JP2013043996A - ニッケル回収ロスの低減方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システム - Google Patents

ニッケル回収ロスの低減方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】 沈降分離処理におけるオーバーフロー液中の微細な浮遊固形分濃度を低下させてニッケル回収ロスを低減することができ、より一層にニッケル回収率を向上させることを可能にするニッケル回収ロスの低減方法、そのニッケル回収ロスの低減方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システムを提供する。
【解決手段】 ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化工程におけるニッケル回収ロスの低減方法であって、硫酸水溶液に、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加する。種晶として添加するニッケル硫化物の平均粒径としては、55μm以上に調整することがより好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ニッケル回収ロスの低減方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システムに関し、より詳しくは、ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを形成する硫化工程におけるニッケル回収ロスの低減方法、その低減方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システムに関する。
従来、ニッケル製錬においては、硫化ニッケル鉱を乾式製錬することにより、ニッケル品位が30重量%程度のマットを得て、その後、塩素浸出−電解採取法により電気ニッケルを製造する方法が行われている。
近年、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、硫酸を用いた高温加圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach)が注目されている。この方法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬法とは異なり、還元及び乾燥工程等の乾式工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利となる。そしてまた、ニッケル品位を50重量%程度まで向上させたニッケルを含む硫化物(以下、「ニッケル硫化物」ともいう。)を得ることができるという利点を有している。このニッケル硫化物は、ニッケル酸化鉱石を浸出して得られた浸出液を浄液した後に、硫化工程において硫化水素ガスを吹き込み硫化反応を生じさせることにより沈殿生成される(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、ニッケル酸化鉱石を浸出して得られたニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込むことで沈殿生成されるニッケル硫化物は、そのニッケル硫化物を含むスラリーをシックナー等の固液分離装置を用いて沈降分離処理することによって回収される。より具体的に、その沈降分離処理では、硫化反応によって得られた硫化物スラリーの内、沈殿物であるニッケル硫化物が固液分離装置の底部から回収され、一方で、スラリー中水溶液成分はオーバーフローしてオーバーフロー液として回収され貧液となる。
このとき、従来の沈降分離処理においては、オーバーフローするオーバーフロー液中に多量の微細な浮遊固形分が含まれてしまっていた。この浮遊固形分は、沈殿物とはならずに水溶液中に残存した微細なニッケル硫化物からなるものであり、オーバーフローされてそのまま貧液へと移行し、最終中和処理等が施されて浸出残渣と共に工場外へ払い出されてしまう。そのため、そのオーバーフロー液中に残存し系外へ払い出された微細なニッケル硫化物からなる浮遊固形分は、ニッケル回収においてはロスとなっていた。
これまで、硫化工程における技術として、始液であるニッケルを含む硫酸水溶液に、硫化工程後に得られるニッケル及びコバルトを含む硫化物を種晶として繰り返し、種晶の添加量をその種晶に含まれるニッケル量と始液中に含まれるニッケル量の比率で4〜6となるように管理することによりニッケル回収率を高める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献2における技術は、反応溶液内面への生成硫化物の付着を抑制することによってニッケル回収率を高めるというものであり、種晶の添加量を制御するという当該技術では、硫化工程後の沈降分離処理においてオーバーフロー液中の微細な浮遊固形分濃度を低下させることはできない。
