JP2014202525A - 超音波探傷方法および超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探傷方法および超音波探傷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】境界エコーの形状が変化しても、未探傷領域を最小限にしつつも誤検出が発生しない超音波探傷方法を提供すること。【解決手段】本発明にかかる超音波探傷方法は、正側および負側の境界エコー検出閾値を設定する条件設定ステップと、探傷信号を取得する探傷信号取得ステップと、探傷信号の正側および負側の境界エコー検出時刻を検出する境界エコー検出ステップと、正側および負側の境界エコー検出時刻のうち何れかを基準時刻として選択する基準時刻選択ステップと、基準時刻から所定時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定するきずエコー検出ゲート設定ステップと、きずエコー検出ゲート内の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うきずエコー検出ステップとを含むことを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、超音波を用いて被検体の内部欠陥を検査する超音波探傷方法および超音波探傷装置に関する。
超音波探傷は、金属材料中の内部欠陥を検出する技術として広く用いられている。超音波探傷において、受信プローブにより受信される超音波は、金属材料中の内部欠陥に起因する超音波(きずエコーと呼ばれる)のみならず、金属材料の表面または裏面による反射などに起因する超音波(境界エコーと呼ばれる)も含まれる。そこで、きずエコーが検出され得る時刻の範囲にきずエコー検出ゲートを設定し、きずエコー検出ゲートの範囲中の超音波のみを検査対象として探傷が行われる。
自動超音波探傷では、上記きずエコー検出ゲートの設定を自動で行う機能が実装されている。すなわち、自動超音波探傷では、金属材料の表面または裏面による反射などに起因する超音波を検出し、これらのきずエコー以外の超音波を排除し得るようにきずエコー検出ゲートを自動設定することが行われている。
例えば、自動超音波探傷におけるきずエコー検出ゲートの自動設定方法として、受信超音波が境界エコー検出ゲート内において最初に境界エコー検出閾値を超えた時刻を基準として、きずエコー検出ゲートの終点を自動設定する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2005−283134号公報
しかしながら、従来のきずエコー検出ゲートの設定方法では、内部欠陥が被検体の境界に近い場合、きずエコーと境界エコーとを分離することが困難となる。特に被検体の境界から内部欠陥までの距離が、探傷に用いる超音波の波長(被検体内部での波長)と比較して数倍以内である場合、きずエコーと境界エコーとを分離することは非常に困難である。
しかも、境界エコーの波形は、必ずしも一定ではなく、被検体毎に変化する。したがって、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、境界エコーをきずエコーとして誤検出してしまうことがある。一方で、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、未探傷領域が大きくなり、きずエコーの不検知が発生してしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、境界エコーの形状が変化しても、未探傷領域を最小限にしつつも誤検出が発生しない超音波探傷方法および超音波探傷装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる超音波探傷方法は、被検体から受信した超音波の振幅が正負を含めて一致することにより検出判定を行うための正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値とを設定する条件設定ステップと、前記被検体から受信した超音波を電気信号に変換して探傷信号を取得する探傷信号取得ステップと、前記正側の境界エコー検出閾値および前記負側の境界エコー検出閾値のそれぞれを用いて、前記探傷信号の正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する境界エコー検出ステップと、前記正側境界エコー検出時刻および前記負側境界エコー検出時刻のうち何れかを基準時刻として選択する基準時刻選択ステップと、前記基準時刻から所定時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定するきずエコー検出ゲート設定ステップと、前記きずエコー検出ゲート内の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うきずエコー検出ステップとを含むことを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる超音波探傷装置は、被検体から受信した超音波を電気信号に変換して探傷信号を取得する探傷信号取得部と、前記被検体から受信した超音波の振幅が正負を含めて一致することにより検出判定を行うための正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値とが記録されているデータベースと、前記データベースに記録された前記正側の境界エコー検出閾値および前記負側の境界エコー検出閾値のそれぞれを用いて、前記探傷信号の正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出し、前記正側境界エコー検出時刻および前記負側境界エコー検出時刻のうち何れかを基準時刻として選択する境界エコー検出手段と、前記基準時刻から所定時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定するゲート設定手段と、前記きずエコー検出ゲート内の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うきずエコー検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置は、境界エコーの形状が変化しても、未探傷領域を最小限にしつつも誤検出が発生しないという効果を奏する。
