JP2010156617A - 渦電流探傷方法と渦電流探傷装置 - Google Patents

渦電流探傷方法と渦電流探傷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基準キズのキズ信号の位相角と被検査体のキズ信号の位相角を比較して、被検査体のキズが基準キズより浅いか深いかを推定する渦電流探傷装置において、リフトオフ、キズの形状や渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響を低減することを目的とする。
【解決手段】励磁電源21から高い周波数(例えば400kHz)と低い周波数(例えば32kHz)の励励磁電流を磁コイルECに供給し、同期検波器23l,23hにおいて励磁電流と同じ周波数の搬送波により検出コイルDCの検出信号を検波し、ローパスフィルタ24l,24hによってキズ信号を取り出す。キズ評価装置26は、基準キズにおける両キズ信号の位相角差と被検査体の未知の深さのキズにおける両キズ信号の位相角差とを比較して、被検査体のキズが基準キズより浅いか深いかを推定する。
【選択図】図1

Description

本願発明は、渦電流探傷プローブによって検出されたキズ信号を用いて金属の被検査体のキズの深さを推定する渦電流探傷方法と渦電流探傷装置に関する。
従来被検査体のキズの深さを推定する方法として、渦電流探傷プローブにより検出されたキズ信号の位相(位相角)を利用し、深さが既知の基準キズと未知のキズに起因して発生する両キズ信号の位相を比較して、深さが未知のキズは、基準キズより深いか浅いかを推定する方法と、深さが未知のキズ信号の位相を用いてキズの深さ(深さの絶対値)を推定する方法とが提案されている。
図9により、従来の深さが未知のキズが基準キズよりも深いか浅いかを推定する方法について説明する。
図9(a)は、従来の渦電流探傷装置の構成を示す(例えば特許文献1参照)。図9(b)は、被検査体のキズの深さを示し、図9(c)は、キズ信号の位相を説明するベクトル波形を示す。
渦電流探傷プローブpは、励磁コイルec、キズ信号を検出する検出コイルdc、渦電流探傷プローブpのリフトオフを検出するリフトオフ検出コイルlcからなり、励磁コイルecには、励磁電源11から所定周波数の励磁電流が供給される。検出コイルdcによって検出されたキズ信号(高周波のキズ信号)は、増幅器12を介して同期検波器13へ供給される。同期検波器13は、励磁電流と同じ周波数の搬送波(参照信号)により高周波のキズ信号を検波する。ローパスフィルタ14は、同期検波器13の出力からキズ信号を取り出す。信号処理回路や位相比較器等からなるキズ評価装置16は、深さが未知のキズのキズ信号の位相角を基準キズのキズ信号の位相角と比較して、深さが未知のキズは基準キズより深いか浅いかを推定する。
キズの深さを推定する際、キズ信号の位相角は、渦電流探傷プローブpと被検査体tの距離(リフトオフ)により変わるため、図9(a)の渦電流探傷装置は、リフトオフ測定器15を設けて、リフトオフ検出コイルlcの検出信号に基づいてリフトオフを測定し、そのリフトオフの大きさに応じて増幅器12のゲインを制御して、キズ信号の位相角がリフトオフの影響を受けないようにしている。
次に図9(b)、図9(c)により、キズの深さとキズ信号の位相角について説明する。
被検査体tのキズtk1,tk2,tk3の深さd1,d2,d3が、d1<d2<d3の場合、キズ信号のベクトル波形は、図9(c)のようになる。
ここで図9(c)の縦軸は、キズ信号のY成分Vyを、横軸は、位相が90度異なるX成分Vxを表している。またs1は、深さd1のキズのキズ信号を、s2は、深さd2のキズのキズ信号を、s3は、深さd3のキズのキズ信号を表し、θ1,θ2,θ3は、キズ信号s1,s2,s3の位相角を表している。