このような状況から、オーバーフロー液中の微細な浮遊固形分濃度を低下させてニッケル回収ロスを低減し、より一層にニッケル回収率を高めることを可能にするニッケル回収ロスの低減方法が求められている。
特開2005−350766号公報 特開2008−231470号公報
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、沈降分離処理におけるオーバーフロー液中の微細な浮遊固形分濃度を低下させてニッケル回収ロスを低減することができ、より一層にニッケル回収率を向上させることを可能にするニッケル回収ロスの低減方法、そのニッケル回収ロスの低減方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、並びに硫化処理システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、硫化工程において、平均粒径が所定以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加することによって、オーバーフロー液中のニッケルを含む浮遊固形分濃度を低下させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るニッケル回収ロスの低減方法は、ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを形成する硫化工程におけるニッケル回収ロスの低減方法であって、上記硫酸水溶液に、平均粒径が所定以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加することを特徴とする。
また、このニッケル回収ロスの低減方法において、種晶として添加する上記硫化物の平均粒径が55μm以上であることが好ましい。
また、このニッケル回収ロスの低減方法において、種晶として添加する上記硫化物は、硫化工程を経て回収したニッケルを含む硫化物を液体サイクロンで分級して得られたものであることが好ましい。
また、このニッケル回収ロスの低減方法において、上記硫酸水溶液は、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法において、浸出工程、固液分離工程、及び中和工程を経て回収されるニッケル及びコバルトを含む硫酸水溶液からなる母液を用いることができる。
また、本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、上記ニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出して得られたニッケルを含む硫酸水溶液に対して、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加し、硫化水素ガスを吹き込んで、ニッケルを含む硫化物と貧液とを形成する硫化工程を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る硫化処理システムは、ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化反応を行う硫化工程において用いられる硫化処理システムであって、上記硫酸水溶液を装入し、該硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を行う攪拌反応槽と、上記硫化反応により生成した硫化物スラリーを上記硫化物と上記貧液とに沈降分離する沈降槽と、上記沈降槽にて分離された上記硫化物を保持し、所定割合で分配する中継槽と、上記中継槽で分配された所定量の上記硫化物を所定の分級点で分級処理する分級装置とを備え、上記分級装置において上記硫化物の平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整し、ポンプを用いて該粒径調整された硫化物を上記攪拌反応槽に循環供給し、上記攪拌反応槽では、上記平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整された硫化物を種晶として用いて硫化反応を行うことを特徴とする。
本発明によれば、平均粒径を所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加して硫化反応を行うようにしているので、例えばシックナー等を用いた沈降分離においてオーバーフローするオーバーフロー液中のニッケルを含む微細な浮遊固形分濃度を低下させることができ、硫化物として回収できるニッケル含有量を高めて、ニッケル回収ロスを低減させることができる。
特に、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法において、ニッケルとコバルトを含む硫酸水溶液に、硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケルとコバルトを含む硫化物と貧液を形成する硫化工程において有効に適用することができる。
