以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態の便座に使用者が腰掛けた状態を例示する断面模式図である。
また、図3および図4は、本実施形態のノズルが洗浄水を噴出する状態を例示する断面模式図である。
なお、図2、図3、および図4は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」の洗浄(おしり洗浄)や女性局部の洗浄(ビデ洗浄)などを実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えば図示しないリモコンなどの操作部を操作すると、ノズル410を便器800のボウル801内に進出させることができる。ノズル410は、図2に表した矢印A41ように、例えば便器800の上面などの水平面に対して斜め下方へ進出する。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル410がボウル801内に進出した状態を表している。
ノズル410の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水孔411が設けられている。そして、ノズル410は、その先端部に設けられた吐水孔411から水を噴出して、便座200に座った使用者の「おしり」や女性局部などを洗浄することができる。ノズル410が水を噴出する際には、吐水孔411は、図2に表したように、便座200に着座した使用者600の身体局部に対して下側の斜め後方に位置している。そのため、ノズル410は、図2に表した矢印A43のように、便座200に着座した使用者600の身体局部に対して下側の斜め後方に位置する吐水孔411から水を噴出し身体局部を洗浄できる。例えば、図1に表したノズル410では、ふたつの吐水孔411のうちの一方の吐水孔411は、ビデ洗浄用の吐水孔であり、他方の吐水孔411は、おしり洗浄用の吐水孔である。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
後に詳述するように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、身体の局部の第1の範囲に着水するようにノズル410の吐水孔411から洗浄水が噴出するスポット吐水(第1の吐水)と、第1の範囲よりも広い第2の範囲に万遍なく着水するようにノズル410の吐水孔411から円錐状の洗浄水が噴出するワイド吐水(第2の吐水)(図2に表した二点鎖線の吐水)と、を実行することができる。
ここで、ノズル410がワイド吐水を実行する場合において、吐水孔411から吐水された洗浄水500の前方部分501は、洗浄水500の後方部分503よりも大きい空気抵抗や重力の影響を受けて狙いの範囲に着水しない場合がある。そうすると、洗浄水が使用者の股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者の太ももに吐水される場合がある。ここで、本願明細書においては、ノズル410の軸線または進出方向に対して平行な方向であって、便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、ノズル410の軸線または進出方向に対して垂直な水平方向であって、便器800の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
また、ノズル410は、便座200に着座した使用者600の身体局部に対して下側の斜め後方に位置する吐水孔411から水を噴出するため、吐水孔411から身体局部までの距離は、吐水された洗浄水500の前方部分501よりも後方部分503において短い。そのため、吐水された洗浄水500の後方部分503は、空気抵抗や重力の影響を受けても狙いの範囲から大きく外れて着水するおそれは少ない。また、吐水された洗浄水500の後方部分503の進行方向には使用者の臀部610が存在するため、股間を抜けて周囲に飛び散るおそれは少ない。一方、吐水孔411から身体局部までの距離は、吐水された洗浄水500の後方部分503よりも前方部分501において長い。そのため、吐水された洗浄水500の前方部分501は、洗浄水500の後方部分503よりも大きい空気抵抗や重力の影響を受けやすく、狙いの範囲に着水しない場合がある。
これに対して、本実施形態では図3に表したように、吐水孔411に接続された吐水流路413の中心軸413cからみて前方部分415の長さは、吐水流路413の中心軸413cからみて後方部分417の長さよりも長い。言い換えれば、吐水流路413の前方部分415の吐水孔411に接続された最下流部415aと、吐水流路413の後方部分417の吐水孔411に接続された最下流部417aと、の間には、吐水流路413の中心軸413cの方向に距離D1が存在する。そして、吐水流路413の前方部分415の長さが吐水流路413の後方部分417の長さと同一である場合と比較して、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aから便座200に着座した使用者600の臀部610までの距離は短い。
ここで、本願明細書において「吐水流路」とは、ノズル410の進退方向に対して垂直の成分を含む方向に延在し、吐水孔411に接続された部分の流路をいうものとする。
また、「ノズル410の進退方向に対して垂直の成分を含む方向に延在」するとは、ノズル410の進退方向に対して垂直方向に延在することはもちろんのこと、ノズル410の進退方向に対して例えば45度などの斜め方向に延在することを含むものとする。
