JP2013051200A - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013051200A JP2013051200A JP2012166216A JP2012166216A JP2013051200A JP 2013051200 A JP2013051200 A JP 2013051200A JP 2012166216 A JP2012166216 A JP 2012166216A JP 2012166216 A JP2012166216 A JP 2012166216A JP 2013051200 A JP2013051200 A JP 2013051200A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aqueous electrolyte
- less
- group
- carbonate
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
Abstract
Description
本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
含フッ素エチレンカーボネート誘導体、下記一般式(1)で示される化合物及び下記一般式(2)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
下記一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステル、
とを含むことを特徴とする非水系電解液。
(上記式(1)中、R1は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Wは炭素−窒素間多重結合を有する分子量50以下の官能基である。nは1〜4の整数を表し、nが2以上の整数の場合には、複数のWは同一の官能基であっても異なる官能基であってもよい。)
(上記式(2)中、Mは−O−または−NR2−であり、R2は、水素または分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。R3は、置換基を有してもよく、分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。)
(上記式(3)中、R4、及びR5は独立して、置換基を有していてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。)
X−R6−X ・・・(4)
(R6は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Xはシアノ基またはイソシアナト基である。)
ることが好ましい。
本発明の非水系電解液は、非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質とを含む非水系電解液において、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、下記一般式(1)で示される化合物及び下記一般式(2)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、さらに、下記一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステルを含むことを特徴とする。
(上記式(1)中、R1は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Wは炭素―窒素間多重結合を有する分子量50以下の官能基である。nは1〜4の整数を表し、nが2以上の整数の場合には、複数のWは同一の官能基であっても異なる官能基であってもよい。)
(上記式(2)中、Mは−O−または−NR2−であり、R2は、水素または分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。R3は、置換基を有してもよく、分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。)
(上記式(3)中、R4、及びR5は独立して、置換基を有してもよく、分岐していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。)
本発明の、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、一般式(1)で示される化合物及び一般式(2)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、同時に、一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステルを含有する非水系電解液を使用することで、高温保存後でも電池容量の維持・抵抗増加の抑制がなされる作用・原理、及び大電流時の非水系電解液二次電池の容量が大きくなる作用・原理は明確ではないが、以下のように考えられる。ただし、本発明は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではない。
含フッ素エチレンカーボネート誘導体と一般式(3)で示される化合物を併用することで構築される被膜は電解液溶媒と含フッ素エチレンカーボネート誘導体と一般式(3)で示される化合物との協奏反応による被膜であり、謂わば炭化水素とフッ素とスルホン酸ユニットを原料とした被膜である。詳細は不明であるが、デュポン社製のナフィオン(Nafion(R);商品名)に代表されるフルオロスルホン酸系の樹脂構造を有する被膜となっており、化学的に安定で、リチウムイオン伝導性を有するのではないかと推定している。
すなわち、電極上において、両者の協奏反応により電極表面反応促進効果に優れる皮膜状の構造物を形成して、電極の劣化を抑制し、加えて、表面状態をリチウムの電極への脱離挿入に対して最適化することで、単純な足し合わせを上回る特異的な効果を発揮しているものと考えられる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質は、特に限定されず、目的とする非水系電解液二次電池に応じて、任意に採用することができる。なお、本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合には電解質としてはリチウム塩を用いることが好ましい。
LiCF3SO3、LiSO3F、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、LiN(CF3SO2)(C3F7SO2)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、リチウム環状1,2−エタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−プロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミド、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3(CF3)、LiBF3(C2F5)、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート、リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート、リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;
KPF6、NaPF6、NaBF4、CF3SO3Na等のナトリウム塩又はカリウム塩;
等が挙げられる。
る非水溶媒の比率が低下し、非水系電解液の抵抗が高くなることが抑制されうる。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒は、電池とした時に電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、以下に掲げる非水溶媒の内の1種以上であることが好ましい。
トラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
本発明の非水系電解液は、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、下記一般式(1)で示される化合物(以下、「特定CN化合物」と称する場合がある)、一般式(2)で示される化合物(以下、「特定環状化合物」と称する場合がある)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分として含有する。本発明の非水系電解液においては、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、「特定CN化合物」、「特定環状化合物」からなる群より選ばれる化合物1種を用いても、これら2種以上の任意の併用でもよい。特に、「特定CN化合物」と「特定環状化合物」とを同時に含有する場合は、前記リチウムイオンの脱離挿入に適する電極表面状態が、特に好適な状態となると推測される。
