JP2013043789A - 焼成用粘結助剤 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明の焼成用粘結助剤をセラミックス部品製造もしくは、焼結金属部品製造(粉末冶金)に用いると原料粉体(金属粉末、黒鉛粉末、無機原料粉末)を十分に分散させ、且つ、原料粉同士を結着させることができ、更に、後加工において必要な、成形性を保持し、焼成後の特性を保持する低残炭性を有することから、従来に比べて良好なセラミックス部品や焼結金属部品を製造できる。また、グリーンテープにした際、高い強度と伸びを保持することが可能である。
【選択図】 なし
Description
セラミックスからなる電子部品の場合をあげると、セラミックスの無機原料を有機溶剤に溶解した焼成用粘結助剤と混合し、ドクターブレード法によりシート状に離型可能な基材に塗布し、乾燥後グリーンテープを作り、所望の形状に切断、打ち抜き、または積層を行ってきた。このセラミック成形品は電子機器等に多用され、寸法安定性の向上が重視され、焼成工程における収縮率を小さくすることが重要であり、グリーンテープの密度を向上し、焼成時の収縮率を低下させることが望まれている(非特許文献1)。
この様にして得られたグリーンシートは、更に積層加工、切断加工、打ち抜き加工等の工程を経た後、焼成工程に入る。この際、焼成用粘結助剤は熱分解し、最終的に無機物質のみからなるセラミックスになる。その際、セラミックス特性を左右する物が焼成用粘結助剤として用いたポリマーがセラミックス中に残存しない、即ち、残炭が少ないことが求められる。
しかしながら、粉末冶金では流動性を維持しながら、発塵や偏析をさらに抑制させたいというニーズがあった。
プロピレン系共重合体(A)を含む焼成用粘結助剤である。プロピレン系共重合体(A)は1−ブテンを含むことが好ましい。また、他のオレフィン系樹脂(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)を含むことが好ましい。更に、前記プロピレン系共重合体(A)が極性基を含むことが好ましく、水酸基、無水カルボン酸、−COOX(X:H、M)(Hは水素、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン類由来の陽イオン)であり、その極生基量は極性基換算でプロピレン系共重合体(A)及び/又はオレフィン系樹脂(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)の総計1g中、0.05〜5ミリモルである。
焼成用粘結助剤が水又は有機溶剤に溶解もしくは分散していてもよい。また、本発明の焼成用粘結助剤を用いて得られたセラミックス部品・焼結金属部品である。
更に、他のオレフィン系樹脂及(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)、他添加樹脂を含んでいても良い。以下、これ等について詳細に述べる。
本発明に用いられるプロピレン系共重合体(A)は、プロピレンを55〜95モル%、好ましくは55〜85モル%含むものである。共重合物としては、好ましくは1−ブテンであり、これを5〜45モル%、好ましくは15〜45モル%の量で共重合している。
このプロピレン系共重合体は、プロピレンおよび1−ブテン以外のオレフィンから導か
れる単位を、少量、例えば10モル%以下、望ましくは5モル%以下の量で含んでいても
よい。共重合させるモノマーとしては、エチレンや、炭素数4から6のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを挙げることができる。さらに本発明の効果を阻害しない範囲で、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類や、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エトリデン−2ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなどの非共役ジエン類が挙げられる。
上記極性粘度・分子量分布であれば焼成用粘結助剤としての粘度が適当で、高い成形密度・物性が得られる。
プロピレン系共重合体(A)に上記極性基を導入する方法としては、極性基含有ビニル化合物を有機化酸化物等のラジカル発生剤を用いてプロピレン系共重合体(A)に作用させて得ることができる。
本発明に用いるラジカル発生剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
極性基として水酸基を導入できる水酸基含有ビニル化合物としては、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のが挙げられる。これらの単量体は単独で用いることもできるし、また2種類以上のものを用いることもできる。
また、極性基として−COOX(X:H、M)を導入する場合は、−COOXの素となるカルボン酸を有するビニル化合物を用いる。例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが例示される。また、無水カルボン酸をアミン、アルコール、水等の活性水素を有する化合物を作用させてカルボキシル基とエステル基やアミド基を誘導した物も本発明に供する。