硫化工程において用いられる硫化処理システムの一例を示す概略図である。 ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法の工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、本実施の形態という。)について、以下の順序で詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1.ニッケル回収ロスの低減方法
2.硫化工程における硫化処理システム
3.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
4.実施例
<1.ニッケル回収ロスの低減方法>
本実施の形態に係るニッケル回収ロスの低減方法は、ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化反応を行う硫化工程におけるものである。そして、本実施の形態に係るニッケル回収ロスの低減方法では、この硫化工程において、ニッケルを含む硫酸水溶液(始液)に、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加して硫化反応を行うことを特徴とする。
このようにして、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物(以下、「ニッケル硫化物」ともいう。)を種晶として用いて硫化反応を生じさせることによって、沈殿生成する硫化物に含まれるニッケル含有量が大きくなり、沈降分離処理に際し、オーバーフロー液中に含まれるニッケルを含む微細な浮遊固形分濃度を低下させることができる。
すなわち、種晶として添加されるニッケル硫化物は、硫化反応により新規に析出生成される硫化物の発生の核となり、その生成する硫化物の粒子を大きくすることができる。しかもこのとき、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケル硫化物を添加することによって、その発生の核としての作用をより効果的に発揮させることが可能となり、これにより、溶液中に存在する微細なニッケルを含む粒子の沈降性を高め、その微細な粒子をも硫化物の沈殿物として十分に析出させることができる。したがって、従来硫化反応後の沈降分離処理においてオーバーフロー液中に含まれてしまっていた微細な浮遊固形分が、硫化反応において生成する硫化物の沈殿物の一部として効果的に析出されるようになるので、オーバーフロー液中に含まれる微細な浮遊固形分の濃度を低下させることができ、ニッケルの回収ロスを効果的に低減させることができる。
ここで、種晶として添加するニッケル硫化物は、その平均粒径が50μm以上に調整したものを用いることが好ましく、平均粒径が55μm以上に調整したものを用いることがより好ましい。このように、平均粒径が50μm以上、より好ましくは55μm以上に粒径調整したニッケル硫化物を種晶として添加することによって、オーバーフロー液中におけるニッケルを含む微細な浮遊固形分濃度をより効果的に低下させることができる。なお、添加するニッケル硫化物の平均粒径の上限値としては、例えば100μm以下とすることが好ましい。平均粒径が100μmより大きくなるように調整したニッケル硫化物の場合、それ以上にオーバーフロー液中における微細な浮遊固形分濃度の低下効果は得られず、また粒径調整の点においても効率的ではない。
添加するニッケル硫化物の粒径調整方法としては、特に限定されるものではないが、湿式(液体)サイクロンや振動式篩機等を用い、ニッケル硫化物の平均粒径が所定の大きさ以上となるように設定された分級点において分級処理することによって行うことができる。分級処理においては、特に、液体サイクロンを用いて処理することが好ましい。液体サイクロン内においては、ニッケル硫化物間で衝突、接触が起こり、造粒が進行し、より効率的に所望とする平均粒径に粒径調整することができる。また、後述のように硫化工程において得られた硫化物を種晶として循環使用する場合においては、不要なスラリー成分等を分離することができる。
なお、硫化物の粒径が大き過ぎる場合には、例えば分級処理に先立って、必要に応じて、一般的なボールミルや、ロッドミル、AGミル等の粉砕機を用いたニッケル硫化物の粉砕処理を行ってもよい。
上述のようにして粒径調整した硫化物の平均粒径が、所望とする大きさ以上となっているか否かについては、硫酸水溶液への添加に先立って、例えばレーザー回折法による粒度測定等を行うようにすればよい。このようにして、分級処理等の粒径調整の後、ニッケル硫化物を硫酸水溶液に添加する前に粒度測定を行うことによって、確実に平均粒径が所望とする大きさ以上のニッケル硫化物を種晶として添加することができる。
また、添加するニッケル硫化物は、硫化工程における硫化反応によって新規に沈殿生成したニッケルを含む硫化物の一部を循環使用することが好ましい。すなわち、硫化反応により生成したニッケルを含む硫化物を沈降分離して回収し、回収した硫化物のうちの所定量を上述のように分級処理し、又は必要に応じて破砕処理した後に分級処理し、得られたニッケル硫化物をポンプ等を用いて硫化反応を行う反応容器に循環供給する。このようにして、硫化工程において新規に沈殿生成して得られた所定量のニッケル硫化物を、その平均粒径を調整した上で循環使用することによって、別途種晶としてのニッケル硫化物を用意する必要がなく、より効率的に処理することができる。