(式(1)中、R1は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Wは炭素―窒素間多重結合を有する分子量50以下の官能基である。nは1〜4の整数を表し、nが2以上の整数の場合には、複数のWは同一の官能基であっても異なる官能基であってもよい。)
(式(2)中、Mは−O−または−NR2−であり、R2は、水素または分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。R3は、置換基を有していてもよい、分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。)
特定CN化合物」、及び「特定環状化合物」からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を混合させておく、あるいは非水系電解液二次電池を作製する前のセパレータに、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、「特定CN化合物」、及び「特定環状化合物」からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を任意の非水溶媒に予め溶解させて作製した溶液を塗布或いは含浸させた後、用いた溶媒を乾燥、除去することで含有させる等の方法が挙げられる。
本発明における含フッ素エチレンカーボネート誘導体は特段限定されず、どのようなものを用いてもよい。また分子量にも特に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常500以下、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、特に好ましくは150以下が実用的である。上記分子量の範囲内にあると、非水系電解液に対する溶解性に優れ、より優れた効果を奏しやすくなる。
含フッ素エチレンカーボネート誘導体は市販のものを用いても良く、また、製造する場合にはその製造方法は限定されず、公知の方法により製造したものを用いることができる。
本発明における下記一般式(1)で示される化合物(「特定CN化合物」)の分子量に特に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常50以上、好ましくは70以上、より好ましくは75以上、また、通常500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、特に好ましくは270以下が実用的である。上記分子量の範囲内にあると、非水系電解液に対する溶解性に優れ、より優れた効果を奏しやすくなる。
「特定CN化合物」は下記一般式(4)で示される化合物であることが好ましい。下記一般式(4)で示される化合物は「特定CN化合物」の中でも特に、非水系電解液への溶解度、非水系電解液中での安定性等の点から好ましい。
X−R6−X ・・・(4)
1−イソシアナトエタン、1−イソシアナトプロパン、1−イソシアナトブタン、1−イソシアナトペンタン、1−イソシアナトヘキサン、1−イソシアナトヘプタン、1−イソシアナトオクタン、1−イソシアナトノナン、1−イソシアナトデカン、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトプロペン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン=ジイソシアネート等のイソシアナト化合物が挙げられる。
1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−ジイソシアナトプロペン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキサ−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン=ジイソシアネート等の多価イソシアネート類がより好ましい。
本発明における下記一般式(2)で示される化合物(「特定環状化合物」)の分子量に特に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常85以上、好ましくは90以上、より好ましくは95以上、また、通常300以下、好ましくは250
以下、より好ましくは230以下が実用的である。上記分子量の範囲内にあると、非水系電解液に対する溶解性に優れ、より効果的に優れた効果を奏しやすくなる。
ンイミド、N−エチルグルタルイミド、N−エチルマレイミド、N−エチルフタルイミド、N−フェニルサクシンイミド、N−フェニルグルタルイミド、N−フェニルマレイミド、N−フェニルフタルイミドが好ましく、無水琥珀酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、サクシンイミド、グルタルイミド、マレイミド、フタルイミド、N−メチルサクシンイミド、N−メチルグルタルイミド、N−メチルマレイミド、N−メチルフタルイミドがより好ましく、
無水琥珀酸、またはサクシンイミドが最も好ましい。
上記化合物が好ましい理由として、工業的な入手のし易さにより、電解液の製造コストが抑えられる点や、「特定環状化合物」の中でも非水系電解液中に溶解し易い点が挙げられる。なお、「特定環状化合物」は市販のものを用いても良く、また、製造する場合にはその製造方法は限定されず、公知の方法により製造したものを用いることができる。
本発明の非水系電解液は、前述した、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、「特定CN化合物」、及び「特定環状化合物」からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に加えて、さらに、下記一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステルを必須成分として含有する。本発明の非水系電解液においては、該環状ジスルホン酸エステル1種を用いても、2種以上の任意の併用でもよい。
環状ジスルホン酸エステルは市販品を用いてもよく、また製造する場合にはその製造方法にも特に制限はなく、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
また、環状ジスルホン酸エステルと上記<1−3.>で説明した化合物との配合比については特段限定されないが、環状ジスルホン酸エステルと上記<1−3.>で説明した化合物との配合比(質量比)が20:1〜1:50であることが好ましく、10:1〜1:20であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、前記の協奏反応による被膜がより好適に形成され、単純な足し合わせを上回る特異的な効果を得ることができる。
しく低下している場合が多い。従って、電池から抜き出した非水系電解液から、少なくとも1種の環状ジスルホン酸エステルが少量でも検出できるものは本発明に含まれるとみなされる。また、環状ジスルホン酸エステルは、非水系電解液として実際に非水系電解液二次電池の作製に供すると、その電池を解体して再び抜き出した非水系電解液には環状ジスルホン酸エステルが含有されていなかった場合であっても、非水系電解液二次電池の他の構成部材である正極、負極若しくはセパレータ上で検出される場合も多い。従って、正極、負極、セパレータの少なくとも一構成部材から、少なくとも1種の環状ジスルホン酸エステルが検出された場合も本発明に含まれるとみなされる。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤は、従来公知のものを任意に用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
不飽和結合を有するカーボネート(以下、「不飽和カーボネート」と略記する場合がある)の分子量は、特に限定されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、50以上、250以下であるものが好ましい。この範囲であると、非水系電解液に対する不飽和カーボネートの溶解性が良好で、添加の効果を十分に発現することができる。不飽和カーボネートの分子量は、好ましくは80以上、150以下である。
