JP2013033571A - カートリッジ誤挿入防止機構および磁気テープライブラリ装置用セル - Google Patents

カートリッジ誤挿入防止機構および磁気テープライブラリ装置用セル Download PDF

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Abstract

【課題】磁気テープカートリッジの脱落を防止するためのラッチやラッチを付勢するための付勢手段を独立的に設ける必要のないカートリッジ誤挿入防止機構を提供する。
【解決手段】最後に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置Aよりも反挿抜口7寄りの位置に一端部12aを回転自在に軸支された揺動レバー12の中間部に、収納スペースの壁面10から収納スペース内に進退可能とされた切欠検出用突起13を設けると共に、揺動レバー12の他端部には、切欠検出用突起13が収納スペースから外側に退避した状態で挿抜口7の外側に離脱する一方、切欠検出用突起13が収納スペース内に進入した状態で挿抜口7の内側に進入して磁気テープカートリッジ100の脱落を防止するラッチ14を設け、付勢手段として機能する捩りコイルバネ16により揺動レバー12を壁面10に向けて定常的に回転付勢する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数個の磁気テープカートリッジの方向性を合わせて直列的に収容する収納スペースと,磁気テープカートリッジを挿抜するための挿抜口と,磁気テープカートリッジの挿入側端面を挿抜口側に向けて定常的に押圧する定荷重バネとを備えた磁気テープライブラリ装置用セルおよび其のカートリッジ誤挿入防止機構に関する。
磁気テープカートリッジ等の誤挿入防止に関連する技術としては、例えば、特許文献1に開示されるカートリッジ式記録媒体用誤挿入防止装置,特許文献2に開示される媒体投入装置,特許文献3に開示されるテープカートリッジのオートローダー,特許文献4に開示される記録媒体収納ラック,特許文献5に開示されるカートリッジ誤挿入防止機構等が既に公知である。
特許文献1に開示されるカートリッジ式記録媒体用誤挿入防止装置は、セル内の最奥部に逆方向挿入規制部材を設けることにより挿入完了位置に至るカートリッジの誤挿入を防止すると共に、誤挿入によってセルから突出したカートリッジの端部をフォトカプラ等で光学的に検出することによって誤挿入の発生を検出するようにしたものである。
しかしながら、セル内の挿入完了位置近傍までのカートリッジの誤挿入が容易に許容されてしまう点、および、逆方向挿入規制部材が小型であって誤挿入の際のカートリッジの突出量が僅かとなることから、目視確認によってカートリッジの誤挿入を検知することが難しくなる点で不都合がある。
特許文献2に開示される媒体投入装置は、異なる仕様のカートリッジを共通に検出するための揺動式の誤挿入防止板をマガジンに設け、誤挿入を検知した誤挿入防止板をマガジンから突出させることによってカートリッジの誤挿入を生じたマガジンが不用意に磁気テープライブラリ装置に装着されることを防止したものに過ぎず、厳密には、セルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入を防止するためのものではない。従って、セルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入それ自体は容易に許容されてしまう。
特許文献2記載の発明においてマガジンから突出する誤挿入防止板を誤挿入確認用のフラグと考えることも可能であるが、誤挿入発生時における誤挿入防止板の突出量は僅かなものであるから、仮に、この構成をセルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入検知のために転用したとしても、磁気テープライブラリ装置にセルやマガジンを装着する前の段階で誤挿入防止板の突出状態を目視確認することによって、セルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入の有無を知ることは必ずしも容易ではない。
特許文献3に開示されるテープカートリッジのオートローダーは、エレベータに設置されたカートリッジトレーに誤挿入検出機構を備えたもので、セルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入の防止や検出とは直接的には関連しないが、ここで開示されるカートリッジトレーの誤挿入検出機構をセルやマガジンに対するカートリッジの誤挿入の防止や検出の目的に転用することは可能かも知れない。
特許文献3に開示される誤挿入検出機構の構成は、テープカートリッジの底面に形成された凹部の位置に対応させて誤挿入検出レバーを設け、光センサーを利用して誤挿入検出レバーの姿勢変化すなわちテープカートリッジの誤挿入の有無を検知し、誤挿入がある場合にはシーケンス制御によってテープカートリッジを排出するというものである。
従って、前述した引用文献2の発明と同様、特許文献3に開示されるオートローダーの誤挿入検出レバーを、カートリッジの誤挿入を表すフラグと考えることも可能であるが、誤挿入発生時における誤挿入検出レバーの姿勢変化は僅かなものであるから、仮に、この誤挿入検出レバーが外部から見えたとしても、目視確認によってカートリッジの誤挿入を検知することは容易ではない。
特許文献4に開示される記録媒体収納ラックは、水平方向に摺動するL字型の押し出しレバーや揺動する二股状の係止レバー、更には、押し出しレバーと係止レバーとを接続する引張バネや誤挿入防止レバーといったものを複雑に組み合わせたもので、誤挿入されたテープカセットが係止レバーによってロックされることを防止することにより、テープカセットの誤挿入を回避するようにしている。
従って、機械的な構成が複雑な点、更に、構成の複雑化に伴って収納ラックの製造コストが増大する点で不都合がある。
特許文献5に開示されるカートリッジ誤挿入防止機構は、最初に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも僅かに挿抜口寄りの位置で磁気テープライブラリ装置用セルの収納スペース内に進退する第一の進入防止爪と第一の進入防止爪から間隔を置いて挿抜口寄りの位置で磁気テープライブラリ装置用セルの収納スペース内に進退する第二の進入防止爪とを一体に備えた誤挿入防止レバーと、この誤挿入防止レバーを回転付勢するための捩りコイルバネによって構成されるカートリッジ誤挿入防止機構である。
不適切な方向性で挿入される磁気テープカートリッジの誤挿入を確実に防止することができ、その構成も簡素ではあるが、適切な方向性で挿入された磁気テープカートリッジの脱落を防止するためのラッチや此のラッチを付勢するための板バネ等をカートリッジ誤挿入防止機構と独立して設ける必要がある。
このように、特許文献5に開示されるカートリッジ誤挿入防止機構は、誤挿入防止機構の構成それ自体は簡素であるが、特に、磁気テープライブラリ装置用セルを幾つも集合して構成されるマガジンを備えた磁気テープライブラリ装置にあっては、各セル毎にカートリッジ誤挿入防止機構として機能する誤挿入防止レバーと捩りコイルバネ、および、磁気テープカートリッジの脱落を防止するためのラッチと板バネとを独立的に配備する必要があるため、装置全体の構成の簡略化や製造コストの軽減化のためには、更なる部品点数の削減が望まれる。
