JP2013057270A - ディーゼルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】
EGR率を高め排気ガス性能を向上させながら、燃焼効率を向上することのできるディーゼルエンジンを提供する。また、小型化及び高Pme化を施したディーゼルエンジンを提供する。
【解決手段】
ディーゼルエンジン1において、キャビティ3が、平面視において、直交する長軸x1、x2と短軸y1、y2を有する略楕円形であり、長軸x1の一端側で、且つ下降するタンブラ流Sが衝突する部位の第1側壁11と、長軸x2の他端側で、且つ第1側壁11に衝突してキャビティ底面13に沿って流れるタンブラ流Sが上昇に転じる部位の第2側壁12を有しており、第1側壁11のピストン2の軸方向zと垂直な面に対する傾きが、第2側壁12のピストン2の軸方向zと垂直な面に対する傾きよりも大きくなるように形成した。
【選択図】図4

Description

本発明は、キャビティに燃料を直接噴射するディーゼルエンジンに関するものである。
現在、内燃機関を使用する自動車エンジンや産業エンジンなどの排気ガス規制は年々厳しくなっている。これに加えて近年は世界的な地球温暖化対策の一つとして、厳しい燃費規制の導入も検討されている。各自動車メーカはこれらに対応するため、エンジン性能であるエンジン排ガス及び燃費改善の様々なデバイス研究及び開発が進められている。
内燃機関には大きく使用する燃料の違いによりガソリンエンジンとディーゼルエンジンがある。近年、ディーゼルエンジンは高圧噴射や高過給などのアイテムの研究及び開発は急速に進んだが、エンジン筒内における燃費改善についてはガソリンエンジンに比べ研究が遅れている。この遅れの背景としては、ガソリンエンジンに対しディーゼルエンジンは、エンジンベースの熱効率が高かったということがある。しかし、近年ガソリンエンジンにおけるハイブリッドの導入や、上記で述べた厳しい燃費規制の導入などにより、ディーゼルエンジンに対して更に高い燃焼効率が求められている。
これまでディーゼルエンジンには大きく分けると二つの燃焼構造があった。一つは直接噴射式と呼ばれ、もう一つは予燃焼室式と呼ばれ、それぞれ研究及び開発が進められてきた。直接噴射式(DI)と呼ばれているディーゼルエンジンは主室に直接高圧の燃料を噴射する構造である。予燃焼室(IDI)と呼ばれているディーゼルエンジンは主室と別に副室
を設け、その副室に高圧の燃料を噴射する構造である。それぞれに長所短所があるが、近年高い燃焼効率の追求、すなわち近年更なる低燃費の要求により熱効率の高い直接噴射式が主流となっている。
直接噴射式ディーゼルエンジンのピストンには大きく分けると二種類のキャビティ形状があり、一つはリエントラントと呼ばれる形状(例えば特許文献1参照)で、もう一つはトロイダル(例えば特許文献2参照)と呼ばれる形状である。なお、これらの特許文献に記載のエンジンは、ともに点火プラグを有するガソリンエンジンである。
図6及び図7にリエントラント型のキャビティ3Xを有するディーゼルエンジン1Xの概略を示す。図6は吸排気ポートの平面における配置を示しており、図7はピストン2X周辺の断面の概略を示している。このディーゼルエンジン1Xは、2つの吸気ポート4Xと、2つの排気ポート5Xと、燃料噴射ノズル10を有している(図6参照)。また、ディーゼルエンジン1Xは、キャビティ3Xを有するピストン2Xと、吸気バルブ6X及び排気バルブ7Xを有している(図7参照)。ここで、参照番号8は混合気が形成され燃焼が行われるエンジン筒内を、図7の矢印は、吸気エアーの流れる方向を示している。
このリエントラント型のキャビティ3Xは、キャビティ3X上部の口元をリップ部21で絞り込まれ、キャビティ3Xの側面や底面は湾曲に形成されている。また、底面中央部には円錐状の突起部22を設置した形状が一般的である。
また、このリエントラント型のディーゼルエンジン1Xは、エンジン筒内8、特にキャビティ3X内に吸気エアーのスワール流(周方向に旋回する旋回流)を形成し、その残存性を高く保持させるため、キャビティ3Xの形状を平面視(xy平面)において真円形状とすることが一般的である。