不飽和カーボネートの配合量がこの下限以上であると、非水系電解液二次電池に、十分なサイクル特性向上効果をもたらすことができる。また、この上限以下であると、非水系電解液非水系電解液二次電池の高温保存特性及び連続充電特性の低下を避けることができ、ガス発生量が多くなったり、容量維持率が低下することも避けることができる。不飽和カーボネートの配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、また、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
不飽和結合を有するカーボネート以外の添加剤としては、過充電防止剤、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤等が挙げられる。
過充電防止剤の具体例としては、トルエン、キシレン等のトルエン誘導体;
ビフェニル、2−メチルビフェニル、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたビフェニル誘導体;
o−ターフェニル、m−ターフェニル、p−ターフェニル等の無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体;
無置換又はアルキル基で置換されたターフェニル誘導体の部分水素化物;
シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等のシクロアルキルベンゼン誘導体;
クメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ヘキシルベンゼン等のベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体;
ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の酸素原子を有する芳香族化合物;
等の芳香族化合物が挙げられる。
2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、1,6−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物;
等も挙げられる。
一方、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための助剤の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート等の不飽和結合を有するカーボネートに該当するもの以外のカーボネート化合物;
エチレンサルファイト等の環状サルファイト;
1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン等の環状スルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、ブスルファン等の鎖状スルホン酸エステル;
スルホラン、スルホレン等の環状スルホン;
ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン等の鎖状スルホン;
ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド類;
N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等のスルホンアミド類等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物;
ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液は、前述の非水溶媒に、電解質と、含フッ素エチレンカーボネート誘導体、「特定CN化合物」、及び「特定環状化合物」からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、さらに、環状ジスルホン酸エステルと、必要に応じて前述の「添加剤」や「助剤」を溶解することにより調製することができる。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と前記の本発明の非水系電解液とを備えるものである。
本発明の非水系電解液二次電池は、非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
負極に使用される負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、金属化合物系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これら1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、特に限定されないが、下記(ア)〜(エ)から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。
(ア)天然黒鉛
(イ)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400から3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料
(ウ)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ち、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
(エ)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ち、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料
(ア)〜(エ)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がより好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、好ましくは1.0nm以上であり、より好ましくは1.5nm以上、更に好ましくは2nm以上である。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上であり、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、好ましくは100μm以下であり、50μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましく、30μm以下が特に好ましく、25μm以下がとりわけ好ましい。体積基準平均粒径が上記範囲内であると、不可逆容量が増大しすぎることもなく、初期の電池容量の損失を招くことを回避しやすくなる。また、塗布により電極を作製する際に、均一に塗面しやすく、電池製作工程上望ましい。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、好ましくは0.01以上であり、0.03以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、好ましくは1.5以下であり、1.2以下がより好ましく、1以下
が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm-1
・測定範囲 :1100cm-1〜1730cm-1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.1m2・g-1以上であり、0.7m2・g-1以上がより好ましく、1.0m2・g-1以上が更に好ましく、1.5m2・g-1以上が特に好ましく、また、好ましくは100m2・g-1以下であり、25m2・g-1以下がより好ましく、15m2・g-1以下が更に好ましく、10m2・g-1以下が特に好ましい。
積を、本発明における炭素質材料のBET比表面積と定義する。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料のタップ密度は、好ましくは0.1g・cm-3以上であり、0.5g・cm-3以上がより好ましく、0.7g・cm-3以上が更に好ましく、1g・cm-3以上が特に好ましい。また、2g・cm-3以下が好ましく、1.8g・cm-3以下がより好ましく、1.6g・cm-3以下が特に好ましい。
炭素質材料の配向比は、好ましくは0.005以上であり、0.01以上がより好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、好ましくは0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がより好ましい。アスペクト比が上記範囲を外れると、極板化時にスジ引きが起きたりし、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