キズ信号s1,s2,s3の位相角は、キズの深さd1,d2,d3によって異なるから、例えば深さがd2のキズを基準キズにした場合、位相角θ1は位相角θ2よりも大きい(θ1>θ2)から、キズの深さd1は、d2よりも浅い(d1<d2)と推定し、位相角θ3は位相角θ2よりも小さい(θ3<θ2)から、キズの深さd3は、d2よりも深い(d3>d2)と推定する。このように基準キズの深さが分かっていれば、深さが未知のキズのキズ信号の位相角を基準キズのキズ信号の位相角と比較することにより、被検査体のキズが基準キズより浅いか深いかを推定することができる。
次に従来の深さが未知のキズについてその深さ(深さの絶対値)を推定する方法を説明する(例えば特許文献2参照)。
渦電流探傷装置は、例えば図9(a)のものを用いる。励磁電源11から所定周波数の励磁電流を励磁コイルecに供給し、検出コイルdcにより検出されたキズ信号(高周波のキズ信号)を同期検波器13によって検波し、ローパスフィルタ14によりキズ信号を取り出す。キズ評価装置16は、ローパスフィルタ14により取り出されたキズ信号の位相角を検出し、その検出した位相角を用いて未知のキズの深さを推定する。キズの深さの推定は、例えば、事前にキズの深さ推定曲線図(キズ信号の位相角とキズの深さを表す曲線図)を作成しておき、そのキズの深さ推定曲線図を用いて検出したキズ信号の位相角からキズの深さを推定する。またキズの深さは、キズの深さ推定曲線図を用いないで、キズ信号の位相角を用いて計算により推定することもできる。
特開2003−232776号公報 特開平10−288604号公報
被検査体のキズの深さは、キズ信号の位相(位相角)を用いて推定できるが、キズ信号の位相は、キズの深さの外に渦電流探傷プローブのリフトオフ、キズの開口幅、長さ等の形状によっても変わる。またキズ信号の位相は、渦電流探傷プローブのコイルの形状によっても変わるため、渦電流探傷装置に用いる渦電流探傷プローブ毎に、或いは渦電流探傷装置毎に事前にその形状の影響を調べてキズ信号の位相の設定を調整しなければならない。したがってキズ信号の位相を用いてキズの深さを推定するには、リフトオフ、キズの形状や渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響を低減する必要がある。リフトオフの影響は、図9のようにリフトオフを測定してリフトオフに応じてキズ信号を調整することにより低減できるが、リフトオフ検出コイルやリフトオフ測定器等のリフト検出手段が必要になり、また測定したリフトオフに基づいて増幅器のゲイン等を制御するキズ信号調整手段が必要になる。したがって渦電流探傷プローブは大型化して複雑になり、渦電流探傷装置も複雑になる。
一方キズの形状は多種多様であるため、事前にキズの形状を予測してそれらの影響を低減する措置を講じることは、困難であり、また渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響を渦電流探傷プローブ毎に、或いは渦電流探傷装置毎に事前に調べてキズ信号の位相の設定を調整することは大変な作業である。
本願発明は、従来のキズ信号の位相を用いてキズの深さを推定する渦電流探傷方法や渦電流探傷装置における前記問題点に鑑み、その渦電流探傷方法や渦電流探傷装置において、リフトオフ検出手段やキズ信号調整手段を設けることなくリフトオフの影響を低減し、かつキズの形状や渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響も低減することを目的とする。
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載の渦流探傷方法は、被検査体を周波数が異なる二つの励磁電流で探傷し、深さが未知のキズにより得られた二つのキズ信号の位相角差によりキズの深さを推定することを特徴とする。