図1は、反射式探傷における超音波の伝搬および受信超音波の概略図である。 図2は、透過式探傷における超音波の伝搬および受信超音波の概略図である。 図3は、境界エコーの波形が異なることにより発生する問題点を示す概略図である。 図4は、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法におけるきずエコー検出ゲートの設定方法を示す概略図である。 図5は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を模式的に示したブロック図である。 図6は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷方法の手順について示すフローチャートである。 図7は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置および超音波探傷方法による超音波探傷の実施例を示す探傷信号の振幅のグラフである。 図8は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置および超音波探傷方法による超音波探傷の実施例を示す探傷信号の振幅のグラフである。 図9は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を模式的に示したブロック図である。 図10は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法の手順について示すフローチャートである。 図11は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法を概略的に説明する説明図である。
以下に、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
垂直入射法による超音波探傷には、垂直反射式超音波探傷(以下、反射式探傷と記載)と垂直透過式超音波探傷(以下、透過式探傷と記載)とがある。本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置は、この反射式探傷および透過式探傷のいずれにおいても適用し得る。図1は、反射式探傷における超音波の伝搬および受信超音波の概略図であり、図2は、透過式探傷における超音波の伝搬および受信超音波の概略図である。
図1(a)に示されるように、反射式探傷では、送受信プローブ1が被検体2に超音波を送信し、被検体2から反射される超音波を受信する。この際、被検体2から反射される超音波には、被検体2中のきず3にて反射した超音波(以下、きずエコーFと記載)のみならず、被検体2の表面2aにて反射した超音波(以下、表面エコーRと記載)および被検体2の裏面2bにて反射した超音波(以下、裏面エコーRと記載)も含まれる。
図1(b)は、送受信プローブ1が受信する超音波を模式的に表したグラフである。なお、図1(b)に示されるグラフは、受信される超音波の振幅を時間軸に関して表したものである。図1(b)に示されるように、きずエコーF、表面エコーR、および裏面エコーRは、異なる時刻に送受信プローブ1が受信する。図1(a)に示されるように、きずエコーF、表面エコーR、および裏面エコーRは、送受信プローブ1に到達するまでの伝播距離が異なるからである。
きずエコーFは、被検体2におけるきず深さXに対応する伝播時間X’の2倍の時間、表面エコーRから遅れて送受信プローブ1に到達する。また、裏面エコーRは、被検体2の厚さTに対応する伝播時間T’の2倍の時間、表面エコーRから遅れて送受信プローブ1に到達する。したがって、きずエコー検出ゲートは、表面エコーRが検出される時刻の終端から裏面エコーRが検出される時刻の始端までの範囲となる。
一方、図2(a)に示されるように、透過式探傷では、送信プローブ1aが被検体2に超音波を送信し、受信プローブ1bが被検体2を透過する超音波を受信する。この際、受信プローブ1bにて受信される超音波には、被検体2中のきず3並びに表面2aにて反射した超音波(以下、きずエコーFと記載)および被検体2中のきず3並びに裏面2bにて反射した超音波(以下、きずエコーFと記載)のみならず、被検体2を直接透過した超音波(以下、透過エコーTと記載)および被検体2の表面2a並びに裏面2bにて反射した超音波(以下、反射エコーTと記載)も含まれる。
きずエコーFは、被検体2におけるきず深さXに対応する伝播時間X’の2倍の時間、透過エコーTから遅れて受信プローブ1bに到達する。きずエコーFは、被検体2における裏面2bからのきず深さXに対応する伝播時間X’の2倍の時間、透過エコーTから遅れて受信プローブ1bに到達する。また、反射エコーTは、被検体2の厚さTに対応する伝播時間T’の2倍の時間だけ透過エコーTから遅れて受信プローブ1bに到達する。したがって、きずエコー検出ゲートは、透過エコーTが検出される時刻の終端から反射エコーTが検出される時刻の始端までの範囲となる。
上記反射式探傷および透過式探傷の何れの場合でも、被検体2の裏面2bに近いきず3を検出するには、裏面エコーRまたは反射エコーTの始点の近くにきずエコー検出ゲート終点(以下ゲート終点と記載)を設定することが必要となる。さらに、送受信プローブ1、送信プローブ1a、または受信プローブ1bと被検体2との相対的位置が変化する場合、探傷位置により被検体2の厚さが変化する場合など、裏面エコーRまたは反射エコーTの出現時刻も変化してしまうので、これらの変化に追従してゲート終点を自動的に設定する必要がある。したがって、裏面エコーRまたは反射エコーT(以下簡単のために区別せず境界エコーと記載)を検出して、境界エコーから所定時間遡った時刻をゲート終点として自動設定を行う。
しかしながら、先述のように、境界エコーの波形は、必ずしも一定ではなく、被検体毎に異なる。結果、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、境界エコーを誤検出してしまい、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、未探傷領域が大きくなってしまう。図3は、境界エコーの波形が異なることにより発生する問題点を示す概略図である。
