JP2013061114A - 熱交換器 - Google Patents

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智嗣 井上
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鉉永 金
Keiko Ryu
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Hiroshi Yo
洋 楊
Hiroharu Kubo
博治 久保
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Abstract

【課題】内部空間において冷媒が折り返すヘッダから冷媒が折り返す領域の近傍に位置する扁平管へと流れる冷媒量の低下を抑制できる熱交換器の提供。
【解決手段】複数の副扁平管21f〜21hを含み、副扁平管に形成される複数の流路穴212を流れる冷媒と副扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う副熱交換部2と、複数の主扁平管31a〜31eを含み、主扁平管に形成される複数の流路穴312を流れる冷媒と主扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う主熱交換部3と、副熱交換部と主熱交換部とを接続し、その内部空間Sにおいて、副扁平管の流路穴から流出した冷媒が折り返して主扁平管の流路穴へと向かうヘッダ13,14とを備える。ヘッダの内部空間には、副扁平管の端部が配置されている副扁平管配置空間S1と、主扁平管の端部が配置されている主扁平管配置空間S2との間に、壁部材51が配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器に関する。
従来、特許文献1(特開2010−236745号公報)に開示のように、主として、ヘッダと、ヘッダに接続され内部に冷媒を流すための複数の流路穴が形成される複数の扁平管と、を備え、扁平管の流路穴を流れる冷媒と扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う熱交換器が提案されている。
このような熱交換器では、ヘッダは、冷媒を複数の扁平管の流路穴へ流す機能を有している。特許文献1に開示の熱交換器においても、例えば、蒸発器として機能する場合、複数の扁平管の流路穴から流れてきた冷媒が、ヘッダの内部空間において、折り返して、上方の扁平管の流路穴へと流れるようにしている。
特許文献1に開示の熱交換器では、例えば、上記のように蒸発器として機能する場合、複数の扁平管の流路穴からヘッダの内部空間へと流れる液冷媒が、慣性力により、ヘッダの内面のうち扁平管の端面に対向する面にあたり、当該面付近に多く存在してしまうことが考えられる。このため、ヘッダの内部空間において、複数の扁平管の流路穴から流出し折り返すことによって冷媒が折り返す領域の近傍に位置する扁平管の流路穴へと流れる冷媒量が、低下することが懸念される。
そこで、本発明の課題は、内部空間において冷媒が折り返すヘッダから冷媒が折り返す領域の近傍に位置する扁平管へと流れる冷媒量の低下を抑制できる熱交換器を提供することにある。
本発明の第1観点に係る熱交換器は、第1熱交換部と、第2熱交換部と、ヘッダとを備える。第1熱交換部は、複数の第1扁平管を含み、第1扁平管に形成される複数の流路穴を流れる冷媒と第1扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う。第2熱交換部は、複数の第2扁平管を含み、第2扁平管に形成される複数の流路穴を流れる冷媒と第2扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う。ヘッダは、第1熱交換部と第2熱交換部とを接続し、その内部空間において、第1扁平管の流路穴から流出した冷媒が折り返して第2扁平管の流路穴へと向かう。ヘッダの内部空間には、第1扁平管の端部が配置されている第1空間と、第2扁平管の端部が配置されている第2空間との間に、壁部材が配置されている。
ここで、例えば、熱交換器が蒸発器として機能する場合、第1熱交換部から第2熱交換部に向かって冷媒が流れると仮定すると、第1扁平管の流路穴を流れる冷媒は、ヘッダの内部空間に流入した際、慣性力により、ヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面やその付近にあたって、その面に沿って第2空間へと流れることが考えられる。このため、ヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面やその付近には、液冷媒が多く付着することが懸念される。
