JP6463653B2 - 超音波探傷装置および超音波プローブ移動距離検知方法 - Google Patents

超音波探傷装置および超音波プローブ移動距離検知方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波探傷装置および超音波プローブ移動距離検知方法に関する。
超音波によって被検体内部のキズを非破壊的に検出するため、超音波探傷が広く行われている。超音波探傷で検出されたキズを事後的に詳細に評価/修復するため、キズの位置を記録することが求められる場合がある、このような場合には、プローブの移動距離から位置を求めるワイヤ式エンコーダなどが用いられることが多い。
ワイヤ式エンコーダは、ワイヤの引き出し量から移動距離を求めるエンコーダである。超音波プローブに、ワイヤ式エンコーダのワイヤの一端を結び、この超音波プローブを移動させるとワイヤ式エンコーダからワイヤが引き出される。ワイヤ式エンコーダは、このワイヤの引き出し量を電気信号に変換する。この電気信号により、移動距離を求めることができる。
特許文献1には、ワイヤ式エンコーダの例が開示されている。特許文献1の課題には、「携帯型で簡易な構成によって内部スコープ画像の作成を可能にし、斜角プローブによる斜角探傷で内部スコープ画像を作成できるようにした超音波探傷器を提供する。」と記載され、解決手段には、「斜角プローブ36で被検体38を走査すると、超音波探傷の作用に基づきAスコープデータが得られる構成を有する。さらにワイヤ52の移動による移動量信号を出力するエンコーダ51からなる移動距離計測器を備える。ワイヤ先端を斜角プローブに連結し、斜角探傷時に斜角プローブを移動すると、斜角プローブの移動距離は移動距離計測器で計測され、演算処理部30に伝送される。かかる構成により斜角プローブを用いて内部スコープ画像が作成され表示される。」と記載されている。
特開平11−337535号公報
しかしワイヤ式エンコーダを用いて超音波プローブの正確な移動距離を求めるためには、常にワイヤを緩みなく張りながら超音波プローブを移動させる必要がある。これは煩雑な作業となり、多くの検査時間を要する。
そこで、本発明は、超音波プローブの移動距離と現在位置とを容易に検知可能な超音波探傷装置および超音波プローブ移動距離検知方法を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の超音波探傷装置は、被検体に対して超音波を送信すると共に、当該被検体から超音波を検知する超音波プローブと、前記超音波プローブに電圧パルスを印加して超音波を送信させる信号送信部と、前記超音波プローブが検知した超音波信号のパルスが、予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅を超えたときに、前記超音波信号のパルスのタイミングを測定するゲート部と、前記超音波プローブが超音波を発射したタイミング、および、前記ゲート部が測定した前記超音波信号のパルスのタイミングに基づいて底面波のエコーの伝播時間を計算して、当該伝播時間、および前記被検体中の音速と厚みから当該底面波のエコーの路程を計算し、計算した当該底面波のエコーの路程から前記超音波プローブの移動距離を計算する制御部とを有する。
本発明の超音波プローブ移動距離検知方法は、被検体に対して超音波を送信すると共に、当該被検体から超音波を検知する超音波プローブに電圧パルスを印加して超音波を送信させるステップと、前記超音波プローブが検知した超音波信号のパルスが、予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅を超えたときに、前記超音波信号のパルスのタイミングを測定するステップと、前記超音波プローブが超音波を発射したタイミング、および、前記超音波信号のパルスのタイミングに基づいて底面波のエコーの伝播時間を計算するステップと、当該伝播時間、および前記被検体中の音速と厚みから当該底面波のエコーの路程を計算するステップと、計算した当該底面波のエコーの路程から前記超音波プローブの移動距離を計算するステップとを実行する。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、超音波プローブの移動距離と現在位置とを容易に検知可能となる。
