JP2013053105A - メソイオン化合物、当該メソイオン化合物を含む電池用電解液、及び当該電解液を含む電池 - Google Patents

メソイオン化合物、当該メソイオン化合物を含む電池用電解液、及び当該電解液を含む電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高いイオン輸率を有するメソイオン化合物、当該メソイオン化合物を含む電池用電解液、及び当該電解液を含む電池の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされるメソイオン化合物。
Figure 2013053105

(上記一般式(1)中、R及びRは互いに独立であり、且つ、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高いイオン輸率を有するメソイオン化合物、当該メソイオン化合物を含む電池用電解液、及び当該電解液を含む電池に関する。
二次電池は、化学反応に伴う化学エネルギーの減少分を電気エネルギーに変換し、放電を行うことができる他に、放電時と逆方向に電流を流すことにより、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄積(充電)することが可能な電池である。二次電池の中でも、リチウム二次電池は、エネルギー密度が高いため、ノート型のパーソナルコンピューターや、携帯電話機等の電源として幅広く応用されている。
リチウム二次電池においては、負極活物質としてグラファイト(Cと表現する)を用いた場合、放電時において、負極では下記式(I)の反応が進行する。
LiC→C+xLi+xe (I)
(上記式(I)中、0<x<1である。)
上記式(I)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、正極に到達する。そして、上記式(I)で生じたリチウムイオン(Li)は、負極と正極に挟持された電解質内を、負極側から正極側に電気浸透により移動する。
また、正極活物質としてコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)を用いた場合、放電時において、正極では下記式(II)の反応が進行する。
Li1−xCoO+xLi+xe→LiCoO (II)
(上記式(II)中、0<x<1である。)
充電時においては、負極及び正極において、それぞれ上記式(I)及び式(II)の逆反応が進行し、負極においてはグラファイトインターカレーションによりリチウムが入り込んだグラファイト(LiC)が、正極においてはコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)が再生するため、再放電が可能となる。
従来のリチウム二次電池には、電解液に可燃性、揮発性を有する有機溶媒が用いられていたため、安全性の向上に限界があった。
これに対し、安全性を高めるための取り組みとして、イオン液体(常温溶融塩)を電解液に用いたリチウム二次電池が、従来から知られている。ここでイオン液体とは、100℃以下で液体の塩のことをいい、一般に難燃性、不揮発性を有する。このような難燃性の電解液は、安全性を向上させることができるだけでなく、電位窓(電位領域)が比較的広く、さらに比較的高いイオン伝導性を示すという長所がある。
広い電位窓及び低い融点を有することから、近年、テトラゾリウムメソイオン化合物が注目を集めている。特許文献1には、1位にアルキル基又はアリール基を、3位にアルキル基をそれぞれ有するテトラゾリウムメソイオン化合物の技術が記載されている。
国際公開第2008/056776号
特許文献1の明細書の段落[0092]には、当該文献に記載されたテトラゾリウムメソイオン化合物のリチウム二次電池への応用が示唆されている。しかし、当該文献には、当該テトラゾリウムメソイオン化合物の融点、沸点、及びサイクリックボルタモグラムのデータ、並びに当該テトラゾリウムメソイオン化合物を溶媒として用いたKnoevenagel縮合反応の実験結果が記載されているのみである。したがって、当該文献には、当該テトラゾリウムメソイオン化合物をリチウム二次電池に用いる具体的な態様や効果については何ら記載がない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、高いイオン輸率を有するメソイオン化合物、当該メソイオン化合物を含む電池用電解液、及び当該電解液を含む電池を提供することを目的とする。
本発明のメソイオン化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2013053105
(上記一般式(1)中、R及びRは互いに独立であり、且つ、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)
本発明の電池用電解液は、上記メソイオン化合物を含有することを特徴とする。
本発明の電池用電解液は、さらにリチウム塩を含有することが好ましい。
本発明の電池用電解液においては、前記リチウム塩の濃度が0.10〜1.5mol/kgであってもよい。
本発明の電池は、少なくとも正極、負極、並びに、当該正極及び当該負極の間に介在する電解液層を備える電池であって、前記電解液層が、上記電池用電解液を含むことを特徴とする。
本発明によれば、リチウムイオンが比較的配位しにくいチオラートを有することにより、従来の電解液よりもリチウムイオン輸率を向上させることができる。