そこで、本発明の第1観点に係る熱交換器のように、第1空間と第2空間との間に、第1扁平管の流路穴を流れる液冷媒を第2扁平管の流路穴に導くための壁部材が配置されていれば、ヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面に液冷媒が多く付着するのを抑制できる。これにより、冷媒が折り返す領域の近傍に位置する第2扁平管に流れる冷媒量(液冷媒量)の低下を抑制できる。すなわち、冷媒が折り返した後に流れていく扁平管の流路穴において液冷媒量とガス冷媒量との割合が偏る冷媒偏流を抑制できる。
本発明の第2観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点に係る熱交換器であって、壁部材は、少なくとも、ヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面に接触している。
ここで、例えば、熱交換器が蒸発器として機能する場合、第1熱交換部から第2熱交換部に向かって冷媒が流れると仮定すると、第1扁平管の流路穴を流れる液冷媒は、ヘッダの内部空間に流入した際、慣性力により、ヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面やその付近にあたり、その面に沿って第2空間へ流れやすいと考えられる。
そこで、本発明の第2観点に係る熱交換器では、少なくともヘッダの内面のうち第1扁平管の端部に対向する面に接触する壁部材を、ヘッダの内部空間に配置することで、ヘッダの内面に沿って動く液冷媒の流れを抑えることができる。これにより、第1扁平管の流路穴を流れヘッダの内部空間に流入した液冷媒を、第2扁平管の流路穴に導きやすくなる。
本発明の第3観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点又は第2観点に係る熱交換器であって、壁部材には、第1扁平管及び第2扁平管の長手方向と直交する方向の幅が第1扁平管及び第2扁平管の幅以上である開口、が形成されている、又は、壁部材は、第1扁平管及び第2扁平管の長手方向と直交する方向の幅が第1扁平管及び第2扁平管の幅以上である開口が形成されるように、配置されている。
本発明の第3観点に係る熱交換器では、冷媒の圧力損失を抑制しながら、ヘッダの内部空間から壁部材の近傍に位置する扁平管の流路穴へ流れる冷媒量の低下を抑制できる。
本発明の第4観点に係る熱交換器は、本発明の第3観点に係る熱交換器であって、開口の横断面積は、ヘッダの横断面積の、30%以上である。
本発明の第4観点に係る熱交換器では、冷媒の圧力損失を抑制しながら、ヘッダの内部空間から扁平管の流路穴へ流れる冷媒量の低下をより抑制できる。
本発明の第1観点に係る熱交換器では、ヘッダの内部空間から扁平管に流れる冷媒量の低下を抑制できる。
本発明の第2観点に係る熱交換器では、第1扁平管の流路穴を流れヘッダの内部空間に流入した液冷媒を、第2扁平管の流路穴に導きやすくなる。
本発明の第3観点及び第4観点に係る熱交換器では、冷媒の圧力損失を抑制しながら、ヘッダの内部空間から扁平管の流路穴へ流れる冷媒量の低下をより抑制できる。
熱交換器の概略正面図。 図1のII部の拡大図。 壁部材が配置されていないヘッダと主扁平管及び副扁平管との縦断面模式図。 熱交換器が蒸発器として機能する場合であって、一方のヘッダの内部空間に壁部材が配置されていない場合の、主熱交換部における概略の冷媒分布図。 壁部材が配置された状態のヘッダと主扁平管及び副扁平管との縦断面模式図。 壁部材の概略平面図。 主扁平管及び副扁平管と、壁部材が配置された状態のヘッダとの概略横断面図。 熱交換器が蒸発器として機能する場合であって、一方のヘッダの内部空間に壁部材が配置されている場合の、主熱交換部における概略の冷媒分布図。 開口の横断面積の、ヘッダの横断面積に対する割合に応じた、冷媒循環量と冷媒圧力損失との関係を示すグラフ。 変形例1Bに係る、主扁平管及び副扁平管と、壁部材が配置された状態のヘッダとの概略横断面図(開口が主扁平管及び副扁平管と平面視において重なる場合)。 変形例1Bに係る、主扁平管及び副扁平管と、壁部材が配置された状態のヘッダとの概略横断面図(開口が主扁平管及び副扁平管と平面視において重ならない場合)。 変形例1Cに係る、壁部材が配置された状態のヘッダの横断面図。 変形例1Dに係る壁部材の概略平面図。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る熱交換器1について説明する。なお、以下で説明する、縦断面とは、ヘッダ13,14の延びる方向(鉛直方向)に切断した断面を意味し、横断面とは、ヘッダ13,14が延びる方向に垂直な面で切断した断面を意味する。
