JP2013049075A - 圧延機の制御装置および圧延機の制御方法 - Google Patents

圧延機の制御装置および圧延機の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クーラントによる形状制御を実施する場合、従来では、機械構成が複雑となる問題があった。
【解決手段】上作業ロールと下作業ロールの間で被圧延材の形状を制御するものにおいて、圧延機入側で、被圧延材あるいは上作業ロールと下作業ロールに向かって噴射されるクーラントを制御するうえで、被圧延材上に滞留するクーラントの滞留長さを板幅方向で変化させることで、形状制御を実施する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧延機の制御装置及び圧延機の制御方法に係り、特に、形状制御に好適な圧延機の制御装置及び圧延機の制御方法に関する。
圧延機においては、圧延機出側における被圧延材の形状を、所定に維持することが必要である。このために、一般的に、作業ロールベンダー、中間ロールベンダー、レベリングといった機械的手段を用いて制御することが行われてきた。このような機械的手段による形状の制御では、形状の1次〜4次関数の形状が制御できる。このような技術は、例えば、特開2005−1445592号公報に記載されている。
特開2005−1445592号公報
一方、形状の制御として、作業ロールに圧延潤滑と冷却のため噴射する潤滑冷却媒体(以下、クーラントと記す)を板幅方向で流量調整することで制御することが行われている(セレクティブクーラントと以下略記する)。
セレクティブクーラントは、作業ロールの圧延での加工発熱による熱膨張を、クーラントで冷却することで調整し、作業ロール表面形状を変化させ、それを用いて圧延することで被圧延材の形状を制御するものである。
ここで、セレクティブクーラントは、形状制御操作端として効果的であるが、セレクティブクーラントは、作業ロールの熱膨張量を変化させる方法であるため、圧延方法の用い方、あるいは、圧延機の構造によっては、形状制御が充分行えなかった。例えば、圧延による加工発熱が小さいような被圧延材を圧延する場合や、作業ロール全体がクーラントに浸っているような機械構成を持つような圧延機の場合は有効でないという問題点があった。
本発明の目的は、形状制御精度の向上が可能な圧延機の制御装置及び圧延機の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明よれば、圧延機入側または圧延機出側における被圧延材の形状に係る情報である形状実績情報を得て、前記形状実績情報に基づいて、圧延機出側の被圧延材の形状が目標形状に近づくように、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させる操作指令量を演算し、前記操作指令を操作対象に出力するように構成した。
本発明によれば、作業ロールの熱膨張のみでなく、摩擦係数変化による圧延現象により被圧延材の形状を制御できるため、製品精度向上および操業効率向上が実現できる。
本発明の圧延制御方法。 シングルスタンド圧延機の制御構成。 セレクティブクーラント装置。 クーラント滞留の概要。 クーラント噴射時の形状変化。 ベンダーによる形状制御。 クーラント滞留量調整装置の概要。 クーラント滞留量操作形状制御の動作概要。 形状制御の動作フロー。 クーラント滞留量調整装置の概要(実施例2)。
まず、本発明の実施例の概略を説明すると、圧延機入側の被圧延材上に発生するクーラント滞留長さを板幅方向で変化させるものである。すなわち、圧延機入側では、潤滑と冷却を兼ねたクーラントが作業ロールに対して噴射されており、被圧延材上部においては、板端部から下に流れ落ちることで排除されるが、被圧延材は圧延機にある速度で流入しているためクーラントが被圧延材上に滞留することになる。被圧延材上に滞留したクーラントは、被圧延材上面に潤滑膜を形成するが、滞留量によってその量が異なるため圧延加工時の作業ロールと被圧延材の摩擦係数が変化することになる。そのため、圧延機出側における被圧延材の板厚分布が異なり、形状が変化する。
これを用いて形状を制御することを考える場合、圧延機入側におけるクーラント滞留量は、(1)作業ロールから離れた位置にクーラントノズルを設置し、被圧延材上に、板幅方向で選択的に噴射する。(2)作業ロールから離れた位置にエアーを噴射するノズルを設置し、クーラント滞留長さを調整することで、板幅方向のクーラント滞留量を変更する。以上の(1)(2)により変更することが可能であり、スペースの限られた圧延機のハウジング内に新たに機械を設置することなく実現可能である。