請求項2に記載の渦流探傷方法は、請求項1の渦流探傷方法において、前記二つのキズ信号の位相角差をあらかじめ深さの分かっている基準キズを前記二つの励磁電流で探傷して得られた二つのキズ信号の位相角差と比較してキズの深さを推定することを特徴とする。
請求項3に記載の渦流探傷方法は、請求項2に記載の渦流探傷方法において、前記基準キズは複数であることを特徴とする。
請求項4に記載の渦流探傷方法は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の渦流探傷方法において、前記二つの励磁電流は、前記被検査体のキズの深さに対応して周波数を選定することを特徴とする。
請求項5に記載の渦流探傷装置は、渦電流探傷プローブの渦電流探傷コイルに二つの異なる周波数の励磁電流を供給する励磁電源、夫々の励磁電流の周波数と同じ周波数の二つの搬送波を発生する発振器、発振器から供給される搬送波により渦電流探傷プローブによって検出された検出信号を検波する同期検波器、同期検波器の出力から二つのキズ信号を取り出すフィルタ、二つのキズ信号の位相角差により被検査体のキズの深さを推定するキズ評価装置を備えていることを特徴とする。
請求項6に記載の渦流探傷装置は、請求項5に記載の渦電流探傷装置において、前記二つの励磁電流は同時に供給することを特徴とする。
請求項7に記載の渦流探傷装置は、請求項5に記載の渦電流探傷装置において、前記二つの励磁電流は時分割で供給し、前記搬送波は励磁電流と同期していることを特徴とする。
請求項8に記載の渦流探傷装置は、請求項5、請求項6又は請求項7に記載の渦電流探傷装置において、前記キズ評価装置は、前記被検査体のキズのキズ信号の位相角差をあらかじめ深さの分かっている基準キズのキズ信号の位相角差と比較してキズの深さを推定することを特徴とする。
請求項9に記載の渦流探傷装置は、請求項8に記載の渦電流探傷装置において、前記基準キズは複数であることを特徴とする。
本願発明は、高い周波数と低い周波数の二つの励磁電流を用い、両励磁電流によって発生する二つのキズ信号の位相角差を用いてキズの深さを推定するから、リフトオフ、キズの形状や渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響を受けることなく簡単に精度よくキズの深さを推定できる。
本願発明は、キズの形状の影響を受けることなくキズの深さを推定できるから、基準キズとして作製した人工キズを使用して実際のキズ深さを推定することができる。また本願発明は、渦電流探傷プローブのコイルの形状の影響を渦電流探傷プローブ毎に、或いは渦電流探傷装置毎に事前に調べてキズ信号の位相の設定を調整する必要がないから、探傷作業が容易になる。
本願発明は、高い周波数と低い周波数の二つの励磁電流を用い、両励磁電流によって発生する二つのキズ信号を用いて、被検査体のキズにおける二つのキズ信号の位相角差を基準キズにおける二つのキズ信号の位相角差と比較してキズの深さを推定するから、リフトオフ、キズの形状や渦電流探傷プローブのコイルの形状ばらつきの影響を受けることなく簡単にキズの深さを推定できる。
本願発明は、高い周波数と低い周波数の二つの励磁電流を用いるが、二つの励磁電流は、同時に又は時分割で供給するから、渦電流探傷プローブの走査は、一回だけでよい。また渦電流探傷プローブの走査は、一回でよいから、一回目の走査と2回目の走査とでリフトオフが異なるというような問題も生じない。
本願発明は、高い周波数と低い周波数の二つの励磁電流を時分割で供給し、励磁電流に同期してキズ信号を時分割で取り出すから、渦電流探傷装置の構成が簡単になる。
