JP2013049562A - 乗客コンベアのコム及びこのコムを備える乗客コンベア - Google Patents

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Abstract

【課題】異物が踏段との隙間に挟まれた場合に容易に復旧させることができる乗客コンベアのコムを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係る乗客コンベアのコムは、無端状に連結された複数の踏段が周回移動して動作する乗客コンベアの乗降口に設置され、踏段の上面に設けられたクリートと噛み合う櫛歯を備える。そして、櫛歯が下方から外力を受けたときに、乗客コンベアの進行方向と直交する幅方向に沿った軸まわりに上方へ回動可能であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、乗客コンベアのコム及びこのコムを備える乗客コンベアに関する。
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいて、踏段の隙間に乗客の手足などが挟まれるのを防止する対策が多くとられている。たとえば乗客コンベアの乗降口には、踏段の乗降板下への侵入部にコムと呼ばれる櫛板状の部品が取り付けられている。コムは各国の法規や規格で寸法や噛み合い深さなどが規定されている重要な部品である。このコムを設置することにより、踏段と乗降板との隙間を無くし、乗降時(特に降時)に踏段の乗降板下への侵入部に差し掛かる乗客の足(乗客が転倒した場合には手)などをすくい上げることができ、乗客の手足や物などの異物が踏段と乗降板との隙間に挟まれることを防止することができる。
特開2009−91051号公報 特開2009−249077号公報
しかしながら、乗客コンベアの使用に伴い、このコムの櫛歯や、コムと噛み合いを持たせている踏段側の溝(クリート)が破損・折損することがある。このような状態で乗客コンベアの運転が継続されると、乗客の手足などの異物がコムやクリートの破損箇所からコムの下方に潜り込み、コムと踏段との隙間に挟まれる状況を生じる虞がある。
乗客コンベアをこのような状況から復旧させるためには、隙間に挟み込まれた異物を取り除く必要があるが、従来コムは乗降板に固定されているため、コムと踏段との隙間に挟み込まれた異物を容易には取り除くことができない場合があり、この場合、コムを取り外すか破壊する作業が必要となる。この作業は乗客コンベアの運転中に実施するのは非常に困難である。また、この作業の後に乗客コンベアを再運転するためには、取り外したコムを再び取り付けたり、新しいコムに交換する作業も必要となる。つまり、本来は異物が隙間に挟まれるのを防止するためのコムが、状況によっては異物が隙間に挟まれた状態から復旧するのを妨げる要因となってしまうことがあった。
異物がコムと踏段との隙間に挟まれた状態から復旧するのを容易にするためには、コムの材料である樹脂の強度を下げる対策も考えられるが、この場合、コムとして必要な強度が得られない可能性があった。
本発明が解決しようとする課題は、乗客の手足や物などの異物が踏段との隙間に挟まれた場合に容易に復旧させることができる乗客コンベアのコム及びこのコムを備える乗客コンベアを提供することである。
本発明の実施形態に係る乗客コンベアのコムは、無端状に連結された複数の踏段が周回移動して動作する乗客コンベアの乗降口に設置され、踏段の上面に設けられたクリートと噛み合う櫛歯を備える。そして、櫛歯が下方から外力を受けたときに、乗客コンベアの進行方向と直交する幅方向に沿った軸まわりに上方へ回動可能であることを特徴とする。
第1実施形態に係るコム1を備えるエスカレータ(乗客コンベア)の上階側の概略構成を示す縦断面図である。 図1に示すコムの近傍を拡大視した平面図である。 図2のIII−III断面図である。 コムと踏段との間に乗客の足が挟みこまれたときのコムの動作を示す図である。 第2実施形態に係るエスカレータのコム周辺を拡大視した概略図である。
以下に、実施形態に係る乗客コンベアのコムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
以下の実施形態では、無端状に連結された踏段が周回移動するよう動作する乗客コンベアの一例としてエスカレータを挙げて説明する。
[第1実施形態]
