JP6432373B2 - ヒートシンク付パワーモジュール用基板、パワーモジュール、及び、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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また、このようなパワージュール用基板においては、搭載した半導体素子等から発生した熱を効率的に放散させるために、金属層側にヒートシンクを接合したヒートシンク付パワーモジュール用基板が提供されている。
本発明のヒートシンク付パワーモジュールによれば、上述したヒートシンク付パワーモジュール用基板を備えているので、厳しいヒートサイクルが負荷された場合であっても、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合率が低下することを抑制でき、熱抵抗の上昇が抑制される。このため、半導体素子から発生する熱をヒートシンク側へと効率的に放散することが可能となる。
一方、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる接合材の厚さが1μm以上とされているので、金属層の接合面のCu原子及びヒートシンクの接合面のCu原子と固相拡散するAl原子を確保することができ、前記金属層と前記ヒートシンクとを確実に固相拡散接合することができる。
図2に、本発明の一実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板30及びパワーモジュール1を示す。
ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。
ヒートシンク31は、パワーモジュール用基板10側の熱を放散するためのものであり、図2に示すように、銅又は銅合金で構成された放熱板とされている。本実施形態では、ヒートシンク31は、無酸素銅の圧延板で構成されており、その厚さが1mm以上6mm以下の範囲内に設定されている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、本実施形態では、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。ここで、セラミックス基板11の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
ここで、図2及び図3に示すように、ヒートシンク31と金属層13との接合界面には、接合材50のAl原子とヒートシンク31及び金属層13のCu原子とが固相拡散することにより、AlとCuの金属間化合物を有する拡散接合層40が形成されている。本実施形態においては、この拡散接合層40の厚さt0が3μm以上100μm以下の範囲内とされている。
そして、本実施形態においては、θ相42の厚さt1が5μm以下とされている。
まず。図5に示すように、回路層12となる銅板22及び金属層13となる銅板23と、セラミックス基板11とを接合する。本実施形態では、無酸素銅の圧延板からなる銅板22及び銅板23とAlNからなるセラミックス基板11とを、Ag−Ti系ろう材24によって接合する。
次に、積層したセラミックス基板11、銅板22,23を積層方向に0.05MPa以上3.5MPa以下の荷重を負荷した状態で、真空またはアルゴン雰囲気の加熱炉内に装入して、790℃以上850℃以下、0.1時間以上1時間以下保持することにより、セラミックス基板11と銅板22、23との間に溶融金属領域を形成する(加熱工程S12)。
その後、冷却することによって溶融金属領域を凝固させる(凝固工程S13)。このようにして、銅板22とセラミックス基板11と銅板23とを接合し、回路層12及び金属層13を形成する。これにより、本実施形態におけるパワーモジュール用基板10が製造される。
次に、パワーモジュール用基板10の金属層13の他方の面(セラミックス基板11との接合面とは反対側の面)にヒートシンク31を接合する。
このヒートシンク接合工程S02においては、まず、図5に示すように、パワーモジュール用基板10の他方の面側に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる接合材50と、ヒートシンク31とを、順に積層する(ヒートシンク積層工程S21)。
ここで、接合材50の厚さが、1μm以上50μm未満に設定されている。本実施形態では、接合材50として、純度99.99mass%以上のいわゆる4Nアルミニウムからなるアルミニウム箔(厚さ10μm)を用いている。
なお、本実施形態においては、金属層13と接合材50、ヒートシンク31と接合材50との接合されるそれぞれの面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされた後に、固相拡散接合されている。
このようにして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板30が製造される。
次に、パワーモジュール用基板10の回路層12の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
以上の工程により、図2に示すパワーモジュール1が製出される。
なお、ヒートサイクルを負荷した際に、金属層13とヒートシンク31との接合界面にクラックが形成されることを確実に抑制するためには、拡散接合層40におけるθ相42の厚さt1を2μm以下とすることが好ましく、0.5μm以下とすることがさらに好ましい。
一方、拡散接合層40の厚さが100μm以下とされているので、θ相が厚く形成されるおそれがない。
一方、アルミニウム又はアルミニウム合金(本実施形態では4Nアルミニウム)からなる接合材50の厚さが1μm以上とされているので、金属層13のCu原子及びヒートシンク31の銅原子と固相拡散するAl原子を確保することができ、金属層13とヒートシンク31とを固相拡散接合によって確実に接合することができる。
また、金属層13とヒートシンク31とを固相拡散接合によって確実に接合して、これらの接合強度をさらに向上させるためには、接合材50の厚さの下限を5μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることがさらに好ましい。
例えば、回路層又は金属層を構成する銅板を、無酸素銅として説明したが、これに限定されることはなく、タフピッチ銅等の純銅又はその他の銅合金で構成されたものであってもよい。
また、本実施形態においては、接合材としてアルミニウム箔を用いたもので説明したが、これに限定されることはなく、めっき、蒸着、スパッタ等によって、金属層とヒートシンクとの間に接合材を介在させてもよい。
さらに、絶縁層、回路層、金属層、ヒートシンクの厚さは、本実施形態に限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
