JP2013034412A - 茶葉の粉砕方法およびその方法を実施するための粉砕装置 - Google Patents
茶葉の粉砕方法およびその方法を実施するための粉砕装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】茶葉を処理対象とする場合に、温度上昇を抑え、かつ細かい粒径の粉砕品をより高い粉砕能力(単位時間当たりの粉砕量)で得られる茶葉の粉砕方法およびその方法を使用する茶葉の粉砕装置を提供する。
【解決手段】円筒状の内周表面に多数の凹凸部2Gを有するライナ2bと、外周表面に多数の粉砕刃を有する粉砕ロータ20との協働作用により茶葉を粉砕させるとともに、前記ライナ2bと前記粉砕ロータ20との間に形成された微小間隙に冷却気体を流通させ、前記微小間隙において茶葉の冷却と同時に粉砕を行なわせることで良質の粉末茶を得ることができる。
【選択図】図8
【解決手段】円筒状の内周表面に多数の凹凸部2Gを有するライナ2bと、外周表面に多数の粉砕刃を有する粉砕ロータ20との協働作用により茶葉を粉砕させるとともに、前記ライナ2bと前記粉砕ロータ20との間に形成された微小間隙に冷却気体を流通させ、前記微小間隙において茶葉の冷却と同時に粉砕を行なわせることで良質の粉末茶を得ることができる。
【選択図】図8
Description
本発明は、円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータ式粉砕装置によって茶葉を粉末茶に粉砕する茶葉の粉砕方法に関する。
従来、茶葉の粉砕方法または粉末茶の製造方法に関しては、例えば特許文献1〜3がある。
特許文献1では、フレームに固定されたケーシングと、そのケーシングの内周面に固定され内面に多数の突条を備えたライニングプレートと、複数のハンマを備えケーシング内に回転可能に支持された回転円板とを備えた粉砕機を用いて、原料茶を粉砕した例が記載されている。特許文献1の粉砕機は、ケーシングに冷却用ジャケットを備えており、そのジャケットに冷却水を流し、ケーシングの内部温度を5〜7℃に保った状態で原料茶を粉砕することで、原料茶や粉茶が高温に晒されて劣化することを防止できたとしている。
特許文献1では、フレームに固定されたケーシングと、そのケーシングの内周面に固定され内面に多数の突条を備えたライニングプレートと、複数のハンマを備えケーシング内に回転可能に支持された回転円板とを備えた粉砕機を用いて、原料茶を粉砕した例が記載されている。特許文献1の粉砕機は、ケーシングに冷却用ジャケットを備えており、そのジャケットに冷却水を流し、ケーシングの内部温度を5〜7℃に保った状態で原料茶を粉砕することで、原料茶や粉茶が高温に晒されて劣化することを防止できたとしている。
特許文献2では、ケーシング内に第一回転翼と第二回転翼とを所定距離互いに離隔して設け、ケーシング内の第一回転翼の後方に旋回領域、第一回転翼と第二回転翼との間に粉砕領域、第二回転翼の前方に分級領域を形成し、第一回転翼と第二回転翼の回転で旋回気流を発生させる気流式粉砕機を用いて、50%粒径で10〜15μmの粉末茶を製造した例が記載されている。
特許文献3では、可逆式のドラム内に粉砕用ボールと茶葉とを導入し、ドラムを回転させて茶葉を粉砕した例が記載されている。このような粉砕機は一般にボールミルといわれるタイプの粉砕機である。
茶葉のように熱の影響を受け易い原料の場合、ハンマとライナ間における摩擦熱によって変質し、風味や香りが失われてしまうため、できる限り低温で粉砕されることが望ましい。しかし、特許文献1の粉砕機では冷却水を通してケーシングを冷却させているが、ある程度の細かさの製品が必要であるティーバッグ用よりもさらに細かい製品を得ようと、ハンマの回転速度を上昇させたり、あるいはハンマの回転速度はそのままでハンマとライナとの隙間を小さくすると、粉砕機内の温度が上昇してしまう。そしてこの温度上昇を抑えるには、ケーシングを冷却しただけでは不十分である。
特許文献2の粉砕機では、ジャケットなどの冷却機構を設けておらず、もっぱら外気導入であるため、粉砕機内の温度上昇が懸念される。また、この種の衝撃式粉砕機では、得られる粉砕品は10〜15μmで、これよりも細かい粉砕品をより高い粉砕能力で得ることは難しかった。
特許文献3のようなボールミルタイプの粉砕機で茶葉を粉砕すると、得られる粉砕品は石臼で挽いたのと同じくらい良好な香りの粉砕品が得られるといわれている。しかし、ボールミルは粉砕能力が低く、かつバッチ式のタイプであるため、生産性が低いという問題がある。さらに特許文献1や特許文献2の粉砕機と同じく粉砕機内の温度上昇という問題もあるため、粉砕品の微細化と粉砕量の向上を目的として、長時間運転および原料やボール量をむやみに増やすことにも限界があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、茶葉を処理対象とする場合に、温度上昇を抑え、かつ細かい粒径の粉砕品をより高い粉砕能力(単位時間当たりの粉砕量)で得られる茶葉の粉砕方法およびその方法を使用する茶葉の粉砕装置を提供することにある。
本発明の第一特徴構成は、
円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータ式粉砕装置による茶葉の粉砕方法であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を有する粉砕ロータとの協働作用により茶葉を粉砕させるとともに、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体を流通させ、前記微小間隙において茶葉の冷却と同時に粉砕を行なわせる点にある。
円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータ式粉砕装置による茶葉の粉砕方法であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を有する粉砕ロータとの協働作用により茶葉を粉砕させるとともに、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体を流通させ、前記微小間隙において茶葉の冷却と同時に粉砕を行なわせる点にある。
本構成であれば、ライナと粉砕ロータとの間の微小間隙に冷却気体を通流させながら粉砕を行なうため、粉砕時に発生する熱の発生を抑制しつつ、良好な品質の粉末茶を得ることができる。
本発明の第二特徴構成は、前記第一特徴構成において、
前記粉砕装置から排出される排出気体の温度を40℃以下に保持する点にある。
前記粉砕装置から排出される排出気体の温度を40℃以下に保持する点にある。