図3には、境界エコーの形状Aおよび形状Bの場合のそれぞれの場合における、ゲート終点の設定条件1および設定条件2の計4パターンのゲート終点の設定が記載されている。図3(a)は、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を1/2周期に設定した場合に境界エコーの形状Aを所定の閾値で検出した場合を示し、図3(b)は、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を3/2周期に設定した場合に境界エコーの形状Aを所定の閾値で検出した場合を示している。また、図3(c)は、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を1/2周期に設定した場合に境界エコーの形状Bを所定の閾値で検出した場合を示し、図3(d)は、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を3/2周期に設定した場合に境界エコーの形状Bを所定の閾値で検出した場合を示している。なお、ここでいう境界エコー検出時刻とは、振幅が所定の閾値を上回った時刻のことをいう。
図3(a)と図3(c)とを比較すると解るように、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を1/2周期に設定した場合、境界エコーの形状Aに対しては適切にゲート終点を設定することができるが、境界エコーの形状Bに対しては境界エコーの始端をきずとして誤検出してしまう。一方、図3(b)と図3(d)とを比較すると解るように、ゲート終点と境界エコー検出時刻との相対時間を3/2周期に設定した場合、境界エコーの形状Bに対しては適切にゲート終点を設定することができるが、境界エコーの形状Aに対しては未探傷領域が発生してしまう。
そこで、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置では、正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて、境界エコーの検出を行う。そして、正側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻と負側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻とのいずれかを選択してゲート終点の設定に用いる。
図4は、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置におけるきずエコー検出ゲートの設定方法を示す概略図である。図4には、(a)被検体1および(b)被検体2におけるきずエコー検出ゲートの設定方法が示されている。なお、図4(c)は、基準時刻の選び方と基準時刻からゲート終点までの相対位置との対応表である。すなわち、図4に示されるきずエコー検出ゲートの設定方法は、正側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻および負側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻のうち、検出時刻が遅い方を選択して基準時刻とした例である。図4(a)および(b)では、この対応表に基づいてきずエコー検出ゲートの終点が設定されている。
図4(a)に示されるように、被検体1の場合、境界エコーSは、正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて検出される。正側の境界エコー検出閾値を用いて境界エコーが検出された時刻を正側境界エコー検出時刻とすると、正側境界エコー検出時刻は、境界エコー検出ゲートの範囲内において超音波の振幅が正側の境界エコー検出閾値に正負を含めて一致した時刻である。同様に、負側の境界エコー検出閾値を用いて境界エコーが検出された時刻を負側境界エコー検出時刻とすると、負側境界エコー検出時刻は、境界エコー検出ゲートの範囲内において超音波の振幅が負側の境界エコー検出閾値に正負を含めて一致した時刻である。
図4(a)に示される被検体1では、負側境界エコー検出時刻よりも正側境界エコー検出時刻の方が検出時刻が遅い。したがって、図4(a)に示される被検体1では、正側境界エコー検出時刻が基準時刻として選択される。そして、このように選択された基準時刻から所定のゲート終点相対位置aが減算されることにより、ゲート終点が設定される。別途、境界エコーSとの関係からきずエコー検出ゲートの始点を設定することにより、きずエコー検出ゲートが設定される。このように設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内において検出されたエコーがきずエコーFとなる。
同様に被検体2の場合、図4(b)に示されるように、境界エコーSは、正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて検出される。一方、図4(b)に示される被検体2では、正側境界エコー検出時刻よりも負側境界エコー検出時刻の方が検出時刻が遅い。したがって、図4(b)に示される被検体2では、負側境界エコー検出時刻が基準時刻として選択される。そして、このように選択された基準時刻から所定のゲート終点相対位置bが減算されることにより、ゲート終点が設定される。別途、境界エコーSとの関係からきずエコー検出ゲートの始点を設定することにより、きずエコー検出ゲートが設定される。このように設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内において検出されたエコーがきずエコーFとなる。
上記のように、正側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻および負側の境界エコー検出閾値を用いて検出された境界エコーの検出時刻のうち、検出時刻が遅い方を選択して基準時刻とすることにより、乱れていない境界エコーが少なくとも半波長分検出されたことになる。したがって、境界エコーの始端部分の乱れた波形の影響を受けることがなく、きずエコー検出ゲートの設定の基準時刻とすることができる。
〔第1実施形態の超音波探傷装置〕
図5は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を模式的に示したブロック図である。図5に示すように、この超音波探傷装置4は、被検体の欠陥を探傷するための超音波を送信し、この送信した超音波に起因する探傷信号を受信する探傷信号取得部5と、超音波探傷装置4の各構成部を制御する制御部6と、被検体の検査結果等を出力する出力部7と、各種情報を入力する入力部8とを有する。
