JP2013044052A - 無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メッキ廃水中のニッケルを高純度の製品として回収し、メッキ廃水を工程水としてリサイクルことができる、経済的かつ効果的な無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、無電解ニッケルメッキ廃水に塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムを添加し、エタノールを混合してニッケル以外の成分を先に沈殿させた後、苛性ソーダを添加してニッケルを水酸化ニッケルとして回収する一方、蒸留工法を用いてエタノールと水を分離してそれぞれリサイクルする、無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、無電解ニッケルメッキ廃水に塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムを添加し、エタノールを混合してニッケル以外の成分を先に沈殿させた後、苛性ソーダを添加してニッケルを水酸化ニッケルとして回収する一方、蒸留工法を用いてエタノールと水を分離してそれぞれリサイクルする、無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、無電解ニッケルメッキ廃水中のニッケルを高純度の水酸化ニッケルとして回収し、蒸留工法を用いてメッキ廃水を工程水としてリサイクルする方法に関する。
近年、産業活動が盛んになるにつれて、無電解メッキ工法が各種機械装置及び部品の製造に非常に広範囲にわたって応用されている。無電解メッキは、電気メッキとは異なり、プラスチック或いはセラミックなどの電気不導体に対して金属コーティングを施す工法であって、産業的には各種機械及び電子部品の製造に用いられる無電解ニッケルメッキとPCB基板の製造に用いられる無電解銅メッキが最も普遍的であると知られている。
ところが、最近、無電解ニッケルメッキへの需要が急増することにより、この過程で発生する無電解ニッケルメッキ廃水も毎年増えている。しかも、前記無電解ニッケルメッキ廃水には高価のニッケルが含有されており、それからニッケルを回収して製品化することが必要な状況である。
通常の無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法としては、生石灰を添加し、廃水中のニッケルを始めとした次亜リン酸(PO2 3−)及び亜リン酸(PO3 3−)などのリン化合物と各種有機酸をカルシウム化合物で沈殿させて除去する方法が採用されている。ところが、前記無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法は、廃水中に含有された高価のニッケル資源を回収することができず、そのまま廃棄させる問題があるのはもとより、カルシウム化合物の生成により莫大な量のスラッジが発生するという欠点がある。
上述した単純中和法の問題点を克服し、かつ廃水に含有されたニッケルを高純度の製品として回収するためには、まず、無電解ニッケルメッキ廃水に含有された様々な成分のうちニッケル以外の成分を効果的に分離させる技術が求められているが、現在まで開発されたイオン交換法、溶媒抽出法及び膜分離法などは、費用があまり高く、ニッケル回収率が60%以下と低いことが欠点として指摘されている。
そこで、本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、従来の生石灰の添加による単純中和法で無電解ニッケルメッキ廃水を処理する方法に代えて、メッキ廃水中のニッケルを高純度の製品として回収し、メッキ廃水を工程水としてリサイクルことができる、経済的かつ効果的な無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、無電解ニッケルメッキ廃水に塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムを添加した後、エタノールを混合して各種有機酸塩を沈殿させて除去する第1段階と、前記第1段階の工程を介して無電解メッキ廃水中のニッケル以外の各種成分を沈殿及び除去させたエタノール混合溶液に苛性ソーダを添加し、ニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させて回収する第2段階と、前記第2段階でニッケルを分離して残った混合溶液を対象として、蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する第3段階とを含んでなることを特徴とする、無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法を提供することにある。
前記塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムは、無電解ニッケルメッキ廃水に含有されたニッケル含量に対するモル比で2〜5倍添加することを特徴とし、前記エタノールを体積比で無電解メッキ廃水:エタノール=1:1〜1:4の範囲となるように混合することを特徴とし、前記苛性ソーダを混合溶液のpHが8〜10の範囲となるように添加することを特徴とする。
本発明に係る無電解ニッケルメッキ廃水を処理する場合、生石灰を添加する単純中和法で処理する従来の方法と比較して、高価の金属資源であるニッケルを高純度の製品として97%以上回収することにより経済的付加価値を向上させることができるという利点がある。さらに、従来の方法と比較して、カルシウム成分を添加しないためスラッジ発生量を50%以上節減することができるという特徴がある。特に、従来の方法では中和処理されたメッキ廃水をそのまま放流したが、本発明の方法では、蒸留工法を用いてメッキ廃水を工程水としてリサイクルすることができるため、水質汚染を防止し且つ水資源を節約することができるという利点がある。
以下、本発明に係る無電解ニッケルメッキ廃水処理方法をより具体的に説明する。