また、本願明細書において「最下流部」とは、吐水孔411へ向かって流れてきた洗浄水がノズル410から最後に離れて空間へ噴出する部分をいうものとする。すなわち、洗浄水500の前方部分501は、洗浄水500の後方部分503よりも後に吐水流路413の前方部分415の最下流部415aから離れて空間へ噴出する。言い換えれば、洗浄水500の後方部分503は、洗浄水500の前方部分501よりも先に吐水流路413の後方部分417の最下流部417aから離れて空間へ噴出する。
また、吐水流路413の中心軸413cとは、洗浄水が吐水流路413を通過する方向に対して垂直方向の断面形状が円形の場合には、円の中心を通る軸をいうものとする。また、洗浄水が吐水流路を通過する方向に対して垂直方向の断面形状が楕円形の場合には、吐水流路413の中心軸413cとは、長軸と短軸との交点を通る軸をいうものとする。
これによれば、吐水流路413の前方部分415の長さが吐水流路413の後方部分417の長さと同一で有る場合と比較して、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aと身体局部における着水部分との間の距離を短くすることができる。そのため、吐水された洗浄水500の前方部分501は、洗浄水500の後方部分503と比較して空気抵抗や重力の影響を受けにくく、狙いの範囲に着水しやすい。これにより、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることを抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りを抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
あるいは、本実施形態では図4に表したように、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aは、ノズル410の外形を形成する外形面(胴体面)419と同等あるいはそれよりも内側に形成されている。つまり、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aは、ノズル410の外形を形成する外形面419から外部へ突出していない。
その他の構造は、図3に関して前述したノズル410と同様である。すなわち、吐水孔411に接続された吐水流路413の中心軸413cからみて前方部分415の長さは、吐水流路413の中心軸413cからみて後方部分417の長さよりも長い。言い換えれば、吐水流路413の前方部分415の吐水孔411に接続された最下流部415aと、吐水流路413の後方部分417の吐水孔411に接続された最下流部417aと、の間には、吐水流路413の中心軸413cの方向に距離D2が存在する。そして、吐水流路413の前方部分415の長さが吐水流路413の後方部分417の長さと同一である場合と比較して、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aから便座200に着座した使用者600の臀部610までの距離は短い。
これによれば、吐水孔411の近傍の構造や、ノズル410の全体の構造や、ケーシング400の構造などを特別に考慮しなくとも、従来あるいは既知のノズル収納構造によりノズル410をケーシング400に収納(後退)させることができる。例えば、吐水流路413の前方部分415の最下流部415aや後方部分417の最下流部417aが外形面419から外部へ突出している場合において、ノズル410が、複数の可動部を有する多段式のノズルであるときには、収納方法や収納構造を特別に考慮する必要がある。これに対して、図4に表したノズル410では、ノズル410が多段式のノズルであっても、収納方法や収納構造を特別に考慮する必要はない。また、図3に関して前述したように、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りを抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
図5は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
なお、図5は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、水道や貯水タンクなどの図示しない給水源から供給された水を導く流路10を有する。流路10の上流側には、電磁弁440が設けられている。電磁弁440は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部401からの指令に基づいて、熱交換器450への水の供給を制御する。
電磁弁440の下流側には、熱交換器450が設けられている。熱交換器450は、供給された水を加熱し所定の温水にする。なお、熱交換器450は、例えば、シーズヒータなどを用いた瞬間加熱式熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式熱交換器でもよい。
熱交換器450の下流側には、圧力変調装置470が設けられている。この圧力変調装置470は、流路10内の水の流れに脈動を与え、ノズル410の吐水孔411から吐水される水に脈動を与えることができる。なお、圧力変調装置470は、必ずしも設けられていなくともよい。