リチウム塩、及びアニオン部分がSのメソイオン化合物を含む電解液の拡散の様子を示した模式図である。 本発明に係る電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例7の電解液のリチウムイオン輸率を比較したグラフである。 リチウム塩及び有機溶媒を含む電解液の拡散の様子を示した模式図である。 リチウム塩、及びアニオン部分がOのメソイオン化合物を含む電解液の拡散の様子を示した模式図である。
1.メソイオン化合物
本発明のメソイオン化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2013053105
(上記一般式(1)中、R及びRは互いに独立であり、且つ、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)
メソイオン化合物とは、単一の共有結合構造やイオン構造では十分に表現することができない複素五員環(あるいは六員環)化合物で、環内に6π電子を有するものをいう。テトラゾリウムメソイオン構造を有する本発明に使用されるメソイオン化合物は、窒素4原子と炭素1原子からなる5員環を有し、負電荷を環外酸素に押しだすことで、芳香族性を獲得し安定化していると考えられる。本発明に使用されるテトラゾリウムメソイオン化合物は、分極によって分子内塩、すなわちイオン性となり、アルキル基の選択により室温で液体となる。また分子内塩のため、分子間塩と比べ沸点が低く、蒸留が容易である。
メソイオン化合物を用いた従来の電解質は、有機溶媒を用いた従来の電解質よりもイオン伝導率が低い。本発明者らが検討した結果、従来の電解質におけるイオン伝導率の低さは、従来のメソイオン化合物と、リチウムイオンとの配位の強さに因るものであることが明らかとなった。
本発明者らは、鋭意努力の結果、上記一般式(1)で表されるメソイオン化合物を用いた電解液は、難揮発性を有し、且つ、メソイオン化合物を用いた従来の電解液よりもアニオンの電荷密度が小さく、リチウムと配位しにくいため、極めて優れたリチウムイオン輸送能を発揮できることを見出し、本発明を完成させた。
図4は、リチウム塩及び有機溶媒を含み、且つ、リチウム塩濃度が比較的高い電解液の拡散の様子を示した模式図である。図4においては、有機溶媒分子11とリチウムイオンとの配位結合を破線で示す。また、図4においては、リチウムイオン及び当該リチウムイオンに配位する数個の有機溶媒分子の集合体を破線で囲って示す。
図4に示した有機溶媒分子11(典型例としては、ポリカーボネート(PC))は、通常、部分電荷を持たないため、リチウムイオンとの相互作用が小さい。したがって、リチウムイオンと有機溶媒分子11とは、一度配位結合が切れると再び配位結合しにくいため、リチウムイオンは有機溶媒分子11が溶媒和した集合体の状態でのみ拡散すると考えられる。
図5は、リチウム塩、及びアニオン部分がOのメソイオン化合物を含む電解液の拡散の様子を示した模式図である。図5においては、便宜上、メソイオン化合物分子12を、アニオン部分Oとカチオン部分(プラス記号に丸)とを実線でつないだものとして示し、且つ、当該Oとリチウムイオンとの配位結合を破線で示す。
図5に示すように、アニオン部分がOのメソイオン化合物を用いた場合には、メソイオン化合物分子12同士の距離が比較的近い。また、特に、リチウムイオンに対するメソイオン化合物分子12の数が少ない場合には、リチウムイオンはより多くのメソイオン化合物分子と配位結合する。その結果、メソイオン化合物分子12間でリチウムイオン交換が行われ、リチウムイオンが単独で拡散する。
図1は、リチウム塩、及びアニオン部分がSのメソイオン化合物を含む電解液の拡散の様子を示した模式図である。図1においては、便宜上、メソイオン化合物分子13を、アニオン部分Sとカチオン部分(プラス記号に丸)とを実線でつないだものとして示し、且つ、当該Sとリチウムイオンとの配位結合を破線で示す。
図5と図1とを比較すると分かるように、アニオン部分がOのメソイオン化合物よりも、アニオン部分がSのメソイオン化合物の方が、アニオン部分とリチウムイオンとの配位結合力が弱い。これは、硫黄原子Sの電気陰性度(2.58)が酸素原子Oの電気陰性度(3.44)よりも低く、したがって、チオラート(−S)の硫黄上の電荷密度が、オラート(−O)の酸素上の電荷密度よりも小さいためである。その結果、リチウムイオンは、アニオン部分がOのメソイオン化合物を用いた場合よりも、アニオン部分がSのメソイオン化合物を用いた場合の方がより自由に動きやすく、リチウムイオン輸率が高い。
以下、本発明に係るメソイオン化合物の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明に係るメソイオン化合物の製造方法は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
本製造例は、以下の工程(1)〜(3)からなる。
(1)1位に炭素数1〜8のアルキル基を有するテトラゾール−5−チオン誘導体を製造する工程
(2)1位に炭素数1〜8のアルキル基、3位に炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ有するテトラゾリウム−5−オレート誘導体を製造する工程
(3)上記テトラゾリウム−5−オレート誘導体からテトラゾリウム−5−チオラート誘導体を製造する工程
以下、上記工程(1)〜(3)について、詳しく説明する。
