以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る紙葉類処理装置としての区分装置1の概略構成を示す図である。
区分装置1は、紙葉類を区分情報により区分処理する装置である。たとえば、処理対象となる紙葉類は、郵便物であり、区分情報としては、郵便番号および住所などの住所情報が想定される。図1に示す構成例において、区分装置1は、制御部2、供給部3、搬送部4、判別部5、割り当て参照テーブル6、および、集積部7を有し、コンピュータCが接続される。
制御部2は、区分装置1全体の制御を司る。制御部2は、プロセッサ11、メモリ12、および、各種インターフェース13を有する。制御部2は、プロセッサ11がメモリ12に記憶したプログラムを実行することにより、区分装置1内の各部の制御および各種のデータ処理機能を実現する。たとえば、制御部2は、区分装置1内に設置したセンサからの検知信号に基づいて紙葉類の搬送を制御したり、区分処理に関連する処理モードの設定処理などを実行したりする。また、制御部2は、ネットワークなどを介して外部のコンピュータCに接続するようにしても良い。
また、図1に示す構成例では、制御部2は、区分情報に対応する区分割り当ての設定情報を記憶する割り当て参照テーブル6に接続する。割り当て参照テーブル6は、制御部2が参照可能な状態であればよく、例えば、制御部2にネットワークを介して接続されていても良い。割り当て参照テーブル6は、制御部2により設定情報が登録及び更新されるようにしても良いし、外部のコンピュータCにより設定情報が登録及び更新されるようにしても良い。割り当て参照テーブル6に記憶する設定情報は、後述する割り当て参照テーブルの作成処理(割り当て設定処理)により作成される。
供給部3は、トレイ21と取出機構22とを有する。トレイ21は、区分処理の対象とする紙葉類を保持する。トレイ21には、紙葉類の第1面が同一方向を向くように後端を揃えて立位で収容される。トレイ21は、収容されている紙葉類を所定の取出位置へ供給する。取出機構22は、トレイ21上の取出位置において紙葉類を所定の間隔で一通ずつ取出す。取出機構22は、取り出した紙葉類を搬送部4へ供給する。
搬送部4は、搬送路23を有する。搬送路23は、供給部3により一定の取出し間隔で取出された紙葉類を一定の搬送間隔(ピッチ)で判別部5へ搬送する。搬送路23は、一定速度で走行する搬送ベルトにより構成する。搬送路23上には、紙葉類が機械処理可能か否かを検知する異物・硬さ検知部および機械処理が不可能と判断された紙葉類を排除する排除集積部を設けても良い。
判別部5は、紙葉類の区分情報(宛先情報)を判別する。判別部5は、紙葉類の区分情報が付与されている第1面の画像を光学的に読み取るスキャナ24とスキャナ24により読み取った画像から当該紙葉類の区分情報を認識する認識部25とを有する。認識部25は、紙葉類に付与されている区分情報を認識する。たとえば、区分情報が文字で記載されている場合、認識部25は、紙葉類の読取画像に対する文字認識処理により区分情報を認識する。文字認識処理において、認識部25は、割り当て参照テーブル6を参照することにより、認識結果としての区分情報を特定するようにしても良い。また、紙葉類に区分情報を示すバーコードが印刷されている場合、認識部25は、スキャナ24が読み取った紙葉類の画像から紙葉類に印刷されているバーコードを抽出し、抽出したバーコードを区分情報に変換する。
判別部5による区分情報の判別結果は、制御部2へ通知される。制御部2は、判別部5による区分情報の判別結果に基づいて紙葉類を搬送制御する。判別部5のスキャナ24による読取位置を通過した紙葉類は、搬送部4の搬送路23により集積部7へ搬送される。なお、集積部7に搬送されるまでに、区分情報が判別できなかった紙葉類は、リジェクトされる。
集積部7は、複数のゲートG(G1、G2、…)と複数のスタッカS(S1、…、SN)とを有する。集積部7は、制御部2から区分先とするスタッカの指示(あるいは直接的な各ゲートの駆動指示)に基づいて、各ゲートG(G1、G2、…)を駆動させることにより、紙葉類を各スタッカS1、…、SNへ選択的に集積させる。集積部7におけるスタッカの総数Nは、区分装置ごとに設定される。たとえば、スタッカの総数Nは、区分装置の運用形態あるいは処理量などにより設定される。なお、後述する処理例では、主として、集積部7が224個のスタッカS1、…、S224を有する区分装置を想定して説明するものとする。
判別部5により判別された区分情報は、制御部2へ通知される。制御部2は、判別部5による判別結果としての区分情報と割り当て参照テーブル6に記憶されている情報に基づいて当該紙葉類を集積するスタッカを決定する。紙葉類を集積するスタッカを決定すると、制御部2は、所望のスタッカへ紙葉類を搬送するように、各ゲートGを制御する。
また、区分装置1は、オペレーションパネル8を有する。オペレーションパネル8は、制御部2に接続される。オペレーションパネル8は、操作部および表示部を有する。たとえば、オペレーションパネル8は、タッチパネル内蔵の表示装置などにより構成しても良い。表示部は、操作案内あるいは処理状況などの種々の情報を表示する。操作部では、オペレータが各種の情報を入力する。
また、コンピュータCは、区分装置1に接続される。図1に示す構成例では、コンピュータCは、区分装置1の制御部2に接続されている。コンピュータCは、プロセッサ31、メモリ32、インターフェース33などを有する。コンピュータCは、プロセッサ31がメモリ32に記憶したプログラムを実行することにより、各種のデータ処理機能を実現する。たとえば、コンピュータCは、区分装置1が区分処理に用いる割り当て参照テーブル6に対する設定情報の登録或いは更新を行う。
すなわち、コンピュータCは、プロセッサ31がメモリ32に記憶したプログラムを実行することにより、割り当て参照テーブル6に記憶する割り当ての設定情報(住所情報に対応づけた区分先のスタッカを示す情報)を作成する割り当て設定処理を実行する。コンピュータCは、区分装置1が実際の区分装置を実行する前に、割り当て設定処理を行うことにより割り当て設定装置として機能する。なお、割り当て設定処理は、実際の区分処理に先だって実行されるものであれば良く、たとえば、区分装置1の制御部2が実施するようにしても良い。
次に、区分装置1における区分処理について説明する。