本願発明は、基準キズを複数設けるから、被検査体のキズが基準キズよりも深いか浅いか或いは同じかを判別するだけで容易にキズの深さを推定することができる。
図1〜図8により本願発明の実施例に係る渦電流探傷装置と渦電流探傷方法を説明する。
まず図1の渦電流探傷装置を説明する。図1(a)は、渦電流探傷装置の構成を、図1(b)は、被検査体のキズを示す。
図1(a)の渦電流探傷装置は、励磁コイルEC、検出コイルDCからなる渦電流探傷プローブP、励磁電源21、増幅器22、同期検波器23l,23h、ローパスフィルタ24h,24l、発振周波数Fhの発振器25h、発振周波数Flの発振器25l、キズ信号を処理して被検査体のキズの深さを推定するキズ評価装置26を備えている。
励磁電源21は、発振器25h,25lによって高い周波数Fhと低い周波数Fl(Fh>Fl)の2つの励磁電流を発生して励磁コイルECへ供給する。検出コイルDCは、被検査体Tのキズに起因して発生するキズ信号(高周波のキズ信号)を検出する。キズ信号は、増幅器22によって増幅され、同期検波器23h、23lへ供給される。同期検波器23h、23lは、発振器25h,25lから供給される励磁電流と同じ周波数の搬送波(参照信号)によってキズ信号を検波する。ローパスフィルタ24l,24hは、同期検波器23h、23lの出力から、周波数Fh,Flの励磁電流によって発生した2つのキズ信号を取り出してキズ評価装置26へ供給する。
キズ評価装置26は、キズ信号の位相(位相角)を変える手段或いはキズ信号のベクトル波形を回転する手段、2つのキズ信号の位相角或いは位相角差を計算及び記憶する手段、被検査体のキズの位相角或いは位相角差を基準キズの位相角或いは位相角差と比較して、被検査体のキズが基準キズより浅いか深いか或いは同じかを推定する手段、二つの励磁電流によって発生する二つのキズ信号の位相角差からキズの深さ(深さの絶対値)を推定する手段、推定結果を表示或いは記録する手段、ベクトル波形の表示手段等を備えている。位相角の可変手段は、移相回路、パーソナルコンピュータ等を用いる。ベクトル波形の表示手段は、パーソナルコンピュータ等のデイスプレイ、オシロスコープ等を用いる。
図1(b)は、図1(a)の渦電流探傷装置により深さを推定するキズの例で、被検査体Tは、深さD1,D2,D3のキズTK1,TK2,TK3を有し、それらのキズの深さは、D1<D2<D3である。
図1は、Θ型の渦電流探傷プローブPを例に説明したが、渦電流探傷プローブは、Θ型に限らず他の相互誘導自己比較型のもの(励磁と検出を分離する方式のもの)や、自己誘導自己比較型のもの(励磁と検出を同じコイルで兼ねる方式のもの)、その他の方式のものであってもよい。またキズ信号の検出手段は、コイルに限らずGMR素子等の感磁素子を用いてもよい。したがって本願発明は、励磁コイル、検出コイルを単に渦電流探傷コイルと呼ぶことがある。
図1(a)の渦電流探傷装置は、周波数Fh,Flの励磁電流と搬送波を同時に供給するから、同期検波器とローパスフィルタは周波数毎に別々に設けているが、周波数Fh,Flの励磁電流と搬送波を時分割で供給し、同期検波器等を共通に使用するように構成してもよい。
図2は、周波数Fh,Flの励磁電流と搬送波を時分割で供給する渦電流探傷装置の構成を示す。
図2の渦電流探傷装置の基本的構成は、図1の渦電流探傷装置と同じであるから、図1と同じ部分は、同じ符号を使用している。
励磁コイルECには、励磁電源21から高い周波数Fhの励磁電流と低い周波数Flの励磁電流がスイッチSW1の端子T1l,T1hを介して時分割で供給されるとともに、同期検波器23には、発振器25h、25lからスイッチSW2の端子T2l,T2hを介して励磁電流と同じ周波数の搬送波が時分割で供給される。スイッチSW1,SW2は、同期して切り換えられる。