探傷信号取得部5は、超音波プローブ5aと送受信部5bとを有し、送受信部5bから送信された電気信号の超音波信号を、超音波プローブ5aから外部に超音波として送信するとともに、超音波プローブ5aで受信した超音波を電気信号の探傷信号として送受信部5bに出力する。なお、図1および図2に示したように、垂直入射法による超音波探傷には、反射式探傷と透過式探傷とがあり、それに伴い超音波プローブ5aは、送受信プローブ1または送信プローブ1aと受信プローブ1bとの組合わせとなり得るが、以下では、両者を区別せず超音波プローブ5aとして説明を行う。
超音波プローブ5aは、圧電振動子等を用いて実現され、送受信部5bからのパルス信号の印加によって超音波を外部に送信し、外部からの超音波を受波して電気信号に変換する。送受信部5bは、超音波プローブ5aの共振周波数またはその近傍の周波数のパルス信号を超音波プローブ5aに印加することによって超音波パルス信号を超音波プローブ5aを介して外部に出力する。
制御部6は、記憶部6aとデータベース(DB)6bと演算部6cとを備え、超音波探傷装置4の各構成部を制御する。記憶部6aは、探傷信号取得部5から受信した被検体の検査データ等の各種情報を記憶する一時記憶装置である。とくに本発明の第1実施形態にかかる記憶部6aは、探傷信号取得部5から受信した探傷信号を少なくとも1回分、好ましくは複数回分以上記憶し得る記憶容量を有している。
データベース(DB)6bは、磁気ディスク等で実現された記録装置である。データベース(DB)6bには、正側の境界エコー検出閾値ならびに負側の境界エコー検出閾値、および図4(c)に例示したような基準時刻の選び方と基準時刻からゲート終点までの相対位置との対応関係などのデータが記録されている。データベース(DB)6bに記録されたこれらのデータは、演算部6cがきずエコーを検出する際に参照される。
演算部6cは、データベース(DB)6bに記録されたこれらのデータを参照しながら、記憶部6aに記憶された探傷信号を解析し、きずエコーを検出する。演算部6cは、特定用途向け集積回路(ASIC)、汎用集積回路、またはこれらの組み合わせ等で実現された演算装置である。すなわち、演算部6cは、境界エコー検出手段6d、ゲート設定手段6e、きずエコー検出手段6f、および、その他の超音波探傷装置4の各構成部を制御する制御手段をハードウェアまたはソフトウェアにより実現する。
境界エコー検出手段6dは、データベース(DB)6bを参照し、境界エコー検出閾値を用いて、境界エコー検出時刻を検出する。すなわち、境界エコー検出手段6dは、データベース(DB)6bに記録された正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する。そして、負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、正側境界エコー検出時刻が基準時刻とし、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合、負側境界エコー検出時刻が基準時刻とする。
ゲート設定手段6eは、負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、基準時刻である正側境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する。一方、ゲート設定手段6eは、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合、基準時刻である負側境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する。ここで、上記所定の時間とは、データベース(DB)6bに記録された基準時刻からゲート終点までの相対位置であり、ゲート設定手段6eは、基準時刻の選び方に応じて基準時刻からゲート終点までの相対位置を選択する。
きずエコー検出手段6fは、上記のように設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内において、記憶部6aに記憶された探傷信号からきずエコーを検出する。
出力部7は、例えば検出されたきずエコーを表示する表示装置であり、例えばきずエコーが検出された場合に下流工程へ警告信号等を送信する送信装置である。あるいは、きずエコーの発生原因が製品の欠陥であるか否かの分析をするために、出力部7の出力を上位計算機へ出力する構成とすることも可能である。
入力部8は、例えば電源スイッチおよび入力キー等の入力装置であり、例えば製造ラインを制御する上位制御装置から製造ラインにおける製造情報を受信する受信装置である。
なお、本発明の実施形態にかかる超音波探傷装置4は、探傷信号取得部5が取得した探傷信号をAD変換して信号処理を行う。境界エコーはきずエコー検出ゲートよりも遅く検出されるので、アナログ信号での処理よりもデジタル信号での処理の方が有利である。また、探傷信号のAD変換をする際のサンプリング周波数は、探傷信号の周波数の5倍以上であることが望ましく、探傷信号の周波数の10倍以上ならばより望ましい。探傷信号の周波数の5倍のサンプリング周波数でAD変換を行った場合、360°/5=72°間隔で探傷信号をデジタル化することになる。
また、上記説明した超音波探傷装置4は、超音波プローブ5aが1つ(反射式探傷)または1対(透過式探傷)である構成として記載してきたが、超音波プローブ5aが複数個(反射式探傷)または複数対(透過式探傷)である構成とすることも可能である。この場合、超音波プローブ5a毎に異なる境界エコー検出閾値およびゲート終点相対位置の設定をすることが可能である。すなわち、超音波プローブ5a毎に、図4(b)に例示されるような対応表をデータベース(DB)6bに記録しておき、演算部6cが超音波プローブ5a毎に異なる境界エコー検出閾値およびゲート終点相対位置の設定を行う。上記構成によれば、超音波プローブ5a毎のばらつきに対応可能となり、きずエコーの検出精度がより向上する。
〔第1実施形態の超音波探傷方法〕
以下、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷方法について説明する。なお、以下の説明では、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置の構成の図面などを参照しながら本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷方法について説明するが、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷方法は、これらの図面に表された構成により限定されるものではない。