更に、リエントラント型のディーゼルエンジン1Xは、スワール流を効率的に形成するため、図6に示す様に、エンジンに対して吸気ポート4X及び排気ポート5Xの配置をオフセット(周方向に回転)させることで、吸気エアーを旋回させている例が多い。
上記の構成により、リエントラント型のキャビティ3Xを有するディーゼルエンジン1Xは、キャビティ上部のリップ部21により、ピストン圧縮上死点近傍では高いスキッシュ効果を得ることができる。また、リップ部21、キャビティ3X内の湾曲部、及び底面に設けた円錐状の突起部22等により、キャビティ3X内に強いスワール流を形成し燃焼改善を図っている。
現在、エンジン筒内(シリンダ筒内)8の燃焼改善に注目が集まっている。エンジン筒内8に残された少ない酸素量を有効利用するためエンジン筒内8の空気流動を高める、即ち筒内空気利用度を高める研究及び開発が進められている。よって、今日では、直接噴射式のディーゼルエンジンのキャビティ形状は、エンジン筒内8の空気流動を積極的に利用しているリエントラント型が主流となっている。
図8及び図9にトロイダル型のキャビティ3Yを有するディーゼルエンジン1Yの概略を示す。図8は吸排気ポートの平面における配置を示しており、図9はピストン2Y周辺の断面の概略を示している。このディーゼルエンジン1Yは、2つの吸気ポート4と、2つの排気ポート5と、燃料噴射ノズル10を有している(図8参照)。また、ディーゼルエンジン1Yは、キャビティ3Yを有するピストン2Yと、吸気バルブ6及び排気バルブ7を有している(図9参照)。ここで、参照番号8はエンジン筒内を、図9の矢印は吸気エアーの流れる方向を示している。
このトロイダル型のキャビティ3Yは、キャビティ上部の口元をリップ部で絞ってはおらず、キャビティ3Yの側面や底面も湾曲度が小さい。また、キャビティ3Yの底面中央に円錐状の突起部を有さない、又は有していてもリエントラント型ほど高く形成しないのが一般的な形状である。
このディーゼルエンジン1Yは、エンジンに対して吸気ポート4及び排気ポート5を平行に配置し、エンジン筒内8に吸気エアーのタンブラ流(エンジンの鉛直方向zに旋回する気流)を形成している。同時に、吸排気ポート4、5の効率低下を招くことなく低スワール流も発生させている例が多い。そのため、トロイダル型のキャビティ3Yは、リエントラント型のキャビティ3Xと同様、平面視(xy平面)において真円形状とすることが一般的である。
上記の構成により、トロイダル型のキャビティ3Yを有するディーゼルエンジン1Yは、熱損失を低減させエンジン熱効率の向上を実現している。これは、浅皿型とも呼ばれるキャビティ3Yが、キャビティ3Yの表面積を絞り、ピストン2Yへの熱流を抑制することのできる形状を有しているためである。また、エンジン筒内8の空気流動形成としては、高スワール流を利用せず、ピストン2Y上死点近傍でスキッシュ効果が得られるように構成している。この高スワール流を利用しない構成により、シリンダヘッド内にある吸気ポート4に連結する吸気管(図示しない)に無理な曲がりを形成しないため、吸気エアーの流れに抵抗を与えず、高い吸気効率を得ることができていた。
以上より、ディーゼルエンジンは、リエントラント型のキャビティを有するエンジン(図7参照)やトロイダル型のキャビティを有するエンジン(図9参照)の開発により、エンジンの燃費や熱効率の向上が進められている。
一方、ディーゼルエンジンは、排気ガス性能を向上するために、EGRシステムを搭載
している。このEGRシステムは、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスを、再循環させ、再びディーゼルエンジンに吸気エアーとともに供給する構成を有している。このEGRシステムにより、排気ガス中のNOxを低減している。
また、ディーゼルエンジンの燃費向上に寄与する開発として、ディーゼルエンジンのダウンサイジング化が検討されている。これはエンジンの高性能高出力化を実現し、従来の大きいエンジンに代えて、小型エンジンを車両に搭載し、低燃費化を狙ったシステムである。このエンジンの小型化によりエンジン全体のフリクションの低減、及び高Pme化により高い熱効率の使用領域の拡大を実現し、その結果燃費改善できると考えられている。
上記のように、ディーゼルエンジンの燃費向上、燃焼効率向上、熱効率向上、排気ガス性能向上を実現するため種々の開発がなされている。しかしながら、上記のディーゼルエンジンはいくつかの問題点を有している。