これらの極性基の導入量は適度の分散性と流動性を確保する上で、極性基換算で、プロピレン系共重合体(A)及び/又はオレフィン系樹脂(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)の総計1g中0.05〜5ミリモルが好ましい。極性基量が5ミリモルを超えるとセラミックス原料分や焼結金属原料粉との結着が強すぎ、成形性が低下したり、焼成後の残炭が多くなる傾向にある。
本発明の焼成用粘結助剤は、プロピレン系共重合体(A)の他に、ポリプロピレン・ポリブテン樹脂を除く他のオレフィン系樹脂(B)を含んでも良い。この他のオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、エチレン・ビニルアルコール、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
本発明の焼成用粘結助剤は、プロピレン系共重合体(A)の他に、更にスチレン系エラストマー(C)含んでも良い。スチレン系エラストマー(C)としては、スチレン・共役ジエンブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
上記(B)(C)の含有量は、上記(A)に対して、成形物の強度・残炭の観点から、(B)及び・又は(C)/(A)= 0〜70/30〜100重量% 好ましくは0〜20/80〜100重量%、更に好ましくは0〜10/90〜100重量%である。
本発明の焼成用粘結助剤は、更に粘着付与剤としてその他樹脂を含有してもよい。
例えば、石油系炭化水素樹脂(X)、ロジン系樹脂(Y)、テルペン系樹脂(X)等があげられる。これ等の添加量としては、各種基材又は粉末への密着の観点から、上記(A)(B)(C)合計100重量部に対し、0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部である。
本発明で用いられる石油系炭化水素樹脂(X)としては、例えば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合系脂環族である。C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分を共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエン等を含有しているクマロンインデン系樹脂、ρ−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、ρ−キシレン、m−キシレンをホルマリンと反応させたキシレン系樹脂等も挙げられる。これらは単独または2種類以上で組み合わせて使用することができる。これらの中でも、GPCによる測定で重量平均分子量が1,000〜50,000の石油系炭化水素樹脂が好ましく、なかでも1,500〜30,000が好ましい。また、これらの樹脂に極性基を有するものはさらに好ましい。
本発明で用いられるロジン系樹脂(Y)としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等で変性した変性ロジンが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、前記のロジン類のエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。
本発明で用いられるテルペン系樹脂(X)としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド等からなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン等にスチレン等の芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。中でもテルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、およびこれらの水素添加物が好ましい。
また、本発明の焼成用粘結助剤は必要に応じて、揺変剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、沈降防止剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、顔料分散剤、帯電防止剤などの添加剤を添加しても良い。
ここで有機溶剤としては、特に限定されないが、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類、トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。通常、トルエン、キシレンなどの香族炭化水素が使用される。また、水などに分散せしめたものを使用してもよい。
本発明の焼成用粘結助剤は、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、炭化珪素等のセラミックス原料の無機粉末に、添加し、先に挙げた有機溶剤等にて適当な粘度に希釈し、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の混練機により混練を行い、スラリー状とする。このとき可塑剤、消泡剤、粘結助剤、レベリング剤等の助剤を適宜混合使用してもよい。
