JP2013046667A - トレーニングに適した靴の靴底 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、日常的に着用することによって姿勢矯正や筋肉増強のトレーニングとなり得る靴の靴底を提供することである。
【解決手段】踏まず領域11aは非着用状態において接地せず、かつ、着用者の荷重がミッドソール2の上面に加わることにより、内側および外側踏まず部21,31、22,32が接地しない状態を維持しながら、帯状部4,2bが下方に下がって突部40が接地することを特徴とする靴底。
【選択図】図6

Description

本発明は、日常的に着用することによって姿勢矯正や筋力増強のトレーニングとなり得る靴の靴底に関する。
足裏の荷重の中心が一定の圧力中心に沿った状態で歩行することにより、美しい歩行姿勢が得られる。しかし、現代人、特に女性や高齢者は筋力が弱く、そのため、圧力中心が歩行中に足の内外に動揺し易い。
トレーニング用に接地面が突出した履物の改良については、本出願人による下記の特許文献1が存在する。また、靴底の前足部の少なくとも一部を10mm以上の厚さに設定すると共に、前足部の少なくとも一部を踵部以上に底高にした筋力アップ用の靴底も公知である。(特許文献2)
PCT/JP2009/2329(要約) 特許第3302612号(要約)
しかし近年、安定性をより一層維持しながらトレーニングすることが可能な履物、筋活動量を効果的に増加させることが可能な履物等が望まれている。また、特許文献2に記載の靴底はトレーニングには適しているものの、たとえば、靴底の前足部が厚くなりすぎたりして、見栄えがスマートでないという課題があるため、見栄えを損なうことなくシェイプアップの効果を奏する履物が望まれている。
本発明の目的は、前記トレーニングの靴底に改良を加え、安定した歩行姿勢の維持することができ、および/または、靴の見栄えが損なわれることなくシェイプアップの効果を奏することができる靴底を提供することである。
着地時に接地する接地面を有するアウトソールと、前記アウトソールの上に配置され着地の衝撃を緩和するミッドソールとを備えた靴底において、足のアーチを含む踏まず領域において足の内側を支える内側踏まず部と、前記踏まず領域において足の外側を支える外側踏まず部と、前記内側踏まず部と外側踏まず部との間において前後方向に長い帯状の帯状部とを備え、前記帯状部における前記アウトソールの部位は下方に向かって突出し前記アウトソールの一部を形成する突部を有し、前記突部は前後方向に連続的ないし断続的に延びており、前記突部の接地面は前記内側踏まず部および外側踏まず部の底面よりも下方に突出しており、ここにおいて、前記踏まず領域は非着用状態において接地せず、かつ、着用者の荷重が前記ミッドソールの上面に加わることにより、前記内側および外側踏まず部が接地しない状態を維持しながら、前記帯状部が下方に下がって前記突部が接地することを特徴とする靴底。
本発明によれば、以下に記述する(i)〜(iii)の効果を期待できるだろう。
効果(i):
本発明の靴底を有する靴を着用者が着用して歩行すると、踏まず領域において中央の突部が接地し、かつ、内側および外側踏まず部が接地しない。そのため、着用者は帯状部の存在を接地時の反力により足裏に感じることができ、当該帯状部の上に圧力中心が位置するように歩こうとすることで、安定した歩行姿勢の維持や、更に筋活動量の増加が期待できる。
効果(ii):
特に、本発明の靴底においては、踏まず領域の突部は非着用時に接地せず、かつ、歩行の荷重により接地する。つまり、踏まず領域のミッドソールの上面はラスト(靴の製作時に靴内に挿入される足型)により設計されたレベルよりも下方に下がることになるので、坂道を上がる際と近似した状態に足や足首が変形する。その結果、靴底の前足部を然程厚くしなくても坂道を上がる際と同様な負荷が脚等の筋肉に加わって、靴の見栄えが損なわれることなくシェイプアップの効果が期待できる。