特開2000−187958号公報(段落0049,段落0050,図1,図2) 特開2005−222694号公報(段落0043,段落0047,図6) 特開平8−212642号公報(段落0222−0228,段落0232,図66) 特開平6−342548号公報(段落0022−0024,段落0033,図5) 特願2011−026886号
そこで、本発明の目的は、誤挿入の目視確認を容易化して磁気テープライブラリ装置用セルに対する磁気テープカートリッジの誤挿入を未然に防止することができ、しかも、磁気テープカートリッジの脱落を防止するためのラッチや此のラッチを付勢するための付勢手段を独立的に設ける必要のないカートリッジ誤挿入防止機構を提供することにある。
本発明のカートリッジ誤挿入防止機構は、挿入側端面に隣接する一側面と,前記挿入側端面および前記一側面に隣接する他の一側面と,前記挿入側端面とによって画成される角部に、前記挿入側端面および前記一側面に対して斜交すると共に前記他の一側面に対して直交する面から成り,且つ,前記挿入側端面と前記一側面と前記他の一側面に連絡するテーパ面によって形成される切欠部を、前記他の一側面の法線方向における厚さ未満の幅で備えた複数個の磁気テープカートリッジの方向性を合わせて直列的に収容する収納スペースと、前記複数個の磁気テープカートリッジを挿抜するための挿抜口と、前記収納スペースに最初に挿入される磁気テープカートリッジの挿入側端面を前記挿抜口側に向けて定常的に押圧する定荷重バネとを有する磁気テープライブラリ装置用セルに設けられるカートリッジ誤挿入防止機構であり、前記目的を達成するため、特に、
適切な姿勢で挿入れる磁気テープカートリッジの前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面に沿った姿勢で、最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも反挿抜口寄りの位置に一端部を回転自在に軸支され、その中間部に、最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも僅かに挿抜口寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジの前記他の一側面からの法線方向の離間距離が前記テーパ面の幅の範囲内となる位置において磁気テープカートリッジの前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面から前記収納スペース内に進退可能とされた切欠検出用突起を一体に備えると共に、その他端部には、前記切欠検出用突起が前記収納スペースから外側に退避した状態で前記挿抜口の外側に離脱する一方、前記切欠検出用突起が前記収納スペース内に進入した状態で前記挿抜口の内側に進入して磁気テープカートリッジの脱落を防止するラッチを一体に備えた揺動レバーと、
前記一端部を支点として、前記揺動レバーを前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面に向けて定常的に回転付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
本発明のカートリッジ誤挿入防止機構は、磁気テープカートリッジの挿入側端面に隣接する一側面に対応する収納スペースの壁面に沿った姿勢で、最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも反挿抜口寄りの位置に一端部を回転自在に軸支された揺動レバーの中間部に、収納スペースの壁面から収納スペース内に進退可能とされた切欠検出用突起を一体に設けると共に、其の他端部には、切欠検出用突起が収納スペースから外側に退避した状態で挿抜口の外側に離脱する一方、切欠検出用突起が収納スペース内に進入した状態で挿抜口の内側に進入して磁気テープカートリッジの脱落を防止するラッチを一体に設けることにより、磁気テープライブラリ装置用セルの収納スペースに挿入されつつある磁気テープカートリッジの方向性が適切な場合、つまり、磁気テープカートリッジのテーパ面によって形成される切欠部の位置が切欠検出用突起の位置に一致した場合にのみ切欠検出用突起の収納スペース内への進入を許容し、付勢手段で定常的に回転付勢されている揺動レバーを収納スペースの壁面に向けて揺動させることによって揺動レバーの他端部のラッチで磁気テープカートリッジの角部を係止して其の脱落を防止する一方、磁気テープライブラリ装置用セルの収納スペースに挿入されつつある磁気テープカートリッジの方向性が不適切な場合、つまり、磁気テープカートリッジのテーパ面によって形成される切欠部の位置が切欠検出用突起の位置と一致しない場合においては、切欠検出用突起の収納スペース内への進入を磁気テープカートリッジの側面によって阻み、付勢手段によって定常的に回転付勢されている揺動レバーが収納スペースの壁面に向けて揺動することを防止して、揺動レバーの他端部のラッチを挿抜口の外側に離脱した状態に留め置くようにしたので、磁気テープライブラリ装置用セルの収納スペースに挿入されつつある磁気テープカートリッジの方向性が不適切な場合には、挿入されつつある磁気テープカートリッジの端面が、定荷重バネもしくは定荷重バネで押圧された状態にある先入れの磁気テープカートリッジの端面によって押圧され、挿入されつつある磁気テープカートリッジの手前側が磁気テープライブラリ装置用セルの挿抜口から外側に大幅に突出することになる。
従って、磁気テープカートリッジの突出状態を目視確認することで誤挿入の有無を容易に確認して磁気テープライブラリ装置用セルに対する磁気テープカートリッジの誤挿入を未然に防止することができる。
しかも、磁気テープカートリッジの脱落を防止するためのラッチや此のラッチを付勢するための付勢手段の機能をカートリッジ誤挿入防止機構の構成要素によって兼ねさせているので、各セル毎の磁気テープカートリッジの脱落を防止する独立したラッチや板バネを省略することができ、磁気テープライブラリ装置用セルの構成の簡略化と製造コストの軽減化が実現される。
本発明のカートリッジ誤挿入防止機構を適用した一実施形態の磁気テープライブラリ装置用セルを使用する磁気テープライブラリ装置の一例について簡略化して示したブロック図である(第1の実施形態)。 同実施形態のカートリッジ誤挿入防止機構を実装した磁気テープライブラリ装置用セルの構成を示した斜視図である(第1の実施形態)。 2つの磁気テープカートリッジを適切に挿入した状態の磁気テープライブラリ装置用セルの状態を示した斜視図である(第1の実施形態)。 最初の磁気テープカートリッジを適切に挿入した状態の磁気テープライブラリ装置用セルの状態を示した斜視図である(第1の実施形態)。 最初の磁気テープカートリッジを誤挿入した状態の磁気テープライブラリ装置用セルの状態を一例で示した平面図である(第1の実施形態)。 最後の磁気テープカートリッジを誤挿入した状態の磁気テープライブラリ装置用セルの状態を一例で示した平面図である(第1の実施形態)。 最初の磁気テープカートリッジが不適切な方向性で挿入されたまま最後の磁気テープカートリッジが適切な方向性で挿入された状態を示した平面図である(第1の実施形態)。 一般的な磁気テープカートリッジの外観を示した斜視図である。 他の一実施形態のカートリッジ誤挿入防止機構を実装した磁気テープライブラリ装置用セルの構成を示した斜視図である(第2の実施形態)。 2つの磁気テープカートリッジを適切に挿入した状態の磁気テープライブラリ装置用セルの状態を示した平面図である(第2の実施形態)。 最初の磁気テープカートリッジが不適切な方向性で挿入されたまま最後の磁気テープカートリッジが適切な方向性で挿入された状態を示した平面図である(第2の実施形態)。