図6は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷方法の手順について示すフローチャートである。図6に示されるように、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法では、始めに演算部6cが、正側の境界エコー検出用の設定および負側の境界エコー検出用の設定を行う(ステップS1)。データベース(DB)6bには、先述のように、正側の境界エコー検出閾値および負側の境界エコー検出閾値などが記録されている。そこで、演算部6cは、データベース(DB)6bを参照し、正側の境界エコー検出閾値および負側の境界エコー検出閾値を読み出して、正側の境界エコー検出用の設定および負側の境界エコー検出用の設定を行う。
次に、探傷信号取得部5が、被検体から受信した超音波を電気信号に変換し、探傷信号を取得する(ステップS2)。探傷信号取得部5により取得された探傷信号は、制御部6の記憶部6aに一時記憶される。
次に、演算部6cの境界エコー検出手段6dが、記憶部6aに記憶された探傷信号から正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する(ステップS3)。ここで、境界エコー検出手段6dは、ステップS1で設定された境界エコー検出閾値を用いて境界エコーを検出する。すなわち、境界エコー検出手段6dは、正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて境界エコーを検出し、それぞれ正側の境界エコー検出閾値により境界エコーが検出された時刻を正側境界エコー検出時刻とし、負側の境界エコー検出閾値により境界エコーが検出された時刻を負側境界エコー検出時刻とする。
そして、境界エコー検出手段6dは、正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻のどちらの検出時刻が早いかを判定する(ステップS4)。負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、正側境界エコー検出時刻が基準時刻となり(ステップS4:負側)、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合、負側境界エコー検出時刻が基準時刻となる(ステップS4:正側)。
負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、ゲート設定手段6eは、基準時刻である正側境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する(ステップS5)。一方、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合(ステップS4:正側)、ゲート設定手段6eは、基準時刻である負側境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する(ステップS6)。
ここで、上記所定の時間とは、基準時刻からゲート終点までの相対位置であり、データベース(DB)6bに記録されている。ゲート設定手段6eは、基準時刻の選び方に応じて基準時刻からゲート終点までの相対位置を選択する。
そして、演算部6cのきずエコー検出手段6fが、ステップS5またはS6により設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内において、記憶部6aに記憶された探傷信号からきずエコーを検出する(ステップS7)。
最後に、制御部6は、超音波探傷装置4が所定範囲または所定回数の探傷を終了したか否かの判定を行う(ステップS8)。所定範囲の探傷を終了していない場合(ステップS8:No)、ステップS2へ戻り探傷信号取得部5が次の探傷信号を取得する。一方、所定範囲の探傷を終了している場合(ステップS8:Yes)、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法は終了する。
〔第1実施形態による実施例〕
図7および図8は、本発明の第1実施形態にかかる超音波探傷装置および超音波探傷方法による超音波探傷の実施例を示す探傷信号の振幅のグラフである。とくに、図7は、図示されたグラフの凡例を示すものであり、図8は、従来技術と本発明との比較を示すものである。
図7および図8に示されたグラフは、縦軸に探傷信号の振幅を表し、横軸に探傷信号が検出される時間を表している。また、図中の破線は、正側および負側の境界エコー検出閾値を表し、一点鎖線は、基準時刻として選択された境界エコー検出時刻を表し、二点鎖線は、きずエコー検出ゲートの始点および終点を表している。
図7および図8に示された探傷信号は、図2に示されたように構成された透過式探傷により取得されたものであり、接触媒質として水を使用している。また、探傷に用いた超音波の周波数は25MHzであり、受信した超音波を電気信号に変換した後に、サンプリング周波数250MHzでAD変換している。
また、本実施例における透過式探傷では、同一の被検体に対して200対の超音波プローブが用いられている。図8では、そのうち素子対Aおよび素子対Bにおける探傷信号を掲載した。また、本実施例における検査対象は、被検体1および被検体2の2種類について行った。
図8に示されるように、従来技術による超音波探傷では、設定1および設定2の何れの設定であってもきずエコー検出ゲートの設定に問題が発生してしまうのに対し、本発明の実施形態による超音波探傷では、適切にきずエコー検出ゲートが設定される。従来技術の設定1では、被検体1に対しては問題が発生しないが、被検体2に対しては素子対Bにおいて境界エコーを誤検出してしまう。また、従来技術の設定2では、被検体2に対しては問題が発生しないが、被検体1に対しては素子対Aにおいて未探傷領域が増加してしまう。
一方、本発明の実施形態による超音波探傷では、被検体に応じた設定が選択されるので、被検体1および被検体2の何れの被検体に対しても適切にきずエコー検出ゲートが設定される。
〔第2実施形態の超音波探傷装置〕