効果(iii):
なお、踏まず領域の突部は歩行時の荷重により接地する。したがって、着用中に突部による歩行の安定性が阻害されにくいかもしれない。
本発明において、突部は、前後方向に分断されることなく連続的に形成されていてもよいし、あるいは、前後方向に分断されて断続的に形成されていてもよい。
また、「前後方向に延びており」とは、帯状部が足の長軸に沿って前方に延びる場合の他、帯状部が踏まず部の外縁または内縁に沿って斜め前方などに延びる場合を含むことを意味する。
「帯状」とは、帯状部の足幅方向の幅よりも帯状部の前後方向の長さが大きいことを意味する。
ミッドソールは主として樹脂の発泡体で形成されるが、前記発泡体以外にゴム弾性を持つ軟質樹脂が後足や内側および外側に配置されていてもよい。一方、アウトソールはゴムの発泡体または非発泡体やウレタン樹脂で形成するのが好ましい。
図1は本発明の一実施例にかかる靴底を斜め後方から見た状態で示す概略斜視図である。 図2Aは図2BのIIA-IIA 線で断面した非着用状態の靴底の縦断面図、図2Bはミッドソールの概略平面図である。 図3は靴底と足の骨格との関係を示す概略底面図である。 図4は靴底を示す概略底面図である。 図5A〜図5Fはそれぞれ図4のVA〜VFにおける非着用状態の靴の横断面図である。 図6Aおよび図6Bは変形前および変形後の靴底を示す概略縦断面図である。
本発明の好的な実施例では、前記非着用状態において前記突部の接地面と仮想の平らな路面との間には足の内側から外側に向かって貫通する空隙が形成されるように、前記非着用状態における前記突部の底面の縦断面の包絡線が上方に向かって凸の円弧状の曲線を形成している。
この場合、円弧状の曲線に沿った形状を持つアーチ状の突部の底面は着用者の荷重により変形し、路面に前記踏まず領域の全長にわたって接地し易い。
なお、円弧状の曲線には、円の一部である円弧の他に放物線、楕円、双曲線などの一部が含まれ、更に、突部およびミッドソールを梁に見立てた単純梁や両端固定の不定静梁の撓み曲線や、これらの曲線に近似した曲線が含まれる。
本発明の更に好的な実施例では、前記靴底は前記踏まず領域よりも前方の踏付領域と前記踏まず領域よりも後方の踵領域とを包含し、前記突部は、少なくとも、前記踵領域の前端から前記踏付領域の後端まで、前記足の内側および外側の間の中央部において足の前後方向に延び、前記非着用状態において前記突部は、前記踵領域の前記前端よりも後方の第1接地部において前記路面に接地し、かつ、前記踏付領域の前記後端よりも前方の第2接地部において前記路面に接地し、前記第1接地部と第2接地部との間において前記突部の包絡線が前記円弧状の曲線を形成している。
この場合、2つの前後の接地部の間において形成された円弧状の曲線は、ミッドソールを介してアウトソールが下方に低下することにより、踏まず領域において突部の接地面が前後方向の全長にわたって接地し、これを足裏に感じることができる。
本発明の更に好的な実施例では、前記第1接地部が前記踵領域の中心から前記踵領域の前記前端までの位置に配置され、前記第2接地部が前記踏付領域における第2趾のMP関節から前記踏付領域の前記後端までの位置に配置されている。
この場合、着地時に踵の後端から前端に向かって接地する際に第1接地部が踵領域の中心またはその前方に配置されているから、ファーストストライクないしヒールコンタクトの際に接地状態が安定し易いかもしれない。
踵領域および踏付領域の双方が接地するフットフラットにおいては、まず、第1および第2接地部が接地する。フットフラットにおいて、足裏の荷重がミッドソールの上面に加わると、ミッドソールと共に踏まず領域の帯状部が変形して突部が下方に下って接地し、踏まず領域に帯状部を感じる。
前記フットフラットから足が蹴り出し始める直前のミッドスタンスに至るまでに、前記帯状部が下方に下がることで前記第2接地部のミッドソールの上面が踏まず領域のミッドソール上面に対し高いレベルとなり、着用者の脚の筋肉には坂道を上がるような負荷が加わる。その結果、靴底の前足部を然程底高にしなくても、シェイプアップ効果が高まる。