本構成であれば、得られる粉砕品の香りや風味の熱による劣化を極力防ぐことができる。
本発明の第三特徴構成は、前記第一または第二特徴構成において、
前記微小間隙にさらに前記ケーシング外周より冷却気体を導入する点にある。
前記微小間隙にさらに前記ケーシング外周より冷却気体を導入する点にある。
本構成であれば、ケーシング外周からケーシング内部に空気、二酸化炭素、窒素、アルゴンもしくはヘリウムまたはそれらの混合気体の冷却気体を吹き込むことができるため、特に高温になりやすい微小間隙の部分を積極的に冷却することができる。
本発明の第四特徴構成は、前記第一から第三特徴構成のいずれかにおいて、
前記粉砕装置から排出される排出気体の少なくとも一部を前記粉砕装置内に戻しながら粉砕を行なう点にある。
前記粉砕装置から排出される排出気体の少なくとも一部を前記粉砕装置内に戻しながら粉砕を行なう点にある。
本構成であれば、粉砕中に揮発などした被処理物の香り成分などを含んだ気体を粉砕装置内に戻しながら粉砕を行なうため、香り成分などを極力粉砕装置外に排出することなく粉砕を行なうことができる。また、空気以外の気体を導入する際のこれらの気体の放出を抑えて、これらの気体の消費量を減らすことができ、経済的である。
本発明の茶葉の粉砕装置の第一特徴構成は、
円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータを有する茶葉の粉砕装置であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を形成した粉砕ロータとを有し、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体の流路を設けるとともに、前記粉砕ロータ内部および前記ケーシングに冷媒流路を設けた点にある。
円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータを有する茶葉の粉砕装置であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を形成した粉砕ロータとを有し、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体の流路を設けるとともに、前記粉砕ロータ内部および前記ケーシングに冷媒流路を設けた点にある。
本構成であれば、粉砕ロータを有する茶葉の粉砕装置において、粉砕ロータ内部に冷媒流路が形成されているため、粉砕ロータの表面付近が効果的に冷却される。
さらに、ケーシングに冷媒を流すことができるため、ライナの表面付近が効果的に冷却される。そのため、ケーシング内を流れる気流や、粉砕ロータと接触した被処理物の温度上昇を抑えることができる。
さらに、ケーシングに冷媒を流すことができるため、ライナの表面付近が効果的に冷却される。そのため、ケーシング内を流れる気流や、粉砕ロータと接触した被処理物の温度上昇を抑えることができる。
本発明の茶葉の粉砕装置の第二特徴構成は、前記第一特徴構成において、
前記ケーシングの外周部には前記ライナ内部の微小間隙に冷却気体を導入するための気体導入口が設けられている点にある。
前記ケーシングの外周部には前記ライナ内部の微小間隙に冷却気体を導入するための気体導入口が設けられている点にある。
本構成であれば、供給口以外からもケーシング内部に空気、二酸化炭素、窒素、アルゴンもしくはヘリウムまたはそれらの混合気体の冷却気体を吹き込むことができるため、さらにケーシング内を冷却することができる。
また、被処理物が排出口に向かって移動しながら進行する粉砕過程のため、ケーシング内部の温度は軸心に沿って排出口に近い位置ほど温度が高くなるが、本構成であれば、軸心方向の途中で冷却気体を導入できるため、排出口付近での温度を低くすることができる。
さらに、供給口と気体導入口を含む複数の気体導入口の間で、導入する気体の比率を適宜変更することによって、軸心方向における温度分布を、対象とする被処理物の特性、粉砕装置の規模、作業環境などに応じて最適化することが可能となる。
また、被処理物が排出口に向かって移動しながら進行する粉砕過程のため、ケーシング内部の温度は軸心に沿って排出口に近い位置ほど温度が高くなるが、本構成であれば、軸心方向の途中で冷却気体を導入できるため、排出口付近での温度を低くすることができる。
さらに、供給口と気体導入口を含む複数の気体導入口の間で、導入する気体の比率を適宜変更することによって、軸心方向における温度分布を、対象とする被処理物の特性、粉砕装置の規模、作業環境などに応じて最適化することが可能となる。
本発明の茶葉の粉砕装置の第三特徴構成は、前記第一または第二特徴構成において、
前記粉砕ロータは前記粉砕ロータの周方向に沿って環状の切り欠き部によって軸心方向に分割されている点にある。
前記粉砕ロータは前記粉砕ロータの周方向に沿って環状の切り欠き部によって軸心方向に分割されている点にある。
本構成であれば、ケーシング内を流れる気流や被処理物が、粉砕ロータと接触する面積が増加し、気流および被処理物が効果的に冷却される。
本発明の茶葉の粉砕装置の第四特徴構成は、前記第一から第三特徴構成のいずれかにおいて、
前記粉砕ロータの粉砕刃は軸心方向に沿って粉砕ロータの全長にわたり外周表面に凹凸状に形成されている点にある。
前記粉砕ロータの粉砕刃は軸心方向に沿って粉砕ロータの全長にわたり外周表面に凹凸状に形成されている点にある。
本構成であれば、粉砕ロータの外周表面にも凹凸が形成されていることで、被処理物がライナの凹凸部と粉砕ロータの凹凸部との間で繰り返し衝突し、細かい粒径の粉砕品を得ることができる。
本発明の茶葉の粉砕装置の第五特徴構成は、前記第四特徴構成において、
前記ライナの凹凸の深さまたは高さは1.5mm〜5.0mmであり、前記粉砕ロータの凹凸の深さまたは高さは2.5mm〜10.0mmである点にある。
前記ライナの凹凸の深さまたは高さは1.5mm〜5.0mmであり、前記粉砕ロータの凹凸の深さまたは高さは2.5mm〜10.0mmである点にある。
本構成であれば、ライナまたは粉砕ロータの凹凸の深さまたは高さに関しての好適な実施形態が提供される。
なお本明細書中で、茶葉とは、葉っぱや茎のものに限られず、葉っぱや茎が粉砕されて粉末状になったものも含む。
(第一実施形態)
本発明の粉砕装置1を図1および図2に沿って説明する。
粉砕装置1は概して円筒状の内面を備えたケーシング2を有する。ケーシング2は、複数の脚部2Sに支持された外筒部2aと、外筒部2aの内側に同心状に配置されたライナ2bと、ライナ2bによって囲まれた空間を両端で閉じる一対の側壁部2c、2dとを有する。外筒部2aとライナ2bの間は後述する冷媒や気体を流すための空間を構成している。