また、ニッケル硫化物の添加量としては、特に限定されるものではないが、ニッケルを含む硫酸水溶液中のニッケル量に対して4〜6倍のニッケル量に当たるニッケル硫化物を添加することが好ましい。これにより、硫化反応の反応容器内面への生成硫化物の付着を十分に抑制することができ、貧液中に含まれることになるニッケル濃度を低減させることができる。そして、これにより、より一層にニッケルの回収ロスを低減させることができる。なお、添加量が4倍未満では、貧液中のニッケル濃度が上昇してニッケル回収ロスが増えてしまう可能性があり、一方で、添加量が6倍を超えると、それ以上の効果は期待できなくなり非効率となる。
始液となる硫酸水溶液としては、特に限定されるものではなく、ニッケル及び/又はコバルトを含む硫酸水溶液に広く適用することができる。その中でも、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法において、浸出工程、固液分離工程、及び中和工程を経て回収されるニッケル及びコバルトを含む硫酸水溶液からなる母液を好適に用いることができる。このようにニッケル酸化鉱石を高温加圧酸浸出によって浸出して得られた硫酸水溶液は、高い浸出率でニッケル等を浸出して得られたものであるため、この硫酸水溶液を用いることによってより高い回収率でニッケルを回収することができる。
硫化工程における硫化反応の反応温度は、特に限定されるものではないが、例えば、70〜95℃とすることが好ましく、80℃程度とすることがより好ましい。硫化反応自体は一般的に高温であるほど促進されるが、95℃を超えると温度を上昇させるためのコストがかかり、また反応速度が速いため反応容器への硫化物の付着が起こる等の問題が多くなる。
<2.硫化工程における硫化処理システム>
次に、上述したニッケル回収ロスの低減方法を適用した硫化工程において用いられる硫化処理システムの装置設備について説明する。図1は、硫化処理システム10の装置設備構成についての概略図である。上述したように、硫化処理システムとしては、例えば、硫化工程内において新規に生成したニッケル硫化物の一部を循環使用する方式のものが用いられる。
図1に示されるように、硫化処理システム10は、硫化反応が行われる攪拌反応槽11と、硫化反応により生成した硫化物スラリーをニッケルを含む硫化物と貧液とに沈降分離する沈降槽12と、沈降槽12において分離した硫化物を一次的に保持し所定割合で分配する中継槽13と、中継槽13で分配され硫化反応に循環使用される硫化物(ニッケル硫化物)を所定の分級点で分級処理する分級装置14とを備える。また、硫化処理システム10は、分級装置14にて分級されたニッケル硫化物の粒度を測定する粒度測定装置15をさらに備える。
攪拌反応槽11では、ニッケルを含む硫酸水溶液16からなる始液が所定の流量で装入され、その硫酸水溶液16に硫化水素ガス17が吹き込まれて硫化反応が生じる。本実施の形態においては、攪拌反応槽11に装入された硫酸水溶液16中に、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整されたニッケル硫化物18を種晶として添加して硫化反応を生じさせる。
沈降槽12は、例えばシックナー等の沈降分離装置である。沈降槽12では、攪拌反応槽1における硫化反応で生成した硫化物スラリー19が流送され、沈殿物のニッケル硫化物20が濃縮物スラリー(沈殿物)として底部から分離回収されるとともに、硫化物スラリー中の水溶液成分がオーバーフローしてオーバーフロー液21として分離排出される。沈降槽12の底部から分離されたニッケル硫化物20は中継槽13へと送られ、一方で、オーバーフロー液21は貧液として別途中和処理等が施されて系外へ払い出される。
中継槽13では、沈降槽12の底部から分離された沈殿物であるニッケル硫化物20が一次的に保持され、回収分のニッケル硫化物20Aと循環使用分のニッケル硫化物20Bとに所定の割合で分配される。中継槽13において回収分として分配されたニッケル硫化物20Aは、ポンプ等により抜き出されて別工程にて処理され回収される。一方で、中継槽13において循環使用分として分配されたニッケル硫化物20Bは、次の分級装置14へと送られて分級処理が施される。なお、中継槽13では、攪拌反応槽11に装入される始液流量を測定及び調整してそれが変動した場合には、沈降槽12より得られるニッケル硫化物の循環流量を調整することができる。
分級装置14では、中継槽13を経て分配された循環使用分のニッケル硫化物20Bが回収され、所定の大きさ以上の平均粒径を有するニッケル硫化物18となるように分級処理がなされる。より具体的に、分級装置14では、例えば、好ましくは平均粒径が50μm以上、より好ましくは55μm以上に粒径調整されるように設定された分級点で分級処理が行われる。分級装置14としては、例えば、湿式(液体)サイクロンや振動式篩機等、所望とする分級点で分級できるものを用いることができる。なお、分級装置14としては、必要に応じて、ニッケル硫化物を粉砕する機能を有するものを用いることができ、分級処理に先立ってニッケル硫化物を粉砕処理するようにしてもよい。
