JP2013041913A - パワーモジュール用基板、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁基板11と、この絶縁基板11の一方の面に形成された回路層12と、を備えたパワーモジュール用基板10であって、回路層12は、絶縁基板11の一方の面に銅板が接合されて構成されており、前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このようなパワーモジュール基板では、回路層の上に、はんだ材を介してパワー素子等の半導体素子が搭載される。
また、特許文献2、3には、第一の金属板(回路層)及び第二の金属板(金属層)を銅板とし、この銅板をDBC法によって絶縁基板に直接接合してなるパワーモジュール用基板が提案されている。
しかしながら、上述のパワーモジュール用基板においては、その使用環境において冷熱サイクルが負荷されることになるが、特許文献2,3に記載されているように回路層及び金属層を銅板で構成した場合には、上述の冷熱サイクルによって絶縁基板と銅板との熱膨張係数の差に起因するせん断応力が銅板に作用し、銅板が加工硬化してしまい、絶縁基板に割れ等が発生するといった問題があった。
また、回路層を構成する銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされているので、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素又はボロンのうち少なくとも1種以上の元素が、不可避不純物のひとつとして銅中に存在するS(硫黄)と反応して硫化物を生成し、Sの影響を抑制することが可能となる。よって、冷熱サイクル時の特に高温域で、回路層において回復・再結晶化が進み、絶縁基板と回路層との熱膨張率の差に起因するせん断応力によって加工硬化された回路層の歪みが減少されることになり、冷熱サイクル時において絶縁基板に負荷される応力が低減される。これにより、冷熱サイクル負荷時における絶縁基板の割れの発生を抑制することが可能となる。
よって、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下の範囲に設定している。
この場合、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素の含有量の合計が3molppm以上、又は、ボロンの含有量が300molppm以上とされているので、銅中のSの影響を抑制することができ、再結晶温度が低くなり、加工硬化を確実に抑制することが可能となる。また、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素の含有量の合計が50molppm以下、又は、ボロンの含有量が1000molppm以下とされているので、銅板の硬化や熱伝導度の低下を抑制することができる。
この場合、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素又はボロンのうち少なくとも1種以上の元素が、酸素と反応して酸化物となることが抑制され、確実にSと反応し、硫化物を生成することができる。よって、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素又はボロンのうち少なくとも1種以上の元素の含有量が少なくても、Sの影響を十分に抑制することが可能となる。
この構成のヒートシンク付パワーモジュール用基板によれば、ヒートシンクによって、パワーモジュール用基板からの熱を効率良く放散することができる。
また、本発明のパワーモジュールは、前述のパワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載された電子部品と、を備えたことを特徴としている。
これらの構成のパワーモジュールによれば、回路層上に搭載された電子部品からの熱を効率的に放散することができ、電子部品のパワー密度(発熱量)が向上した場合であっても、十分に対応することができる。
この場合、前記銅板と前記絶縁基板とを銅(Cu)と亜酸化銅(Cu2O)の共晶域での液相を利用したDBC法(Direct Bonding Copper)によって接合しているので、銅板と絶縁基板とを強固に接合することができる。よって、金属層と絶縁基板の接合信頼性に優れたパワーモジュール用基板を製造することができる。
この場合、絶縁基板の両面に同時に銅板を接合することから、接合時における絶縁基板の反りを抑制することができる。
図1に、本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板10、ヒートシンク付パワーモジュール用基板40及びパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の搭載面12Aにはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、ヒートシンク41とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材(いわゆる無鉛はんだ材)とされている。なお、本実施形態では、回路層12の搭載面12Aとはんだ層2との間に、Niめっき膜(図示なし)が設けられていてもよい。
本実施形態においては、銅板22(回路層12)及び銅板23(金属層13)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)にMgを15molppm添加したMg−Doped銅とされている。
すると、図3に示すように、銅板22とセラミックス基板11との界面に第1溶融金属領域55が形成され、セラミックス基板11と銅板23との界面に第2溶融金属領域56が形成される。これら第1溶融金属領域55及び第2溶融金属領域56は、銅(Cu)と亜酸化銅(Cu2O)との共晶反応によって融点が降下することにより形成されるものである。
このようして、銅板22、セラミックス基板11、銅板23が接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板10が製造されることになる。
さらに、銅板22(回路層12)及び銅板23(金属層13)の酸素含有量が1質量ppm以下とされているので、Mgが酸素と反応して消費されることが抑制され、MgとSとを確実に反応させることができる。
図4に示すパワーモジュール基板110は、セラミックス基板111と、このセラミックス基板111の一方の面(図4において上面)に接合された回路層112と、セラミックス基板111の他方の面(図4において下面)に接合された金属層113と、を備えている。
また、このセラミックス基板111の一方の面及び他方の面には、Al2O3層125、126が形成されている。
本実施形態においては、銅板122(回路層112)及び銅板123(金属層113)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)にZrを10molppm添加したZr−Doped銅とされている。
なお、高純度のArガスを脱酸処理した後に酸素ガスを混合することによって酸素分圧を調整した。また、この雰囲気ガスをシリカゲルと五酸化二リンを充填した乾燥系に通すことで脱水処理を行った後に所定温度に調整された水中を通過させることによって水蒸気分圧を調整した。
すると、図6に示すように、銅板122とセラミックス基板111との界面に第1溶融金属領域155が形成され、セラミックス基板111と銅板123との界面に第2溶融金属領域156が形成される。これら第1溶融金属領域155及び第2溶融金属領域156は、銅(Cu)と亜酸化銅(Cu2O)との共晶反応によって融点が降下することにより形成されるものである。
このようして、銅板122、セラミックス基板111、銅板123が接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板110が製造されることになる。