すなわち、一部繰り返しになるが、圧延機入側の被圧延材のクーラント滞留量を変更することで形状制御を実施するものである。また、クーラント滞留量変更の実施例として、圧延機から離れた所にクーラントノズルを設置してクーラントを噴射して、板上の板幅方向のある点のクーラント滞留量を長くするものである。ここで、エアー等を用いて、クーラント滞留量の形を制御することも考えられる。利点として、入側にセレクティブクーラントを設置するよりも容易に設置可能であることから、既設改造が容易に実施できる。
シングルスタンド圧延機に本発明を適用する場合について以下説明する。
図2に、シングルスタンド圧延機の構成を示す。シングルスタンド圧延機は、圧延機1の圧延方向に対して入側に入側TR(テンションリールをTRと略記する)2、出側に出側TR3を持ち、圧延は、入側TR2から巻き出された被圧延材を圧延機1で圧延した後、出側TR3で巻き取ることにより行われる。圧延機1には、ロールギャップを変更することで被圧延材の板厚を制御することを可能とするためのロールギャップ制御装置7と圧延機1の速度を制御するためのミル速度制御装置4が設置される。入側TR2および出側TR3は電動機にて駆動されるが、その電動機と電動機を駆動するための装置として、入側TR制御装置5および出側TR制御装置6が設置される。
圧延時は、圧延速度設定装置10より速度指令がミル速度制御装置4に対して出力され、ミル速度制御装置4は、圧延機1の速度を一定とするような制御を実施する。圧延機1の入側、出側では、被圧延材に張力をかけることで圧延を安定かつ効率的に実施する。そのために必要な張力を計算するのが入側張力設定装置11および出側張力設定装置12である。張力設定装置11および12にて計算された入側および出側張力設定値より、入側TR2および出側TR3に入側TR制御装置5および出側TR制御装置6を経て、設定張力を被圧延材に加えるために必要な電動機トルクを得るための電流値を、入側張力電流変換装置15および出側張力電流変換装置16により求めて、入側TR制御装置5および出側TR制御装置6に与える。入側TR制御装置5および出側TR制御装置6では、与えられた電流となるように電動機電流を制御し、電動機電流より入側TR2および出側TR3に与えられる電動機トルクにより被圧延材に所定の張力を与える。
張力電流変換装置15、16は、TR機械系およびTR制御装置のモデルに基づき張力設定値となるような電流設定値(電動機トルク設定値)を演算するが、制御モデルに誤差を含むため、圧延機1の入側および出側に設置された入側張力計8および出側張力計9で測定された実績張力を用いて、入側張力制御13および出側張力制御14により張力設定値に補正を加えて、張力電流変換装置15、16に与え、入側TR制御装置5および出側TR制御装置6へ設定する電流値を変更する。
また、被圧延材の板厚は製品品質上重要であるため、板厚制御が実施される。圧延機1出側の板厚は、出側板厚計17にて検出された実績板厚より出側板厚制御装置18が圧延機1のロールギャップをロールギャップ制御装置7を用いて操作することで制御される。
図2においては、入側TR2より出側TR3に向かって、図の左から右に圧延する(圧延方向と以下略記する)場合について記述しているが、シングルスタンド圧延機では、一般的に逆方向(右から左への)圧延も可能である。製品仕様にもよるが、一般に被圧延材を複数回圧延して所望の板厚を得る操業方法が行われており、シングルスタンド圧延機においても、1回目の圧延を左から右に実施して、入側TRに有った被圧延材を出側TRに巻き取り、2回目の圧延においては右から左へ圧延方向を変更し、出側TRにある被圧延材を入側TRに巻き取るように操業する。これを何回か繰り返すことで、所望の製品板厚を得ることができる。
圧延機入側には、被圧延材と作業ロール間の潤滑の確保および圧延加工熱による作業ロールの熱膨張量を板幅方向で変化させ、圧延機出側の被圧延材の形状を制御するための操作端であるクーラント噴射装置50が設置されている。クーラント噴射装置50は、圧延機出側に設置された出側形状計200で検出した形状実績を目標形状に維持するための形状制御21により、板幅方向でクーラント噴射量が調整されている。
形状制御の操作端としては、クーラントの他にも、作業ロールベンダー、中間ロールベンダー、レベリングといった機械的に作業ロールのたわみを変更して被圧延材の形状を制御する手段もあるが、本明細書においては詳細は省略する。形状は、被圧延材の板幅方向の伸びの分布である。作業ロールベンダー、中間ロールベンダーは共にロールの両端に力をかけてロールを曲げることで形状を、板幅方向で一般に2次または4次関数状に変化させるものである。レベリングは、ロールの両端のロールギャップを変化させるもので、一般に1次関数状に形状を変化させるものである。