圧力変調装置470の下流側には、ノズル410が設けられている。ノズル410は、水勢(流量)の調整を行う流量調整弁480と、スポット吐水の際に通水される第1の流路427と、ワイド吐水の際に通水される第2の流路428と、ノズル本体420と、を有する。流量調整弁480は、水勢の調整を行うことができるとともに、ノズル410への給水の開閉や切替を行うことができる。より具体的に説明すると、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、身体の局部の第1の範囲に着水するようにノズル410の吐水孔411から洗浄水が噴出するスポット吐水と、第1の範囲よりも広い第2の範囲に万遍なく着水するようにノズル410の吐水孔411から円錐状の洗浄水が噴出するワイド吐水と、を実行することができる。
流量調整弁480は、制御部401からの指令に基づいて、第1の流路427へ通水したり、第2の流路428へ通水することができる。あるいは、流量調整弁480は、所定の比率で第1の流路427および第2の流路428へ通水することができる。これにより、使用者は、第1の流路427と第2の流路428とを切り替えることにより、あるいは、第1の流路427を通過する洗浄水の流量と、第2の流路428を通過する洗浄水の流量と、の比率を適宜設定変更することにより、円錐状に洗浄水を吐水させてより広い範囲を一度にさっと洗浄するワイド吐水と、より狭い範囲を重点的に洗浄するスポット吐水と、を好みに応じて切り替えることができる。これについては、後に詳述する。
ノズル410は、ノズルモータ(ノズル駆動部)490からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり後退することができる。そして、ノズル410は、ボウル801内に進出した状態で吐水孔411から水を噴射して、便座200に座った使用者の女性局部を洗浄することができる。
次に、本実施形態のノズルの具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態のノズルの具体例を例示する平面模式図である。
図7は、本実施形態のノズルの具体例を例示する断面模式図である。
なお、図6は、図1に表した矢印A1の方向にみたときのノズルの平面模式図である。 また、図7は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
本具体例のノズル410は、ノズル本体420と、スロート430a、430bと、を有する。図6および図7に表したように、スロート430aには、第1の吐水孔411aが形成されている。一方、スロート430bには、第2の吐水孔411bが形成されている。なお、本具体例のノズル410は、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bを有しているが、これだけに限定されず、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bのいずれか一方を有していてもよい。第1の吐水孔411aに接続された流路などの構造は、第2の吐水孔411bに接続された流路などの構造と同様であるため、以下では、第1の吐水孔411aに接続された流路などの構造を例に挙げて説明する。
ノズル本体420の内部には、図示しない水源から供給された洗浄水が通過する第1の流路427および第2の流路428と、洗浄水に旋回成分を付与する旋回室423と、旋回室423からの洗浄水を第1の吐水孔411aへ導く連通路425と、が設けられている。また、旋回室423の中央部には、より安定した旋回力の旋回流を生成する突設部424が設けられている。
旋回室423は、円筒状に形成され底部においてより大きな径を有する大径部内周壁423eと、連通路425へ向かうにつれて収縮した径を有する傾斜内周壁423fと、により形成され、中空室とされている。そして、傾斜内周壁423fは、その一端において連通路425に接続されている。後に詳述するように、第2の流路428は、旋回室423に偏心して接続されている。より具体的には、第2の流路428は、旋回室423の大径部内周壁423eの接線方向に接続されている。
スロート430aの内部には、ノズル本体420の連通路425から吐水された洗浄水が通過するスロート流路431が設けられている。スロート流路431の一端には、スロート流路431を通過した洗浄水をスロート430aの外部へ噴出する第1の吐水孔411aが形成されている。つまり、本具体例のスロート流路431は、図1〜図4に関して前述した吐水流路413に相当する。第1の吐水孔411aの近傍のスロート流路431には、第1の吐水孔411aへ向かうにつれて流路が拡大するテーパ部432が形成されている。
図7に表したように、スロート流路431の中心軸433aからみて前方部分431aの長さは、スロート流路431の中心軸433aからみて後方部分431bの長さよりも長い。言い換えれば、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dと、スロート流路431の後方部分431bの最下流部431eと、の間には、スロート流路431の中心軸433aの方向に距離D3が存在する。そして、スロート流路431の前方部分431aの長さがスロート流路431の後方部分431bの長さと同一である場合と比較して、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dから便座200に着座した使用者600の臀部610までの距離は短い。「最下流部」および「中心軸」については、図1〜図4に関して前述した如くである。
次に、ワイド吐水について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、ワイド吐水を説明するための断面模式図である。