負極活物質として用いられる金属化合物系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に限定されず、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硫化物、リン化物等の化合物が挙げられる。このような金属化合物としては、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn等の金属を含有する化合物が挙げられる。なかでも、リチウム合金を形成する単体金属若しくは合金であることが好ましく、周期表13族又は14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料あることがより好ましく、更には、ケイ素(Si)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)(以下、これら3種の元素を「SSP金属元素」という場合がある)の単体金属若しくはこれら原子を含む合金、又は、それらの金属(SSP金属元素)の化合物であることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
である。
・ケイ素及び/又はスズと酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの酸化物」。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの窒化物」。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の「ケイ素及び/又はスズの炭化物」。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特に限定はされないが、チタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、リチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する場合がある。)が特に好ましい。すなわち、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、リチウムイオン非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
LixTiyMzO4 (A)
(一般式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として用いられるリチウムチタン複合酸化物のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、0.5m2・g-1以上が好ましく、0.7m2・g-1以上がより好ましく、1.0m2・g-1以上が更に好ましく、1.5m2・g-1以上が特に好ましく、また、200m2・g-1以下が好ましく、100m2・g-1以下がより好ましく、50m2・g-1以下が更に好ましく、25m2・g-1以下が特に好ましい。
リチウムチタン複合酸化物の体積基準平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
ンダーの量を抑えることでき、結果的に電池容量が低下を防ぎ易くなる。さらに、負極極板化時に、均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましい。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、リチウムチタン複合酸化物の平均一次粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.2μm以上が特に好ましく、また、2μm以下が好ましく、1.6μm以下がより好ましく、1.3μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。体積基準平均一次粒子径が、上記範囲内であると、球状の二次粒子を形成し易く、比表面積を確保し易くなるために、出力特性等の電池性能の低下を防ぎ易い。
リチウムチタン複合酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等のいずれでもよいが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
リチウムチタン複合酸化物のタップ密度は、0.05g・cm-3以上が好ましく、0.1g・cm-3以上がより好ましく、0.2g・cm-3以上が更に好ましく、0.4g・cm-3以上が特に好ましく、また、2.8g・cm-3以下が好ましく、2.4g・cm-3以下が更に好ましく、2g・cm-3以下が特に好ましい。リチウムチタン複合酸化物のタップ密度が、上記範囲内であると、負極として用いた場合に十分な充填密度を確保でき、また粒子間の接触面積を確保できるため、粒子間の抵抗が増加し難く、出力抵抗が増加を防ぎ易い。さらに、電極中の粒子間の空隙も適度なため、非水系電解液の流路を確保できるため、出力抵抗の増加を防ぎ易い。
リチウムチタン複合酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比は、1以上が好ましく、また、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。アスペクト比が、上記範囲内であると、極板化時にスジ引きが発生し難くなり、均一な塗布面が得ら易いため、短時間高電流密度充放電特性の低下を予防することができる。なお、上記範囲の下限は、リチウムチタン複合酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
リチウムチタン複合酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
例えば、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質とLiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を均一に混合し、高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
上記活物質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水電解液二次電池については、次に示す(i)〜(vi)の何れか1項目又は複数の項目を同時に満たしていることが望ましい。
負極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知の何れの方法をも用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液の注液工程の直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、1以上が特に好ましい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は、特には限定されず、集電体上に存在している
負極活物質の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.2g・cm-3以上がより好ましく、1.3g・cm-3以上が更に好ましく、また、4g・cm-3以下が好ましく、3g・cm-3以下がより好ましく、2.5g・cm-3以下が更に好ましく、1.7g・cm-3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲内であると、負極活物質粒子が破壊されにくく、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を防ぎ易くなる。さらに、負極活物質間の導電性を確保することができ、電池抵抗が増大することなく、単位容積当たりの容量を稼ぐことができる。
負極活物質層を形成するためのスラリーは、通常、負極活物質に対して、バインダー(結着剤)、増粘剤等を溶媒に加えて調製される。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲内であると、電池容量に寄与しないバインダー割合が多くならないので、電池容量の低下を招き難くなる。さらに、負極電極の強度低下も招き難くなる。