図9は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷装置の構成を模式的に示したブロック図である。本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷装置は、上記第1実施形態の超音波探傷装置にきずエコーの検出精度を向上させる機能を付加したものである。したがって、以下の説明では、第1実施形態の超音波探傷装置と共通の構成については、同一の符号を付すことにより適宜説明を省略するものとする。
図9に示すように、この超音波探傷装置4は、被検体の欠陥を探傷するための超音波を送信し、この送信した超音波に起因する探傷信号を受信する探傷信号取得部5と、超音波探傷装置4の各構成部を制御する制御部6と、被検体の検査結果等を出力する出力部7と、各種情報を入力する入力部8とを有する。なお、探傷信号取得部5、出力部7、および入力部8は、第1実施形態と同一の構成要素である。
制御部6は、記憶部6aとデータベース(DB)6bと演算部6cとを備え、超音波探傷装置4の各構成部を制御する。記憶部6aは、探傷信号取得部5から受信した被検体の検査データ等の各種情報を記憶する一時記憶装置である。とくに本発明の第2実施形態にかかる記憶部6aは、探傷信号取得部5から受信した最新の探傷信号のみならず、複数回分以上の探傷信号を記憶し得る記憶容量を有している。データベース(DB)6bは、第1実施形態と同一の構成要素である。
演算部6cは、データベース(DB)6bに記録されたこれらのデータを参照しながら、記憶部6aに記憶された探傷信号を解析し、きずエコーを検出する。演算部6cは、境界エコー検出手段6d、ゲート設定手段6e、きずエコー検出手段6f、同期加算手段6g、信号減算手段6h、および、その他の超音波探傷装置4の各構成部を制御する制御手段をハードウェアまたはソフトウェアにより実現する。
境界エコー検出手段6dは、データベース(DB)6bに記録された正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて、記憶部6aに記憶された複数回分の探傷信号における正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する。そして、負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、正側境界エコー検出時刻を基準時刻とし、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合、負側境界エコー検出時刻を基準時刻とする。
同期加算手段6gは、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻に基づいて複数回分の探傷信号を整列し、複数回分の探傷信号の同期加算平均を行うことにより減算用信号を作成する。信号減算手段6hは、記憶部6aに記憶された複数回分の探傷信号のうち最新の探傷信号から減算用信号を減算する。なお、この減算に際しても、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻に基づいて探傷信号を整列する。
ゲート設定手段6eは、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する。なお、きずエコー検出ゲートの終点を設定する際に用いる境界エコー検出時刻は、減算用信号を減算する前の探傷信号を用いて検出されたものである。また、上記所定の時間とは、基準時刻からゲート終点までの相対位置であり、データベース(DB)6bに記録されている。ゲート設定手段6eは、基準時刻の選び方に応じて基準時刻からゲート終点までの相対位置を選択する。
きずエコー検出手段6fは、上記のように設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内における減算処理後探傷信号からきずエコーを検出する。
出力部7および入力部8は、第1実施形態と同一の構成要素である。また、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷装置4も、探傷信号取得部5が取得した探傷信号をAD変換して信号処理を行い、探傷信号のAD変換をする際のサンプリング周波数は、探傷信号の周波数の5倍以上であることが望ましく、探傷信号の周波数の10倍以上ならばより望ましい。また、上記説明した超音波探傷装置4は、超音波プローブ5aが1つ(反射式探傷)または1対(透過式探傷)である構成として記載してきたが、超音波プローブ5aが複数個(反射式探傷)または複数対(透過式探傷)である構成とすることも可能である。
〔第2実施形態の超音波探傷方法〕
以下、図10および図11を参照しながら、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法について説明する。なお、以下の説明では、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷装置の構成の図面などを参照しながら本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法について説明するが、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法は、これらの図面に表された構成により限定されるものではない。
図10は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法の手順について示すフローチャートであり、図11は、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法を概略的に説明する説明図である。
図10に示されるように、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法では、始めに演算部6cが、データベース(DB)6bを参照し、正側の境界エコー検出用の設定および負側の境界エコー検出用の設定を行う(ステップS9)。データベース6bには、先述のように、正側の境界エコー検出閾値および負側の境界エコー検出閾値などが記録されている。そこで、演算部6cは、データベース(DB)6bを参照し、正側の境界エコー検出閾値および負側の境界エコー検出閾値を読み出して、正側の境界エコー検出用の設定および負側の境界エコー検出用の設定を行う。
