4に示すように、内側部材(60)の内側の空間は、外側ケース(50)の通風孔(56)を介して外部と連通しており、空気が流れる空気通路(42)となっている。空気通路(42)では、給気通路(25)又は排気通路(26)を流れる空気が流通する。
また、内側部材(60)の外側で且つ外側ケース(50)の内側の空間は、液体吸収剤が流れる吸収剤通路(41)となっている。吸収剤通路(41)では、吸収剤回路(30)を循環する液体吸収剤が流通する。従って、透湿膜(62)は、その表面が空気通路(42)を流れる空気と接触し、その裏面が吸収剤回路(30)を流れる液体吸収剤と接触する。
上述したように、外側ケース(50)に収容された複数の内側部材(60)は、それぞれの側面を覆う透湿膜(62)が互いに向かい合う姿勢で一列に並んでいる。このため、外側ケース(50)と内側部材(60)によって構成された本実施形態の仕切り部材(45)では、平面状の透湿膜(62)が互いに向かい合う姿勢で一定の間隔をおいて配置されており、透湿膜(62)の配列方向(本実施形態では外側ケース(50)の長手方向)に空気通路(42)と吸収剤通路(41)とが交互に形成されている。なお、吸収剤通路(41)において、両側を透湿膜(62)に挟まれた部分は、内側部材(60)の上側と下側の部分を介して互いに連通している。
図6に示すように、伝熱部材(46)は、複数本の伝熱管(70)と、一つの第1ヘッダ(71)と、一つの第2ヘッダ(72)とを備えている。
各伝熱管(70)は、アルミニウム製の多穴扁平管である(図4を参照)。即ち、伝熱管(70)は、断面が扁平な長円状に形成され、その内部空間が複数の流路に仕切られている。各伝熱管(70)に形成された流路は、冷媒回路(35)の冷媒が流れる熱媒体通路(43)となっている。伝熱部材(46)において、複数の伝熱管(70)は、それぞれの平坦面が互いに向かい合う姿勢で、互いに一定の間隔をおいて一列に配置されている。また、各伝熱管(70)は、それぞれの軸方向が上下方向となっている。
第1ヘッダ(71)及び第2ヘッダ(72)のそれぞれは、両端が閉塞された円管状に形成されている。第1ヘッダ(71)は、一列に配置された各伝熱管(70)の上端に接合されている。第2ヘッダ(72)は、一列に配置された各伝熱管(70)の下端に接合されている。第1ヘッダ(71)及び第2ヘッダ(72)の内部空間は、伝熱管(70)内に形成された流路と連通しており、この伝熱管(70)内の流路と共に熱媒体通路(43)を構成している。
外側ケース(50)内において、二つの伝熱部材(46)は、その一方が第1の側板(53)寄りに配置され、他方が第2の側板(54)寄りに配置されている。また、各伝熱部材(46)の伝熱管(70)は、隣り合う内側部材(60)の間に一本ずつ配置されている。従って、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、隣り合う内側部材(60)の間に、一方の伝熱部材(46)の伝熱管(70)と、他方の伝熱部材(46)の伝熱管(70)とが配置されている。上述したように、隣り合う内側部材(60)の間の空間は、吸収剤通路(41)となっている。従って、伝熱部材(46)の伝熱管(70)は、吸収剤通路(41)に配置され、その表面が吸収剤通路(41)を流れる液体吸収剤と接触する。つまり、伝熱部材(46)の伝熱管(70)は、吸収剤通路(41)を流れる液体吸収剤に囲まれている。
調湿用モジュール(40)の各伝熱部材(46)は、冷媒回路(35)に接続される。調湿用モジュール(40)によって構成された給気側モジュール(40a)では、各伝熱部材(46)の第1ヘッダ(71)が四方切換弁(37)の第4のポートに接続され、各伝熱部材(46)の第2ヘッダ(72)が膨張弁(38)に接続される。一方、調湿用モジュール(40)によって構成された排気側モジュール(40b)では、各伝熱部材(46)の第1ヘッダ(71)が四方切換弁(37)の第3のポートに接続され、各伝熱部材(46)の第2ヘッダ(72)が膨張弁(38)に接続される。
給気側モジュール(40a)と排気側モジュール(40b)とは、四方切換弁(37)の設定に応じて、液体吸収剤中から空気中へ水分を放出するモジュール(放湿モジュール)又は、空気中から液体吸収剤中へ水分を吸収するモジュール(吸湿モジュール)として機能する。具体的に、給気側モジュール(40a)は、除湿運転時に吸湿モジュールとなり、加湿運転時に放湿モジュールとなる。また、排気側モジュール(40b)は、加湿運転時に放湿モジュールとなり、除湿運転時に吸湿モジュールとなる。