本区分装置1は、区分情報に基づいて紙葉類を所定の順序に並べる区分処理を行う。以下の説明において、区分装置1は、区分情報として階層構造を有する住所情報が記載された郵便物(紙葉類)を想定し、郵便物を住所情報に従って所定の配達順序(所定の順序)に並べる区分処理を行うものを想定するものとする。また、区分対象となる住所情報の数は、区分装置1の集積部7が有するスタッカSの総数よりも多いものとする。
区分装置1は、住所情報に基づいて紙葉類を所定の順序に区分する手法として基数ソート法を用いる。基数ソート法は、複数回の区分処理を行うことにより紙葉類を住所情報に基づく所定の順序(たとえば、配達順序)に並べるように区分する手法である。たとえば、区分装置1は、1回目(1パス目)の区分処理で区分した紙葉類が所定の順序で再供給され、2回目(2パス目)の区分処理で全紙葉類を所定の順序に並べるものとする。
基数ソート法では、使用可能なスタッカの総数Nよりも予備のスタッカの数nだけ小さい数(N−n)を基数とする。区分装置1は、住所情報に対応づけたソート番号により区分先となるスタッカを判定する。ソート番号は、各桁の値が基数ソート法による基数の範囲内となる。ソート番号の各桁の値は、1回の区分処理において区分先となるスタッカを示す番号となる。基数に基づくソート番号は、たとえば、2パスで区分処理を行う場合、ソート番号の1桁目の番号が1パス目の区分処理において区分先とするスタッカを特定する情報となり、ソート番号の2桁目の番号が2パス目の区分処理において区分先とするスタッカを特定する情報となる。言い換えれば、2パスの基数ソート法により区分処理を行う場合、区分情報としての住所情報には、基数に基づく2桁のソート番号が割り当てられる。区分装置1は、住所情報に対応づけてソート番号の1桁目の番号に基づいて1パス目の区分処理を行い、住所情報に対応づけてソート番号の2桁目の番号に基づいて2パス目の区分処理を行う。ソート番号の各桁の番号を住所情報に割り当てた設定情報は、区分処理に先だって(事前に)実施される割り当て設定処理により設定される情報であり、割り当て参照テーブル6に記憶される。
次に、住所情報に対するソート番号の割り当てについて説明する。
区分装置1は、1パス目の区分処理において処理対象となる各紙葉類の住所情報を特定する。すなわち、区分装置1は、1パス目の区分処理が終了しない限り、各スタッカに集積される紙葉類の数を確定することはできない。このため、区分装置1は、紙葉類のあふれが発生する可能性を考慮して、1つの区分先に対して複数のスタッカに割り当てる。このように、1パス目の区分処理においてスタッカのあふれを低減するため、1パス目の区分処理における区分割り当て設定処理では、住所情報に対応するソート番号の1桁目の番号に複数のスタッカを割り当てる。言い換えれば、割り当て設定処理では、ソート番号の1桁目の各番号に対応する1つの仮想スタック番号を物理的に複数のスタッカに割り当てる。
また、2パス目の区分処理では、1パス目の区分処理により処理対象となる紙葉類の住所情報が特定されている。このため、区分装置1は、1パス目の区分処理で特定した各紙葉類の住所情報に基づいて、2パス目の区分処理において各区分先に集積される紙葉類の数が事前に予測できる。このため、区分装置1は、2パス目の区分処理として実際に紙葉類を区分する前に、区分先(ソート番号の2桁目の番号)に対するスタッカの割り当てを調整(最適化)する。たとえば、あふれの可能性が高い区分先に複数のスタッカを割り当ててスタッカのあふれを低減させたり、集積する紙葉類が「0」となる区分先へのスタッカの割り当てを削除したりする。
図2は、住所情報(アドレス)に対するソート番号の割り当て例を示す図である。図3は、基数ソート法における基数を200とした場合の22400の住所情報に対するソート番号の割り当て例(1桁目の割り当てと2桁目の割り当てとの例)を示す図である。
図2に示す例では、スタッカの数Nが224個、アドレスの数Aが22400個、ソート番号の1桁目の最大値mを111、予備のスタッカ(マージン)の数nを24としている。図2に示す例の基数は、N−n=224−24=200である。
図2に示す例において、ソート番号の1桁目の番号は、0、1、…、111(112通り)の整数であり、何れかの番号が各住所情報に割り当てられる。ソート番号の1桁目の番号は、1パス目の区分先とするスタッカを示す情報でもある。ソート番号の1桁目の各番号には、複数のスタッカを割り当てられる。たとえば、各区分先に2つのスタッカを割り当てる場合、ソート番号の1桁目の番号の最大値は、スタッカの総数の半分以下となる。つまり、1パス目の区分処理では、ソート番号の1桁目の番号に基づいて紙葉類の住所情報に対応する区分先としての複数のスタッカを特定し、それらのスタッカの何れかを実際の区分先として選択する。
また、図2に示す例において、ソート番号の2桁目の番号は、0、1、…、199(200通り)の何れかがである。ソート番号の2桁目の番号は、2パス目の区分先とするスタッカを示す情報である。ソート番号の2桁目の番号は、1パス目で区分処理された紙葉類を所定の順序に並べるように各住所情報に割り当てられる。つまり、2パス目の区分処理では、紙葉類の住所情報に対応するスタッカがソート番号の2桁目の番号に基づいて設定する。ただし、本区分装置1は、後述するように、2パス目の区分処理において、処理対象とする全紙葉類の住所情報に基づいて割り当て参照テーブル6が記憶するスタッカの割り当てを変更(調整)する。
割り当て参照テーブル6に記憶する設定情報の作成処理(割り当て設定処理)では、予め処理対象となる区分情報(アドレス)の数Aが決定されると、スタッカ数Nの区分装置1に対して、N−n<=A/m及びm<=(N/2)−1を満たす整数m、nを決定する。mは、1パス目の区分先の総数(つまり、ソート番号の1桁目の最大値)である。mは、1パス目の各区分先に割り当てるスタッカの数により決定する。たとえば、1パス目の全ての区分先に2個ずつスタッカを割り当てる場合、mは、m<=(N/2)−1を満たす最大の整数として設定できる。この場合、スタッカの総数Nが224であれば、mは、112−1=111に設定できる。
また、nは、2パス目の区分先の総数に対する予備のスタッカ数である。nは、2パス目の区分処理において、スタッカの総数Nのうち予備のスタッカとして利用可能なスタッカ数である。N−nが2パス目の区分先の総数であり、基数ソート法の基数である。nは、上記の条件式N−n<=A/mを満たす整数のうち、区分先の総数と予備のスタッカ数とを考慮して決定される。