第1に、排気ガス性能を向上するためにEGR率(再循環する排ガス量)を高めると、エンジン筒内の空気量が低下し、燃費の悪化を招くという問題を有している。つまり、EGR率を高めると、エンジン筒内に供給される新規の空気流量は低下し、酸素量も低下し、結果としてエンジンの燃焼状態が悪化する。これは、ディーゼルエンジンの場合、ガソリンエンジンとは異なり、エンジン筒内に噴射する燃料量に対して空気量が多いほど、つまり空気過剰率が高いほど燃焼状態が良好となるためである。現在は、この対策として高過給を行い、排気ガス及び空気を高い圧力でエンジン筒内に供給することを行っている。しかしながら、高過給高EGR化を進めるとエンジン筒内の圧縮端圧力が高まり、エンジン構造上の限界領域を超える状態に達する等の問題が多発している。以上より、排気ガス性能の向上(NOxの低減)と、燃焼効率の向上を同時に実現することは困難である。
第2に、燃費改善のためにディーゼルエンジンの小型化を目指すと、リエントラント型のキャビティを採用することが困難となるという問題を有している。これは、高Pme化によりエンジン負荷率が上昇し、エンジン筒内の温度も上昇した小型エンジンにおいて、リエントラント型のキャビティのリップ部が、この温度上昇に耐えられないからである。
第3に、小型エンジンにトロイダル型のキャビティを採用すると、排気ガス性能及び燃費性能が悪化するという問題を有している。これは、エンジン筒内の空気流動が、一般的にはスワール流、スキッシュ、タンブラ流の順に弱くなるためである。従って、トロイダル型のキャビティの採用により、エンジン筒内の空気利用度が低下し、燃焼効率が低減し、これに伴い排気ガス性能及び燃費性能が悪化してしまう。なお、トロイダル型のキャビティは、リップ部がない又は小さく、キャビティ全体が浅皿形状であるため、キャビティ側壁が燃料噴射ノズルから遠く、キャビティ側壁の温度上昇を抑制することはできる。
特開昭62−75019号公報 特開2009−47070号公報
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、EGR率を高め排気ガス性能を向上させながら、燃焼効率を向上することのできるディーゼルエンジンを提供することである。また、小型化及び高Pme化を施したディーゼルエンジンを提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係るディーゼルエンジンは、冠面に凹状のキャビティを形成したピストンと、前記キャビティに鉛直方向に旋回するタンブラ流を形成する吸気ポートと、排気ガスを再循環するEGRシステムを有するディーゼルエンジンにおいて、前記キャビティが、平面視において、直交する長軸と短軸を有する略楕円形であり、前記長軸の一端側で、且つ下降する前記タンブラ流が衝突する部位の第1側壁と、前記長軸の他端側で、且つ前記第1側壁に衝突してキャビティ底面に沿って流れる前記タンブラ流が上昇に転じる部位の第2側壁を有しており、前記第1側壁のピストンの軸方向と垂直な面に対する傾きが、前記第2側壁のピストンの軸方向と垂直な面に対する傾きよりも大きいことを特徴とする。
この構成により、EGR率を高めた領域で、燃焼効率を向上することができる。これは、効率的なタンブラ流の発生に特化したキャビティ形状により、エンジンの燃焼効率を向上できるからである。また、小型化及び高Pme化を施したディーゼルエンジンを提供することができる。これは、タンブラ流の採用により、熱損失の低減、及び高吸気効率を実現することができるからである。特にスワール流を利用しない形状としたため、キャビティの表面積を低減することができる。
上記のディーゼルエンジンにおいて、前記キャビティの側壁にキャビティリップを形成しないことを特徴とする。この構成により、小型化及び高Pme化を施した耐久性の高いディーゼルエンジンを提供することができる。
上記のディーゼルエンジンにおいて、前記垂直な面に対する前記第1側壁の傾きが、45度以上90度以下であり、前記垂直な面に対する前記第2側壁の傾きが、5度以上45度より小さいことを特徴とする。この構成により、前述と同様の作用効果を得ることができる。