それに対して、セレクティブクーラントは、クーラント噴射装置50が、図3に示すように複数の噴射ノズル201を持ち、クーラント供給装置52よりクーラント配管53を経て供給される圧延時の潤滑と冷却を兼ねたクーラントを作業ロール表面に、板幅方向で選択的に供給される。
噴射されたクーラント60は、その後、下作業ロール122に対して噴射したクーラントはそのまま圧延機下部に落下する。一方、上作業ロール121に対して噴射したクーラントは、被圧延材123の板幅方向端部より落下するが、噴射するクーラント量に応じて被圧延材123上に板端部より落下するまでの間被圧延材上のクーラント滞留61のように滞留する。被圧延材123は、圧延機に対して高速(数100m/分程度)で移動しているため、被圧延材123上に滞留したクーラントは、圧延機入側へは滞留しているクーラント量と被圧延材123の移動速度でつりあった長さを保つことになる。これがクーラント滞留長さ62である。
図4に噴射ノズル51より噴射されたクーラントの状態を示す。作業ロールに噴射されたクーラントは、作業ロールの温度を下げ、圧延加工による熱膨張を抑制する他、作業ロール表面に付着して被圧延材と作業ロール間に入り込み圧延加工時の潤滑に寄与する。
一方、被圧延材の板上面に滞留するクーラントは、被圧延材表面に付着して被圧延材と作業ロール間に入り込み圧延加工時の潤滑に寄与する。圧延に使用するクーラントは、水と油を混ぜ合わせたエマルジョン状となっており、油の粒が水の中に浮いた状態となっている。この状態で、被圧延材上に付着した油の粒が被圧延材と作業ロールとの接触部分まで運ばれて、圧延時の潤滑に寄与することになる。したがって、被圧延材上面のクーラント滞留長さ62が長いほど、クーラントと被圧延材の接触時間が長くなる。そのためクーラント滞留長さに応じて被圧延材表面への潤滑油の付着量が多くなり、潤滑への寄与が大きくなり、摩擦係数が小さくなる。
被圧延材の形状は、板幅方向の伸び率の差であり、圧延によって圧延機出側の板厚分布が板幅方向で変化することで発生する。圧延機出側板厚は、上下作業ロール間の間隔、被圧延材にかかる張力、摩擦係数等により変化する。セレクティブクーラントは、(作業ロール(上)121及び作業ロール(下)122)作業ロール120に対して噴射するクーラント量を板幅方向で調整するもので、作業ロール120の熱膨張変化による上下作業ロール間の間隔の変化および摩擦係数の変化により出側板厚の板幅方向分布を変化させ、形状を変化させる。
クーラント噴射による形状への影響は下記のように考えられる。
クーラント噴射→摩擦係数低下(摩擦係数の観点)
→荷重減少
→出側板厚薄
→形状伸び(伸び率増大)
クーラント噴射→熱膨張量減少(作業ロール冷却の観点)
→板厚増加
→形状張り(伸び率減少)
つまり、クーラント噴射を摩擦係数変化と考えるか、熱膨張量変化と考えるかで形状の変化方向が異なる。実際にクーラント噴射時の圧延機出側形状変化を調査すると、図5に示すように、クーラント噴射直後は形状が伸び傾向(伸び率増大)となるが、その後張り傾向(伸び率減少)となる。これは、噴射直後から摩擦係数の変化が発生するが、作業ロールの熱膨張量減少には時間を要するためと考えられる。
セレクティブクーラントを用いた形状制御においては、クーラントの噴射による作業ロールの熱膨張量の変動が形状に与える影響が支配的と考え、形状が伸びている部分に対応する作業ロールに、クーラントを噴射するという制御方法をとっている場合が多い。圧延による加工熱の発生が小さく、熱膨張量がほとんど無い場合においては、摩擦係数変化による影響が支配的と考え、形状が伸びている部分に対応する作業ロールへのクーラント噴射を止める制御方法とすることも考えることが可能である。
セレクティブクーラント制御を実施する場合、クーラント噴射装置50を作業ロール近くに設置する必要がある。通常板幅方向50mm程度毎にクーラント噴射ノズル51を設置し、それぞれ独立に噴射/停止を可能とするためにバルブを設置することとなるため、クーラントを流すための配管や、バルブを開閉するためのエアー配管(エアーバルブの場合)や電気配線(電磁バルブの場合)が必要である。そのため、圧延機の機械構造(例えばセンヂミア圧延機)上設置不可の場合がある。また、既設圧延機に新たにセレクティブクーラント装置を設置しようとしても、スペースが無くて設置できない場合がある。そのような場合は、セレクティブクーラント装置の設置をあきらめ、クーラントによる形状制御ができないこととなる。
ベンダーを用いた形状制御の場合、図6に示すようなM型形状が発生した場合、中間ロールと作業ロールのベンダー操作による形状変化の差を用いて形状を修正しようとする。例えば、中間ロールベンダーを増加し、より板端部への影響が大きい作業ロールベンダーを減少側に操作する。しかしながら、中間ロールと作業ロールの形状への影響が同等である場合、M型形状が修正されないまま中間ロールベンダーが最大、または作業ロールベンダーが最小値まで動作する、いわゆる泣き別れ現象が発生する。