次に、本発明を実施するための幾つかの実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は本発明のカートリッジ誤挿入防止機構を適用した一実施形態の磁気テープライブラリ装置用セルを使用する磁気テープライブラリ装置の一例について簡略化して示したブロック図である。
この磁気テープライブラリ装置1は、複数の磁気テープライブラリ装置用セル2を集合して構成されるマガジン3と、磁気テープカートリッジ100内の磁気テープに対してデータの読み書きを行うドライブユニット4、および、磁気テープライブラリ装置用セル2とドライブユニット4との間で磁気テープカートリッジ100の受け渡しを行なうアクセッサ5を備える。
マガジン3は磁気テープライブラリ装置1から外部に取り出すことが可能であり、マガジン3を構成する磁気テープライブラリ装置用セル2の各々には2つずつの磁気テープカートリッジ100を手動操作によって装填および排出できるようになっている。
磁気テープライブラリ装置1,マガジン3,ドライブユニット4,アクセッサ5は何れも公知の構成要素であるので具体的な説明は省略する。
磁気テープカートリッジ100は標準的な仕様のもので、図8に示されるように、挿入側端面aに隣接する一側面bと,挿入側端面aおよび一側面bに隣接する他の一側面cと,前述の挿入側端面aとによって画成される角部Xに、挿入側端面aおよび一側面bに対して斜交すると共に他の一側面cに対して直交する面から成り,且つ,挿入側端面aと一側面bと他の一側面cに連絡するテーパ面dによって形成される切欠部を、他の一側面cの法線方向におけるカートリッジ100の厚さ未満の幅で備えている。
以下、この実施形態にあっては、図8に示されるように、磁気テープカートリッジ100において前述の一側面bと対を成すようにして平行に位置する他の側面を別の側面fと呼び、また、挿入側端面aと対を成すようにして平行に位置する他の側面を反挿入側端面eと呼ぶものとする。
カートリッジ誤挿入防止機構を実装した磁気テープライブラリ装置用セル2の構成の主要部を図2の斜視図に、また、2つの磁気テープカートリッジ100を適切に挿入したときの磁気テープライブラリ装置用セル2の状態を図3の斜視図に示す。
この磁気テープライブラリ装置用セル2は、方向性を合わせた2つの磁気テープカートリッジ100を直列的(玉突き式ともいう)に収容するためのもので、図2に示されるように、2つの磁気テープカートリッジ100を収容するための収納スペース6と、磁気テープカートリッジ100を挿抜するための挿抜口7と、収納スペース6に最初に挿入される磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aを挿抜口7側に向けて定常的に押圧する定荷重バネ8を備える。
収納スペース6,挿抜口7,定荷重バネ8は何れも公知の構成要素である。
この実施形態におけるカートリッジ誤挿入防止機構9の主要部は、図2および図3に示されるように、揺動レバー12と、付勢手段として機能する捩りコイルバネ16とによって構成される。
揺動レバー12は、図3に示されるように、適切な状態で挿入される磁気テープカートリッジ100の一側面bに対応する収納スペース6の壁面10の外側に沿った姿勢で、最後に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置Aよりも反挿抜口7寄りの位置、より具体的には、最後に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置Aと収納スペース6の最奥部の壁面11との間の区間における収納スペース6の壁面10上の外側の位置に、一端部12aをピン15を介して回転自在に軸支されている。
そして、揺動レバー12の中間部には、適切な状態で挿入される最後の磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置Aよりも僅かに挿抜口7寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジ100の他の一側面cからの法線方向の離間距離がテーパ面dの幅の範囲内となる位置において収納スペース6の壁面10から収納スペース6内に進退可能とされた切欠検出用突起13が一体に備えられ、揺動レバー12の他端部には、切欠検出用突起13が収納スペース6から外側に退避した状態で挿抜口7の外側に離脱する一方、切欠検出用突起13が収納スペース6内に進入した状態で挿抜口7の内側に進入して磁気テープカートリッジ100の角部と係合することにより磁気テープカートリッジ100の脱落を防止するラッチ14が一体に備えられている。
また、揺動レバー12の付勢手段として機能する捩りコイルバネ16は揺動レバー12の一端部12aを枢着するピン15を取り巻くかたちで取り付けられ、その一端が収納スペース6の壁面10の外側に当接し、また、その他端が揺動レバー12に当接することにより、揺動レバー12の一端部12aを支点として、揺動レバー12を収納スペース6の壁面10に向けて定常的に回転付勢している。
ここでいう、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向かう方向とは、揺動レバー12の一端部12aを支点として図2および図3中で揺動レバー12がカウンタークロックワイズに回転する方向である。
この実施形態の揺動レバー12は、切欠検出用突起13およびラッチ14の部分を含め、その全体が合成樹脂の一体性成形品によって構成されている。
図4は磁気テープライブラリ装置用セル2の収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100が適切に挿入されたときの状態、つまり、磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け、かつ、磁気テープカートリッジ100の一側面bを収納スペース6の壁面10に沿わせて収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100を挿入したときの状態を示した斜視図である。
この状態では、図4に示される磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が、挿入完了位置Aよりも僅かに挿抜口7寄りの位置、つまり、揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置に一致する。
従って、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することを許容され、揺動レバー12の他端部に備えられたラッチ14が磁気テープカートリッジ100の角部と係合し、ラッチ14が、磁気テープカートリッジ100を挿抜口7側に向けて定常的に押圧する定荷重バネ8の力に抗して、適切に挿入された磁気テープカートリッジ100の脱落を防止することになる。