次に、探傷信号取得部5が、被検体から受信した超音波を電気信号に変換し、探傷信号を取得する(ステップS10)。そして、制御部6の記憶部6aが、探傷信号取得部5により取得された所定回数分の探傷信号を一時記憶する(ステップS11)。ここで、記憶部6aに一時記憶する探傷信号の所定回数とは、予め定められた定数NおよびNaの和である(N+Na)により定まる。図11に示されるように、制御部6の記憶部6aに記憶されている(N+Na)回分の探傷信号のうち、N回分の探傷信号とNa回分の探傷信号とは、後段の扱いが異なる。よって、定数NおよびNaは、ことなる定数として定義され、これらの定数は、例えば操作者が入力部8を操作することにより、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法の処理前に予め指定されるものとする。
なお、探傷信号取得部5から超音波のパルス信号が送信されるたびに、最新の探傷信号が取得される。したがって、ステップS11では、探傷信号取得部5から最新の探傷信号が送信されるたびに、記憶部6aは、記憶されている探傷信号のうち最も古いものを削除して、記憶されている(N+Na)回分の探傷信号を更新する。
次に、演算部6cの同期加算手段6gが、図11に示されるように、記憶部6aに記憶されている(N+Na)回前からN回前までのNa回分に対応する探傷信号を読み出し、同期加算平均処理を行なうことにより、減算用信号を取得する(ステップS12)。探傷信号の同期加算を行うには、各探傷信号を基準を定めて整列する必要がある。そこで、ステップS12では、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻を同期加算の基準として用いる。
境界エコー検出手段6dは、ステップS9で設定された境界エコー検出閾値を用いて(N+Na)回前からN回前までのNa回分に対応する探傷信号のそれぞれの基準時刻を定める。すなわち、境界エコー検出手段6dは、データベース(DB)6bに記録された正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値との二つの閾値を用いて、記憶部6aに記憶された複数回分の探傷信号における正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する。そして、負側境界エコー検出時刻の方が正側境界エコー検出時刻よりも早い場合、正側境界エコー検出時刻を基準時刻とし、正側境界エコー検出時刻の方が負側境界エコー検出時刻よりも早い場合、負側境界エコー検出時刻を基準時刻とする。
同期加算手段6gは、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻に基づいて複数回分の探傷信号を整列し、複数回分の探傷信号の同期加算平均を行うことにより減算用信号を作成する。信号減算手段6hは、記憶部6aに記憶された複数回分の探傷信号のうち最新の探傷信号から減算用信号を減算する。なお、この減算に際しても、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻に基づいて探傷信号を整列する。
同期加算手段6gは、上記のように境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻を用いて探傷信号の同期加算を行い、その後、同期加算を行った探傷信号の個数であるNaを除することにより、探傷信号の同期加算平均を行う。このように、同期加算手段6gの同期加算平均処理により得られた信号が減算用信号である。
次に、演算部6cの信号減算手段6hが、図11に示されるように、記憶部6aに記憶された複数回分の探傷信号のうち最新の探傷信号から上記減算用信号を減算する(ステップS13)。なお、この減算に際しても、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻に基づいて探傷信号を整列する。
次に、ゲート設定手段6eは、境界エコー検出手段6dにより定められた基準時刻としての境界エコー検出時刻から所定の時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定する(ステップS14)。なお、きずエコー検出ゲートの終点を設定する際に用いる境界エコー検出時刻は、減算用信号を減算する前の探傷信号を用いて検出されたものである。また、上記所定の時間とは、データベース(DB)6bに記録された基準時刻からゲート終点までの相対位置であり、ゲート設定手段6eは、基準時刻の選び方に応じて基準時刻からゲート終点までの相対位置を選択する。
そして、演算部6cのきずエコー検出手段6fが、ステップS14により設定されたきずエコー検出ゲートの範囲内において、減算処理後の探傷信号からきずエコーを検出する(ステップS15)。
最後に、制御部6は、超音波探傷装置4が所定範囲または所定回数の探傷を終了したか否かの判定を行う(ステップS16)。所定範囲の探傷を終了していない場合(ステップS16:No)、ステップS10へ戻り探傷信号取得部5が次の探傷信号を取得する。一方、所定範囲の探傷を終了している場合(ステップS16:Yes)、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法は終了する。
以上、図11の減算処理後探傷信号から見て取れるように、本発明の第2実施形態にかかる超音波探傷方法によれば、境界エコーが低減された状態できずエコー検出ゲートの範囲内にてきずエコーの検出を行うので、境界エコーが変化してきずエコー検出ゲートの範囲内に割り込んだとしても、誤検出を引き起こす可能性が大きく削減される。
以上より、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置は、境界エコーの形状が被検体毎に変化しても、未探傷領域を最小限にしつつも誤検出が発生しないという効果を奏する。なお、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置は、この反射式探傷および透過式探傷のいずれにおいても適用し得るが、透過式探傷である方が好ましい。図2に示されるように、透過式探傷の場合、きず3が表面2aの近くに存在するときにはきずエコーFと反射エコーTとを分離できればよく、きず3が裏面2bの近くに存在するときにはきずエコーFと反射エコーTとを分離できればよいからである。つまり、透過式探傷の場合、本発明の実施形態にかかる超音波探傷方法および超音波探傷装置は、きず3が表面2aの近くに存在する場合もきず3が裏面2bの近くに存在する場合も、適切にきずエコーの検出が可能となる。
1 送受信プローブ
1a 送信プローブ
1b 受信プローブ
2 被検体
3 きず
4 超音波探傷装置
5 探傷信号取得部
5a 超音波プローブ