第1の実施形態における超音波探傷装置を示す概略の外観図である。 第1の実施形態における超音波探傷装置を示す概略の構成図である。 超音波探傷を実施するときの超音波プローブと、この超音波プローブから被検体に入射される超音波ビームの路程を示す図である。 超音波探傷装置の表示部に表示される超音波信号の波形例を示す図である。 超音波プローブの移動距離と現在位置の算出処理のフローチャートである。 第2の実施形態における超音波探傷装置を示す概略の外観図である。 第2の実施形態における超音波探傷装置を示す概略の構成図である。 超音波探傷を実施するときの超音波プローブと、この超音波プローブから被検体に入射される超音波ビームを示す図である。 超音波探傷装置の表示部に表示される波形例を示す図である。 超音波プローブの移動距離と現在位置の算出処理のフローチャートである。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における超音波探傷装置1を示す概略の外観図である。
図1に示すように、超音波探傷装置1には、超音波プローブ5が接続される。超音波探傷装置1は、送信コネクタTと、受信コネクタRと、ボタンやスイッチなどで構成される入力部2と、液晶ディスプレイなどで構成される表示部7とを備える。超音波探傷装置1は、超音波によってキズを検出すると共に、キズの位置を求めることができる。
超音波プローブ5は、被検体9の表面から内部に角度θで超音波ビームを送信し、その反射波を受信する。被検体9は、例えば鉄やステンレスなどである。
入力部2は、ユーザからの設定を受け付ける部位である。
表示部7は、操作画面や超音波信号の波形などを表示する。送信コネクタTと受信コネクタRには、超音波プローブ5から伸びるケーブルが接続される。
図2は、第1の実施形態における超音波探傷装置1を示す概略の構成図である。
超音波探傷装置1は、入力部2と、表示部7とに加えて更に、ゲート部31を有する制御部3と、信号送信部4と、信号受信部6とを有する。
制御部3は、この超音波探傷装置1を統括して制御する部位であり、入力部2の設定値に基づき、各信号のタイミングを制御する。
信号送信部4は、制御部3の指示に基づき、超音波プローブ5に電圧パルスを印加する。これにより、超音波プローブ5は超音波を送信する。
信号受信部6は、超音波プローブ5が観測した振動(超音波)を変換した信号を受信して増幅する。以下、これを超音波信号という。
制御部3やゲート部31は、例えばゲートアレイやFPGA(Field-Pogrammable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)などで構成される。ゲート部31は、信号受信部6が増幅した超音波信号が、予め定められた範囲のタイミングPgに予め定められた振幅Wthを超えたときに、この超音波信号のパルスのタイミングを測定する。制御部3は、ゲート部31が測定した超音波信号のパルスのタイミングに基づき、超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを計算し、超音波信号を表示部7に表示させる。
図1と図2に示した構成により、超音波探傷装置1は、被検体9内部へ超音波を発射して、キズや底面などの反射体で返された超音波を受信して、表示部7に表示できる。
図3は、超音波探傷を実施するときの超音波プローブ5と、この超音波プローブ5から被検体9に入射される超音波ビームの路程を示した図である。
超音波プローブ5は、被検体9の表面を、図の左から右に速度Vaで移動する。超音波探傷装置1は、ワイヤやエンコーダを有しておらず、超音波プローブ5の速度Vaを直接に検知できない。
破線で示した超音波プローブ5は、この位置において、自身の移動方向と同一成分を持つ斜め奥方向に超音波ビームを発射する。この超音波ビームは、被検体9の底面で反射され、再び被検体9の表面に到達する。超音波ビームが発射されてから再び表面に到達までに、超音波プローブ5は速度Vaで移動する。
実線で示したように、超音波プローブ5は、超音波ビームが再び表面に到達するタイミングに、この超音波ビームが到達する領域に移動する。これにより超音波探傷装置1は、超音波プローブ5が発射した超音波ビームを、再び超音波プローブ5自身で検知可能である。これにより超音波探傷装置1は、超音波ビームの伝播時間Δtと路程(2×Lp)を把握して、超音波プローブ5の移動距離Laと、移動した速度Vaとを検知可能である。
超音波ビームの伝播時間Δtと路程(2×Lp)との関係を、以下の式(1)に示す。被検体9の音速vは、予めユーザが設定するパラメータである。
Figure 0006463653