また、回路層112及び金属層113が、Zrを10molppm含有する銅板122、123で構成されているので、Zrが不可避不純物のひとつとして銅中に存在するS(硫黄)と反応して硫化物を生成し、Sの影響を抑制することが可能となる。これにより、銅板122(回路層112)及び銅板123(金属層113)の再結晶温度が低くなり、加工硬化が抑制されることになる。よって、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板111の割れの発生を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、高酸素分圧/低水蒸気分圧雰囲気にてAlNの酸化処理を行うことにより、AlNとの密着性に優れた緻密なAl2O3層125、126を形成しているので、AlNからなるセラミックス基板111とAl2O3層125、126との間での剥離の発生を防止することが可能となる。
図7に示すパワーモジュール用基板210は、セラミックス基板211と、このセラミックス基板211の一方の面(図7において上面)に形成された回路層212と、セラミックス基板211の他方の面(図7において下面)に形成された金属層213と、を備えている。
本実施形態においては、銅板222(回路層212)及び銅板223(金属層213)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)にLaを7molppm添加したLa−Doped銅とされている。
まず、セラミックス基板211の一方の面側に銅板222を積層する。また、セラミックス基板211の他方の面側に銅板223を積層する(積層工程S211)。このとき、図9に示すように、銅板222とセラミックス基板211との間にAg−Cu−Tiからなるろう材225を配設し、セラミックス基板211と銅板223との間にAg−Cu−Tiからなるろう材226を配設する。
なお、本実施形態では、ろう材225、226は、Ag−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiの組成のものを用いた。
すると、図9に示すように、銅板222とセラミックス基板211との界面に第1溶融金属領域255が形成され、セラミックス基板211と銅板223との界面に第2溶融金属領域256が形成される。
このようして、銅板222、セラミックス基板211、銅板223が接合され、本実施形態であるパワーモジュール用基板210が製造されることになる。
また、回路層212及び金属層213が、Laを7molppm含有する銅板222,223で構成されているので、Laが不可避不純物のひとつとして銅中に存在するS(硫黄)と反応して硫化物を生成し、Sの影響を抑制することが可能となる。これにより、銅板222(回路層212)及び銅板223(金属層213)の再結晶温度が低くなり、加工硬化が抑制されることになる。よって、冷熱サイクル負荷時におけるセラミックス基板211の割れの発生を抑制することが可能となる。
例えば、セラミックス基板を、Al2O3、AlNで構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、Si3N4等で構成されたものであってもよい。
さらに、第2の実施形態において、AlNを酸化処理することによってAl2O3層を形成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の手段によってセラミックス基板の表面にAl2O3層を形成してもよい。
さらに、ヒートシンクの構造は、本実施形態に限定されることはなく、他の構造のヒートシンクを採用してもよい。
Al2O3からなる厚さ0.635mmのセラミックス基板と、表1に示す組成の銅又は銅合金からなる厚さ0.3mmの銅板と、を準備した。
これらの銅板、セラミックス基板、銅板を、第3の実施形態に記載された方法により接合した。なお、回路層形成工程S201及び金属層形成工程S202における加圧圧力を0.5kgf/cm2、加熱温度を850℃とした。
さらに、酸素含有量が異なる本発明例5と本発明例6とを比較すると、酸素含有量が1質量ppm以下とされた本発明例5の方がセラミックス基板の割れ防止効果が高いことが確認された。
3 半導体素子(電子部品)
10、110、210 パワーモジュール用基板
11、111、211 セラミックス基板(絶縁基板)
12、112、212 回路層
13、113、213 金属層
22、122、222 銅板
23、123、223 銅板
40 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
41 ヒートシンク
125、126 Al2O3層
Claims (10)
- 絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面に形成された回路層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、
前記回路層は、前記絶縁基板の一方の面に銅板が接合されて構成されており、
前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 前記絶縁基板の他方の面に金属層が形成されており、この金属層は、前記絶縁基板の他方の面に銅板が接合されて構成されており、
前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。 - 前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で3molppm以上50molppm以下、又は、ボロンを300molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記銅板は、酸素含有量が1質量ppm以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、ヒートシンクと、を備えたことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 請求項5に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載された電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載された電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
- 絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面に形成された回路層と、を備えたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記回路層は、前記絶縁基板の一方の面に銅板が接合されて構成されており、前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされており、
前記絶縁基板の接合面にAl2O3層を形成するアルミナ層形成工程と、前記絶縁基板の一方の面に銅板を接合して前記回路層を形成する回路層形成工程と、を備えており、
前記回路層形成工程においては、前記銅板と前記絶縁基板とを、銅(Cu)と亜酸化銅(Cu2O)の共晶域での液相を利用したDBC法によって接合することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記パワーモジュール用基板は、前記絶縁基板の他方の面に形成された金属層を備え、前記金属層は、前記絶縁基板の他方の面に銅板が接合されて構成されており、前記銅板は、接合される前において、少なくとも、アルカリ土類元素、遷移金属元素、希土類元素のうちの1種以上を合計で1molppm以上100molppm以下、又は、ボロンを100molppm以上1000molppm以下のいずれか一方を含有し、残部が銅及び不可避不純物とされた組成とされており、
前記絶縁基板の接合面にAl2O3層を形成するアルミナ層形成工程と、前記絶縁基板の他方の面に銅板を接合して前記金属層を形成する金属層形成工程と、を備えており、
前記金属層形成工程においては、前記銅板と前記絶縁基板とを、銅(Cu)と亜酸化銅(Cu2O)の共晶域での液相を利用したDBC法によって接合することを特徴とする請求項8に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記前記回路層形成工程と前記金属層形成工程とを同時に実施することを特徴とする請求項9に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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