上述したように、実施形態1の調湿装置(10)では、給気側モジュール(40a)が給気ファン(27)の上流側に配設される。この給気側モジュール(40a)は、加湿運転時において、給気通路(25)(第1流路)における給気ファン(27)(第1ファン)の上流側の空気流れに抵抗を付与するように構成されている。また、排気側モジュール(40b)は、除湿運転において、排気通路(26)(第2流路)における排気ファン(28)(第2ファン)の上流側の空気流れに抵抗を付与するように構成されている。即ち、例えば図3や図4に示すように、各モジュール(40a,40b)は、給気通路(25)及び排気通路(26)の空気流れに直交する方向に拡がる略格子状に形成され、その内部に複数の通風孔(56)が開口している。このため、各モジュール(40a,40b)は、給気通路(25)及び排気通路(26)を流れる空気に対して抵抗を付与する流路抵抗部材として機能する。このような構成により、給気ファン(27)が駆動されると、給気通路(25)における給気側モジュール(40a)の周囲が、負圧雰囲気となる。また、排気ファン(28)が駆動されると、排気通路(26)における排気側モジュール(40b)の周囲が、負圧雰囲気となる。その結果、調湿装置(10)では、除湿能力や加湿能力の向上が図られる(この作用の詳細は後述する)。
−調湿装置の運転動作−
調湿装置(10)の運転動作を説明する。調湿装置(10)は、室内への給気を除湿する除湿運転と、室内への給気を加湿する加湿運転とを選択的に実行する。
〈除湿運転〉
調湿装置(10)の除湿運転について、図1(A)及び図2を参照しながら説明する。
除湿運転時には、冷媒回路(35)の四方切換弁(37)が第1状態(即ち、図2に実線で示す状態)に設定される。また、除湿運転時には、圧縮機(36)が運転され、膨張弁(38)の開度が適宜調節される。そして、除湿運転時の冷媒回路(35)では、冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、除湿運転時の冷媒回路(35)では、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)が凝縮器となり、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)が蒸発器となる。これにより、除湿運転では、給気側モジュール(40a)が吸湿モジュールとして機能し、排気側モジュール(40b)が放湿モジュールとして機能する。
冷媒回路(35)における冷媒の流れを詳細に説明する。圧縮機(36)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、加熱用の熱媒体として排気側モジュール(40b)へ供給される。排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に排気側モジュール(40b)から流出する。排気側モジュール(40b)から流出した冷媒は、膨張弁(38)を通過する際に減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となり、冷却用の熱媒体として給気側モジュール(40a)へ供給される。給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤から吸熱して蒸発し、その後に給気側モジュール(40a)から流出する。給気側モジュール(40a)から流出した冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、圧縮機(36)へ吸入される。圧縮機(36)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
また、除湿運転時には、吸収剤回路(30)のポンプ(31)が運転され、吸収剤回路(30)内を液体吸収剤が循環する。
ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤は、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入する。この吸収剤通路(41b)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46b)を流れる冷媒によって加熱される。一方、排気側モジュール(40b)の空気通路(42)では、排気(即ち、室外へ排出される室内空気)が流れている。排気側モジュール(40b)では、液体吸収剤に含まれる水の一部が水蒸気となって透湿膜(62)を透過し、空気通路(42)を流れる排気に付与される。排気に付与された水蒸気は、排気と共に室外へ排出される。このように、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)の液体吸収剤に含まれる水の一部が、透湿膜(62)を透過して排気に付与される。従って、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に上昇してゆく。