本発明の更に好的な実施例では、前記非着用状態において、前記踵領域のアウトソールの底面は前記第1接地部が前記踵領域の内側踵部および外側踵部に比べ下方に突出しており、かつ、前記踵領域のミッドソールの上面に前記着用者の荷重が加わった際に前記第1接地部が接地すると、前記踵領域の帯状部が圧縮されて、前記内側踵部および外側踵部の双方が接地する。
この場合、接地状態が更に安定し、坂道効果が増大するかもしれない。
本発明の更に好的な実施例では、前記非着用状態、ならびに、前記踏付領域および踵領域のミッドソールの上面に前記着用者の荷重が加わるフットフラットの状態の双方において、前記踏付領域のアウトソールの底面は前記第2接地部が前記内側踏付部および外側踏付部に比べ下方に突出している。
この場合、前記突部を足裏に感じる事ができるだけでなく、前記坂道効果が大きくなるだろう。
本発明の更に好的な実施例では、前記踏付領域における第2趾のMP関節に相当する部位の前記アウトソールの厚さが、当該部位の前方および後方のアウトソールの厚さに比べ大きい。
この場合、ミッドソールよりもヤング率の大きい、つまり、圧縮されにくいアウトソールの厚さが大きくなり、その分だけ前記ミッドソールの厚さを小さくすることができる。つまり、第2趾のMP関節において、ミッドソールの上面からアウトソールの底面までのトータル的なソールの圧縮剛性が大きく、そのため、歩行時に前記部位においてソールの底高が維持され坂道効果によるシェイプアップの効果を期待できる。特に、歩行時に着用者の体重が帯状部に加わることで、踏まず部が下に沈むから坂道を上がるのと同様な負荷が脚の筋肉に加わる。そのため、シェイプアップ効果が高まる。
本発明の更に好的な実施例では、前記踏付領域において、前記第2趾のMP関節を覆うアウトソールの厚さが大きいMP部が前記中央部から足の内側および外側に延びている。
この場合、厚さの大きいMP部がMP関節を覆い足の内外に延びていることで、MP関節の屈曲時の負荷が大きくなり、坂道効果が増大する。
本発明の更に好的な実施例では、前記踏付領域において、前記MP部の真上のミッドソールの部位にはミッドソールの上面にミッドソールよりもヤング率の大きい硬質プレートが付着されている。
この場合、前記屈曲時の負荷が更に大きくなるだろう。
本発明の更に好的な実施例では、前記踏付領域における内側および外側の前端部に設けられた前記アウトソールの硬度よりも前記突部を形成するアウトソールの硬度の方が大きい。
この場合、突部は硬く、そのため、足裏に帯状部の存在あるいは帯状部からの反力を着用者は感じ易いだろう。それ故、着用者は帯状部を意識して歩行し、その結果、所期の美しい歩行姿勢を維持することができるなど、前記効果(i)が得られ易いだろう。
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。以下の説明では、左足用の靴底1が例示して説明される。
図1に示すように、靴底1は、アウトソール3およびミッドソール2を備えている。なお、図1においてはアウトソール3の接地面に形成された微細な溝(いわゆる意匠)は、省略されている。
アウトソール3は図6Aおよび図6Bの路面Rと接する接地面を有している。
ミッドソール2は、図2Aに示すように、アウトソール3の上に配置され、着地の衝撃を緩和するものである。そのため、ミッドソール2はアウトソール3よりも厚く形成されている。
図1において、ミッドソール2の底面には、網点で示す複数個のパーツに分離されたアウトソール3が設けられている。アウトソール3およびミッドソール2の内外の中央には、図1の帯状部4および図2Bの帯状部2bがそれぞれ設けられている。
踏付領域12a;