本発明に係るディーゼルエンジンによれば、EGR率を高め排気ガス性能を向上させながら、燃焼効率を向上することのできるディーゼルエンジンを提供することができる。また、小型化及び高Pme化を施したディーゼルエンジンを提供することができる。
本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンの吸排気ポートを示した図である。 本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンの概略を示した図である。 本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンのキャビティの平面を示した図である。 本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンのキャビティの断面を示した図である。 本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンの性能の概略を示した図である。 従来のディーゼルエンジンの吸排気ポートを示した図である。 従来のディーゼルエンジンの概略を示した図である。 従来のディーゼルエンジンの吸排気ポートを示した図である。 従来のディーゼルエンジンの概略を示した図である。
以下、本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジンについて、図面を参照しながら説明する。図1及び図2に本発明に係る実施の形態のディーゼルエンジン1の概略を示す。
図1に吸排気ポートの平面(xy平面)における配置を示し、図2にピストン2周辺の断面の概略を示している。このディーゼルエンジン1は、2つの吸気ポート4と、2つの排気ポート5と、燃料噴射ノズル10を有している(図1参照)。また、ディーゼルエンジン1は、キャビティ3を有するピストン2と、吸気バルブ6及び排気バルブ7を有している(図2参照)。ここで、8はエンジン筒内8、図2の矢印は、吸気エアーの流れる方向を示している。
このディーゼルエンジン1は、従来のキャビティ形状の変更により、これまでのエンジン筒内の燃焼コンセプトと異なる狙いの燃焼改善を確立し、エンジン性能である排気ガス性能及びエンジン燃費の改善を可能としたシステムである。主なコンセプトとしては、従来型ディーゼルエンジンに見られた筒内空気流動が高いスワールを利用したリエントラント型燃焼室形状や、逆に低スワール状態で適合したトロイダル型燃焼室形状に対し、エンジン筒内では低いとされていたタンブラ流の空気流動を最大限に引き出すことが可能な新キャビティ形状である。つまり、キャビティ3は、エンジン筒内の空気流動として、エンジン縦方向(鉛直方向z)のタンブラ流が発生しやすい形状を有している。
また、ディーゼルエンジン1は、吸排気効率を高めるため、1シリンダ当り4バルブ(2つの吸気ポート4と2つの排気ポート5に対応)を有し、且つ吸排気ポートの径も最大まで大きく形成している。更に、ディーゼルエンジン1は、直接噴射式であり、且つ、燃料を均等に噴射し良好な混合気を形成するために、エンジンシリンダーヘッドの中央部に配置された燃料噴射ノズル10を有している。
図3及び図4に、ディーゼルエンジン1のキャビティ3の形状の概略を示す。図3に平面視におけるキャビティ3の形状を示し、図4にキャビティ3の側方断面の概略を示す。図3に示す様に、平面視におけるキャビティ3は、真円形状ではなく略楕円形(例えば卵形等)に形成している。ここで、Gは、平面視におけるキャビティ3の重心Gを示している。また、長軸における重心Gからキャビティ側壁までの長さをx1及びx2、短軸における重心Gから側壁までの距離をy1及びy2で示している。ここで、キャビティ3は、x1に比べx2が長くなるように形成している。
また、図4に示す様に、キャビティ3は、第1側壁11と、第2側壁12と、キャビティ底面13を有している。このキャビティ底面13は、平面又は湾曲面(Rを形成した面)で形成されており、エンジン1に対して水平又は若干の勾配角度を有するように形成される。