まず工程(1)において、下記反応式(a)に示すように、アルカリアジド(MN;Mはアルカリ金属)とアルキルイソチオシアナート(RNCS)とを反応させ、1位に炭素数1〜8のアルキル基Rを有するテトラゾール−5−チオン誘導体を合成する。
アルキルイソチオシアナートとしては、例えば、アルキル基Rの炭素数が1の場合にはメチルイソチオシアナート(CHNCS)が、アルキル基Rの炭素数が2の場合にはエチルイソチオシアナート(CNCS)が、アルキル基Rの炭素数が3の場合にはプロピルイソチオシアナート(CNCS)が、アルキル基Rの炭素数が4の場合にはブチルイソチオシアナート(CNCS)が、アルキル基Rの炭素数が5の場合にはペンチルイソチオシアナート(C11NCS)が、アルキル基Rの炭素数が6の場合にはヘキシルイソチオシアナート(C13NCS)が、アルキル基Rの炭素数が7の場合にはヘプチルイソチオシアナート(C15NCS)が、アルキル基Rの炭素数が8の場合にはオクチルイソチオシアナート(C17NCS)が、それぞれ使用できる。
Figure 2013053105
次に工程(2)において、下記反応式(b)に示すように、上記工程(1)で合成したテトラゾール−5−チオン誘導体をアルキル化剤でアルキル化し、さらに塩基で加水分解することにより、1位に炭素数1〜8のアルキル基、3位に炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ有するテトラゾリウム−5−オレート誘導体を合成する。
アルキル化剤は、炭素数1〜3のアルキル基をテトラゾール環の3位に導入できるものであれば特に限定されず、例えば、ジアルキル硫酸、アルカリ金属のアルコキシド、アルキルトリフラート等を用いることができる。塩基は、余剰のアルキル化剤を失活させ、且つ、アルキル化されたチオテトラゾール誘導体を加水分解できるものであれば、特に限定されない。
アルキル化剤としては、例えば、アルキル基Rの炭素数が1の場合には、ナトリウムメトキシド(NaOCH)及び/又は硫酸ジメチル((CHO)SO)が、アルキル基Rの炭素数が2の場合には、ナトリウムエトキシド(NaOC)及び/又は硫酸ジエチル((CO)SO)が、アルキル基Rの炭素数が3の場合には、ナトリウムプロポキシド(NaOC)及び/又は硫酸ジプロピル((CO)SO)が、それぞれ使用できる。
塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、及びこれらの水溶液等を用いることができる。
Figure 2013053105
続いて工程(3)において、下記反応式(c)に示すように、上記工程(2)で合成したテトラゾリウム−5−オレート誘導体に硫化剤を作用させることにより、1位に炭素数1〜8のアルキル基、3位に炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ有するテトラゾリウム−5−チオラート誘導体を合成する。
硫化剤は、カルボナート基(C−O)をチオカルボナート基(C−S)に変換できるものであれば特に限定されない。硫化剤としては、例えば、Lawesson試薬(R=MeOC−)、Davy試薬(R=MeS−、EtS−、i−PrS−、BnS−)、Japanese試薬(R=CS−)、Belleau’s試薬(R=PhOC−)等の1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド骨格(R−P−R)を有する硫化剤等が挙げられる。
Figure 2013053105
2.電池用電解液
本発明の電池用電解液は、上記メソイオン化合物を含有することを特徴とする。
本発明の電池用電解液は、特にリチウム塩を含む場合、リチウムイオンと比較的配位しにくい上記メソイオン化合物を含むため、リチウムイオンが当該電解液中で動きやすく、したがって、従来の電池用電解液よりも優れたリチウムイオン輸送能を有する。
本発明の電池用電解液は、ナトリウム塩を含有させることによりナトリウム電池に用いることもできるし、カリウム塩を含有させることによりカリウム電池に用いることもできる。また、本発明の電池用電解液は、一次電池の電解液としても用いることができるし、二次電池の電解液としても用いることができる。
本発明に係る電池用電解液は、上記メソイオン化合物の他に、さらに支持塩としてリチウム塩を含有することが好ましい。リチウム塩としては、例えばLiOH、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(SOCF(Li−TFSI)、LiN(SO及びLiC(SOCF等の有機リチウム塩が挙げられる。このようなリチウム塩を2種以上組み合わせて用いてもよい。
リチウム塩を含有させることにより、本発明に係る電池用電解液は、例えば、リチウム電池に用いることができる。
電池用電解液中のリチウム塩の濃度は、0.10〜1.5mol/kgとすることが好ましい。リチウム塩濃度が0.10mol/kg未満であるとすると、リチウム塩濃度が低すぎるため、リチウム輸送に劣るおそれがある。一方、リチウム塩濃度が1.5mol/kgを超えるとすると、リチウム塩濃度が高すぎるため、粘度が高くなりすぎて、リチウム輸送に劣るおそれがある。
電池用電解液中のリチウム塩の濃度は、0.15〜1.4mol/kgとすることがより好ましく、0.20〜1.3mol/kgとすることがさらに好ましい。
本発明に係る電池用電解液は、上記メソイオン化合物及びリチウム塩の他に、非水系電解質を含んでいてもよい。