負極板の面積は、特に限定されないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして、正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。また、充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、できる限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この負極板の面積の設計が重要である。
以下に本発明の非水系電解液二次電池に使用される正極について説明する。
<2−4−1.正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物、リチウム含有遷移金属ホウ酸化合物が挙げられる。
i2MnO4等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であってもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g・cm-3以上であり、1.0g・cm-3以上がより好ましく、1.5g・cm-3以上が更に好ましい。また、好ましくは4.0g・cm-3以下であり、3.7g・cm-3以下がより好ましい。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、好ましくは0.01μm以上であり、0.05μm以上がより好ましく、0.08μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が特に好ましく、また、好ましくは3μm以下であり、2μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.6μm以下が特に好ましい。上記範囲内であると、球状の二次粒子を形成し易くなり、粉体充填性が適度なものとなり、比表面積を十分確保できるため、出力特性等の電池性能の低下を抑制することができる。
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、好ましくは0.2m2・g-1以上であり、0.3m2・g-1以上がより好ましく、0.4m2・g-1以上が更に好ましく、また、好ましくは4.0m2・g-1以下であり、2.5m2・g-1以下がより好ましく、1.5m2・g-1以下が更に好ましい。BET比表面積の値が、上記範囲内であると、電池性能の低下を防ぎ易い。さらに、十分なタップ密度を確保でき、正極活物質形成時の塗布性が良好となる。
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
(正極の作製法)
正極は、正極活物質粒子とバインダーとを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。例えば、正極活物質とバインダー、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体
に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層の製造に用いるバインダーは、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
正極活物質層を形成するためのスラリーの調製に用いる液体媒体としては、正極活物質、導電材、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
集電体への上記スラリーの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.5g・cm-3以上が更に好ましく、2g・cm-3以上が特に好ましく、また、4g・cm-3以下が好ましく、3.5g・cm-3以下が更に好ましく、3g・cm-3以下が特に好ましい。
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、非水系電解液二次電池の外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和を、面積比で20倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
本発明の非水系電解液を用いる場合、非水系電解液二次電池の1個の電池外装に収納される電池要素のもつ電気容量(電池を満充電状態から放電状態まで放電したときの電気容量)が、1アンペアーアワー(Ah)以上であると、低温放電特性の向上効果が大きくなるため好ましい。そのため、正極板は、放電容量が満充電で、好ましくは3Ah(アンペアアワー)であり、より好ましくは4Ah以上、また、好ましくは20Ah以下であり、より好ましくは10Ah以下になるように設計する。
正極板の厚さは、特に限定されないが、高容量かつ高出力、高レート特性の観点から、集電体の厚さを差し引いた正極活物質層の厚さは、集電体の片面に対して、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μ
m以下がより好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
(電極群)
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもの
の何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、好ましくは40%以上であり、50%以上がより好ましく、また、好ましくは95%以下であり、90%以下がより好ましい。電極群占有率が、上記範囲内であると、電池容量が小さくり難くなる。また、適度な空隙スペースを確保できるため、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合を回避することができる。
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体(外装ケース)内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。
[非水系電解液二次電池の作製]
<正極の作製>
第一の正極活物質としてのマンガン酸リチウム(Li1.1Mn1.9Al0.1O4)72質量部、第二の正極活物質としてのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li1.15Ni0.45Mn0.45Co0.10O2)18質量部、導電剤としてのカーボンブラックを5質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
グラファイト粉末98質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ12μmの銅箔に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。
上記の正極、負極、及びポリオレフィン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素をアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
・初期充放電
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.1C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。以下同様。)で4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.1Cで3.0Vまで放電した。続いて0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで3.0Vまで放電した。これを2サイクル、合計3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を60℃に24時間保持しエージングを実施した。その後、0.33Cで充放電を行って、その放電容量を測定し、初期容量とした。さらに、この初期容量のちょうど半分の容量まで充電して、充電状態50%の電池を得た。
・初期交流インピーダンス測定
初期充放電を実施した後、充電状態50%に調整した非水系電解液二次電池について、25℃において交流インピーダンス測定を行った。2Hzの時のインピーダンスの絶対値を電池の初期抵抗とした。
・高温保存試験
高温保存試験は、非水系電解液二次電池の実使用上限温度と目される55℃の高温環境下にて実施した。上記初期低温出力測定を行った電池に対して、25℃において0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、55℃において3日間保持した。高温保存を実施した後、25℃において、0.33Cで充放電を行って、その放電容量を測定し、高温保存後容量とした。