排気側モジュール(40b)から流出した高濃度の液体吸収剤は、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入する。この吸収剤通路(41a)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46a)を流れる冷媒によって冷却される。一方、給気側モジュール(40a)の空気通路(42)では、給気(即ち、室内へ供給される室外空気)が流れている。給気側モジュール(40a)では、給気に含まれる水蒸気が透湿膜(62)を透過し、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤に吸収される。給気側モジュール(40a)の空気通路(42)を通過する間に除湿された給気は、その後に室内へ供給される。このように、給気側モジュール(40a)では、空気通路(42)の給気に含まれる水蒸気の一部が、透湿膜(62)を透過して液体吸収剤に吸収される。従って、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に低下してゆく。給気側モジュール(40a)から流出した低濃度の液体吸収剤は、ポンプ(31)へ吸い込まれ、排気側モジュール(40b)へ向けて送り出される。
〈加湿運転〉
調湿装置(10)の加湿運転について、図1(B)及び図2を参照しながら説明する。
加湿運転時には、冷媒回路(35)の四方切換弁(37)が第2状態(即ち、図2に破線で示す状態)に設定される。また、加湿運転時には、圧縮機(36)が運転され、膨張弁(38)の開度が適宜調節される。そして、加湿運転時の冷媒回路(35)では、冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、加湿運転時の冷媒回路(35)では、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)が凝縮器となり、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)が蒸発器となる。これにより、加湿運転時には、給気側モジュール(40a)が放湿モジュールとして機能し、排気側モジュール(40b)が吸湿モジュールとして機能する。
冷媒回路(35)における冷媒の流れを詳細に説明する。圧縮機(36)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、加熱用の熱媒体として給気側モジュール(40a)へ供給される。給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に給気側モジュール(40a)から流出する。給気側モジュール(40a)から流出した冷媒は、膨張弁(38)を通過する際に減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となり、冷却用の熱媒体として排気側モジュール(40b)へ供給される。排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤から吸熱して蒸発し、その後に排気側モジュール(40b)から流出する。排気側モジュール(40b)から流出した冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、圧縮機(36)へ吸入される。圧縮機(36)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
また、加湿運転時には、吸収剤回路(30)のポンプ(31)が運転され、吸収剤回路(30)内を液体吸収剤が循環する。
ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤は、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入する。この吸収剤通路(41b)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46b)を流れる冷媒によって冷却される。一方、排気側モジュール(40b)の空気通路(42)では、排気(即ち、室外へ排出される室内空気)が流れている。排気側モジュール(40b)では、排気に含まれる水蒸気が透湿膜(62)を透過し、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤に吸収される。水蒸気を奪われた排気は、その後に室外へ排出される。このように、排気側モジュール(40b)では、空気通路(42)の排気に含まれる水蒸気の一部が、透湿膜(62)を透過して液体吸収剤に吸収される。従って、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に低下してゆく。
排気側モジュール(40b)から流出した低濃度の液体吸収剤は、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入する。この吸収剤通路(41a)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46a)を流れる冷媒によって加熱される。一方、給気側モジュール(40a)の空気通路(42)では、給気(即ち、室内へ供給される室外空気)が流れている。給気側モジュール(40a)では、液体吸収剤に含まれる水の一部が水蒸気となって透湿膜(62)を透過し、空気通路(42)を流れる給気に付与される。給気側モジュール(40a)の空気通路(42)を通過する間に加湿された給気は、その後に室内へ供給される。このように、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)の液体吸収剤に含まれる水の一部が、透湿膜(62)を透過して給気に付与される。従って、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に上昇してゆく。給気側モジュール(40a)から流出した高濃度の液体吸収剤は、ポンプ(31)へ吸い込まれ、排気側モジュール(40b)へ向けて送り出される。
−調湿用モジュールの動作−
給気側モジュール(40a)と排気側モジュール(40b)を構成する調湿用モジュール(40)の動作について説明する。調湿用モジュール(40)は、液体吸収剤に水蒸気を吸収させる吸湿動作と、液体吸収剤から水蒸気を放出させる放湿動作とを選択的に行う。上述した除湿運転時には、給気側モジュール(40a)が吸湿動作を行い、排気側モジュール(40b)が放湿動作を行う。また、上述した加湿運転時には、排気側モジュール(40b)が吸湿動作を行い、給気側モジュール(40a)が放湿動作を行う。
〈吸湿動作〉
調湿用モジュール(40)の吸湿動作について、図4を参照しながら説明する。
吸湿動作中において、調湿用モジュール(40)の吸収剤通路(41)には、比較的高濃度の液体吸収剤が供給される。そして、空気通路(42)の空気に含まれる水蒸気の一部が、透湿膜(62)を透過して液体吸収剤に吸収される。
液体吸収剤が水蒸気を吸収する過程では、吸収熱が生じる。このため、何の対策も講じなければ、生じた吸収熱によって液体吸収剤の温度が次第に上昇し、液体吸収剤に吸収される水蒸気の量が減少してゆく。また、空気通路(42)を流れる空気の温度が液体吸収剤の温度よりも高い場合は、空気との熱交換によって液体吸収剤の温度が上昇する。一方、吸湿動作中の調湿用モジュール(40)では、伝熱部材(46)が蒸発器として機能し、熱媒体通路(43)の冷媒によって吸収剤通路(41)の液体吸収剤が冷却される。このため、吸収熱が生じても、液体吸収剤の温度上昇が抑えられる。
特に、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、伝熱部材(46)の伝熱管(70)が液体吸収剤に囲まれている。このため、伝熱管(70)を流れる冷媒は、実質的に液体吸収剤だけから吸熱する。従って、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、伝熱管(70)を流れる冷媒によって液体吸収剤が効率よく冷却される。
〈放湿動作〉
調湿用モジュール(40)の放湿動作について、図4を参照しながら説明する。
放湿動作中において、調湿用モジュール(40)の吸収剤通路(41)には、比較的低濃度の液体吸収剤が供給される。そして、液体吸収剤に含まれる水の一部が、水蒸気となって透湿膜(62)を透過し、空気通路(42)の空気に付与される。