nが決定されると、制御部2は、基数ソート法としての基数を(N−n)として、各住所情報に対するソート番号を割り当てる。たとえば、制御部2は、(N−n)を基数とする基数ソート法における2桁のソート番号として、1桁目を0〜mとし、2桁目を0〜(N−n)−1とし、さらに、所定の順序(例えば、配達順序)に従って昇順になる様に割り当てる。
図2に示す例では、N=224、m=111、A=22400、n=24となっている。すなわち、図2に示す例は、基数が、N−n=224−24=200であり、0から22399までの住所情報(22400通りの住所情報)には、1パス目の区分先を示すソート番号の1桁目の番号として0〜111の何れかを所定の順序となるように割り当て、2パス目の区分先を示すソート番号の2桁目の番号として0〜199の何れかを所定の順序となるように割り当てる。
次に、1パス目の区分処理におけるスタッカの割り当て設定について説明する。
図3及び図4は、1パス目の区分処理の設定として、各区分先に物理的に2つのスタッカを割り当てた仮想スタッカ番号の設定例である。図3は、N個のスタッカに対する仮想スタッカ番号の設定例を示す図である。また、図4は、図2に示すソート番号の例に対応する仮想スタッカ番号の設定例である。図4は、224個のスタッカに対して1パス目の区分処理による112個の区分先にスタッカを2個ずつ割り当てた仮想スタッカ番号の設定例を示す図である。
1パス目の各区分先にそれぞれ2つのスタッカを割り当てる場合、N個のスタッカに対して、1パス目の区分先(ソート番号の1桁目の番号)には上流から順に物理的に連続する2個ずつのスタッカに対して同じスタッカ番号(仮想スタッカ番号)を0〜m−1の昇順で割り当てる。図2に示す例では、224個のスタッカに対し、物理的に連続する2つのスタッカに0〜111を順に割り当てる。たとえば、物理的なスタッカの固有番号が「0」と「1」の2つのスタッカには、仮想スタッカ番号(ソート番号の1桁目の番号)として「0」を割り当てる。以降、物理的なスタッカ固有番号が「2」〜「223」の各スタッカには、物理的に連続する2つのスタッカ(1組のスタッカ)ごとに、ソート番号の1桁目の番号1〜111を昇順に割り当てる。
なお、1パス目の区分処理において各区分先に割り当てるスタッカの数は、過去の統計的な集積数の傾向などを考慮して決定しても良い。たとえば、他の区分先と比べて、極端に集積数が多い傾向がある区分先(住所)には、3個以上のスタッカを割り当てても良いし、他の区分先と比べて極端に集積数が少ない傾向がある区分先(住所)には、スタッカの割り当てを1個にしても良い。
次に、2パス目の区分処理におけるスタッカの割り当て設定について説明する。
図5及び図6は、割り当て参照テーブル6に保存する2パス目の区分処理の設定として、基数の各区分先にスタッカを1個ずつ割り当てた設定例である。図5は、総数がN個のスタッカに対して2パス目の区分先として割り当て可能な基数(N−n)のスタッカの例を示す図である。また、図6は、図2に示すソート番号の例に対応する設定例である。図6は、総数が224個のスタッカに対して、2パス目の区分処理において200(基数)個の区分先にスタッカを1個ずつ割り当てた設定例を示す図である。
2パス目の各区分先にそれぞれ1つのスタッカを割り当てる場合、区分情報には、2パス目の区分先として基数のスタッカが割り当てられる。図5に示す設定例では、上流から順に基数の各スタッカには、0〜N−n−1のスタッカ番号が昇順で割り当てられている。また、図6に示す設定例では、224個のスタッカのうち上流から順に200個のスタッカには2パス目の区分先がそれぞれ割り当てられ、24個のスタッカは予備に設定されている。
2パス目の区分処理では、1パス目の区分処理で処理対象となる全ての紙葉類の区分情報が判別されている。このため、2パス目の区分処理は、割り当て参照テーブル6に設定された設定情報を実際に処理対象となる紙葉類の区分情報に基づいてスタッカの割り当てを最適化する。たとえば、2パス目の区分処理におけるスタッカの割り当てを最適化する処理(最適化処理)では、物理的に1つのスタッカに収まらない区分先には複数のスタッカを割り当てたり、1つの紙葉類も集積されない区分先(対応する区分情報の紙葉類が無いスタッカ)にはスタッカの割り当てを削除したりすることができる。2パス目の区分処理に対するスタッカの割り当て最適化処理については、後述する。
図7は、住所情報に対するソート番号の割り当て設定例を示す図である。
図7に示す設定例は、住所情報の総数Aを22400、基数(N−n)を200、ソート番号の1桁目の最大値mを111とした場合の設定例である。
図7に示す設定例では、ソート番号の1桁目には、0〜111に住所情報を割り当て、112〜199を割り当て無しにしている。これは、基数を200に設定した場合、仮想的に1パス目の基数も200とするためである。つまり、区分装置1が基数を200とするアルゴリズムで区分処理を行うため、ソート番号の1桁目の112〜199には住所情報の割り当て無しとする。これにより、区分装置1は、基数を200とするアルゴリズムであっても、1パス目の区分処理において、実質的に0〜111(112通り)に区分するようにできる。すなわち、使用可能なスタッカの総数が224個の区分装置が基数200のアルゴリズムで1パス目の区分処理を実施する場合であっても、112個の1パス目の各区分先には、物理的に2つのスタッカを割り当てることができる。
また、図7に示す設定例では、ソート番号の2桁目として0〜199の番号が住所情報を割り当てられる。図7に示す設定情報に従って2パスの区分処理を実行すれば、区分装置1は、住所情報が所望の順序(図7に示す住所情報の上から順)に並ぶように紙葉類を区分処理できる。
図7に示すような設定情報は、割り当て参照テーブル6に記憶される。住所情報に対するソート番号の割り当てを示す設定情報は、区分処理を実行する前に実行される割り当て設定処理により作成される。
次に、住所情報にソート番号を割り当てる割り当て設定処理について説明する。
図8は、割り当て設定処理の流れを説明するためのフローチャートである。図8に示すような割り当て設定処理は、プロセッサがプログラムを実行することにより実現されるデータ処理である。すなわち、割り当て設定処理は、区分装置1内の制御部2が実行するようにしても良いし、外部のコンピュータCが実行するようにしても良い。以下の説明では、区分装置1に接続されたコンピュータCが割り当て設定処理を実行するものとする。