なお、図8は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
ワイド吐水を実行する場合には、図示しない水源から供給される洗浄水は、第2の流路428を通過してノズル410へ供給され、旋回室423へ流入する。本実施形態では、第2の流路428は、旋回室423の大径部内周壁423eの接線方向に接続されている。そのため、旋回室423へ流入した洗浄水は、図8に表した矢印A3のように、大径部内周壁423eおよび傾斜内周壁423fに沿って旋回する。そして、旋回室423において旋回した洗浄水は、旋回成分を維持しつつ連通路425を通過する。このとき、洗浄水は、より大きい旋回成分を有するため、図8に表したように、連通路425では縮流が生じる。そのため、連通路425を通過する洗浄水の実質的な面積が縮小し、洗浄水の流速は速くなる。そして、流速が速くなった洗浄水は、旋回力を維持しつつ連通路425を通過し、スロート430aのスロート流路431内へ噴出する。
このとき、ノズル本体420から噴出した洗浄水は、旋回成分を維持しているため、中央部に中空部分を有する液膜として中空円錐状に噴出する。以下、説明の便宜上、このように中空円錐状に噴出した洗浄水を「中空円錐状吐水」と称する。
スロート流路431に流入した洗浄水は、旋回成分を維持しつつスロート流路431の内面に沿って流れ、第1の吐水孔411aへ導かれる。すなわち、スロート流路431を通過する洗浄水は、スロート流路431の内面に付着するように流れる。そのため、スロート流路431を流れる洗浄水は、スロート流路431の内面から摩擦力による抵抗を受け、その洗浄水の流速は、第1の吐水孔411aへ向かうにつれて小さくなる。
これにより、図8に表したように、第1の吐水孔411aの近傍の液膜の厚さは、ノズル本体420から噴出したときの液膜の厚さ、あるいはスロート流路431に流入した直後の液膜の厚さよりも厚い。
さらに、スロート流路431を流れる洗浄水の流速は、スロート流路431の内面の近傍すなわち境界層よりもスロート流路431の中心部の方が速い。そのため、スロート流路431を流れる洗浄水の内部には、図8に表した矢印A5、A6のように、液膜を横断する方向に渦流が発生する。また、第1の吐水孔411aの近傍におけるスロート流路431には、第1の吐水孔411aへ向かうにつれて流路が拡大するテーパ部432が形成されているため、第1の吐水孔411aから吐水される洗浄水は、テーパ部432に沿って流れる。そのため、第1の吐水孔411aから噴出する洗浄水の内部には、液膜を横断する方向に渦流がより発生しやすい。
そうすると、第1の吐水孔411aから噴出した洗浄水500は、中央部に中空部分を有する液膜として、すなわち中空円錐状吐水510として噴出するが、第1の吐水孔411aからある程度離間した位置において粒化水流(水粒)520へ遷移する。より具体的には、第1の吐水孔411aから噴出した中空円錐状吐水510の内部には、液膜を横断する方向に渦流が発生しているため、第1の吐水孔411aからある程度離間した位置において、隣接する渦流同士の間に亀裂が生ずる。そうすると、第1の吐水孔411aから噴出した中空円錐状吐水510は、図8に表したように、第1の吐水孔411aからある程度離間した位置において破砕される。このようにして、第1の吐水孔411aから噴出した中空円錐状吐水510は、粒化水流520へ遷移する。そして、中空円錐状吐水510が拡散する領域の内側には、粒化水流520が万遍なく行き渡る。
このとき、図6および図7に関して前述したように、スロート流路431の中心軸433aからみて前方部分431aの長さは、スロート流路431の中心軸433aからみて後方部分431bの長さよりも長い。そして、スロート流路431の前方部分431aの長さがスロート流路431の後方部分431bの長さと同一である場合と比較して、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dから便座200に着座した使用者600の臀部610までの距離は短い。
これによれば、スロート流路431の前方部分431aの長さがスロート流路431の後方部分431bの長さと同一である場合と比較して、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dと身体局部における着水部分との間の距離を短くすることができる。そのため、吐水された洗浄水500の前方部分501は、洗浄水500の後方部分503と比較して空気抵抗や重力の影響を受けにくく、狙いの範囲に着水しやすい。これにより、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることを抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りを抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
そして、本実施形態のワイド吐水によれば、中空円錐状吐水510の中空部分(洗浄水500が拡散する領域の内側)に粒化水流520を万遍なく行き渡らせた状態で、便座200に座った使用者の女性局部のより広い範囲に洗浄水を着水させることができる。そのため、所望の広い範囲を一度にさっと洗浄することができる。
次に、スポット吐水について、図面を参照しつつ説明する。
図9は、スポット吐水を説明するための断面模式図である。
なお、図9は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
ノズル本体420の内部には、第2の流路428と同様に、図示しない水源から供給された洗浄水が通過する第1の流路427が設けられている。第1の流路427は、旋回室423の軸心へ向かうように旋回室423の大径部内周壁423eに接続されている。