ここで、θ1及びθ2は、ピストンの軸方向zと垂直な面(水平面)に対する第1側壁11及び第2側壁12のそれぞれの傾きを示している。このキャビティ3は、θ1がθ2よりも大きくなるように形成されている。また、Sはタンブラ流の流れを示している。更に、キャビティ3は、リップ部(鋭角となる部分、突出する部分)と、従来底面に形成される突起部を有していない。
次に、図2及び図4を参照しながら、ディーゼルエンジン1における燃焼時の様子を説明する。ディーゼルエンジン1は、まず吸気バルブ6の開放によりエンジン筒内8に吸気を行う。吸気エアーは、エンジン筒内8を下降し、キャビティ3の第1側壁11に衝突する。第1側壁に衝突した吸気エアーは、進行方向が変わり、キャビティ底面13に沿って流れる。キャビティ底面13に沿って流れる吸気エアーは、第2側壁12に衝突し、鉛直上方に流れるように制御される。吸気エアーは、以上の流れにより効率的なタンブラ流を形成する。
次に、キャビティ3の形状の設計方法を説明する。まず、対象となるディーゼルエンジ
ンの実機において、リグ試験装置を用いて、タンブラ流の計測(流れ方向、拡散の様子等の計測)を行う。この計測結果をもとに、キャビティの新形状、及びこのキャビティにおけるタンブラ流のシミュレーションを行い、最終的なキャビティ3の形状を決定する。
そのため、吸気ポート4やエンジン筒内8の形状等により、タンブラ流の状態が異なり、キャビティ3の形状も変化する。具体的には、第1側壁11の傾きθ1が、例えば45度以上90度以下、望ましくは60度以上90度以下、更に望ましくは75度以上90度以下の範囲となり、第2側壁12の傾きθ2は、例えば5度以上45度より小さい角度、望ましくは10度以上45度より小さい角度、更に望ましくは15度以上45度より小さい角度の範囲とする。ここで、θ1は少なくともθ2よりも大きくなり、且つ90度を超えない範囲とする。また、図3に示すx1とx2の長さが異なる場合や、y1とy2の長さが異なる場合もある。
図5に、本発明のディーゼルエンジン1と従来のディーゼルエンジン1Xのエンジン性能を比較したグラフを示す。実線が本発明のディーゼルエンジンの性能を示しており、破線が従来のディーゼルエンジンの性能を示している。このグラフの横軸はLamda ratio(λ)、EGR ratio(EGR率)、及び排気ガス中に含まれるNOxの量を示している。また、縦軸は燃焼効率、排気ガス中に含まれるPM(粒子状物質)の量、及び燃費(燃料消費率、SFC)を示している。
ここで、λ(空気過剰率)はディーゼルエンジンに投入した燃料に対して、理論上必要な空気量を1.0とした場合の空気過剰率を示している。つまり、λが低いとは、エンジン筒内に供給される新規空気の量が少ないことを意味している。また、同一のエンジンで且つ同一のエンジンキャリブレーションで、このλが変化することは、主にEGRのバルブ開度を変化させてEGR率を変えたことを意味する。つまり例えば、λが低いことは、同時に、EGRによりエンジン筒内に供給される排気ガスの量が多い(EGR率が高い)ことを意味する。
なお、EGRは、排気ガス中の主にNOxを低減するために行う一般的な手法である。そのため、EGR率が高いと排気ガス中に含まれるNOxの量は少なくなる。また、ディーゼルエンジンにおいて、λが低いと燃焼効率が悪化する。この燃焼効率の悪化は、同時に排気ガス中に含まれるPMの量の増加を意味する(PMの状態の悪化)。これは、エンジン筒内の酸素が不足し、燃焼が不完全になるためである。更に、燃焼効率が低いことは、燃費性能が悪いことを意味する(燃費の悪化)。以上より、図5のグラフの横軸及び縦軸は、エンジンにおける複数のパラメータを同時に表すことができる。
次に、従来のディーゼルエンジンのエンジン性能(図5破線参照)について説明する。図5の左側は、EGR率が高い場合、燃焼効率が低く、排気ガス中のPMの状況及び燃費が悪化することを示している。近年、エンジン後処理システムの開発により、エンジンアウトの排気ガス成分の低減を大幅に達成しなくても、後処理システムを含めた車両トータルにおいて、厳しい排気ガス規制に適合することが可能となっていた。しかし、これらの後処理には高い貴金属を大量に使用しており、コストが増大する問題を有していた。従って、これらの高い貴金属の使用を中止するか、又は使用量を削減するためにエンジンアウトの排気ガス成分を極力低減させることが求められていた。つまり、エンジン性能を向上することと、コストを低減することは、同時に実現することが困難であった。