まず、コンピュータCのプロセッサ31は、区分処理の対象となる全ての住所情報とそれらの並び順序(配達順序)とを取得する(ステップS11)。たとえば、コンピュータCのプロセッサ31は、図7に示す住所情報の一覧のように、所定の順序(配達順番)に並べられた住所情報の一覧を取得する。区分処理の対象となる全ての住所情報を取得すると、コンピュータCのプロセッサ31は、区分処理の対象となる住所情報の総数Aを設定する(ステップS12)。たとえば、住所情報の総数Aは、処理対象とする全住所情報の件数を計数すれば良い。また、コンピュータのプロセッサ31は、区分装置1が区分処理に使用できるスタッカの総数Nを設定する(ステップS13)。スタッカの総数Nは、区分装置1の制御部2から取得しても良いし、オペレータが操作部(図示しない)により入力しても良い。
住所情報の総数Aとスタッカの総数Nとが設定されると、プロセッサ31は、N−n≦A/m、かつ、m≦(N/2)−1を満たす整数m、nを設定する(ステップS14)。mは、1パス目の区分先の総数であり、nは、スタッカの総数Nに対する予備のスタッカ数である。N−nが2パス目の区分先の総数であり、基数ソート法による区分処理の基数となる。なお、m及びnの値は、上述の条件式を満たす範囲でオペレータが指定するようにしても良い。
上述の条件式は、1パス目の各区分先にそれぞれ2つのスタッカを割り当てる場合を想定したものである。この場合、mは、スタッカ総数Nの半分以下の整数(つまり、m≦(N/2)−1を満たす整数)である必要がある。ただし、1パス目の区分先として3つ以上のスタッカを割り当てる場合、mは、上記条件式よりもさらに小さい値となる条件を満たす必要がある。たとえば、1パス目の各区分先にそれぞれ3つのスタッカを割り当てる場合、mは、スタッカ総数Nの3分の1以下の整数(つまり、m≦(N/3)−1を満たす整数)である必要がある。
nが設定されると、コンピュータCのプロセッサ31は、基数ソート法により所定の順番に並べ替えるための基数をN−nとする(ステップS15)。基数を決定すると、コンピュータのプロセッサ31は、2パス処理に対応する2桁のソート番号を処理対象となる全ての住所情報に割り当てる(ステップS16)。この場合、プロセッサ31は、1桁目のソート番号として、0〜mまでの番号を各住所情報に割り当て、m+1〜N−n−1までの番号はどの住所情報にも割り当てない。ソート番号の1桁目として、m+1〜N−n−1を割り当てない理由は、1パス目の区分処理における基数をN−nのままで、1パス目の各区分先に複数のスタッカを割り当てるためである。言い換えれば、1パス目の区分処理は、ソート番号の1桁目としてm+1〜N−n−1が住所情報(スタッカ)に割り当てないため、基数がN−nのアルゴリズムで実施できるように設定される。ソート番号の2桁目は、図7に示す設定例のように、住所情報が所定の順序に並ぶようにN−n個の区分先に対してそれぞれスタッカが割り当てられる設定となる。
各住所情報にソート番号を割り当てると、コンピュータのプロセッサ11は、各住所情報に対するソート番号の割り当を示す割り当て設定情報を割り当て参照テーブル6に記憶する(ステップS17)。
以上の処理により、取得した住所情報に対するソート番号の割り当てが設定され、その設定情報が割り当て参照テーブル6に記憶される。このような設定情報は、例えば、所定の地域ごとに設定され、割り当て参照テーブル6は、地域ごとに設定するようにしても良い。このような形態では、上記の割り当て設定処理により地域ごとの設定情報を割り当て参照テーブルに保存しておき、実際の区分処理では処理対象とする地域をオペレータが指定することにより該当する割り当て参照テーブル6を読み出すようにすれば良い。
次に、区分装置1における1パス目の区分処理の流れについて説明する。
図9は、1パス目の区分処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図9は、1つの紙葉類に対する1パス目の区分処理の流れを示している。区分装置1は、1パス目の区分処理として、図9に示すような処理を供給部にセットされた全ての紙葉類に対して順次実行する。
たとえば、オペレータは、処理対象とする紙葉類を供給部3にセットし、区分処理の実行指示を入力する。運用形態として複数の地域が設定されている場合、オペレータは、オペレーションパネル8により処理対象の地域を選択して区分処理の実行指示を入力する。オペレーションパネル8に区分処理の実行指示が入力されると、制御部2は、まず、1パス目の区分処理を開始する。
1パス目の区分処理において、制御部2は、供給部3から処理対象となる紙葉類を1つずつ取出して搬送部4へ供給する(ステップS21)。搬送部4は、供給部3から供給された紙葉類を搬送して判別部5へ供給する(ステップS22)。判別部5は、搬送部4により搬送される紙葉類の画像を読取って当該紙葉類に付与されている住所情報を認識することにより紙葉類の住所情報を判別する(ステップS23)。判別部5による判定処理によって紙葉類の住所情報を特定できなかった場合(ステップS24、NO)、制御部2は、当該紙葉類をリジェクト処理する(ステップS25)。
判別部5による判別処理によって紙葉類の住所情報が特定できた場合(ステップS24、YES)、制御部2は、割り当て参照テーブル6に記憶されている設定情報を参照して当該紙葉類の住所情報に割り当てられているソート番号を判定する(ステップS26)。なお、ここでは、ソート番号は、1パス目の区分先を示す1桁目の番号と2パス目の区分先を示す2桁目の番号とを有するものとする。当該紙葉類の住所情報に割り当てられているソート番号を確定すると、制御部2は、当該紙葉類の住所情報に対応するソート番号を制御部2内のメモリ12に保存する(ステップS27)。
また、当該紙葉類の住所情報に割り当てられているソート番号が確定すると、制御部2は、当該紙葉類の住所情報に対応するソート番号の1桁目の番号に基づいて当該紙葉類の1パス目の区分先を決定する(ステップS28)。本実施の形態では、図3及び図4に示すように、1パス目の区分先には物理的に複数のスタッカを割り当てている。つまり、図3及び図4に示すようにスタッカが割り当てられている場合、制御部2は、1パス目の区分先として複数のスタッカに割り当てられている仮想スタッカ番号を決定する。