超音波ビームの伝播時間Δtを測定することにより、路程(2×Lp)を導出することができる。これを、以下の式(2)に示す。
Figure 0006463653

このとき、超音波プローブ5の移動距離Laは、以下の式(3)で算出可能である。被検体9の厚さL1は、予めユーザが設定するパラメータである。
Figure 0006463653

このようにすることで、超音波プローブ5の移動距離Laと、このときの超音波プローブ5の移動した速度Vaとを計算可能である。
図4は、表示部7に表示される超音波信号の波形の例を示す。
表示部7上には、縦軸を振幅、横軸が路程とする座標系が表示される。この表示部7の座標系に重畳して、信号受信部6が受信した超音波信号が波形として表示される。このとき、表示部7には、波形の表示とともに、現在のゲート部31に設定された振幅の閾値Wthと範囲Pgも併せて表示される。
座標系の原点付近に現れる送信波(T波)は、超音波プローブ5自身が或る位置で発射した超音波に対応する。一方、路程(2×Lp)付近に現れるパルス波形は、被検体9に対して角度θで発射された超音波ビームが、被検体9の底面で反射されて再び表面に到達した底面波のエコーに対応する。これは、伝播時間Δtに相当する。
あらかじめ底面波の出現が予測されるタイミング範囲Pgをゲート部31に設定することで、超音波ビームの発射から再び表面に戻るまでの伝播時間Δtを精度良く計測できる。すなわち、超音波探傷装置1は、底面波の路程を精度良く計測できる。
なお、制御部3は、表示部7に、超音波信号が予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅の閾値Wthを超えたときに、初めて超音波信号のパルスを表示する。これによりユーザは、超音波プローブ5の移動速度が予め決められた範囲内であることを、容易に認識可能である。
図5は、超音波探傷装置1の超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを算出する処理のフローチャートを示している。
ユーザは、超音波探傷装置1を起動した後、入力部2から初期条件を与えたのち、探傷動作を実施する。すなわち超音波探傷装置1の制御部3は、入力部2によって初期条件を受け付けたのち、超音波プローブ5を探傷処理させる。
ステップS11において、超音波探傷装置1の制御部3は、入力部2により、被検体9の厚さL1の入力を受け付ける。
ステップS12において、制御部3は、入力部2により、被検体9の音速vの入力を受け付ける。
ステップS13において、制御部3は、入力部2により、超音波プローブ5で入射する超音波ビームの鉛直下向きと成す角度θを入力する。
ステップS14において、制御部3は、入力部2により、底面波の出現が予測されるタイミング範囲の指定と、予測されるパルスの振幅よりも小さい閾値Wthの指定とを受け付ける。制御部3は、ゲート部31に、被検体9の音速vおよび厚さL1を予め設定する。
ステップS11〜S14までの何れの処理においても、制御部3は、入力部2で入力された値を逐次、表示部7に表示させてもよい。これにより超音波探傷装置1は、ユーザに現在の設定値をフィードバックすることができる。
ステップS15において、超音波探傷装置1の制御部3は、超音波プローブ5による探傷を開始する。このときユーザは、超音波プローブ5を速度Vaで移動させる。
ステップS16において、超音波プローブ5は、ゲート条件を満たす底面波(エコー)を受信する。超音波プローブ5が受信した超音波信号は、信号受信部6で増幅されてゲート部31に入力される。これにより底面波は、ゲート部31によって捕捉される。
ステップS17において、制御部3は、ゲート部31が捕捉した底面波のタイミングから、経過時間を計算する。ここで経過時間は、超音波ビームの伝播時間Δtに相当する。
ステップS18において、制御部3は、式(2)により路程(2×Lp)を計算し、式(3)により超音波プローブ5の移動距離Laを計算する。超音波プローブ5の移動距離Laは、超音波ビームの発射位置から底面波の受信位置までの間隔である。
ステップS19において、制御部3は、超音波プローブ5の移動距離Laと伝播時間Δtから速度Vaを計算し、これを積分して現在の位置を計算する。
ステップS20において、制御部3は、探傷を終了するか否かを判断する。制御部3は、探傷を終了するならば(Yes)、図5の処理を終了し、探傷を終了しないならば(No)、ステップS16の処理に戻る。
これにより、超音波探傷装置1の制御部3は、超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを、超音波の伝播によって算出することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、超音波プローブ5Aに所定距離だけ離間した2つの素子を設けて、一方の素子で超音波を送信し、他方の素子で底面波のエコーを受信するというものである。これにより超音波プローブ5Aが低速度であっても検知可能である。
図6は、第2の実施形態における超音波探傷装置1Aを示す概略の外観図である。図1に示した第1の実施形態の超音波探傷装置1と同一の構成には同一の符号を付与している。
図6に示すように、超音波探傷装置1Aには、第1の実施形態とは異なる超音波プローブ5Aが接続される。超音波探傷装置1Aは、受信コネクタR1,R2を備えている。
超音波プローブ5Aは、第1の実施形態とは異なり、第1素子51と、第2素子52と、これらを把持して両者間の距離を調整可能な把持部53とを備えている。
第1素子51からから伸びるケーブルは、送信コネクタTと受信コネクタR1とに接続される。第2素子52からから伸びるケーブルは、受信コネクタR2に接続される。この第1素子51は、被検体9に対して角度θで超音波を送受信する。第2素子52は、第1素子51から所定の距離Dだけ離間して、被検体9から超音波を受信する。
第1素子51の中心と第2素子52の中心とは、以下の式(4)で示す距離Dだけ離れるように調整されている。
Figure 0006463653