図3において、前足部は踏付領域12aを含む。踏付領域12aは、中足趾節間関節MPを含み、詳しくは第1趾〜第4趾の第1中足骨B41 〜第4中足骨B44 の骨頭と、第1趾〜第4趾の第1基節骨B31 〜第4基節骨B34 とを含む。
図4に示す踏付領域12aには、前記ミッドソール2およびアウトソール3の内側踏付部23,33、外側踏付部24,34および帯状部2b,4の一部が設けられている。
内側踏付部23,33は踏付領域12aにおいて足の内側(IN)を支える部分である。外側踏付部24,34は踏付領域12aにおいて足の外側(OUT)を支える部分である。
図2Bおよび図4に示す踏まず領域11aにおいて、前記ミッドソール2およびアウトソール3には、内側踏まず部21,31、外側踏まず部22,32および帯状踏まず部2b1,401が形成されている。
内側踏まず部21,31は踏まず領域11aにおいて足の内側(IN)を覆う部分である。外側踏まず部22,32は踏まず領域11aにおいて足の外側(OUT)を覆う部分である。
帯状踏まず部2b1,401は、それぞれ前記帯状部2b,4の一部を構成している。帯状踏まず部2b1,401は、内側踏まず部31(21)と外側踏まず部32(22)との間において前後に長い帯状の部分である。
したがって、帯状部4の一部を構成する帯状踏まず部401,2b1の幅方向Wの両サイドには、内側踏まず部31,21および外側踏まず部32,22が形成されている。
すなわち、帯状部2b,4は、内側踏付部23,33と外側踏付部24,34との間、ならびに、内側踏まず部21,31と外側踏まず部22,32との間に設けられており、図2のミッドソール2の帯状部2bは連続的に連なっている。
図2Bおよび図3において、ミッドソール2はたとえばEVAなどの樹脂の発泡体で形成されている。
図2Bのミッドソール2における帯状部2bの硬度は、前記帯状部2b以外の部分2aの硬度よりも大きい。なお、帯状部2bには網点が付されて図示されている。
たとえば、ミッドソール2の前記部分2aの発泡体の硬度は、C硬度で53度程度に設定されており、一方、帯状部2bの硬度は、C硬度で75度に設定されている。ここで、C硬度とは、JIS K 7312に規定される硬度をいう。
なお、ミッドソール2の踵領域13aには他の部位に比べ硬度の小さい図2AのEVAのパーツ200やゲル201を配置してもよい。
図1の網点で示すように、アウトソール3は互いに分離された複数個のパーツからなり、前記ミッドソール2の後足部および前足部の底面に島状に配置されている。
帯状部4の両サイドのミッドソール2の底面には、各々、非発泡の樹脂パーツからなる内側および外側強化プレート39が配置されている。各強化プレート39はミッドソール2のEVAよりもヤング率が大きく、ミッドソール2の裏面に固着されている。
前記踏付領域12aにおける第2趾のMP関節に相当する部位の前記アウトソール3の硬度よりも前記突部40を形成するアウトソール3の硬度の方が大きくてもよいが、両者は同じであってもよい。また、アウトソールの帯状部4の硬度はアウトソールの他の部位に比べ硬度が大きくてもよいし、同じであってもよい。たとえば、前記踏付領域12aにおける内側および外側の前端部38に設けられた前記アウトソール3の硬度よりも前記突部40を形成するアウトソール3の硬度の方が大きくてもよい。
なお、硬度の相違に応じてアウトソール3の各パーツについては、互いに異なる網点の大きさおよび密度で示されている。
図2Aに示すように、前記踏付領域12aにおける第2趾のMP関節に相当する部位の前記アウトソール3の厚さは、当該部位の前方および後方のアウトソール3の厚さに比べ大きいことが好ましい。図1の前記踏付領域12aにおいて、前記第2趾のMP関節を覆うアウトソール3の厚さが大きいMP部は前記中央部から足の内側および外側に延びている。また、図2Aにおいて、前記踏付領域12aにおける第2趾のMP関節に相当する部位の前記アウトソール3の厚さを当該部位の前方および後方のアウトソール3の厚さと同じにして、当該部位の前記ミッドソール2の厚さ、硬度等を当該部位の前方および後方のミッドソール2のものに比べて適宜大きくしても、アウトソール3の厚さを変えた場合と同様の効果を奏する。