液体吸収剤から水が放出される過程では、液体である水が気化する際に周囲から熱を奪う。このため、何の対策も講じなければ、液体吸収剤の温度が次第に低下し、液体吸収剤から放出される水蒸気の量が減少してゆく。また、空気通路(42)を流れる空気の温度が液体吸収剤の温度よりも低い場合は、空気との熱交換によって液体吸収剤の温度が低下する。一方、放湿動作中の調湿用モジュール(40)では、伝熱部材(46)が凝縮器として機能し、熱媒体通路(43)の冷媒によって吸収剤通路(41)の液体吸収剤が加熱される。このため、液体吸収剤から水蒸気が放出される過程において、液体吸収剤の温度低下が抑えられる。
特に、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、伝熱部材(46)の伝熱管(70)が液体吸収剤に囲まれている。このため、伝熱管(70)を流れる冷媒から放出された熱は、実質的に液体吸収剤だけに付与される。従って、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、伝熱管(70)を流れる冷媒によって液体吸収剤が効率よく加熱される。
〈除湿性能の向上効果〉
図1(A)に示すように、除湿運転時の排気側モジュール(40b)の周囲は、排気ファン(28)が運転されることで負圧雰囲気となる。排気側モジュール(40b)が排気ファン(28)の上流側に配置され、且つ排気側モジュール(40b)が流路抵抗部材として機能するからである。放湿側となる排気側モジュール(40b)の周囲が負圧雰囲気になると、排気側モジュール(40b)では、その内部の液体吸収剤の水蒸気分圧に対して空気中の水蒸気分圧が相対的に小さくなる。これにより、液体吸収剤と空気との間での水蒸気分圧差が顕著となり、排気側モジュール(40b)での水分の放湿が促進される。
排気側モジュール(40b)での水分の放湿性能が増大すると、排気側モジュール(40b)での液体吸収剤の濃度が上昇し易くなる。このため、吸湿側となる給気側モジュール(40a)には、比較的高濃度の液体吸収剤が供給される。給気側モジュール(40a)を流れる液体吸収剤の濃度が高くなると、給気側モジュール(40a)での吸湿性能も向上する。その結果、本実施形態1では、除湿運転時の除湿性能が向上する。
〈加湿性能の向上効果〉
図1(B)に示すように、加湿運転時の給気側モジュール(40a)の周囲は、給気ファン(27)が運転されることで負圧雰囲気となる。給気側モジュール(40a)が給気ファン(27)の上流側に配置され、且つ給気側モジュール(40a)が流路抵抗部材として機能するからである。放湿側となる給気側モジュール(40a)の周囲が負圧雰囲気になると、給気側モジュール(40a)では、その内部の液体吸収剤の水蒸気分圧に対して空気中の水蒸気分圧が相対的に小さくなる。これにより、液体吸収剤と空気との間での水蒸気分圧差が顕著となり、給気側モジュール(40a)での水分の放湿が促進される。その結果、加湿運転時の加湿性能が向上する。
−実施形態1の効果−
実施形態1によれば、除湿運転時に放湿側となる排気側モジュール(40b)を排気ファン(28)の上流側に配置し、この排気側モジュール(40b)を排気通路(26)における流路抵抗部材として機能させている。このため、例えばダンパの開度を調整するような複雑な機構を設けることなく、簡易な構造で放湿性能を向上できる。その結果、調湿装置の低コスト化を図りながら、除湿性能を向上できる。
また、加湿運転時に放湿側となる給気側モジュール(40a)を給気ファン(27)の上流側に配置し、この給気側モジュール(40a)を給気通路(25)における流路抵抗部材として機能させている。このため、簡易な構造により、給気側モジュール(40a)の放湿性能を増大し、ひいては加湿性能を向上できる。
また、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、吸収剤通路(41)に伝熱部材(46)が配置され、この伝熱部材(46)が熱媒体通路(43)を形成する。伝熱部材(46)は、吸収剤通路(41)に設置されて液体吸収剤に囲まれている。このため、熱媒体通路(43)を流れる高圧冷媒から放出される熱は、ほぼ全てが吸収剤通路(41)の液体吸収剤に付与される。また、熱媒体通路(43)を流れる低圧冷媒が吸収する熱は、ほぼ全てが吸収剤通路(41)の液体吸収剤から吸収した熱となる。従って、本実施形態によれば、液体吸収剤が空気と水分を授受する際における液体吸収剤の温度変化を抑えることができ、その結果、調湿用モジュール(40)の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の調湿用モジュール(40)では、伝熱部材(46)の伝熱管(70)が、吸収剤通路(41)を挟んで隣り合う透湿膜(62)の間に配置される。