非水系電解質としては、非水系電解液及び非水ゲル電解質を使用できる。
非水系電解液は、通常、上述したリチウム塩及び非水溶媒を含有する。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を挙げることができる。また、溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるという観点から、上記非水溶媒は、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5〜3mol/Lの範囲内である。
また、本発明に用いられる非水ゲル電解質は、通常、非水系電解液にポリマーを添加してゲル化したものである。例えば、上述した非水系電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加し、ゲル化することにより、得ることができる。本発明においては、例えば、LiTFSI(LiN(CFSO)−PEO系の非水ゲル電解質を用いることができる。
3.電池
本発明の電池は、少なくとも正極、負極、並びに、当該正極及び当該負極の間に介在する電解液層を備える電池であって、前記電解液層が、上記電池用電解液を含むことを特徴とする。
図2は、本発明に係る電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、本発明に係る電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
電池100は、正極活物質層2及び正極集電体4を備える正極6と、負極活物質層3及び負極集電体5を備える負極7と、正極6及び負極7に挟持される電解液層1を有する。
本発明に係る電池のうち、電解液層に含まれる電解液については上述した通りである。以下、本発明に係る電池を構成する正極及び負極、並びに本発明に係る電池に好適に用いられるセパレータ及び電池ケースについて、詳細に説明する。
(正極)
本発明に用いられる正極は、好ましくは正極活物質を有する正極活物質層を備え、通常、これに加えて、正極集電体、及び当該正極集電体に接続された正極リードを備える。なお、本発明に係る電池が空気電池である場合には、上記正極の替わりに、空気極層を含む空気極を有する。
(正極活物質層)
以下、正極として、正極活物質層を有する正極を採用した場合について説明する。
本発明に用いられる正極活物質としては、具体的には、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNiPO、LiMnPO、LiNiO、LiMn、LiCoMnO、LiNiMn、LiFe(PO及びLi(PO等を挙げることができる。これらの中でも、本発明においては、LiCoOを正極活物質として用いることが好ましい。
本発明に用いられる正極活物質層の厚さは、目的とする電池の用途等により異なるものであるが、10〜250μmの範囲内であるのが好ましく、20〜200μmの範囲内であるのが特に好ましく、特に30〜150μmの範囲内であることが最も好ましい。
正極活物質の平均粒径としては、例えば1〜50μmの範囲内、中でも1〜20μmの範囲内、特に3〜5μmの範囲内であることが好ましい。正極活物質の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性が悪くなる可能性があり、正極活物質の平均粒径が大きすぎると、平坦な正極活物質層を得るのが困難になる場合があるからである。なお、正極活物質の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される活物質担体の粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
正極活物質層は、必要に応じて導電性材料及び結着剤等を含有していても良い。
本発明に用いられる導電性材料としては、正極活物質層の導電性を向上させることができれば特に限定されるものではないが、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック等を挙げることができる。また、正極活物質層における導電性材料の含有量は、導電性材料の種類によって異なるものであるが、通常1〜10質量%の範囲内である。
本発明に用いられる結着剤としては、例えばポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。また、正極活物質層における結着剤の含有量は、正極活物質等を固定化できる程度の量であれば良く、より少ないことが好ましい。結着剤の含有量は、通常1〜10質量%の範囲内である。
(正極集電体)
本発明に用いられる正極集電体は、上記の正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。上記正極集電体の材料としては、例えばアルミニウム、SUS、ニッケル、鉄及びチタン等を挙げることができ、中でもアルミニウム及びSUSが好ましい。また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができ、中でも箔状が好ましい。
上記正極及び上記負極のうち少なくとも一方の電極の電極活物質層が、さらに電極用電解質を含有するという構成をとることもできる。この場合、電極用電解質としては、本発明に係る電池用電解液、上述したゲル電解質の他にも、固体酸化物電解質、固体硫化物電解質等の固体電解質等を用いることができる。