そのような場合、ベンダーによってはM型形状を修正することはできないため、クーラントによる形状制御が必要となってくる。そこで、セレクティブクーラント装置が設置できないような圧延設備に対しても、被圧延材上のクーラント滞留量を変化させることができれば、クーラントによる形状制御を実施できる。
クーラント滞留量を変化させる方法としては、圧延機入側にクーラント噴射装置(クーラントノズル)50を設置し、被圧延材上にクーラントを噴射してクーラント滞留量を板幅方向で変えればよい。図1にその場合の構成を示す。圧延機の出側形状計200で測定された実績形状から、形状制御がクーラント滞留量を長くしたい板幅方向の部位を特定し、その部分のクーラント滞留量調整装置202のノズルを噴射状態とすることで、圧延機入側の被圧延材上部にクーラントを噴射し、クーラント滞留長さを長くする。このような方法を用いることにより、圧延機の作業ロール近傍に機械的設置スペースが無い場合であっても、空間に余裕のある圧延機入側部にクーラント滞留量調整装置202を設置すればよく、クーラントによる形状制御が適用可能となる。
図7にクーラント滞留量調整装置202の概要を示す。圧延方向入側で、作業ロールから離れた位置にクーラント滞留量調整装置202を設置する。クーラント滞留量調整装置202は、板幅方向に分割された複数のクーラントノズル202−1〜202−kを持ち、各ノズルは、クーラント流量調整装置203−1〜203−kにより噴射流量を調整する。ここで、クーラントノズル202およびクーラント流量調整装置203は板幅方向でk個設置されているものとする。圧延機出側には、出側形状計200が設置され、形状実績を測定することができる。ここで、簡単のためにk=8の場合について考える。出側形状計200は8個の測定ゾーンを持ち、各ゾーンの形状を測定することが可能である。また、出側形状計200の測定ゾーンに対応して、クーラントノズル202およびクーラント滞留量調整装置203が設置されているとする。
図9に、形状制御204の動作フローを示す。形状制御204は、出側形状計200より形状実績を受け取り、予め定めた目標となる形状(目標形状)との偏差をとって形状偏差を作成する。
形状偏差=形状実績−目標形状
クーラント滞留量を用いた形状制御においては、クーラント滞留量を増やすことにより、板幅方向当該部分の形状が伸び方向(圧下率が増加する)に変化することが前提となるため、最も形状偏差が小さい(板幅方向で最も延びていない)部分を探索し、その部分に対応するクーラント滞留量調整装置202のノズルをON(クーラント噴射状態)とする。
例えば、図8に示すような形状実績および目標形状だった場合、形状偏差は、クーラント滞留量調整装置202のノズル202−2位置が最も小さいので、クーラント流量調整装置203の203−2のバルブをON(噴射状態)とすることでクーラント滞留量調整装置202−2からクーラントを噴射する。噴射されたクーラントは、被圧延材上面に図7に示すように溜り、形状偏差が最も小さい部分のクーラント滞留量が増大することになる。
ここでは、クーラント滞留量の増大により被圧延材と作業ロール間の摩擦係数が減少し、被圧延材の出側板厚が薄くなることを前提とした。しかしながら、クーラント滞留量の増大により被圧延材が冷却されそれにより圧延時に作業ロールの熱を奪う(または、発熱を抑制する)ことで作業ロールの熱膨張量を変化させることで形状が変化することも考えられ、その場合は形状偏差が最も大きい部分のクーラント滞留量調整装置のノズル(図8の場合だと202−k)からクーラントを噴射させるようにすればよい。
このような方法を用いることにより、圧延機の作業ロール近傍に機械的設置スペースが無い場合であっても、空間に余裕のある圧延機入側部にクーラント滞留量調整装置を設置すればよく、クーラントによる形状制御が適用可能となる。
実施例1においては、圧延機入側にクーラントを噴射するクーラント滞留長さ調整装置を用いたが、被圧延材上に滞留するクーラントに対してエアーを噴射し、クーラント滞留量を調整することでも、クーラントによる形状制御が実現できる。