スポット吐水を実行する際には、図示しない水源から供給される洗浄水は、第1の流路427を通過してノズル410へ供給され、旋回室423へ流入する。ここで、第1の流路427は、旋回室423の軸心へ向かうように旋回室423の大径部内周壁423eに接続されているため、旋回室423へ流入した洗浄水は、図9に表した矢印A4のように、第2の流路428を通過して旋回室423へ流入した洗浄水よりも小さい旋回成分を有した状態で旋回する。そして、旋回室423において旋回した洗浄水は、第2の流路428を通過して旋回室423へ流入した洗浄水よりも旋回成分を低減された状態で連通路425を通過する。このとき、洗浄水の旋回成分は低減されているため、図8に表したようには、連通路425では縮流は生じない。そのため、洗浄水の流速は、ワイド吐水の際に連通路425を通過する洗浄水の流速よりも遅い。そして、連通路425を通過した洗浄水は、スロート430aのスロート流路431内へ直進流530として噴出する。
ノズル本体420から噴出した直進流530の一部は、直進流530から分離して液滴540となる。直進流530から分離した液滴540は、図9に表した矢印A7のように、スロート流路431の内面において反射される。そして、スロート流路431の内面において反射された液滴540の一部は、再び直進流530と合流する。これにより、直進流530と周囲の空気との間において気液界面が生成される。そして、ノズル本体420から噴出した洗浄水は、直進流530と液滴540とが混在した状態で第1の吐水孔411aから噴出する。つまり、ノズル本体420から噴出した洗浄水は、水粒状に吐水される。
スポット吐水の際に第1の吐水孔411aから噴出した洗浄水は、ワイド吐水の際に第1の吐水孔411aから噴出した洗浄水のようには拡散せず、中空円錐状吐水として噴出することはない。つまり、スポット吐水の際に第1の吐水孔411aから噴出した洗浄水は、中空の状態ではなく、中実の状態あるいは充填された状態となっている。
スポット吐水の際には、連通路425において縮流が生じないため、直進流530および液滴540により連通路425およびスロート流路431はほぼ満水の状態となる。そのため、スポット吐水の際にも、スロート流路431を流れる洗浄水の一部は、スロート流路431の内面から摩擦力による抵抗を受けつつ、テーパ部432に沿って流れる。
これによれば、図8に関して前述したワイド吐水の場合と同様の作用により、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることを抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りを抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
そして、本実施形態のスポット吐水によれば、ワイド吐水の場合よりも狭い範囲を洗浄することができる。つまり、スポット吐水の着水範囲は、ワイド吐水の着水範囲よりも狭い。言い換えれば、ワイド吐水の着水範囲は、スポット吐水の着水範囲よりも広い。使用者は、洗浄したい洗浄箇所を好みに応じて重点的に洗浄することができる。
次に、本具体例のノズルの流路構造について、図面を参照しつつ説明する。
図10〜図12は、本具体例のノズルの流路構造を説明するための模式図である。
なお、図10は、本具体例のノズルを斜め上方から眺めた斜視模式図である。
また、図11は、本具体例のノズルを上方から眺めた上面模式図である。
また、図12は、図11に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
図10〜図12では、第1の吐水孔411aに接続された流路の構造を例に挙げて説明する。
本具体例のノズル410は、ノズル本体420を有する。ノズル本体420の内部には、第1の流路(スポット吐水用流路)427と、第2の流路(ワイド吐水用流路)428と、が設けられている。第2の流路428は、図10に表したように、旋回室423の大径部内周壁423eの接線方向に接続されている。一方、第1の流路427は、図10に表したように、旋回室423の軸心へ向かうように大径部内周壁423eに接続されている。その他の構造は、図6および図7に関して前述した如くである。
第2の流路428は、旋回室423の大径部内周壁423eの接線方向に接続されているため、第2の流路428を通過して旋回室423へ流入した洗浄水は、大径部内周壁423eおよび傾斜内周壁423fに沿って旋回する。これは、図8に関して前述した如くである。一方、第1の流路427は、旋回室423の軸心へ向かうように大径部内周壁423eに接続されているため、第1の流路427を通過して旋回室423へ流入した洗浄水は、第2の流路428を通過して旋回室423へ流入した洗浄水よりも小さい旋回成分を有した状態で旋回する。そして、旋回室423において旋回した洗浄水は、連通路425の一端、すなわち吐水孔426から吐水される。これは、図9に関して前述した如くである。
そのため、本具体例のノズル410によれば、第2の流路428のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させると、より大きな旋回力を有する中空円錐状吐水510を吐水孔426から吐水することができる。また、本具体例にかかるノズル410が、図6および図7に表したスロート430aを有する場合には、第1の吐水孔411aから吐水された中空円錐状吐水510は、粒化水流520へ遷移する。そのため、この場合には、使用者は、より広い範囲を一度にさっと洗浄することができる。