本発明の焼成用粘結助剤の添加量は、上記粉末100重量部に対して、通常固形分として1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部、添加量が1重量部未満では、原料粉末同士の密着性が充分でなく、発塵が発生しやすくなり、20重量部を超えると密着は良好となるが、流動性の低下や、圧粉体の強度が低下しやすくなる。
主成分のベース金属粉末としては、主に鉄粉或いは鉄ベースの粉末が用いられる。これら鉄ベースの粉末は、水噴霧鉄粉末、還元鉄粉末、予め合金化した鉄ベース粉末、又は拡散合金化鉄ベース粉末などのような種類のものからなっていてもよい。
副成分の粉末としては、黒鉛、Ni、Cu、Cr、Mn、Si、Mo、P、S、Nb等の合金用元素が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
主成分のベース金属粉末と副成分の粉末の混合比は、90〜99.8%/0.2〜10%がよく、93〜99.5%/0.5〜7%がさらに好ましい。
本発明の焼成用粘結助剤の添加量は、上記粉末100重量部に対して、通常固形分として0.05〜5重量部、好ましくは0.06〜1重量部、更に好ましくは0.08〜0.5重量部である。添加量が0.05重量部未満では、原料粉末同士の密着性が充分でなく、発塵が発生しやすくなり、5重量部を超えると密着は良好となるが、流動性の低下や、圧粉体の強度が低下しやすくなる。
粉末冶金の原料の調製方法は、各種粉末に、溶解もしくは、分散した本発明の焼成用粘結助剤が全体に行きわたるよう混合すればよく、具体的には、各種粉末を混合攪拌しながら溶解もしくは、分散した本発明の焼成用粘結助剤を噴霧して混合する方法や、主成分を攪拌しながら溶解もしくは、分散した本発明の焼成用粘結助剤を噴霧して添加し、さらに副成分の粉末を添加して混合する方法等がある。また、さらに滑性付与剤を混合する場合は、各種粉末を混合攪拌する際に添加しても、溶解もしくは、分散した本発明の焼成用粘結助剤を噴霧混合した後に添加しても、溶解もしくは、分散した本発明の焼成用粘結助剤に混合してから添加してもよい。
金型での圧縮成形は、金属の金型に本発明の焼成用粘結助剤を混合した粉末組成物を投入し、490〜980MPaの圧力で行なう。これを一般的な焼結方法によって、焼結金属部品を得る。
施例に限定されるものではない。
[製造例1]プロピレン系共重合体の製造
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを900cm3、1−ブテンを60g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温70℃、系内圧力を0.7MPaにプロピレンで保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、大量のメタノール中でポリマーを回収し、130℃で12時間減圧乾燥し、プロピレン/1−ブテン共重合体を9.2g得た。
尚、得られた樹脂は、ブテン含量は19モル%からなるプロピレン/1−ブテン共重合体であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は80℃であった。これをそのまま焼成用粘結助剤として供した。
製造例1のプロピレン/1−ブテン共重合体3重量部を10重量部のトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、該共重合体をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸0.382重量部、ジ−tert−ブチルパーオキシド0.175重量部を4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌を行った。冷却後、多量のアセトンを投入し変性された共重合体を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥することで、無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体からなる焼成用粘結助剤を得た。
得られた焼成用粘結助剤の1−ブテン含有量は32.8%、融点は77.0℃、極性基として導入した無水マレイン酸の量は焼成用粘結助剤1gあたり0.1mmolであった。
製造例1のプロピレン/1−ブテン共重合体90重量部、C3=95モル%、Mw=40万のプロピレン系樹脂10重量部に、無水マレイン酸1重量部、2,5−ジメチル−2,5ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を0.08重量部とを混合したものを2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)を用いて加熱温度240℃、16kg/時間で変性を行い、焼成用粘結助剤を得た。
製造例2の無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体20重量部をトルエン80重量部を加え加熱溶解し、固形分20%のセラミックス成形用焼成用粘結助剤トルエン溶液を得た。
[実施例1]
[アルミナグリーンテープの製造]アルミナ粉末(商品名AL−45−A(粒径0.79μm)、昭和電工社)60重量部に上記セラミックス成形用焼成用粘結助剤トルエン溶液30.2重量部を加え、更に、トルエン22重両部を加え、磁気製ボールミルで48時間分散を行い、焼成用粘結助剤とアルミナ粉/焼成用粘結助剤比が10/1であるアルミナスラリーを得た。ここで、得られたアルミナスラリーの静置状態にて分離が生じていないかを確認し、表1に記載した。