このようにして分級装置14にて分級処理され、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整されたニッケル硫化物18は、攪拌反応槽11に循環供給されて硫化反応における種晶として使用される。
また、硫化処理システム10では、さらに粒度測定装置15を備えるようにすることができる。粒度測定装置15では、分級装置14にて所定の分級点で分級処理されたニッケル硫化物18の粒度が測定される。粒度測定装置15としては、例えば、レーザー回折式の粒度分布測定装置等を用いることができる。粒度測定装置15では、分級処理されたニッケル硫化物18が、所定の大きさ以上の平均粒径となっているか否かを判断することができる。
このように、硫化工程にて用いられる硫化処理システム10においては、硫化反応により生成され沈降槽12により分離された所定量のニッケル硫化物を攪拌反応槽11に循環供給して硫化反応における種晶として使用することができる構成となっている。そして、本実施の形態においては、ニッケル硫化物18を種晶として循環使用するに際し、中継槽13を経て循環使用分として回収されたニッケル硫化物20Bを所定の分級点で分級処理できる分級装置14を備えており、そのニッケル硫化物20Bの平均粒径を調整することが可能となっている。これらの構成により、平均粒径が所定の大きさ以上となるように粒径調整されたニッケル硫化物18を種晶として硫酸水溶液16に添加し、硫化反応を生じさせることができる。
また、分級装置14に続いて粒度測定装置15を設けることができ、分級されたニッケル硫化物18の粒度を測定することを可能にする。これにより、より的確に所望とする平均粒径となるように調整されたニッケル硫化物18を種晶として硫酸水溶液16に添加することができる。
本実施の形態においては、このように平均粒径を所定の大きさ以上となるように調整したニッケル硫化物18を種晶として添加して硫化反応を行う装置構成となっているため、シックナー等の沈降槽12においてオーバーフローするオーバーフロー液21中に含まれる微細な浮遊固形分の濃度を低下させることができ、ニッケルの回収ロスを効果的に低減させることができる。
<3.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法>
次に、上述したニッケル回収ロスの低減方法を適用した硫化工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。ここでは、高温加圧酸浸出法を用いた湿式製錬方法を具体例として説明する。
図2に、ニッケル酸化鉱石の高温加圧酸浸出法による湿式製錬方法の工程図の一例を示す。図2に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケル等を浸出する浸出工程S1と、得られた浸出スラリーから浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S2と、浸出液を中和しニッケル回収用の母液と中和澱物スラリーとに分離する中和工程S3と、母液である硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を行いニッケルを含む硫化物と貧液とを得る硫化工程S4とを有する。以下、各工程についてより具体的に説明する。
(浸出工程)
浸出工程S1では、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加し、220〜280℃の温度下で攪拌処理して、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する。浸出工程S1では、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)が用いられる。
浸出工程S1で用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。このラテライト鉱のニッケル含有量は、通常0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
具体的に、浸出工程S1においては、下記の式(1)〜(5)で表される浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれる。
・浸出反応
MO+HSO ⇒ MSO+HO ・・・(1)
(なお、式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す。)
2Fe(OH)+3HSO ⇒ Fe(SO+6HO ・・・(2)
FeO+HSO ⇒ FeSO+HO ・・・(3)
・高温熱加水分解反応
2FeSO+HSO+1/2O ⇒ Fe(SO+HO ・・・(4)
Fe(SO+3HO⇒ Fe+3HSO ・・・(5)