上記保存後容量に基づいて、ちょうど半分の容量まで充電して、充電状態50%とした。充電状態50%に調整した電池について、25℃において交流インピーダンス測定を行った。2Hzの時のインピーダンスの絶対値を電池の高温保存後抵抗とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPF6を1モル/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に十分に乾燥させた構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を1.5質量%(非水系電解液中の濃度として)と十分に乾燥させた4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を2質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。この非水系電解液を用いて上述の方法で電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液中に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を8質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させた以外は実施例1−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)及び4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を溶解させなかった以外は実施例1−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を溶解させなかった以外は実施例1−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を溶解させなかった以外は実施例1−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を溶解させず、非水系電解液中に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を8質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させた以外は実施例1−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
[非水系電解液二次電池の作製]
<正極の作製>
正極活物質としてのマンガン酸リチウム(Li1.1Mn1.9Al0.1O4)85質量部、導電剤としてのカーボンブラックを10質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中で混合・スラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、ロールプレスを行い正極とした。
グラファイト粉末98質量部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部と、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ12μmの銅箔に均一に塗布して乾燥し、ロールプレスして負極とした。
上記の正極、負極、及びポリオレフィン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素をアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、後述する電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
25℃の恒温槽中、シート状の非水系電解液二次電池を0.1C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。以下同様。)で4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.1Cで3.0Vまで放電した。続いて0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した後、0.33Cで3.0Vまで放電した。これを2サイクル、合計3サイクル行って非水系電解液二次電池を安定させた。その後電池を60℃に24時間保持しエージングを実施した。その後、0.33Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電した電池を、5Cに相当する定電流値で放電し、エージング後高率容量とした。比較例2−1の放電容量で除し、規格化した。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥させたLiPF6を1モル/L(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、更に十分に乾燥させた構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を0.5質量%(非水系電解液中の濃度として)と十分に乾燥させたサクシノニトリル(SN)を0.5質量%(非水系電解液中の濃度として)溶解させ、非水系電解液を調製した。この非水系電解液を用いて上述の方法で電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液にサクシノニトリル(SN)の代わりに1,6−ジイソシアナトヘキサン(DIH)を0.5質量%溶解させた以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液にサクシノニトリル(SN)の代わりにサクシンイミド(SucI)を0
.5質量%溶解させた以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)及びサクシノニトリル(SN)を溶解させなかった以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液にサクシノニトリル(SN)を溶解させなかった以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を溶解させなかった以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を溶解させず、サクシノニトリル(SN)の代わりに1,6−ジイソシアナトヘキサン(DIH)を0.5質量%溶解させた以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
非水系電解液に構造式(7)の環状ジスルホン酸エステル(CDS)を溶解させず、サクシンイミド(SucI)を0.5質量%溶解させた以外は実施例2−1と同様に電池を作製し、上記評価を実施した。
奏していることを示していることがわかり、両者の同時使用によって初めて得られる効果が示されている。
Claims (10)
- 非水溶媒と該非水溶媒に溶解される電解質とを含む非水系電解液において、
含フッ素エチレンカーボネート誘導体、下記一般式(1)で示される化合物及び下記一般式(2)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
下記一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステル、
とを含むことを特徴とする非水系電解液。
(上記式(1)中、R1は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Wは炭素−窒素間多重結合を有する分子量50以下の官能基である。nは1〜4の整数を表し、nが2以上の整数の場合には、複数のWは同一の官能基であっても異なる官能基であってもよい。)
(上記式(2)中、Mは−O−または−NR2−であり、R2は、水素または分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。R3は、置換基を有してもよく、分岐していてもよい炭素数10以下の炭化水素基である。)