図1〜4を参照して、第1実施形態について説明する。まずは、図1〜3を参照して第1実施形態に係るコム1と、このコム1を備えるエスカレータ11の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るコム1を備えるエスカレータ(乗客コンベア)11の上階側の概略構成を示す縦断面図であり、図2は、図1に示すコム1の近傍を拡大視した平面図であり、図3は、図2のIII−III断面図である。
エスカレータ11は、図1に示すように、無端状に連結された複数の踏段5を備え、これらの踏段5を上階の乗降口12と下階の乗降口(図示せず)との間で周回移動することで、踏段5の上面の踏み面5a上に乗った利用者を上方または下方に搬送することができるよう構成されている。踏段5は、前輪5c及び後輪5dをそれぞれ誘導する前輪レール13および後輪レール14に沿って移動可能に配置され、前輪レール13および後輪レール14の位置関係によって、隣り合う踏段5同士が水平状または階段状となるよう構成されている。前輪レール13および後輪レール14は、エスカレータ11のトラス(構造フレーム)15内に格納されている。
エスカレータ11が上昇方向に稼動する場合、図1に示す上階側では、踏段5は、中間傾斜部において階段状で上昇され、上部遷移カーブにおいて隣接する踏段5間の段差を縮小してゆき水平状に遷移され、上階側の乗降口12において水平状となってトラス15内に進入する。そして、トラス15内に進入された後に下方に反転され、帰路側を水平状で下降される。エスカレータ11が下降方向に稼動する場合には上記と逆の動作となる。
乗降口12には、利用者がエスカレータ11の乗降時にその上を通行する乗降板2が設けられており、踏段5は、利用者を乗せる上面の踏み面5aを水平状として、この乗降板2に沿ってトラス15内から進出し、またはトラス15内へ進入する。
また、踏段5には、図2,3に示すように、上面の踏み面5aに、踏段5の移動方向に沿って溝状の複数のクリート5bが形成されている。
また、図1に示すように、エスカレータ11は、踏段5の進行方向における両脇に欄干16を備え、この欄干16の外周に沿って環状の移動手すり17が取り付けられている。移動手すり17は、踏段5の移動に合わせて踏段5と同方向に周回移動するよう構成されている。なお、踏段5及び移動手すり17は、トラス15内に設置される制御装置9(図5参照)によって、減速機やインバータ装置、電動機などで構成される駆動系10(図5参照)を制御することで駆動される。
乗降口12の乗降板2の下階側の端部には、図2,3に示すように、踏段5の進行方向と直交する幅方向に沿って、乗降板2の上面から一定幅で掘り下げられたコム載置部2aが設けられており、このコム載置部2aに、乗降板2の幅方向に沿ってコム1が取り付けられている。
コム1は、図2,3に示すように、乗降板2のコム載置部2a上に載置される基部1bと、この基部1bから下階側に踏段5の進行方向に沿って延在する複数の櫛歯1aとを備えて構成される櫛板状の部材である。複数の櫛歯1aは、踏段5の踏み面5a上に形成されている複数のクリート5bの間に個々が入り込み相対移動可能となるよう、踏段5の幅方向に沿って並列に配置されている。コム1の基部1bの厚みと、乗降板2のコム載置部2aの厚みとは、基部1bがコム載置部2a上へ載置された時に基部1bの上面及び乗降板2の上面がほぼ段差のない平面状となるように設定されている。エスカレータ11は、このようなコム1を乗降板2の端部、踏段5との接触部に設けることで、乗降板2と踏段5との隙間を無くすことができるよう構成されている。
そして、本実施形態では、コム1は、図2,3に示すように、踏段5の進行方向と直交する幅方向に沿って設けられた軸3によって基部1bを軸支されており、図3の二点鎖線で示すように、この軸3を中心として上方に回動可能となるよう設置されている。また、コム1は、図3に示すように、乗降板2のコム載置部2aによって、水平より下方への回動を規制され、水平状に支持されている。
また、コム1の基部1bのうち、乗降板2のコム載置部2aと対向する面には、永久磁石(抑止手段)4がコム載置部2aと当接可能に埋設されている。乗降板2のコム載置部2aは鋼鉄製であるため、図2,3に示すようにコム1の基部1bがコム載置部2aと当接している状態では、永久磁石4は、磁力によってコム載置部2aに貼りついた状態となっている。これにより、永久磁石4の磁力を超える上方への外力がコム1の櫛歯1aに加えられるまでは、コム1を乗降板2のコム載置部2aに固定させ、コム1が軸3を中心として上方に回動するのを抑止することができるよう構成されている。