本発明の粉砕装置1を図1および図2に沿って説明する。
粉砕装置1は概して円筒状の内面を備えたケーシング2を有する。ケーシング2は、複数の脚部2Sに支持された外筒部2aと、外筒部2aの内側に同心状に配置されたライナ2bと、ライナ2bによって囲まれた空間を両端で閉じる一対の側壁部2c、2dとを有する。外筒部2aとライナ2bの間は後述する冷媒や気体を流すための空間を構成している。
ライナ2bの内部には、一つの粉砕ロータ20が回転自在に支持されている。ライナ2bの内面と粉砕ロータ20の外周面にはそれぞれ被処理物を粉砕するための凹凸部2G、20Gが設けられている。凹凸部20Gは粉砕刃としての役割を有している。粉砕ロータ20はモータMによって高速で矢印A方向に回転駆動される。
なお、粉砕刃として凹凸部20Gを設ける代わりに、粉砕ロータ20の外周面にブロック状などの粉砕刃を取り付けてもよい。
ケーシング2の軸心X方向の一端には、原料と気体をともに受け入れる供給口3が設けられ、他端には粉砕された粉砕品を気体と共に排出するための排出口4が設けられている。供給口3は平面視において軸心Xから側方に変位した位置に設けられており、排出口4は平面視において軸心Xから供給口3とは反対側の側方に変位した位置に設けられている。供給口3及び排出口4は特に粉砕ロータ20の外周面に対する接線寄りに設けられている。
排出口4にはブロワ30が接続されており、ブロワ30と排出口4の間には粉砕された粉砕品を粒径範囲毎に回収するための分級機31が介装されている。分級機31とブロワ30との間には微細な粉砕品を回収するための集塵機32が介装されている。集塵機32としては、一般にバグフィルタとよばれるものやサイクロンなどが好適に使用できる。
ブロワ30によって形成された気流は、供給口3からライナ2bの内周面と粉砕ロータ20の外周面との間隙を経て、排出口4から排出され、集塵機32を通過することで、被処理物をケーシング2内で供給口3から排出口4に向かって搬送し、最終的に集塵機32に到達させる。なお、分級機31は必要に応じて用いるものとし、分級機31を用いることなく直接集塵機32で粉砕品を全量回収するようにしてもよい。
分級機31で回収された分級粗粉砕品を粉砕装置1に戻して再粉砕し、集塵機32で回収されたものを製品とすることも可能であり、あるいは、集塵機32で回収された粉砕品をさらに別の分級機によって微細な粉砕品を除去したものを製品とすることもできる。
分級機31で回収された分級粗粉砕品を粉砕装置1に戻して再粉砕し、集塵機32で回収されたものを製品とすることも可能であり、あるいは、集塵機32で回収された粉砕品をさらに別の分級機によって微細な粉砕品を除去したものを製品とすることもできる。
また、粉砕品のうち粒径の粗い粗粉と粒径の細かい微粉とを除去したものを製品とすることもできる。この場合、分級機31として、例えば1台で粗粉と微粉とを除去できる分級機を用いて分級することが考えられる。また、別の方法としては、2台以上の分級機を用い、前段の分級機では粉砕品のうち粒径の粗い粗粉を取り除き、後段の分級機では前段の分級機から排出された粉砕品のうち粒径の細かい微粉を取り除くようにすることもできる。
分級機31としては、例えば羽根車型分級機であるミクロンセパレータ、ターボプレックス、TSPセパレータ、TTSPセパレータ(以上、ホソカワミクロン株式会社製)、サイクロン式セパレータ、振動篩などが好適に使用でき、これらは目的とする粉砕品の粒径によって適宜選択される。
なお、粉砕装置1内に導入される気体は、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴンもしくはヘリウムまたはそれらの混合気体などが好適に使用できる。二酸化炭素、窒素、アルゴンもしくはヘリウムまたはそれらの混合気体を使用することで、粉砕品の酸化を抑制することができる。また、それらの気体は除湿機や加湿機などにより調湿したものを用いることもできる。
供給口3および排出口4には、それぞれ供給口3から導入される気体および排出口4から排出される気体の温度を測定するための温度センサ12(12a、12b)が取り付けられている。供給口3および排出口4に温度センサ12を設けることで、ケーシング2内の温度を維持管理することができる。温度センサ12は供給口3および排出口4だけでなく、軸心Xに沿ったケーシング2の複数箇所に設け、凹凸部2Gと20Gとの間の粉砕ゾーンを直接測定するようにしてもよい。このようにすることで、より正確な温度管理が可能となる。
ケーシング2内の温度を維持管理する方法としては、例えば、排出口4に設けられた温度センサ12bに上限温度を設定しておき、その上限温度を超えた場合には、排出気体の温度が上限温度以下になるように供給口3から導入される冷却気体やライナ2bを冷却するための冷媒あるいは粉砕ロータ20を冷却するための冷媒の温度を下げるように制御することもできる。また、別の制御方法としては、排出気体の温度が上限温度以下になるように供給口3から導入される原料の供給速度を低下させる制御も可能である。
なお、温度センサ12としては公知のものを使用することができる。
なお、温度センサ12としては公知のものを使用することができる。
また、ブロワ30から排出された気体の少なくとも一部を、供給口3や後述する気体供給函6に戻すような閉回路システムとしてもよい。閉回路システムとすることにより、粉砕中に揮発などした被処理物の香りなどの成分を含んだ排出気体を再度粉砕装置1内に戻して粉砕することになるため、粉砕品の香りや風味の劣化を極力抑えることができる。この場合、ブロワ30と供給口3との間、あるいはブロワ30と気体供給函6との間に、気体を冷却するための熱交換器や湿度を調節するための除湿機や加湿機を必要に応じて設けることも可能である。
(ロータの構成)
粉砕ロータ20は、モータMによって回転駆動されるシャフト20Sと、シャフト20Sに外嵌された複数の環状の粉砕ロータピースとを有する。この実施形態では、粉砕ロータピースとしては、軸心Xと交差する両端面が概して単純な平面で構成された3つの粉砕ロータピース20PAで構成されている。粉砕ロータピース20PAの外周には、凹凸部20Gが形成されている。なお、粉砕ロータ20は、分割せず一体物で構成してもよいし、分割して2つまたは4つ以上の粉砕ロータピース20PAで構成してもよい。
粉砕ロータ20は、モータMによって回転駆動されるシャフト20Sと、シャフト20Sに外嵌された複数の環状の粉砕ロータピースとを有する。この実施形態では、粉砕ロータピースとしては、軸心Xと交差する両端面が概して単純な平面で構成された3つの粉砕ロータピース20PAで構成されている。粉砕ロータピース20PAの外周には、凹凸部20Gが形成されている。なお、粉砕ロータ20は、分割せず一体物で構成してもよいし、分割して2つまたは4つ以上の粉砕ロータピース20PAで構成してもよい。