図2Bの前記踏付領域12aにおいて、前記MP部の真上のミッドソール2の部位にはミッドソール2の上面にミッドソール2よりもヤング率の大きい硬質プレート2pが付着されている。なお、前記硬質プレート2pの前方および後方のミッドソール2の部位には窪み2cを形成してもよい。
帯状部4;
図2Aに示すように、アウトソール3の帯状部4は、ミッドソール2の帯状部2bに概ね対応する位置に設けられ、かつ、ミッドソール2の帯状部2bを覆うように重なって設けられている。アウトソール3の帯状部4は、ミッドソール2の帯状部2bよりも後方の第1接地部41まで延設されている。
図4に示すように、アウトソール3の帯状部4は、足の前後方向Xに長い帯状に連続的に設けられている。帯状部4の幅は図2Bの帯状部2bと概ね同じ幅に設定されている。
図1の前記内側踏まず部31と外側踏まず部32との間には、アウトソール3の帯状部4の一部を構成する前記帯状踏まず部41が連続的に形成されている。
突部40;
図1に示すように、アウトソールの帯状部4のパーツはたとえば1個の突部40で形成されている。突部40は前後方向Xに長い帯状で、かつ、突部40は帯状部4の延びる方向に沿って連続的に配置されている。
図5A〜図5Eに示すように、突部40の接地面は、その両側の接地面を構成する内側踏まず部31、外側踏まず部32、内側踏付部33および外側踏付部34の接地面よりも、下方Z1に突出している。
このように、前記突部40は帯状で、両側の部分31〜34よりも突部40が接地し易い。それ故、着用者は着地から離地するまでの間に帯状部4に対応する部位を足裏に感じることができるだろう。
なお、「突部40が下方Z1に突出している」とは、平坦な路面に靴底の裏面を対面させた場合に、帯状部4において接地し、当該帯状部4の両側の部位が接地しない状態になり得ることを意味する。
また、突部40には微細な溝(意匠)が設けられており、この溝の部分は両側の部位の接地面に対して突出していなくてもよい。
縦溝2d,3d:
図1、図4および図5A〜図5Eに示すように、帯状部2b,4と、その両側の靴底の部分との間には、縦溝2d,3dが設けられている。前記ミッドソール2の縦溝2dはミッドソール2の下面から上方に向って窪んだ溝で形成され、一方、前記アウトソール3の縦溝3dはアウトソール3の帯状部4とその両側の部分31,32とを分離している。
すなわち、図4に示すように、前記縦溝2d,3dは、帯状部4とその両サイドの内側踏まず部21,31、外側踏まず部22,32、内側踏付部23,33、外側踏付部24,34および前端部35との連続性が低下するように形成されている。
図1に明示するように、前記ミッドソール2およびアウトソール3には多数の横溝2g,3gが形成されている。これらの横溝2g,3gは靴底の屈曲を容易にする。
つぎに、本発明の要部について説明する。
図6Aに示すように、前記踏まず領域11aは非着用状態において接地せず、前記非着用状態において前記突部40の接地面と仮想の平らな路面Rとの間には足の内側から外側に向かって貫通する空隙Sが形成されるように、前記非着用状態における前記突部40の底面の縦断面の包絡線L40が上方に向かって凸の円弧状の曲線を形成する。
なお、本発明において、前記非着用状態において前記突部40の接地面と仮想の平らな路面Rとの間に空隙Sが形成されていればよく、前記非着用状態における前記突部40の底面の縦断面の包絡線が上方に向かって凸の円弧状の曲線を形成する構成(図6Aに示す構成)には限定されない。すなわち、空隙Sの形状は特に限定されず、適宜設計できる。たとえば、突部40に凸状部が設けられていても、突部40が複数の円弧状からなっていても、着用者の荷重が前記ミッドソール2の上面に加わることにより前記内側および外側踏まず部21,31、22,32が接地しない状態を維持しながら前記帯状部4,2bが下方に下がって前記突部40が接地するような構成であればよい。