(1)熱交換器1の基本構成
図1は、熱交換器1の概略構成図である。図2は、図1のII部の拡大図である。図3は、壁部材51が配置されていないヘッダと主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hとの縦断面模式図である。図4は、熱交換器1が蒸発器として機能する場合であって、第2ヘッダ14の内部空間Sに壁部材51が配置されていない場合の、主熱交換部3における概略の冷媒分布図である。図5は、壁部材51が配置された状態のヘッダと主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hとの縦断面模式図である。
熱交換器1は、空気を冷却源又は加熱源として、冷媒の凝縮や蒸発を行う熱交換器であり、例えば、蒸気圧縮式の冷凍装置の冷媒回路を構成する熱交換器として採用されるものである。なお、本実施形態では、冷媒回路を循環する冷媒として、フロン冷媒を使用するものとするが、フロン冷媒に限られるものではない。
熱交換器1は、図1や図2に示すように、主として、第1熱交換部としての副熱交換部2と、第2熱交換部としての主熱交換部3と、伝熱フィン12と、1対のヘッダ13,1
4と、を有している。以下、これらについて説明する。
(1−1)副熱交換部2
副熱交換部2は、複数(本実施形態では、3本)の第1扁平管としての副扁平管21f〜21hを含んでいる。
副扁平管21f〜21hは、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材を、押し出し成形をすることによって形成される、板状の部材である。副扁平管21f〜21hは、ヘッダ13,14の長手方向に交差する方向(具体的には、直交する方向)に長く延び、図2に示すように、長尺で幅広の平面部211が上下方向(ヘッダ13,14の長手方向)に向く状態で、各々が、上下方向に所定の間隔を空けて配置されている。各副扁平管21f〜21hには、内部に複数の流路穴212が形成されており、これらの流路穴212には冷媒が流れる。具体的には、複数の流路穴212は、各副扁平管21f〜21hを、その長手方向に貫通するように、且つ、その幅方向(長手方向に直交する方向)に並んで形成されている。また、副扁平管21f〜21hは、その各々の端面が平面視において重なるように配置されている。なお、副扁平管21f〜21hの数は3本に限られるものではなく、3本以下であっても、3本を超えてもよい。
以上のような構成を有する副熱交換部2では、各々の副扁平管21f〜21hに形成される複数の流路穴212を流れる冷媒と、その冷媒流れに直交する方向(具体的には、副扁平管21f〜21hの幅方向)に流れる空気との間で熱交換が行われる。
(1−2)主熱交換部3
主熱交換部3は、複数(本実施形態では、5本)の第2扁平管としての主扁平管31a〜31eを含んでいる。
主扁平管31a〜31eは、副扁平管21f〜21hと同様に、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材を、押し出し成形をすることによって形成される、板状の部材である。また、主扁平管31a〜31eは、副扁平管21f〜21hと同様に、ヘッダ13,14の長手方向に交差する方向(具体的には、直交する方向)に長く延び、図2に示すように、長尺で幅広の平面部311が上下方向(ヘッダ13,14の長手方向)に向く状態で、各々が、上下方向に所定の間隔を空けて配置されている。各主扁平管31a〜31eには、内部に複数の流路穴312が形成されており、これらの流路穴312には冷媒が流れる。具体的には、複数の流路穴312は、各主扁平管31a〜31eを、その長手方向に貫通するように、且つ、その幅方向に並んで形成されている。また、主扁平管31a〜31eは、その各々の端面が、平面視において重なるように、且つ、副扁平管21f〜21hの各々の端面と平面視において重なるように、配置されている。なお、主扁平管31a〜31eの数は5本に限られるものではなく、5本以下であっても、5本を超えてもよい。
以上のような構成を有する主熱交換部3では、各々の主扁平管31a〜31eに形成される複数の流路穴312を流れる冷媒と、その冷媒流れに直交する方向(具体的には、主扁平管31a〜31eの幅方向)に流れる空気との間で熱交換が行われる。
(1−3)伝熱フィン12