粉砕ロータ20のシャフト20Sは、側壁部2c、2dの中心に配置された一対のベアリング22a、22bを介して回転自在に支持されている。
粉砕ロータ20の内部には、冷媒流路21が密閉状に形成されている。冷媒流路21は、第1ベアリング22aに支持されたシャフト20Sの第1端部20Saから、粉砕ロータピース20PAの内部に形成された環状の冷媒流路21を経て、第2ベアリング22bに支持されたシャフト20Sの第2端部20Sbまで延出されている。
冷媒流路21は個々の粉砕ロータピース20PAの内部では円周状に延びる環状流路21Rを形成しており、互いに隣接する粉砕ロータピース20PAの環状流路21Rどうしはシャフト20Sよりも僅かに径方向外側の位置で軸心Xと平行に延出された1本の冷媒流路21によって接続されている。
第1端部20Saから冷媒流路21に冷水などの冷媒を送り込み、第2端部20Sbから排出される暖められた冷媒を熱交換器33で冷却して再び第1端部20Saに向けて送り出すポンプPが設けられている。
ライナ2b側の凹凸部2Gは、概して粉砕ロータ20の凹凸部20Gが位置する領域に設けられており、ライナ2bの最も供給口3寄りの位置と、ライナ2bの最も排出口4寄りの位置には、粉砕ロータピース20PAの凹凸部20Gもライナ2bの凹凸部2Gも存在しないバッファ空間V1、V2が設けられている。
(ライナの構成)
外筒部2aとライナ2bの間の空間は、ライナ2bを冷水などの冷媒によって冷却するための第2の冷媒流路8を形成している。冷媒流路8は水平に延出された隔壁によって、周方向に並ぶ3領域に分割されている。冷媒流路8には、冷媒流路21と共通のポンプPおよび熱交換器33を含む冷媒回路34によって冷媒が循環される。
外筒部2aとライナ2bの間の空間は、ライナ2bを冷水などの冷媒によって冷却するための第2の冷媒流路8を形成している。冷媒流路8は水平に延出された隔壁によって、周方向に並ぶ3領域に分割されている。冷媒流路8には、冷媒流路21と共通のポンプPおよび熱交換器33を含む冷媒回路34によって冷媒が循環される。
この実施形態では、粉砕ロータ20内の冷媒流路21とケーシング2内の冷媒流路8のいずれについても、冷媒が供給口3から排出口4に近づく向きに流されるようにポンプPの向きおよび冷媒回路34の配置を設定しているが、被処理物の特性や気体導入手段などの使用方法に応じて、冷媒が逆向きの流れとなる形態で実施してもよい。
ケーシング2とライナ2bは軸心Xに沿って並置された複数のブロックに区分することができ、さらにその1つのブロックを、図3に例示されるように、周方向にも複数の小ブロックに区分することができる。
図3の例では個々のブロックは周方向に沿って隣接並置される4つの小ブロックに区分することができ、個々の小ブロックは、函状のケーシング片9と、ケーシング片9の径方向内側に設けられた開口部9Aを閉鎖するライナ片10とで構成されている。
図3の例では個々のブロックは周方向に沿って隣接並置される4つの小ブロックに区分することができ、個々の小ブロックは、函状のケーシング片9と、ケーシング片9の径方向内側に設けられた開口部9Aを閉鎖するライナ片10とで構成されている。
ケーシング片9の開口部9Aは湾曲した短形状を呈し、開口部9Aを構成する縁部の径方向内側を向いた端面に形成されたシール溝9Bには、環状の弾性シール11が係入されている。
ライナ片10は、ライナ片10の4つのコーナーを含む6箇所に形成された貫通孔10H、及び、ケーシング片9の貫通孔9Hを介して、ボルトとナットなどでケーシング片9に固定される。固定に際して、ボルトとナットを締め付けていくと、弾性シール11がライナ片10の滑らかな外周面に押し付けられることで、ケーシング片9の内部空間が密閉される。
ライナ片10は、ライナ片10の4つのコーナーを含む6箇所に形成された貫通孔10H、及び、ケーシング片9の貫通孔9Hを介して、ボルトとナットなどでケーシング片9に固定される。固定に際して、ボルトとナットを締め付けていくと、弾性シール11がライナ片10の滑らかな外周面に押し付けられることで、ケーシング片9の内部空間が密閉される。
個々のケーシング片9には、第2の冷媒流路8を構成する入力ポート2Paと出力ポート2Pbとが周方向に離間して配置されており、ライナ片10の内周面には凹凸部2Gが一体的に加工形成されている。
第2の冷媒流路8はケーシング片9とライナ片10とで囲まれた空間Sによって構成されているため、冷媒はライナ片10の外周面と直に接触することで、ライナ2bの凹凸部2Gの付近に対しても高い冷却効果が得られる。
第2の冷媒流路8はケーシング片9とライナ片10とで囲まれた空間Sによって構成されているため、冷媒はライナ片10の外周面と直に接触することで、ライナ2bの凹凸部2Gの付近に対しても高い冷却効果が得られる。
ケーシング片9とライナ片10とで囲まれた空間Sの中で、冷媒が入力ポート2Paから出力ポート2Pbへと最短距離でショートカットする現象を防止する手段として、図4に例示するように、ケーシング片9の内周面に複数のフィン状の邪魔板9Sを設けてもよい。
図4に示す例では、ケーシング片9の内周面の周方向の内寸よりも短い2枚の邪魔板9Sが、円周方向に沿って延出し、かつ、軸心方向に互いに離間するように、かつ、一方の邪魔板9Sは周方向の一方側のみで流路を開放し、他方の邪魔板9Sは周方向の他方側のみで流路を開放するように配置されている。
このようにして邪魔板9Sによって長さの増大した流路の一端と他端に入力ポート2Paと出力ポート2Pbとが各々配置されている。以上の構成により、入力ポート2Paから空間S内に流れ込んだ冷媒は空間S内の全体を隅々まで通過しながら出力ポート2Pbから排出されるため、ライナ片10の全面が冷媒によって均等に冷却され易くなる。
なお、ケーシング2やライナ2bは必ずしも分割構造とする必要はないが、上記のように分割構造とすることで、メンテナンスが容易となる。
(凹凸部の構成)
図5(a)(b)は凹凸部2G、20Gの断面形状を例示している。凹凸部2G、20Gは、軸心Xに沿って平行に設けられている。図5(a)(b)から理解されるように、ライナ2b側の凹凸部2Gの粉砕刃2T(凸部)と粉砕ロータ20側の凹凸部20Gの粉砕刃20T(凸部)とは、いずれも左右非対称の形状を備え、粉砕ロータ20の回転方向(矢印A)について、基本的に傾斜の緩やかな側が相対移動方向の前方となるように構成されている。