図2の渦電流探傷装置は、同期検波器やローパスフィルタを励磁周波数毎に設ける必要がないから、構成が簡単になる。
次に図3により、被検査体のキズが基準キズより深いか浅いか或いは同じかを推定する第1の推定方法について説明する。
図3(a)は、キズの深さDとキズ信号の位相角Θの関係を示し、実線は、低い周波数Flの励磁電流によって発生するキズ信号Slの位相角Θlを示し、破線は、高い周波数Fhの励磁電流によって発生するキズ信号Shの位相角Θhを示す。
キズ信号の位相角Θは、励磁電流の周波数によって異なり、かつキズの深さによって異なる。したがってキズの深さがD1,D2,D3のとき、周波数Fh,Flの励磁電流により発生するキズ信号の位相角差ΔΘ1,ΔΘ2,ΔΘ3は、ΔΘ1>ΔΘ2>ΔΘ3となる。
図3(b)は、キズの深さD=D2のときのキズ信号のベクトル波形を示し、実線は、低い周波数Flの励磁電流によって発生するキズ信号Sl2のベクトル波形を、破線は、高い周波数Fhの励磁電流によって発生するキズ信号Sh2のベクトル波形を示す。またΘl2は、キズ信号Sl2の位相角を、Θh2は、キズ信号Sh2の位相角を示す。
キズ信号Sl2の位相角Θl2とキズ信号Sh2の位相角Θh2の位相角差ΔΘ2は、ΔΘ2=Θl2−Θh2となる。即ちキズの深さがD2のとき、周波数Fl,Fhの励磁電流によって生じるキズ信号Sl2とキズ信号Sh2の位相角は、ΔΘ2だけ相違している。
ここでキズTK2を基準キズにし、基準キズの深さD2におけるキズ信号Sl2とキズ信号Sh2の位相角差ΔΘ2を事前に確認しておけば、未知の深さDxのキズのキズ信号Slxとキズ信号Shxの位相角差がΔΘx(Θlx−Θhx)の場合、その位相角差ΔΘxを基準キズの位相角差ΔΘ2と比較することにより、即ちΔΘx<ΔΘ2か、ΔΘx>ΔΘ2か、或いはΔΘx=ΔΘ2かを判別することにより、深さDxが深さD2より浅いか(Dx<D2)、深いか(Dx>D2)、或いは同じか(Dx=D2)を推定することができる。その際、基準キズのキズ信号Sl又はキズ信号Shの位相角を変えて基準キズの位相角差ΔΘ2=0に設定しておくと、位相角差ΔΘxと位相角差ΔΘ2の比較が簡単になる。
周波数Fh,Flの励磁電流によって発生するキズ信号Sl,Shの位相角Θl,Θhは、キズの深さDによって変わるが、同時にリフトオフやキズの形状によっても変わる。しかしリフトオフやキズの形状がキズ信号Sl,Shの位相角Θl,Θhに与える影響は、同程度であるから、両キズ信号の位相角差にはその影響は現れない。即ちキズ信号Sl,Shの位相角Θl,Θhは、リフトオフやキズの形状によっても変わるが、両キズ信号の位相角差ΔΘにはその変化は現れない。また同様に電流探傷プローブのコイルの形状の影響は、両キズ信号の位相角差ΔΘに現れない。
励磁電流の周波数Fh,Flは、キズの深さや被検査体の材質によって探傷に適した範囲があるから、それらを勘案して周波数Fh,Flを選定する。
次に図4、図5により被検査体のキズが基準キズより深いか浅いか或いは同じかを推定する第2の推定方法について説明する。
まず図4(a1),(a2)において、基準キズの深さがD2の場合、周波数Fl,Fhの励磁電流によって生じるキズ信号Sl2とキズ信号Sh2の位相角Θl2、Θh2は、図3(b)と同様に図4(a2)のようになる。ここで図4(a2)において、キズ信号Sl2を時計方向へΘl2=Θh2となるように回転して、図4(b2)のようにキズ信号Sh2に重ねる。即ち図4(b1)のように、位相角差ΔΘ2=0に設定する。その場合、キズ信号Sh2を反時計方向へ回転してもよい。