1パス目の区分先を決定すると、制御部2は、当該区分先に対応する複数のスタッカから実際に当該紙葉類を集積する1つのスタッカを選択する(ステップS29)。実際の集積するスタッカは、各区分先に割り当てたスタッカのうち特定のスタッカに集中的に紙葉類が集積されることが無いように選択される。つまり、制御部2は、各区分先に割り当てた複数のスタッカに均等に紙葉類が集積されるように、実際に紙葉類を集積するスタッカを選択する。各区分先に割り当てた複数のスタッカに均等に紙葉類を集積するために、制御部2は、たとえば、各区分先の複数のスタッカに対して交互に紙葉類を集積するようにしても良いし、最終的な集積数がほぼ均等となるようにランダムに選択したスタッカに紙葉類を集積するようにしても良い。
たとえば、図10は、各区分先に割り当てた複数のスタッカへの紙葉類の集積例を示す図である。図10に示す例では、1桁目のソート番号が「000」の2つの紙葉類301a、301bは、紙葉類301aが固有番号「000」のスタッカ(仮想スタッカ番号「000」)に集積された次に、紙葉類301bが固有番号「001」のスタッカ(仮想スタッカ番号「000」)に集積されるように制御される。また、図10に示す例では、1桁目のソート番号が「110」の2つの紙葉類302a、302bは、紙葉類302aが固有番号「221」のスタッカ(仮想スタッカ番号「110」)に集積された次に、紙葉類302bが固有番号「220」のスタッカ(仮想スタッカ番号「110」)に集積されるように制御される。
複数のスタッカに均等に紙葉類が集積されるようにすることにより、紙葉類の取り忘れなどの人的なミスを防止する効果がある。たとえば、1つの区分先に割り当てた一方のスタッカには多数の紙葉類が集積され、他方のスタッカには1つの紙葉類しか集積されてない場合、オペレータは、1つしか集積されていないスタッカからの紙葉類の取出しを忘れやすくなる。さらに言えば、区分処理の結果として紙葉類が集積されないスカッタが頻繁に発生する運用形態では、オペレータが、集積数が少数のスタッカ内の紙葉類を見逃しやすくなり、集積数が少数のスタッカからの紙葉類の取出しを忘れやすくなることもある。このような人的なミスを防止するため、本区分装置では、各区分先に割り当てた複数のスタッカに均等に紙葉類が集積されるようになっている。
当該紙葉類を集積すべきスタッカが選択されると、制御部2は、選択されたスタッカに紙葉類が集積されるように集積部7を制御する(ステップS30)。
以上の処理により1つの紙葉類に対する1パス目の区分処理が完了する。区分装置1は、供給部3に供給された全ての紙葉類に対して上記ステップS21〜S30の順次実行することにより、1パス目の区分処理の処理結果として各スタッカに紙葉類を区分して集積する。
上記のように、区分装置は、1パス目の区分処理として、処理対象となる全ての区分情報に対する1パス目の各区分先に複数のスタッカを割り当てた設定情報を割り当て参照テーブルに記憶しておき、供給部3により順に取り出される処理対象となる紙葉類の区分情報を判別部により判別し、前記判別部により判別した区分情報に割り当てられている1パス目の区分先としての複数のスタッカを前記割り当て参照テーブルを参照して判定し、前記判定した1パス目の区分先としての複数のスタッカの何れかに当該紙葉類を区分する。
これにより、本実施形態に係る区分装置によれば、1パス目の各区分先に複数のスタッカが割り当てられるため、処理対象の全紙葉類の住所情報が不明な1パス目の区分処理であっても、スタッカに発生するあふれを低減することが可能となる。
さらに、区分装置は、1パス目の各区分先が割り当てられた複数のスタッカには、交互に紙葉類を集積したり、ランダムに選択したスタッカに紙葉類を集積したりする。これにより、1つの各区分先が割り当てられた複数のスタッカに均等に紙葉類を集積でき、何れかに集中して紙葉類が集積されることによるあふれなどを低減できる。
次に、2パス目の区分処理について説明する。
2パス目の区分処理は、1パス目の区分処理により区分された紙葉類を所定の順序で供給部3に再供給し、再供給された紙葉類(1パス目で区分された紙葉類)を区分する処理である。2パス目の区分処理において、制御部2は、ソート番号の2桁目の番号に基づいて紙葉類を区分する。割り当て参照テーブル6には、図7に示す設定例のように、全ての住所情報を基数分のスタッカに割り当てられるような設定情報が記憶されている。このため、特定のスタッカにおける紙葉類のあふれを考慮しなければ、制御部2は、基数分のスタッカにより2パス目の区分処理が実施できる。しかしながら、実際の運用においては、特定の住所情報の紙葉類が極端に多くなったり、特定の住所情報の紙葉類が無かったりすることがある。このため、予め設定した割り当て設定情報(割り当て参照テーブル6に保存した設定情報)では、実際に2パス目の処理対象となる紙葉類における住所情報に対するスタッカの割り当てが最適でないこともある。
そこで、区分装置1は、2パス目の区分処理として、実際に紙葉類を区分処理する前に、住所情報に対するスタッカの割り当てを調整する。2パス目の区分処理に先だって実施される1パス目で区分処理では、処理対象となる全紙葉類の住所情報が判明する。また、上述した1パス目の区分処理では、区分装置1の制御部2は、処理対象となる全紙葉類の住所情報に対応するソート番号をメモリ12に保存している。したがって、制御部2は、1パス目の区分処理で判明した処理対象となる全紙葉類の住所情報に基づいて2パス目のスタッカの割り当てを設定できる。
図11は、ソート番号の2桁目の番号(0〜199)にそれぞれ1個のスタッカを割り当てた場合の各スタッカにおける紙葉類の集積状況の例を示す図である。図11では、スタッカの集積容量を超えた分を斜線で示している。
すなわち、図11に示す例では、「002」のスタッカには紙葉類の集積が無く、「003」、「192」、「198」の各スタッカは集積容量を超えている(あふれが生じる)ことが示されている。
図12は、図11に示す集積状況となる割り当てに対して、集積数が0となる区分先にはスタッカを割り当てない(空きのスタッカを削減する)ように割り当てを変更した例である。2桁目のソート番号が「002」となる住所情報の紙葉類が無い場合、つまり、何も紙葉類が集積されないスタッカがある場合、制御部2は、その番号に割り当てられているスタッカとそれ以降のスタッカに割り当てられているソート番号を「1」加算した値に変更する。