より詳しく述べると、図1の前記突部40は、少なくとも、前記踵領域13aの前端から前記踏付領域12aの後端まで、前記足の内側および外側の間の中央部において足の前後方向Xに延びている。図6Aの前記非着用状態において前記突部40は、前記踵領域13aの前記前端よりも後方の第1接地部41において前記路面Rに接地し、かつ、前記踏付領域12aの前記後端よりも前方の第2接地部42において前記路面Rに接地し、前記第1接地部41と第2接地部42との間において前記突部40の包絡線が前記円弧状の曲線を形成している。なお、本発明において、包絡線は円弧状の曲線に限定されず、荷重が加えられることによって帯状部4,2bが下方に下がって突部40が接地するような曲線であればよい。たとえば、微小な凹凸を有する円弧状の曲線も包絡線に含まれる。
一方、着用者の荷重が前記ミッドソール2の上面に加わることにより、図5Dの前記内側および外側踏まず部21,31、22,32が接地しない状態を維持しながら、図6Bのように前記帯状部4,2bが下方に向かって撓むことで下方に下がって前記突部40が直線状になって路面Rに接地する。
前記第1接地部41は前記踵領域13aの中心よりも前方で、かつ、前記踵領域13aの前記前端との間に配置されている。一方、前記第2接地部42は前記踏付領域12aにおける図3の第2趾のMP関節よりも後方で前記踏付領域12aの前記後端との間に配置されている。
図5Eの前記非着用状態において、前記踵領域13aのアウトソール3の底面は前記第1接地部41が前記踵領域13aの内側踵部35および外側踵部36に比べ下方に突出している。一方、前記踵領域13aのミッドソール2の上面に前記着用者の荷重が加わった際に前記第1接地部41が接地すると、前記第1接地部41の真上のミッドソール2は柔軟で前記踵領域13aのソールが圧縮されて、前記内側踵部35および外側踵部36の双方が接地する。
図5Bの前記非着用状態、ならびに、前記踏付領域12aおよび踵領域13aのミッドソール2の上面に前記着用者の荷重が加わるフットフラットの状態の双方において、前記踏付領域12aのアウトソール3の底面は前記第2接地部42がこれの内外の内側踏付部33および外側踏付部34に比べ下方に突出している。
なお、前記踏付領域12aは内側から外側まで概ね同じ高さであってもよい。
本発明は、歩行姿勢の矯正や筋力の増強のトレーニング用の靴に適用できる。
1:靴底
2:ミッドソール
2b1:帯状踏まず部
2d,3d:縦溝
3:アウトソール
4,2b:帯状部
11a:踏まず領域
12a:踏付領域
13a:踵領域
21,31:内側踏まず部
22,32:外側踏まず部
23,33:内側踏付部
24,34:外側踏付部
35:内側踵部
36:外側踵部
40:突部
41:第1接地部
42:第2接地部
IN:内側
MP:中足趾節間(MP)関節
R:路面
S:空隙
X:前後方向

Claims (10)

  1. 着地時に接地する接地面を有するアウトソール3と、前記アウトソール3の上に配置され着地の衝撃を緩和するミッドソール2とを備えた靴底1において、
    足のアーチを含む踏まず領域11aにおいて足の内側を支える内側踏まず部21,31と、
    前記踏まず領域11aにおいて足の外側を支える外側踏まず部22,32と、
    前記内側踏まず部21,31と外側踏まず部22,32との間において前後方向に長い帯状の帯状部4,2bとを備え、
    前記帯状部4,2bにおける前記アウトソール3の部位は下方に向かって突出し前記アウトソール3の一部を形成する突部40を有し、
    前記突部40は前後方向に連続的ないし断続的に延びており、
    前記突部40の接地面は前記内側踏まず部21,31および外側踏まず部22,32の底面よりも下方に突出しており、