図5(a)(b)は凹凸部2G、20Gの断面形状を例示している。凹凸部2G、20Gは、軸心Xに沿って平行に設けられている。図5(a)(b)から理解されるように、ライナ2b側の凹凸部2Gの粉砕刃2T(凸部)と粉砕ロータ20側の凹凸部20Gの粉砕刃20T(凸部)とは、いずれも左右非対称の形状を備え、粉砕ロータ20の回転方向(矢印A)について、基本的に傾斜の緩やかな側が相対移動方向の前方となるように構成されている。
図5(a)に示されるライナ2bの凹凸部2Gの寸法の具体例は、Lh1:1.5mm、Lc1:0.3mm、Lc2:1.55mm、Lc3:0.45mmである。また、粉砕ロータ20の凹凸部20Gの寸法の具体例は、Rh1:2.5mm、Rc1:0.3mm、Rc2:2.5mm、Rc3:0.6mmである。
図5(b)に示すライナ2b側の凹凸部2Gでは、冷却効率を高めるなどの目的で、従来の凹凸部2Gのパターンを示す図5(a)に比べて、粉砕刃Tの数を半分に減らすことで、2つの凹凸部2G、20Gの間の間隙Gを変更することなく、両凹凸部2G、20G間の空間体積を効果的に増大させている。
この場合の寸法の具体例は、Lh2:3.0mm、Lc4:2.6mmである。
上記の特徴的な凹凸部2Gの構成を、ライナ2b側の凹凸部2Gではなく、粉砕ロータ20側の凹凸部20Gに対して適用することも可能である。
この場合の寸法の具体例は、Lh2:3.0mm、Lc4:2.6mmである。
上記の特徴的な凹凸部2Gの構成を、ライナ2b側の凹凸部2Gではなく、粉砕ロータ20側の凹凸部20Gに対して適用することも可能である。
上記の数値は一つの好適例に過ぎず、凹凸部2Gの高さLh1は約1.5mm〜約5.0mm、凹凸部20Gの高さRh1は約2.5mm〜約10.0mmの範囲内で設定可能であり、その他の寸法も被処理物の物性や、目標とする粉砕後の粒径などに応じて適宜変更される。さらに、凹部の断面形状を図5に示す短形ではなく内側に開いた円弧状など実質的にコーナー部のない湾曲状としてもよい。
また、ライナ2bの凹凸部2Gの粉砕刃2T(凸部)と粉砕ロータ20の凹凸部20Gの粉砕刃20T(凸部)との半径方向での間隙Gの軸心X方向の全長における平均値は、約0.8mm〜約2.0mmの範囲で設定でき、通常は約1mm前後に設定される。また、間隙Gは、供給口3側から排出口4側に向けて次第に小さくなるようにすることも可能である。一般的には、間隙Gを狭くすれば得られる粉砕品の粒径は小さくなり、間隙Gを広く設定すれば得られる粉砕品の粒径は大きくなる傾向にある。なお、上記数値範囲はあくまでも目安であり、被処理物の特性や目的の粒径などに応じて様々に変更して実施することができる。
ライナ2bの凹凸部2Gの粉砕刃2T(凸部)と粉砕ロータ20の凹凸部20Gの粉砕刃20T(凸部)との半径方向での間隙Gの他、凹凸部の数、形状、凹部の深さなどを粉砕ロータピース毎に変えることも可能である。
ライナ2bの内面の凹凸部2Gと粉砕ロータ20の外周面の凹凸部20Gは、磨耗性のある原料に対しても適応可能なように、ハードクロムメッキによって耐磨耗処理されている。ハードクロムメッキの他に耐磨耗処理の好適な例としては、炭化タングステン溶射、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは窒化珪素などのセラミックス溶射、その他カナック処理などが挙げられる。
また、ライナ2b自体を、炭化タングステンなどの超硬合金や、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは窒化珪素などのセラミックスで作製することも可能である。
また、ライナ2b自体を、炭化タングステンなどの超硬合金や、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは窒化珪素などのセラミックスで作製することも可能である。
粉砕ロータ20の表面およびライナ2bの表面を、例えばバフ研磨や電解研磨することもできる。これら表面研磨をすることで、粉砕ロータ20の表面あるいはライナ2bの表面が平滑になるため、原料の付着が軽減され、洗浄しやすくなる。
なお、粉砕ロータ20あるいはライナ2bの表面粗さの好適な一例として、算術平均粗さRa=0.2μm〜6.3μm、より好ましくはRa=0.2μm〜1.5μmとするのがよい。
なお、粉砕ロータ20あるいはライナ2bの表面粗さの好適な一例として、算術平均粗さRa=0.2μm〜6.3μm、より好ましくはRa=0.2μm〜1.5μmとするのがよい。
(気体導入手段の構成)
粉砕装置1は、図6および図7に示すように、供給口3とは別の、軸心Xに沿った中間位置においてライナ2bの内部に気体を導入する気体導入手段を備えていてもよい。気体導入手段は、外筒部2aとライナ2bの間の空間を、円周状に仕切ることで形成した2つの環状の気体流路5a、5bと、この気体流路5a、5bと連通するように外筒部2aの上下に設けた4つの気体供給函6(6a、6b、6c、6d)とを有し、気体流路5a、5bは、ライナ2bの一部を円周状に切り欠いた環状スリット7によってライナ2bの内部と連通されている。
供給口3寄りに位置する上下の2つの気体供給函6a、6bは共通の一方の気体流路5aに連通し、同様に、排出口4寄りに位置する上下の2つの気体供給函6c、6dは他方の気体流路5bに連通している。
粉砕装置1は、図6および図7に示すように、供給口3とは別の、軸心Xに沿った中間位置においてライナ2bの内部に気体を導入する気体導入手段を備えていてもよい。気体導入手段は、外筒部2aとライナ2bの間の空間を、円周状に仕切ることで形成した2つの環状の気体流路5a、5bと、この気体流路5a、5bと連通するように外筒部2aの上下に設けた4つの気体供給函6(6a、6b、6c、6d)とを有し、気体流路5a、5bは、ライナ2bの一部を円周状に切り欠いた環状スリット7によってライナ2bの内部と連通されている。
供給口3寄りに位置する上下の2つの気体供給函6a、6bは共通の一方の気体流路5aに連通し、同様に、排出口4寄りに位置する上下の2つの気体供給函6c、6dは他方の気体流路5bに連通している。
軸心Xを含む平面によってライナ2bを切った断面視において、環状スリット7は軸心Xの径方向に対して排出口4側に向けて傾斜して延びている。環状スリット7の傾斜角度は例えば15°〜20°とすればよい。
なお、環状スリット7は傾斜せず粉砕ロータ20径方向に向かって延びていてもよいし、あるいは逆方向に傾斜していてもよいが、被処理物が排出口4に向かって移動しながら進行する粉砕過程であることを考えると、排出口4側に向けて傾斜していることが望ましいい。