本発明に用いられる正極を製造する方法は、上記の正極を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。なお、正極活物質層を形成した後、電極密度を向上させるために、正極活物質層をプレスしても良い。
(空気極層)
以下、正極として、空気極層を備える空気極を採用した場合について説明する。本発明に用いられる空気極層は、少なくとも導電性材料を含有するものである。さらに、必要に応じて、触媒及び結着剤の少なくとも一方を含有していても良い。
本発明に用いられる導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料等を挙げることができる。さらに、炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良いが、本発明においては、多孔質構造を有するものであることが好ましい。比表面積が大きく、多くの反応場を提供することができるからである。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等を挙げることができる。空気極層における導電性材料の含有量としては、例えば65〜99質量%の範囲内、中でも75〜95質量%の範囲内であることが好ましい。導電性材料の含有量が少なすぎると、反応場が減少し、電池容量の低下が生じる可能性があり、導電性材料の含有量が多すぎると、相対的に触媒の含有量が減り、充分な触媒機能を発揮できない可能性があるからである。
本発明に用いられる空気極用の触媒としては、例えばコバルトフタロシアニン及び二酸化マンガン等を挙げることができる。空気極層における触媒の含有量としては、例えば1〜30質量%の範囲内、中でも5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。触媒の含有量が少なすぎると、充分な触媒機能を発揮できない可能性があり、触媒の含有量が多すぎると、相対的に導電性材料の含有量が減り、反応場が減少し、電池容量の低下が生じる可能性があるからである。
電極反応がよりスムーズに行われるという観点から、上述した導電性材料は触媒を担持していることが好ましい。
上記空気極層は、少なくとも導電性材料を含有していれば良いが、さらに、導電性材料を固定化する結着剤を含有することが好ましい。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。空気極層における結着剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、例えば30質量%以下、中でも1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
上記空気極層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるが、例えば2〜500μmの範囲内、中でも5〜300μmの範囲内であることが好ましい。
(空気極集電体)
本発明に用いられる空気極集電体は、空気極層の集電を行うものである。空気極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、空気極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。集電効率に優れているからである。この場合、通常、空気極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が配置される。さらに、本発明の電池は、メッシュ状の空気極集電体により集電された電荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状の集電体)を備えていても良い。また、本発明においては、後述する電池ケースが空気極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
空気極集電体の厚さは、例えば10〜1000μmの範囲内、中でも20〜400μmの範囲内であることが好ましい。
(負極)
本発明に用いられる負極は、好ましくは負極活物質を含有する負極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて負極集電体、及び当該負極集電体に接続された負極リードを備えるものである。
(負極活物質層)
本発明に用いられる負極活物質層は、金属、合金材料、及び/又は炭素材料を含む負極活物質を含有する。負極活物質層に用いられる負極活物質は、金属イオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に限定されない。本発明に係る電池がリチウム電池である場合には、負極活物質には、例えば、金属リチウム、リチウム合金、リチウム元素を含有する金属酸化物、リチウム元素を含有する金属硫化物、リチウム元素を含有する金属窒化物、及びグラファイト等の炭素材料等を用いることができる。また、負極活物質は、粉末状であっても良く、薄膜状であっても良い。
リチウム合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。また、負極活物質層には、固体電解質をコートしたリチウムを用いることもできる。