この場合の、クーラント滞留量形状制御の動作概要を図10に示す。この場合、クーラント滞留量調整装置202からは、エアー供給装置54より供給されるエアーを噴射する。エアー流量調整装置205は、エアー供給装置54よりエアー配管55を通じて供給されるエアーを、板幅方向で選択的にクーラント滞留量調整装置202の各ノズル202−1〜202−kに対して供給する。クーラント滞留量調整装置202のノズルから噴射されたエアーは、被圧延材上面に滞留するクーラントを押すように噴射されることにより、クーラント滞留量を調整する。図8のような形状実績、目標形状、形状偏差であった場合、クーラント滞留量調整装置202−k(k=8)に対応する部分の形状偏差が最大であることから、エアー流量調整装置205−kをONすることで、クーラント滞留量調整装置202−kのノズルからエアーを噴射する。これにより、クーラント滞留量は図10の点線のように変化し、形状偏差が最大の部分のクーラント滞留量が減少する。そのため出側板厚が増大(圧下率減少)し出側形状の伸びが抑制される。
ここでは、クーラント滞留量を小さくすることで形状偏差が小さくなるという前提(クーラント滞留量変化が摩擦係数変化となり出側板厚が変化する)であるが、前記したようにクーラント滞留量変化により熱膨張量が変化するという前提で形状制御を作成しても良い。
実施例においては、シングルスタンド圧延機を対象としたが、同様の手段はタンデム圧延機にも適用可能である。また、タンデム圧延機において通常は最終スタンドに対してセレクティブクーラント装置を設置するが、本方式を用いることで、前段スタンドにおいてもクーラントによる形状制御が利用可能となる。
また、クーラント滞留量を調整する方法は、実施例に限られず、被圧延材上面に滞留するクーラント長さを板幅方向で調整できればどのような方法を用いてもよい。
本発明は、冷間圧延機の制御に利用可能であり、実適用上の問題点は無い。
1 圧延機
2 入側TR(テンションリール)
3 出側TR(テンションリール)
17 出側板厚計
50 クーラント噴射装置
202 クーラント滞留量調整装置

Claims (7)

  1. 圧延機の所定の操作対象を制御する操作指令を出力する圧延機の制御装置において、圧延機入側または圧延機出側における被圧延材の形状に係る情報である形状情報を入力する入力部と、前記形状情報に基づいて、圧延機出側の被圧延材の形状が目標形状に近づくように、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させる操作指令量を演算する操作指令演算部と、前記操作指令を前記操作対象に出力する出力部を有することを特徴とする圧延機の制御装置。
  2. 請求項1において、前記入力部は、前記形状情報として前記圧延機出側における被圧延材の形状を入力するものであり、前記操作指令演算部は、前記形状情報に基づいて、前記圧延機出側の被圧延材の形状と目標形状との偏差が小さくなるように、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させる操作指令量を演算することを特徴とする圧延機の制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記操作対象は、潤滑冷却媒体噴射装置であり、前記操作指令演算部は、前記操作指令により、前記潤滑冷却媒体噴射装置から被圧延材上に噴射する潤滑冷却媒体を変更することで、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させること特徴とする圧延機の形状制御装置。
  4. 請求項1または2において、前記操作対象は、気体を噴射する気体噴射装置であり、前記操作指令演算部は、前記操作指令により、潤滑冷却媒体噴射装置から噴出される潤滑冷却媒体に前記気体を作用させることで、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させること特徴とする圧延機の形状制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記圧延機は複数のスタンドからなるタンデム圧延機であり、前記タンデム圧延機の前段スタンドにて形状制御を実施することを特徴とする圧延機の制御方法および装置。
  6. 請求項1において、前記圧延機は、複数のロールより構成される少なくとも1基の圧延機スタンドを含んでおり、被圧延材を供給するための巻出装置、圧延機スタンドにて圧延された被圧延材を巻き取るための巻取装置を有し、さらに、前記圧延機スタンドにおけるロール速度を制御する速度制御部、前記ロールの上下ロール間隔を制御するロールギャップ制御部を有することを特徴とする圧延機の制御装置。
  7. 圧延機入側または圧延機出側における被圧延材の形状に係る情報である形状情報を得て、前記形状情報に基づいて、圧延機出側の被圧延材の形状が目標形状に近づくように、圧延機入側の被圧延材上に滞留する潤滑冷却媒体の滞留量を板幅方向で変化させる操作指令量を演算し、前記操作指令を操作対象に出力する圧延機の制御方法。
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