これに対して、第2の流路428のみではなく、第2の流路428と第1の流路427とを介して旋回室423へ洗浄水を流入させると、旋回室423において生ずる旋回流の旋回力は、第2の流路428のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させる場合よりも低減する。これは、第2の流路428から旋回室423へ流入した洗浄水による旋回流と、第1の流路427から旋回室423へ流入した洗浄水による直進流と、が干渉するためである。そのため、この場合には、第2の流路428のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させる場合よりも小さな旋回力を有する中空円錐状吐水510が吐水孔426から吐水される。
また、これに対して、第1の流路427のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させると、直進流530と液滴540とを吐水孔426から吐水することができる。そのため、この場合には、使用者は、洗浄したい洗浄箇所を好みに応じて重点的に洗浄することができる。
これによれば、第1の流路427と第2の流路428とを介して旋回室423へ洗浄水を流入させる場合、および第1の流路427のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させる場合には、第2の流路428のみを介して旋回室423へ洗浄水を流入させる場合よりも狭い範囲を洗浄することができる。つまり、使用者は、洗浄したい洗浄箇所を好みに応じて重点的に洗浄することができる。
したがって、本具体例によれば、使用者は、第1の流路427を通過する洗浄水の流量と、第2の流路428を通過する洗浄水の流量と、の比率を適宜設定変更することにより、より広い範囲を一度にさっと洗浄するワイド吐水と、より狭い範囲を重点的に洗浄するスポット吐水と、を好みに応じて切り替えることができる。
次に、本実施形態のノズルの他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図13は、本実施形態のノズルの他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図13は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
本具体例のノズル410aは、図6および図7に関して前述したノズル410がノズルカバー460により覆われた構造を有する。ノズルカバー460に収納されたノズル410は、図6および図7に関して前述した如くである。また、ノズル410の吐水形態(ワイド吐水およびスポット吐水)は、図8および図9に関して前述した如くである。
本具体例のノズルカバー460は、第1の孔461aおよび第2の孔461bを有する。ノズル410の第1の吐水孔411aから噴出した洗浄水は、ノズルカバー460の第1の孔461aを通過し、便座200に座った使用者の身体局部に着水する。一方、ノズル410の第2の吐水孔411bから噴出した洗浄水は、ノズルカバー460の第2の孔461bを通過し、便座200に座った使用者の身体局部に着水する。
本具体例のノズル410aでは、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dは、ノズル410aの外形を形成する外形面すなわちノズルカバー460の外形面469よりも内側に形成されている。つまり、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dは、ノズルカバー460の外形面469から外部へ突出していない。
これによれば、第1の吐水孔411aの近傍の構造や、ノズル410aの全体の構造や、ケーシング400の構造などを特別に考慮しなくとも、従来あるいは既知のノズル収納構造によりノズル410aのケーシング400に収納(後退)させることができる。例えば、スロート流路431の前方部分431aの最下流部431dや後方部分431bの最下流部431eが外形面469から外部へ突出している場合において、ノズル410aが、複数の可動部を有する多段式のノズルであるときには、収納方法や収納構造を特別に考慮する必要がある。これに対して、図13に表したノズル410aでは、ノズル410aが多段式のノズルであっても、収納方法や収納構造を特別に考慮する必要はない。また、図8に関して前述したように、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りを抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
図14は、本具体例のノズルが進出した状態を表す断面模式図である。
なお、図13は、図1に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
図14に表したように、本具体例のノズル410aは、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bを有する。例えば、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bのいずれか一方が、ビデ洗浄用の吐水孔であり、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bのいずれか他方が、おしり洗浄用の吐水孔であってもよい。