    ここにおいて、前記踏まず領域11aは非着用状態において接地せず、かつ、着用者の荷重が前記ミッドソール2の上面に加わることにより、前記内側および外側踏まず部21,31、22,32が接地しない状態を維持しながら、前記帯状部4,2bが下方に下がって前記突部40が接地することを特徴とする靴底。
  2. 請求項1の靴底において、
    前記非着用状態において前記突部40の接地面と仮想の平らな路面Rとの間には足の内側から外側に向かって貫通する空隙Sが形成されるように、前記非着用状態における前記突部40の底面の縦断面の包絡線が上方に向かって凸の円弧状の曲線を形成している靴底。
  3. 請求項1または2の靴底において、
    前記靴底1は前記踏まず領域11aよりも前方の踏付領域12aと前記踏まず領域11aよりも後方の踵領域13aとを包含し、
    前記突部40は、少なくとも、前記踵領域13aの前端から前記踏付領域12aの後端まで、前記足の内側および外側の間の中央部において足の前後方向Xに延び、
    前記非着用状態において前記突部40は、前記踵領域13aの前記前端よりも後方の第1接地部41において前記路面に接地し、かつ、前記踏付領域12aの前記後端よりも前方の第2接地部42において前記路面に接地し、前記第1接地部41と第2接地部42との間において前記突部40の包絡線が前記円弧状の曲線を形成している靴底。
  4. 請求項3の靴底において、
    前記第1接地部41が前記踵領域13aの中心から前記踵領域13aの前記前端までの位置に配置され、
    前記第2接地部42が前記踏付領域12aにおける第2趾のMP関節から前記踏付領域12aの前記後端までの位置に配置されている靴底。
  5. 請求項3または4の靴底において、
    前記非着用状態において、前記踵領域13aのアウトソール3の底面は前記第1接地部41が前記踵領域13aの内側踵部35および外側踵部36に比べ下方に突出しており、かつ、前記踵領域13aのミッドソール2の上面に前記着用者の荷重が加わった際に前記第1接地部41が接地すると、前記踵領域13aの帯状部4,2bが圧縮されて、前記内側踵部35および外側踵部36の双方が接地する靴底。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項の靴底において、
    前記非着用状態、ならびに、前記踏付領域12aおよび踵領域13aのミッドソール2の上面に前記着用者の荷重が加わるフットフラットの状態の双方において、前記踏付領域12aのアウトソール3の底面は前記第2接地部42が内側踏付部33および外側踏付部34に比べ下方に突出している靴底。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項の靴底において、
    前記踏付領域12aにおける第2趾のMP関節に相当する部位の前記アウトソール3の厚さが、当該部位の前方および後方のアウトソール3の厚さに比べ大きい靴底。
  8. 請求項7の靴底において、
    前記踏付領域12aにおいて、前記第2趾のMP関節を覆うアウトソール3の厚さが大きいMP部が前記中央部から足の内側および外側に延びている靴底。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項の靴底において、
    前記踏付領域12aにおいて、前記MP部の真上のミッドソール2の部位にはミッドソール2の上面にミッドソール2よりもヤング率の大きい硬質プレートが付着されている靴底。
  10. 請求項3〜9のいずれか1項の靴底において、
    前記踏付領域12aにおける内側および外側の前端部38に設けられた前記アウトソール3の硬度よりも前記突部40を形成するアウトソール3の硬度の方が大きい靴底。
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