次に、本発明のディーゼルエンジンのエンジン性能(図5実線参照)について説明する。図5の左側は、λが低い場合であっても、燃焼効率、排気ガス性能及び燃費性能を従来(図5破線参照)に比べ向上していることを示している。これは、本発明のディーゼルエンジンのエンジン筒内の空気流動が高いため、λが低くても(エンジン筒内の酸素量が少なくても)、少ない酸素と燃料を効率的に混合し、効率のよい燃焼を実現することができる。
そのため、EGR率を高め排気ガス性能を向上させながら、燃焼効率を向上することができる。また、リップ部等の構造的に弱い部分を有さないキャビティ形状の採用により、ディーゼルエンジンの小型化及び高Pme化を実現することができる。
上記の構成により、以下の作用効果を得ることができる。第1に、EGR率を高めた領域で、燃焼効率を向上することができる。これは、効率的なタンブラ流の発生に特化したキャビティ形状(異形)により、エンジンの燃焼効率を向上することができるためである。
第2に、ディーゼルエンジンの小型化及び高Pme化を実現することができる。これは、キャビティの形状が、リップ部や突起部など燃焼の熱に対して構造的に弱い部分を有していないためである。また、キャビティの表面積が従来に比べ小さくなるため、燃焼の熱がピストンに伝わりにくくなり、熱損失を低減することができる。
ここで、単純にエンジン筒内の空気流動を高めても図5のグラフに示す様な作用効果を得ることはできない。本発明は、EGR率が高くλが低い領域(図5左方)では、エンジン筒内の酸素を有効に活用し、エンジン筒内に噴射した燃料を完全に燃焼させることができる。しかしながら、エンジン筒内において、燃焼に影響を及ぼさない領域に空気(酸素)を流動させても、エンジンの燃焼効率の改善には影響を与えることはできない。つまり、エンジン筒内の空気流動とは、エンジン筒内に噴射した燃料の混合気の形成方法や場所、着火以降の燃焼が十分且つ効率よく行われるように、燃焼ガスと空気(酸素)の混合を促進させるための手法である。
従って、図5のグラフで示した本発明(実線)と従来(破線)の燃焼効率の差は、燃焼改善の狙いに対して最適化させた空気流動と燃焼室形状においての効果の差である。つまり、本発明のディーゼルエンジンは、エンジン筒内にタンブラ流の空気流動を形成し、この空気流動を最適に利用可能なキャビティ形状を採用する構成により、ディーゼルエンジンの燃焼改善を実現し、結果としてエンジン排気ガス性能及び燃費性能を向上することができる。
1 ディーゼルエンジン
2 ピストン
3 キャビティ
4 吸気ポート
5 排気ポート
8 エンジン筒内
11 第1側壁
12 第2側壁
13 キャビティ底面
21 リップ部
22 突起部
θ1 第1側壁の傾き
θ2 第2側壁の傾き
S タンブラ流
G 重心
x1、x2 長軸
y1、y2 短軸

Claims (3)

  1. 冠面に凹状のキャビティを形成したピストンと、前記キャビティに鉛直方向に旋回するタンブラ流を形成する吸気ポートと、排気ガスを再循環するEGRシステムを有するディーゼルエンジンにおいて、
    前記キャビティが、平面視において、直交する長軸と短軸を有する略楕円形であり、
    前記長軸の一端側で、且つ下降する前記タンブラ流が衝突する部位の第1側壁と、
    前記長軸の他端側で、且つ前記第1側壁に衝突してキャビティ底面に沿って流れる前記タンブラ流が上昇に転じる部位の第2側壁を有しており、
    前記第1側壁のピストンの軸方向と垂直な面に対する傾きが、前記第2側壁のピストンの軸方向と垂直な面に対する傾きよりも大きいことを特徴とするディーゼルエンジン。
  2. 前記キャビティの側壁にキャビティリップを形成しないことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
  3. 前記垂直な面に対する前記第1側壁の傾きが、45度以上90度以下であり、
    前記垂直な面に対する前記第2側壁の傾きが、5度以上45度より小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン。
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