また、2つの磁気テープカートリッジ100を適切に挿入したときの磁気テープライブラリ装置用セル2の状態は図3に示す通りである。この場合も、最後に挿入された磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が、挿入完了位置Aよりも僅かに挿抜口7寄りの位置、つまり、図3に示される揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置と一致するので、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが前記と同様に許容される。
従って、揺動レバー12の他端部に備えられたラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合し、ラッチ14が、磁気テープカートリッジ100を挿抜口7側に向けて定常的に押圧する定荷重バネ8の力に抗して、これら2つの磁気テープカートリッジ100,100の脱落を防止することになる。
図3および図4の状態から磁気テープカートリッジ100を取り出す場合には、捩りコイルバネ16の回転付勢力に抗して手動操作で揺動レバー12を揺動させ、揺動レバー12の他端部のラッチ14を挿抜口7の外側に離脱させればよい。
最初の磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aが定荷重バネ8によって押圧されているので、ラッチ14を挿抜口7の外側に離脱させるだけの簡単な操作で、1つ或いは2つの磁気テープカートリッジ100を挿抜口7から容易に取り出すことができる。
図5は磁気テープライブラリ装置用セル2の収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入されたときの状態の一例、より具体的には、最初の磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け、かつ、最初の磁気テープカートリッジ100の別の側面fを収納スペース6の壁面10に沿わせて収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100を挿入したときの状態を示した平面図である。
この状態では、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置とは一致せず、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが磁気テープカートリッジ100の別の側面fによって阻まれる。
従って、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部のラッチ14は図5に示される通り挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれることになり、ラッチ14が磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはない。
よって、挿入されつつある最初の磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eが定荷重バネ8によって押圧され、挿入されつつある磁気テープカートリッジ100の手前側、つまり、この場合は磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aの周辺部が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大幅に突出することになる。
この突出量は、例えば、図2に示される定荷重バネ8の初期位置からも分るように、この実施形態においては概ね数センチ程度となる。
このように、磁気テープカートリッジ100が磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に大幅に突出するため、磁気テープカートリッジ100の突出状態を目視確認するだけで、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100の誤挿入の有無を容易に確認して磁気テープライブラリ装置用セル2に対する磁気テープカートリッジ100の誤挿入を未然に防止することができる。
しかも、適切な方向性で挿入された磁気テープカートリッジ100の脱落を防止するためのラッチ14や此のラッチ14を付勢するための付勢手段の機能が、カートリッジ誤挿入防止機構9の必須の構成要素である揺動レバー12や捩りコイルバネ16によって兼ねられているので、磁気テープライブラリ装置用セル2毎の磁気テープカートリッジの脱落を防止するための独立したラッチや板バネを省略することができ、磁気テープライブラリ装置用セル2の構成の簡略化と製造コストの軽減化が実現される。
特に、複数の磁気テープライブラリ装置用セル2を集合して構成されるマガジン3を備えた磁気テープライブラリ装置1にあっては、多数の磁気テープライブラリ装置用セル2を必要とすることから、省略される部品の点数が例え各セル2毎に2つではあっても、磁気テープライブラリ装置用セル2前提として見た場合の製造コストの軽減化のメリットは大きい。
図5では一例として磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け且つ磁気テープカートリッジ100の別の側面fを収納スペース6の壁面10に沿わせて収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100を挿入したときの状態について示しているが、磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け且つ磁気テープカートリッジ100の一側面bを収納スペース6の壁面10に沿わせて収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100を挿入した場合、および、磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け且つ磁気テープカートリッジ100の別の側面fを収納スペース6の壁面10に沿わせて収納スペース6に最初の磁気テープカートリッジ100を挿入した場合においても、磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置と一致することはないので、何れの誤挿入が生じた場合であっても、揺動レバー12の他端部のラッチ14は挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれることになり、ラッチ14が磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはない。
従って、不適切な方向性で最初の磁気テープカートリッジ100が挿入されようとした場合には、いつでも、挿入されつつある磁気テープカートリッジ100の手前側が磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大幅に押し出されることになり、磁気テープカートリッジ100の誤挿入の有無を容易に確認することができる。
図6は磁気テープライブラリ装置用セル2の収納スペース6に最後の磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入されたときの状態の一例、より具体的には、最後の磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eを収納スペース6の最奥部の壁面11に向け、かつ、最後の磁気テープカートリッジ100の別の側面fを収納スペース6の壁面10に沿わせるかたちで収納スペース6に最後の磁気テープカートリッジ100を挿入したときの状態を示した平面図である。
このような状況下では、図5に示される場合と同様、最後の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置とは一致せず、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが、最後の磁気テープカートリッジ100の別の側面fによって阻まれる。
従って、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部に備えられたラッチ14は挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれることになり、ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはない。
よって、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eが定荷重バネ8で押圧された最初の磁気テープカートリッジ100の反挿入側端面eによって押圧され、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の手前側、つまり、この場合は磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aの周辺部が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大幅に押し出されることになる。
従って、最後の磁気テープカートリッジ100の突出量に基いて誤挿入の有無を確認することで、磁気テープライブラリ装置用セル2に対する最後の磁気テープカートリッジ100の誤挿入を未然に防止することができる。
特許文献1に開示されるようなカートリッジ式記録媒体用誤挿入防止装置にあっても誤挿入が発生した場合にはカートリッジの手前側が突出することにはなるが、その突出量は、小型の逆方向挿入規制部材の大きさによって定まる僅かな量である。
この実施形態にあっては、磁気テープカートリッジ100を排出する際に利用される定荷重バネ8の押圧力により、不適切な方向性で挿入されつつある磁気テープカートリッジ100に排出方向の送りが積極的に掛けられるため、誤挿入されようとしている磁気テープカートリッジ100の突出量が非常に大きく、その突出量に基く誤挿入の有無の確認が極めて容易である。
但し、2つの磁気テープカートリッジ100,100を連ねた状態で纏めて収納スペース6に挿入したような場合においては、例えば、図7の例に示されるように、最初の磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入されたまま最後の磁気テープカートリッジ100が適切な方向性で挿入されて、最後の磁気テープカートリッジ100の角部がラッチ14で係止されるといった不都合が発生する可能性もある。
なんとなれば、揺動レバー12の切欠検出用突起13が磁気テープカートリッジ100の挿入方向の適不適を検知するのは、収納スペース6内の挿入完了位置Aに挿入側端面aなり反挿入側端面eなりを位置させている磁気テープカートリッジ100のみだからである。
〔第2の実施形態〕
そこで、更に、このような不都合の発生を防止した他の一実施形態の磁気テープライブラリ装置用セル2’の構成を図9の斜視図に示す。また、図10は2つの磁気テープカートリッジ100を適切に挿入したときの磁気テープライブラリ装置用セル2’の状態を示した平面図である。
収納スペース6,挿抜口7,定荷重バネ8,切欠検出用突起13およびラッチ14を備えた揺動レバー12,ピン15,捩りコイルバネ16,透孔17の構成に関しては前述した磁気テープライブラリ装置用セル2の場合と同様であるが、この実施形態の磁気テープライブラリ装置用セル2’は、図10に示されるように、適切に挿入される磁気テープカートリッジ100の一側面bに対応する収納スペース6の壁面10の内側において、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置A’よりも僅かに挿抜口7寄りで且つ適切な収容状態にある磁気テープカートリッジ100の他の一側面cからの法線方向の離間距離がテーパ面dの幅の範囲内となる位置に誤挿入防止突起18が設けられている点で、前述の磁気テープライブラリ装置用セル2とは構成が異なる。
図10に示されるように、最初の磁気テープカートリッジ100が磁気テープライブラリ装置用セル2’の収納スペース6に適切に挿入された状況下では、最初の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が誤挿入防止突起18の形成位置と一致するので、誤挿入防止突起18が最初の磁気テープカートリッジ100に干渉することはなく、最初の磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aが挿入完了位置A’にまで到達する。
この結果、最後に挿入された磁気テープカートリッジ100の方向性が適切であれば、磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が、最後の磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置Aよりも僅かに挿抜口7寄りの位置、つまり、揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置と一致して、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが許容される。
従って、揺動レバー12の他端部のラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合し、最初の磁気テープカートリッジ100と最後の磁気テープカートリッジ100を挿抜口7側に向けて定常的に押圧する定荷重バネ8の力に抗し、ラッチ14が、これら2つの磁気テープカートリッジ100,100の脱落を防止する。
一方、図11に示されるように最初の磁気テープカートリッジ100が磁気テープライブラリ装置用セル2’の収納スペース6に不適切な方向性で挿入された状況下では、最初の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が誤挿入防止突起18の形成位置と一致しないので、誤挿入防止突起18が最初の磁気テープカートリッジ100に干渉し、最初の磁気テープカートリッジ100の挿入が挿入完了位置A’の手前で強制的に停止される。
この結果、適切な方向性で挿入された最後の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が揺動レバー12における切欠検出用突起13の形成位置と一致しなくなり、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12の切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが最初の磁気テープカートリッジ100の別の側面fによって阻まれる。
よって、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部のラッチ14は挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれる。
この場合、ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはないので、不適切な方向性で挿入された最初の磁気テープカートリッジ100に次いで適切な方向性で挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aが、定荷重バネ8で押圧された最初の磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aによって押圧され、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の手前側、つまり、この場合は磁気テープカートリッジ100の挿入側端面aの周辺部が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大きく押し出される。
従って、2つの磁気テープカートリッジ100,100を連ねた状態で纏めて収納スペース6に挿入したような場合においても、最後の磁気テープカートリッジ100の突出量に基いて最初の磁気テープカートリッジ100の誤挿入の有無を容易に確認して磁気テープライブラリ装置用セル2’に対する磁気テープカートリッジ100の誤挿入を未然に防止することができるようになる。
以上に述べた通り、何れの実施形態においても、磁気テープライブラリ装置用セル2,2’に不適切な方向性で磁気テープカートリッジ100を挿入した場合にあっては、定荷重バネ8の押圧力によって、磁気テープカートリッジ100が磁気テープライブラリ装置用セル2,2’の挿抜口7から外側に向けて大幅に押し出されることになるので、磁気テープカートリッジ100の突出量を目視確認するだけの簡単な操作で磁気テープカートリッジ100の誤挿入の有無を容易に確認することができる。
しかも、適切な方向性で挿入された磁気テープカートリッジ100の脱落を防止するためのラッチ14や此のラッチ14を付勢するための付勢手段の機能がカートリッジ誤挿入防止機構9の揺動レバー12や捩りコイルバネ16といった誤挿入防止機構9それ自体の必須の構成要素によって兼ねられているので、磁気テープカートリッジ100の脱落を防止するための独立したラッチや板バネを各々の磁気テープライブラリ装置用セル2,2’から省略することができ、磁気テープライブラリ装置用セル2,2’の構成の簡略化と製造コストの軽減化が実現される。
磁気テープライブラリ装置用セル2,2’の挿抜口7から磁気テープカートリッジ100が押し出された場合には、ユーザーが磁気テープカートリッジ100の方向性を改めてから磁気テープライブラリ装置用セル2,2’に磁気テープカートリッジ100を再挿入することになるので、磁気テープカートリッジ100の誤挿入が未然に防止され、磁気テープカートリッジ100のデータを読み書きするドライブユニット4の誤動作も防止されることになる。
〔他の変形例〕
以上の実施形態では、2つの磁気テープカートリッジ100の方向性を合わせて直列的に収容するようにした磁気テープライブラリ装置用セル2,2’の構成について述べたが、前記と同様の作用原理を適用することによって、3つ以上の磁気テープカートリッジ100の方向性を合わせて直列的に収容するようにした磁気テープライブラリ装置用セルにも対応することが可能である。
そうした場合、揺動レバー12は、適切な状態で挿入される磁気テープカートリッジ100の一側面bに対応する収納スペース6の壁面10の外側に沿った姿勢で、2つ目に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置よりも反挿抜口7寄りの位置、より具体的には、2つ目に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置と収納スペース6の最奥部の壁面11との間の区間における収納スペース6の壁面10上の外側の位置に図10と同様にして一端部12aをピン15を介して回転自在に軸支して取り付け、揺動レバー12の切欠検出用突起13,13,・・・と壁面10の透孔17,17,・・・は、適切な方向性で挿入される各磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の各位置、例えば、2つ目の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置,3つ目の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置,・・・の各々に対応させて揺動レバー12上と壁面10上の複数箇所に設け、誤挿入防止突起18は、図10のものと同様、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置よりも僅かに挿抜口7寄りで且つ適切な収容状態にある磁気テープカートリッジ100の他の一側面cからの法線方向の離間距離がテーパ面dの幅の範囲内となる位置に設けることになる。
3つ以上の磁気テープカートリッジ100の方向性を合わせて直列的に収容するようにした磁気テープライブラリ装置用セルにあっても、その作用原理に関しては、前述した実施形態の磁気テープライブラリ装置用セル2’と同様である。
即ち、最初の磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入された状況下では、最初の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が誤挿入防止突起18の形成位置と一致しないので、誤挿入防止突起18が最初の磁気テープカートリッジ100に干渉して最初の磁気テープカートリッジ100の挿入を挿入完了位置の手前で阻む。
この結果、最初の磁気テープカートリッジ100におけるテーパ面dによって形成される切欠部の位置が揺動レバー12における各切欠検出用突起13,13,・・・の形成位置と一致しなくなり、捩りコイルバネ16で回転付勢される揺動レバー12において一端部12aに最も近接する位置にある切欠検出用突起13が収納スペース6の壁面10に形成された透孔17から収納スペース6内に進入することが図11に示されるようにして最初の磁気テープカートリッジ100の側面によって阻まれる。
よって、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部のラッチ14は挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれる。
この場合、ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはないので、最後の磁気テープカートリッジ100の手前側の端部が、定荷重バネ8で押圧された既挿入の他の磁気テープカートリッジ100によって押圧され、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の手前側が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大きく押し出される。
また、最初の磁気テープカートリッジ100が適切に挿入され、2つめ以降の磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入された場合には、不適切な方向性で挿入された磁気テープカートリッジ100の側面により、此れに対応する切欠検出用突起13の進入が阻まれるので、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部のラッチ14が挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれる。
この場合も、ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはないので、最後の磁気テープカートリッジ100の手前側の端部が、定荷重バネ8で押圧された既挿入の他の磁気テープカートリッジ100によって押圧され、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の手前側が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大きく押し出されることになる。
ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合するのは、全ての磁気テープカートリッジ100が適切に挿入された場合だけである。
〔更に他の変形例〕
2つの磁気テープカートリッジ100の方向性を合わせて直列的に収容するようにした磁気テープライブラリ装置用セル、つまり、図10で示したような磁気テープライブラリ装置用セル2’においても、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置A’と収納スペース6の最奥部の壁面11との間の間隔が著しく広いような構成にあっては、揺動レバー12の一端部12aの軸支位置を図10の位置よりも更に壁面11側に近接した壁面10上の位置とすることにより、図10の誤挿入防止突起18に代え、適切な方向性で挿入される最初の磁気テープカートリッジ100のテーパ面dによって形成される切欠部に対応する2つ目の透孔17と2つ目の切欠検出用突起13を設けて、誤挿入の検出および防止を図ることができる。なお、1つ目の透孔17と1つ目の切欠検出用突起13に関しては図10と同じ位置に設けるものとする。
このような構成を適用した場合、最初の磁気テープカートリッジ100が磁気テープライブラリ装置用セル2’の収納スペース6に不適切な方向性で挿入されたか適切な方向性で挿入されたかに関わらず、最初の磁気テープカートリッジ100は挿入完了位置A’の位置まで挿入されることになるが、何れかの磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入された場合には、不適切な方向性で挿入された磁気テープカートリッジ100の側面により、此れに対応する切欠検出用突起13の進入が阻まれるので、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10に向けて揺動することはできず、揺動レバー12の他端部のラッチ14が挿抜口7の外側に離脱した状態に留め置かれる。
従って、この場合も、ラッチ14が最後つまり2つ目の磁気テープカートリッジ100の角部と係合することはなく、最後の磁気テープカートリッジ100の手前側の端部が、定荷重バネ8で押圧された既挿入の他の磁気テープカートリッジ100によって押圧され、挿入されつつある最後の磁気テープカートリッジ100の手前側が、磁気テープライブラリ装置用セル2の挿抜口7から外側に向けて大きく押し出されることになる。
ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合するのは、2つの磁気テープカートリッジ100が共に適切に挿入された場合だけである。
但し、図10に示される実施形態にあっては、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100における挿入側端面aの挿入完了位置A’と収納スペース6の最奥部の壁面11との間の間隔を、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100の挿入に応じて渦巻状の巻回を解かれながら位置を変化させる定荷重バネ8の退避を許容するに足る最小限度の間隔とすることによって、磁気テープライブラリ装置用セル2の全体的なサイズのコンパクト化を図っているので、仮に、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100のテーパ面dによって形成される切欠部に対応する2つ目の透孔17と2つ目の切欠検出用突起13を設けた構成を適用したとすると、揺動レバー12の一端部12aの軸支位置を壁面11側に著しく接近させて壁面10上に設定したとしても、揺動レバー12の一端部12aの軸支位置と最初の磁気テープカートリッジ100のテーパ面dによって形成される切欠部に対応した2つ目の切欠検出用突起13との間隔が著しく接近してしまい、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入された場合に、揺動レバー12が収納スペース6の壁面10から外側に向けて大きく揺動するといった不都合が生じてしまうため、この不都合を解消する必要上、収納スペース6の壁面10の内側に誤挿入防止突起18を設け、既に述べた通りの作用原理により、全ての磁気テープカートリッジ100が適切に挿入された場合にのみ、ラッチ14が最後の磁気テープカートリッジ100の角部と係合するようにしている。
これにより、最初に挿入される磁気テープカートリッジ100が不適切な方向性で挿入された場合に揺動レバー12が収納スペース6の壁面10から外側に向けて大きく張り出すといった不都合を解消している。
以上に開示した実施形態の一部または全部は、以下の付記に示す記載によって適切に表現され得るが、発明を実施するための形態や発明の技術思想は、これらのものに制限されるものではない。
〔付記1〕
挿入側端面(a)に隣接する一側面(b)と,前記挿入側端面(a)および前記一側面(b)に隣接する他の一側面(c)と,前記挿入側端面(a)とによって画成される角部(X)に、前記挿入側端面(a)および前記一側面(b)に対して斜交すると共に前記他の一側面(c)に対して直交する面から成り,且つ,前記挿入側端面(a)と前記一側面(b)と前記他の一側面(c)に連絡するテーパ面(d)よって形成される切欠部を、前記他の一側面(c)の法線方向における厚さ未満の幅で備えた複数個の磁気テープカートリッジ(100)の方向性を合わせて直列的に収容する収納スペース(6)と、前記複数個の磁気テープカートリッジ(100)を挿抜するための挿抜口(7)と、前記収納スペース(6)に最初に挿入される磁気テープカートリッジ(100)の挿入側端面(a)を前記挿抜口(7)側に向けて定常的に押圧する定荷重バネ(8)とを有する磁気テープライブラリ装置用セル(2,2’)に設けられるカートリッジ誤挿入防止機構(9)であって、
適切な姿勢で挿入れる磁気テープカートリッジ(100)の前記一側面(b)に対応する前記収納スペース(6)の壁面(10)に沿った姿勢で、最後に挿入される磁気テープカートリッジ(100)における挿入側端面(a)の挿入完了位置(A)よりも反挿抜口(7)寄りの位置に一端部(12a)を回転自在に軸支され、その中間部に、最後に挿入される磁気テープカートリッジ(100)における挿入側端面(a)の挿入完了位置(A)よりも僅かに挿抜口(7)寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジ(100)の前記他の一側面(c)からの法線方向の離間距離が前記テーパ面(d)の幅の範囲内となる位置において磁気テープカートリッジ(100)の前記一側面(b)に対応する前記収納スペース(6)の壁面(10)から前記収納スペース(6)内に進退可能とされた切欠検出用突起(13)を一体に備えると共に、その他端部には、前記切欠検出用突起(13)が前記収納スペース(6)から外側に退避した状態で前記挿抜口(7)の外側に離脱する一方、前記切欠検出用突起(13)が前記収納スペース(6)内に進入した状態で前記挿抜口(7)の内側に進入して磁気テープカートリッジ(100)の脱落を防止するラッチ(14)を一体に備えた揺動レバー(12)と、
前記一端部(12a)を支点として、前記揺動レバー(12)を前記一側面(a)に対応する前記収納スペース(6)の壁面(10)に向けて定常的に回転付勢する付勢手段(16)とを備えたことを特徴とするカートリッジ誤挿入防止機構(9)。
〔付記2〕
前記揺動レバー(12)が合成樹脂の一体性成形品によって構成されていることを特徴とする付記1記載のカートリッジ誤挿入防止機構(9)。
〔付記3〕
磁気テープカートリッジ(100)の前記一側面(b)に対応する前記収納スペース(6)の壁面(10)の内側において、最初に挿入される磁気テープカートリッジ(100)における挿入側端面(a)の挿入完了位置(A)よりも僅かに挿抜口(7)寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジ(100)の前記他の一側面(c)からの法線方向の離間距離が前記テーパ面(d)の幅の範囲内となる位置に誤挿入防止突起(18)を設けたことを特徴とする付記1または付記2記載のカートリッジ誤挿入防止機構(9)。
〔付記4〕
前記付勢手段(16)が、前記揺動レバー(12)の前記一端部(12a)を回転自在に軸支するピン(15)に取り付けられた捩りコイルバネ(16)によって構成されていることを特徴とする付記1,付記2または付記3のうち何れか一項に記載のカートリッジ誤挿入防止機構(9)。
〔付記5〕
付記1,付記2,付記3,付記4の何れか一項に記載のカートリッジ誤挿入防止機構(9)を備えた磁気テープライブラリ装置用セル(2,2’)。
本発明は、複数個の磁気テープカートリッジの方向性を合わせて直列的に収容する収納スペースと磁気テープカートリッジを挿抜するための挿抜口と磁気テープカートリッジの挿入側端面を挿抜口側に向けて定常的に押圧する定荷重バネとを備えた磁気テープライブラリ装置用セルに適用できる。
1 磁気テープライブラリ装置
2 磁気テープライブラリ装置用セル
2’ 磁気テープライブラリ装置用セル
3 マガジン
4 ドライブユニット
5 アクセッサ
6 収納スペース
7 挿抜口
8 定荷重バネ
9 カートリッジ誤挿入防止機構
10 適切な姿勢で挿入れる磁気テープカートリッジの一側面に対応する収納スペースの壁面
11 収納スペースの最奥部の壁面
12 揺動レバー
12a 揺動レバーの一端部
13 切欠検出用突起
14 ラッチ
15 ピン
16 捩りコイルバネ(付勢手段)
17 透孔
18 誤挿入防止突起
100 磁気テープカートリッジ
a 挿入側端面
b 挿入側端面に隣接する一側面
c 挿入側端面および挿入側端面に隣接する一側面に隣接する他の一側面
d テーパ面
e 反挿入側端面
f 別の側面
A 最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置
A’ 最初に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置
X 角部

Claims (5)

  1. 挿入側端面に隣接する一側面と,前記挿入側端面および前記一側面に隣接する他の一側面と,前記挿入側端面とによって画成される角部に、前記挿入側端面および前記一側面に対して斜交すると共に前記他の一側面に対して直交する面から成り,且つ,前記挿入側端面と前記一側面と前記他の一側面に連絡するテーパ面によって形成される切欠部を、前記他の一側面の法線方向における厚さ未満の幅で備えた複数個の磁気テープカートリッジの方向性を合わせて直列的に収容する収納スペースと、前記複数個の磁気テープカートリッジを挿抜するための挿抜口と、前記収納スペースに最初に挿入される磁気テープカートリッジの挿入側端面を前記挿抜口側に向けて定常的に押圧する定荷重バネとを有する磁気テープライブラリ装置用セルに設けられるカートリッジ誤挿入防止機構であって、
    適切な姿勢で挿入れる磁気テープカートリッジの前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面に沿った姿勢で、最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも反挿抜口寄りの位置に一端部を回転自在に軸支され、その中間部に、最後に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも僅かに挿抜口寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジの前記他の一側面からの法線方向の離間距離が前記テーパ面の幅の範囲内となる位置において磁気テープカートリッジの前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面から前記収納スペース内に進退可能とされた切欠検出用突起を一体に備えると共に、その他端部には、前記切欠検出用突起が前記収納スペースから外側に退避した状態で前記挿抜口の外側に離脱する一方、前記切欠検出用突起が前記収納スペース内に進入した状態で前記挿抜口の内側に進入して磁気テープカートリッジの脱落を防止するラッチを一体に備えた揺動レバーと、
    前記一端部を支点として、前記揺動レバーを前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面に向けて定常的に回転付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とするカートリッジ誤挿入防止機構。
  2. 前記揺動レバーが合成樹脂の一体性成形品によって構成されていることを特徴とする請求項1記載のカートリッジ誤挿入防止機構。
  3. 磁気テープカートリッジの前記一側面に対応する前記収納スペースの壁面の内側において、最初に挿入される磁気テープカートリッジにおける挿入側端面の挿入完了位置よりも僅かに挿抜口寄りで且つ適切な姿勢で挿入れて収容状態にある磁気テープカートリッジの前記他の一側面からの法線方向の離間距離が前記テーパ面の幅の範囲内となる位置に誤挿入防止突起を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のカートリッジ誤挿入防止機構。
  4. 前記付勢手段が、前記揺動レバーの前記一端部を回転自在に軸支するピンに取り付けられた捩りコイルバネによって構成されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3のうち何れか一項に記載のカートリッジ誤挿入防止機構。
  5. 請求項1,請求項2,請求項3,請求項4の何れか一項に記載のカートリッジ誤挿入防止機構を備えた磁気テープライブラリ装置用セル。
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