あるいは、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bのいずれか一方が、ワイド吐水用の吐水孔であり、第1の吐水孔411aおよび第2の吐水孔411bのいずれか他方が、スポット吐水の吐水孔であってもよい。この場合には、ワイド吐水の吐水方向(噴出方向)は、スポット吐水の吐水方向(噴出方向)よりも便座200に着座した使用者600の後方側を向いていることがより好ましい。
ここで、本願明細書において「吐水方向」とは、吐水孔から吐水された洗浄水の中心軸の方向、あるいは吐水流路(スロート流路)の中心軸の方向をいうものとする。
例えば、図14に表したノズル410aにおいて、第1の吐水孔411aがワイド吐水用の吐水孔として利用され、第2の吐水孔411bがスポット吐水用の吐水孔として利用されることがより好ましい。この場合には、ワイド吐水用の第1の吐水孔411aに接続されたスロート流路431の中心軸433aは、スポット吐水用の第2の吐水孔411bに接続されたスロート流路431の中心軸433bよりも便座200に着座した使用者600の後方側を向いている。
これによれば、ワイド吐水において、第1の吐水孔411aから身体局部における着水部分までの距離をより短くすることができる。これにより、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをより抑制し、より快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。但し、第1の吐水孔411aがワイド吐水用の吐水孔として利用され、第2の吐水孔411bがスポット吐水用の吐水孔として利用されることに限定されるわけではない。
また、図14に表したノズル410aにおいて、第1の吐水孔411aおよびそれに接続されたスロート流路431は、第2の吐水孔411bおよびそれに接続されたスロート流路431よりも後方あるいは後退方向の側に設けられていてもよい。これによれば、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをさらに抑制することができる。
なお、図14に関して説明したワイド吐水の吐水方向と、スポット吐水の吐水方向と、の関係は、図6および図7に関して前述したノズル410についても同様である。
次に、吐水孔の位置およびノズルの角度について、図面を参照しつつ説明する。
図15は、スポット吐水とワイド吐水とのノズルの位置の相違を説明する平面模式図である。
なお、図15では、一つの吐水孔でスポット吐水とワイド吐水とを切り替えるノズル410を使用した場合のノズル410の位置を示している。一つの吐水孔でスポット吐水とワイド吐水とを切り替える方法の1つとしては、図10〜図12に関して前述した切り替え方法が挙げられる。
図15(a)は、スポット吐水の際のノズル410の位置を例示している。スポット吐水を行う場合、ノズル410は第1の基準位置P1まで進出し、この位置で第1の吐水孔411aから第1の着水範囲S1に洗浄水を吐水する。
図15(b)は、スポット吐水からワイド吐水への切り替えを行った際のノズル410の位置を例示している。スポット吐水からワイド吐水へ切り替えた際、ノズル410はスポット吐水の際の第1の基準位置P1よりも後方の第2の基準位置P2まで後退する。これにより、ノズル410の位置はノズル410の進退の軸Oの方向に沿った距離R1だけ後方へ移動する。ノズル410の後退とともに、第1の吐水孔411aの位置も後方へ距離R1だけ移動する。
ワイド吐水は、ノズル410をこの位置に移動させた状態で行われる。ノズル410が後退することで、ワイド吐水の際の着水範囲は第2の着水範囲S2になって、使用者600の女性局部の前側よりも前方に洗浄水500がはみ出して、飛び散ることを抑制できる。
また、図6および図7に関して前述したように、スロート流路431の中心軸433aからみて前方部分431aの長さは、スロート流路431の中心軸433aからみて後方部分431bの長さよりも長い。そのため、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることをさらに抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをさらに抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
ここで、スポット吐水からワイド吐水に切り替える際のノズル410の移動範囲である距離R1は、第2の着水範囲S2内に第1の着水範囲S1が収まる範囲になっている。すなわち、距離R1は、ノズル410が後退しても第2の着水範囲S2が第1の着水範囲S1よりも後方にならない距離になっている。このような距離R1になっていれば、ノズル410の移動は僅かになり、使用者600にノズル410の移動があったことを知られずに、ノズル410を移動させることができる。
ノズル410の移動があったことを知られずに移動できるノズル410の移動量は、およそ3mmである。また、ノズル410の移動量が9mmを超えると洗浄水がおしりにかかり始めるため、3mm〜9mmの間で移動量を設定することが好ましい。
また、ワイド吐水からスポット吐水へ切り替える際には、制御部401は、ノズル410を第2の基準位置P2よりも前方にするよう切り替える。すなわち、ワイド吐水からスポット吐水へ切り替える際、ノズル410は第2の基準位置P2から前方の第1の基準位置P1に戻されることになる。これにより、ワイド吐水の際に後方に移動した吐水の位置が、ワイド吐水からスポット吐水に切り替えた際に後方にずれたままになるといった問題の発生を回避できる。
図16は、スポット吐水とワイド吐水との切り替えを説明する模式図である。