浸出工程S1におけるスラリー濃度は、特に限定されるものではないが、浸出スラリーのスラリー濃度が15〜45重量%になるように調製することが好ましい。また、浸出工程S1で用いる硫酸添加量は、特に限定されるものではなく、鉱石中の鉄が浸出されるような過剰量が用いられる。例えば、鉱石1トン当り300〜400kgとする。鉱石1トン当りの硫酸添加量が400kgを超えると、硫酸コストが大きくなり好ましくない。
(固液分離工程)
固液分離工程S2では、浸出工程S1で形成される浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣とを得る。
固液分離工程S2における多段洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、ニッケルを含まない洗浄液で向流に接触させる連続交流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation)を用いることが好ましい。これによって、系内に新たに導入する洗浄液を削減できるとともに、ニッケル及びコバルトの回収率を95%以上とすることができる。
(中和工程)
中和工程S3では、固液分離工程S2にて分離された浸出液の酸化を抑制しながら、その浸出液のpHが4以下となるように炭酸カルシウムを添加し、ニッケル回収用の母液と3価の鉄を含む中和澱物スラリーとを形成する。中和工程S3では、このようにして浸出液の中和処理を行うことで、高温加圧酸浸出による浸出工程S1で用いた過剰の酸の中和を行うとともに、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等を除去する。
中和工程S3において調整する浸出液のpHは、上述のように4以下とし、好ましくは3.2〜3.8とする。浸出液のpHが4を超えると、ニッケルの水酸化物の発生が多くなる。
また、中和工程S3においては、溶液中に残留する3価の鉄イオンの除去に際し、溶液中に2価として存在する鉄イオンを酸化させないことが好ましい。そのため、例えば空気の吹込み等による溶液の酸化を極力防止することが好ましい。これにより、2価の鉄の除去に伴う炭酸カルシウム消費量と中和澱物スラリーの生成量の増加を抑制することができる。すなわち、中和澱物スラリー量の増加による澱物へのニッケル回収ロスを抑えることができる。
また、中和工程S3で得られる中和澱物スラリーを、必要に応じて固液分離工程S2へ送ることができる。これによって、中和澱物スラリーに含まれるニッケルを効果的に回収することができる。具体的には、中和澱物スラリーを、低いpH条件で操業される固液分離工程S2へ繰返すことによって、浸出残渣の洗浄と同時に中和澱物の付着水と中和澱物表面での局所反応により生成した水酸化ニッケルの溶解を促進させることができ、回収ロスとなるニッケル分を低減することができる。なお、ニッケルと同時に鉄の水酸化物も一部再溶解され、浸出した3価の鉄イオンの固定に再度中和剤が必要となる場合がある。そのため、この点からも2価の鉄イオンを酸化させないで中和澱物量の削減を図ることが望ましい。
中和工程S3における反応温度としては、50〜80℃程度とすることが好ましい。反応温度が50℃未満では、形成される3価の鉄イオンを含む中和澱物が微細となり、必要に応じてその中和澱物を循環させた固液分離工程S2における処理に悪影響を及ぼす。一方、反応温度が80℃を超えると、装置材料の耐食性の低下や加熱のためのエネルギーコストの増大を招く。
(硫化工程)
硫化工程S4では、中和工程S3において得られたニッケル回収用の母液である硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせ、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する。
ここで、本実施の形態においては、上述したように、平均粒径を所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)を種晶として硫酸水溶液中に添加する。これにより、硫化反応により生成した硫化物スラリーを沈殿物である硫化物と貧液とに分離する沈降分離処理に際して、オーバーフロー液中におけるニッケルを含む微細な浮遊固形分の濃度を低下させることができ、硫化物として沈殿形成させることができるニッケル分を増加させ、ニッケルの回収ロスを低減させることができる。
種晶となるニッケル硫化物の添加量としては、母液に含まれるニッケル量に対し、4〜6倍のニッケル量に当たる添加量とすることが好ましい。これにより、反応容器内面への生成硫化物の付着を抑制することができるとともに、貧液中のニッケル濃度をより一層に低い水準で安定させることができる。
また、この種晶として添加するニッケル硫化物は、硫化工程S4において生成され沈降分離処理を経て回収された後、平均粒径が所定の大きさ以上となるように分級処理して粒径調整された硫化物を循環使用することが好ましい。なお、必要に応じて、分級処理に先立ち、硫化物を粉砕する処理を行ってもよい。