(上記式(3)中、R4、及びR5は独立して、置換基を有していてもよく、分岐していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。) - 前記一般式(3)で示される環状ジスルホン酸エステルは、R4及びR5が独立して、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基からなる群より選ばれる炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記含フッ素エチレンカーボネート誘導体が、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、または4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンであることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
- 前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(4)で示される化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
X−R6−X ・・・(4)
(R6は炭素数15以下のヘテロ元素を有していてもよい炭化水素基である。Xはシアノ基またはイソシアナト基である。) - 前記一般式(2)で示される化合物は、Mが−O−、−NH−及び−N(−CH3)−からなる群より選ばれる有機基であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記一般式(2)で示される化合物が、無水琥珀酸、またはサクシンイミドであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記一般式(3)で示される化合物を、非水系電解液中に0.001質量パーセント以上10質量パーセント以下含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記含フッ素エチレンカーボネート誘導体、一般式(1)で示される化合物及び一般式(2)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、非水系電解液中に0.001質量パーセント以上10質量パーセント以下含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 少なくとも、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、非水系電解液とを備えた非水系電解液二次電池において、該非水系電解液が、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012166216A JP6031873B2 (ja) | 2011-07-29 | 2012-07-26 | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011166209 | 2011-07-29 | ||
JP2011166209 | 2011-07-29 | ||
JP2012166216A JP6031873B2 (ja) | 2011-07-29 | 2012-07-26 | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013051200A true JP2013051200A (ja) | 2013-03-14 |
JP6031873B2 JP6031873B2 (ja) | 2016-11-24 |
Family
ID=48013063
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012166216A Active JP6031873B2 (ja) | 2011-07-29 | 2012-07-26 | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6031873B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014196177A1 (ja) * | 2013-06-06 | 2014-12-11 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 |
WO2015037451A1 (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-19 | 日本電気株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
WO2015037367A1 (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-19 | 日本電気株式会社 | 非水電解液二次電池 |
WO2016021596A1 (ja) * | 2014-08-07 | 2016-02-11 | 日本電気株式会社 | リチウム二次電池およびその製造方法 |
JP2018147898A (ja) * | 2018-06-27 | 2018-09-20 | オートモーティブエナジーサプライ株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
US10224568B2 (en) | 2013-09-13 | 2019-03-05 | Nec Corporation | Electrolytic solution and secondary battery |
JPWO2019189670A1 (ja) * | 2018-03-29 | 2021-04-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 非水系電解液及び非水系電解液電池 |
US11764403B2 (en) | 2017-10-16 | 2023-09-19 | Gs Yuasa International Ltd. | Nonaqueous electrolyte secondary battery |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1145724A (ja) * | 1997-07-29 | 1999-02-16 | Sanyo Electric Co Ltd | 非水系電解液電池 |
JP2004281368A (ja) * | 2002-08-29 | 2004-10-07 | Nec Corp | 二次電池用電解液およびそれを用いた二次電池 |
WO2005029613A1 (ja) * | 2003-09-16 | 2005-03-31 | Nec Corporation | 非水電解液二次電池 |
JP2005174867A (ja) * | 2003-12-15 | 2005-06-30 | Mitsubishi Chemicals Corp | 非水系電解液二次電池 |
JP2010529634A (ja) * | 2007-06-12 | 2010-08-26 | エルジー・ケム・リミテッド | 非水電解液及びそれを用いた二次電池 |
JP2010225522A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Sony Corp | 電解質および二次電池 |
WO2011099580A1 (ja) * | 2010-02-10 | 2011-08-18 | Necエナジーデバイス株式会社 | 非水系電解液およびそれを備えるリチウムイオン二次電池 |
-
2012
- 2012-07-26 JP JP2012166216A patent/JP6031873B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1145724A (ja) * | 1997-07-29 | 1999-02-16 | Sanyo Electric Co Ltd | 非水系電解液電池 |
JP2004281368A (ja) * | 2002-08-29 | 2004-10-07 | Nec Corp | 二次電池用電解液およびそれを用いた二次電池 |
WO2005029613A1 (ja) * | 2003-09-16 | 2005-03-31 | Nec Corporation | 非水電解液二次電池 |
JP2005174867A (ja) * | 2003-12-15 | 2005-06-30 | Mitsubishi Chemicals Corp | 非水系電解液二次電池 |
JP2010529634A (ja) * | 2007-06-12 | 2010-08-26 | エルジー・ケム・リミテッド | 非水電解液及びそれを用いた二次電池 |
JP2010225522A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Sony Corp | 電解質および二次電池 |
