JP2013045088A - カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子 - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを、残渣の発生を抑制しながら作製できるカラーフィルタ用着色組成物を製造できるカラーフィルタ用着色組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて色素多量体を作製する色素多量体作製工程と、少なくとも、前記色素多量体と、重合性化合物と、溶剤と、を混合する混合工程と、を有するカラーフィルタ用着色組成物の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子に関する。
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、CCDイメージセンサーなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。これらのディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されており、更なる高感度化・小型化の要求が高まっている。このようなカラーフィルタは、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。
カラーフィルタに使用されている着色剤には、共通して以下のような性質を有していることが求められる。即ち、色再現性上好ましい光吸収特性を有すること、光散乱や色ムラ・ザラツキ感の原因となる光学濃度の不均一性といった光学的な乱れがないこと、製造及び使用される環境条件下における堅牢性、例えば、耐熱性、耐光性等が良好であること、モル吸光係数が大きく薄膜化が可能なこと等が必要とされている。
上記カラーフィルタを作製する方法の一つに顔料分散法を挙げることができる。顔料分散法で、フォトリソ法やインクジェット法によってカラーフィルタを作製する方法は、顔料を使用しているために光や熱に対して安定である。しかし、顔料自身が微粒子であるため、光散乱や色ムラ・ザラツキといった問題がしばしば生じる。それらを解決する為に顔料微細化が行われているが、分散安定性との両立が困難であるという課題がある。
顔料分散法に変わるカラーフィルタの作製方法として、色材として染料を用いる方法が挙げられる。
染料を用いたカラーフィルタとしては、アントラキノン染料やトリフェニルメタン染料を含むカラーフィルタが開示されており、該カラーフィルタは、染料の昇華が防止され、分光特性、耐熱性、耐光性等の諸性能に優れるとされている(例えば、特許文献1参照)。
また、末端二重結合を有する特定の色素単量体を含む着色組成物及びカラーフィルタが開示されており、該着色組成物及びカラーフィルタは、耐光性、耐熱性、および透明性に優れるとされている(例えば、特許文献2参照)。
また、重合性基と、アゾ色素及びジピロメテン色素から選択される色素に由来する基と
を含む色素多量体、並びに重合性化合物を含有する着色硬化性組成物及びカラーフィルタが開示されており、該着色硬化性組成物及びカラーフィルタは、耐光性及び耐熱性に優れるとされている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−162429号公報 特開2004−292508号公報 特開2011−95732号公報
しかしながら、色素多量体を含む着色組成物を用いて支持体上に着色パターンを形成すると、着色パターンの形成領域外(支持体上や、既に形成されている他の色の着色パターン上)において、該着色組成物由来の残渣が発生する場合がある。更に、形成された着色パターンに色ムラ(「ザラ」とも呼ばれている)が生じる場合や、形成された着色パターンのパターンエッジ形状が悪化する場合がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを、残渣の発生を抑制しながら作製できるカラーフィルタ用着色組成物、及び該カラーフィルタ用着色組成物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを有し、残渣が低減されたカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、色素多量体の作製に用いる重合溶液において、色素の凝集物を極めて少ない量とすること、具体的には、前記重合溶液の濁度を30ppm以下とすることにより、該重合溶液を用いて得られた色素多量体を含む着色組成物に、残渣低減、色ムラ抑制、及びパターンエッジ形状良化の各性能が付与される、との知見を得た。ここで、30ppmという濁度は、重合溶液の濁りを目視で判別できる濁度の下限(50ppm程度)に対し、顕著に低い濁度である。
本発明は上記の知見に基づき完成された。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて色素多量体を作製する色素多量体作製工程と、少なくとも、前記色素多量体と、重合性化合物と、溶剤と、を混合する混合工程と、を有するカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<2> 前記重合溶液中における前記色素の含有量が、20質量%〜40質量%である<1>に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<3> 前記色素が、ジピロメテン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、及びサブフタロシアニン色素からなる群から選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<4> 前記色素がエチレン性不飽和結合を有する色素であり、前記色素多量体が前記色素のラジカル重合体である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<5> 前記色素多量体作製工程は、アルカリ可溶性基を有する色素多量体を作製する<1>〜<4>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<6> 前記混合工程は、更に、重合開始剤を混合する<1>〜<5>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<7> 前記混合工程は、更に、アルカリ可溶性樹脂を混合する<1>〜<6>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<8> 前記混合工程は、更に、顔料を混合する<1>〜<7>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<9> 前記濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液は、色素を含む重合溶液をフィルターろ過して作製された重合溶液である<1>〜<8>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
<10> <1>〜<9>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法によって作製されたカラーフィルタ用着色組成物。
<11> 支持体上に、<10>に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
<12> <10>のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物を支持体上に付与し、マスクを介して露光し、現像して着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法。
<13> <11>に記載のカラーフィルタ又は<12>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
本発明によれば、色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを、残渣の発生を抑制しながら作製できるカラーフィルタ用着色組成物、及び該カラーフィルタ用着色組成物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを有し、残渣が低減されたカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することができる。
以下に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書においては「アルキル基」は「直鎖、分岐、および環状」のアルキル基を示す。また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明において「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
≪カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法≫
本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法(以下、「着色組成物の製造方法」ともいう)は、濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて色素多量体を作製する色素多量体作製工程と、少なくとも、前記色素多量体、重合性化合物、及び溶剤を混合する混合工程と、を有する。本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、「着色組成物」ともいう)は、本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により作製されたものである。即ち、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて作製された色素多量体と、重合性化合物と、溶剤と、を含有する。
カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法を上記本発明の構成とすることにより、着色パターンを形成する際、着色パターン形成領域外における残渣の発生を抑制できる。更に、色ムラが抑制され、パターンエッジ形状に優れた着色パターンを作製できる。
前記重合溶液の濁度が30ppmを超えると、目視で濁りを認識できる場合はもちろん、目視では濁りを認識できない場合であっても、残渣、色ムラ、及びパターンエッジ形状が悪化する。この理由は明らかではないが、以下のように推定される。但し、本発明は以下の理由によって限定されることはない。
即ち、前記重合溶液の濁度が30ppmを超える程度に、該重合溶液中に色素の凝集物が存在すると、作製される色素多量体中に、色素の凝集物(色素ブロック)が混入する。その結果、該色素多量体を用いた着色組成物にも色素の凝集物が混入してしまい、ひいては、残渣、色ムラ、及びパターンエッジ形状の各性能が悪化すると考えられる。
本発明における濁度は、JIS K0101(「工業用水試験方法」)に準じ、標準物質としてホルマジンを用い、積分球測定方式によって測定された濁度を指す。
本発明の効果をより効果的に奏する観点からは、前記濁度は、20ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、5ppm以下が特に好ましい。
本発明において、重合溶液の濁度を30ppm以下とする方法については特に限定はないが、重合溶液における溶剤として色素の溶解度が高い溶剤を選択して用いる方法や、フィルターろ過により濁度が30ppm以下となるように調整する方法が挙げられる。
前記「重合溶液における溶剤として色素の溶解度が高い溶剤を選択して用いる方法」によれば、色素の凝集物が生じにくいことにより、例えば、フィルターろ過を行わなくても重合溶液の濁度を30ppm以下に調整できる場合がある。もちろん、該方法においてフィルターろ過を行ってもよい。
各色素に好適な溶剤については後述する。
<フィルターろ過>
前記「フィルターろ過により濁度が30ppm以下となるように調整する方法」は、換言すれば、色素を含む重合溶液をフィルターろ過することにより、濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を作製する方法である。この方法では、重合溶液の濁度が30ppm以下となる程度に、重合溶液から色素の凝集物が除去される。
この方法は、色素に対する溶剤の選択の幅が広いという利点を有する。
フィルターろ過に用いるフィルターとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルターであれば特に限定されることなく用いることができる。
前記フィルターの材質の例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む);等が挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましい。
前記フィルターの孔径には特に限定はないが、例えば0.01〜20.0μm程度であり、好ましくは0.01〜5μm程度であり、さらに好ましくは0.01〜2.0μm程度である。
フィルターの孔径を上記範囲とすることにより、微細な粒子をより効果的に取り除くことができ、濁度をより低減することができる。
ここで、フィルターの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルターとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
前記フィルターろ過では、2種以上のフィルターを組み合わせて用いてもよい。
例えば、まず第1のフィルターを用いてろ過を行い、次に、第1のフィルターとは孔径が異なる第2のフィルターを用いてろ過を行うことができる。
その際、第1のフィルターでのフィルタリング及び第2のフィルターでのフィルタリングは、それぞれ、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
第2のフィルターは、上述した第1のフィルターと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
<重合溶液>
本発明における重合溶液は、既述のとおり、色素多量体の作製に用いられる重合溶液である。
本発明における色素多量体は、重合溶液1種のみを用いて作製されてもよいし、2種以上の重合溶液を用いて作製されていてもよい。2種以上の重合溶液を用いる場合には、少なくとも1種の重合溶液(好ましくは全種の重合溶液)の濁度が30ppm以下であることが必要である。
(色素)
本発明における重合溶液は、色素(以下、「色素単量体」や「色素化合物」ともいう)を少なくとも1種含む。
本発明における色素は、重合により色素多量体を形成する。
本発明における色素(色素単量体)としては特に限定はなく、重合により、例えば、後述の一般式(A)、一般式(B)、又は一般式(C)で表される構造単位を形成し得る色素や、後述の一般式(D)で表される色素多量体を形成し得る色素を好適に用いることができる。
前記色素は、エチレン性不飽和結合を有する色素であることが好ましい。これにより、該エチレン性不飽和結合によるラジカル重合により、効果的に色素多量体を形成することができる。エチレン性不飽和結合を有する色素をラジカル重合させることにより、例えば、後述の一般式(A)で表される構造単位を容易に形成することができる。
前記色素としては特に限定はないが、例えば、アゾ色素、アゾメチン色素(インドアニリン色素、インドフェノール色素など)、ジピロメテン色素、キノン色素(ベンゾキノン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、アントラピリドン色素など)、カルボニウム色素(ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アクリジン色素など)、キノンイミン色素(オキサジン色素、チアジン色素など)、アジン色素、ポリメチン色素(オキソノール色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、スチリル色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素など)、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、ペリノン色素、インジゴ色素、チオインジゴ色素、キノリン色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、及びそれらの金属錯体色素が挙げられる。
中でも、ジピロメテン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、及びサブフタロシアニン色素からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
色素については、「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている色素を、本発明においても好適に用いることができる。
色素の好ましい形態については、後述の<色素多量体>の項で詳しく説明する。
前記「濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液」中における前記色素の含有量には特に限定はないが、該重合溶液の全量に対し、20質量%〜40質量%であることが好ましい。
色素の含有量が上記範囲であると、下記(a)及び(b)の効果が得られる。
(a)前記色素の含有量が20質量%以上であることにより、反応後の色素単量体の残存量をより減らすことができる。また、反応後の色素単量体の残存量が減ることにより、色素多量体の収量が上がる。また、より短時間の反応で、分子量の大きい色素多量体を合成することが可能となる。
(b)前記色素の含有量が40質量%以下であることにより、より均一な色素多量体を得ることができ、かつ、色素多量体の分子量の分布をより小さくすることができる。また、前記色素の含有量が40質量%以下であることにより、2成分以上ある場合における共重合性をより向上させることができる。また、前記色素の含有量が40質量%以下であることにより、反応溶液の粘度をより低く維持することができ、攪拌がより容易となり、製造適性がより向上する。
色素の含有量が上記範囲であると、上記(a)及び(b)の効果を保持しながら、かつ、残渣低減、色ムラ抑制、及びパターンエッジ形状良化の各効果が奏される。
前述のとおり、本発明における色素としては、エチレン性不飽和結合を有する色素が好ましい。
前記エチレン性不飽和結合を有する色素としては、下記一般式(1)で表される色素化合物が好ましい。

一般式(1)中、R21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
一般式(1)中、Qは、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基、又は下記一般式(4)で表される基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(1)中、Qは、2価の連結基を表す。n1及びn2は各々独立に0又は1を表す。DyeVIは、色素構造を表す。

一般式(2)〜(4)中、R22は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。複数あるR23は各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。kは0〜4の整数を表す。kが2以上である場合は、R23は同じでも異なっていてもよい。*は、一般式(1)における−C(R21)=CH基と結合する位置を表し、**は、一般式(1)におけるQ又はDyeVI(n2=0の場合)と結合する位置を表す。
一般式(1)において、DyeVIで表される色素構造としては、例えば、上記で例示した色素に由来する構造を用いることができる。
前記DyeVIで表される色素構造としては、下記一般式(5)で表される色素化合物から水素原子が1つ外れた構造を用いることが好ましい。
一般式(5)中、Dyeは色素構造を表し、GはNRまたは酸素原子を表し、Gは立体パラメータである−Es’値が1.5以上の1価の置換基を表す。pは1〜8を表し、1〜6が好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜2が特に好ましい。pが2以上の時、括弧内の構造は同じでも異なっていてもよい。Rは水素原子または1価の置換基を表す。
前記一般式(5)で表される色素化合物の中でも、下記一般式(11)で表される色素化合物がより好ましい。
一般式(11)中、Dyeは色素構造を表し、Gは窒素原子または酸素原子を表し、Gは炭素原子、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を表し、R24及びR25は各々独立に炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。pは1〜8の整数を表し、pが2以上の時、括弧内の構造は同じでも異なっていてもよい。
更に、前記一般式(5)で表される色素化合物の中でも、下記一般式(6)で表される色素化合物が特に好ましい。

一般式(6)中、Dyeは色素構造を表し、Gは窒素原子または酸素原子を表し、Gは炭素原子、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を表す。pは1または2を表し、pが2の時、括弧内の構造は同じでも異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、R21は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R21がアルキル基又はアリール基の場合、無置換でも置換されていてもよい。
上記R21がアルキル基の場合、好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基が好適である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記R21がアリール基の場合、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜14、さらに好ましくは炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基が好適である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記R21が置換アルキル基及び置換アリール基の場合の置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜24、より好ましくは炭素数3〜12のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ)、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ(例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ))、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数12以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数20以下の、より好ましくは炭素数12以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド,N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜24、より好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、
アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数24以下、より好ましくは炭素数16以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)が挙げられる。
上記の置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、イミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、スルファモイル基がより好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基が特に好ましい。
上記の特に好ましい置換基の中でも、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基がより好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が更に好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、アルコキシ基が特に好ましい。
前記R21としては、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、水素原子、アルキル基が特に好ましい。
前記R21の置換アルキル基及び置換アリール基の置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、Qは、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−、前記一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基、又は一般式(4)で表される基を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
上記Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、該アルキル基、アリール基、及び、ヘテロ環基は、前記R21における置換アルキル基及び置換アリール基の置換基で説明したアルキル基、及びアリール基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。
上記Rとしてのアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、前記R21で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、前記一般式(1)におけるQとして、下記の一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基、及び一般式(4)で表される基について説明する。

一般式(2)〜(4)中、R22は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R23は、水素原子、又は置換基を表し、kは、0〜4の整数を表す。kが2以上である場合は、R23は同じでも異なっていてもよい。*は、前記一般式(1)における−C(R21)=CH基と結合する位置を表し、**は、前記一般式(1)におけるQ又はDyeVI(n2=0の場合)と結合する位置を表す。
一般式(3)〜(4)中のR22は、前記一般式(1)で説明したRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(2)〜(4)中のR23は、水素原子又は置換基を表し、R23で表される置換基としては、一般式(1)におけるR21の置換アルキル基及び置換アリール基で説明した置換基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。kは0〜4の整数を表し、kが2以上である場合は、R23は同じでもよく、異なっていてもよい。
一般式(2)〜(4)中のR23の置換基が、更に置換可能な基である場合には、一般式(1)におけるR21で説明した置換基で、置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)におけるQとしては、合成上の観点から、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−が好ましく、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−がより好ましく、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−が更に好ましい。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(1)中、m1=0の場合に、Qは、−C(R21)=CH基と、Dyeとを連結する2価の連結基を表す。
は、好ましくは、アルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基、−O−、−C(=O)−、−OC(=O)−、OC(=O)O−、−OSO−、−OC(=O)N(R50)−、−N(R50)−、−N(R50)C(=O)−、−N(R50)C(=O)O−、−N(R50)C(=O)N(R51)−、−N(R50)SO−、−N(R50)SON(R51)−、−S−、−S−S−、−SO−、−SO−、−SON(R50)−、−SOO−等が挙げられる。また、上記の2価の連結基が、複数個結合して、新たに2価の連結基を形成していてもよい。
ここでR50及びR51は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R50及びR51におけるアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、一般式(1)におけるR21の置換基で説明したアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が例として挙げられ、好ましい態様も同様である。R50及びR51のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は、一般式(1)におけるR21の置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)におけるQが、アルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、無置換でもよく置換されていてもよく、置換されている場合には、前記Rの置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
がアルキレン基、アラルキレン基、又はアリーレン基である場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基が更に好ましい。
とQとの組み合わせとしては、Qが−N(R)C(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Qが炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜18のアラルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数2〜18のアルキルチオエーテル、炭素数2〜18のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜18のアルキルアミノカルボニル基の態様が好ましい。より好ましくは、Qが−OC(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Qが炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜16のアラルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数2〜12のアルキルチオエーテル、炭素数2〜12のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜12のアルキルアミノカルボニル基の態様であり、更に好ましくは、Qが−C(=O)N(R)−、−C(=O)O−で、Qが炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアラルキレン基、炭素数2〜6のアルキルチオエーテル、炭素数2〜6のアルキルカルボンアミド基、炭素数2〜6のアルキルアミノカルボニル基の態様である。
下記に、前記一般式(1)中において−(Qn2−(Qn1−C(R21)=CHで表される重合性基の例を挙げる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。

(溶剤)
前記重合溶液は、溶剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記溶剤としては、例えば、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等;ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;アルコール類として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等;芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等;アミド類として、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等;ハロゲン系溶媒として、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等;が挙げられる。
溶剤としては、用いる色素に対する良溶媒を選択して用いることが好ましい。
例えば、前記色素としてジピロメテン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、メチルエチルケトンは、ジピロメテン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてアゾ色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、アゾ色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてアントラキノン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、トルエンは、アントラキノン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてトリフェニルメタン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、トリフェニルメタン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてキサンテン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、キサンテン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてシアニン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンは、シアニン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてスクアリリウム色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、メタノール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、スクアリリウム色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてキノフタロン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、トルエン、キシレンは、キノフタロン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてフタロシアニン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、シクロヘキサノン、N−エチルピロリドンは、フタロシアニン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
前記色素としてサブフタロシアニン色素を用いる場合、溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が好ましい。
これらの中でも、シクロヘキサノン、N−エチルピロリドンは、サブフタロシアニン色素の溶解度が特に高い点でより好ましい。
(重合開始剤ほか)
前記重合溶液は、重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、アゾ開始剤(アゾイソブチロニトリル、ジメチル2、2−アゾビスイソブチレート、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等)、過酸化物開始剤(過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキシド等)が挙げられる。
前記重合溶液は、必要に応じ、色素単量体以外のその他の重合性化合物を含有していてもよい。
その他の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記重合溶液は、必要に応じ、連鎖移動剤を含有していてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、チオール類(ドデカンチオール、チオリンゴ酸等)、ジスルフィド類(ジフェニルジスルフィド等)、四塩化炭素等が挙げられる。
<色素多量体>
本発明における色素多量体作製工程では、前記重合溶液を用い、色素単量体の少なくとも1種を作製する。
前記色素多量体としては、前記重合溶液に含まれる色素が重合して得られた色素多量体であれば特に限定はない。
前記重合によって得られた色素多量体は、その後、高分子反応により変性されてもよい。
高分子反応による変性の例としては、高分子反応による重合性基(例えば、エチレン性不飽和結合を有する基)の導入や、高分子反応によるアルカリ可溶性基の導入が挙げられる。これらの変性の詳細については後述する。
前記色素多量体は、より具体的には、その分子構造中に、最大吸収波長が400nm〜780nmの範囲に存在する色素骨格を有する部分構造と、を有する多量体であり、二量体、三量体、及びポリマーなどの構造を包含する。色素多量体は、本発明の着色組成物において、例えば着色剤として機能する。
前記色素多量体は、膜硬化性の観点から、重合性基を有することが好ましい。
また、前記色素多量体は、現像性の観点から、アルカリ可溶性基を有することが好ましい。
以下、前記色素多量体における色素に由来する部分構造、前記色素多量体の好ましい構造、前記色素多量体が有してもよい官能基(後述する置換基群A)、前記色素多量体の好ましい物性について、詳細に記述する。
ここでいう「色素に由来する部分構造」とは、後述する色素構造を形成しうる具体的な色素(以下、色素化合物とも称する。)から水素原子を除いた、色素多量体連結部(ポリマー鎖やデンドリマーのコア等)と連結可能である構造を表す。
(色素に由来する部分構造)
前記色素多量体における色素に由来する部分構造(以下、「色素構造」ともいう。)としては、特に制限はなく、公知の色素構造を含む種々のものを適用することができる。公知の色素構造としては、例えば、アゾ色素、アゾメチン色素(インドアニリン色素、インドフェノール色素など)、ジピロメテン色素、キノン色素(ベンゾキノン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、アントラピリドン色素など)、カルボニウム色素(ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アクリジン色素など)、キノンイミン色素(オキサジン色素、チアジン色素など)、アジン色素、ポリメチン色素(オキソノール色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、スチリル色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素など)、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、ペリノン色素、インジゴ色素、チオインジゴ色素、キノリン色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、及びそれらの金属錯体色素から選ばれる色素に由来する色素構造などを挙げることができる。
これらの色素構造の中でも、色特性の観点から、アゾ色素、ジピロメテン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が最も好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。

本発明における色素多量体は、前記色素構造中の水素原子が下記置換基群Aから選択された置換基により置換されていてもよい。
(置換基群A)
前記色素多量体が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。以下詳細に記述する。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖もしくは分岐のアルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
直鎖もしくは分岐のアルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、官能基中の水素原子の部分が、上記いずれかの基で置換されていてもよい。置換基として導入可能な官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
以下、色素多量体において、色素に由来する部分構造を形成しうる特に好ましい色素(色素化合物)について詳細に記述する。以下の特に好ましい色素は、前述の重合溶液中に含まれる色素の好ましい形態ともいえる。
(ジピロメテン色素)
本発明における色素多量体の態様の一つは、下記に示すジピロメテン色素に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体である
本発明におけるジピロメテン色素としては、ジピロメテン化合物、及び、ジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物が好ましい。
なお、本発明では、ジピロメテン構造を含む化合物をジピロメテン化合物と称し、ジピロメテン構造を含む化合物に金属又は金属化合物に配位した錯体をジピロメテン金属錯体化合物と称する。
ジピロメテン金属錯体化合物としては、下記一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物及びその互変異性体が好ましく、なかでも、好ましい態様として下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物、又は、下記一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物が挙げられ、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物が最も好ましい。
〜一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属又は金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物、及びその互変異性体〜
前記色素多量体における色素構造の好ましい態様の一つは、下記一般式(M)で表される化合物(ジピロメテン化合物)又はその互変異性体が、金属又は金属化合物に配位した錯体(以下、適宜「特定錯体」と称する。)を色素部位として含む色素構造である。
一般式(M)において、R〜R10は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。但し、RとRとが互いに結合して環を形成することはない。
一般式(M)で表される化合物を、後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、又は一般式(D)で表される多量体に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R〜Rのいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R、R、R及びRのいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R及びRのいずれか1つにおいて導入されることが更に好ましい。
一般式(M)におけるR〜Rが1価の置換基を表す場合の1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。
一般式(M)中のR〜Rで示される1価の置換基が、さらに置換可能な基である場合には、R〜Rで説明した置換基をさらに有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(M)中のRとR、RとR、RとR、及び、RとRは、それぞれ独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。但し、RとRとが互いに結合して環を形成することはない。形成される5員、6員、及び7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(M)中のRとR、RとR、RとR、及び、RとRが、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
一般式(M)におけるR10は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。該ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基としては、前記置換基群Aの項において説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基とそれぞれ同義であり、その好ましい範囲も同様である。
10がアルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環基を表す場合の、アルキル基、アリール基、及び、ヘテロ環基が、さらに置換可能な基である場合には、置換基群Aの項において説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
−−金属又は金属化合物−−
本発明における特定錯体は、既述の一般式(M)で表されるジピロメテン化合物又はその互変異性体が金属又は金属化合物に配位した錯体である。
ここで、金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。金属又は金属化合物としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の金属の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOが更に好ましく、Znが最も好ましい。
次に、一般式(M)で表される化合物の本発明における特定錯体のさらに好ましい範囲について説明する。
本発明における特定錯体の好ましい範囲は、一般式(M)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はV=Oである範囲である。
本発明における特定錯体のより好ましい範囲は、一般式(M)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり;R10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;金属又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はV=Oである範囲である。
本発明における特定錯体の特に好ましい範囲は、一般式(M)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基であり;R及びRが、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり;R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;R10が、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり;、金属又は金属化合物が、Zn、Cu、Co、又はV=Oである範囲である。
さらに、以下に詳述する一般式(7)又は一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物も、ジピロメテン色素の特に好ましい様態である。
〜一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物〜
前記色素多量体における色素構造の好適な態様の一つは、下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。
一般式(7)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。Xは、Maに結合可能な基を表し、Xは、Maの電荷を中和する基を表し、XとXは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。ただし、RとRとが互いに結合して環を形成することはない。
なお、一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を、後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、一般式(D)で表される多量体に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R〜Rのいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R、R、R及びRのいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R及びRのいずれか1つにおいて導入されることが更に好ましい。
前記色素多量体が、アルカリ可溶性基を有する場合において、該アルカリ可溶性基を導入する方法としては、前記一般式(7)におけるR〜R10、X、Xのいずれか1つ又は2つ以上の置換基に、アルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R〜R及びXのいずれかが好ましく、R、R、R及びRのいずれかがより好ましく、R及びRのいずれかが更に好ましい。
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
一般式(7)における中のR〜Rは、前記一般式(M)におけるR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(7)中、Maは、金属原子又は金属化合物を表す。金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。
例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等、及びAlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、V=O等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物が含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、金属原子又は金属化合物として、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、及びV=Oが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、及びV=Oが更に好ましく、Zn、Co、V=O、及びCuが特に好ましく、Znが最も好ましい。
また、一般式(7)中、R10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子である。
一般式(7)中、Xは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」([1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、[2](1996年)、[3](1997年)等)に記載の化合物が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類が好ましく、水、カルボン酸化合物がより好ましい。
一般式(7)中、Xで表される「Maの電荷を中和する基」としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、水酸基、カルボン酸基がより好ましい。
一般式(7)中、XとXは、互いに結合して、Maと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、又は/及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
一般式(7)で表される化合物の好ましい態様としては、R〜Rは各々独立に、R〜Rの説明で記載した好ましい態様であり、R10はR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はV=Oであり、Xは水、又はカルボン酸化合物であり、Xは水酸基、又はカルボン酸基であり、XとXとが互いに結合して5員又は6員環を形成していてもよい。
〜一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物〜
前記色素多量体における色素構造の好適な態様の一つは、下記の一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。

一般式(8)中、R11及びR16は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。R12〜R15は、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子又は炭素原子を表す。R11とYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、R16とYは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。XはMaと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。
なお、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を後述する一般式(A)〜一般式(C)で表される構造単位、一般式(D)で表される多量体に導入する部位は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、R11〜R17、X、Y〜Yのいずれか1つであることが好ましい。これらの中でも、合成適合性の点で、R11〜R16及びXのいずれか1つにおいて導入されることが好ましく、より好ましくは、R11、R13、R14及びR16のいずれか1つにおいて挿入される態様であり、更に好ましくは、R11及びR16のいずれか1つにおいて挿入される態様である。
色素多量体が、アルカリ可溶性基を有する場合において、該アルカリ可溶性基を導入する方法としては、アルカリ可溶性基を有する色素単量体又は構造単位を用いる場合、前記一般式(8)におけるR11〜R17、X、Y〜Yのいずれか1つ又は2つ以上の置換基にアルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R11〜R16及びXのいずれかが好ましく、R11、R13、R14及びR16のいずれかがより好ましく、R11及びR16のいずれかが更に好ましい。
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
一般式(8)において、R12〜R15は、前記一般式(M)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。R17は、前記一般式(M)中のR10と同義であり、好ましい態様も同様である。Maは、前記一般式(7)中のMaと同義であり、好ましい範囲も同様である。
より詳細には、前記一般式(8)におけるR12〜R15のうち、前記R12及びR15としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、又は、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
前記R13及びR14としては、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。ここで、より好ましいアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基の具体例は、一般式(M)の前記R及びRにおいて列記した具体例を同様に挙げることができる。
一般式(8)中、R11及びR16は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、2−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
11及びR16としては、上記の中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、がより好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基が更に好ましく、アルキル基が特に好ましい。
一般式(8)中、R11及びR16で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(8)中、X及びXは、各々独立に、NR、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。
一般式(8)中、Y及びYは、各々独立に、NR、窒素原子、又は炭素原子を表し、Rは、前記X及びXのRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(8)中、R11とYは、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
前記一般式(8)中、R16とYは、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
一般式(8)中、R11とY、及びR16とYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、置換可能な環である場合には、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(8)中、R11及びR16は、各々独立に、立体パラメータである−Es値が1.5以上の1価の置換基であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることがさらに好ましく、5.0以上であることが特に好ましい。
ここで、立体パラメータ−Es’値は、置換基の立体的嵩高さを表すパラメータであり、文献(J.A.Macphee,et al,Tetrahedron,Vol.34,pp3553〜3562、藤田稔夫編 化学増刊107 構造活性相関とドラックデザイン、1986年2月20日発行(化学同人))に示されている−Es’値を用いる。
一般式(8)中、XはMaと結合可能な基を表し、具体的には、前記一般式(7)におけるXと同様な基が挙げられ、好ましい態様も同様である。aは0、1、又は2を表す。
一般式(8)で表される化合物の好ましい態様としては、R12〜R15は、各々独立に、前記一般式(M)中のR〜Rの説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(M)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、又はV=Oであり、XはNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は酸素原子であり、XはNR(Rは水素原子、アルキル基)、又は酸素原子であり、YはNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Yは窒素原子、又は炭素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とYとが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とYとが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
一般式(8)で表される化合物の更に好ましい態様としては、R12〜R15は各々独立に、一般式(M)で表される化合物におけるR〜Rの説明で記載した好ましい態様であり、R17は前記一般式(M)中のR10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZnであり、X及びXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、R11及びR16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基であり、Xは酸素原子を介して結合する基であり、aは0又は1である。R11とYとが互いに結合して5員又は6員環を形成、又はR16とYとが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。この領域にあることで、本発明の着色組成物を用いて、色再現性の良好なカラーフィルタを作製することができる。
更に、ジピロメテン色素に由来する色素構造を有する色素多量体は、450nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が1,000倍以上であることが好ましく、10,000倍以上であることがより好ましく、100,000倍以上であることが更に好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色組成物を用いて、特に青色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いカラーフィルタを形成することができる。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計cary5(バリアン社製)により測定されるものである。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物の融点は、溶解性の観点から、高すぎない方が好ましい。
前記一般式(7)及び一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、米国特許第4,774,339号明細書、同第5,433,896号明細書、特開2001−240761号公報、同2002−155052号公報、特許第3614586号公報、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。具体的には、特開2008−292970号公報の段落0131〜0157に記載の方法を適用することができる。
以下にジピロメテン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

上記具体例のうち、色特性、現像性及び耐熱性の観点より、特に(PM−8)、(PM−11)〜(PM−22)が好ましく、さらに(PM−8)、(PM−16)〜(PM−22)が好ましく、(PM−8)が最も好ましい。
(アゾ色素)
本発明における色素多量体の態様の一つは、アゾ色素(アゾ化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体である。本発明においてアゾ化合物とは、分子内にN=N基を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
アゾ色素としては、公知のアゾ色素(例えば、置換アゾベンゼン(具体例として後述する(AZ−4)〜(AZ−6)等))から適宜選択して適用することができる。
アゾ色素としては、マゼンタ色素及びイエロー色素として知られるアゾ色素が適用でき、それらの中でも、特に、下記一般式(d)、一般式(e)、、一般式(g)、一般式(I−1)、一般式(I−2)、及び一般式(V)で表されるアゾ色素が好ましい。
〜マゼンタ色素〜
アゾ色素としては、マゼンタ色素である下記一般式(d)で表されるアゾ色素が好適に挙げられる。
一般式(d)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表し、Aは、アリール基、又は芳香族へテロ環基を表し、Z〜Zは、各々独立に、−C(R)=、又は−N=を表し、Rは水素原子、又は置換基を表す。
一般式(d)における各置換基について詳しく説明する。
一般式(d)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜15、より好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数2〜6のカルバモイル基で、例えば、ジメチルカルバモイル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル)を表す。
及びRは、好ましくは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基である。R及びRは、好ましくは、各々独立に、水素原子、アルキル基である。
〜Rが、置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
とR、RとR(Z又はZが−C(R)=のとき)、RとR、RとR(Zが−C(R)=のとき)とは、互いに結合して、5員、又は6員の環を形成していてもよい。
〜Zは、各々独立に、−C(R)=、又は−N=を表し、Rは水素原子、又は置換基を表す。Rの置換基としては、例えば、前記置換基の項で説明した置換基が挙げられる。Rの置換基が更に置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
〜Zとしては、好ましくは、Zは−N=であって、Zは−C(R)=又は−N=であって、Zは−C(R)=である。更に好ましくは、Zが−N=であって、Z及びZが−C(R)=である。
Aは、アリール基、又は芳香族へテロ環基を表す。Aのアリール基、及び芳香族へテロ環基は、更に、例えば、前記置換基の項で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
Aは、好ましくは芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジンン環、ベンゾピラゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
一般式(d)において、多量体化(色素多量体の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R、R及びAのいずれか1つ又は2つ以上に導入されることが好ましく、より好ましくは、R及び/又はAである。
一般式(d)で表されるアゾ色素は、より好ましくは下記一般式(d’)で表されるアゾ色素である。
一般式(d’)中、R〜Rは、前記一般式(d)におけるR〜Rと同義であり、好ましい範囲も同様である。Raは、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子吸引性基を表し、Rbは、水素原子、又は1価の置換基を表す。Rcはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。
Rbで表される置換基としては、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基が挙げられる。
アゾ色素としては、マゼンタ色素である下記一般式(e)で表されるアゾ色素も好適に挙げられる。
一般式(e)中、R11〜R16は、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。R11とR12、及びR15とR16は、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(e)における各置換基について詳しく説明する。
11〜R16は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。1価の置換基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基(ここでは、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む飽和脂肪族基を意味する。)、炭素数2〜30のアルケニル基(ここでは、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む二重結合を有する不飽和脂肪族基を意味する。)、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数3〜30のヘテロ環基、シアノ基、炭素数1〜30の脂肪族オキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数2〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数0〜30のアミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基及びヘテロ環アミノ基を含む。)、炭素数2〜30のアシルアミノ基、炭素数1〜30のアミノカルボニルアミノ基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜30のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数0〜30のスルファモイル基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、炭素数1〜30のアルキルもしくはアリールスルホニル基、炭素数2〜30のアシル基、炭素数6〜30のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜30の脂肪族オキシカルボニル基、炭素数1〜30のカルバモイル基、炭素数3〜30のアリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基が挙げられ、それぞれの基はさらに置換基を有していてもよい。
11及びR12は、好ましくは、各々独立に、水素原子、ヘテロ環基、シアノ基であり、より好ましくはシアノ基である。
13及びR14は、好ましくは、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
15及びR16は、好ましくは、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
一般式(e)において、多量体化(色素多量体の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R13、R15、及びR16のいずれか1つ又は2つ以上に導入されることが好ましく、より好ましくは、R13及び/又はR15であり、更に好ましくはR13である。
〜イエロー色素〜
アゾ色素としては、イエロー色素である下記一般式(g)、一般式(I−1)、一般式(I−2)、及び一般式(V)で表されるアゾ色素(それらの互変異性体も含む)が、好適に挙げられる。

一般式(g)中、R34は水素原子、又は置換基を表し、R35は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基を表す。Z30及びZ31は、各々独立に、−C(R36)=、又は−N=を表し、R36は水素原子、又は置換基を表す。A31は、アリール基、又は芳香族ヘテロ環基を表す。
一般式(g)における各置換基について詳しく説明する。
34は、水素原子、又は1価の置換基を表す。
該1価の置換基としては、前述の置換基群Aとして例示した置換基を用いることができ、好ましい範囲も同様である。中でも、該1価の置換基としては、アリール基及びヘテロ環基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
35は、水素原子、アルキル基((好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル、ピバロイル、2−エチルヘキシル、ベンゾイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、又はカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のカルバモイル基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル)を表す。
30及びZ31は、各々独立に、−C(R36)=、又は−N=を表し、R36は水素原子、又は置換基を表す。R36の置換基としては、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基が挙げられる。R36の置換基が更に置換可能な基である場合には、例えば、前記置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
30及びZ31としては、好ましくは、Z30が−N=であって、Z31が−C(R36)=である。
31は、前記一般式(d)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(g)において、多量体化(色素多量体の形成)に与る重合性基が導入される部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R34及び/又はA31が好ましい。
一般式(I−1)及び一般式(I−2)中、Ri、Ri及びRiは、それぞれ独立して1価の置換基を表す。aは0〜5の整数を表す。aが2以上の場合、隣接する2つのRiで連結し縮環を形成してもよい。b及びcは、それぞれ独立して0〜4の整数を表す。b及びcが1以上の場合、隣接する2つのRiで連結し縮環を形成してもよい。A32は、下記一般式(IA)、一般式(IB)又は一般式(IC)を表す。
一般式(IA)中、R42は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R43は、1価の置換基を表す。R44は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
一般式(IB)中、R44及びR45は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Tは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(IC)中、R46は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。R47は、1価の置換基を表す。
一般式(I−1)及び一般式(I−2)におけるRi、Ri及びRiが表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。該1価の置換基としてより具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル、スルホンアミド基)、アルケニル基(炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルケニル基で、例えばビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、スルホ基、スルファモイル基(炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基が好ましい)が挙げられ、特に炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基が好ましい。aは1〜3が好ましい。b及びcは1〜3が好ましい。
一般式(IA)中、R42は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。R43で表される1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、特にシアノ基、カルバモイル基が好ましい。R44は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
一般式(IB)中、Tは酸素原子又は硫黄原子を表し、酸素原子が好ましい。R44及びR45は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
一般式(IC)中、R46は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。R47が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基及びアリール基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基が好ましい。

一般式(V)中、MvはCr又はCoを表す。Rvは酸素原子又は−COO−を表す。Rv及びRvは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。vは0〜4の整数を表す。Rvは1価の置換基を表す。vが2以上である場合、隣接するRv同士が互いに連結して環を形成してもよい。
Rv及びRvとしては、特に炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rvが表す1価の置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられ、特にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルファモイル基及びスルホ基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ニトロ基が最も好ましい。
上記したアゾ色素の中でも、イエロー色素としては、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(V)で表されるアゾ色素が好ましい。
以下にアゾ色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。




上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(AZ−7)、(AZ−9)、(AZ−11)、(AZ−13)、(AZ−14)、(AZ−15)、(AZ−16)、(AZ−17)、(AZ−19)、(AZ−20)、(AZ−21)、及び(AZ−22)が好ましい。
(アントラキノン色素)
本発明における色素多量体の態様の一つは、アントラキノン色素(アントラキノン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体としては、下記一般式(AQ−1)〜(AQ−3)で表される化合物(アントラキノン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてアントラキノン化合物とは、分子内にアントラキノン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。

一般式(AQ−1)中、A及びBは、それぞれ独立して、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基又は水素原子を表す。XqaはORqa又はNRqaRqaを表す。Rqa〜Rqaは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq〜Rqは置換基を表す。Rq〜Rqが取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
一般式(AQ−2)中、C及びDは、一般式(AQ−1)中のA及びBと同義である。XqbはORqb又はNRqbRqbを表す。Rqb〜Rqbは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq〜Rqは置換基を表す。Rq〜Rqは、一般式(AQ−1)中のRq〜Rqと同義である。Rcは、一般式(AQ−1)中のRa又はRbと同義である。
一般式(AQ−3)中、E及びFは、一般式(AQ−1)中のA及びBと同義である。XqcはORqc又はNRqcRqcを表す。Rqc〜Rqcはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rq〜Rq12は、一般式(AQ−1)中のRq〜Rqと同義である。Rdは、一般式(AQ−1)中のRa又はRbと同義である。
一般式(AQ−1)中、A及びBは水素原子であることが好ましい。Xqaは、ORqa(Rqaは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqaRaq(Rqaは水素原子、Rqaは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq〜Rqは水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Raは水素原子であることが好ましい。Rbは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
一般式(AQ−2)中、C及びDは水素原子であることが好ましい。XqbはORqb(Rqbは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqbRbq(Rqbは水素原子、Rqbは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq〜Rqは水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Rcは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基であることが好ましい。
一般式(AQ−3)中、E及びFは水素原子であることが好ましい。XqcはORqc(Rqcは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)、NRqcRcq(Rqcは水素原子、Rqcは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基)であることが好ましい。Rq〜Rq12は水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましい。Rdは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
以下にアントラキノン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(aq−1)〜(aq−4)、(aq−13)、(aq−14)、及び(aq−15)が好ましい。
(トリフェニルメタン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、トリフェニルメタン色素(トリフェニルメタン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(TP)で表される化合物(トリフェニルメタン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてトリフェニルメタン化合物とは、分子内にトリフェニルメタン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。

一般式(TP)中、Rtp〜Rtpは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rtpは、水素原子、アルキル基、アリール基又はNRtpRtp10(Rtp及びRtp10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)を表す。Rtp、Rtp及びRtpは、置換基を表す。a、b及びcは、0〜4の整数を表す。a、b及びcが2以上の場合、Rtp、Rtp及びRtpは、それぞれ連結して環を形成してもよい。Xはアニオンを表す。
Rtp〜Rtpとして、好ましくは水素原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基及びフェニル基が好ましい。Rtpは水素原子又はNRtpRtp10が好ましく、NRtpRtp10であることが最も好ましい。Rtp及びRtp10は水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rtp、Rtp及びRtpが表す置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基を用いることができるが、特に、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、カルボキシル基又はスルホ基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、フェニル基又はカルボキシル基がさらに好ましい。特に、Rtp、Rtpは、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、Rtpはアルケニル基(特に隣接した2つのアルケニル基が連結したフェニル基が好ましい)、フェニル基又はカルボキシル基が好ましい。
a、b又はcは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。特にa及びbは0〜1が好まく、cは0〜2が好ましい。
はアニオンを表す。Xとして、具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。Xは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
は、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
下記に一般式(TP)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(tp−4)、(tp−5)、(tp−6)、及び(tp−8)が好ましい。
(キサンテン色素)
本発明における色素多量体の好ましい態様は、キサンテン色素(キサンテン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体としては、下記一般式(J)で表されるキサンテン化合物に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。

一般式(J)中、R81、R82、R83及びR84は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R85は、各々独立に1、価の置換基を表し、mは、0から5の整数を表す。Xは、アニオンを表す。
一般式(J)におけるR81〜R84及びR85が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。
一般式(J)中のR81とR82、R83とR84、及びmが2以上の場合のR85同士は、各々独立に、互いに結合して5員、6員若しくは7員の飽和環、又は5員、6員若しくは7員の不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員又は7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R81〜R85で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(J)中のR81とR82、R83とR84、及びmが2以上の場合のR85同士は、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環又は5員、6員並びに7員の不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環又は5員、6員並びに7員の不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
特に、R82及びR83は水素原子であり、R81及びR84は置換又は無置換のフェニル基であることが好ましい。また、R85はハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが好ましい。R81及びR84のフェニル基が有する置換基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが最も好ましい。
はアニオンを表す。Xとして、具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。Xは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
一般式(J)で表されるキサンテン骨格を有する化合物は、文献記載の方法で合成することができる。具体的には、テトラへドロン レターズ、2003年、vol.44,No.23、4355〜4360頁、テトラへドロン、2005年、vol.61,No.12、3097〜3106頁などに記載の方法を適用することができる。
以下にキサンテン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
式(1a)〜(1f)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、−SO−、−COH又は−SONHRを表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、−SO−、−SONa又は−SONHRを表す。
Rg、Rh及びRiは、それぞれ独立に、水素原子、−SO3−、−SO3H又は−SO2NHRaを表す。
は、1〜10のアルキル基、好ましくは、2−エチルヘキシル基を表す。X及びaは、上記と同じ意味を表す。)
式(1b)で表される化合物は、式(1b−1)で表される化合物の互変異性体である。
中でも、色特性及び耐熱性の観点より、特に式(1e)及び式(1f)が好ましい。
(シアニン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、シアニン色素(シアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(PM)で表される化合物(シアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてシアニン化合物とは、分子内にシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(PM)中、環Z1及び環Z2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。Xはアニオンを表す。
環Z1及び環Z2は、それぞれ独立して、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、ベンゾチアゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、1,3−チアジアジン等が挙げられる。
環Z1及び環Z2が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。Xはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。Xは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
一般式(PM)で表される化合物は、下記一般式(PM−2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(PM−2)中、環Z及び環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
は、Cl、Br、I、ClO 、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。Yは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
nは、0以上3以下の整数を表す。
及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
a及びbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。
一般式(PM−2)中、Yはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが好ましく、塩素アニオン、過塩素アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。nは1であることが好ましい。A及びAは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は炭素原子であることが好ましく、双方が炭素原子であることが最も好ましい。
以下に、シアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

具体例のうち、(pm−1)〜(pm−6)、(pm−9)及び(pm−10)で表される構造が好ましく、中でも、色特性及び耐熱性の観点より、(pm−1)、(pm−2)及び(pm−10)で表される色素構造が特に好ましい。
(スクアリリウム色素)
本発明における色素多量体の態様の一つは、スクアリリウム色素(スクアリリウム化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体としては、下記一般式(K)で表される化合物(スクアリリウム化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてスクアリリウム化合物とは、分子内にスクアリリウム骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(K)中、A及びBは、それぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。ヘテロ環基としては五員環又は六員環のへテロ環基が好ましく、例えばピロイル、イミダゾイル、ピラゾイル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、トリアゾール−1−イル、チエニル、フリル、チアジアゾイル等が挙げられる。
一般式(K)で現される化合物としては、特に下記一般式(K−1)、一般式(K−2)、一般式(K−3)又は一般式(K−4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(K−1)中、R91、R92、R94、R95、R96、及びR98は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、直鎖もしくは分岐のアルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基を表す。
93及びR97は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
91とR92、及び、R95とR96は、それぞれ、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(K−1)中のR91、R92、R94、R95、R96、R98が取りうる置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。
91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基又はヘテロ環基であることが好ましく、R93、R94、R97及びR98はアルキル基であり、且つ、R91とR92、及びR95とR96が互いに連結してアリール環を形成していることがさらに好ましく、R93、R94、R97及びR98は炭素数1〜20のアルキル基であり、且つ、R91とR92、及びR95とR96が互いに連結してベンゼン環を形成していることが最も好ましい。
一般式(K−2)中、R101、R103、R104、R105、R107及びR108は、前記一般式(K−1)におけるR91、R93、R94、R95、R97及びR98とそれぞれ同義である。R103及びR107は、前記一般式(K−1)におけるR93及びR97と同義である。
一般式(K−2)中、R101、R103、R104、R105、R107及びR108は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アリール基、又はヘテロ環基であることが好ましく、R101、R103、R105及びR107はアルキル基又はアリール基であり、且つ、R104及びR108はヒドロキシ基又はアミノ基であることがさらに好ましく、R101、R103、R105及びR107は炭素数1〜20のアルキル基であり、且つ、R104及びR108はヒドロキシ基であることがさらに好ましい。R103及びR107は水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、及びアリール基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基及びフェニル基がさらに好ましい。
一般式(K−3)中、R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R118及びR119は、前記一般式(K−3)におけるR91、R93、R94、R95、R97及びR98と同義である。R116及びR117は、前記一般式(K−1)におけるR93及びR97と同義である。
一般式(k−3)中、R109、R109、R109、R109、R113、R114、R115、R118及びR119は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であることが好ましい。特に、R109、R113、R115、R118及びR119は、水素原子であり、R110、R111及びR112は、水素原子又はアルコキシ基であり、R114は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であることが最も好ましい。
一般式(K−4)中、R120及びR121は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアルケニル基を表す。mは1〜4の整数を表す。nは0〜4の整数を表す。
120及びR121は、特に、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。mは1〜3が好ましく、mが3であることが最も好ましい。nは0〜3が好ましく、0又は1が好ましい。
前記スクアリリウム色素としては、前記一般式(K−1)で現されるスクアリリウム化合物が色相の観点から好ましい。
前記一般式(K−1)〜一般式(K−4)で表されるスクアリリウム化合物は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,599.に記載の方法を適用して合成することができる。
下記に一般式(K−1)〜(K−4)で表されるスクアリリウム化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(sq−1)〜(sq−3)、及び(sq−7)〜(sq−12)が好ましい。
(キノフタロン色素)
本発明における色素多量体の態様の一つは、キノフタロン色素(キノフタロン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体としては、下記一般式(QP)で表される化合物(キノフタロン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてキノフタロン化合物とは、分子内にキノフタロン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(QP)中、Rqp〜Rqpはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Rqp〜Rqpの少なくとも2つが隣接位にある場合は、互いに結合して環を形成してもよく、該環がさらに置換基を有してもよい。
Rqp〜Rqpが表す置換基は、前記置換基群Aの項で挙げた置換基を表す。Rqp〜Rqpが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が好ましい。特に、RqpとRqp、及びRqpとRqpは互いに連結して置換もしくは無置換のフェニル基を形成することが好ましい。Rqp及びRqpは水素原子又は塩素原子、臭素原子であることが好ましい。
RqpとRqp、及びRqpとRqpは互いに連結して形成するフェニル基が有してもよい置換基としては、前記置換基の項で挙げた置換基が挙げられるが、ハロゲン原子、カルバモイル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアルコキシカルボニル基が挙好ましい。
以下に一般式(QP)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(QP−1)〜(QP−5)が好ましい。
(フタロシアニン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、フタロシアニン色素(フタロシアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体としては、下記一般式(F)で表される化合物(フタロシアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてフタロシアニン化合物とは、分子内にフタロシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(F)中、Mは金属類を表し、Z、Z、Z、及びZは、各々独立に、水素原子、炭素原子及び窒素原子より選ばれる原子を含んで構成される6員環を形成するために必要な原子群を表す。
一般式(F)を詳しく説明する。
一般式(F)中、Mで表される金属類としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、及びFe等の金属原子、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、並びにSi(OH)等の金属水酸化物が含まれるが、特にCu、Znが好ましい。
一般式(F)中、Z、Z、Z、及びZは、各々独立に、水素原子、炭素原子、窒素原子より選ばれる原子を含んで構成される6員環を形成するために必要な原子群を表す。該6員環は、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。置換基としては、前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。また該6員環が2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。更に該6員環は、他の5員又は6員の環と縮合していてもよい。
6員環には、ベンゼン環、シクロヘキサン環などが含まれる。
前記一般式(F)で表されるフタロシアニン化合物の中でも、特に下記一般式(F−1)で表されるフタロシアニン化合物が好ましい。
前記一般式(F−1)において、Mは前記一般式(F)におけるMと同義であり、その好ましい態様も同様である。
前記一般式(F−1)中、R101〜R116は各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R101〜R116で表される置換基が、更に置換可能な基である場合には、前記の置換基群Aの項で説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
101〜R116で表される置換基は、上記の中でも、水素原子、SONR117118(R117及びR118は水素原子、直鎖又は分岐の炭素数3〜20の置換基を有してもよいアルキル基)、SR119(R119は直鎖又は分岐の炭素数3〜20の置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
以下に一般式(F)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(Ph−1)〜(Ph−5)、(Ph−7)が好ましい。
(サブフタロシアニン色素)
本発明に係る色素多量体の態様の一つは、サブフタロシアニン色素(サブフタロシアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。該色素多量体(A)としては、下記一般式(SP)で表される化合物(サブフタロシアニン化合物)に由来する部分構造を、色素部位の部分構造として有する色素多量体が含まれる。本発明においてサブフタロシアニン化合物とは、分子内にサブフタロシアニン骨格を含む色素部位を有する化合物を総称するものである。
一般式(SP)中、Z〜Z12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒロドキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオエーテル基を表す。Xはアニオンを表す。
一般式(SP)を詳しく説明する。
一般式(SP)中のZ〜Z12が有してもよいアルキル基は直鎖又は分岐の置換又は無置換のアルキル基を表す。Z〜Z12としては、特に、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がさらに好ましい。Z〜Z12が有してもよい置換基としては前記置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられるが、特にフッ素原子、ヒドロキシ基及びメルカプト基が好ましい。
一般式(SP)中のXはアニオンを表す。Xはアニオンを表す。Xとして具体的には、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン等のカルボン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン、オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン等の有機リン酸アニオン等が挙げられる。Xは色素骨格と連結してもよく、又は色素多量体の一部(高分子鎖等)と連結してもよい。
はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、リン酸アニオンであることが好ましく、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオンであることが最も好ましい。
以下にサブフタロシアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものでない。

上記具体例のうち、色特性及び耐熱性の観点より、特に、(SP−2)〜(SP−7)が好ましい。
(色素多量体の構造)
本発明における色素多量体としては、下記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つを含んでなる色素多量体であるか、又は、一般式(D)で表される色素多量体であることが好ましい。
〜一般式(A)で表される構成単位〜
一般式(A)中、Xは重合によって形成される連結基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表す。DyeIは色素構造を表す。
以下、一般式(A)について詳細に説明する。
一般式(A)中、Xは重合によって形成される連結基を表す。すなわち重合反応で形成される主鎖に相当する繰り返し単位を形成する部分を指す。なお、2つの*で表された部位が繰り返し単位となる。Xとしては、公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば得に制限ないが、特に下記(XX−1)〜(X−24)で表される連結基が好ましく、(XX−1)及び(XX−2)で表される(メタ)アクリル系連結鎖、(XX−10)〜(XX−17)で表されるスチレン系連結鎖、及び(XX−24)で表されるビニル系連結鎖であることが最も好ましい。(XX−1)〜(X−24)中、*で示された部位でLと連結していることを表す。Meはメチル基を表す。また、(XX−18)及び(XX−19)中のRは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表す。
一般式(A)中、Lは単結合又は2価の連結基を表す。Lが2価の連結基を表す場合の該2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−CO−、−NR−、−CONR−、−OC−、−SO−、−SO−及びこれらを2個以上連結して形成される連結基を表す。ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(A)中、DyeIは前述した色素化合物を表す。
一般式(A)で表される構成単位を有する色素多量体は、(1)色素残基を有するモノマーを付加重合により合成する方法、(2)イソシアネート基、酸無水物基又はエポキシ基等の高反応性官能基を有するポリマーと、高反応性基と反応可能な官能基(ヒドロキシル基、一級又は二級アミノ基、カルボキシル基等)を有する色素とを反応させる方法により合成できる。
付加重合には公知の付加重合(ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合)が適用できるが、このうち、特にラジカル重合により合成することが反応条件を穏和化でき、色素構造を分解させないため好ましい。ラジカル重合には、公知の反応条件を適用することができる。
中でも、本発明における一般式(A)で表される構成単位を有する色素多量体は、耐熱性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体を用いてラジカル重合して得られたラジカル重合体であることが好ましい。
以下に一般式(A)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〜一般式(B)で表される構成単位〜
次に、一般式(B)で表される構成単位について詳細を説明する。
一般式(B)中、Xは前記一般式(A)中のXと同義である。Lは前記一般式(A)中のLと同義である。YはDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基を表す。DyeIIは色素構造を表す。以下詳細に説明する。
一般式(B)中、Xは前記一般式(A)中のXと同義であり、好ましい範囲も同様である。Lは前記一般式(A)中のLと同義であり、好ましい範囲も同様である。YはDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基であればよく、アニオン性基又はカチオン性基のどちらでもよい。アニオン性基としては、COO、PO、SO 、−SONH、−SOCO−等が挙げられるが、COO、PO、SO が好ましい。
カチオン性基としては、置換又は無置換のオニウムカチオン(例えば、アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム及びホスホニウム等)が挙げられ、特にアンモニウムカチオンが好ましい。
は、DyeIIが有しているアニオン部(COO、SO 、O等)やカチオン部(前記オニウムカチオンや金属カチオン等)と結合することができる。
中でも、本発明における一般式(B)で表される構成単位を有する色素多量体は、耐熱性の観点から、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体を用いてラジカル重合して得られたラジカル重合体であることが好ましい。
以下に一般式(B)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〜一般式(C)で表される構成単位〜
一般式(C)中、Lは単結合又は2価の連結基を表す。DyeIIIは、色素部分構造を表す。mは0又は1を表す。以下、詳細に説明する。
前記一般式(C)中、Lで表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO−,および、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。mは0又は1を表すが、1であることが好ましい。
以下に一般式(C)中のLで表される2価の連結基として好適に使用される具体例を記載するが、本発明のLとしてはこれらに限定されるものではない。
一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体は、逐次重合により合成される。逐次重合とは、重付加(例えば、ジイソシアナート化合物とジオールとの反応、ジエポキシ化合物とジカルボン酸との反応、テトラカルボン酸二無水物とジオールとの反応等)及び重縮合(例えば、ジカルボン酸とジオールとの反応、ジカルボン酸とジアミンとの反応等)が挙げられる。このうち、特に重付加反応により合成することが反応条件を穏和化でき、色素構造を分解させないため好ましい。逐次重合には、公知の反応条件を適用することができる。
以下に一般式(C)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〜一般式(D)で表される色素多量体〜
次に、一般式(D)で表される色素多量体について詳細を説明する。
一般式(D)中、Lはn価の連結基を表す。nは2〜20の整数を表す。nが2以上のときは、DyeIVの構造は同じであっても異なっていてもよい。DyeIVは、色素構造を表す。
一般式(D)中、nは好ましくは3〜15であり、特に好ましくは3〜6である。
一般式(D)において、nが2の場合、Lで表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO−,および、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。
nが3以上のn価の連結基は、置換もしくは無置換のアリーレン基(1,3,5−フェニレン基、1,2,4−フェニレン基、1,4,5,8−ナフタレン基など)、へテロ環連結基(例えば、1,3,5−トリアジン基など)、アルキレン連結基等を中心母核とし、前記2価の連結基が置換して形成される連結基が挙げられる。
以下に一般式(D)中のLの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に一般式(D)中のDyeIVの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(A)、一般式(B)及び/又は一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体、及び、一般式(D)で表される色素多量体のうち、一般式(A)及び一般式(C)で表される構成単位を有する色素多量体、及び一般式(D)で表される色素多量体は、色素に由来する部分構造が分子構造中に共有結合で連結されているため、該色素多量体を含有する着色組成物は耐熱性に優れる。このため、該着色組成物を、高温プロセスを有するパターン形成に適用した場合において、隣接する他の着色パターンへの色移り抑制に効果があるため好ましい。また、特に一般式(A)で表される化合物は、色素多量体の分子量の制御がし易く好ましい。
(重合性基)
本発明における色素多量体は、重合性基を有することが好ましい。
前記重合性基としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性基を用いることができ、例えばエチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基)、メチロール基等が挙げられるが、特にエチレン性不飽和結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル及び3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート由来の(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。
重合性基の導入方法としては、(1)色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法、(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法等がある。以下、詳細に述べる。
〜(1)色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法〜
色素多量体を重合性基含有化合物で変性して導入する方法としては、特に制限なく公知の方法を用いることができる。例えば、(a)色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物とを反応させる方法、(b)色素多量体が有するヒドロキシル基又はアミノ基と不飽和結合含有イソシアネート化合物とを反応させる方法、(c)色素多量体が有するエポキシ化合物と不飽和結合含有カルボン酸化合物とを反応させる方法が製造上の観点から好ましい。
前記(a)色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有エポキシ化合物としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられうるが、特にメタクリル酸グリシジル及び3,4−エポキシーシクロヘキシルメチルメタクリレートが、架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
前記(b)色素多量体が有するヒドロキシル基又はアミノ基と不飽和結合含有イソシアネート化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有イソシアネート化合物として、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアタクリレート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられるが、2−イソシアナトエチルメタクリレートが、架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
前記(c)色素多量体が有するエポキシ化合物と不飽和結合含有カルボン酸化合物とを反応させる方法における不飽和結合含有カルボン酸化合物として、公知の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するカルボン酸化合物であれば特に制限なく使用できるが、メタクリル酸及びアクリル酸が好ましく、特にメタクリル酸が架橋性及び保存安定性に優れ好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
〜(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法〜
(2)色素単量体と重合性基含有化合物を共重合して導入する方法として、特に制限なく公知の方法を用いることができるが、(d)ラジカル重合可能な色素単量体とラジカル重合可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法、(e)重付加可能な色素単量体と重付加可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法が好ましい。
(d)ラジカル重合可能な色素単量体とラジカル重合可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法におけるラジカル重合可能な重合性基含有化合物として、特にアリル基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸アリル等)、エポキシ基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等)、オキセタン基含有化合物(例えば、3−メチルー3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等)、メチロール基含有化合物(例えば、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド等)が挙げられ、特にエポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
(e)重付加可能な色素単量体と重付加可能な重合性基含有化合物とを共重合する方法における重付加可能な重合性基含有化合物として、不飽和結合含有ジオール化合物(例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)が揚げられる。反応条件は公知の条件を用いることが出来る。
重合性基の導入方法として、色素多量体が有するカルボン酸と色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物を反応させる方法が最も好ましい。
本発明における色素多量体が重合性基を有する場合、重合性基量は、色素多量体1gに対し、0.1〜2.0mmolであることが好ましく、0.2〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.3〜1.0mmolであることが最も好ましい。
前記重合性基の導入方法として、色素多量体が有するカルボン酸と色素多量体が有するカルボン酸と不飽和結合含有エポキシ化合物を反応させる方法が最も好ましい。
前記重合性基を有する構成単位としては、以下のような具体例が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記具体例のうち、基板密着性及び表面粗度の観点より、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体が好ましく、中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基が好ましく、メタクリロイル基が最も好ましい。
本発明における色素多量体が、エチレン性不飽和結合を有する色素単量体を用いて作製される場合には、該色素多量体はラジカル重合体であることが好ましい。
(その他の官能基)
本発明における色素多量体は、その他の官能基を有してもよい。
その他の官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸及びフェノール性水酸基等のアルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としては、カルボン酸が最も好ましい。
色素多量体へのアルカリ可溶性基の導入方法としては、色素単量体にあらかじめアルカリ可溶性基を導入しておく方法及びアルカリ可溶性基を有する色素単量体以外のモノマー((メタ)アクリル酸、アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水こはく酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水フタル酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物変性物、スチレンカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、ノルボルネンカルボン酸等のカルボン酸含有モノマー、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、ビニルホスホン酸等のリン酸含有モノマー、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸等のスルホン酸含有モノマー)を共重合する方法が挙げられるが、双方の方法を用いることが最も好ましい。
色素多量体が有することがあるアルカリ可溶性基量(酸価)は、色素多量体1gに対し0.3mmol〜2.0mmolであることが好ましく、0.4mmol〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.5mmol〜1.0mmolであることが最も好ましい。
本発明において、色素多量体の酸価は、例えば、色素多量体中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、色素多量体を構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
色素多量体が有することがあるその他の官能基として、ラクトン、酸無水物、アミド、−COCHCO−、シアノ基等の現像促進基、長鎖及び環状アルキル基、アラルキル基、アリール基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、マレイミド基、アミノ基等の親疏水性調整基等が挙げられ、適宜導入することができる。
導入方法として、色素単量体にあらかじめ導入しておく方法、及び上記官能基を有するモノマーを共重合する方法が挙げられる。
色素多量体が有するその他の官能基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
前記色素多量体の重量平均分子量は、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがさらに好ましく、4,000〜10,000であることが最も好ましい。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC法によりスチレン換算で測定した値を用いる。
また、色素多量体の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比〔(Mw)/(Mn)〕は1.0〜3.0であることが好ましく、1.6〜2.5であることがさらに好ましく、1.6〜2.0であることが最も好ましい。
本発明における色素多量体のTgは、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。また、熱重量分析(TGA測定)による5%重量減少温度が、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。この領域にあることで、本発明の着色組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、加熱プロセスに起因する濃度変化を低減する事ができるようになる。
また、本発明に係る色素多量体の単位重量あたりの吸光係数(以後ε’と記す。ε’=ε/平均分子量、単位:L/g・cm)が、30以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、100以上であることが更に好ましい。この範囲にあることで、本発明の着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する場合において、色再現性のよいカラーフィルタを作製することができる。
本発明の着色組成物に用いる色素多量体のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。
また、本発明における色素多量体は、前記色素多量体の最大吸収波長(λmax)と単位重量あたりの吸光係数の好ましい範囲を同時に満たすことが更に好ましい。
本発明における色素多量体は、以下の有機溶剤に溶解する化合物であることが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類(例えば、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等)、エーテル類(例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)が挙げられ、これら溶剤に対し、1質量%以上50質量%以下溶解することが好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。この領域にあることで、本発明の着色組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、好適な塗布面状や、他色塗布後の溶出による濃度低下を低減するができるようになる。
本発明の着色組成物においては、前記色素多量体を1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の着色組成物中における前記色素多量体の含有量(2種以上含む場合には総含有量)は、着色組成物の全固形分量に対し、1質量%〜60質量%が好ましく、2質量%〜50質量%がより好ましく、5質量%〜40質量%が特に好ましい。
本発明における混合工程では、上述の色素多量体と、該色素多量体以外の各成分(具体的には少なくとも重合性化合物及び溶剤(及び、必要に応じ、重合開始剤、顔料、アルカリ可溶性樹脂等のその他の成分))と、が混合される。
以下、色素多量体以外の各成分について説明する。
<重合性化合物>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を少なくとも1種含有する。
前記重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216号明細書等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、又は、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
また、本発明における特定モノマーとしては、下記一般式(i)又は(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
前記一般式(i)及び(ii)中、Eは、各々独立に、−((CH)yCHO)−、又は−((CH)yCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)又は一般式(ii)中の−((CH)yCHO)−又は−((CH)yCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、一般式(i)又は(ii)で表される化合物の特定モノマー中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
前記一般式(i)、(ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、特開2008−107773号公報の段落0048〜0049に記載の例示化合物(a)〜(f)を用いることができ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
一般式(i)、(ii)で表される特定モノマーの市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた着色組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、着色組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。また、着色組成物に含有される他の成分(例えば、重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の着色組成物中における重合性化合物の含有量は、該着色組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
本発明の着色組成物中、色素多量体と重合性化合物との含有質量比(色素多量体/重合性モノマー)は、薄膜化と硬化性との両立の観点から、0.05〜10であることが好ましく、0.1〜5であることがより好ましい。
<溶剤>
本発明の着色組成物は、溶剤を少なくとも1種含有する。
前記溶剤としては、以下に示される有機溶剤から選択される液体が挙げられ、有機溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における着色組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)等から選択される2種以上で構成される混合溶液である。
溶剤の着色組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%が更に好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。
<重合開始剤>
本発明の着色組成物は、感度向上の観点から、重合開始剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
本発明における重合開始剤としては、以下に述べる重合開始剤として知られているものを用いることができる。
前記重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
また、重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、アルキルアミノ化合物等が挙げられる。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載の化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。市販品としては、例えば4−ベンズオキソラン−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(みどり化学(株)製TAZ−107)等のハロメチル−s−トリアジン化合物などが挙げられる。
また、上記以外の重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及びアシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及びIRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
本発明で重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、及び特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
また、オキシム化合物としては、特開2011−127096号の段落0140〜0171に記載されている、式(OX−1)又は式(OX−2)で表されるオキシム化合物も特に好ましい。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の着色組成物に用いられる重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
特に、本発明の着色組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
本発明の着色組成物に含有される重合開始剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、より良好な、感度及びパターン形成性が得られる。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色組成物は、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N―フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(a)を含むことも好ましい。
一般式(ED)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
これにより、本発明の着色組成物は、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた硬化塗膜を形成しうる。前記エーテルダイマーを示す前記一般式(1)中、RおよびRで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
また、本発明における着色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002-229207号公報及び特開2003-335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を、塩基性処理することで得られる樹脂などが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられ、特に好ましくはメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70mgKOH/g〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の着色組成物中における含有量としては、着色組成物の全固形分に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2質量%〜12質量%であり、特に好ましくは、3質量%〜10質量%である。
<顔料>
本発明の着色組成物は、色材として色素多量体を用いるが、色相調整などの目的で、前記色素多量体に加え、顔料を含んでいてもよい。
顔料としては特に限定されないが、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
等を挙げることができる。
本発明の着色組成物が青色組成物である場合、C.I.ピグメントレッドバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:3、15:6から選ばれる少なくとも1つの顔料を含むことにより、青色組成物としての透過スペクトルの最適化が容易であり、耐薬品性が良好になるため好ましい。
本発明の着色組成物が赤色組成物である場合、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、C.I.ピグメントレッド177、209、242、254を含むことが好ましく、C.I.ピグメントレッド177、242、254を含むことがより好ましい。
本発明の着色組成物が緑色組成物である場合、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、C.I.ピグメントグリーン7、36、58を含むことが好ましく、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36、58を含むことがより好ましい。
これらの顔料は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
顔料の含有量は、着色組成物全量に対して、20質量%〜90質量%であり、好ましくは30質量%〜80質量%であり、より好ましくは40質量%〜75質量%である。
上記色素多量体と顔料との含有量比率(質量比)は、10:90〜90:10であることが適しており、20:80〜80:20であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。
このような比率とすることにより、透過スペクトルの最適化が容易となり、高コントラスト、高明度を得るために良好である。さらに、耐熱性、耐薬品性が良好となる。
特にC.I.ピグメントブルー15:6と色素多量体(例えば、ジピロメテン色素の多量体)との質量比が10:80〜60:40であることが好ましく、15:85〜50:50であることがさらに好ましい。
また、C.I.ピグメントブルー15:6と色素多量体(例えば、ジピロメテン色素の多量体)との質量比が5:95〜25:75であることが好ましく、10:90〜25:75であることがより好ましく、15:85〜20:80であることがさらに好ましい。
さらに、赤色組成物としては、C.I.ピグメントレッド177、242及び254からなる群から選ばれる少なくとも1種と色素多量体(例えば、ジピロメテン色素の多量体)との質量比が10:90〜90:10であることが好ましい。
有機顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などが施されていてもよい。
(分散剤)
本発明の着色組成物は、顔料を含む場合には、顔料分散剤を含有することができる。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、特開2008−29901号公報等に記載の片末端に水酸基又はアミノ基を有するオリゴマー又はポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の顔料表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂、特開平10−339949号、特開2004−37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。特に、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂は、顔料分散物の分散性、分散安定性及び顔料分散物を用いた着色組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び顔料分散物を用いた着色組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
本発明に用いうる顔料分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。また、本発明の顔料分散剤は、前記顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。顔料分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。分散溶液への溶解性、分散性、現像性の観点から最も好ましくは、ポリエステル鎖がポリカプロラクトン側鎖であり、カルボン酸基を有する樹脂が好ましい。
以下に、本発明において好ましく用いられる特開2010−106268号公報に記載される分散剤について説明する。
好ましい分散剤としては、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である。
グラフト共重合体の具体例としては、特開2011−127096号公報の段落0032〜0105における式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を有するグラフト共重合体が好適である。
<重合禁止剤>
本発明の着色組成物においては、該着色組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
<界面活性剤>
本発明の着色組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の着色組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
<その他成分>
さらに、本発明においては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、基板密着性を向上させうる基板密着剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリンを用いることができる。
基板密着剤としては、公知の材料を用いることができるが、特にシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いることが好ましい。
≪カラーフィルタ用着色組成物の製造方法の好ましい形態≫
次に、カラーフィルタ用着色組成物の製造方法の好ましい形態について説明する。
<色素多量体作製工程>
色素多量体作製工程は、前述のとおり、濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて色素多量体を作製する工程である。濁度を30ppm以下とする具体的な方法や、色素多量体の具体的な作製方法については前述のとおりである。
本工程においては、重合溶液1種のみを用いて色素多量体を作製してもよいし、2種以上の重合溶液を用いて色素多量体を作製してもよい。2種以上の重合溶液を用いる場合には、少なくとも1種の重合溶液(好ましくは全種の重合溶液)の濁度を30ppm以下とする。
次に、本工程において2種以上の重合溶液を用いる具体例について説明する。
該具体例では、まず、色素、重合開始剤、及び溶剤(並びに、必要に応じ、連鎖移動剤、他の重合性化合物等のその他の成分)を混合し、例えば10℃〜40℃の条件で、溶剤に対し各成分を溶解させて第1の重合溶液を調製する。このとき、溶剤の選定及びフィルターろ過の少なくとも一方の手段により、第1の重合溶液の濁度を30ppm以下となるように調整する。
別途、色素及び溶剤(並びに、必要に応じ、連鎖移動剤、他の重合性化合物等のその他の成分)を混合し、加熱下(例えば60℃〜100℃)で、溶剤に対し各成分を溶解させて第2の重合溶液を調製する。
次に、第2の重合溶液を加熱し(例えば60℃〜100℃に加熱し)、加熱された第2の重合溶液に対し、濁度30ppm以下に調整された第1の重合溶液を滴下する。滴下後、加熱下(例えば60℃〜100℃)で、色素を多量化させて色素多量体を得る。
その後、必要に応じ、色素多量体に対し、高分子反応により、重合性基やアルカリ可溶性基を導入する。
その後、必要に応じ、色素多量体を含む反応液を、貧溶媒(例えば、アセトニトリル、水)に滴下して、色素多量体を沈殿させる。
沈殿操作の前後に、色素多量体に対し、高分子反応により、重合性基やアルカリ可溶性基を導入してもよい。
<混合工程>
前記混合工程では、前述のとおり、少なくとも、前記色素多量体、重合性化合物、及び溶剤(及び、必要に応じ、重合開始剤、顔料、アルカリ可溶性樹脂等のその他の成分)を混合する。
顔料を用いる場合には、別途、顔料、分散剤、及び溶剤を用いて顔料分散液を調製しておき、該顔料分散物と、前記色素多量体、重合性化合物、及び溶剤(及び必要に応じ、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂等のその他の成分)と、を混合することが好ましい。
該混合工程により、着色組成物が得られる。
前記混合工程の後、必要に応じ、フィルターろ過を行ってもよい。
≪カラーフィルタ及びその製造方法≫
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の着色組成物(本発明の着色組成物の製造方法によって製造された着色組成物を含む。以下同じ。)を用いて形成された着色パターンを有する。
本発明のカラーフィルタは、前記着色パターンとして、少なくとも1色の着色パターンを有していればよい。
本発明のカラーフィルタのより具体的な形態としては、例えば、複数色の着色パターン(以下、「着色画素」ともいう)を組み合わせた複数色のカラーフィルタの形態(例えば、青色パターン、赤色パターン、及び緑色パターンを少なくとも有する3色以上のカラーフィルタ)が好適である。
複数色の着色パターンを組み合わせた複数色のカラーフィルタの形態の場合、少なくとも1色の着色パターンが、本発明の着色組成物を用いて形成されていればよい。
本発明のカラーフィルタの具体例としては、固体撮像素子用カラーフィルタや液晶表示装置用カラーフィルタが挙げられる。特に、固体撮像素子用カラーフィルタである場合に、本発明の効果(現像残渣及び色ムラの抑制、並びに、パターンエッジ形状の良化)がより効果的に奏される。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明の着色組成物を付与し、マスクを介して露光し、現像して着色パターンを形成する方法である。
本発明のカラーフィルタの製造方法のより具体的な実施形態としては、支持体上に、本発明の着色組成物を塗布して該着色組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層をマスクを介して露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する工程とを含む実施形態が好適である。
以下、上記実施形態における各工程について説明する。
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の着色組成物を塗布して該組成物からなる着色層を形成する。
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子(CCDやCMOS)等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用カラーフィルタである場合に用いうる支持体について更に詳述すると、該支持体としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
前記着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子用基板における各撮像素子間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
支持体上への本発明の着色組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
着色組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさ、及び乾燥後の膜厚の観点から決定し、それに従い塗布方法を調節することが望ましい。
基板上に塗布された着色組成物の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃、10〜300秒で行うことができる。
形成される着色層の膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmがさらに好ましい。
<露光工程>
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層を、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光する。
前記露光によれば、着色層の光照射された部分だけを硬化させることができる。露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。照射量は5mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、10mJ/cm〜500mJ/cmが最も好ましい。
照射量の下限は、更に、30mJ/cmが好ましく、50mJ/cmがより好ましく、80mJ/cmが特に好ましい。
<現像工程>
次いでアルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記露光における光未照射部分がアルカリ水溶液に溶出し、光照射された部分(光硬化した部分)だけが残る。
前記現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましいが、無機アルカリ現像液も使用可能である。現像温度としては通常20℃〜40℃(好ましくは20℃〜30℃)であり、現像時間は通常20秒〜90秒である。
なお、現像時間については、より現像残渣を除去するため、120秒〜180秒実施してもよい。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらのアルカリ剤を、濃度が好ましくは0.001質量%〜10質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が、現像液として好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。次いで、乾燥を施す。
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。
ポストベークの具体的な形態としては100℃〜240℃の熱硬化処理が挙げられる。基板がガラス基板またはシリコン基板の場合は上記温度範囲の中でも200℃〜240℃が好ましい。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。
また、本発明における着色組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への着色組成物や顔料の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の着色組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色組成物の洗浄除去として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加してもよい。
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いているため、残渣欠陥が少なく、色ムラが抑制され、着色パターンのパターンエッジ形状に優れる。
本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用カラーフィルタである場合、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適に用いることができる。
固体撮像素子用カラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
≪固体撮像素子≫
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを備える。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り、「%」及び「部」は「質量%」及び「質量部」を表す。
<色素単量体の合成>
(色素単量体M1の合成)
下記反応スキームに従い、ジピロメテン色素である色素単量体M1を合成した。
以下、上記反応スキームの詳細について説明する。
〜化合物1の合成〜
イソブロピルメチルケトン206.4gをメタノール1L中で攪拌し、臭化水素酸(47〜49%水溶液)を7mL添加後、臭素を30〜34℃条件で3時間かけて滴下した。その後、30分、30℃で攪拌した。炭酸水素ナトリウム124gを水1.3Lに溶かした水溶液で中和後、塩化ナトリウム400gを水1.3Lに溶かした水溶液を加え、層分離した液体状の反応生成物を分取した。
別途、フタルイミドカリウム222gをジメチルアセトアミド(DMAc)800mL中で攪拌しておき、水冷下にて先ほど分取した反応生成物を滴下し、4時間室温条件で撹拌した。その後、水冷下にて水720mLを加え析出した結晶をろ別した。得られた結晶をトルエン1.5Lに懸濁させ、不溶物をろ別し、ろ液を濃縮し化合物1(100g)を得た。
化合物1:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:1.21〜1.23(6H、d)、2.74〜2.79(1H、m)、4.56(2H、s)、7.72〜7.74(2H、d)、7.85〜7.87(2H、d).
〜化合物2の合成〜
特開2008−292970号公報の段落0134に記載の方法にて合成した。
〜化合物3の合成〜
化合物2(293g)、化合物1(231g)をメタノール1.4L中、窒素雰囲気下で攪拌し、水酸化ナトリウム(88g)を水400mlに溶かし、室温にて滴下した。その後、八時間還流した。その後、室温まで放冷し、析出した結晶をろ取し、メタノール100mlで洗浄し、化合物3(299g)を得た。
化合物3:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.88〜0.95(18H、s)、1.00〜1.03(3H、d)、1.17〜1.19(6H、d)、1.20〜1.66(7H、m)、3.38〜3.43(1H、m)、5.19〜5.24(2H、br)、5.95(1H、br)、6.00(1H,s)、7.39〜7.45(1H、br).
〜化合物9の合成〜
N,N−ジイソプロピルアミン(30g)を脱水テトラヒドロフラン200mL中、窒素雰囲気下で攪拌し、1.6mol/Lのブチルリチウムヘキサン溶液(186mL)を−60℃にて20分かけて滴下した。−40℃で、30分攪拌後、2−エチル酪酸エチル(39g)を10分かけて滴下した。30分攪拌後、−78℃まで冷やし、1−ブロモ−3−クロロプロパン(47g)を15分かけて滴下し、4時間かけてゆっくりと室温まで昇温した。反応終了後、1M塩酸水溶液を加え、酢酸エチル400mlで抽出、1M塩酸水溶液200mL、水200mL、飽和食塩水200mLで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム15gで脱水したあと、ろ過後、ろ液を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、減圧濃縮することで化合物9(45g)を得た。
化合物9:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.79(6H、t)、1.25(3H、t)、1.57(4H、q)、1.40−1.65(4H、m)、3.52(2H、t)、4.15(2H、q).
〜化合物10の合成〜
化合物9(17.2g)をアセトニトリル80mL中、室温でトリメチルシリルヨージド(47g)を10分かけて滴下した後、80℃で60時間攪拌した。その後水400mLに反応溶液を30分かけて滴下した。酢酸エチル500mlで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水各300mLで洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、減圧濃縮することで化合物10(8.6g)を得た。
化合物10:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.80(6H、t)、1.57−1.82(8H、m)、3.52(2H、t).
〜化合物11の合成〜
化合物10(5.8g)をジクロロメタン10mLに溶かした後、氷浴、窒素雰囲気下、塩化チオニル(7.1g)を10分かけて滴下した。室温で2時間反応後、反応溶液を蒸留(11mmHg、80℃)することにより、化合物11(5.7g)を得た。
化合物11:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.87(6H、t)、1.62−1.83(8H、m)、3.55(2H、t).
〜化合物12の合成〜
化合物3(194g)を窒素雰囲気下、アセトニトリル1900mlに溶解させた後、室温下で攪拌しながら、トリエチルアミン(63g)を加え、さらに化合物11(120g)を10分かけて滴下した。その後、80℃に加熱し、6時間攪拌した。室温まで冷却したのち、水950mLを反応液に注ぎ、析出した固体をろ過した。次に、得られた固体にメタノール950mLを注ぎ、70℃に加熱して攪拌することにより、懸濁洗浄を行った。室温まで冷却した後、ろ過することにより、化合物12(260g)を得た。
化合物12:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.86(6H、t)、0.90(18H、s)、1.02(3H、d)、1.21(6H、d)、1.25−1.73(15H、m)、3.45(1H、quint)、6.02(1H、s)、6.20(1H、s)、10.52(1H、s)、10.94(1H、s).
〜化合物13の合成〜
化合物12(18.0g)、チオリンゴ酸(7.9g)をジメチルアセトアミド70mLに加え室温下で攪拌し、ジアザビシクロウンデセン(26.8g)を30℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。室温で12時間攪拌した後、氷浴下0.5N HClaq400mLに反応溶液を30分かけて滴下した。析出した固体を、ろ過、水掛け洗いの後、再度水400mL中で攪拌し、ろ過した。得られた固体を真空乾燥(45℃、12時間)することにより、化合物13(18.4g)を得た。
化合物13:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.86(6H、t)、0.89(18H、s)、1.02(3H、d)、1.18−1.80(21H、m)、2.61−2.80(3H、m)、2.98(1H、td)、3.46(1H、quint)、3.64(1H、dd)、6.01(1H、s)、6.23(1H、s)、10.61(1H、s)、10.94(1H、s).
〜化合物14の合成〜
化合物12(22.0g)、メタクリル酸(6.9g)、ヨウ化カリウム(6.6g)、パラメトキシフェノール(11.5mg)をジメチルアセトアミド50mLに加え室温下で攪拌した。トリエチルアミン(10.1g)を加えた後、内温を85℃になるまで加熱し、その温度で4時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル75mLを加え、1N HC
laq、水、飽和重曹水各50mLで洗浄後、減圧濃縮した。得られた固体を、アセトニトリル100mLで再結晶することにより、化合物14(16.5g)を得た。
化合物14:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.86(6H、t)、0.89(18H、s)、1.02(3H、d)、1.27(6H、d)、1.36(4H、q)、1.73−1.93(11H、m)、1.94(3H、s)、3.46(1H、quint)、4.14(2H、t)、5.54(1H、s)、6.02(1H、s)、6.09(1H、s)、6.22(1H、s)、10.54(1H、s)、10.94(1H、s).
〜化合物15の合成〜
N−メチルホルムアニリド(4.3g)をアセトニトリル25mL中5℃で攪拌しながら、オキシ塩化リン(4.9g)を滴下し、1時間攪拌後、化合物14(16.0g)、アセトニトリル10mLを添加し室温で30分攪拌した後、40℃で5時間攪拌した。300mLの水中に反応液を注ぎ、1時間攪拌した。析出した固体を取りだし、アセトンで再結晶することにより、化合物15(10.3g)を得た。
化合物15:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.86(6H、t)、0.89(18H、s)、1.03(3H、d)、1.26(4H、q)、1.42(6H、d)、1.57−1.94(11H、m)、1.93(3H、s)、4.11(1H、quint)、4.14(2H、t)、5.55(1H、s)、6.04(1H、s)、6.10(1H、s)、9.87(1H、s)、11.01(1H、s)、11.16(1H、s).
〜化合物16の合成〜
化合物13(10.7g)、化合物15(10.1g)と無水酢酸100mlを室温下で攪拌し、トリフルオロ酢酸8.6gを滴下した。室温下で4時間攪拌後、水700mL、炭酸水素ナトリウム170gを室温下で攪拌し、そこへ反応液を徐々に注ぎ中和を行った。1時間攪拌後、析出した結晶をろ過し、水300mLでかけ洗いした。得られた固体をテトラヒドロフラン50mLに再度溶解させ、水50mL、およびトリエチルアミン(10.5g)を加え、均一系にした後、室温で10分攪拌した。反応溶液に酢酸エチル400mL、を加え、1N HClaq×2、水400mLで各々2回洗浄し、減圧濃縮した。得られた固体を40℃、12時間送風乾燥することにより、化合物16(19.5g)を得た。化合物16の酢酸エチル中の吸収スペクトルにおける吸収極大波長は519nm、モル吸光係数は44000であった。
化合物16:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.79−0.94(48H、m)、1.02(6H、d)、1.21−1.77(22H、m)、1.42(12H、d)、1.93(3H、s)、2.59−2.78(3H、m)、2.95(1H、dd)、3.66(1H、dd)、4.02−4.15(4H、m)、5.54(1H、s)、6.03(2H、s)、6.11(1H、s)、7.58(1H、s)、10.75(1H、s)、10.78(1H、s).
〜色素単量体M1の合成〜
化合物16(19.0g)をTHF90mlに室温下で攪拌溶解した後、メタノール90mLを加えた。そこに酢酸亜鉛二水和物(3.3g)をメタノール90mLにとかした溶液を10分かけて滴下し1時間攪拌した。その後、エバポレーターで30℃、1000Torr、10分間減圧することで反応溶液から溶媒90mLを留去した。残った溶液を水500mlに滴下し、析出した結晶をろ過し、乾燥させることで、ジピロメテン色素である色素単量体M1(19.0g)を得た。色素単量体M1の酢酸エチル中の吸収スペクトルにおける吸収極大波長は545nm、モル吸光係数は150000であった。
色素単量体M1:H−NMR、300MHz、δ(CDCl)ppm:0.81−0.99(48H、m)、1.02(6H、d)、1.15−1.90(34H、m)、1.94(3H、s)、2.58−2.80(3H、m)、3.00(1H、d)、3.46(1H、br)、4.14−4.30(4H、m)、5.53(1H、s)、6.04(1H、s)、6.06(1H、s)、6.11(1H、s)、7.80(1H、s)、11.29(1H、s)、11.45(1H、s).
<色素多量体の合成>
(色素多量体1の合成)
重合溶液中の溶剤としてシクロヘキサノンを用い、色素多量体1を合成した。以下、詳細な操作を説明する。
色素単量体M1(3.33g)、メタクリル酸(0.43g)、ドデカンチオール(0.15g)、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(0.52g)をシクロヘキサノン(6.9g)に加え、室温で30分攪拌し溶解させた(滴下用重合溶液)。この滴下用重合溶液の濁度を測定すると2ppmであった。
別途、色素単量体M1(1.67g)、メタクリル酸(0.21g)、及びドデカンチオール(0.076g)をシクロヘキサノン(3.5g)に溶解させ、85℃で攪拌した。そこに先ほど調製した滴下用重合溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後から3時間、85℃で攪拌を続けた。反応溶液に、メタノール(10ml)を加え、アセトニトリル(200ml)を攪拌しながら、反応液を滴下した。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を減圧乾燥し、色素多量体1(2.4g)得た。得られた色素多量体1の重量平均分子量(Mw)は8000、酸価は112mgKOH/gであった。
また、色素多量体1における共重合比〔色素単量体M1/メタクリル酸〕(質量比)は、88/12であった。
色素多量体1の構造であることは、H−NMRにより、前記色素単量体M1の重合性基部位である5.53、6.11のピークの消失と、酸価測定によるメタクリル酸の導入により確認した。
また、上述の滴下用重合溶液の濁度は、標準物質としてホルマジンを用い、積分球測定方式にて、JIS K0101に準じて測定した。
詳細には、まず、積分球式濁時計「SEP−PT−706D型」(三菱化学(株)製)に対し、ホルマジン標準物質からなる標準板を用いて校正を行った。次に、サンプル(滴下用重合溶液)5gを室温で20分間攪拌した後、厚さ10mmのセルに入れ、3分間放置した後、上記校正後の濁度計を用いて濁度を測定した。
(色素多量体2〜8の合成)
重合溶液中の溶剤の種類、重合溶液中における色素の含有量、およびフィルターろ過の有無を下記表1に示すようにしたこと以外は色素多量体1の合成と同様にして、色素多量体2〜8を合成した。なお、下記表1〜表3中の濁度は、滴下用重合溶液の濁度である。
色素多量体6及び8の合成では、滴下用重合溶液の調製の際、各成分を混合した後、得られた滴下用重合溶液を、ADVANTEC社製のフィルター(孔径1μm、材質PTFE)を通過させてろ過した。色素多量体6及び8の合成では、ろ過後の滴下用重合溶液を用い、色素多量体を合成した。なお、下記表1〜表3中、色素多量体6、8及び12に関する濁度はろ過後の滴下用重合溶液の濁度である。
(色素多量体9の合成)
色素多量体1(5.0g)とグリシジルメタクリレート(0.73g)、p-メトキシフェノール(5.5mg)をPGMEA(31.0g)に溶解させた溶液を100℃で5時間に加熱攪拌した。次に、アセトニトリル 350mlを攪拌しているところに、反応液を滴下した。析出した結晶をろ過し、得られた結晶を減圧乾燥し、色素多量体9を3.59g得た。得られた色素多量体9の重量平均分子量(Mw)は9000、酸価は60mgKOH/gであった。
色素多量体9の構造であることは、H−NMRにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ部位の消失と酸価測定によるグリシジルメタクリレート分の酸価減少により確認した。なお、重合性基を有する色素化合物には、重合性基を導入する前の色素化合物が含まれていてもよい。
以下、色素多量体1〜8の構造(式(101))、色素多量体9の構造(式(102))、色素単量体M1の構造を示す。

(色素多量体10の合成)
重合溶液中の溶剤としてN−エチルピロリドンを用い、かつ、色素としてトリフェニルメタン色素である色素単量体M2を用い、下記式(103)で示される構造の色素多量体10を合成した。以下、詳細な操作を説明する。
特開2000−162429に記載の方法で合成した色素単量体M2(15g)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(6.5g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(23g)、メタクリル酸(5.5g)、28重量%アンモニア水(2g)、及びアゾビスイソブチロニトリル(5g)をN−エチルピロリドン(70g)に加え、室温で30分攪拌し溶解させた(滴下用重合溶液)。この滴下用重合溶液の濁度を測定すると12ppmであった。
別途、色素単量体M2(15g)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(6.5g)、ヒドロキシエチルメタクリレート(23g)、メタクリル酸(5.5g)、28重量%アンモニア水(2g)をN−エチルピロリドン(70g)に溶解させ、95℃で攪拌した。溶媒を留去し、得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は28000、酸価は190mgKOH/gであった。
(色素多量体11、12の合成)
重合溶液中の溶剤の種類、重合溶液中における色素の含有量、およびフィルターろ過の有無を下記表2に示すようにしたこと以外は色素多量体10の合成と同様にして、色素多量体11、12を合成した。
色素多量体12の合成では、滴下用重合溶液の調製の際、各成分を混合した後、得られた滴下用重合溶液を、ADVANTEC社製のフィルター(孔径1μm、材質PTFE)を通過させてろ過した。色素多量体12の合成では、ろ過後の滴下用重合溶液を用いて色素多量体12を合成した。
(色素多量体13の合成)
重合溶液中の溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用い、色素としてアントラキノン色素である色素単量体M3を用い、以下のようにして式(104)で示される構造の色素多量体13を合成した。
100mL三口フラスコに、色素単量体M3(8.21g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、色素単量体M3(8.21g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)、PGMEA(23.3g)の混合溶液(本混合溶液の濁度は室温において8ppmであった)を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して(MD−1)のPGMEA溶液を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(1.42g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(80mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で100℃で15時間加熱し、メタクリル酸グリシジルが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、色素多量体13を17.6g得た。GPC測定より、重量平均分子量(Mw)は6,000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.9であった。また、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により、酸価は42mgKOH/gであり、NMR測定により色素多量体が含有する重合性基量が、色素多量体13(1g)に対し22mg/gであった。
(色素多量体14〜25の合成)
色素単量体の種類を下記表2に示すようにしたこと以外は色素多量体13の合成と同様にして、色素多量体14〜25を合成した。
下記表2において、色素単量体M4〜M15、及び、式(105)〜式(116)は以下の通りである。
ここで、色素単量体M4及びM5はアントラキノン色素であり、色素単量体M6はスクアリリウム色素であり、色素単量体M7はシアニン色素であり、色素単量体M8はフタロシアニン色素であり、色素単量体M9はサブフタロシアニン色素であり、色素単量体M10はキノフタロン色素であり、色素単量体M11はキサンテン色素であり、色素単量体M12〜M15はアゾ色素である。


〔実施例1〕
<着色組成物の調製>
(顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液)の調製)
以下のようにして、顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液)を調製した。
即ち、C.I.Pigment Blue15:6(青色顔料;以下、「PB15:6」とも称する)を11.8質量部(平均粒子径55nm)、及び顔料分散剤BY−161(BYK社製)を5.9質量部、PGMEA82.3質量部からなる混合液を、ビーズミル(beads mill)(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散した。その後、さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、顔料分散液として、C.I.Pigment Blue15:6分散液を得た。得られたC.I.Pigment Blue15:6分散液について、顔料の粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製))により測定したところ、24nmであった。
(着色組成物の調製)
下記の各成分を混合して分散、溶解し、着色組成物(着色硬化性組成物)を得た。
〜着色組成物の成分〜
・シクロヘキサノン 1.133部
・下記アルカリ可溶性樹脂J1 1.009部
・ソルスパース20000(1%シクロヘキサン溶液、日本ルーブリゾール(株)製)
0.125部
・光重合開始剤I−1(BASF社製IRUGACURE OXE01;化合物名:1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)) 0.087部
・上記色素多量体1 0.183部
・顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液) 2.418部
(固形分濃度17.70%、顔料濃度11.80%)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製) 0.521部
・グリセロールプロポキシレート(1%シクロヘキサン溶液) 0.048部
<下塗り層付シリコン基板の作製>
(下塗り層用レジスト液の調製)
下記組成の成分を混合して溶解し、下塗り層用レジスト液を調製した。
〜下塗り層用レジスト液の組成〜
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
・溶剤:乳酸エチル 36.67部
・アルカリ可溶性樹脂:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18、重量平均分子量15,000 数平均分子量9,000)の40%PGMEA溶液 30.51部
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製) 12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤:F−475、DIC(株)製 0.83部
・光重合開始剤:トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤 0.586部
(TAZ−107、みどり化学社製)
(下塗り層付シリコン基板の作製)
6inchシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、前記下塗り層用レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
<カラーフィルタ(着色パターン)の作製>
上記で調製された着色組成物を、上記で作製された下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.2μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cmの種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に着色パターンを形成した。
着色パターンが形成されたシリコンウエハを、真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
以上により、下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に着色パターン(カラーフィルタ)が設けられた構成の着色パターン付シリコンウエハを得た。
その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。
パターンサイズが1.2μmとなる露光量の着色パターンを用い、現像残渣、パターンエッジ形状、色ムラ(ザラ)の評価を行った。
<評価>
上記で得られた着色パターン付シリコンウエハを用い、以下の評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
(残渣)
上記着色パターン付シリコンウエハにおける着色パターンの形成領域外(未露光部)を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率10000倍)で観察し、下記評価基準に従って現像残渣を評価した。
〜現像残渣の評価基準〜
A:着色パターンの形成領域外(未露光部)には、残渣がまったく確認されなかった
B:着色パターンの形成領域外(未露光部)に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
C:着色パターンの形成領域外(未露光部)に、残渣が著しく確認された。
(パターンエッジ形状)
上記着色パターン付シリコンウエハの着色パターンのパターンエッジ形状をSEM(倍率10000倍)で観察し、下記評価基準に従ってパターンエッジ形状を評価した。
〜パターンエッジ形状の評価基準〜
A:縁部が精細であった。
B:縁部がやや精細でなかったが、実用上問題のない程度であった。
C:縁部が精細でなかった。
(色ムラ(ザラ))
得られた単色のカラーフィルタ(着色パターン)を光学顕微鏡の観測レンズと光源との間に設置して光を観測レンズに向けて照射し、その透過光状態を倍率が1000倍のデジタルカメラが設置された光学顕微鏡によって観察した。光学顕微鏡に設置されたデジタルカメラには128万画素のCCDが搭載されており、透過光状態にある被膜表面を撮影した。撮影画像は8ビットのビットマップ形式でデジタル変換したデータ(デジタル画像)として保存した。
なお、着色パターンの被膜表面の撮影は任意に選択した20の領域に対して行った。また、デジタル変換したデータは、撮影画像をR G B の3原色それぞれの輝度を0〜255までの256階調の濃度分布として数値化して保存した。
次いで、保存されたデジタル画像について、1つの格子サイズが実基板上の2μm四方に相当するように、格子状に区分し、一つの区画内での輝度を平均化した。本実施例においては、128万画素のデジタルカメラで光学1000倍の画像を撮影したため、実基板上の2μmは撮影画像上の2mmとなり、ディスプレイ上における画像サイズが452mm×352mmであったことから、一つの領域における総区画数は39776個であった。
各領域の全区画について、任意の1区画とそれに隣接する全ての隣接区画の平均輝度とを計測した。隣接区画の平均輝度との差が5以上の区画を有意差区画と認定し、全領域の有意差区画の平均総数と、全領域の有意差区画の平均総数が各領域の全区画数(39776個)に対して占める割合(以下、単に「割合」ともいう)と、を算出した。この数値は、小さいほど色ムラ(ザラ)が少ないと判断する。有意差区画数が800以下、割合が3%以下で実用上問題のないレベルと判断する。
〜色ムラ(ザラ)の評価基準〜
A:有意差区画数が500未満、かつ割合が2%未満であり優れているレベル
B:有意差区画数が800以下、かつ割合が3%以下であり(但し、上記Aに該当する場合を除く)、実用上問題のないレベル
C:有意差区画数800超及び割合3%超の少なくとも一方に該当し、実用上問題となるレベル
〔実施例2〜22、比較例1〜3〕
実施例1において、着色組成物の調製に用いた色素多量体1を、下記表3に示す色素多量体に変更したこと、および顔料分散液を下記表3に示す顔料の分散液に変更した以外は実施例1と同様にして着色組成物を調製した。得られた着色組成物を用い、実施例1と同様にして着色パターン付シリコンウエハを作製し、評価を行った。
評価結果を下記表3に示す。
下記表3に示す顔料の分散液は、実施例1における「C.I.Pigment Blue15:6分散液の調製」において青色顔料として用いたC.I.Pigment Blue15:6に代えて、下記の顔料を用いたこと以外は実施例1における「C.I.Pigment Blue15:6分散液の調製」と同様にして調製した。
・赤色用顔料A
C.I.ピグメントレッド254(PR254)(粒子径26nm)
・赤色用顔料B
C.I.ピグメントレッド177(PR177)(粒子径28nm)
・緑色用顔料A
C.I.ピグメントグリーン36(PG36)(粒子径25nm)
・緑色用顔料B
C.I.ピグメントグリーン58(PG58)(粒子径30nm)
・黄色用顔料A
C.I.ピグメントイエロー139(PY139)(粒子径27nm)
・黄色用顔料B
C.I.ピグメントイエロー150(PY150)(粒子径26nm)

表3に示すように、実施例1〜22では、残渣及び色ムラが抑制されており、パターンエッジ形状が良好であった。
これに対し、色素多量体の合成に用いた重合溶液の濁度が30ppmを超える比較例1〜3では、残渣、色ムラ、及びパターンエッジ形状が悪化した。

Claims (13)

  1. 濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液を用いて色素多量体を作製する色素多量体作製工程と、
    少なくとも、前記色素多量体と、重合性化合物と、溶剤と、を混合する混合工程と、
    を有するカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  2. 前記重合溶液中における前記色素の含有量が、20質量%〜40質量%である請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  3. 前記色素が、ジピロメテン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、及びサブフタロシアニン色素からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  4. 前記色素がエチレン性不飽和結合を有し、前記色素多量体が前記色素のラジカル重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  5. 前記色素多量体作製工程は、アルカリ可溶性基を有する色素多量体を作製する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  6. 前記混合工程は、更に、重合開始剤を混合する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  7. 前記混合工程は、更に、アルカリ可溶性樹脂を混合する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  8. 前記混合工程は、更に、顔料を混合する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  9. 前記濁度が30ppm以下であり色素を含む重合溶液は、色素を含む重合溶液をフィルターろ過して作製された重合溶液である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法によって作製されたカラーフィルタ用着色組成物。
  11. 支持体上に、請求項10に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
  12. 請求項10に記載のカラーフィルタ用着色組成物を支持体上に付与し、マスクを介して露光し、現像して着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法。
  13. 請求項11に記載のカラーフィルタ又は請求項12に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
JP2011185214A 2011-08-26 2011-08-26 カラーフィルタ用着色組成物及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子 Active JP5698093B2 (ja)

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