母液は、上述のようにニッケル酸化鉱石を浸出して得られた硫酸水溶液であり、中和工程S3を経て得られたものである。具体的には、例えば、pHが3.2〜4.0で、ニッケル濃度が2〜5g/L、コバルト濃度が0.1〜1.0g/Lであり、また不純物成分として鉄、マグネシウム、マンガン等を含む硫酸水溶液を用いることができる。不純物成分は、浸出の酸化還元電位、オートクレーブの操業条件、及び鉱石品位により大きく変化するが、一般的に鉄、マグネシウム、マンガンが数g/L程度含まれている。ここで、不純物成分は、回収するニッケル及びコバルトに対して比較的多く存在するが、硫化物としての安定性が低い、鉄、マンガン、アルカリ金属、及びマグネシウム等アルカリ土類金属は、生成する硫化物には含有されることはない。
なお、母液中に亜鉛が含まれる場合には、硫化反応によりニッケル等を硫化物として生成させる処理に先立って、亜鉛を硫化物として選択的に分離する処理を行うことができる。この亜鉛を選択分離する処理としては、硫化反応の際に弱い条件を作り出して硫化反応の速度を抑制することによって、亜鉛と比較して濃度の高いニッケルの共沈を抑制し、亜鉛を選択的に除去する。
このように、硫化工程S4においては、不純物含有の少ないニッケルを含む硫化物とニッケル濃度を低い水準で安定させた貧液が生成され回収される。具体的には、硫化反応により得られた硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離処理することによって、沈殿物である硫化物がシックナーの底部より分離回収され、水溶液成分がオーバーフローして貧液として回収される。なお、この貧液は、pHが1〜3程度であり、硫化されずに含まれる鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含んでいる。
本実施の形態においては、上述のように、平均粒径が所定の大きさ以上となるように粒径調整されたニッケル硫化物を種晶として添加して硫化反応を行うようにしているので、沈降分離に際してオーバーフロー液中に含まれるニッケルを含有する微細な浮遊固形分の濃度を低下させることができる。これにより、系外へ払い出される貧液中にはニッケルがほとんど含有されていない状態となり、ニッケル回収ロスを低減させることができる。また、このようにニッケルをほとんど含まないことから、貧液を固液分離工程S2にて洗浄液として再利用した場合でも、水酸化物の生成を引き起こすことがない。
<5.実施例>
以下に本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例において用いたニッケル硫酸水溶液(始液)は、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法において、浸出工程、固液分離工程、及び中和工程を経て回収されたニッケルを含む硫酸水溶液からなる母液であり、ニッケル濃度が4g/Lであり、pHが3.5であった。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法により行った。
(実施例1)
図1に示した硫化処理システム10を用いて、次の硫化工程を行った。すなわち、ニッケル硫酸水溶液を始液として用いて攪拌反応槽11に装入し、反応温度を70〜80℃に制御しながら、この始液中に、種晶として、硫化反応により生成され平均粒径を55μmとなるように調整したニッケル硫化物(MS)を、始液に含まれるニッケル量に対して4〜5倍のニッケル量となるように添加した。
ここで添加したニッケル硫化物は、硫化反応により得られた硫化物をシックナー(沈降槽12)の底部から中継槽13を経て循環使用用として回収し、液体サイクロン(分級装置14)で分級してレーザー回折式粒度分布装置(SALD-201V、株式会社島津製作所製)(粒度測定装置15)により測定された平均粒径55μmのニッケル硫化物を用いた。
なお、始液流量は200〜450m/hの範囲で変更し、それに連動してシックナーより得られるニッケル硫化物の攪拌反応槽1への循環流量を調節した。
そして、種晶を添加したニッケル硫酸水溶液に、硫化水素ガスを吹き込みながら、硫化反応を行った。
続いて、硫化反応により生成された硫化物スラリーを、シックナー(沈降槽12)へ流送して、ニッケルを含む硫化物と貧液とに分離する沈降分離処理を行った。シックナーの給液流量は400m/hrとした。そして、このときの、貧液となるシックナーオーバーフロー液中における浮遊固形分濃度、シックナーオーバーフロー液中におけるニッケル濃度を求めた。
その結果、シックナーオーバーフロー液中における浮遊固形分濃度は58mg/lであり、ニッケル濃度についても検出下限である0.1g/lより低かった。
(比較例1)
種晶として、硫化反応により生成され回収したニッケル硫化物を、その平均粒径の調整を行わずに、そのまま始液のニッケル硫酸水溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様にして硫化反応を行った。そして、実施例1と同様に、沈降分離処理におけるシックナーオーバーフロー液中の浮遊固形分濃度及びニッケル濃度を求めた。なお、種晶として添加したニッケル硫化物の平均粒径を測定したところ、45μmであった。