上記負極活物質層は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電性材料及び結着剤の少なくとも一方を含有するものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極活物質層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を有する負極活物質層とすることができる。なお、導電性材料及び結着剤については、上述した「正極活物質層」又は「空気極層」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
負極活物質層の層厚としては、特に限定されるものではないが、例えば10〜100μmの範囲内、中でも10〜50μmの範囲内であることが好ましい。
(負極集電体)
負極集電体の材料及び形状としては、上述した正極集電体の材料及び形状と同様のものを採用することができる。
(セパレータ)
本発明に係る電池は、正極及び負極の間に、上記本発明に係る電池用電解液を含浸させたセパレータを備えていてもよい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;及び樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
(電池ケース)
本発明に係る電池は、通常、正極、電解液及び負極等を収納する電池ケースを有する。電池ケースの形状としては、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。
本発明に係る電池が空気電池である場合には、電池ケースは、大気開放型の電池ケースであっても良く、密閉型の電池ケースであっても良い。大気開放型の電池ケースは、少なくとも空気極層が十分に大気と接触可能な構造を有する電池ケースである。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、気体(空気)の導入管及び排気管を設けることが好ましい。この場合、導入・排気する気体は、酸素濃度が高いことが好ましく、純酸素であることがより好ましい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くすることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレートの合成
工程(1)として、下記反応式(a)に従って、1−エチルテトラゾール−5−チオンの合成を行った。
Figure 2013053105
すなわち、ナスフラスコに水4mL、アジ化ナトリウム0.2g(関東化学製)、エチルイソチオシアナート0.17mL(東京化成製)を加え20時間還流条件下で反応させた。放冷後、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(ナカライテスク製)0.43gを水10mLに溶かしたもの)を加えて塩基性(pH>13)とし、塩化メチレン(和光純薬工業製)により洗浄を行った。続いて、水層に35%濃塩酸(シグマアルドリッチ製)を2.0mL加え酸性(pH<1)とした後、エーテル(米山薬品製)を加えて水層から目的生成物を抽出した。エーテル層を無水硫酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製)により乾燥させ、溶媒を留去して、1−エチルテトラゾール−5−チオン(薄黄色液体、0.20g、収率76%)を得た。
1−Ethyltetrazole−5−thione
HNMR(200MHz,CDCl):δ1.54(t,J=7.4Hz,3H),4.35(q,J=7.2Hz,2H).
HNMR(300MHz,DMSO−d):δ1.36(t,J=7.4Hz,3H),4.23(q,J=7.2Hz,2H).
次に工程(2)として、下記反応式(b)に従って、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレートを合成した。
Figure 2013053105
すなわち、ナスフラスコに、1−エチルテトラゾール−5−チオン 4.54g、ジメチル硫酸(ナカライテスク製)13.2mLを入れ、90℃で3時間攪拌した。放冷後氷冷し、氷浴中の水酸化カリウム水溶液(KOH(ナカライテスク製)9.85gを水200mLに溶かしたもの)へ反応混合物をゆっくり加え、室温に戻してから20時間攪拌した。この反応溶液に、35%濃塩酸(シグマアルドリッチ製)を4.0mL加え酸性(pH<1)とした後、エーテル(米山薬品製)により洗浄した。さらに、水酸化カリウム(ナカライテスク製)3.2gを加えて水層を塩基性(pH>13)とし、塩化メチレン(和光純薬工業製)を加えて水層から目的生成物を抽出した。塩化メチレン層、及びエーテル層をいずれも無水硫酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製)により乾燥させ、溶媒を留去した。このうち、塩化メチレン層から、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレート(黄色固体、2.3g、収率48%)が得られた。この黄色固体は、クーゲルロール蒸留(170℃、3mmHg)により精製できた(最終収量:1.1g、単離収率25%)。
1−Ethyl−3−methyltetrazolium−5−olate
HNMR(200MHz,CDCl):δ1.45(t,J=7.4Hz,3H),4.06(q,J=7.4Hz,2H),4.11(s,3H).
MS(EI):m/z 128(100,M),57(14).