従って、本実施形態によれば、液体吸収剤が空気と水分の授受を行う透湿膜(62)の近くに伝熱管(70)を配置することができ、空気と水分の授受を行っている液体吸収剤を、伝熱管(70)を流れる冷媒と確実に熱交換させることができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る調湿装置(10)は、上述した実施形態1とファン(27,28)及び調湿モジュール(40a,40b)の配置関係が異なるものである。図8に示すように、給気通路(25)では、給気ファン(27)の上流側に給気側モジュール(40a)が配置され、排気通路(26)では、排気ファン(28)の下流側に排気側モジュール(40b)が配置される。
実施形態2に係る調湿装置(10)は、図8(B)に示す加湿運転時の加湿性能を十分に得ることができる。具体的に、加湿運転では、給気側モジュール(40a)が放湿モジュールを構成し、排気側モジュール(40b)が吸湿モジュールを構成する。給気側モジュール(40a)は、給気通路(25)(第1流路)において給気ファン(27)(第1ファン)の上流側に配置されるため、給気側モジュール(40a)の周囲は負圧雰囲気となる。このため、給気側モジュール(40a)では、空気への放湿性能が向上する。また、排気側モジュール(40b)は、排気通路(26)(第2流路)において排気ファン(28)(第2ファン)の下流側に配置されるため、排気側モジュール(40b)の周囲は陽圧(加圧)雰囲気となる。このため、排気側モジュール(40b)では、空気からの吸湿性能が向上する。
以上のように、実施形態2の調湿装置(10)の加湿運転では、吸湿性能と放湿性能との双方が向上するため、十分な加湿性能を発揮することができる。なお、実施形態2は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う調湿装置について、特に加湿性能の向上を図ったものであるが、加湿運転のみを行う加湿装置としてもよい。
《発明の実施形態3》
実施形態3に係る調湿装置(10)は、上述した実施形態1及び2とファン(27,28)及び調湿モジュール(40a,40b)の配置関係が異なるものである。図9に示すように、給気通路(25)では、給気ファン(27)の下流側に給気側モジュール(40a)が配置され、排気通路(26)では、排気ファン(28)の上流側に排気側モジュール(40b)が配置される。
実施形態3に係る調湿装置(10)は、図9(A)に示す除湿運転時の除湿性能を十分に得ることができる。具体的に、除湿運転では、給気側モジュール(40a)が吸湿モジュールを構成し、排気側モジュール(40b)が放湿モジュールを構成する。給気側モジュール(40a)は、給気通路(25)(第2流路)において給気ファン(27)(第2ファン)の下流側に配置されるため、給気側モジュール(40a)の周囲は加圧雰囲気となる。このため、給気側モジュール(40a)では、空気からの吸湿性能が向上する。また、排気側モジュール(40b)は、排気通路(26)(第1流路)において排気ファン(28)(第1ファン)の上流側に配置されるため、排気側モジュール(40b)の周囲は負圧雰囲気となる。このため、排気側モジュール(40b)では、空気への放湿性能が向上する。
以上のように、実施形態3の調湿装置(10)の除湿運転では、吸湿性能と放湿性能との双方が向上するため、十分な除湿性能を発揮することができる。なお、実施形態3は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う調湿装置について、特に除湿性能の向上を図ったものであるが、除湿運転のみを行う除湿装置としてもよい。
《発明の実施形態4》
実施形態4に係る調湿装置(10)は、上記各実施形態とケーシング(20)内の空気流路の構成が異なるものである。
図10〜図11に示すように、ケーシング(20)は、直方体の箱状に形成されている。ケーシング(20)は、前側パネル(81)、後側パネル(82)、第1側壁(83)、及び第2側壁(84)とを有している。前側パネル(81)には、第1側壁(83)寄りに外気吸込口(21)と内気吸込口(23)とが形成されている。後側パネル(82)には、第2側壁(84)寄りに給気口(22)と排気口(24)とが形成されている。