図4(b1),(b2)のように設定した後、深さが未知のキズについてそのキズの深さを推定する。例えば、図5(a1),(a2)のように、キズの深さが未知のDx1(Dx1<D2)の場合、キズ信号のベクトル波形は、図5(a2)のようになり、キズ信号Slx1はキズ信号Shx1よりも反時計方向へ進んでいるから、キズの深さDx1は基準キズの深さD2よりも浅いと推定できる。逆に図5(b1),(b2)のように、キズの深さが未知のDx2(Dx2>D2)の場合、キズ信号のベクトル波形は、図5(b2)のようになり、キズ信号Slx2はキズ信号Shx2よりも反時計方向へ遅れているから、キズの深さDx2は基準キズの深さD2よりも深いと推定できる。
ここでキズ信号のベクトル波形は、デイスプレイ、例えばパソコン等のデイスプレイ、オシロスコープに表示する。またキズ信号の回転は、図1のキズ評価装置26内に設けた移相回路、マイクロコンピュータ等によりキズ信号Sl,Shの位相角を変えて行う。
図4,図5のキズの深さの推定方法の場合、基準キズのキズ信号Sl2,Sh2のいずれかを回転して、位相角Θl2,Θh2を同じ大きさ(Θl2=Θh2)に設定するから、ベクトル波形を見れば、一目で被検査体のキズが基準キズより浅いか深いか或いは同じかが分かるから、キズの深さの推定が容易になる。
図6,7は、キズの深さの推定試験の結果を示すベクトル波形を示す。
試験は、基準キズとしてアルミ合金の平板に機械加工により深さ0.8mmのキズを形成したものを用い、被検査体として放電加工により深さ0.5mmと1.0mmのキズを形成したアルミ合金の平板を用いた。励磁電流は、低い周波数Fl=32kHzに、高い周波数Fh=400kHzに設定し、リフトオフは、深さ0.5mmの場合0.1mmに、深さ1.0mmの場合0.2mmに設定した。
図6(a)は、被検査体のキズの深さが0.5mmの場合(被検査体のキズの深さ<基準キズの深さ)のベクトル波形を示し、図6(b)は、図6(a)のベクトル波形の輪郭の概略を示す、
図6から、被検査体のキズが基準キズよりも浅い(0.5mm<0.8mm)ときは、被検査体のキズ信号の位相角は、基準キズのキズ信号の位相角よりも、反時計方向へ進んでいることが分かる。
次に図7(a)は、被検査体のキズの深さが1.0mmの場合(被検査体のキズの深さ>基準キズの深さ)のベクトル波形を示し、図7(b)は、図7(a)のベクトル波形の輪郭の概略を示す、
図7から、被検査体のキズが基準キズよりも深い(1.0mm>0.8mm)ときは、被検査体のキズ信号の位相角は、基準キズのキズ信号の位相角よりも、反時計方向へ遅れていることが分かる。
また試験結果を示す図6、図7のベクトル波形は、図5(a2),(b2)のベクトル波形と同じように被検査体のキズが基準キズより浅いか或いは深いかを表しているから、キズ信号の位相角は、リフトオフ(前者は0.1mm、後者は0.2mm)の影響を受けていないことが分かる。
次に図8により被検査体のキズの深さ(深さの絶対値)を推定する第3の推定方法について説明する。
図8(a)は、図3(a)と同じ図で、キズの深さDとキズ信号の位相角Θの関係を示し、実線は、低い周波数Flの励磁電流によって発生するキズ信号Slの位相角Θlを示し、破線は、高い周波数Fhの励磁電流によって発生するキズ信号Shの位相角Θhを示す。
キズの深さがD1,D2,D3のとき、キズ信号の位相角差は、ΔΘ1,ΔΘ2,ΔΘ3となるから、キズ信号の位相角差ΔΘとキズの深さDの関係は、図8(b)のようにキズの深さ推定線図(キズの深さ推定曲線図)として表すことができる。図8(b)のキズの深さ推定線図を事前に作成しておけば、未知の深さDxのキズ信号の位相角差ΔΘxを検出したとき、その位相角差ΔΘxを用いて深さ推定線図からキズの深さDxを推定できる。