伝熱フィン12は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材から構成され、板状部材が長手方向に波形に折り曲げられることによって形成される波形フィンである。伝熱フィン12は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hを含んだ全扁平管のそれぞれによって挟まれた空間に配置され、主熱交換部3及び副熱交換部2における熱交換効率をより向上させる。伝熱フィン12は、その上端の山折りの部分が平面部211,311の下面にロウ付け等によって接合され、その下端の谷折りの部分が平面部211,311の上部にロウ付け等によって接合されている。また、伝熱フィン12には、熱交換効率を向上させるための複数の切り起こし部12aがルーバー状に切り起こされている。切り起こし部12aは、空気の流れ方向の上流側部分と下流側部分とで、空気流れ方向に対する傾斜方向が逆になるように形成されている。
(1−4)ヘッダ13,14
以下の説明においては、説明の便宜上、適宜、図1において紙面手前から視た左側のヘッダを第1ヘッダ13と呼び、図1において紙面手前から視た右側のヘッダを第2ヘッダ14と呼ぶことにする。
ヘッダ13,14は、それぞれ、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hを支持する支持機能と、冷媒を、内部空間Sにおいて、主扁平管31a〜31e(具体的には、流路穴312)及び副扁平管21f〜21h(具体的には、流路穴212)に流入させる流入機能と、主扁平管31a〜31e(具体的には、流路穴312)及び副扁平管21f〜21h(具体的には、流路穴212)から流出する冷媒を内部空間Sにおいて集合させる集合機能とを有している。
具体的な構成としては、ヘッダ13,14は、図1に示すように、各々が離間した状態で配置されており、上下方向(具体的には、鉛直方向)に延びる、上端及び下端が閉じられた略円筒形状の金属部材(アルミニウムやアルミニウム合金等)から構成されている。
ヘッダ13,14には、その外面から内面に貫通するように、プレス加工等によって、複数の穴(図示せず)が形成されている。複数の穴は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hをヘッダ13,14に接続するための穴であり、それぞれ、ヘッダ13,14の長手方向に沿って所定の間隔を空けて形成されている。具体的には、複数の穴に、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端部がヘッダ13,14の内部空間Sに位置するように、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hが貫通することで、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hがヘッダ13,14に接続されている。
以上のように、ヘッダ13,14は、副扁平管21f〜21hと、主扁平管31a〜31eとを間接的に接続する役割も有している。
ヘッダ13,14の一方(本実施形態では、第1ヘッダ13)には、冷媒の、熱交換器1への流入/熱交換器1からの流出を可能にする開口131及び開口132が形成されている。開口131及び開口132は、プレス加工等によって形成されている。
なお、以上のような構成を有する熱交換器では、一般に、蒸発器として機能する場合は、冷媒は、熱交換器1の下方部分から上方部分に向かって流れ、凝縮器として機能する場合は、冷媒は、熱交換器1の上方部分から下方部分に向かって流れる。よって、開口131は、熱交換器1が冷媒の蒸発器として機能する場合は、冷媒の入口となり、熱交換器1が冷媒の凝縮器として機能する場合は、冷媒の出口となる。また、開口132は、熱交換器1が冷媒の凝縮器として機能する場合は、冷媒の入口となり、熱交換器1が冷媒の蒸発器として機能する場合は、冷媒の出口となる。
また、ヘッダ13,14のうち、開口131及び開口132が形成される一方のヘッダ(本実施形態では、第1ヘッダ13)には、開口131及び開口132を介して第1ヘッダ13の内部空間Sに流入した冷媒が、第2ヘッダ14の内部空間Sとの間で冷媒が折り返す(往復する)ように、仕切り板41が配置されている。具体的には、仕切り板41は、開口131及び開口132を介して第1ヘッダ13内に流入した冷媒を、副熱交換部2のみに流すために、副扁平管21fの端部と主扁平管31eの端部との間に、これらを上下方向に仕切るように配置されている。言い換えれば、仕切り板41は、副扁平管配置空間S1(第1空間に相当)と、主扁平管配置空間S2(第2空間に相当)との間に配置されることにより、副扁平管配置空間S1と主扁平管配置空間S2とを上下方向に仕切っている。副扁平管配置空間S1とは、ヘッダ13,14の内部空間Sのうち、副扁平管21f〜21hの端部が配置される空間である。主扁平管配置空間S2とは、ヘッダ13,14の内部空間Sのうち、主扁平管31a〜31eの端部が配置される空間である。