ケーシング(20)の内部には、第1から第4までのダンパ仕切板(85,86,87,88)が設けられている。第1ダンパ仕切板(85)は、前側パネル(81)と直交するように後方に延びている。第2ダンパ仕切板(86)は、第1ダンパ仕切板(85)の後端から第1側壁(83)に向かって延びている。第3ダンパ仕切板(87)は、後側パネル(82)と直交するように前方に延びている。第4ダンパ仕切板(88)は、第3ダンパ仕切板(87)の前端から第1側壁(83)に向かって延びている。
第1ダンパ仕切板(85)と第2ダンパ仕切板(86)との間の空間は、第1水平仕切板(89)によって上下に仕切られ、上側の空間が外気吸込口(21)と連通する外気流入室(90)を構成し、下側の空間が内気吸込口(23)と連通する内気流入室(91)を構成している。第3ダンパ仕切板(87)と第4ダンパ仕切板(88)との間の空間は、第2水平仕切板(92)によって上下に仕切られ、上側の空間が給気口(22)と連通する給気室(93)を構成し、下側の空間が排気口(24)と連通する排気室(94)を構成している。
第2側壁(84)と第1ダンパ仕切板(85)との間には、第2流路となる吸湿側ファン室(95)が区画され、第1側壁(83)と第3ダンパ仕切板(87)との間には、放湿側ファン室(96)が区画されている。吸湿側ファン室(95)には、第2ファンとなる押込ファン(97)が配置され、放湿側ファン室(96)には、第1ファンとなる吸込ファン(98)が配置される。
第1ダンパ仕切板(85)と第3ダンパ仕切板(87)との間には、両仕切板(85,87)に沿って延びる縦仕切板(99)が形成されている。縦仕切板(99)と第1側壁(83)との間には、放湿室(101)が区画され、縦仕切板(99)と第2側壁(84)との間には、吸湿室(102)が区画されている。放湿室(101)と放湿側ファン室(96)とは互いに連通して第1流路を構成する。吸湿室(102)と吸湿側ファン室(95)とは互いに連通して第2流路を構成する。放湿室(101)には、放湿モジュール(103)が設置され、吸湿室(102)には、吸湿モジュール(104)が設置される。放湿モジュール(103)と吸湿モジュール(104)は、実施形態1と同様の調湿用モジュールである。
図12に示すように、調湿装置(10)は、冷媒回路(35)を備えている。実施形態4の冷媒回路(35)は、四方切換弁を有さない一方向の循環回路である。冷媒回路(35)では、圧縮機(36)の吐出側に放湿モジュール(103)の伝熱部材(46)が接続され、圧縮機(36)の吸入側に吸湿モジュール(104)の伝熱部材(46)が接続されている。放湿モジュール(103)と吸湿モジュール(104)の間には、膨張弁(38)が接続されている。
図11に示すように、第1ダンパ仕切板(85)には、上側寄りに第1ダンパ(111)が、下側寄りに第2ダンパ(112)が設けられる。第2ダンパ仕切板(86)には、上側寄りに第3ダンパ(113)が、下側寄りに第4ダンパ(114)が設けられる。第3ダンパ仕切板(87)には、上側寄りに第5ダンパ(115)が、下側寄りに第6ダンパ(116)が設けられる。第4ダンパ仕切板(88)には、上側寄りに第7ダンパ(117)が、下側寄りに第8ダンパ(118)が設けられる。
第1ダンパ(111)は、外気流入室(90)と吸湿側ファン室(95)とを断続し、第2ダンパ(112)は、内気流入室(91)と吸湿側ファン室(95)とを断続する。第3ダンパ(113)は、外気流入室(90)と放湿室(101)とを断続し、第4ダンパ(114)は、内気流入室(91)と放湿室(101)とを断続する。第5ダンパ(115)は、放湿側ファン室(96)と給気室(93)とを断続し、第6ダンパ(116)は、放湿側ファン室(96)と排気室(94)とを断続する。第7ダンパ(117)は、吸湿室(102)と給気室(93)とを断続し、第8ダンパ(118)は、吸湿室(102)と排気室(94)とを断続する。
第1〜第4までのダンパ(111〜114)は、放湿室(101)及び吸湿室(102)の入口と、室内及び室外との連通状態を相互に切り換える入口流路切換機構を構成している。第5〜第8までのダンパ(115〜118)は、放湿室(101)及び吸湿室(102)の出口と、室内及び室外との連通状態を相互に切り換える出口流路切換機構を構成している。
〈除湿運転〉
実施形態4に係る調湿装置(10)の除湿運転について説明する。図13に示すように、除湿運転では、第1ダンパ(111)、第4ダンパ(114)、第6ダンパ(116)、及び第7ダンパ(117)が開放され、第2ダンパ(112)、第3ダンパ(113)、第5ダンパ(115)、及び第8ダンパ(118)が閉鎖される。