図7は、第2の実施形態における超音波探傷装置1Aを示す概略の構成図である。図2に示した第1の実施形態の超音波探傷装置1と同一の構成には同一の符号を付与している。
図7に示すように、超音波探傷装置1は、第1の実施形態とは異なる信号受信部6a,6bを有する。
信号受信部6aは、超音波プローブ5の第1素子51が観測した振動(超音波)を変換した超音波信号を受信して増幅する。
信号受信部6bは、超音波プローブ5の第2素子52が観測した振動(超音波)を変換した超音波信号を受信して増幅する。
制御部3のゲート部31は、信号受信部6bが増幅した超音波信号のパルスが、予め定められた範囲のタイミングPgに予め定められた振幅Wthを超えたときに、この超音波信号のパルスのタイミングを測定する。制御部3は、第1の実施形態と同様に、ゲート部31が測定した超音波信号のパルスのタイミングに基づき、超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを計算し、超音波信号を表示部7に表示させる。
図6および図7に示した構成により、第2の実施形態の超音波探傷装置1Aは、被検体9内部へ超音波を発射して、キズや底面などの反射体で返された超音波を受信して、表示部7に表示できる。
図8は、超音波探傷を実施するときの超音波プローブ5Aと、この超音波プローブ5Aから被検体9に入射される超音波ビームの路程を示した図である。
超音波プローブ5Aは、第2素子52を前にして被検体9の表面を、図の左から右に速度Vcで移動する。超音波探傷装置1Aは、ワイヤやエンコーダを有しておらず、超音波プローブ5Aの速度VCを直接に検知できない。
破線で示した超音波プローブ5Aの第1素子51は、この位置において、自身の移動方向と同一成分を持つ斜め奥方向に超音波ビームを発射する。この超音波ビームは、被検体9の底面で反射され、再び被検体9の表面に到達する。超音波ビームが発射されてから再び表面に到達までに、超音波プローブ5は、速度Vcで移動する。実線で示したように、超音波プローブ5Aの第2素子52は、超音波ビームが再び表面に到達するタイミングに、この超音波ビームが到達する領域に移動する。これにより超音波探傷装置1Aは、超音波プローブ5Aの第1素子51が発射した超音波ビームを、再び超音波プローブ5Aの第2素子52で検知可能である。これにより超音波探傷装置1Aは、超音波ビームの伝播時間Δtと路程(2×Lr)を把握して、超音波プローブ5の移動距離Ldと、移動した速度Vcとを検知可能である。
超音波ビームの伝播時間Δtと路程(2×Lr)との関係を、以下の式(5)に示す。被検体9の音速vは、予めユーザが設定するパラメータである。
Figure 0006463653

超音波ビームの伝播時間Δtを測定することにより、路程(2×Lr)を導出することができる。これを、以下の式(6)に示す。
Figure 0006463653

このとき、超音波プローブ5の移動距離Ldは、以下の式(7)で算出可能である。被検体9の厚さL1は、予めユーザが設定するパラメータである。
Figure 0006463653