2.1−ブチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレートの合成
上記式(a)において、エチルイソチオシアナート(東京化成製)の替わりに、ブチルイソチオシアナート(東京化成製)を用いたこと以外は、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレートの合成法と同様に、2段階の反応工程で1−ブチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレートが得られた。
3.1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−チオレートの合成
下記反応式(c)に従って、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−チオレートを合成した。
Figure 2013053105
すなわち、ナスフラスコに、不活性雰囲気下で、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレート 129mg、Lawesson試薬406mg(東京化成製)、脱水トルエン27mL(和光純薬工業製)を加え、還流条件下(120℃)で20時間攪拌した。放冷後、溶媒留去して黄色粘性液体(797mg、溶媒含む)を得た。これをカラムクロマトグラフィーにて分離し、1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−チオレート(黄色がかった白色固体、131mg、収率91%)を得た。
1−Ethyl−3−methyltetrazolium−5−thiolate
m.p.56.4〜57.1℃
HNMR(300MHz,CDCl):δ1.54(t,J=7.2Hz,3H,Me),4.26(s,3H,N−Me),4.45(q,J=7.4Hz,2H,N−CH).
13CNMR(75MHz,CDCl):δ13.1,42.0,43.4,174.4.
IR(KBr,cm−1):2925,1412,1382,1350,1282,1200,1149,1091,976,763.
MS(EI):m/z 144(100,M),88(29,M−Et−N+H),87(9,M−Et−N),60(6,M−Et−Me−N+H).
HRMS(EI):m/z calcd.CS 144.047,found 144.048.
Anal.Calcd.for CS(144.20)C:33.32,H:5.59,N:38.85.Found: C:33.48,H:5.63,N:38.56.
4.リチウム電池用電解液の調製
[実施例1]
上記方法により合成した1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−チオレート(以下、EMTSと称する場合がある)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと称する場合がある)(高純度化学製)を、濃度が0.32mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、実施例1のリチウム電池用電解液を調製した。
[実施例2]
上記方法により合成したEMTSに、LiTFSIを濃度が0.5mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、実施例2のリチウム電池用電解液を調製した。
[実施例3]
上記方法により合成したEMTSに、LiTFSIを濃度が1.4mol/kgとなるように秤量混合し、80℃に加熱して均一に溶解させた後、3時間攪拌して、実施例3のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例1]
上記方法により合成した1−エチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレート(以下、EMTOと称する場合がある)に、LiTFSIを濃度が0.32mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例1のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例2]
上記方法により合成したEMTOに、LiTFSIを濃度が0.5mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例2のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例3]
上記方法により合成したEMTOに、LiTFSIを濃度が1.4mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例3のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例4]
上記方法により合成した1−ブチル−3−メチルテトラゾリウム−5−オレート(以下、BMTOと称する場合がある)に、LiTFSIを濃度が0.32mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例4のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例5]
上記方法により合成したBMTOに、LiTFSIを濃度が0.5mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例5のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例6]
上記方法により合成したBMTOに、LiTFSIを濃度が1.4mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例6のリチウム電池用電解液を調製した。
[比較例7]
ポリカーボネート(以下、PCと称する場合がある)(キシダ化学製)に、LiTFSIを濃度が1.2mol/kgとなるように秤量混合し、均一に溶解させた後、3時間攪拌して、比較例7のリチウム電池用電解液を調製した。
5.リチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率の測定
上記実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例7のリチウム電池用電解液について磁場勾配NMR測定を行い、測定結果からLi(リチウムカチオン)の拡散係数DLi、及び19F(フッ素アニオン)の拡散係数Dを算出した。磁場勾配NMRの主な測定条件は以下の通りである。