またキズの深さ推定線図の代わりに、事前に深さが既知の多数の基準キズについて位相角差を求めておき、未知の深さDxの位相角差ΔΘxを検出したとき、位相角差ΔΘxを多数の基準キズの位相角差と照合することにより深さDxを推定することもできる。例えば図8(a)において、キズの深さD1,D3が既知で、キズの深さD2が未知の場合(D2=Dx)、D2は、D1とD3の間にあることが分かるから、D1とD3の間に既知の深さの基準キズを多数用意することによりD2を推定することができる。
前記実施例は、いわゆる上置型の渦電流探傷プローブを用いた渦電流探傷装置について説明したが、上置型の渦電流探傷プローブに限らず、内挿型の渦電流探傷プローブ、貫通型の渦電流探傷プローブを用いても同様の作用効果を奏することができる。
本願発明の実施例に係る渦電流探傷装置の構成を示す。 図1と構成の一部が異なる本願発明の実施例に係る渦電流探傷装置の構成を示す。 本願発明の実施例に係る被検査体のキズの深さを推定する第1の推定方法を説明する図である。 本願発明の実施例に係る被検査体のキズの深さを推定する第2の推定方法を説明する図である。 図4とともに本願発明の実施例に係る被検査体のキズの深さを推定する第2の推定方法を説明する図である。 本願発明の被検査体の試験結果を示すベクトル波形である。 図6とキズの深さが異なる本願発明の被検査体の試験結果を示すベクトル波形である。 本願発明の実施例に係る被検査体のキズの深さを推定する第3の推定方法を説明する図である。 従来の渦電流探傷装置の構成を示す。
符号の説明
21 励磁電源
22 増幅器
23,23l、23h 同期検波器
24,24l,24h ローパスフィルタ
25l、25h 発振器
26 キズ評価装置
P 渦電流探傷プローブ
EC 励磁コイル
DC 検出コイル
T 被検査体

Claims (9)

  1. 被検査体を周波数が異なる二つの励磁電流で探傷し、深さが未知のキズにより得られた二つのキズ信号の位相角差によりキズの深さを推定することを特徴とする渦流探傷方法。
  2. 請求項1の渦流探傷方法において、前記二つのキズ信号の位相角差をあらかじめ深さの分かっている基準キズを前記二つの励磁電流で探傷して得られた二つのキズ信号の位相角差と比較してキズの深さを推定することを特徴とする渦流探傷方法。
  3. 請求項2に記載の渦流探傷方法において、前記基準キズは複数であることを特徴とする渦流探傷方法。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の渦流探傷方法において、前記二つの励磁電流は、前記被検査体のキズの深さに対応して周波数を選定することを特徴とする渦流探傷方法。
  5. 渦電流探傷プローブの渦電流探傷コイルに二つの異なる周波数の励磁電流を供給する励磁電源、夫々の励磁電流の周波数と同じ周波数の二つの搬送波を発生する発振器、発振器から供給される搬送波により渦電流探傷プローブによって検出された検出信号を検波する同期検波器、同期検波器の出力から二つのキズ信号を取り出すフィルタ、二つのキズ信号の位相角差により被検査体のキズの深さを推定するキズ評価装置を備えていることを特徴とする渦電流探傷装置。
  6. 請求項5に記載の渦電流探傷装置において、前記二つの励磁電流は同時に供給することを特徴とする渦電流探傷装置。
  7. 請求項5に記載の渦電流探傷装置において、前記二つの励磁電流は時分割で供給し、前記搬送波は励磁電流と同期していることを特徴とする渦電流探傷装置。
  8. 請求項5、請求項6又は請求項7に記載の渦電流探傷装置において、前記キズ評価装置は、前記被検査体のキズのキズ信号の位相角差をあらかじめ深さの分かっている基準キズのキズ信号の位相角差と比較してキズの深さを推定することを特徴とする渦電流探傷装置。
  9. 請求項8に記載の渦電流探傷装置において、前記基準キズは複数であることを特徴とする渦電流探傷装置。
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