なお、第1ヘッダ13の副扁平管配置空間S1から第2ヘッダ側へと流れて第2ヘッダ14の副扁平管配置空間S1へと流出した冷媒は、第2ヘッダ14の内部空間Sにおいて、第1ヘッダ13から第2ヘッダ14へと向かっていた流れ方向とは逆の方向に向きを変えるように折り返して、主扁平管31a〜31eに形成される流路穴312へと向かう。
ここで、図3に示すように、熱交換器1が蒸発器として機能する場合、副扁平管の流路穴を流れ、第2ヘッダの内部空間へと向かう液冷媒は、第2ヘッダの内部空間に流入した際、慣性力により、第2ヘッダの内面(具体的には、第2ヘッダの内面のうち副扁平管の端部に対向する面やその付近)に当たり、その内面に沿って上昇することが考えられる。このため、副扁平管を流れ第2ヘッダの内部空間に流出した冷媒のうち、特に比重の大きな液冷媒が、第2ヘッダの内面のうち副扁平管の端部に対向する面やその付近に多く付着する(図3のドットのハッチングで示している)ことが懸念される。このような現象が起こると、主扁平管の端面から遠い位置に液冷媒が位置することになるため、第2ヘッダの内部空間において、第2ヘッダの内部空間から、冷媒が折り返す領域の近傍(具体的には、冷媒が折り返す地点よりも上方(特に、冷媒が折り返す地点の直上))に位置する主扁平管の流路穴へと流れる液冷媒の量が低下することが懸念される。このため、冷媒が折り返した後に流れていく扁平管の流路穴において液冷媒量とガス冷媒量との割合が偏る冷媒偏流が生じ、熱交換器としての性能を大きく低下させることが懸念される。実際に、本発明の発明者が実験を行った結果、図4に示すように、副扁平管に近い高さ位置に配置される、すなわち、冷媒が折り返す領域の近傍に配置される、主扁平管の流路穴には、液冷媒が流れにくくなっており、ガス冷媒が多く存在していることも検知できた。なお、図4は、熱交換器1が蒸発器として機能する場合の主熱交換部3における冷媒の温度状態を、サーモカメラ等の温度検出装置を用いて検出し、温度状態から冷媒の状態を推測した結果を示したものである。
上記のような課題を解決するために、熱交換器1では、冷媒が折り返す(流れ方向の向きを変える)一方のヘッダ(本実施形態では、第2ヘッダ14)の内部空間Sに、壁部材51を配置している。具体的には、図5に示すように、第2ヘッダ14の内部空間Sにおいて、副扁平管配置空間S1と主扁平管配置空間S2との間に、壁部材51を配置している。壁部材51については、以下に詳述する。
(2)壁部材51
図6は、壁部材51の概略平面図である。図7は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hと、壁部材51が配置された状態の第2ヘッダ14との概略横断面図である。
壁部材51は、第2ヘッダ14の内部空間Sに嵌まる(言い換えれば、その外面が、第2ヘッダ14の内面に接触する)、横断面における外縁が円形状を有する板状の部材である。壁部材51には、開口52が形成されている。開口52は、平面視形状が細長い略四角形状を有するように形成されている。また、壁部材51は、図7に示すように、開口52が、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの幅方向に細長く延びるように、配置されている。
開口52は、開口52の横断面積が第2ヘッダ14の横断面積(内部空間Sも含む)の30%以上となるように、形成されている。なお、開口52の横断面積の第2ヘッダ14の横断面積に対する割合を、以下では、適宜、開口割合という。また、開口52は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの長手方向と直交する方向の開口幅W1(図6を参照)が、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの幅W2(図7を参照)と同じになるように形成されている。なお、開口割合が30%以上であれば、開口幅W1は、幅W2より大きくてもよい。
また、開口52は、図7に示すように、壁部材51が第2ヘッダ14に嵌め込まれた状態において、開口52を形成する開口形成部53の、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側の縁が、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端面と平面視において重なるような位置に、形成されている。