第1段階では、まず、無電解ニッケルメッキ廃水に塩化ナトリウム(NaCl)或いは硝酸ナトリウム(NaNO3)を添加した後、エタノールを混合して次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)、亜リン酸ナトリウム(Na2HPO3)及び各種有機酸塩などを沈殿させて除去する。前記第1段階の主目的は、無電解メッキ廃水に生石灰などのカルシウム成分を添加せず、ニッケル以外の各種成分を除去することにある。本発明では、無電解メッキ廃水にエタノールを混合する場合、アルコールに不溶性の各種成分が沈殿する現象を見出した。前記第1段階で塩化ナトリウム或いは硝酸ナトリウムを添加する理由は、メッキ廃水中のニッケルイオンと塩素イオン或いは硝酸イオンとが互いに結合して生成されたNiCl2或いはNi(NO3)2がアルコールに対しても溶解性であるから、沈殿せずにそのまま溶液に残留するためである。もし塩化ナトリウム或いは硝酸ナトリウムを添加しなければ、エタノールを混合したときに他の成分と同様にニッケルも沈殿するという問題が発生する。
前記第1段階で、塩化ナトリウム或いは硝酸ナトリウムの添加量は、無電解ニッケルメッキ廃水に含有されたニッケルの含量に対するモル比で2〜5倍となるようにする。塩化ナトリウム或いは硝酸ナトリウムの添加比率が前記範囲より低ければ、エタノール添加の際にニッケルが一部沈殿するという問題が発生し、前記範囲より高ければ、無駄に薬品消費量が増えるという問題が発生する。また、エタノール混合比率においては、体積比で無電解メッキ廃水:エタノール=1:1〜1:4の範囲が適正である。前記範囲よりエタノールの添加量が低ければ、無電解メッキ廃水中の各種成分がまともに沈殿しないという問題が発生し、前記範囲より高ければ、エタノール消耗量が無駄に過多となるという問題が発生する。前記本発明の第1段階で、アルコールの種類をエタノール以外の他のものにしてもよいが、本発明ではアルコールの種類を特定のものに特に限定しない。
第2段階では、第1段階の工程を介して無電解メッキ廃水中のニッケル以外の各種成分を沈殿及び除去させたエタノール混合溶液に苛性ソーダ(NaOH)を添加し、ニッケルを水酸化ニッケル(Ni(OH)2)として沈殿させて回収する。前記第2段階で生成される水酸化ニッケルは、不純物の含量が非常に少ない高純度の水酸化ニッケルであって、本発明の方法によってニッケルを回収する場合、従来の方法に比べて非常に経済的に無電解ニッケルメッキ廃水中のニッケルを分離回収することができる。前記第2段階で、苛性ソーダの添加量は混合溶液のpHが8〜10の範囲となるように添加する。pHが前記範囲より低ければ、ニッケルが完全に沈殿しないため回収率が低下するという問題が発生し、pHが前記範囲より高ければ、苛性ソーダが無駄に消耗されるという欠点がある。前記第2段階で沈殿した水酸化ニッケルは、濾過してクリーンな水で洗浄した後、乾燥させて水酸化ニッケル製品として生産する。
第3段階では、第2段階でニッケルを分離回収して残った混合溶液を対象として、蒸留工程を用いてエタノールと水を分離する。第3段階の蒸留工法は、水とエタノールとの混合溶液を加熱して沸かすと、沸点の低いエタノールが先に気化し、ついで沸点の高い水が気化するため、これをそれぞれ凝縮させると、水とエタノールを分離して回収することができるという基本的な原理に基づいたものである。本発明では、第3段階の蒸留工法において特別な蒸留方法又は蒸留装置を使用することに制限しない。すなわち、第3段階の水とエタノールの分離のための蒸留工法では商用化されている通常の蒸留方法、蒸留条件及び蒸留装置を使用すれば十分である。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は廃棄する。
以下、実際無電解ニッケルメッキ廃水を対象とした本発明の具体的な条件及び特徴を下記の実施例によって詳細に説明する。
<実施例1>
ニッケル含量1200mg/Lの無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら塩化ナトリウム(NaCl)をモル比でニッケル含量の2倍となるように添加した。塩化ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを4L混合してから十分に沈殿物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを8となるように調節する。前記pHの調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際のニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として97.4%に達した。沈殿した水酸化ニッケルを濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表1に示すように99.8%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は廃棄する。
ニッケル含量1200mg/Lの無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら塩化ナトリウム(NaCl)をモル比でニッケル含量の2倍となるように添加した。塩化ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを4L混合してから十分に沈殿物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを8となるように調節する。前記pHの調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際のニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として97.4%に達した。沈殿した水酸化ニッケルを濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表1に示すように99.8%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は廃棄する。
<実施例2>