その結果、シックナーオーバーフロー液中におけるニッケル濃度は検出下限である0.1g/l未満であったものの、浮遊固形分濃度は110mg/lであり、実施例1に比べて2倍近く高かった。
下記の表1に、実施例1及び比較例1における測定結果をまとめて示す。
Figure 2013043996
以上のように、平均粒径を所定の大きさ以上となるように粒径調整したニッケル硫化物を種晶として硫化反応を行うことにより、沈降分離処理においてオーバーフローするオーバーフロー液中における微細な浮遊固形分濃度を低下させることができることがわかった。特に、平均粒径を55μm以上に調整したニッケル硫化物を種晶として添加した場合では、粒径調整しないでそのままニッケル硫化物を循環使用した場合に比べてオーバーフロー液中における浮遊固形分濃度をおおよそ半減させることができた。
したがって、このようにニッケル回収ロスとなるオーバーフロー液中の微細な浮遊固形分を低下させることができることから、より高い回収率でニッケルを回収できることが分かる。
10 硫化処理システム、11 攪拌反応槽、12 沈降槽、13 中継槽、14 分級装置、15 粒度測定装置

Claims (9)

  1. ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化反応を行う硫化工程におけるニッケル回収ロスの低減方法であって、
    上記硫酸水溶液に、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加することを特徴とするニッケル回収ロスの低減方法。
  2. 種晶として添加する上記硫化物の平均粒径が55μm以上であることを特徴とする請求項1記載のニッケル回収ロスの低減方法。
  3. 種晶として添加する上記硫化物は、硫化工程を経て回収したニッケルを含む硫化物を液体サイクロンで分級して得られたものであることを特徴とする請求項2記載のニッケル回収ロスの低減方法。
  4. 上記硫酸水溶液は、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法において、浸出工程、固液分離工程、及び中和工程を経て回収されるニッケル及びコバルトを含む硫酸水溶液からなる母液であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のニッケル回収ロスの低減方法。
  5. ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、
    上記ニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出して得られたニッケルを含む硫酸水溶液に対して、平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整したニッケルを含む硫化物を種晶として添加し、硫化水素ガスを吹き込んで、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化工程を含むことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  6. 種晶として添加する上記硫化物の平均粒径が55μm以上であることを特徴とする請求項5記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  7. ニッケルを含む硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルを含む硫化物と貧液とを生成する硫化反応を行う硫化工程において用いられる硫化処理システムであって、
    上記硫酸水溶液を装入し、該硫酸水溶液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を行う攪拌反応槽と、
    上記硫化反応により生成した硫化物スラリーを上記硫化物と上記貧液とに沈降分離する沈降槽と、
    上記沈降槽にて分離された上記硫化物を保持し、所定割合で分配する中継槽と、
    上記中継槽で分配された所定量の上記硫化物を所定の分級点で分級処理する分級装置とを備え、
    上記分級装置において上記硫化物の平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整し、ポンプを用いて該粒径調整された硫化物を上記攪拌反応槽に循環供給し、
    上記攪拌反応槽では、上記平均粒径が所定の大きさ以上となるように調整された硫化物を種晶として用いて硫化反応を行うことを特徴とする硫化処理システム。
  8. 上記分級装置においては、上記硫化物の平均粒径を55μm以上となるように調整することを特徴とする請求項7記載の硫化処理システム。
  9. さらに、上記分級装置にて分級された上記硫化物の粒度を測定する粒度測定装置を備えることを特徴とする請求項7又は8記載の硫化処理システム。
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