図9は、表示部7に表示される超音波信号の波形の例を示す。
表示部7上には、縦軸を振幅、横軸が路程とする2つの座標系が上下に表示される。この上の座標系に重畳して、信号受信部6aが受信して増幅した超音波信号が波形として表示される。この下の座標系に重畳して、信号受信部6bが受信して増幅した超音波信号が波形として表示される。
このとき、表示部7の下の座標系には、波形の表示とともに、現在のゲート部31に設定された振幅の閾値Wthと範囲Pgも併せて表示される。
上の座標系の原点付近に現れる送信波(T波)は、超音波プローブ5の第1素子51が或る位置で発射した超音波に対応する。一方、下の座標系の路程(2×Lp)付近に現れるパルス波形は、被検体9に対して角度θで発射された超音波ビームが、被検体9の底面で反射されて再び表面に到達した底面波のエコーである。これは、伝播時間Δtに相当する。
あらかじめ底面波の出現が予測されるタイミング範囲Pgをゲート部31に設定することで、超音波ビームの発射から再び表面に戻るまでの伝播時間Δtを精度良く計測できる。すなわち、超音波探傷装置1Aは、底面波の路程を精度良く計測できる。
図10は、超音波探傷装置1Aの超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを算出する処理のフローチャートを示している。
ユーザは、超音波探傷装置1Aを起動した後、入力部2から初期条件を与えたのち、探傷動作を実施する。すなわち超音波探傷装置1Aの制御部3は、入力部2によって初期条件を受け付けたのち、超音波プローブ5を探傷処理させる。
ステップS10において、ユーザは、第1素子51の中心と第2素子52の中心とが、式(4)に示した距離Dだけ離れるように調整する。
ステップS11〜S14の処理は、図5に示したステップS11〜S14の処理と同様である。
ステップS15において、超音波探傷装置1Aの制御部3は、超音波プローブ5Aによる探傷を開始する。このときユーザは、超音波プローブ5Aを速度Vcで移動させる。
ステップS16において、超音波プローブ5Aの第2素子52は、ゲート条件を満たす底面波(エコー)を受信する。超音波プローブ5Aの第2素子52が受信した超音波信号のパルスは、信号受信部6bで増幅されてゲート部31に入力される。これにより底面波は、ゲート部31によって捕捉される。
ステップS17において、制御部3は、ゲート部31が捕捉した底面波のタイミングから、経過時間を計算する。ここで経過時間は、超音波ビームの伝播時間Δtに相当する。
ステップS18Aにおいて、制御部3は、式(6)により路程(2×Lr)を計算し、式(7)により超音波プローブ5の移動距離Ldを計算する。超音波プローブ5の移動距離Ldは、超音波ビームの発射位置から底面波の受信位置までの間隔Lcから、距離Dを減算して計算される。
ステップS19において、制御部3は、超音波プローブ5の移動距離Ldと伝播時間Δtとから速度Vcを計算し、これを積分して現在の位置を計算する。
ステップS20において、制御部3は、探傷を終了するか否かを判断する。制御部3は、探傷を終了するならば(Yes)、図10の処理を終了し、探傷を終了しないならば(No)、ステップS16の処理に戻る。
これにより、超音波探傷装置1Aの制御部3は、超音波プローブ5の移動距離と現在位置とを、超音波の伝播によって算出することができる。更に、超音波プローブ5Aの第1素子51Aをキズによる反射波の受信用として運用することができる。
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a),(b)のようなものがある。
(a) アレイ状に素子が配置された超音波プローブを用いて、静止状態において、いずれかの素子から超音波を発射し、この超音波の底面波をいずれの素子が受信可能かをキャリブレーションしてもよい。これによりユーザは、第1素子51と第2素子52とが距離Dだけ離れるように調整しなくともよくなる。
(b) 超音波探傷装置は、被検体9の音速vを直接に入力する代わりに、被検体9の材質を入力させて、この材質と音速vの対応表により、被検体9の音速vを得てもよい。
1,1A 超音波探傷装置
2 入力部
3 制御部
4 信号送信部
5,5A 超音波プローブ
6,6a,6b 信号受信部
7 表示部
9 被検体

Claims (6)

  1. 被検体に対して超音波を送信すると共に、当該被検体から超音波を検知する超音波プローブと、
    前記超音波プローブに電圧パルスを印加して超音波を送信させる信号送信部と、
    前記超音波プローブが検知した超音波信号のパルスが、予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅を超えたときに、前記超音波信号のパルスのタイミングを測定するゲート部と、
    前記超音波プローブが超音波を発射したタイミング、および、前記ゲート部が測定した前記超音波信号のパルスのタイミングに基づいて底面波のエコーの伝播時間を計算して、当該伝播時間、および前記被検体中の音速と厚みから当該底面波のエコーの路程を計算し、計算した当該底面波のエコーの路程から前記超音波プローブの移動距離を計算する制御部と、
    を有することを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 前記超音波プローブは、前記被検体に対して超音波を送受信する第1素子と、前記第1素子から所定距離だけ離間して前記被検体から超音波を受信する第2素子とを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
  3. 前記制御部は、前記超音波プローブの移動距離によって、当該超音波プローブの現在位置を計算する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探傷装置。
  4. 前記超音波プローブが検知した超音波信号を増幅する信号受信部、および、前記信号受信部が増幅した前記超音波信号を表示する表示部、を有し、当該表示部は、前記超音波信号のパルスが予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅を超えたときに、初めて当該超音波信号を表示する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の超音波探傷装置。
  5. 前記ゲート部には、前記被検体の音速および厚さが予め設定されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
  6. 被検体に対して超音波を送信すると共に、当該被検体から超音波を検知する超音波プローブに電圧パルスを印加して超音波を送信させるステップと、
    前記超音波プローブが検知した超音波信号のパルスが、予め定められた範囲のタイミングに予め定められた振幅を超えたときに、前記超音波信号のパルスのタイミングを測定するステップと、
    前記超音波プローブが超音波を発射したタイミング、および、前記超音波信号のパルスのタイミングに基づいて底面波のエコーの伝播時間を計算するステップと、
    当該伝播時間、および前記被検体中の音速と厚みから当該底面波のエコーの路程を計算するステップと、
    計算した当該底面波のエコーの路程から前記超音波プローブの移動距離を計算するステップと、
    を実行することを特徴とする超音波プローブ移動距離検知方法。
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