実施例1で使用したものと同一の無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら塩化ナトリウムをモル比でニッケル含量の5倍となるように添加した。塩化ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを1L混合してから十分に生成物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを10となるように調節する。前記pH調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際のニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として98.7%に達した。前記沈殿した水酸化ニッケルを実施例1と同様の方法で濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表2に示すように99.6%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から実施例1と同様に蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は実施例1と同様に廃棄する。
実施例1で使用したものと同一の無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら塩化ナトリウムをモル比でニッケル含量の5倍となるように添加した。塩化ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを1L混合してから十分に生成物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを10となるように調節する。前記pH調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際のニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として98.7%に達した。前記沈殿した水酸化ニッケルを実施例1と同様の方法で濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表2に示すように99.6%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から実施例1と同様に蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は実施例1と同様に廃棄する。
<実施例3>
実施例1で使用したものと同一の無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら硝酸ナトリウム(NaNO3)をモル比でニッケル含量の2倍となるように添加した。硝酸ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを1L混合してから十分に沈殿物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを10となるように調節する。前記pH調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際、ニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として98.4%に達した。前記沈殿した水酸化ニッケルを実施例1と同様の方法で濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表3に示すように99.7%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から実施例1と同様に蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は実施例1と同様に廃棄する。
実施例1で使用したものと同一の無電解ニッケルメッキ廃水を1L採取して反応器に仕込み、攪拌を行いながら硝酸ナトリウム(NaNO3)をモル比でニッケル含量の2倍となるように添加した。硝酸ナトリウムが全て溶解した後、エタノールを1L混合してから十分に沈殿物が生成されるように30分攪拌する。前記沈殿物を濾過及び除去して第1段階の工程が終わると、第2段階の工程では苛性ソーダを添加して混合溶液のpHを10となるように調節する。前記pH調節によって混合溶液中のニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させる。この際、ニッケル回収率は混合溶液中の初期ニッケル含量を基準として98.4%に達した。前記沈殿した水酸化ニッケルを実施例1と同様の方法で濾過してクリーンな水で洗浄し乾燥させる方法で水酸化ニッケル製品を生産することができた。この際、生産された水酸化ニッケルの純度は表3に示すように99.7%以上であった。最後に、第3段階では、ニッケルを分離して残った混合溶液から実施例1と同様に蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する。前記第3段階の蒸留工法を介して得たエタノールと水はそれぞれリサイクルし、最後に残った各種塩成分含有濃縮液は実施例1と同様に廃棄する。
Claims (4)
- 無電解ニッケルメッキ廃水に塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムを添加した後、エタノールを混合して各種有機酸塩を沈殿させて除去する第1段階と、
前記第1段階の工程を介して無電解メッキ廃水中のニッケル以外の各種成分を沈殿及び除去させたエタノール混合溶液に苛性ソーダを添加し、ニッケルを水酸化ニッケルとして沈殿させて回収する第2段階と、
前記第2段階でニッケルを分離して残った混合溶液を対象として、蒸留工法を用いてエタノールと水を分離する第3段階とを含んでなることを特徴とする、無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法。 - 前記塩化ナトリウム又は硝酸ナトリウムは無電解ニッケルメッキ廃水に含有されたニッケルの含量に対するモル比で2〜5倍添加することを特徴とする、請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法。
- 前記エタノールを体積比で無電解メッキ廃水:エタノール=1:1〜1:4の範囲となるように混合することを特徴とする、請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法。
- 前記苛性ソーダを混合溶液のpHが8〜10の範囲となるように添加することを特徴とする、請求項1に記載の無電解ニッケルメッキ廃水の処理方法。
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