WO2011099580A1 (ja) * | 2010-02-10 | 2011-08-18 | Necエナジーデバイス株式会社 | 非水系電解液およびそれを備えるリチウムイオン二次電池 |
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014196177A1 (ja) * | 2013-06-06 | 2014-12-11 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 |
JPWO2014196177A1 (ja) * | 2013-06-06 | 2017-02-23 | 株式会社Gsユアサ | 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 |
US9991561B2 (en) | 2013-09-12 | 2018-06-05 | Nec Corporation | Lithium ion secondary battery |
WO2015037451A1 (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-19 | 日本電気株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
US20160226099A1 (en) * | 2013-09-12 | 2016-08-04 | Nec Corporation | Lithium ion secondary battery |
JPWO2015037451A1 (ja) * | 2013-09-12 | 2017-03-02 | 日本電気株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
WO2015037367A1 (ja) * | 2013-09-13 | 2015-03-19 | 日本電気株式会社 | 非水電解液二次電池 |
US10224568B2 (en) | 2013-09-13 | 2019-03-05 | Nec Corporation | Electrolytic solution and secondary battery |
WO2016021596A1 (ja) * | 2014-08-07 | 2016-02-11 | 日本電気株式会社 | リチウム二次電池およびその製造方法 |
JPWO2016021596A1 (ja) * | 2014-08-07 | 2017-05-25 | 日本電気株式会社 | リチウム二次電池およびその製造方法 |
US10840551B2 (en) | 2014-08-07 | 2020-11-17 | Nec Corporation | Lithium secondary battery and manufacturing method therefor |
US11764403B2 (en) | 2017-10-16 | 2023-09-19 | Gs Yuasa International Ltd. | Nonaqueous electrolyte secondary battery |
JPWO2019189670A1 (ja) * | 2018-03-29 | 2021-04-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 非水系電解液及び非水系電解液電池 |
JP7231615B2 (ja) | 2018-03-29 | 2023-03-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 非水系電解液及び非水系電解液電池 |
JP2018147898A (ja) * | 2018-06-27 | 2018-09-20 | オートモーティブエナジーサプライ株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6031873B2 (ja) | 2016-11-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6187566B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系電解液二次電池 | |
JP6380600B2 (ja) | フルオロスルホン酸リチウム、非水系電解液、及び非水系電解液二次電池 | |
KR102416651B1 (ko) | 비수계 전해액 및 그것을 사용한 비수계 전해액 2 차 전지 | |
JP6069843B2 (ja) | 二次電池用非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
US9653753B2 (en) | Non-aqueous electrolyte solution and non-aqueous electrolyte secondary battery employing the same | |
JP5418955B2 (ja) | 二次電池用非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP5720325B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP6031873B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP6098062B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP2013232298A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 | |
JP5776422B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 | |
JP2014146558A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 | |
JP2019135730A (ja) | 非水系電解液及び非水系電解液二次電池 | |
JP6459695B2 (ja) | 非水系電解液二次電池 | |
JP2013051198A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 | |
JP6638502B2 (ja) | 非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP2013093242A (ja) | 非水系電解液、それを用いた電池 | |
JP6079264B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP6413874B2 (ja) | 非水系電解液、非水系電解液二次電池および非水系電解液用添加剤 | |
JP6221201B2 (ja) | 非水系電解液、および非水系電解液二次電池 | |
JP6582730B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 | |
JP5760809B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系電解液電池 | |
JP2015088278A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 | |
JP2014086352A (ja) | 非水系電解液二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150623 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160316 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160405 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160606 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160927 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161010 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6031873 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313121 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |