JP2013044617A - 信号処理装置及び信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】渦電流探傷プローブ11の検出電圧を同期検波器13により検波する。ローパスフィルタ14により抽出した探傷信号は、2分して、一方の探傷信号は、差分処理装置23へ直接供給し、他方の探傷信号は、遅延装置22を介して差分処理装置23へ供給する。差分処理装置23は、両探傷信号の差を取り、差探傷信号FS3をキズ評価装置16へ供給する。差探傷信号FS3は、直流成分が除去されている。
【選択図】図1
Description
探傷信号等の抽出信号から直流成分を除去する信号処理は、探傷装置に限らず、光デイスクの検出装置、カメラ等の撮像装置の振れ検出装置、生体の呼吸計測装置の検出装置、自動工作機械の工具の位置検出装置等においても、検出装置(センサ)の検出信号や計測信号に対して信号処理が行われている。
ここで図5により従来の渦電流探傷装置の探傷信号(キズ信号)の抽出方法について、その概要を説明する(特許文献1に類似の装置が記載されている)。
なお探傷信号に直流成分が含まれていると、探傷信号を増幅するとき増幅度を大きくできないし、また直流成分が、電源電圧や温度の変化によりドリフトすると、キズ有無の判定に用いる閾値の設定が難しくなるため、直流成分を除去する必要がある。
図6、図7は、キズの深さがキズの長手方向に徐々に深くなるキズを探傷して取得した探傷信号の波形を示す。図6は、渦電流探傷プローブの走査方向と直交する方向に進展するキズの探傷信号の波形を、図7は、渦電流探傷プローブの走査方向と平行する方向に進展するキズの探傷信号の波形を示す。
まず図6(b)の波形についてみると、直流成分は、除去されており、探傷信号の振幅の最大値は,図6(a)とほぼ同じになる。したがって走査方向と直交する方向のキズの探傷信号は、ハイパスフィルタにより直流成分を除去しても、探傷信号が抑制されることはない。
次に図7(b)の波形についてみると、直流成分は、除去されているが、探傷信号も抑制されてしまい探傷信号の振幅の最大値は、図7(a)の探傷信号に対して極端に小さくなってしまう。したがって図7(b)の場合には、ハイパスフィルタにより探傷信号に含まれる直流成分を除去すると、探傷信号の検出が困難になる。
そこで本願発明は、ハイパスフィルタを用いることなく、探傷信号に含まれている直流成分を除去できる信号処理装置と信号処理方法を提供することを目的とする。
請求項2に記載の信号処理装置は、請求項1に記載の信号処理装置において、前記直流成分を含む信号は、渦電流探傷信号であることを特徴とする。
請求項3に記載の信号処理装置は、請求項2に記載の信号処理装置において、前記信号抽出装置は、同期検波器とローパスフィルタであることを特徴とする。
請求項4に記載の信号処理方法は、直流成分を含む信号を抽出し、その抽出した信号とその抽出した信号の遅延信号との差を取って直流成分を除去することを特徴とする。
請求項5に記載の信号処理方法は、請求項4に記載の信号処理方法において、直流成分を含む信号は、渦電流探傷信号であることを特徴とする。
請求項6に記載の信号処理方法は、請求項5に記載の信号処理方法において、前記渦電流探傷信号は、同期検波器とローパスフィルタにより抽出することを特徴とする。
渦電流探傷装置の探傷信号には、キズの形状により非常に低い周波数成分が含まれている場合があり、その低い周波数成分もキズ有無の判別に欠かせない場合があるが、本願発明の信号処理装置は、低い周波数成分を除去或いは抑制することなく直流成分を除去できるから、従来検出が困難であったキズも検出することができる。
直流成分を含む信号から直流成分を除去するとき、従来のようにハイパスフィルタを用いる場合には、ハイパスフィルタは、シャープな減衰特性を有するものが必要になるが、そのような特性のハイパスフィルタは実現が困難である。一方本願発明は、遅延装置と差分処理装置を用いるだけで直流成分を除去することができるから、直流成分を除去する信号処理装置が簡単になる。
図1は、渦電流探傷装置の構成を示す。
図1(a)において、符号11〜14,16は、図5と同じであるから、説明は省略する。
ローパスフィルタ14により取り出した探傷信号は、A/D変換器21によりデジタル信号に変換する。A/D変換器21の出力は、2分して一方の探傷信号は、差分処理装置23へ直接供給し、他方の探傷信号は、遅延装置22を介して差分処理装置23へ供給する。
ここでA/D変換器21から差分処理装置23へ直接供給する探傷信号を「元の探傷信号」と呼び、遅延装置22を介して差分処理装置23へ供給する探傷信号を「遅延探傷信号」と呼ぶ。
差分処理装置23は、元の探傷信号FS1と遅延探傷信号FS2の差を取り、両探傷信号の差信号(差探傷信号と呼ぶ)FS3をキズ評価装置16へ供給する。キズ評価装置16は、その差探傷信号FS3を用いてキズの有無を評価する。
遅延装置22の遅延時間は、探傷の対象になるキズに起因して発生する探傷信号の立ち上り時間を勘案して設定する。即ち探傷信号の立ち上り時間は、キズの形状等によって異なるから、探傷の対象となるキズの内、信号の立ち上り時間が最も遅いキズによって発生する探傷信号が許容される振幅に達するまでの時間を勘案して設定する。
なお遅延装置22は、メモリと読取装置を用いずに遅延回路を用いることもできる。またローパスフィルタの出力は、A/D変換することなく、アナログ信号のままで処理することもできる。
図2において、図2(a)は、Θ型渦電流探傷プローブPの走査方向を示し、図2(b)は、被検査体Tのキズの形状を示す。
Θ型渦電流探傷プローブPは、円形の励磁コイルECのコイル軸が被検査体Tの検査面と直交し、検出コイルDCのコイル軸が被検査体Tの検査面と平行するように設置し、検出コイルDCのコイル軸と直交する方向X1が走査方向X2に対して45度となるように設置して、X2方向へ走査する。
被検査体Tは、鋼板からなり、機械加工により長さ30mm、幅0.5mm、深さ2mmのキズF1,F2を形成してある。キズF1は、そのキズの長手方向が走査方向X2と平行になり、キズF2は、そのキズの長手方向が走査方向X2と直交している。またキズF1のY1方向の断面は、図2(b)のように徐々に深くなり、一番深い部分の深さが2mmである。キズF2の形状は、キズF1と同じである。
図3は、図2のキズF2を探傷して取得した元の探傷信号、遅延探傷信号及び差探傷信号の波形を示し、図4は、図2のキズF1を探傷して取得した元の探傷信号、遅延探傷信号及び差探傷信号の波形を示す。
図3、図4において、横軸は、渦電流探傷プローブPの走査時間(s)を、縦軸は、探傷信号の振幅(V)を表している。また図3、図4において、両図(a)の実線は元の探傷信号の波形を、破線は遅延探傷信号の波形を示し、両図(b)は、差探傷信号の波形を示す。
まず図3において、図3(a)の元の探傷信号と遅延探傷信号の差を取ると、差探傷信号の波形は、図3(b)のようになり、直流成分が除去されていることが分かる。また差探傷信号は、元の探傷信号の振幅の最大値を保持していることも分かる。
キズが図2のF1の場合、従来のようにハイパスフィルタを用いると、探傷信号の振幅は、図7(b)のように非常に小さくなってしまい、キズの検出が困難であったが、本実施例の場合には、図4(b)のようにキズを確実に検出できる。
12 増幅器
13 同期検波器
14 ローパスフィルタ
16 キズ評価装置
21 A/D変換器
22 遅延装置
221 メモリ
222 読取装置
23 差分処理装置
F1,F2 キズ
P Θ型渦電流探傷プローブ
T 被検査体
Claims (6)
- 直流成分を含む信号を抽出する信号抽出装置、遅延装置、差分処理装置を備え、差分処理装置は、信号抽出装置から直接供給される信号と遅延装置を介して供給される信号との差を取って直流成分を除去することを特徴とする信号処理装置。
- 請求項1に記載の信号処理装置において、前記直流成分を含む信号は、渦電流探傷信号であることを特徴とする信号処理装置。
- 請求項2に記載の信号処理装置において、前記信号抽出装置は、同期検波器とローパスフィルタであることを特徴とする信号処理装置。
- 直流成分を含む信号を抽出し、その抽出した信号とその抽出した信号の遅延信号との差を取って直流成分を除去することを特徴とする信号処理方法。
- 請求項4に記載の信号処理方法において、直流成分を含む信号は、渦電流探傷信号であることを特徴とする信号処理方法。
- 請求項5に記載の信号処理方法において、前記渦電流探傷信号は、同期検波器とローパスフィルタにより抽出することを特徴とする信号処理方法。
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