さらに、コム1は、図2に示すように軸3に沿った幅方向に複数の部材に分割されて配置され、外力をうけた部材のみが上方に回動するよう構成されている。
なお、エスカレータ11は、図1に図示しない下階側の乗降口でも同様に乗降板2の先端に、本実施形態に係るコム1が設置されている。
次に、図4を参照して、第1実施形態に係るエスカレータ11のコム1の動作について説明する。図4は、コム1と踏段5との間に乗客の足が挟みこまれたときのコム1の動作を示す図である。
まず、エスカレータ11の通常運転時には、コム1の櫛歯1aは下方から外力を受けず、図3に示すように、基部1bが乗降板2のコム載置部2a上に載置され、コム載置部2aと当接している永久磁石4の磁力によりコム載置部2aに固定されている。
そして、コム1の櫛歯1a、または踏段5のクリート5bが破損し、これらの破損箇所においてコム1と踏段5の踏み面5aとの間に隙間が生じた状態を考える。この状態では、図4に示すように踏段5が進行して乗降板2の下に進入しているエスカレータ11の降り口において、コム1またはクリート5bの破損箇所から、踏段5に乗っている乗客の足6(または手や物など)がコム1の下方に入りこみ、コム1と踏段5とのなす隙間に挟み込まれる。このとき、コム1の櫛歯1aには、隙間に挟み込まれた乗客の足6によって、上方へ押圧力Fが加えられる。この押圧力Fが永久磁石4の磁力によるコム載置部2aとの間の接着力を超えたとき、図4に示すように、押圧力Fによって、コム1の基部1bがコム載置部2aから離間し、コム1が軸3まわりに上方へ回動され、コム1と踏段5とのなす隙間が広げられる。これにより、コム1を取り外すことなく、コム1と踏段5との隙間に挟まれた乗客の足6などの異物を迅速かつ容易に取り除くことができる。
また、コム1と踏段5との隙間に挟まれた異物を隙間から取り除けば、コム1は再び軸3まわりに下方に回動して、コム1の基部1bが乗降板2のコム載置部2a上に載置され、永久磁石4により再びコム載置部2aに固定され、通常運転時の位置に戻される。
次に、第1実施形態に係るエスカレータ11のコム1の効果について説明する。
本実施形態に係るエスカレータ11のコム1は、無端状に連結された複数の踏段5が周回移動して動作するエスカレータ11の乗降口12に設置され、踏段5の上面に設けられたクリート5bと噛み合う櫛歯1aを備える。そして、このコム1は、櫛歯1aが下方から外力を受けたときに、エスカレータ11の進行方向と直交する幅方向に沿った軸3まわりに上方へ回動可能である。
この構成により、エスカレータ11の乗客の手足などの異物がコム1と踏段5とのなす隙間に挟み込まれた場合に、コム1の下方に入りこんだ異物から櫛歯1aが受ける押圧力により、コム1を軸3まわりに上方へ回動させることができる。このため、コム1を取り外す作業を行うことなく、コム1と踏段5との隙間に挟まれた異物を迅速かつ容易に取り除くことができる。また、異物を取り除いた後には、コム1を再度軸3まわりに下方に回動させて通常運転時の初期位置に戻すことができるので、例えばコム1やクリート5bなどに破損が無い場合には、エスカレータ11を迅速に再稼動させることができる。この結果、本実施形態に係るコム1により、乗客の手足や物などの異物がコム1と踏段5との隙間に挟まれた場合に容易に復旧させることが可能となる。
さらに、コム1と踏段5との間に乗客の手足が挟みこまれた場合には、コム1が軸3まわりに上方へ回動するため、隙間に挟み込まれた乗客の手足がコム1や踏段5から受ける挟圧力を低減させることが可能となり、乗客の怪我などの危険を回避することができる。
また、本実施形態に係るエスカレータ11のコム1では、永久磁石4が、コム1の櫛歯1aが下方から所定以上の外力を受けるまで軸3まわりの回動動作を抑止するので、微小な外力によりコム1が上方に回動し、不用意にコム1と踏段5との隙間が生じるのを防止することができる。
[第2実施形態]
次に、図5を参照して第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るエスカレータ11′のコム1周辺を拡大視した概略図である。
図5に示すように、本実施形態に係るエスカレータ11′は、(1)乗降板2のコム載置部2aに金属を検知できる近接センサ7を設置し、コム1の基部1bのコム載置部2aと当接する面に金属製検出片8を埋設している点、及び(2)制御装置(制御手段)9が、近接センサ7によりコム1の回動動作が検知されたときに、エスカレータ11′の運転を停止するよう駆動系10を制御する点において、上記の第1実施形態のエスカレータ11と異なるものである。