(3)冷媒の流れ
以下、以上のような構成を有する熱交換器1における冷媒の一連の流れを簡単に説明する。
(3−1)熱交換器1が蒸発器として機能する場合の冷媒の流れ
まず、第1ヘッダ13の外方から熱交換器1に向かって流れる冷媒は、開口131を介して第1ヘッダ13の内部空間Sに流入する。第1ヘッダ13の内部空間Sに流入した冷媒は、副熱交換部2の各副扁平管21f〜21hに分配されて各副扁平管21f〜21hに形成される複数の流路穴212に分流される。そして、各副扁平管21f〜21hに形成される複数の流路穴212を流れる冷媒は、第2ヘッダ14側に向かって流れ、第2ヘッダ14の内部空間S(具体的には、副扁平管配置空間S1)に流出されてそこで集合する。
第2ヘッダ14の内部空間S(具体的には、副扁平管配置空間S1)に流出された冷媒は、第2ヘッダ14の副扁平管21f〜21hに対向する面やその付近に当たって、第2ヘッダ14の内面に沿って上昇するが、このとき、壁部材51の下面が、第2ヘッダ14の内面に沿った冷媒の上昇を抑えている。これにより、第2ヘッダ14の内面に沿って上昇しようとする冷媒は、開口形成部53のうち主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側の縁部と対向する縁部に沿って(すなわち、開口52を介して)主扁平管配置空間S2へと流れ、各主扁平管31a〜31eの流路穴312へと向かう。このとき、主扁平管31a〜31eへと向かう冷媒は、各々の主扁平管31a〜31eに分配され、各々の主扁平管31a〜31eに形成される複数の流路穴312に分流される。そして、各々の主扁平管31a〜31eの流路穴312を流れる冷媒は、第1ヘッダ13の内部空間S(具体的には、主扁平管配置空間S2)に流出されて集合する。そして、第1ヘッダ13内で集合した冷媒は、開口132を介して熱交換器1の外方へと流出する。
ここで、本発明の発明者は、このときの主熱交換部3の冷媒の温度状態を、サーモカメラ等の温度検出装置を用いて検出した。この検出した結果から導き出した冷媒状態の概略分布を図8に示す。実験の結果、壁部材51を、冷媒が折り返す第2ヘッダ14の内部空間Sに配置すれば、壁部材51を、冷媒が折り返す第2ヘッダ14の内部空間Sに配置しない場合(図4を参照)に比べて、冷媒が折り返す地点よりも上方に配置される主扁平管31a〜31e(特に、冷媒が折り返す地点の直上に位置する、すなわち、副扁平管21fの直上に位置する扁平管31e)の流路穴312に、液冷媒が流れやすくなったという知見を得た。
(3−2)熱交換器1が凝縮器として機能する場合の冷媒の流れ
熱交換器1が凝縮器として機能する場合は、第1ヘッダ13の外方から熱交換器1に向かって流れる冷媒が、開口132を介して第1ヘッダ13に流入する。
そして、第1ヘッダ13の内部空間Sに流入した冷媒は、各主扁平管31a〜31eに分配され、各主扁平管31a〜31eに形成される複数の流路穴312に分流されて、第2ヘッダ14の内部空間S(主扁平管配置空間S2)に流出されて集合する。第2ヘッダ14の内部空間S(主扁平管配置空間S2)で集合した冷媒は、壁部材51に形成される開口52を介して、副扁平管配置空間S1に流れる。副扁平管配置空間S1へと流れた冷媒は、各副扁平管21f〜21hに分配され、各副扁平管21f〜21hに形成される複数の流路穴212に分流されて第1ヘッダ13側へと流れる。流路穴212を流れる冷媒は、第1ヘッダ13の内部空間S(具体的には、副扁平管配置空間S1)に流出して集合する。第1ヘッダ13の内部空間Sで集合した冷媒は、開口131を介して熱交換器1の外方へと流出する。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態では、冷媒が折り返すヘッダの内部空間Sにおいて、壁部材51を配置している。具体的には、ヘッダの内部空間Sのうち冷媒が折り返す空間(副扁平管配置空間S1と主扁平管配置空間S2との間)に、壁部材51を配置している。これにより、上述したように、各副扁平管21f〜21hの流路穴212を流れて第2ヘッダ14の内部空間Sに流出した冷媒を、冷媒が折り返す領域の近傍(具体的には、冷媒が折り返す地点よりも上方)に位置する主扁平管31a〜31e(特に、冷媒が折り返す地点の直上に位置する主扁平管31e)の流路穴312へと導くことができる。よって、第2ヘッダ14の内面のうち副扁平管21f〜21hの端部に対向する面やその付近に、比重が大きい液冷媒が付着するのを抑制できる。従って、内部空間Sにおいて冷媒が折り返す第2ヘッダ14から、冷媒が折り返す領域の近傍(冷媒が折り返す地点よりも上方)に位置する主扁平管31a〜31e(特に、冷媒が折り返す地点の直上に位置する主扁平管31e)に流れる冷媒量(具体的には、液冷媒の量)の低下を抑制できる。すなわち、冷媒が折り返した後に流れる扁平管の流路穴において液冷媒量とガス冷媒量との割合が偏る冷媒偏流を抑制できる。よって、熱交換器1の能力低下を抑制できる。
(4−2)
本実施形態では、壁部材51に形成される開口52の開口幅W1は、副扁平管21f〜21h及び主扁平管31a〜31eの幅W2と同じである。これにより、冷媒の圧力損失を抑制しながら、第2ヘッダ14の内部空間Sから、冷媒が折り返す領域の近傍(冷媒が折り返す地点よりも上方)に位置する主扁平管31a〜31e(特に、冷媒が折り返す地点の直上に位置する主扁平管31e)に流れる冷媒量(具体的には、液冷媒の量)の低下を抑制できる。なお、開口幅W1が幅W2よりも大きい場合、冷媒の圧力損失をより抑制することが可能になる。
(4−3)
本実施形態では、開口52は、壁部材51が第2ヘッダ14に嵌め込まれた状態において、開口形成部53の、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側の縁が、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端面と平面視において重なるような位置に、形成されている。
これにより、副扁平管配置空間S1から開口52を介して主扁平管配置空間S2へと上昇する冷媒を、冷媒が折り返す領域の近傍(冷媒が折り返す地点よりも上方)に位置する主扁平管31a〜31eの端面へと導きやすくなり、主扁平管31a〜31eに形成される流路穴312へと多くの冷媒(特に、液冷媒)を流しやすくなる。
(4−4)
図9は、壁部材51に形成される開口52の横断面積の、第2ヘッダ14の横断面積に対する割合に応じた、冷媒循環量と冷媒圧力損失との関係を示すグラフである。
図9に示すように、本発明の発明者は、壁部材51に形成される開口52の横断面積が、第2ヘッダ14の横断面積の30%以上となるように、開口52を形成すれば、冷媒の圧力損失による熱交換器1の能力低下を無視できる程度(具体的には、1%未満)まで抑制できるといった知見を得た。なお、図9に示すように、例えば、開口割合が13%や16%の場合において、例えば、冷媒循環量が約120kg/hの場合は、圧力損失がないと仮定した場合のサブクール熱交換量に対して約1〜2%サブクール熱交換量が低下し、また、冷媒循環量が約240kg/hの場合は、圧力損失がないと仮定した場合のサブクール熱交換量に対して約4〜6%サブクール熱交換量が低下することになる。
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、開口52が形成された壁部材51を第2ヘッダ14の内部空間Sに配置すると説明したが、これに限られるものではない。
例えば、開口52のような開口が形成されるように、複数の部材を使用して壁部材を形成してもよい。
(5−2)変形例1B
図10及び図11は、本変形例1Bに係る、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hと壁部材51が配置された状態の第2ヘッダ14との概略横断面図である。
上記実施形態では、開口52は、開口52を形成する開口形成部53の主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側の縁が、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端面と平面視において重なるような位置に形成されていると説明したが、これに限られるものではない。例えば、図10の二点鎖線に示すように、開口52は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端部と平面視において重なるような位置に形成されていてもよいし、図11の一点鎖線に示すように、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端部と平面視において重ならないような位置に形成されていてもよい。なお、開口52は、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hの端面と、開口形成部53の主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側の縁との距離が−2.0mm〜2.0mmとなるような位置に形成されることが望ましい。
(5−3)変形例1C