NMR:JEOL社製
測定温度:60℃
g:400〜800(G/cm)(Li)、300〜600(G/cm)(F)
δ:4(ms)(Li)、2(ms)(F)
Δ:50(ms)
拡散係数DLi及びDは、それぞれ、下記Stejskalの式(d)に基づき算出した。
Figure 2013053105
(上記式(d)中、Eはピーク強度比、Sはピーク強度、Sは磁場勾配が無い状態で測定したピーク強度、γは核スピンの磁気回転比、gは磁場勾配強度、δは磁場勾配の照射時間、Dは拡散係数DLi又はD、Δは磁場勾配の照射時間間隔である。)
上記実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例7のリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率(tLi)は、DLi及びDの値を用いて、下記式(e)により決定した。
Li=DLi/(DLi+D) 式(e)
図3は、実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例7のリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率を比較したグラフであり、縦軸にリチウムイオン輸率(%)を、横軸にリチウム塩濃度(mol/kg)をとったグラフである。なお、図3中、黒四角のプロットは実施例1〜実施例3のデータを示し、黒菱形のプロットは比較例1〜比較例3のデータを示し、黒丸のプロットは比較例4〜比較例6のデータを示し、白三角のプロットは比較例7のデータを示す。
図3から分かるように、BMTOを用いたリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率は、0.32mol/kgのリチウム塩濃度(比較例4)で33%、0.5mol/kgのリチウム塩濃度(比較例5)で30%、1.4mol/kgのリチウム塩濃度(比較例6)で30%である。
また、EMTOを用いたリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率は、0.32mol/kgのリチウム塩濃度(比較例1)で34%、0.5mol/kgのリチウム塩濃度(比較例2)で33%、1.4mol/kgのリチウム塩濃度(比較例3)で34%である。
さらに、PCを用いたリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率は、1.2mol/kgのリチウム塩濃度(比較例7)で42%である。
一方、EMTSを用いたリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率は、0.32mol/kgのリチウム塩濃度(実施例1)で42%、0.5mol/kgのリチウム塩濃度(実施例2)で44%、1.4mol/kgのリチウム塩濃度(実施例3)で46%である。
まず、BMTOを用いた比較例4〜比較例6について検討すると、いずれもリチウムイオン輸率は35%未満である。また、比較例4〜比較例6の結果は、リチウム塩濃度を上げると、リチウムイオン輸率が下がることを示唆する。これは、リチウム塩濃度が高くなると、リチウムイオンとBMTOが強く配位することで、相対的に小さな対アニオンの拡散性が向上するためと考えられる。
次に、EMTOを用いた比較例1〜比較例3について検討すると、いずれもリチウムイオン輸率は35%未満である。また、比較例1〜比較例3の結果は、リチウム塩濃度に関わらず、リチウムイオン輸率は一定となることを示唆する。これは、対アニオンとEMTOが配位することで、リチウム塩濃度によらずリチウムが拡散するためと考えられる。
一方、EMTSを用いた実施例1〜実施例3について検討すると、いずれもリチウムイオン輸率は40%を超える。さらに、実施例1〜実施例3の結果は、リチウム塩濃度を上げると、リチウムイオン輸率が上がることを示唆する。これは、リチウム塩濃度が高くなると、対アニオンとEMTSが配位しやすくなり、リチウムイオンが拡散しやすくなるためと考えられる。
リチウム塩濃度の等しい実施例1、比較例1、及び比較例4(リチウム塩濃度:0.32mol/kg)、実施例2、比較例2、及び比較例5(リチウム塩濃度:0.5mol/kg)、実施例3、比較例3、及び比較例6(リチウム塩濃度:1.4mol/kg)を互いにそれぞれ比較すると、EMTSを用いた実施例1〜実施例3のリチウムイオン輸率は、EMTOを用いた比較例1〜比較例3のリチウムイオン輸率、BMTOを用いた比較例4〜比較例6のリチウムイオン輸率のいずれよりも高いことが分かる。特に、EMTSを用いた本発明のリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率と、BMTOを用いた従来のリチウム電池用電解液のリチウムイオン輸率との差は、リチウム塩濃度が高いほど顕著となり、実施例3のリチウムイオン輸率は、比較例6のリチウムイオン輸率の1.5倍を超えることが分かる。
また、EMTSを用いた実施例1〜実施例3のリチウムイオン輸率は、PCを用いた比較例7のリチウムイオン輸率よりも高い。したがって、EMTSを用いた本発明のリチウム電池用電解液は、有機溶媒を用いた従来のリチウム電池用電解液よりもリチウムイオン輸送に優れることが分かる。
1 電解液層
2 正極活物質層
3 負極活物質層
4 正極集電体
5 負極集電体
6 正極
7 負極
11 有機溶媒分子
12 アニオン部分がOのメソイオン化合物分子
13 アニオン部分がSのメソイオン化合物分子
100 電池

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする、メソイオン化合物。
    Figure 2013053105
    (上記一般式(1)中、R及びRは互いに独立であり、且つ、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)
  2. 前記請求項1に記載のメソイオン化合物を含有することを特徴とする、電池用電解液。
  3. さらにリチウム塩を含有する、請求項2に記載の電池用電解液。
  4. 前記リチウム塩の濃度が0.10〜1.5mol/kgである、請求項3に記載の電池用電解液。
  5. 少なくとも正極、負極、並びに、当該正極及び当該負極の間に介在する電解液層を備える電池であって、
    前記電解液層が、前記請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電池用電解液を含むことを特徴とする、電池。
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