各ファン(97,98)が運転されると、外気吸込口(21)から外気流入室(90)に流入した空気が、第1ダンパ(111)、吸湿側ファン室(95)を順に通過して、吸湿室(102)に流入する。吸湿室(102)では、空気中の水分が吸湿モジュール(104)の液体吸収剤に吸収される。吸湿モジュール(104)は、押し込みファン(97)の下流側に配置され、且つ吸湿室(102)における流路抵抗部材として機能する。このため、吸湿室(102)が加圧雰囲気となり、吸湿モジュール(104)の吸湿性能が向上する。吸湿室(102)で除湿された空気は、第7ダンパ(117)、給気室(93)、及び給気口(22)を順に通過して室内へ供給される。
また、内気吸込口(23)から内気流入室(91)に流入した空気は、第4ダンパ(114)を通過して、放湿室(101)に流入する。放湿室(101)では、液体吸収剤中の水分が空気中へ放出される。放湿モジュール(103)は、吸込ファン(98)の上流側に配置され、且つ放湿室(101)における流路抵抗部材として機能する。このため、放湿室(101)は負圧雰囲気となり、放湿モジュール(103)の放湿性能が向上する。放湿室(101)で放湿された空気は、第6ダンパ(116)、排気室(94)、及び排気口(24)を順に通過して室外へ排出される。
以上のように、除湿運転では、放湿室(101)が負圧雰囲気となり、吸湿室(102)が加圧雰囲気となる。このため、放湿モジュール(103)の放湿性能と、吸湿モジュール(104)の吸湿性能との双方が向上するため、十分な除湿性能を得ることができる。
〈加湿運転〉
実施形態4に係る調湿装置(10)の加湿運転について説明する。図14に示すように、加湿運転では、第2ダンパ(112)、第3ダンパ(113)、第5ダンパ(115)、及び第8ダンパ(118)が開放され、第1ダンパ(111)、第4ダンパ(114)、第6ダンパ(116)、及び第7ダンパ(117)が閉鎖される。
各ファン(97,98)が運転されると、外気吸込口(21)から外気流入室(90)に流入した空気が、第3ダンパ(113)を通過して、放湿室(101)に流入する。放湿室(101)は、吸込ファン(98)の上流側に位置して負圧雰囲気となっているため、放湿モジュール(103)の放湿性能が向上する。放湿モジュール(103)で加湿された空気は、第5ダンパ(115)、給気室(93)、及び給気口(22)を順に通過して、室内へ供給される。
また、内気吸込口(23)から内気流入室(91)に流入した空気は、第2ダンパ(112)、吸湿側ファン室(95)を順に通過して、吸湿室(102)に流入する。吸湿室(102)は、押し込みファン(97)の下流側に位置して加圧雰囲気となっているため、吸湿モジュール(104)の吸湿性能が向上する。吸湿室(102)で吸湿された空気は、第8ダンパ(118)、排気室(94)、及び排気口(24)を順に通過して、室外へ排出される。
以上のように加湿運転では、除湿運転と同様にして、放湿室(101)が負圧雰囲気となり、吸湿室(102)が加圧雰囲気となる。このため、放湿モジュール(103)の放湿性能と、吸湿モジュール(104)の吸湿性能との双方が向上するため、十分な加湿性能を得ることができる。
−実施形態4の効果−
実施形態4では、各ダンパ(111〜118)を切り換えることで、除湿運転と加湿運転との双方において、放湿室(101)を負圧雰囲気として吸湿室(102)を加圧雰囲気とすることができる。その結果、除湿運転と加湿運転との双方において、十分な性能を発揮できる。
また、実施形態4の調湿装置(10)では、入口側のダンパ(111〜114)の切換により、室内空気を室内へ供給すると同時に、室外空気を室外へ排出する循環換気運転を行うことができる。具体的には、第2ダンパ(112)、第3ダンパ(113)、第6ダンパ(116)、及び第7ダンパ(117)を開放し、第1ダンパ(111)、第4ダンパ(114)、第5ダンパ(115)、及び第8ダンパ(118)を閉鎖することで、室内空気を除湿して室内へ供給すると同時に室外空気に液体吸収剤中の水分を放出させて室外へ排出する除湿運転を行うことができる。また、第1ダンパ(111)、第4ダンパ(114)、第5ダンパ(115)、及び第8ダンパ(118)を開放し、第2ダンパ(112)、第3ダンパ(113)、第6ダンパ(116)、及び第7ダンパ(117)を閉鎖することで、室内空気を加湿して室内へ供給すると同時に室外空気中の水分を液体吸収剤中へ吸収させて室外へ排出する加湿運転を行うことができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。