近接センサ7は、図5の実線で示すように、コム1の基部1bが乗降板2のコム載置部2aと当接しているときに、金属製検出片8を検知することができ、図5の二点鎖線で示すように、コム1が上方に回動し、コム1の基部1bが乗降板2のコム載置部2aから離れたときに、金属製検出片8を検知しないよう設定される。すなわち、コム1の基部1bが乗降板2のコム載置部2aと当接しているか否か、言い換えると、コム1がコム載置部2aに水平状に固定されているか否か、または、コム1が上方に回動しているか否かに応じて、近接センサ7の出力信号は切り替わる。
制御装置9は、この近接センサ7の出力信号の切り替えによって、コム1が上方に回動しているか否かを判定することができる。すなわち、本実施形態では、近接センサ7と、コム1の基部1bに設けられた金属製検出片8とが、コム1の軸3まわりの回動動作を検知する検知手段として機能する。
本実施形態に係るエスカレータ11′では、近接センサ7と金属製検出片8との近接/離間状態に応じて、コム1が水平状の通常状態にあるのか、または上方に回動し持ち上がった異常状態にあるのかをモニタすることができる。そして、近接センサ7及び金属製検出片8によりコム1の軸3まわりの回動動作が検知されたときに、制御装置9が、コム1が上方に持ち上がった異常状態であると判断して、エスカレータ11′の運転を停止することができる。この結果、異物がコム1と踏段5との隙間に挟まれた場合などエスカレータ11′に何らかの異常が発生したことを迅速に検知して、運転を停止することができるので、エスカレータ11′の乗客の安全性を向上できる。
なお、上記実施形態では、無端状に連結された踏段が周回移動するよう動作する乗客コンベアの一例としてエスカレータ11,11′を挙げて説明したが、本実施形態に係るコム1は、エスカレータ11,11′に限らず、動く歩道など他のタイプの乗客コンベアにも同様に適用することができる。
また、上記実施形態の永久磁石4は、コム1の櫛歯1aが下方から所定以上の外力を受けるまで軸3まわりの回動動作を抑止することができればよく、永久磁石4の代わりに、電磁石、スナップボタンのような構造、接着材、マジックテープ(登録商標)などを用いてもよいし、コム1の上方への回動方向と反対方向の下方に付勢力を発生させるようバネを設置してもよい。
また、上記実施形態の近接センサ7は、コム1の軸3まわりの回動動作を検知することができればよく、例えば光センサなど他の検知手段を用いてもよい。光センサをコム1の軸3まわりの回動動作を検知する検知手段として用いる場合には、例えばコム1が上方に開いたときの外光を検知することでコム1の軸3まわりの回動動作を検知することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 コム
1a 櫛歯
3 軸
4 永久磁石(抑止手段)
5 踏段
5a 踏み面
5b クリート
7 近接センサ(検知手段)
8 金属製検出片(検知手段)
9 制御装置(制御手段)
11,11′ エスカレータ(乗客コンベア)
12 乗降口

Claims (3)

  1. 無端状に連結された複数の踏段が周回移動して動作する乗客コンベアの乗降口に設置され、前記踏段の上面に設けられたクリートと噛み合う櫛歯を備える乗客コンベアのコムであって、
    前記櫛歯が下方から外力を受けたときに、前記乗客コンベアの進行方向と直交する幅方向に沿った軸まわりに上方へ回動可能であることを特徴とする乗客コンベアのコム。
  2. 前記櫛歯が下方から所定以上の外力を受けるまで当該コムの前記軸まわりの回動動作を抑止する抑止手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の乗客コンベアのコム。
  3. 請求項1または2に記載のコムを備える乗客コンベアであって、
    前記コムの前記軸まわりの回動動作を検知する検知手段と、
    前記検知手段により前記コムの回動動作が検知されたときに、当該乗客コンベアの運転を停止する制御手段と、
    を備えることを特徴とする乗客コンベア。
JP2011189413A 2011-08-31 2011-08-31 乗客コンベアのコム及びこのコムを備える乗客コンベア Withdrawn JP2013049562A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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