前述のブロワ30によって、供給口3以外に、4個の気体供給函6を介して環状スリット7からもライナ2bの内部に冷却気体が導入される。排出口4から排出される気体の量は、供給口3および4個の気体供給函6からライナ2bの内部に導入される気体の総量と一致する。4個の気体供給函6の各外端部には外気と連通する開口面積を調節可能な調整弁(図示省略)が設けられており、この調整弁の開度を調節することで、各気体供給函6から導入される気体の量を変更できる。また、調整弁の開度を調節することで、供給口3から導入される気体の量と、4個の気体供給函6から導入される気体の総量との比率も変更できる。
ただし、一般的な運転方法では、ライナ2bの内部に導入される気体の総量の約1/3が供給口3から導入され、同じく約1/3が供給口3寄りの気体供給函6a、6bから導入され、残りの約1/3が排出口4寄りの気体供給函6c、6dから導入される。
このように、ケーシング2の途中からライナ2b内部に気体を導入して凹凸部2Gと20Gとの間に気体を通流させることで、凹凸部2Gと20G付近を積極的に冷却することができ、さらに軸心Xに沿って排出口4側に向かって温度が高くなることを抑えることができる。
排気温度が高い、すなわち凹凸部2Gと20Gとの間の粉砕ゾーンの温度が高いと、茶葉が酸化して、得られる粉砕品の香りが悪くなるおそれがある。そのため、排気温度は低いほうが望ましく、少なくとも40℃以下、さらには30℃以下であることが好ましい。排気温度が40℃以上になると、粉砕品の香りや風味に影響がでるおそれがある。
また、ライナ2b内部に導入する気体量を大きくするとその分高い冷却効果が得られるが、凹凸部2Gと20Gとの間の気流速度が上昇するため、得られる粉砕品の粒径は大きくなる傾向にある。さらに、導入気体量が大きくなると、香り成分などが粉砕装置1外へ排出される量も多くなるため、得られる粉砕品の香りが悪くなるおそれがある。そのため、目的とする粉砕物の粒径や排気温度などを考慮した上で、ライナ2b内に導入する気体量はできる限り少なくすることが望ましい。
(別の実施形態)
別の実施形態として、図8および図9に示すように、粉砕ロータ20は1つの粉砕ロータピース20PAと、軸心Xと交差する一方の面から外径の小さな小径円柱部23が排出口4側に突出形成された2つの粉砕ロータピース20PBとで構成されている。この実施形態では、1つの粉砕ロータピース20PAは最も排出口4寄りの位置に配置され、2つの粉砕ロータピース20PBは、いずれも小径円柱部23が排出口4側を向く姿勢で配置されている。
別の実施形態として、図8および図9に示すように、粉砕ロータ20は1つの粉砕ロータピース20PAと、軸心Xと交差する一方の面から外径の小さな小径円柱部23が排出口4側に突出形成された2つの粉砕ロータピース20PBとで構成されている。この実施形態では、1つの粉砕ロータピース20PAは最も排出口4寄りの位置に配置され、2つの粉砕ロータピース20PBは、いずれも小径円柱部23が排出口4側を向く姿勢で配置されている。
従って、1つの第1粉砕ロータピース20PAによって形成される凹凸部20Gと、2つの第2粉砕ロータピース20PBによって形成される凹凸部20Gとの間には、2つの環状の切り欠き部24が軸心Xに沿って互いに離間して形成されることになる。切り欠き部24は小径円柱部23の外周側に形成されており、粉砕ロータ20の周方向に沿って全周に延びている。
この実施形態では、気体導入手段は、軸心Xに沿った切り欠き部24に相当する位置において、外筒部2aとライナ2bの間の空間を、円周状に仕切ることで形成した2つの環状の気体流路5a、5bと、この気体流路5a、5bと連通するように外筒部2aの上下に設けた4つの気体供給函6(6a、6b、6c、6d)とを有し、気体流路5a、5bは、ライナ2bの一部を円周状に切り欠いた環状スリット7によってライナ2bの内部と連通されている。
供給口3寄りに位置する上下の2つの気体供給函6a、6bは共通の一方の気体流路5aに連通し、同様に、排出口4寄りに位置する上下の2つの気体供給函6c、6dは他方の気体流路5bに連通している。
供給口3寄りに位置する上下の2つの気体供給函6a、6bは共通の一方の気体流路5aに連通し、同様に、排出口4寄りに位置する上下の2つの気体供給函6c、6dは他方の気体流路5bに連通している。
軸心Xを含む平面によってライナ2bを切った断面視において、環状スリット7の幅は切り欠き部24の幅に比して十分に狭く、且つ、環状スリット7は軸心Xの径方向に対して傾斜して延びている。傾斜した環状スリット7の中心線は、その環状スリット7が対向する切り欠き部24を構成する下流側の粉砕ロータピースの端面を向いている。環状スリット7の傾斜角度は例えば15°〜20°とすればよい。
このように、環状スリット7が下流側の粉砕ロータピースの端面を向くように傾斜していることで、環状スリット7を通ってライナ2b内部に導入される気体は下流側の粉砕ロータピース端面に向かって流れ、一部は切り欠き部24内を循環する流れを形成する。そのため、これに誘引された被処理物が冷却気体および粉砕ロータピース端面に接触しやすくなり、積極的に冷却される。
なお、環状スリット7は傾斜せず粉砕ロータ20径方向に向かって延びていてもよいし、あるいは上流側の粉砕ロータピース端面を向くように傾斜していてもよいが、被処理物が排出口4に向かって移動しながら進行する粉砕過程であることを考えると、下流側の粉砕ロータピース端面を向くように傾斜していることが望ましい。
なお、環状スリット7は傾斜せず粉砕ロータ20径方向に向かって延びていてもよいし、あるいは上流側の粉砕ロータピース端面を向くように傾斜していてもよいが、被処理物が排出口4に向かって移動しながら進行する粉砕過程であることを考えると、下流側の粉砕ロータピース端面を向くように傾斜していることが望ましい。
本実施形態のように、粉砕ロータ20の切り欠き部24に対向する箇所から冷却気体を導入することで、切り欠き部24付近の被処理物を積極的に冷却できる。さらに、切り欠き部24内で気流と被処理物を攪拌させることで、切り欠き部24内の被処理物が切り欠き部24に位置する粉砕ロータ20の端面を介して粉砕ロータ20内部の冷媒によって効果的に冷却されるため、上記のような構成は望ましい一実施形態であるが、必ずしも冷却気体の導入は切り欠き部24に対向する箇所からでなくとも十分にライナ2b内部の冷却効果を得ることはできる。
原料に茶葉を用い、下記の実施例および参考例を行った。粉砕品の粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300(日機装株式会社製)を用い、湿式測定(溶媒:水)で行った。