図16では、ふたつの吐水孔を有するノズル410を用いた場合の吐水の切り替えについて例示している。
図16(a)は、スポット吐水の状態を例示している。スポット吐水を行う場合、ノズル410は第1の基準位置P1まで進出し、この位置で前方の第1の吐水孔411aから第1の着水範囲S1に洗浄水を吐水する。
図16(b)は、スポット吐水からワイド吐水への切り替えを行った状態を例示している。スポット吐水からワイド吐水へ切り替えを行う際、ノズル410の移動は行われない。すなわち、ワイド吐水の際のノズル410の位置である第2の基準位置P2は、スポット吐水の際の第1の基準位置P1と同じである。そして、ワイド吐水では、後方の第2の吐水孔411bから第2の着水範囲S2に洗浄水を吐水する。
第2の吐水孔411bの位置は、第1の吐水孔411aの位置よりも軸Oの方向に沿った距離R2だけ後方に配置されている。したがって、ワイド吐水では、スポット吐水に比べて吐水の位置が軸Oの方向に沿った距離R2だけ後方になる。ノズル410を移動させなくても、ワイド吐水の際の吐水の位置がスポット吐水の際の吐水の位置よりも後方になるため、洗浄水が使用者600の女性局部の前側よりも前方にはみ出して、飛び散ることを抑制できる。
また、図6および図7に関して前述したように、第1の吐水孔411aに接続されたスロート流路431の中心軸433aからみて前方部分431aの長さは、スロート流路431の中心軸433aからみて後方部分431bの長さよりも長い。そのため、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることをさらに抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをさらに抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。これは、第2の吐水孔411bに接続されたスロート流路431についても同様である。
また、前方の第1の吐水孔411aと後方の第2の吐水孔411bとの距離R2は、第2の着水範囲S2内に第1の着水範囲S1が収まる範囲になっている。すなわち、距離R2は、後方の第2の吐水孔411bによる吐水の第2の着水範囲S2が第1の着水範囲S1よりも後方にならない距離になっている。このような距離R2になっていれば、吐水位置の変化は僅かになり、使用者600に吐水位置が変化したことを知られずに、吐水形態を切り替えることができる。
図17は、スポット吐水とワイド吐水とのノズルの角度の相違を説明する平面模式図である。
なお、図17では、一つの吐水孔を有するノズル410を用いた場合の吐水の切り替えについて例示している。
図17(a)は、スポット吐水の状態を例示している。スポット吐水を行う場合、ノズル410は、所定の基準位置まで進出し、この位置で第1の吐水孔411aから第1の着水範囲S1に洗浄水を吐水する。
図17(b)は、スポット吐水からワイド吐水への切り替えを行った状態を例示している。スポット吐水からワイド吐水へ切り替えを行う際、ノズル410の角度が変化する。すなわち、ワイド吐水を行う場合のノズル410の軸Oの水平面850に対する角度θ2は、スポット吐水を行う場合のノズル410の軸Oの水平面850に対する角度θ1よりも小さい。なお、水平面850は、例えば便器800の上面などである。
これによれば、ワイド吐水の吐水方向(噴出方向)は、スポット吐水の吐水方向(噴出方向)よりも便座200に着座した使用者600の後方側へ遷移する。そして、ワイド吐水では、第1の吐水孔411aから第2の着水範囲S2に洗浄水を吐水する。
これによれば、ワイド吐水において、第1の吐水孔411aから身体局部における着水部分までの距離をより短くすることができる。これにより、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをより抑制し、より快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
また、図6および図7に関して前述したように、スロート流路431の中心軸433aからみて前方部分431aの長さは、スロート流路431の中心軸433aからみて後方部分431bの長さよりも長い。そのため、洗浄水500が股間を抜けて周囲に飛び散ったり、使用者600の太ももに吐水されることをさらに抑制することができる。つまり、使用者600の前側への洗浄水500の飛び散りをさらに抑制し、快適なビデ洗浄やおしり洗浄を実行することができる。
また、ノズル410の軸Oの水平面850に対する角度の変化は、第2の着水範囲S2内に第1の着水範囲S1が収まる範囲になっている。これによれば、図15および図16に関して前述したように、使用者600にノズル410の角度が変化したことを知られずに、吐水形態を切り替えることができる。
なお、図17では、第1の吐水孔411aを基準としてノズル410の角度が変化している状態を表しているが、ノズル410の角度変化の形態は、これだけに限定されるわけではない。例えば、ノズル410は、ケーシング400の内部において軸支され、図示しない軸支部を中心として回動することで角度変化をしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ノズル本体420やスロート430a、430bなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや第1および第2の流路427、478の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。