図12に示す例では、ソート番号の2桁目が「002」となる住所情報の紙葉類が無いため、固有番号が「002」のスタッカには2桁目のソート番号として「003」を割り当てる。また、固有番号が「003」以降のスタッカには割り当てる2桁目のソート番号をそれぞれ「1」を加算する(つまり、「固有番号が「003」以降のスタッカには「004」以降の番号を順番に割り当てる)。また、図12に示す例において、ソート番号の2桁目が「191」となる住所情報の紙葉類が無いため、固有番号が「191」のスタッカには2桁目のソート番号として「195」を割り当てる。この場合、固有番号が「191」以降の各スタッカには「196」以降の番号を順番に割り当てる)。ただし、図12に示す例は、基数が「200」であることを想定しているため、固有番号が「196」以降の各スタッカにはソート番号の2桁目が割り当てられていない。
図13は、図12に示す割り当てに対して、あふれが予測されるスタッカに割り当てられているソート番号を複数のスタッカに割り当てるように変更した例である。図12に示す例では、ソート番号としての「003」、「192」、「198」が割り当てられている各スタッカ(固有番号が「002」、「188」、「194」の各スタッカ)は、集積する紙葉類のあふれが予想される。これに対して、図13に示す割り当て例では、2桁目のソート番号「003」には固有番号が「002」のスタッカと「003」のスタッカとが割り当てられ、2桁目のソート番号「192」には固有番号が「215」のスタッカと「216」のスタッカとが割り当てられ、2桁目のソート番号「198」には固有番号が「222」のスタッカと「223」のスタッカとが割り当てられている。すなわち、図13に示す割り当て例は、図12に示す割り当て状況に対してあふれが予測されるスタッカを複数化したものである。ただし、図13に示す例では、2桁目のソート番号「199」を割り当てるスタッカが不足している状況も示している。
図14は、図13に示す割り当てに対して、集積数が0でない全住所情報(全ソート番号)を何れかのスタッカに割り当てるために、スタッカが不足する数の分だけあふれが発生するスタッカを許容した設定例である。ただし、あふれが発生することが予想されるスタッカは、あふれ量が少ないスタッカから選択されるものする。
図13に示す設定例では、2桁目のソート番号としての「199」を割り当てるべきスタッカ(1個のスタッカ)が不足する。このため、図14に示す設定例では、固有番号が「223」のスタッカには2桁目のソート番号としての「199」を割り当て、2桁目のソート番号として「198」を割り当てるスタッカ(固有番号が「222」のスタッカ)にあふれが発生することを許容した設定となっている。つまり、図14に示す設定例では、図13に示すように、割り当てが不足したソート番号(図13に示す例では、2桁目のソート番号「199」)が発生した場合、集積数が0でない全てのソート番号(全住所情報)を少なくとも1つのスタッカに割り当てる代わりに、あふれ量が少ない特定のスタッカであふれが発生することを許容した設定となる。
区分装置は、スタッカにあふれが発生した場合、オペレータの手作業によって区分処理が再開される。このような運用形態であれば、図13に示すように、全住所情報にスカッタを割り当てると、あふれが発生するスカッタを0にできない場合であっても、図14に示すように、集積数が0でない全てのソート番号(全住所情報)を少なくとも1つのスタッカに割り当てる代わりに、あふれ量が少ないスタッカであふれが発生することを許容した設定により、効率の良い2パス目の区分処理が実現できる。
次に、2パス目の区分処理における各スタッカの割り当てを最適化する処理(最適化処理)の流れについて説明する。
2パス目の区分処理におけるスタッカの割り当てを最適化する最適化処理は、区分装置1の制御部2が、図12に示すような空き対応処理と、図13に示すようなあふれ対応処理と、図14に示すようなスタッカの実数不足対応処理とを順次実行することにより実現する。
次に、空き対応処理について説明する。
図15は、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理に含まれる空き対応処理の例を説明するためのフローチャートである。
まず、区分装置1の制御部2のプロセッサ11は、メモリ12に保存している1パス目の区分処理で判定した全紙葉類のソート番号(住所情報に対応)に対して、割り当て参照テーブル6に保存した設定情報に基づいて2パス目の各スタッカを割り当る。制御部2のプロセッサ11は、全紙葉類のソート番号に割り当てた場合のスタッカにおける紙葉類の集積数を判断し(ステップS51)、変数iを初期化する(ステップS52)。次に、プロセッサ11は、スタッカの固有番号が「i」のスタッカに集積される紙葉類の数(集積数)が「0」であるか否かを判断する(ステップS53)。
集積数が「0」でないと判断した場合(ステップS53、NO)、プロセッサ11は、変数iがi<N−n−1であるか否かを判断する(ステップS55)。i<N−n−1でないと判断した場合(ステップS55、YES)、プロセッサ11は、変数iを「i=i+1」とし(ステップS56)、上記ステップS53へ進む。
また、固有番号が「i」のスタッカに集積される紙葉類の数が「0」であると判断した場合(ステップS53、YES)、プロセッサ11は、スタッカの固有番号が「i」以降の各スタッカに割り当てた2桁目のソート番号jを「j=j+1」に変更し(ステップS54)、上記ステップS55へ進む。
以上の処理により、2パス目のスタッカの割り当てを最適化するための空き対応処理として、集積数が「0」となる2桁目のソート番号に対するスタッカの割り当てを削除し、そのスタッカとそのスタッカ以降のスタッカに割り当てる2桁目のソート番号を「+1」した値に変更する。この結果としては、集積数が「0」となるスタッカを無くし、上流から並べた各スタッカに空きが生じないようにスタッカの割り当て設定を変更することができる。
次に、あふれ対応処理について説明する。
図16は、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理に含まれるあふれ対応処理の例を説明するためのフローチャートである。