茶葉に含まれる成分としては、カフェイン、タンニン(カテキン)、アミノ酸、葉緑素(クロロフィル)、ビタミンC、その他種々の香り成分が含まれる。ここで、茶葉について成分比較を行うのに、各成分毎に比較することは測定上及び評価面でも大変であるので、簡易な方法として粉砕品の発する香りと粉砕品の色素成分をもって比較することとした。そのため、本実施例では、官能試験による香りの比較、ガスクロマトグラフィによる定性分析、ペーパークロマトグラフィによる定性分析を行い、実施例で得られた粉砕品と参考例で得られた粉砕品とを比較した。
参考例として、一部生産システムとして使用されているボールミルで粉砕を行ない、D50=14.8μmの粉砕品を得た。
実施例1および実施例2は、図8に示される粉砕装置1を用いて茶葉の粉砕を行なった。供給口3と、供給口3寄りの気体流路5aと、排出口4寄りの気体流路5bとの三箇所から同じ流量(0.7m3/min)の空気を導入しながら粉砕を行なった。詳細な実験条件および実験結果は表1に示す。実施例1では、D50=7.5μmの粉砕品が得られた。また、実施例2では、参考例の粒径とほぼ同じ粒径の粉砕品を得るため、粉砕ロータ20の周速を100m/sとして運転を行い、D50=14.6μmの粉砕品を得た。
実施例3は、衝撃式粉砕装置ACM−15H(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて粉砕を行なった。実施例3でも、参考例の粒径とほぼ同じ粒径の粉砕品が得られる条件で運転を行った。詳細な実験条件および実験結果は表2に示す。実施例3では、D50=15.0μmの粉砕品が得られた。
(官能試験による香りの比較)
官能試験により実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品について香りの比較試験を行った。その結果、実施例2で得られた粉砕品は、参考例の粉砕品とほぼ同等の良い香りであったが、実施例3で得られた粉砕品は、やや青臭い臭いがした。
官能試験により実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品について香りの比較試験を行った。その結果、実施例2で得られた粉砕品は、参考例の粉砕品とほぼ同等の良い香りであったが、実施例3で得られた粉砕品は、やや青臭い臭いがした。
(ガスクロマトグラフィによる定性分析)
実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品を用い、ガスクロマトグラフィ(株式会社島津製作所製GC−2014)による定性分析を行った。
バイアルに実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品0.1gと蒸留水100mlをそれぞれ入れて混合した後、バイアルを100℃で60分加熱し、気相部(ヘッドスペース)を採取した。採取した気相部を装置内に1.25ml注入し、測定を行った。
分析条件として、カラムにはZB−WAX、キャリアガスにはヘリウムを使用した。カラム温度は、昇温速度15℃/2分で40℃から200℃まで昇温させ分析を行った。また、インジェクター温度を140℃に設定した。ディテクターにはFID(水素炎イオン検出器)を使用して、ディテクター温度は250℃で検出を行った。
実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品を用い、ガスクロマトグラフィ(株式会社島津製作所製GC−2014)による定性分析を行った。
バイアルに実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品0.1gと蒸留水100mlをそれぞれ入れて混合した後、バイアルを100℃で60分加熱し、気相部(ヘッドスペース)を採取した。採取した気相部を装置内に1.25ml注入し、測定を行った。
分析条件として、カラムにはZB−WAX、キャリアガスにはヘリウムを使用した。カラム温度は、昇温速度15℃/2分で40℃から200℃まで昇温させ分析を行った。また、インジェクター温度を140℃に設定した。ディテクターにはFID(水素炎イオン検出器)を使用して、ディテクター温度は250℃で検出を行った。
図10に示すように、実施例2は参考例と比較して異なるピークは見られなかった。実施例3では参考例と比較して異なるピーク(図10中の丸印で示す)が見られた。この結果から、実施例2の粉砕品と参考例の粉砕品には異なる成分は含まれていないが、実施例3の粉砕品ではそれらと異なる成分が一部含まれているものと推定される。このことは、実施例2の粉砕品と参考例の粉砕品がほぼ同等の香りであったのに対して、実施例3で得られた粉砕品はそれらと比較してやや青臭い臭いがしたことを裏付けるものといえる。
(ペーパークロマトグラフィによる定性分析)
実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品を用い、ペーパークロマトグラフィによる定性分析を行った。
バイアルに、抽出溶媒としてメタノールとアセトンを質量比で3:1に混合した溶液1mlと、実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品50mgとをそれぞれ分散させた後、しばらく静置した。その後、上澄み液をろ紙上に滴下して乾燥させる操作を20回繰り返して行い、乾燥後のろ紙下端をトルエンに浸漬させた。30分後、トルエンにより上昇した粉砕品の各色素成分は、ろ紙やトルエン等との相互作用により成分ごとに分離される。分離された成分はスポット状にろ紙上に点在するため、このスポットの大きさおよび移動距離から成分の差異あるいは含有量の定性的な比較を行うことが出来る。
実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品を用い、ペーパークロマトグラフィによる定性分析を行った。
バイアルに、抽出溶媒としてメタノールとアセトンを質量比で3:1に混合した溶液1mlと、実施例2、実施例3および参考例で得られた粉砕品50mgとをそれぞれ分散させた後、しばらく静置した。その後、上澄み液をろ紙上に滴下して乾燥させる操作を20回繰り返して行い、乾燥後のろ紙下端をトルエンに浸漬させた。30分後、トルエンにより上昇した粉砕品の各色素成分は、ろ紙やトルエン等との相互作用により成分ごとに分離される。分離された成分はスポット状にろ紙上に点在するため、このスポットの大きさおよび移動距離から成分の差異あるいは含有量の定性的な比較を行うことが出来る。
上記分析の結果、実施例2は参考例よりわずかに緑色の濃さが薄いものの、大きな差は見られなかった。そのため、実施例2で得られた粉砕品に含まれるクロロフィルの量は参考例のそれと比較してほぼ同等であると推定される。また、実施例3で得られた粉砕品では、クロロフィルを示すスポットの濃さが薄く、クロロフィルの分解物のスポット濃度が濃いことが観察できた。