図5のフロー図に記載した手順に従って、荷重1.2MPa、温度535℃、1.5時間の条件で真空加熱炉(10−6Pa以上、10−3Pa以下)において固相拡散接合を行い、ヒートシンク付パワーモジュール用基板を作製した。
なお、セラミックス基板は、AlNで構成され、40mm×40mm、厚さ0.635mmのものを使用した。
金属層は、無酸素銅の圧延板(37mm×37mm、厚さ0.3mm)をAg−Ti系ろう材を用いてセラミックス基板に接合することによって形成した。
ヒートシンクは、表1記載の材質で構成され、50mm×50mm、厚さ5mmのものを使用した。なお、ZCは三菱伸銅株式会社製Cu−Zr合金(商品名:ZC)を用いた。
ここで、接合材は、表1に示す組成及び厚さのものを使用した。なお、厚さが5μm以上のものは箔材とし、厚さは5μm未満のものはスパッタによって成膜した。
回路層となる無酸素銅の圧延板(37mm×37mm、厚さ0.3mm)とAlNで構成されたセラミックス基板(40mm×40mm、厚さ0.635mm)と金属層となる無酸素銅の圧延板(37mm×37mm、厚さ0.3mm)とを、Ag−Ti系ろう材を介して積層し、積層方向に5kgf/cm2で加圧した状態で、真空加熱炉内に装入し、850℃で10分加熱することによって接合し、パワーモジュール用基板を作製した。次にパワーモジュール用基板とヒートシンク(無酸素銅の圧延板、50mm×50mm、厚さ5mm)とをSn−Ag−Cuはんだを介して接合した。
得られたヒートシンク付パワーモジュール用基板の断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製SM−09010)を用いて、イオン加速電圧:5kV、加工時間:14時間、遮蔽板からの突出量:100μmでイオンエッチングした後に観察し、金属層とヒートシンクとの接合界面に形成された拡散接合層の厚さt0、及び、θ相の厚さt1を測定した。
拡散接合層の厚さt0は、金属層とヒートシンクとの接合界面を厚さ方向にEPMA(日本電子社製JXA−8530F,加速電圧:15kV,スポット径:1μm以下,倍率:500倍,間隔:0.3μm)にてライン分析を行いAl濃度が1at%以上の箇所を拡散接合層とみなし、厚さを測定した。
また、θ相の厚さt1は、金属層とヒートシンクとの接合界面を厚さ方向にEPMA(日本電子社製JXA−8530F,加速電圧:15kV,スポット径:1μm以下,倍率:500倍,間隔:0.3μm)にてライン分析を行い、AlとCuの原子比が2:1になる箇所をθ相とみなし、厚さを測定した。
ヒートサイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、試験片(ヒートシンク付パワーモジュール)に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→150℃×5分のヒートサイクルを4000回実施した。
そして、ヒートサイクル試験前の接合率、及び、ヒートサイクル試験後の接合率を評価した。
金属層とヒートシンクとの接合率は、超音波探傷装置(日立パワーソリューションズ社製FineSAT200)を用いて以下の式を用いて求めた。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積(37mm角)とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
また、θ相の厚さt1が5μmを超える比較例においても、ヒートサイクル試験後に接合率が大きく低下した。脆弱なθ相が厚く形成されており、ヒートサイクルによってθ相を起点としてクラックが生じたためと推測される。
以上のことから、本発明によれば、厳しいヒートサイクルが負荷された場合であっても接合界面においてクラック等が生じることを抑制できるヒートシンク付パワーモジュール用基板を提供可能であることが確認された。
10、110、210 パワーモジュール用基板
11、111,211 セラミックス基板
12、112、212 回路層
13、113、213 金属層
30、130、230 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
31、131、231 ヒートシンク
40 拡散接合層
42 θ相
50 接合材
Claims (3)
- 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、この金属層の前記絶縁層とは反対側の面に配置されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記金属層のうち前記ヒートシンクとの接合面、及び、前記ヒートシンクのうち前記金属層との接合面は、銅又は銅合金で構成され、
前記金属層と前記ヒートシンクとは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる接合材を介して固相拡散接合によって接合されており、
前記金属層と前記ヒートシンクとの接合界面には、AlとCuとの金属間化合物を有する拡散接合層が形成されており、この拡散接合層においては、θ相の厚さが5μm以下とされ、前記拡散接合層の厚さが3μm以上100μm以下の範囲内とされていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、前記回路層のうち前記絶縁層とは反対側の面に接合された半導体素子と、を備えることを特徴とするパワーモジュール。
- 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、この金属層の前記絶縁層とは反対側の面に配置されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記金属層のうち前記ヒートシンクとの接合面、及び、前記ヒートシンクのうち前記金属層との接合面は、銅又は銅合金で構成されており、
前記金属層と前記ヒートシンクとを接合するヒートシンク接合工程を有し、このヒートシンク接合工程においては、前記金属層と前記ヒートシンクとの間にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる接合材を介して固相拡散接合する構成とされており、
前記接合材の厚さが1μm以上50μm未満の範囲内とされており、
前記ヒートシンク接合工程では、前記金属層と前記ヒートシンクとを前記接合材を介して積層し、積層方向に0.29MPa以上3.5MPa以下の荷重を負荷した状態で、400℃以上548℃未満の保持温度で0.1時間以上4時間以下保持することにより、前記金属層と前記ヒートシンクとを固相拡散接合することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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