ここでは、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理において、上述した空き対応処理に続いて、図16に示すようなあふれ対応処理が実施されるものとする。すなわち、区分装置1の制御部2のプロセッサ11は、空き対応処理による2パス目の各スタッカに対する2桁目のソート番号の割り当てを示す情報をメモリ12に保存する。制御部2のプロセッサ11は、空き対応処理後の各スタッカに対するソート番号の割り当てに基づいて、各スタッカにおける紙葉類の集積数を判断し(ステップS61)、変数iを初期化する(ステップS62)。次に、プロセッサ11は、スタッカの固有番号が「i」のスタッカに集積される紙葉類の数(集積数)が集積容量を超えるか否かを判断する(ステップS63)。
集積数が集積容量を超えないと判断した場合(ステップS63、NO)、プロセッサ11は、変数iがi<N−n−1であるか否かを判断する(ステップS66)。i<N−n−1でないと判断した場合(ステップS66、YES)、プロセッサ11は、変数iを「i=i+1」とし(ステップS67)、上記ステップS63へ進む。
また、固有番号が「i」のスタッカに集積される紙葉類の数が集積容量を超えると判断した場合(ステップS63、YES)、プロセッサ11は、スタッカの固有番号が「i+1」以降の各スタッカに割り当てた2桁目のソート番号jを「j=j−1」に変更する(ステップS64)。さらに、プロセッサ11は、2桁目のソート番号が割り当てられていないスタッカのうち最も固有番号が小さいスタッカ(つまり、2桁目のソート番号が割り当てられているスタッカのうち最大の固有番号に続く固有番号のスタッカ)に2桁目のソート番号としてN−n−1を割り当てて(ステップS65)、上記ステップS66へ進む。
なお、2桁目のソート番号が割り当てられていない実際のスタッカが存在しない場合(つまり、2桁目のソート番号を割り当てるべきスタッカの数がスタッカの総数を超えた場合)、制御部2のプロセッサ11は、仮の設定処理として、使用済みスタッカの最大の固有番号に続く仮想のスタッカの固有番号を発行し、発行した固有番号に2桁目のソート番号としてN−n−1を割り当てる。たとえば、図13に示す例において、2桁目のソート番号「199」を割り当てるスタッカが無い。このような状態である場合に、プロセッサ11は、実際には存在しないスタッカ(仮想のスタッカ)の固有番号として「224」を発行し、その固有番号「224」に「199」を割り当てる。
以上の処理では、2パス目のスタッカの割り当てを最適化するためのあふれ対応処理として、集積数が集積容量を超える2桁目のソート番号に複数のスタッカを割り当て、それらのスタッカ以降のスタッカに割り当てる2桁目のソート番号を「−1」するようにシフトする。この結果として、集積数が集積容量を超える場合、スタッカの割り当てを複数化することができ、あふれが生じないようにスタッカの割り当て設定を変更することができる。
次に、スタッカの実数不足対応処理について説明する。
図17は、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理に含まれるスタッカの実数不足対応処理の例を説明するためのフローチャートである。
図17に示すようなスタッカの実数不足対応処理は、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理において、上述したあふれ対応処理に続いて実施される。
区分装置1の制御部2のプロセッサ11は、あふれ対応処理による得られた各スタッカに対する2桁目のソート番号の割り当てを示す設定情報をメモリ12に保存する。あふれ対応処理が終了すると、制御部2のプロセッサ11は、あふれ対応処理により得られた割り当て設定情報から各ソート番号を割り当てるべきスタッカの数(ソート番号を割り当てた実在のスタッカの数と仮想的にソート番号を割り当てた仮想のスタッカの数とを含むスタッカの数)N´を計数する(ステップS71)。また、プロセッサ11は、区分処理に使用可能なスタッカの総数(区分装置1が有するスタッカの総数)Nを特定する(ステップS71)。
ソート番号を割り当てたスタッカの数N´と区分装置1が有するスタッカの総数Nとを特定すると、プロセッサ11は、ソート番号を割り当てたスタッカの数N´がスタッカの総数Nよりも多いか否かを判断する(ステップS72)。ソート番号を割り当てたスタッカの数N´がスタッカの総数Nよりも多くなければ(ステップS72、NO)、プロセッサ11は、スタッカの実数不足に対応するための実数不足対応処理を終了する。
ソート番号を割り当てたスタッカの数N´がスタッカの総数Nよりも多い場合(ステップS72、YES)、プロセッサ11は、現在のスタッカの割り当てを示す設定情報から、複数のスタッカに割り当てられたソート番号を抽出する。プロセッサ11は、複数個のスタッカを割り当てられた各ソート番号について、同じソート番号を割り当てた複数のスタッカのうち1つのスタッカを減らした場合のあふれ量を算出する。プロセッサ11は、複数のスタッカが割り当てられた各ソート番号についてスタッカを1つ減らした場合に、最もあふれ量が少ないソート番号「J」を求める(ステップS73)。なお、各スタッカの集積容量が同じであれば、プロセッサ11は、複数のスタッカが割り当てられた各ソート番号について、それぞれ集積数を算出し、集積数の最も少ないソート番号を求めても良い。
最もあふれ量が少ないソート番号「J」を決定すると、プロセッサ11は、ソート番号「J」を割り当てた複数のスタッカのうち最も下流側のスタッカに割り当てるソート番号を「J+1」に変更する。さらに、ソート番号を「J+1」に変更したスタッカよりも下流側の各スタッカに割り当てたソート番号「k」を「k=k+1」に変更する。この場合、プロセッサ11は、仮の固有番号が最も大きい仮想のスタッカへの割り当てを消去する。すると、プロセッサ11は、N´=N´−1とし(ステップS76)、上記ステップS72へ進む。
以上のスタッカの実数不足対応処理では、あふれを無くすためのあふれ対応処理によってスタッカの実数が不足した場合、集積数が0でない全ソート番号に対するスタッカの割り当てを優先し、あふれ量が少ない順番にスタッカでのあふれを許容する設定に変更する。これにより、集積数が0でない全ソート番号に対するスタッカの割り当てを優先しつつ、あふれ量ができるだけ少なくなるような最適化設定を実現できる。
次に、2パス目の区分処理の流れについて説明する。
図18は、2パス目の区分処理の流れを説明するためのフローチャートである。