5b 送受信部
6 制御部
6a 記憶部
6b データベース(DB)
6c 演算部
6d 境界エコー検出手段
6e ゲート設定手段
6f きずエコー検出手段
6g 同期加算手段
6h 信号減算手段
7 出力部
8 入力部
しかも、境界エコーの波形は、必ずしも一定ではなく、被検体毎に変化する。したがって、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、境界エコーをきずエコーとして誤検出してしまうことがある。一方で、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの遠くに設定すると、未探傷領域が大きくなり、きずエコーの不検知が発生してしまう。
しかしながら、先述のように、境界エコーの波形は、必ずしも一定ではなく、被検体毎に異なる。結果、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの近くに設定すると、境界エコーを誤検出してしまい、きずエコー検出ゲートの終点を境界エコーの遠くに設定すると、未探傷領域が大きくなってしまう。図3は、境界エコーの波形が異なることにより発生する問題点を示す概略図である。

Claims (8)

  1. 被検体から受信した超音波の振幅が正負を含めて一致することにより検出判定を行うための正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値とを設定する条件設定ステップと、
    前記被検体から受信した超音波を電気信号に変換して探傷信号を取得する探傷信号取得ステップと、
    前記正側の境界エコー検出閾値および前記負側の境界エコー検出閾値のそれぞれを用いて、前記探傷信号の正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出する境界エコー検出ステップと、
    前記正側境界エコー検出時刻および前記負側境界エコー検出時刻のうち何れかを基準時刻として選択する基準時刻選択ステップと、
    前記基準時刻から所定時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定するきずエコー検出ゲート設定ステップと、
    前記きずエコー検出ゲート内の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うきずエコー検出ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波探傷方法。
  2. 前記基準時刻選択ステップは、前記正側境界エコー検出時刻および前記負側境界エコー検出時刻のうち遅い時刻を基準時刻として選択する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。
  3. 前記きずエコー検出ゲート設定ステップは、前記基準時刻選択ステップにおいて前記正側境界エコー検出時刻と前記負側境界エコー検出時刻とのうち何れかを選択したかに応じて前記所定時間を選択する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷方法。
  4. 前記探傷信号取得ステップは、前記被検体から受信した超音波を電気信号に変換して探傷信号を取得し、取得された所定回数分の探傷信号を一時記憶し、
    前記境界エコー検出ステップは、前記所定回数分の探傷信号のそれぞれに対し前記基準時刻を選択し、
    前記きずエコー検出ステップは、前記基準時刻を基準として前記探傷信号の同期加算平均を行ったものを、前記所定回数分の探傷信号のうち最新の探傷信号から減算して得られた探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行う、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波探傷方法。
  5. 被検体から受信した超音波を電気信号に変換して探傷信号を取得する探傷信号取得部と、
    前記被検体から受信した超音波の振幅が正負を含めて一致することにより検出判定を行うための正側の境界エコー検出閾値と負側の境界エコー検出閾値とが記録されているデータベースと、
    前記データベースに記録された前記正側の境界エコー検出閾値および前記負側の境界エコー検出閾値のそれぞれを用いて、前記探傷信号の正側境界エコー検出時刻および負側境界エコー検出時刻を検出し、前記正側境界エコー検出時刻および前記負側境界エコー検出時刻のうち何れかを基準時刻として選択する境界エコー検出手段と、
    前記基準時刻から所定時間を減算することによりきずエコー検出ゲートの終点を設定するゲート設定手段と、
    前記きずエコー検出ゲート内の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うきずエコー検出手段と、
    を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
  6. 前記境界エコー検出手段は、前記正側境界エコー検出時刻と前記負側境界エコー検出時刻とのうち遅い時刻を基準時刻として選択する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の超音波探傷装置。
  7. 前記ゲート設定手段は、前記境界エコー検出手段において前記正側境界エコー検出時刻と前記負側境界エコー検出時刻とのうち何れかを選択したかに応じて前記所定時間を選択する
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の超音波探傷装置。
  8. 前記探傷信号取得部が取得した複数回分の探傷信号を一時記憶する記憶部と、
    前記境界エコー検出手段が選択した前記基準時刻に基づいて前記探傷信号を整列し、前記探傷信号の同期加算平均を行うことにより減算用信号を作成する同期加算手段と、
    前記記憶部に記憶された探傷信号のうち最新の探傷信号から前記減算用信号を減算して減算処理後の探傷信号を作成する信号減算手段とを更に備え、
    前記きずエコー検出手段は、前記減算処理後の探傷信号の振幅を用いてきずエコーの検出を行うことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の超音波探傷装置。
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