実施例2において参考例と同等の良好な香りの粉砕品が得られた理由として、実施例2で用いた粉砕装置1では、衝撃粉砕だけでなく石臼やボールミルと同じような磨砕が凹凸部2Gと20Gとの間で茶葉に対して行われていると推測される。
また、導入気体量が2.1m3/minと一般的な気流式粉砕機と比較して非常に少ないため、香り成分などが粉砕装置1外にあまり排出されなかったためと推測される。
さらに、排気温度も25.8℃と低く抑えられていることで、粉砕品の酸化も抑えられていると推測される。
以上のように、本発明の茶葉の粉砕方法および粉砕装置を用いて茶葉の粉砕を行なうと、ボールミルで粉砕した粉砕品と比べてクロロフィルの量や香りも同等の粉砕品を得ることができ、かつ連続式の粉砕装置であるためボールミルと比較して生産性が高いという利点がある。本発明の粉砕装置を用いて茶葉の粉砕を行なった場合、粉砕装置の大きさにもよるが一般的なボールミルと比較して5倍以上の粉砕能力が得られると考えられる。
また、導入気体量が2.1m3/minと一般的な気流式粉砕機と比較して非常に少ないため、香り成分などが粉砕装置1外にあまり排出されなかったためと推測される。
さらに、排気温度も25.8℃と低く抑えられていることで、粉砕品の酸化も抑えられていると推測される。
以上のように、本発明の茶葉の粉砕方法および粉砕装置を用いて茶葉の粉砕を行なうと、ボールミルで粉砕した粉砕品と比べてクロロフィルの量や香りも同等の粉砕品を得ることができ、かつ連続式の粉砕装置であるためボールミルと比較して生産性が高いという利点がある。本発明の粉砕装置を用いて茶葉の粉砕を行なった場合、粉砕装置の大きさにもよるが一般的なボールミルと比較して5倍以上の粉砕能力が得られると考えられる。
なお、本発明は茶の粉砕に限らず、大麦若葉などの繊維状植物、胡椒などの香辛料、小麦や米などの穀物のほか、トナーのような溶融し易い材料や熱によって変質しやすい熱可塑性樹脂の粉砕にも好適に使用できる。
1 粉砕装置
2 ケーシング
2a 外筒部
2b ライナ
2c 側壁部
2d 側壁部
2G 凹凸部
2Pa 入力ポート
2Pb 出力ポート
2S 脚部
2T 粉砕刃
3 供給口
4 排出口
5 気体流路(気体導入手段、5a、5b)
6 気体供給函(6a、6b、6c、6d)
7 環状スリット
8 冷媒流路
9 ケーシング片
9A 開口部
9B シール溝
9H 貫通孔
9S 邪魔板
10 ライナ片
10H 貫通孔
11 弾性シール
12 温度センサ(供給口3側温度センサ12a、排出口4側温度センサ12b)
20 粉砕ロータ
20a 第1端部
20b 第2端部
20G 凹凸部
20PA 粉砕ロータピース
20PB 粉砕ロータピース
20S シャフト
20T 粉砕刃
21 冷媒流路
21R 環状流路
22a 第一ベアリング
22b 第二ベアリング
23 小径円柱部
24 切り欠き部
30 ブロワ
31 分級機
32 集塵機
33 熱交換器
34 冷媒回路
A 粉砕ロータ回転方向
G 間隙
M モータ
P ポンプ
X 軸心
V1 バッファ空間
V2 バッファ空間
2 ケーシング
2a 外筒部
2b ライナ
2c 側壁部
2d 側壁部
2G 凹凸部
2Pa 入力ポート
2Pb 出力ポート
2S 脚部
2T 粉砕刃
3 供給口
4 排出口
5 気体流路(気体導入手段、5a、5b)
6 気体供給函(6a、6b、6c、6d)
7 環状スリット
8 冷媒流路
9 ケーシング片
9A 開口部
9B シール溝
9H 貫通孔
9S 邪魔板
10 ライナ片
10H 貫通孔
11 弾性シール
12 温度センサ(供給口3側温度センサ12a、排出口4側温度センサ12b)
20 粉砕ロータ
20a 第1端部
20b 第2端部
20G 凹凸部
20PA 粉砕ロータピース
20PB 粉砕ロータピース
20S シャフト
20T 粉砕刃
21 冷媒流路
21R 環状流路
22a 第一ベアリング
22b 第二ベアリング
23 小径円柱部
24 切り欠き部
30 ブロワ
31 分級機
32 集塵機
33 熱交換器
34 冷媒回路
A 粉砕ロータ回転方向
G 間隙
M モータ
P ポンプ
X 軸心
V1 バッファ空間
V2 バッファ空間
Claims (9)
- 円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータ式粉砕装置による茶葉の粉砕方法であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を有する粉砕ロータとの協働作用により茶葉を粉砕させるとともに、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体を流通させ、前記微小間隙において茶葉の冷却と同時に粉砕を行なわせることを特徴とする、茶葉の粉砕方法。 - 前記粉砕装置から排出される排出気体の温度を40℃以下に保持する、請求項1に記載の茶葉の粉砕方法。
- 前記微小間隙にさらに前記ケーシング外周より冷却気体を導入することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の茶葉の粉砕方法。
- 前記粉砕装置から排出される排出気体の少なくとも一部を前記粉砕装置内に戻しながら粉砕を行なうことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の茶葉の粉砕方法。
- 円筒状ケーシング内で軸心周りに回転駆動される粉砕ロータを有する茶葉の粉砕装置であって、
円筒状の内周表面に多数の凹凸部を有するライナと、外周表面に多数の粉砕刃を形成した粉砕ロータとを有し、
前記ライナと前記粉砕ロータとの間に形成された微小間隙に冷却気体の流路を設けるとともに、前記粉砕ロータ内部および前記ケーシングに冷媒流路を設けたことを特徴とする、茶葉の粉砕装置。 - 前記ケーシングの外周部には前記ライナ内部の微小間隙に冷却気体を導入するための気体導入口が設けられている、請求項5に記載の茶葉の粉砕装置。
- 前記粉砕ロータは前記粉砕ロータの周方向に沿って環状の切り欠き部によって軸心方向に分割されている、請求項5または請求項6に記載の茶葉の粉砕装置。
- 前記粉砕ロータの粉砕刃は軸心方向に沿って粉砕ロータの全長にわたり外周表面に凹凸状に形成された、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の茶葉の粉砕装置。
- 前記ライナの凹凸の深さまたは高さは1.5〜5.0mmであり、前記粉砕ロータの凹凸の深さまたは高さは2.5〜10.0mmである、請求項8に記載の茶葉の粉砕装置。
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