オペレータは、1パス目の区分処理により区分された紙葉類を所定の順序で供給部3に再供給し、再供給した紙葉類に対する2パス目の区分処理の開始を指示する。オペレータにより2パス目の区分処理の開始が指示された場合、制御部2は、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理を実行する。なお、スタッカの割り当てを最適化する最適化処理は、1パス目の区分処理が終了した場合に実行するようにしても良い。スタッカの割り当て最適化処理として、制御部2は、上述したような空き対応処理、あふれ対応処理、および、実数不足対応処理を順次実行する(ステップS81)。制御部2は、2パス目の区分処理における各スタッカに対する割り当て設定情報として最適化処理の処理結果をメモリ12に保存する。
上記最適化処理が終了した後、制御部2は、メモリ12に保存したスタッカの割り当て設定ではあふれが発生するスタッカが存在するか否かを判断する(ステップS84)。すなわち、制御部2は、上記実数不足対応処理においてスタッカの実数不足のために、最小限ではあるが、集積容量を超える数の紙葉類が集積されるように設定されているスタッカが存在するか否かを判断する。あふれが発生するスタッカを存在する場合(ステップS84、YES)、制御部2は、あふれが発生するスタッカを示す情報をオペレータに報知する(ステップS85)。たとえば、制御部2は、オペレーションパネル8にあふれが発生するスタッカを示す情報を表示する。
この状態において、制御部2は、紙葉類の搬送制御を開始する。すなわち、制御部2は、供給部3から処理対象となる紙葉類を1つずつ取出して搬送部4へ供給する(ステップS86)。搬送部4は、供給部3から供給された紙葉類を搬送して判別部5へ供給する(ステップS87)。判別部5は、搬送部4により搬送される紙葉類の住所情報を判別する(ステップS88)。紙葉類の住所情報を特定すると、制御部2は、メモリ12に保存したスタッカの割り当てを示す設定情報を参照して、当該紙葉類の住所情報に対応するソート番号(2桁目のソート番号)を区分先として判定する(ステップS89)。当該紙葉類の住所情報に対応するソート番号が割り当てられたスタッカが1つである場合(ステップS90、NO)、制御部2は、集積部7の各ゲートGを駆動させて、当該紙葉類が選択されたスタッカに集積されるように搬送を制御する(ステップS92)。
当該紙葉類の住所情報に対応するソート番号が割り当てられたスタッカが複数設定されている場合(ステップS90、YES)、制御部2は、複数のスタッカのうち実際に紙葉類を集積するスタッカを選択する処理を行う(ステップS91)。1つのソート番号に複数のスタッカが割り当てられている場合、制御部2は、複数の各スタッカにおける集積量が均等になるように、スタッカを選択する。ただし、2パス目の区分処理であるため、各スタッカには、順に紙葉類を集積させる必要ある。たとえば、制御部2は、1とのソート番号に2つのスタッカが割り当てられている場合、全集積数の半分の量の紙葉類を先に上流側のスタッカに集積し、残りの半分の量の紙葉類を下流側のスタッカに集積する。また、1つのソート番号に3のスタッカが割り当てられている場合、制御部2は、上流側のスタッカから順番に全集積数の1/3の量ずつの紙葉類を集積させる。
図19(a)乃至(d)は、1つのソート番号「192」に2つのスタッカに割り当てた場合の紙葉類の集積状態の例を示す図である。図19(a)は、ソート番号「192」を割り当てた上流側のスタッカに集積容量が満杯となる紙葉類を集積した後、下流側のスタッカに残りの紙葉類を集積した状態を示す図である。図19(b)は、ソート番号「192」を割り当てた2つのスタッカに紙葉類を集積する前の状態を示す図である。図19(c)は、ソート番号「192」の全集積数の半分の紙葉類をソート番号「192」を割り当てた上流側のスタッカに集積した状態を示す図である。図19(d)は、ソート番号「192」の全集積数の半分の紙葉類を、ソート番号「192」を割り当てた上流側のスタッカに集積した後、下流側のスタッカに残り半分の量の紙葉類を集積した状態を示す図である。
図19(a)乃至(d)に示すように、1つのソート番号に2つのスタッカが割り当てられている場合、制御部2は、1パス目の区分処理で得られた全紙葉類のソート番号(住所情報)に基づいて複数のスタッカを割り当てた各ソート番号の総集積量を計数する。ソート番号の総集積量を計数すると、制御部2は、当該ソート番号に割り当てられたスタッカの数で総集積量を割った量を各スタッカの集積量として設定する。図19(a)乃至(d)に示す例では、制御部2は、先にソート番号「192」が割り当てられた上流側のスタッカに全集積量の半分の量の紙葉類を集積した後、ソート番号「192」が割り当てられた下流側のスタッカに残りの半分の量の紙葉類を集積している。
このように、1つのソート番号に複数のスタッカに割り当てられている場合、制御部2は、各スタッカにおける集積量がほぼ等分となる様に紙葉類を集積するスタッカを選択する。これにより、各スタッカであふれが発生する可能性を低減できる。たとえば、処理対象の紙葉類が郵便物である場合、一般には郵便物の大きさ及び厚さは、一様ではない。このような場合、紙葉類の数で各スタッカにおける集積量を予想すると、予想よりも少ない数の紙葉類でスタッカが満杯になる可能性がある。このようなスタッカにおけるあふれを防止するために、本区分装置1の2パス目の区分処理では、1つのソート番号を割り当てた複数のスタッカにはできるだけ均等に紙葉類を集積できるように制御する。
複数のスタッカから実際に紙葉類を集積する1つのスタッカが選択された場合、制御部2は、集積部7の各ゲートGを駆動させ、当該紙葉類が選択されたスタッカに集積されるように搬送を制御する(ステップS92)。
上記のように、区分装置は、2パス目の区分処理として、集積数が0でない2パス目の各区分先にそれぞれスタッカを割り当てるあふれ対応処理と、集積数がスタッカの集積容量を超える区分先に対して複数のスタッカを割り当てるあふれ対応処理と、あふれ量が最小となるようにスタッカの実数が不足する分だけあふれが発生するスタッカを許容して2パス目の各区分先にスタッカを割り当てる実数不足対応処理と、を順に実行することにより、最適化したスタッカの割り当て設定により2パス目の区分処理を実行する。
これにより、区分装置によれば、あふれ量を最小とするような2パス目の区分処理におけるスタッカの割り当てを実施でき、効率が良く、オペレータの操作ミスが発生しにくい区分処理が実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。