図12は、本変形例1Cに係る第2ヘッダ14の横断面図である。
上記実施形態では、壁部材51の外面は、第2ヘッダ14の内面に接触すると説明したが、壁部材は、このような構成に限られるものではなく、例えば、図12に示すように、第2ヘッダ14の内面のうち、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに対向する面(側面視において、主扁平管31a〜31e及び副扁平管21f〜21hに貫通される側とは逆側の内面)に少なくとも接触するような板状の壁部材151であってもよい。この場合、ヘッダの内部空間Sのうち平面視における壁部材151を除いた空間152(壁部材の壁部材151の第2ヘッダ14に接触していない面と、第2ヘッダ14の内面によって形成される空間)が、上記の開口52に相当する。この場合であっても、第2ヘッダ14の内面に沿って上昇する冷媒流れを抑制でき、冷媒を、壁部材151の第2ヘッダ14に接触していない面153に沿って、主扁平管31a〜31eへと導くことができる。
(5−4)変形例1D
図13は、本変形例1Dに係る壁部材51の概略平面図である。
上記実施形態では、ヘッダ13,14は、円筒形状の部材であると説明したが、これに限られるものではない。例えば、図13(a)に示すように、内部に中空空間(内部空間に相当)が形成され、横断面形状が、略D形状を有するように形成される部材であってもよいし、図13(b)に示すように、横断面形状が略四角形状を有する、角筒形状の部材であってもよい。なお、この場合、壁部材51は、ヘッダの形状に応じて適宜変更される。
また、開口52は、平面視形状が略四角形状を有するように形成されていると説明したが、これに限られるものではなく、例えば、図13(c)に示すように、平面視形状が細長い楕円形状を有するように形成されてもよいし、図13(d)及び図13(e)に示すように、平面視形状が略三角形状を有するように形成されていてもよい。
(5−5)変形例1E
上記実施形態では、副扁平管21f〜21hと主扁平管31a〜31eとは、同様の構成であると説明したが、幅等が異なっていてもよい。
本発明では、ヘッダと、ヘッダに接続され内部に冷媒を流すための複数の流路穴が形成される複数の扁平管とから構成される熱交換器に種々適用可能である。
1 熱交換器
13,14 ヘッダ
21f〜21h 副扁平管(第1扁平管)
31a〜31e 主扁平管(第2扁平管)
51 壁部材
52 開口
151 壁部材
152 空間
212 流路穴
312 流路穴
S 内部空間
S1 副扁平管配置空間(第1空間)
S2 主扁平管配置空間(第2空間)
W1 開口幅
W2 副扁平管及び主扁平管の幅
特開2010−236745号公報

Claims (4)

  1. 複数の第1扁平管(21f〜21h)を含み、前記第1扁平管に形成される複数の流路穴(212)を流れる冷媒と前記第1扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う第1熱交換部(2)と、
    複数の第2扁平管(31a〜31e)を含み、前記第2扁平管に形成される複数の流路穴(312)を流れる冷媒と前記第2扁平管の外方を流れる空気との間で熱交換を行う第2熱交換部(3)と、
    前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とを接続し、その内部空間(S)において、前記第1扁平管の流路穴から流出した冷媒が折り返して前記第2扁平管の流路穴へと向かうヘッダ(14)と、
    を備え、
    前記ヘッダの内部空間には、前記第1扁平管の端部が配置されている第1空間(S1)と、前記第2扁平管の端部が配置されている第2空間(S2)との間に、壁部材(51)が配置されている、
    熱交換器(1)。
  2. 前記壁部材は、少なくとも、前記ヘッダの内面のうち前記第1扁平管の端部に対向する面に接触している、
    請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記壁部材には、前記扁平管の長手方向と直交する方向の幅(W1)が前記第1扁平管及び前記第2扁平管の幅(W2)以上である開口(52)、が形成されている、又は、前記壁部材は、前記扁平管の長手方向と直交する方向の幅が前記第1扁平管及び前記第2扁平管の幅以上である開口が形成されるように、配置されている、
    請求項1又は2に記載の熱交換器。
  4. 前記開口の横断面積は、前記ヘッダの横断面積の、30%以上である、
    請求項3に記載の熱交換器。
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