つづいて、アルミナスラリーを、乾燥後の厚みが180μになるようにドクターブレードでポリエステルシート上に塗布し、80℃で1時間乾燥して溶媒を除去し、ポリエステルシートから剥離し、アルミナグリーンテープを得た。
[グリーンテープの評価]アルミナグリーンテープに関し、グリーン密度、グリーンテープの伸び強度および、熱分解性(熱分解温度域および残炭量)を測定した。
(1)グリーン密度:成形体寸法と重量より求めた。
(2)グリーンテープの強度:引っ張り試験機によりJIS K6848に準じて計測した。
(3)熱分解性:セラミックスバインダーを直径6cmのアルミ製シャーレに1g入れ、150℃30分乾燥して得られた樹脂片10mgアルミカップに入れ、示差熱・熱重量分析装置(TG/DTA同時測定装置 DTG-60/60H 島津製作所社製)にて、昇温速度20℃/分、昇温温度域20〜500℃にて測定を行い、重量変化を測定し残炭率を測定した。
以上の結果を表1に記載した。
比較例としてアクリル系樹脂(DSCによる融点:80℃、重量平均分子量:27万)とトルエンからなる固形分37.5%のセラミックスバインダーを用いた以外は実施例と同様にアルミナスラリーを得、アルミナグリーンテープを製造し、評価を行い、結果を表1に記載した。
製造例1、製造例2、製造例3で得られた焼成用粘結助剤をそれぞれトルエンで希釈した固形分5%の粉末冶金用焼成用粘結助剤トルエン溶液を得た。
[実施例2〜4]粉末冶金としての評価
主成分のベース金属粉末として鉄粉97.2重量部、副成分の粉末として銅粉末2.0重量部、黒鉛粉末0.8重量部を50℃に加熱しながら混合した後、粉末冶金用焼成用粘結助剤ト組成物を、樹脂分で0.45重量部となるように噴霧添加して10分間混合した。ここにエチレンビスステアリン酸アミド(EBS)を0.03重量部添加して、30分混合しながら、樹脂液(A)の溶媒を蒸発させ冶金用粉体を得た。さらに、得られた冶金用粉末を金型(直径11mm×厚さ10mm)に充填し、圧力686MPaにて圧粉体を得た。尚、圧粉体は10点作成した。
それぞれ得られた冶金用粉体を用いて、黒鉛の飛散量を測定した。試験装置は一方が閉塞した円筒管(内径3cm×長さ15cm)の閉塞側から0.5cmの側面に窒素ガスを吹き込む口が付いており、閉塞側から1cmのところに795メッシュの金網を設け、冶金用粉末を金網上に20g置き、毎分2リットルの窒素ガスを15分吹き込み、黒鉛の減量を測定し、飛散量が10%未満のものを◎、10%以上30%未満のものを○、30%以上のものを×として評価し、結果を表2に記載した。
得られた冶金用粉体を用いて、その流動性をJIS規格Z2502に準拠して測定し、流動性が27(g/50g)以上のものを◎、20(g/50g)以上27(g/50g)未満のものを○、20(g/50g)未満のものを×として評価し、結果を表2に記載した。
それぞれ10点作成した圧粉体は、それぞれ密度を測定し、平均値を表1に記載した。表には、7.30(Mg/m3)以上のものを◎、7.20(Mg/m3)以上7.30(Mg/m3)未満のものを○、7.20(Mg/m3)未満のものを×として記載した。また、測定した最低の数値と最高の数値の差をバラツキとして表1に記載した。表には、値の差が0.05(Mg/m3)以下のものを◎、0.05(Mg/m3)以上0.2(Mg/m3)未満のものを○、0.2(Mg/m3)以上のものを×として記載した。以上の結果を表2に記載した。
粉末冶金用焼成用粘結助剤組成物として、製造例3で得られた焼成用粘結助剤100重量部に石油樹脂(三井化学株式会社製、ハイレッツT−480X)1.4重量部を混合分散し、固形分5%に調整したトルエン溶液を使用した以外は、実施例2〜4と同様に冶金用粉体を得、試験を行った。
[比較例2]焼成用粘結助剤を用いなかった以外は実施例と同様に行ない、結果を表2に記した
Claims (9)
- プロピレン系共重合体(A)を含む焼成用粘結助剤。
- 前記プロピレン系共重合体(A)が1−ブテンを含む請求項1記載の焼成用粘結助剤。
- 更に請求項1又は2に記載のオレフィン系樹脂を除くオレフィン系樹脂(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)を含む請求項1又は2記載の焼成用粘結助剤。
- 前記プロピレン系共重合体(A)が極性基を含む請求項1〜3の何れかに記載の焼成用粘結助剤。
- 前記極性基が水酸基、無水カルボン酸、−COOX(X:H、M)(Hは水素、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン類由来の陽イオン)である請求項4記載の焼成用粘結助剤。
- 前記極生基量が極性基換算でプロピレン系共重合体(A)及び/又はオレフィン系樹脂(B)及び/又はスチレン系エラストマー(C)1g中、0.05〜5ミリモルである請求項4記載の焼成用粘結助剤。
- 焼成用粘結助剤が水又は有機溶剤に溶解もしくは分散している請求項1記載の焼成用粘結助剤。
- 請求項1記載の焼成用粘結助剤を用いて得られたセラミックス部品。
- 請求項1記載の焼成用粘結助剤を用いて得られた焼結金属部品。
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